JP5464597B2 - ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

ポリ乳酸樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5464597B2
JP5464597B2 JP2010186901A JP2010186901A JP5464597B2 JP 5464597 B2 JP5464597 B2 JP 5464597B2 JP 2010186901 A JP2010186901 A JP 2010186901A JP 2010186901 A JP2010186901 A JP 2010186901A JP 5464597 B2 JP5464597 B2 JP 5464597B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polylactic acid
acid resin
cyclodextrin
resin composition
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010186901A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012046558A (ja
Inventor
智也 坪井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2010186901A priority Critical patent/JP5464597B2/ja
Publication of JP2012046558A publication Critical patent/JP2012046558A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5464597B2 publication Critical patent/JP5464597B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)

Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物に関する。更に詳しくは、日用雑貨品、家電部品、自動車部品等として好適に使用し得るポリ乳酸樹脂組成物、及び該組成物を成形することにより得られるポリ乳酸樹脂成形体に関する。
ポリ乳酸樹脂は、原料となるL−乳酸がトウモロコシ、芋等から抽出した糖分を用いて発酵法により生産されるため安価であること、原料が植物由来であるために総酸化炭素排出量が極めて少ないこと、また樹脂の特性として剛性が強く透明性が高いことが挙げられるため、現在その利用が期待されている。
しかし、ポリ乳酸樹脂は、その結晶化速度が遅いため、結晶化を行なうとなると長時間を要して生産性が悪い。そこで、ポリ乳酸樹脂に結晶核剤等を配合することにより結晶化速度を向上させる技術が知られている。
例えば、特許文献1では、結晶構造をとり得るポリエステル、例えばポリ乳酸樹脂に特定の環状化合物を添加することにより、結晶化を促進する技術が開示されている。また、好適な環状化合物としては、銅フタロシアニン結晶、フタロシアニン化合物、ポリフィリン化合物が挙げられている。
非特許文献1には、シクロデキストリンと脂肪族ポリエステルとの包接化合物が脂肪族ポリエステルの結晶核剤として働くことが記載されている。特許文献2では、シクロデキストリンは、その環内にポリオレフィンを弱い結合力で包接するいわゆる超分子を形成することにより、シクロデキストリン環の外側に存する水酸基に基づく親水性と、疎水性の環内に包接したポリオレフィンに基づく親油性とを併せ持つ一種の「界面活性剤」となって、造核効果だけでなく、ポリオレフィンの持つ帯電防止性・塗装性・接着性・防曇性が良好でない点や、極性基含有樹脂との混和性が良好でない点を改良する改良剤などとして作用すると記載されている。
また、特許文献3には、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体を、熱可塑性樹脂に配合して得られる組成物は、その強度に優れるものであることが報告されている。
WO2004/022649号パンフレット 特開2008−266622号公報 WO2006/115211号パンフレット
「未来材料」(エヌ・ティー・エス)、2009年5月10日発行、p.22−28
しかし、これら技術では未だ成形時間が長く、得られる成形品は耐熱性に劣るものであることから、さらなる改良が求められている。
本発明の課題は、結晶化速度が速く、低温での成形加工性に優れ、かつ、耐熱性に優れるポリ乳酸樹脂組成物、及び該組成物からなる成形体を提供することにある。
そこで、本発明者らは、前記課題を解決する為に検討を重ねた結果、シクロデキストリンと特定の芳香族化合物をポリ乳酸樹脂に配合して得られる樹脂組成物が、優れた結晶化速度、低温での成形加工性、及び耐熱性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
〔1〕 シクロデキストリンと、フタロシアニン化合物、フェニルホスホン酸金属塩、芳香環を有するカルボヒドラジド類、芳香族カルボン酸アミド、及び芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物、ならびにポリ乳酸樹脂を含有してなる、ポリ乳酸樹脂組成物、
〔2〕 シクロデキストリンと、フタロシアニン化合物、フェニルホスホン酸金属塩、芳香環を有するカルボヒドラジド類、芳香族カルボン酸アミド、及び芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物と、ポリ乳酸樹脂を含む原料を溶融混練して得られる、ポリ乳酸樹脂組成物、ならびに
〔3〕 前記〔1〕又は〔2〕記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体
に関する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、結晶化速度、低温での成形加工性、及び耐熱性に優れるという効果を奏するものである。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、シクロデキストリンと、フタロシアニン化合物、フェニルホスホン酸金属塩、芳香環を有するカルボヒドラジド類、芳香族カルボン酸アミド、及び芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物と、ポリ乳酸樹脂を配合することに大きな特徴を有する。
従来、シクロデキストリンはポリマーに結合させることで、ポリマーの安定化剤として使用されていた。しかし、本願では、シクロデキストリンをフタロシアニン化合物、フェニルホスホン酸金属塩、芳香環を有するカルボヒドラジド類、芳香族カルボン酸アミド、及び芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物(結晶核剤)と共にポリ乳酸樹脂に配合することにより、得られる樹脂組成物の結晶性を向上し、また、得られる成形品の耐熱性が向上することを見出した。前記結晶核剤は芳香環を有するものでありポリ乳酸結晶と類似の結晶構造を有することから、該結晶核剤の結晶がポリ乳酸結晶の生成核となってポリ乳酸の結晶化を促進するものと考えられる。一般的には、ポリ乳酸樹脂中での分散性が高いほど結晶核の数が増えて結晶核剤としての効果が高く発揮されるが、一方、結晶核剤が凝集しているほどポリ乳酸と接触する面積が小さく十分な効果を発揮しないものとなる。しかし、本発明では、前記結晶核剤とシクロデキストリンとをポリ乳酸樹脂に配合することで結晶性が高まるが、その詳細なる理由は不明なるも、特定の結晶核剤とシクロデキストリンとの相互作用によると考えられるが、これら化合物の構造から考えると、結晶核剤の芳香環がシクロデキストリンの環状構造に取り込まれて包接化合物となり、その構造を維持した状態でポリ乳酸樹脂中に分散されるために、分散性が向上し、結晶核剤としての効果が大きく発揮され結晶性が高まるものと推定される。
(シクロデキストリン)
シクロデキストリンは、複数のD-グルコースが結合した環状構造を有する多糖類の一種であり、酸や塩基に対して安定であり、また200℃程度まで加熱しても安定な化合物である。シクロデキストリンは、分子内に空孔を有し、その空孔内にサイズの適合する分子を取り込む働きがあることが知られている。このように、環状分子等が他分子を環内に取り込むことを包接という。シクロデキストリンはヒドロキシ基をその環状分子の外側に有しているために親水性基と相互作用しやすく、一方、前記空孔の内部は疎水性となっているため、疎水性の分子を包接しやすい。
シクロデキストリンを構成するD-グルコースの結合個数は特に限定されないが、本発明では、D-グルコースが6つ結合したα−シクロデキストリン、7つ結合したβ−シクロデキストリン、8つ結合したγ−シクロデキストリンが好ましく、β−シクロデキストリンがより好ましい。
シクロデキストリンの平均粒径は、1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、10〜150μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、シクロデキストリンの平均粒径は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
シクロデキストリンの含有量は、後述の本発明における結晶核剤との包接化合物の形成のし易さ、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度の促進、及びポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性の向上の観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、5〜25重量部がより好ましく、8〜22重量部がさらに好ましい。
(結晶核剤)
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、フタロシアニン化合物、フェニルホスホン酸金属塩、芳香環を有するカルボヒドラジド類、芳香族カルボン酸アミド、及び芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩(これらをまとめて、本発明における結晶核剤ともいう)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を含有する。これらの化合物はいずれも芳香環を有するものであり、シクロデキストリンと配合されることで、シクロデキストリンの環内にこれら結晶核剤の芳香環が包接されることにより、結晶核剤の分散性が向上して、結晶化が促進されると推定される。
フタロシアニン化合物は、4つのフタル酸イミドが窒素原子で架橋された構造を有する環状化合物であり、遷移金属(例えば、銅)等の元素と錯体を形成してもよい。また、フタル酸イミドの芳香環は置換基を有するものであってもよい。
フタロシアニン化合物の具体例としては、フタロシアニン、ジアルキルフタロシアニン、テトラメチルフタロシアニン、テトラフェニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、チタニルフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、バナジウムフタロシアニン、カドミウムフタロシアニン、アンチモンフタロシアニン、クロムフタロシアニン、ゲルマニウムフタロシアニン、鉄フタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン、イソインドール環を5個有するウラニウム錯体(スーパーフタロシアニン)やイソインドール環3個からなるホウ素錯体等が挙げられ、シクロデキストリンとの包接化合物の形成のし易さ、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度の促進及びポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性の向上の観点から、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、無金属のフタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニンが好ましく、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニンがより好ましく、銅フタロシアニンがさらに好ましい。
フェニルホスホン酸金属塩は、置換基を有してもよいフェニル基とホスホン基を有するホスホン酸の金属塩であり、フェニル基の置換基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルコキシ基を有するカルボニル基等が挙げられる。フェニルホスホン酸の具体例としては、無置換のフェニルホスホン酸、メチルフェニルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ジメトキシカルボニルフェニルホスホン酸、ジエトキシカルボニルフェニルホスホン酸等が挙げられ、結晶化速度の促進及び耐熱性の向上の観点から、無置換のフェニルホスホン酸が好ましい。
かかるフェニルホスホン酸の金属塩としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、バリウム、銅、亜鉛、鉄、コバルト、ニッケル等の金属塩が挙げられ、結晶化速度の促進及び耐熱性の向上の観点から、亜鉛塩が好ましい。
芳香環を有するカルボヒドラジド類としては、エチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、テトラメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、ヘキサメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、オクタメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、デカメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、ドデカメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、シクロへキシレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、オクタメチレンジカルボニルジ(4−メチルベンゾイル)ヒドラジド、オクタメチレンジカルボニルジ(4−t−ブチルベンゾイル)ヒドラジド、オクタメチレンジカルボニルジ(2−メチルベンゾイル)ヒドラジド、オクタメチレンジカルボニルジ(3−メチルベンゾイル)ヒドラジド等が挙げられ、シクロデキストリンとの包接化合物の形成のし易さ、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度の促進、及びポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性の向上の観点から、エチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、テトラメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、ヘキサメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、オクタメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、デカメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジドが好ましく、オクタメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、デカメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジドがより好ましい。
芳香族カルボン酸アミドとしては、トリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、m−キシリレンビス12−ヒドロキシステアリン酸アミドが挙げられ、シクロデキストリンとの包接化合物の形成のし易さ、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度の促進、及びポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性の向上の向上の観点から、トリメシン酸トリシクロヘキシルアミドが好ましい。
芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩としては、5−スルホイソフタル酸ジメチル二バリウム、5−スルホイソフタル酸ジメチル二カルシウムが挙げられ、シクロデキストリンとの包接化合物の形成のし易さ、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度の促進、及びポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性の向上の観点から、5−スルホイソフタル酸ジメチル二バリウムが好ましい。
これらの結晶核剤は、少なくとも1種がシクロデキストリンと共に本発明のポリ乳酸樹脂組成物に含有されるのであれば特に限定はないが、なかでも、シクロデキストリンとの包接化合物の形成のし易さ、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度の促進、及びポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性の向上の観点から、フタロシアニン化合物が含有されることが好ましい。また、これらは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
前記結晶核剤の平均粒径は、シクロデキストリンとの包接化合物の形成のし易さ、ポリ乳酸樹脂の結晶化速度の促進の観点から、10〜3000nmが好ましく、100〜2000nmがより好ましく、200〜1500nmがさらに好ましい。本明細書において、結晶核剤の平均粒径は、後述の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
前記結晶核剤の重量平均分子量は、包接化合物の形成のし易さの観点から、50〜1000が好ましく、100〜800がより好ましく、200〜700がさらに好ましい。結晶核剤の重量平均分子量が前記範囲内にあると、結晶核剤の芳香環がシクロデキストリンの環状構造に適度に取り込まれるためか、シクロデキストリンとの包接化合物が容易に形成され得る。
ポリ乳酸樹脂組成物中の本発明における結晶核剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性及び該成形体の耐熱性、耐衝撃性の向上の観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましく、0.3〜1重量部がさらに好ましい。なお、ここでいう本発明における結晶核剤の含有量とは、ポリ乳酸樹脂組成物に含有される結晶核剤、即ち、フタロシアニン化合物、フェニルホスホン酸金属塩、芳香環を有するカルボヒドラジド類、芳香族カルボン酸アミド、及び芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩の総含有量のことを意味する。
また、本発明における結晶核剤とシクロデキストリンのモル比(結晶核剤/シクロデキストリン)は、包接化合物の形成のし易さの観点から、0.02〜1.00が好ましく、0.03〜0.99がより好ましく、0.04〜0.99がさらに好ましい。
また、本発明における結晶核剤とシクロデキストリンの重量比(結晶核剤/シクロデキストリン)は、包接化合物の形成のし易さの観点から、0.5/100〜50/100が好ましく、1.0/100〜20/100がより好ましく、2/100〜10/100がさらに好ましい。
またさらに、本発明における結晶核剤とシクロデキストリンとの総重量とポリ乳酸樹脂の重量との比〔(結晶核剤+シクロデキストリン)/ポリ乳酸樹脂〕は、ポリ乳酸樹脂組成物の結晶化促進を向上させる観点から、1/100〜40/100が好ましく、5/100〜25/100がより好ましく、8/100〜22/100がさらに好ましい。
また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性及び成形性をさらに向上する観点から、その他の結晶核剤を含有することができる。その他の結晶核剤としては、分子中に水酸基とアミド基を有する化合物、リン酸エステル金属塩、ロジン酸類の金属塩、ロジン酸アミド、N−置換尿素類、メラミン化合物の塩、ウラシル類等が挙げられ、これらの中では、前記観点から、分子中に水酸基とアミド基を有する化合物が好ましい。ポリ乳酸樹脂組成物におけるその他の結晶核剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性、耐衝撃性と成形性の向上の観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、0.01〜2.5重量部が好ましく、0.1〜2重量部がより好ましく、0.3〜1重量部がさらに好ましい。
(ポリ乳酸樹脂)
本発明におけるポリ乳酸樹脂とは、ポリ乳酸、又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーである。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。
好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸(L体)又はD−乳酸(D体)いずれかの単位80〜100モル%とその対掌体の乳酸単位0〜20モル%からなるものである。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からなるものである。
これらのポリ乳酸樹脂は、L−乳酸、D−乳酸及びヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。但し、主原料は、D−ラクチド又はL−ラクチドが好ましい。
本発明においては、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性の向上の観点から、乳酸成分の光学純度が高いポリ乳酸樹脂を用いることが好ましい。すなわち、ポリ乳酸樹脂の全乳酸成分の内、L体又はD体が80%以上含まれることが好ましく、L体又はD体が90%以上含まれることがより好ましく、L体又はD体が95%以上含まれることがさらに好ましく、L体又はD体が98%以上含まれることがさらに好ましく、L体又はD体が99%以上含まれることがさらに好ましい。
(可塑剤)
また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、前記シクロデキストリン、結晶核剤、ポリ乳酸樹脂以外に、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性のさらなる向上及び耐衝撃性の向上の観点から、さらに、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、特に限定はなく公知のものが挙げられるが、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立の観点から、分子内に2個以上のエステル基を有し、エステルを構成するアルコール成分の少なくとも1種が水酸基1個当たり炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを平均0.5〜5モル付加したエステル化合物を含有することが望ましい。
可塑剤が前記エステル化合物を含有する場合、ポリ乳酸樹脂組成物の耐熱性、ならびにポリ乳酸樹脂に対する相溶性が良好となる。そのため耐ブリード性が向上するとともに、ポリ乳酸樹脂の軟質化効果も向上する。このポリ乳酸樹脂の軟質化向上により、ポリ乳酸樹脂が結晶化するときはその成長速度も向上すると考えられる。その結果、低い金型温度でもポリ乳酸樹脂が柔軟性を保持しているため、短い金型保持時間でポリ乳酸樹脂の結晶化が進み良好な成形性を示すものと考えられる。
エステル化合物は、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合により得られる。
アルコール成分としては特に限定はなく、モノアルコール、多価アルコール等を含有することができる。なかでも、ポリ乳酸樹脂との相溶性、可塑化効率、及び耐揮発性の観点から、アルコールの水酸基1個当たり炭素数2又は3のアルキレンオキシ基が、平均付加モル数として好ましくは0.5〜5モル、より好ましくは1.0〜4モル、さらに好ましくは2〜3モル付加したアルコールのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。炭素数2又は3のアルキレンオキシ基の平均付加モル数が0.5モル以上であれば、ポリ乳酸樹脂に対して十分な可塑性を付与することができ、5モル以下であれば、耐ブリード性の効果が良好となる。炭素数2又は3のアルキレンオキシ基としては、可塑化効率の観点から、エチレンオキシ基が好ましい。
また、エステル基に結合するアルキレンオキシ基以外の官能基としては、モノアルコールの場合、ポリ乳酸樹脂との相溶性の向上の観点から、炭素数が好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2の炭化水素基であることが望ましい。多価アルコールの場合、ポリ乳酸樹脂との相溶性の向上の観点から、炭素数が好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4の炭化水素基であることが望ましい。
なお、前記エステル基を構成するアルコールはそれぞれ独立しており、アルコール成分に含有されるアルコールの少なくとも1種が前記アルキレンオキサイド付加物であることが好ましく、全てのアルコールが前記アルキレンオキサイド付加物であることがより好ましく、全てのアルコールが同一の前記アルキレンオキサイド付加物であることがさらに好ましい。
また、耐揮発性の向上の観点から、アルコール成分は芳香族アルコールを含有してもよい。同じ炭素数の脂肪族アルコールに比べて芳香族アルコールの方がポリ乳酸樹脂に対する相溶性に優れるため、耐ブリード性を保ちつつ、分子量を上げることができる。芳香族アルコールとしてはベンジルアルコール等が挙げられ、エステル化合物に含有される2個以上のエステル基のうち、好ましくは0超え1.5以下、より好ましくは0超え1.2以下、さらに好ましくは0超え1以下のエステル基が芳香族アルコールにより構成されることが望ましい。
カルボン酸成分に含まれるカルボン酸化合物としては、特に限定はなく、公知のカルボン酸、その無水物、及び酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。なお、カルボン酸、その無水物、及び酸のアルキルエステルを、本明細書では総称してカルボン酸化合物と呼ぶ。
アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合は、公知の方法に従って行うことができる。
例えば、本発明に用いられる可塑剤が多価カルボン酸エーテルエステルの場合は、パラトルエンスルホン酸一水和物、硫酸等の酸触媒や、ジブチル酸化スズ等の金属触媒の存在下、炭素数3〜5の飽和二塩基酸又はその無水物と、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとを直接反応させるか、炭素数3〜5の飽和二塩基酸の低級アルキルエステルとポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとをエステル交換することにより得られる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、飽和二塩基酸、及び触媒としてパラトルエンスルホン酸一水和物を、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル/飽和二塩基酸/パラトルエンスルホン酸一水和物(モル比)=2〜4/1/0.001〜0.05になるように反応容器に仕込み、トルエンなどの溶媒の存在下又は非存在下に、常圧又は減圧下、温度100〜130℃で脱水を行うことにより得ることができる。溶媒を用いないで、減圧で反応を行う方法が好ましい。
また、本発明に用いられる可塑剤が多価アルコールエステルの場合は、例えばグリセリンに、アルカリ金属触媒存在下、オートクレーブを用い温度120〜160℃で炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを、グリセリン1モルに対し3〜9モル付加させる。そこで得られたグリセリンアルキレンオキサイド付加物1モルに対し、無水酢酸3モルを110℃で滴下、滴下終了後から110℃、2時間熟成を行い、アセチル化を行う。その生成物を減圧下で水蒸気蒸留を行い、含有する酢酸及び未反応無水酢酸を留去して得ることができる。
また、本発明に用いられる可塑剤がヒドロキシカルボン酸エーテルエステルの場合は、乳酸等のヒドロキシカルボン酸に、アルカリ金属触媒存在下、オートクレーブを用い温度120〜160℃で炭素数2〜3のアルキレンオキサイドを、ヒドロキシカルボン酸1モルに対し2〜5モル付加させる。そこで得られた乳酸アルキレンオキサイド付加物1モルに対し、無水酢酸1モルを110℃で滴下し、滴下終了後から110℃、2時間熟成を行い、アセチル化を行う。その生成物を減圧下で水蒸気蒸留を行い、含有する酢酸及び未反応無水酢酸を留去する。次に得られた生成物/ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル/パラトルエンスルホン酸一水和物(触媒)(モル比)=1/1〜2/0.001〜0.05になるように反応容器に仕込み、トルエンなどの溶媒の存在下又は非存在下に、常圧又は減圧下、温度100〜130℃で脱水を行うことにより、得ることができる。
かくして可塑剤として用いられるエステル化合物が得られるが、本発明においては、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、成形性、可塑性、耐ブリード性の向上の観点から、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物、及び酢酸とグリセリン又はエチレングリコールのエチレンオキサイド付加物とのエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、コハク酸又はアジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がより好ましい。
また、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、成形性及び耐衝撃性に優れる観点から、酢酸とグリセリンのエチレンオキサイド平均3〜9モル(水酸基1個あたり1〜3モル)付加物とのエステル化合物、酢酸とジグリセリンのプロピレンオキサイド平均4〜12モル(水酸基1個あたり1〜3モル)付加物とのエステル化合物、酢酸とポリエチレングリコールのエチレンオキサイド平均4〜9モル(水酸基1個あたり1〜3モル)付加物とのエステル化合物等の多価アルコールのアルキルエーテルエステル、コハク酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルのエチレンオキサイド平均2〜4モル付加物とのエステル化合物、アジピン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルのエチレンオキサイド平均2〜3モル付加物とのエステル化合物、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルのエチレンオキサイド平均2〜3モル付加物とのエステル化合物等の多価カルボン酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がより好ましい。
ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、成形性、耐衝撃性及び可塑剤の耐ブリード性に優れる観点から、酢酸とグリセリンのエチレンオキサイド平均3〜6モル(水酸基1個あたり1〜2モル)付加物とのエステル化合物、酢酸とポリエチレングリコールのエチレンオキサイド平均4〜6モル付加物とのエステル化合物、コハク酸とポリエチレングリコールモノメチルエーテルのエチレンオキサイド平均2〜3モル付加物とのエステル化合物、アジピン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸とジエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がさらに好ましい。ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、成形性、耐衝撃性、可塑剤の耐ブリード性、耐揮発性及び耐刺激臭の向上の観点からは、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのエステル化合物がさらに好ましい。
また、耐揮発性の向上の観点からは、アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール混合物(重量比:1/1)とのエステル化合物が好ましい。
なお、前記エステル化合物は、可塑剤としての機能を十分発揮させる観点から、全てエステル化された飽和エステルであることが好ましい。
エステル化合物の平均分子量は、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、耐ブリード性及び耐揮発性の観点から、好ましくは250〜700であり、より好ましくは300〜600であり、さらに好ましくは350〜550であり、さらに好ましくは400〜500である。なお、平均分子量は、JIS K0070に記載の方法で鹸化価を求め、次式より計算で求めることができる。
平均分子量=56,108×(エステル基の数)/鹸化価
可塑剤には、前記エステル化合物以外に、他の可塑剤が本発明の効果を損なわない範囲で適宜含有されていてもよい。前記エステル化合物の含有量は、特に限定されないが、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立、及び耐ブリード性の向上の観点から、可塑剤中、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、実質100重量%であることがさらにより好ましい。
可塑剤の含有量は、ポリ乳酸樹脂組成物の強度と可撓性の両立を得る観点、及び耐衝撃性の向上の観点から、ポリ乳酸樹脂100重量部に対して、5〜50重量部が好ましく、7〜30重量部がより好ましく、8〜30重量部がさらに好ましく、8〜20重量部がさらにより好ましい。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、前記以外に、加水分解抑制剤、充填剤(無機充填剤、有機充填剤)、難燃剤、ヒンダードフェノール又はフォスファイト系の酸化防止剤、炭化水素系ワックス類やアニオン型界面活性剤である滑剤、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、本発明における結晶核剤、シクロデキストリン、及びポリ乳酸樹脂を含有するものであれば特に限定なく調製することができ、シクロデキストリンと本発明における結晶核剤を予め混合して用いてもよいが、例えば、シクロデキストリン、本発明における結晶核剤、及びポリ乳酸樹脂、さらに必要により各種添加剤を含有する原料を、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて溶融混練して調製することができる。よって、本発明はまた、シクロデキストリンと、フタロシアニン化合物、フェニルホスホン酸金属塩、芳香環を有するカルボヒドラジド類、芳香族カルボン酸アミド、及び芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物と、ポリ乳酸樹脂を含む原料を溶融混練して得られるポリ乳酸樹脂組成物を提供する。なお、原料は、予めヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等を用いて均一に混合した後に、溶融混練に供することが好ましい。前記溶融混練により、結晶核剤の芳香環がシクロデキストリンの環状構造に取り込まれ包接化合物が形成されると共に、その構造を維持した状態でポリ乳酸樹脂中に分散されるために、分散性が向上し、結晶核剤としての効果が大きく発揮され結晶性が高まるものと推定される。
溶融混練温度は、ポリ乳酸樹脂組成物の成形性及び劣化防止の向上の観点から、160〜250℃が好ましく、165〜230℃がより好ましく、170〜210℃がさらに好ましい。溶融混練時間は、溶融混練温度、混練機の種類によって一概には決定できないが、15〜900秒間が好ましい。
得られた溶融混練物は、例えば、射出成形機等を用いて金型内に充填して成型することにより成型体を得ることができる。金型温度としては、ポリ乳酸樹脂組成物の結晶化速度向上及び作業性向上の観点から、110℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下がさらに好ましい。また30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。かかる観点から、金型温度は30〜110℃が好ましく、40〜90℃がより好ましく、60〜80℃がさらに好ましい。本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、結晶化速度に優れることから、前記金型温度のような低温度での成形加工も可能であるために、十分な耐熱性を有する成形体を得ることができる。
また、金型内での保持時間は、ポリ乳酸樹脂組成物からなる成形体の耐熱性及び生産性の向上の観点から、例えば80℃の金型において、20〜90秒が好ましく、20〜80秒がより好ましく、20〜70秒がさらに好ましい。本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、結晶化速度が速いために、前記のような短い時間の保持時間でも十分な耐熱性を有する成形体が得られる。
かくして得られた本発明の樹脂組成物は、加工性が良好で、かつ、例えば200℃以下の低温で加工することができるため、前記結晶核剤や可塑剤の分解が起こり難い利点もあり、フィルムやシートに成形して、各種用途に用いることができる。従って、本発明はまた、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を成形したポリ乳酸樹脂成形体を提供する。
本発明のポリ乳酸樹脂成形体は、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を成形したものであれば特に限定はなく、該成形方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を、シリンダー温度が好ましくは170〜210℃の射出成形機を用いて射出成形することにより、本発明のポリ乳酸樹脂成形体が得られる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、例中の部は、特記しない限り重量部をあらわす。
〔ポリ乳酸樹脂の重量平均分子量(Mw)〕
重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記の測定条件で行う。
<測定条件>
カラム:GMHHR−H+GMHHR−H
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶離液:クロロホルム
流速:1.0mL/min
サンプル濃度:1mg/mL
注入量:0.1mL
換算標準:ポリスチレン
〔ポリ乳酸の光学純度〕
光学純度は、「ポリオレフィン等合成樹脂製食品容器包装等に関する自主基準 第3版改訂版 2004年6月追補 第3部 衛生試験法 P12−13」記載のD体含有量の測定方法に従って、下記の測定条件で行う。具体的には、精秤したポリ乳酸(500mg)に0.7mol/L水酸化ナトリウム/メタノールを10mL加え、65℃に設定した水浴振とう器にセットして、樹脂分が均一溶液になるまで加水分解を行う。得られるアルカリ溶液に希塩酸(2mol/L塩酸)を加え中和し、さらに純水にて定溶した後、一定容量をメスフラスコに分液して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)移動相溶液により希釈し、pHが3〜7の範囲になるように調整してメスフラスコを定量し、得られた溶液をメンブレンフィルター(0.45μm)によりろ過後、HPLCにてD−乳酸、L−乳酸を定量することによってポリ乳酸の光学純度を求める。
<HPLC測定条件>
カラム :光学分割カラム
スミキラルOA6100(46mmφ×150mm、5μm)、住化分析センター社製
プレカラム:光学分割カラム
スミキラルQA6100(4mmφ×10mm、5μm)、住化分析センター社製
カラム温度:25℃
移動相 :2.5%メタノール含有1.5mM硫酸銅水溶液
移動相流量:1.0mL/分
検出器 :紫外線検出器(UV254nm)
注入量 :20μL
〔シクロデキストリンの平均粒径〕
シクロデキストリンの平均粒径とは、体積中位粒径(D50)のことであり、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所社製)を用いて測定する。測定条件は、粒径測定前に超音波で1分間処理し、測定時の分散媒体としてエタノールを用い、体積基準のメジアン径を温度25℃にて測定する。
〔結晶核剤の融点〕
融点は、DSC装置(パーキンエルマー社製、ダイアモンドDSC)を用い、昇温速度10℃/分で20℃から500℃まで昇温して測定を行う。
〔結晶核剤の粒径〕
結晶核剤の粒径とは、体積中位粒径(D50)のことであり、結晶核剤の濃度が0.5重量%となるようにエタノール(鹿1級、関東化学社製)を結晶核剤に添加し、超音波装置(装置名:1510J−MT、ヤマト科学社製)で5分間分散させた後、得られたエタノール溶液をセル(光路長10mm×幅10mm×高さ45mm、石英ガラス2面透明セル、三商社製)に下底からの高さ10mmまで入れ、ゼータサイザーNano−S(シスメックス社製、動的光散乱測定器)を用いて25℃で測定する。
〔結晶核剤の分子量〕
結晶核剤の分子量は、質量分析装置(SX102A、日本電子社製)を用いて、以下の条件により測定する。
・質量分析方法:FD−MS分析
・イオン化方法:電界脱離
・測定範囲:m/z=100〜3000
mは検出されるイオンの質量、zはイオンの電荷を示す。
・加速電圧:8kV
・イオンマルチ:1.2kV
・エミッター電流:0→30mA(25.6mA/分で上昇させる)
可塑剤の製造例1(コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル)
攪拌機、温度計、脱水管を備えた3Lフラスコに、無水コハク酸500g、トリエチレングリコールモノメチルエーテル2463g、パラトルエンスルホン酸一水和物9.5gを仕込み、空間部に窒素(500mL/分)を吹き込みながら、減圧下(4〜10.7kPa)、110℃で15時間反応させた。反応液の酸価は1.6(KOHmg/g)であった。反応液に吸着剤キョーワード500SH(協和化学工業社製)27gを添加して80℃、2.7kPaで45分間攪拌してろ過した後、液温115〜200℃、圧力0.03kPaでトリエチレングリコールモノメチルエーテルを留去し、80℃に冷却後、残液を減圧ろ過して、ろ液として、コハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル〔(MeEOSA〕を得た。得られたジエステルは、重量平均分子量410、粘度(23℃)27mPa・s、酸価0.2KOHmg/g、鹸化価274KOHmg/g、水酸基価1KOHmg/g以下、色相APHA200であった。
包接化合物の製造例1(β-CDとPPの包接化合物)
シクロデキストリンとしてβ-シクロデキストリン(β-CD)を、PP樹脂(日本ポリケム社製、融点170℃、重量平均分子量142000)を用いて、次のようにして包接化合物を作製した。具体的には、0.5gのPPを350mLの1,2,4−トリクロロベンゼン中に添加し、120℃に加熱することにより溶解させた。次いで、別途調製したβ-CDのジメチルスルホキシド溶液35mL(β-CDを10.0g含む)を前記溶液中に滴下した。滴下後、120℃で4時間攪拌した後、さらに室温で24時間攪拌した。この攪拌した液を吸引ろ過して白色固形物(ろ過物)を得た。前記ろ過物は、120℃の1,2,4-トリクロロベンゼン350mLで洗浄してさらに、室温のアセトン1000mLで洗浄後、40℃で24時間減圧下乾燥し、β-CDとPPとの包接化合物を得た。
包接化合物の製造例2(β-CDとPLAの包接化合物)
包接化合物の製造例1において、PPの代わりにPLA樹脂(ポリ乳酸樹脂、NW3001D)を使用する以外は、製造例1と同様にして調製した。
包接化合物の製造例3(γ-CDとPPの包接化合物)
包接化合物の製造例1において、β-CDの代わりにγ-シクロデキストリン(γ-CD)を使用する以外は、製造例1と同様にして調製した。
包接化合物の製造例4(γ-CDとPLAの包接化合物)
包接化合物の製造例3において、PPの代わりにPLA樹脂(ポリ乳酸樹脂、NW3001D)を使用する以外は、製造例3と同様にして調製した。
実施例1〜14及び比較例1〜9
表1、2又は3に示す原料を2軸押出機(池貝鉄工社製、PCM−45)にて、回転数100r/min、混練温度190℃で溶融混練し、ストランドカットを行い、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットは、70℃減圧下で1日乾燥し、水分量を500ppm以下とした。
なお、表1〜3における原料は以下の通りである。
(ポリ乳酸樹脂)
NW3001D:ポリ乳酸樹脂(ネイチャーワークスLLC社製、NatureWorks 3001D、光学純度98.5%、重量平均分子量120000)
(結晶核剤)
クロモファインブルー6335JC:銅フタロシアニン、大日精化工業社製、分子量576、平均粒径1221nm
フタロシアニン亜鉛:試薬、東京化成工業社製、分子量578、平均粒径1422nm、
エコプロモート:無置換のフェニルホスホン酸亜鉛塩、日産化学工業社製、分子量222、平均粒径1090nm
T-1287:デカメチレンジカルボニルジベンゾイルヒドラジド、アデカ社製、分子量439、平均粒径986nm
エヌジェスターTF-1:トリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、新日本理化社製、融点380〜390℃、分子量454、平均粒径1064nm
TLA-114:5-スルホイソフタル酸ジメチル二バリウム、竹本油脂社製、分子量684、平均粒径986nm
スリパックスE:エチレンビスステアリン酸アミド、日本化成社製、分子量593、平均粒径3290nm
β-CDとPPの包接化合物:前記包接化合物の製造例1で製造したβ-CDとPPとの包接化合物
β-CDとPLAの包接化合物:前記包接化合物の製造例2で製造したβ-CDとPLAの包接化合物
γ-CDとPPの包接化合物:前記包接化合物の製造例3で製造したγ-CDとPPの包接化合物
γ-CDとPLAの包接化合物:前記包接化合物の製造例4で製造したγ-CDとPLAの包接化合物
(シクロデキストリン)
α-シクロデキストリン:和光純薬社製、α-cyclodextrin97+%(HPLC)、平均粒径56μm
β-シクロデキストリン:和光純薬社製、β-cyclodextrin97+%(HPLC)、平均粒径60μm
γ-シクロデキストリン:和光純薬社製、γ-cyclodextrin97+%(HPLC)、平均粒径65μm
(可塑剤)
(MeEOSA:前記可塑剤の製造例1で製造したコハク酸とトリエチレングリコールモノメチルエーテルとのジエステル化合物
DAIFATTY−101:アジピン酸と、ジエチレングリコールモノメチルエーテル/ベンジルアルコール=1/1混合物とのジエステル、大八化学工業社製
(その他)
デンプン:和光純薬社製、Starch, Wheat
次に、得られたペレットを、シリンダー温度を200℃とした射出成形機(日本製鋼所製、J75E−D)を用いて射出成形し、80℃又は60℃の金型温度におけるテストピース〔平板(70mm×40mm×2mm)、角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)、及び角柱状試験片(63mm×12mm×5mm)〕を成形して、ポリ乳酸樹脂組成物の成形体を得た。なお、成形体を成形する際に、前記テストピースの離型に必要な金型保持時間を下記の基準で評価した。これらの結果を表1〜3に示す。
<結晶性の評価(結晶化速度):離型に必要な金型保持時間の評価基準>
表1〜3に示す金型温度において、テストピース3種類すべてについて変形がなく、取り出しが容易と判断されるまでに有する時間の3回の平均時間を、離型に必要な金型保持時間とした。金型保持時間が短いほど、金型内部及びランナー部分でテストピースの結晶化速度が速く、成形性に優れることを示す。なお、取り出しができないか、取出しができても変形が生じている場合は不可と判断する。
また、得られた成形体の物性を以下の試験例1の方法に従って調べた。結果を表1〜3に示す。
〔試験例1〕<耐熱性の評価:熱変形温度>
80℃の金型を用いて得られた角柱状試験片(125mm×12mm×6mm)について、JIS−K7191に基づいて、熱変形温度測定機(東洋精機製作所製、B−32)を使用して、荷重0.45MPaにおいて0.25mmたわむときの熱変形温度(℃)を測定した。この温度が高い方が耐熱性に優れていることを示す。
Figure 0005464597
Figure 0005464597
Figure 0005464597
表1〜3の結果から、本発明のポリ乳酸樹脂組成物(実施例1〜14)は、60℃の金型温度においても、短い金型保持時間で成形が可能であり、結晶化速度に優れることがわかる。一方、比較例のポリ乳酸樹脂組成物は、いずれも実施例と同じ金型保持時間内での成形が不可能であり、例えば、脂肪族化合物の結晶核剤とシクロデキストリンを配合した比較例8や、シクロデキストリンとポリプロピレンとの包接化合物を配合した比較例4、6、シクロデキストリンとポリ乳酸樹脂との包接化合物を配合した比較例5、7でも結晶化速度が遅いことから、シクロデキストリンと芳香環を有する結晶核剤とを配合することが結晶化速度の向上に寄与することが示唆される。
また、実施例のポリ乳酸樹脂組成物(実施例1〜14)は、いずれも高い熱変形温度を示し耐熱性に優れていることが分かる。なかでも、実施例1、9、10の比較より、結晶核剤の配合量が多い方が、より結晶性が高く耐熱性も高いことが分かる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、日用雑貨品、家電部品、家電部品用梱包資材、自動車部品等の様々な工業用途に好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. シクロデキストリンと、フタロシアニン化合物、フェニルホスホン酸金属塩、芳香環を有するカルボヒドラジド類、芳香族カルボン酸アミド、及び芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの芳香族化合物、ならびにポリ乳酸樹脂を含有してなる、ポリ乳酸樹脂組成物であって、前記シクロデキストリンの含有量がポリ乳酸樹脂100重量部に対して1〜30重量部、前記芳香族化合物の含有量がポリ乳酸樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部であり、かつ、そのモル比(前記芳香族化合物/シクロデキストリン)が0.02〜1.00である、ポリ乳酸樹脂組成物
  2. シクロデキストリンと、フタロシアニン化合物、フェニルホスホン酸金属塩、芳香環を有するカルボヒドラジド類、芳香族カルボン酸アミド、及び芳香族スルホン酸ジアルキルエステルの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一つの芳香族化合物と、ポリ乳酸樹脂を含む原料を溶融混練して得られる、ポリ乳酸樹脂組成物であって、前記シクロデキストリンの含有量がポリ乳酸樹脂100重量部に対して1〜30重量部、前記芳香族化合物の含有量がポリ乳酸樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部であり、かつ、そのモル比(前記芳香族化合物/シクロデキストリン)が0.02〜1.00である、ポリ乳酸樹脂組成物
  3. 請求項1又は2記載のポリ乳酸樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸樹脂成形体。
JP2010186901A 2010-08-24 2010-08-24 ポリ乳酸樹脂組成物 Expired - Fee Related JP5464597B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010186901A JP5464597B2 (ja) 2010-08-24 2010-08-24 ポリ乳酸樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010186901A JP5464597B2 (ja) 2010-08-24 2010-08-24 ポリ乳酸樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012046558A JP2012046558A (ja) 2012-03-08
JP5464597B2 true JP5464597B2 (ja) 2014-04-09

Family

ID=45901810

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010186901A Expired - Fee Related JP5464597B2 (ja) 2010-08-24 2010-08-24 ポリ乳酸樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5464597B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2881018A1 (en) * 2012-09-26 2014-04-03 Earth Renewable Technologies Extrudable composition derived from renewable resources
CN110016162B (zh) * 2019-05-08 2021-08-31 国家能源投资集团有限责任公司 聚乳酸包合物/聚甲醛及制备方法和应用
KR102301978B1 (ko) * 2019-08-29 2021-09-15 수원대학교산학협력단 사이클로덱스트린계 분지형 고분자 및 이를 포함하는 생분해성 수지 조성물
JP7466897B2 (ja) 2020-05-21 2024-04-15 国立大学法人大阪大学 高分子複合材料

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3844335B2 (ja) * 2001-10-01 2006-11-08 日本製紙株式会社 生分解性樹脂組成物を成形してなる成形品
JP2006083315A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Toyo Ink Mfg Co Ltd 乳酸系樹脂の結晶化促進方法及びその利用
WO2006115211A1 (ja) * 2005-04-25 2006-11-02 Kaneka Corporation シクロデキストリン含有ポリエステル系重合体及びその製造方法
JP2007314698A (ja) * 2006-05-26 2007-12-06 Kaneka Corp ヨウ素包接シクロデキストリン含有ポリエステル系重合体及びヨウ素包接化物の製造方法
JP2009208035A (ja) * 2008-03-06 2009-09-17 Eco Labo Kk 微細粒状体の製造方法
EP2345688B1 (en) * 2008-10-24 2013-03-27 Kao Corporation Process for producing resin composition

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012046558A (ja) 2012-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5290313B2 (ja) 樹脂組成物の製造方法
JP5794731B2 (ja) 樹脂組成物
KR101346751B1 (ko) 생분해성 수지조성물
JP4130695B2 (ja) 生分解性樹脂組成物
JP5107873B2 (ja) ポリ乳酸樹脂組成物
JP5654501B2 (ja) ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法
JP4871892B2 (ja) 生分解性樹脂組成物
JP5264314B2 (ja) ポリ乳酸樹脂組成物
JP4871891B2 (ja) 生分解性樹脂組成物
JP5398224B2 (ja) 樹脂組成物
WO2008075775A1 (ja) ポリ乳酸樹脂組成物およびポリ乳酸樹脂成形体の製造方法
JP2008174735A (ja) ポリ乳酸樹脂組成物
JP5464597B2 (ja) ポリ乳酸樹脂組成物
JP2010242068A (ja) 生分解性樹脂組成物の結晶化促進方法
JP5173747B2 (ja) ポリ乳酸組成物の製造方法
JP5874882B2 (ja) 早い結晶化速度を有するポリ乳酸−ポリアルキレングリコール共重合体及びこれを含む組成物
JP4297510B2 (ja) ポリ乳酸樹脂成形体の製造方法
US20160312003A1 (en) Succinate ester for use as plasticizer and biodegradable resins comprising this succinate ester
WO2014045717A1 (ja) ブロック共重合体の製造方法
JP5078174B2 (ja) ポリ乳酸樹脂用結晶核剤、ポリ乳酸樹脂組成物、ポリ乳酸樹脂用結晶核剤の調製方法及びポリ乳酸樹脂組成物の調製方法
US20130093119A1 (en) Processes for producing thermostable polyhydroxyalkanoate and products produced therefrom
JP5442275B2 (ja) ポリ乳酸樹脂組成物の製造方法
JP5305338B2 (ja) ペレットの製造方法
JP5273847B2 (ja) ポリ乳酸樹脂組成物
JP5525830B2 (ja) ポリ乳酸樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130611

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131023

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140115

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5464597

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees