JP5463858B2 - スターリングエンジン - Google Patents
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Description
かかるスターリングエンジンに関し、例えば特許文献1では、並べて配置された一対の気筒と、アーチ状に屈曲した形状を有し、当該一対の気筒同士を連通する熱交換器とを備えたスターリングエンジンが開示されている。
このほか本発明と関連性があると考えられる技術として、例えば特許文献2または3では、クランクシャフトのクランクピン位相を所定の位相に設定したエンジンが開示されている。
前記ヒータは、前記排気管の内部に配置されている構成であることが好ましい。
ヒータ41は高温熱源を構成する流体との間で熱交換を行い、作動流体を加熱する熱交換器となっている。ヒータ41は具体的には図示しない車両に搭載された内燃機関100の排気管110の内部に配置されている。作動流体は、高温熱源を構成する流体である排気ガスExから回収した熱エネルギーにより加熱され、加熱された作動流体は膨張空間に流入する。スターリングエンジン10Aでは、ヒータ41を挟んで一方の側に高温側気筒20それぞれを配置するとともに、他方の側に低温側気筒30それぞれを配置している。
冷却器42は冷却媒体との間で熱交換を行い、作動流体を冷却する熱交換器となっている。冷却器42は具体的には冷却水配管120に介在するように設けられており、各冷却器42に設けられた図示しない冷却水流路は互いに連通している。冷却水配管120には、内燃機関100の冷却水Wが冷却媒体として流通し、冷却器42で冷却された作動流体は圧縮空間に流入する。一方、受熱した冷却水Wの放熱はラジエータ130で行われる。
蓄熱器43は、膨張空間、圧縮空間の間を往復する作動流体との間で熱の授受を行う熱交換器となっている。蓄熱器43は具体的には、作動流体が膨張空間から圧縮空間へと流れる時には作動流体から熱を受け取り、作動流体が圧縮空間から膨張空間へと流れる時には蓄えられた熱を作動流体に放出する。
作動流体には空気が適用されている。但しこれに限られず、作動流体には例えばHe、H2、N2等の気体を適用することができる。
低温側クランクシャフト61Aは、低温側気筒30それぞれに対応させて設けられている。具体的には低温側クランクシャフト61Aは、各低温側コンロッド62を介して各圧縮ピストン31それぞれと連結されている。
スターリングエンジン10Aでは、高温側クランクシャフト51Aおよび低温側クランクシャフト61Aのクランクピン位相差に360°を等分して得られる値が設定されている。クランクピン位相差には、例えば各クランクシャフト51A、61Aそれぞれにつき、対応する気筒数(ここではそれぞれ2)で360°を割って得た値、またはその倍数を適用することができる。この点、クランクシャフト51A、61Aそれぞれに設定されているクランクピン位相差は、具体的にはともに180°となっている。
チェーン73は各クランクシャフト51A、61Aを同期回転させ、各クランクシャフト51A、61Aの位相差を一定(ここでは略90°)に保つ。
高温側クランクシャフト51Aは出力軸になっており、その他端部には発電ユニット80が接続されている。発電ユニット80によって発電された電力はレギュレータ81を介してバッテリ82に充電される。なお、発電ユニット80は例えば高温側クランクシャフト51Aの一端部に接続されてもよい。
図3に示すようにスターリングエンジン10Aは、車両床下に搭載し易いよう、全体として長円柱状の形状にコンパクトにまとめられている。スターリングエンジン10Aの筐体は本体の主要な部分を格納するクランクケース11と、スプロッケット71、72およびチェーン73を格納するチェーンケース12とで構成されている。スターリングエンジン10Aの側面からは、出力を取り出し可能なように高温側クランクシャフト51Aが突出している。スターリングエンジン10Aの側面には、このほか排気管接続端部13や冷却水配管接続端部14が設けられている。この点、排気管110の一部は、スターリングエンジン10Aの一部としてスターリングエンジン10Aに組み込まれたかたちとなっている。
図4に示すように、スターリングエンジン10Aは懸架用の支持構造体90をさらに備えている。支持構造体90はゴムマウント91と吊り下げ用ボルト92とを備えている。ゴムマウント91は円柱状の形状を有しており、捩じり剛性が低く、上下方向の剛性が高くなっている。吊り下げ用ボルト92は、ゴムマウント91に埋め込まれており、排気管110の中心軸線を間に挟むようにして対称に2本並べて配置されている。支持構造体90は、スターリングエンジン10Aの上面中央に設けられている。
図5および図6に示すように、ヒータ41は具体的には中空部材として、直線状に延伸したヒータパイプ411を複数備えている。作動流体は具体的には複数のヒータパイプ411内を流通するようになっている。これら複数のヒータパイプ411は一対の気筒それぞれの延伸方向に沿って延伸している。また、ヒータ41は複数のヒータパイプ411の延伸方向と、排気ガスExの流通方向とが直交するように配置されている。
スターリングエンジン10Aでは、作動流体を流通させるにあたり、ヒータ41が直線状に延伸した複数のヒータパイプ411を備えている。このためスターリングエンジン10Aでは、複数のヒータパイプ411の容積を略同一に設定することができる。すなわちスターリングエンジン10Aでは、各ヒータパイプ411の容積が異ならざるを得なくなるといった制約が特段なく、これにより、熱効率の向上が構造的に制限されるといったことが回避される。
またスターリングエンジン10Aでは、複数のヒータパイプ411が直線状に延伸しており、さらに複数のヒータパイプ411の延伸方向と、排気ガスExの流通方向とが直交するようにヒータ41が配置されている。このためスターリングエンジン10Aでは、ヒータ41に対する排気ガスExの当たりを延伸方向に沿ってより均一にすることができる。
そしてこれらにより、スターリングエンジン10Aでは、各ヒータパイプ411間で熱交換にばらつきが生じることを抑制できる。このためスターリングエンジン10Aでは、構造的な観点から高い熱効率の実現を可能にすることができる。
一方、スターリングエンジン10Aには、クランクシャフト51A、61Aの不釣合い力によってもモーメントが残存する。これに対してスターリングエンジン10Aでは、上面中央に支持構造体90を設けることで、ローリングについては排気管110を中心とした慣性主軸支持によって、ヨーイングについてはスターリングエンジン10A中心からの弾性支持によって、スターリングエンジン10Aを適切に支持することができる。
例えば上述した実施例では、一対の気筒を2つ備えているスターリングエンジン10Aの場合について説明した。しかしながら本発明においてはこれに限られず、スターリングエンジンは一対の気筒を複数備えていればよい。
具体的には例えば図7に示すスターリングエンジン10Bは、高温側気筒20および低温側気筒30をそれぞれ3つずつ備えている。そして、スターリングエンジン10Bは一対の気筒を3つ備えている点と、これに応じるかたちでクランクシャフト51A、61Aの代わりに、高温側クランクシャフト51Bおよび低温側クランクシャフト61Bを備えている以外、スターリングエンジン10Aと実質的に同一のものとなっている。
かかるスターリングエンジン10Bでも、スターリングエンジン10Aと同様の作用効果を奏することができる。この点、気筒数が多くなるほど、気筒の密集によるコンパクト化の効果は大きく発揮されることから、本発明は一対の気筒を3つ以上備えることで、より大型化し易くなる場合により効果的であるといえる。
具体的には例えば一対の気筒が3つの場合(スターリングエンジンが片側3気筒の6気筒の場合)には、図8に示すようにクランクピン位相差を120°に設定することができる。この場合には全体的な回転振動のバランスが非常に良くなることから、発生する振動を極めて小さな振動にすることができる。
また具体的には例えば一対の気筒が4つの場合(スターリングエンジンが片側4気筒の8気筒の場合)には、クランクピン位相差を図9(a)に示すように180°、或いは図9(b)に示すように90°に設定することができる。
この点、180°に設定した場合にはモーメントが発生しないので、カウンタウェイトを小さくすることができる。またピン配列が平面的なので鍛造も容易となり、この結果、コストも低く抑制することができる。但しこの場合には、回転2次モーメントの不釣合い力が若干残ることになる。
一方、90°に設定した場合には、モーメントを打ち消すためにより大きなカウンタウェイトが必要となるが、回転2次モーメントの不釣合い力を無くすことができる。
また上述した実施例では、スターリングエンジン10Aの出力を電気的に回収する場合について説明した。しかしながら本発明においては必ずしもこれに限られず、スターリングエンジンの出力は例えば内燃機関の出力と合成するかたちで回収されてもよい。
20 高温側気筒
21 膨張ピストン
22 高温側シリンダ
30 低温側気筒
31 圧縮ピストン
32 低温側シリンダ
41 ヒータ
411 ヒータパイプ
42 冷却器
43 蓄熱器
51 高温側クランクシャフト
61 低温側クランクシャフト
73 チェーン
80 発電ユニット
90 支持構造体
100 内燃機関
110 排気管
120 冷却水配管
Claims (5)
- 作動流体を往復流動させる少なくとも一対の気筒と、
前記一対の気筒間を往復流動する作動流体を流通させるとともに、高温熱源を構成する流体である内燃機関の排気ガスとの間で熱交換を行う熱交換器であるヒータと、を備え、
作動流体を流通させるにあたり、前記ヒータが直線状に延伸した中空部材であるヒータパイプを複数備え、
複数の前記ヒータパイプの延伸方向と前記排気ガスの流通方向とが直交するように、前記ヒータを配置したスターリングエンジン。 - 請求項1記載のスターリングエンジンであって、
前記一対の気筒を対向配置するとともに、複数の前記ヒータパイプを前記一対の気筒の延伸方向に沿って直線状に延伸させたスターリングエンジン。 - 請求項1または2記載のスターリングエンジンであって、
前記内燃機関は前記排気ガスが通過する排気管を備え、
前記ヒータは、前記排気管の内部に配置されているスターリングエンジン。 - 請求項1から3いずれか1項記載のスターリングエンジンであって、
前記一対の気筒が、低温側気筒と、該低温側気筒よりも温度が高温になる高温側気筒であり、
前記一対の気筒を複数備える場合に、前記ヒータを挟んで一方の側に前記低温側気筒それぞれを配置するとともに、他方の側に前記高温側気筒それぞれを配置したスターリングエンジン。 - 請求項4記載のスターリングエンジンであって、
前記低温側気筒それぞれに対応させて設けられた低温側クランクシャフトと、
前記高温側気筒それぞれに対応させて設けられた高温側クランクシャフトとをさらに備え、
前記低温側クランクシャフトおよび前記高温側クランクシャフトそれぞれのクランクピン位相差を、360°を等分して得られる値に設定したスターリングエンジン。
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