JP2009299568A - 排熱回収システム - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の排熱回収機関を用いて排熱を回収する場合に、それぞれの排熱回収機関が発生する動力のばらつきを抑制すること。
【解決手段】排熱回収システム10は、内燃機関20が排出する排ガスExの熱エネルギーを、スターリングエンジン100A、100Bで回収する。バンク22B1に設けられるスターリングエンジン100Aの高温側シリンダ101は#1と#2とで示す内燃機関シリンダ22の間に配置され、低温側シリンダ102は#2と#3とで示す内燃機関シリンダ22の間に配置される。また、バンク22B2に設けられるスターリングエンジン100Bの高温側シリンダ101は#4と#5とで示す内燃機関シリンダ22の間に配置され、低温側シリンダ102は#5と#6とで示す内燃機関シリンダ22の間に配置される。
【選択図】 図4
【解決手段】排熱回収システム10は、内燃機関20が排出する排ガスExの熱エネルギーを、スターリングエンジン100A、100Bで回収する。バンク22B1に設けられるスターリングエンジン100Aの高温側シリンダ101は#1と#2とで示す内燃機関シリンダ22の間に配置され、低温側シリンダ102は#2と#3とで示す内燃機関シリンダ22の間に配置される。また、バンク22B2に設けられるスターリングエンジン100Bの高温側シリンダ101は#4と#5とで示す内燃機関シリンダ22の間に配置され、低温側シリンダ102は#5と#6とで示す内燃機関シリンダ22の間に配置される。
【選択図】 図4
Description
本発明は、内燃機関の排熱を回収する排熱回収システムに関する。
熱機関を用いることにより、乗用車やバス、トラック等の車両に搭載される内燃機関の排熱を回収する排熱回収装置がある。このような用途に用いられる排熱回収装置としては、例えば、理論熱効率に優れたスターリングエンジンがある。特許文献1には、熱機関と、熱機関が排出する排ガスの熱エネルギーを回収する排熱回収機関とを同一の構造体で構成し、また、熱機関の排気マニホールド内に排熱回収機関のヒータを配置した排熱回収装置が開示されている。
特許文献1に開示された排熱回収装置は、排熱回収機関の出力低下を抑制することや排熱回収機関を車両に搭載する際の自由度を向上させることについて効果がある。ところで、複数の排熱回収機関を用いて内燃機関の排熱を回収する場合、それぞれの排熱回収機関が回収する排熱の温度環境が異なると、それぞれの排熱回収機関の発生する動力にばらつきが発生するおそれがある。その結果、複数の排熱回収機関の発生する動力を合成して取り出す場合には、それぞれの排熱回収機関が発生する動力のばらつきを吸収する機構が必要になる。本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の排熱回収機関を用いて排熱を回収する場合に、それぞれの排熱回収機関が発生する動力のばらつきを抑制することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明に係る排熱回収システムは、直列に配置される複数の内燃機関シリンダで構成される内燃機関シリンダ群、及びそれぞれの前記内燃機関シリンダの内部に配置される内燃機関ピストン、及び前記内燃機関ピストンの往復運動を回転運動に変換する内燃機関クランクシャフトを有し、前記内燃機関シリンダ群を一対備える内燃機関と、ヒータと再生器とクーラーとを含んで構成される熱交換器、及び前記ヒータとの間で作動流体が流出入する高温側シリンダ、及び前記クーラーとの間で作動流体が流出入する低温側シリンダ、及び前記高温側シリンダ内を往復運動する高温側ピストン、及び前記低温側シリンダ内を往復運動する低温側ピストン、及び高温側ピストンの往復運動と前記低温側ピストンの往復運動とを回転運動に変換する排熱回収機関クランクシャフトを有し、前記ヒータは前記内燃機関から排出される排ガスで加熱される排熱回収機関と、を含み、それぞれの前記内燃機関シリンダ群に対して少なくとも1台ずつ前記排熱回収機関を設けるとともに、一対の前記内燃機関シリンダ群の間において、前記高温側シリンダ同士及び前記低温側シリンダ同士が前記内燃機関クランクシャフトの回転軸に対して対称性を有して配置されることを特徴とする。
本発明の望ましい態様としては、前記排熱回収システムにおいて、それぞれの前記排熱回収機関クランクシャフトの回転軸は、前記内燃機関クランクシャフトの回転軸と平行に配置されることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記排熱回収システムにおいて、それぞれの前記内燃機関シリンダ群において、前記高温側シリンダ及び前記低温側シリンダは、前記排熱回収機関クランクシャフトの回転軸と平行な方向における位置が、内燃機関シリンダに対してずらされて配置されることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記排熱回収システムにおいて、それぞれの前記内燃機関シリンダ群において、前記高温側シリンダは、前記内燃機関シリンダの配列方向における前記内燃機関シリンダ群の中央部に配置されることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記排熱回収システムにおいて、それぞれの前記内燃機関シリンダ群に前記排熱回収機関が複数設けられ、それぞれの前記内燃機関シリンダ群において、一対の前記排熱回収機関は、それぞれの前記排熱回収機関の前記高温側シリンダ同士を対向して配置することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記排熱回収システムにおいて、対向して配置される一対の前記高温側シリンダは、前記内燃機関シリンダの配列方向における前記内燃機関シリンダ群の中央部に配置されることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記排熱回収システムにおいて、前記内燃機関は車両に搭載されて前記車両の動力発生源となり、また、前記排熱回収機関は、前記内燃機関とともに前記車両に搭載されて前記車両の動力発生源となるスターリングエンジンであることが好ましい。
本発明は、複数の排熱回収機関を用いて排熱を回収する場合に、それぞれの排熱回収機関が発生する動力のばらつきを抑制できる。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。なお、以下の説明では、排熱回収機関としてスターリングエンジンを用い、熱機関である内燃機関の排熱を回収する場合を例とする。排熱回収機関としては、スターリングエンジンの他、ブレイトンサイクルを利用した排熱回収機関等を用いてもよい。
本実施例は、シリンダ内でピストンが往復運動するとともに、複数のシリンダがV型に配置されたいわゆるV型の内燃機関を排熱回収対象とし、同じくシリンダ内でピストンが往復運動する排熱回収機関で内燃機関から排出される排ガスの熱エネルギーを回収するものであり、内燃機関のそれぞれのバンクに排熱回収機関を設けるとともに、それぞれのバンク間においては排熱回収機関の高温側シリンダ同士及び低温側シリンダ同士が内燃機関クランクシャフトの回転軸に対して対称性を有するように配列される点に特徴がある。まず、本実施例に係る排熱回収システムを構成する排熱回収機関であるスターリングエンジンの構成を説明する。
図1は、実施例1に係るスターリングエンジンを示す断面図である。図2は、実施例1に係るスターリングエンジンが備える気体軸受の構成例、及びピストンの支持に用いる近似直線機構の構成例を示す断面図である。スターリングエンジン100は、いわゆる外燃機関であり、内燃機関等から排出される排ガス等の熱エネルギーを運動エネルギーに変換し、クランクシャフト(以下排熱回収機関クランクシャフトという)110の回転運動として取り出すものである。すなわち、排熱回収機関クランクシャフト110は、スターリングエンジン100の出力軸となる。なお、排熱回収機関クランクシャフト110は、回転軸(排熱回収機関回転軸)Zsを中心として回転する。
本実施例において、スターリングエンジン100は、外燃機関であり、α型の直列2気筒スターリングエンジンである。そして、第1シリンダである高温側シリンダ101の内部に収められた第1ピストンである高温側ピストン103と、第2シリンダである低温側シリンダ102の内部に収められた第2ピストンである低温側ピストン104とが一列に並んで、すなわち、直列に配置されている。ここで、高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102が排熱回収機関シリンダ(排熱回収機関であるスターリングエンジン100のシリンダ)であり、高温側ピストン103及び低温側ピストン104が排熱回収機関ピストン(排熱回収機関であるスターリングエンジン100のピストン)である。このように、スターリングエンジン100は、レシプロ式の機関である。
高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とは、基準体である基板111に、直接、又は間接的に支持されるとともに固定されている。本実施例に係るスターリングエンジン100においては、この基板111が、スターリングエンジン100の各構成要素の位置基準となる。このように構成することで、前記各構成要素の相対的な位置精度を確保できる。
後述するように、本実施例に係るスターリングエンジン100は、高温側シリンダ101と高温側ピストン103との間、及び低温側シリンダ102と低温側ピストン104との間に気体軸受GBを介在させる。基準体である基板111に、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とを直接又は間接的に取り付けることにより、ピストンとシリンダとのクリアランスを精度よく保持できるので、気体軸受GBの機能を十分に発揮させることができる。さらに、スターリングエンジン100の組み立ても容易になる。
高温側シリンダ101と低温側シリンダ102との間には、略U字形状のヒータ(加熱器)105と再生器106とクーラー107とで構成される熱交換器108が配置される。このように、ヒータ105を略U字形状にすることによって、内燃機関の排ガス通路内のような比較的狭い空間にも、ヒータ105を容易に配置することができる。また、このスターリングエンジン100のように、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とを直列に配置することにより、内燃機関の排ガス通路5のような筒状の空間にもヒータ105を比較的容易に配置することができる。熱交換器108の構成要素のうち、少なくともヒータ105が、後述する排熱回収対象である内燃機関の排気マニホールド28内に配置される。
ヒータ105の一方の端部は高温側シリンダ101と接続され、他方の端部は再生器106と接続される。再生器106は、一方の端部がヒータ105と接続され、他方の端部はクーラー107と接続される。クーラー107の一方の端部は再生器106と接続され、他方の端部は低温側シリンダ102と接続される。高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102及び熱交換器108内には作動流体(本実施例では空気)が封入されており、高温側シリンダ101とヒータ105との間、及びヒータ105と再生器106との間、及び再生器106とクーラー107との間、及びクーラー107と低温側シリンダ102との間で前記作動流体が流出入する。
このような構成により、ヒータ105から作動流体へ供給される熱、及びクーラー107で作動流体から排出される熱によってスターリングサイクルが構成される。これによって、スターリングエンジン100が動力を発生する。スターリングエンジン100が発生した動力は、排熱回収機関クランクシャフト110から取り出される。ここで、高温側シリンダ101の内部であって作動流体が存在する空間を高温側作動空間MSH、低温側シリンダ102の内部であって作動流体が存在する空間を低温側作動空間MSLという。両者を区別しない場合には、単に作動空間MSという。作動空間MSは、内部の作動流体が膨張し又は圧縮される空間である。
ここで、ヒータ105、クーラー107は、例えば、熱伝導率が高く耐熱性に優れた材料(例えば銅や銅合金)のチューブを複数束ねた構成とすることができる。また、再生器106は、多孔質の蓄熱体で構成することができる。なお、ヒータ105、クーラー107及び再生器106の構成は、この例に限られるものではなく、熱源の熱条件やスターリングエンジン100の仕様等によって、好適な構成を選択することができる。
高温側ピストン103及び低温側ピストン104は、高温側シリンダ101と低温側シリンダ102内に気体軸受GBを介して支持されている。すなわち、潤滑油を用いないで、ピストンをシリンダ内で往復運動させる構造である。これによって、ピストンとシリンダとの摩擦を低減して、スターリングエンジン100の熱効率を向上させることができる。また、ピストンとシリンダとの摩擦を低減することにより、例えば、内燃機関の排ガスから熱エネルギーを回収する場合のように、低熱源、低温度差の運転条件下において排熱回収を行う場合でも、スターリングエンジン100を運転して熱エネルギーを回収できる。
気体軸受GBを構成するため、図2に示す、高温側ピストン103と高温側シリンダ101とのクリアランスtcは、高温側ピストン103及びの高温側シリンダ101の全周にわたって十数μm〜数十μmとする。なお、低温側ピストン104及び低温側シリンダ102も同様の構成である。高温側シリンダ101と高温側ピストン103と低温側シリンダ102と低温側ピストン104とは、例えば、加工の容易な金属材料を用いて構成することができる。
本実施例においては、高温側ピストン103及び低温側ピストン104の側壁に設けた給気口HEから気体(本実施例では作動流体と同じ空気)aを吹き出して、気体軸受GBを形成する。図1、図2に示すように、高温側ピストン103及び低温側ピストン104の内部には、それぞれ高温側ピストン内空間103IR及び低温側ピストン内空間104IRが形成される。
高温側ピストン103には、高温側ピストン内空間103IRへ気体aを供給するための気体導入口HIが設けられており、低温側ピストン104には、低温側ピストン内空間104IRへ気体aを供給するための気体導入口HIが設けられている。それぞれの気体導入口HIには、気体供給管118が接続されている。気体供給管118の一端は、気体軸受用ポンプ117に接続されており、気体軸受用ポンプ117から吐出される気体aを高温側ピストン内空間103IR及び低温側ピストン内空間104IRへ導く。
高温側ピストン内空間103IR及び低温側ピストン内空間104IRへ導入された気体aは、高温側ピストン103及び低温側ピストン104の側壁に設けた給気口HEから流出して、気体軸受GBを形成する。なお、この気体軸受GBは、静圧気体軸受である。また、高温側ピストン103及び低温側ピストン104の頂部に気体取り込み孔を設けて、この気体取り込み孔から高温側ピストン内空間103IR及び低温側ピストン内空間104IRへ作動流体である気体aを取り込み、給気口HEから流出させて気体軸受GBを構成してもよい。なお、本実施例の気体軸受GBは静圧気体軸受であるが、動圧気体軸受を用いてもよい。
高温側ピストン103、低温側ピストン104の往復運動は、コネクティングロッド109によって出力軸である排熱回収機関クランクシャフト110に伝達され、ここで回転運動に変換される。なお、コネクティングロッド109は、図2に示す近似直線機構(例えばグラスホッパ機構)119によって支持してもよい。このようにすれば、高温側ピストン103及び低温側ピストン104を略直線状に往復運動させることができる。
このように、コネクティングロッド109を近似直線機構119によって支持すれば、高温側ピストン103のサイドフォースFS(ピストンの径方向に向かう力)がほとんど0になるので、負荷能力の小さい気体軸受GBによっても十分に高温側ピストン103、低温側ピストン104を支持することができる。本実施例では、近似直線機構119によってサイドフォースFSの大部分を支持し、低温側ピストン104等の往復運動が近似直線運動から外れる際に発生する分のサイドフォースFSを気体軸受GBによって支持する。
図1に示すように、スターリングエンジン100を構成する高温側シリンダ101、高温側ピストン103、コネクティングロッド109、排熱回収機関クランクシャフト110等の各構成要素は、排熱回収機関筐体114に格納される。ここで、スターリングエンジン100の排熱回収機関筐体114は、排熱回収機関クランクケース114Aと、排熱回収機関シリンダブロック114Bとを含んで構成されている。排熱回収機関筐体114内は、筐体内加圧手段である加圧用ポンプ115により加圧される。このように、加圧用ポンプ115で排熱回収機関筐体114内を加圧して、高温側作動空間MSH、低温側作動空間MSL、及び熱交換器108内の作動流体を加圧することにより、作動流体が熱エネルギーを取り込むときにおける作動流体の容量を大きくする。これによって、スターリングエンジン100の出力軸である排熱回収機関クランクシャフト110から、より多くの出力を取り出すことができる。
スターリングエンジン100が規定の出力を発生する場合、排熱回収機関筐体114の内部は、例えば規定の圧力(例えば1MPa程度)に加圧されている。このため、排熱回収機関クランクシャフト110と排熱回収機関筐体114との間の気密を保持するように構成して、排熱回収機関クランクシャフト110の回転運動を排熱回収機関筐体114の外部へ取り出す必要がある。
本実施例では、図1に示すように、排熱回収機関クランクシャフト110の回転を非接触で従動軸(磁気カップリング従動軸)2へ伝達する磁気カップリング9を介して、排熱回収機関クランクシャフト110の出力を排熱回収機関筐体114の外部へ取り出す。すなわち、スターリングエンジン100の出力は、磁気カップリング9が備える従動軸2から取り出される。
このように、従動軸2は、スターリングエンジン100の出力軸となる。なお、磁気カップリング9の代わりに、排熱回収機関クランクシャフト110と排熱回収機関筐体114を構成する排熱回収機関クランクケース114Aとの間にシール軸受を設けて、排熱回収機関クランクシャフト110と排熱回収機関筐体114との間の気密を保持するようにしてもよい。
ここで、図1に示すように、排熱回収機関クランクシャフト110のトルクを変化させて出力する変換手段である増速装置3を設け、排熱回収機関クランクシャフト110の回転速度を増速してから磁気カップリング9へ入力してもよい。これによって、排熱回収機関クランクシャフト110のトルクを低下させることができるので、磁気カップリング9のトルク伝達容量を抑えることができる。また、スターリングエンジン100を起動する際には、電動機のような起動手段の出力を従動軸2へ入力して排熱回収機関クランクシャフト110を回転させるが、この場合には増速装置3が減速装置として機能する。これによって、従動軸2への入力トルク(すなわち起動トルク)を小さくできるので、磁気カップリング9のトルク伝達容量を抑えることができる。次に、本実施例に係る排熱回収システムを説明する。
図3は、実施例1に係る排熱回収システムの構成を示す正面図である。図4は、実施例1に係る排熱回収システムのシリンダ配置を示す模式図である。図5、図6は、実施例1に係る排熱回収システムの他のシリンダ配置を示す模式図である。排熱回収システム10は、例えば、乗用車やバス、トラック等の車両に搭載されて、前記車両の動力発生源となる。すなわち、排熱回収システム10を構成する内燃機関20は前記車両に搭載されて前記車両の動力発生源となり、また、排熱回収機関であるスターリングエンジン100A、100Bは、内燃機関20とともに前記車両に搭載されて前記車両の動力発生源となる。なお、スターリングエンジン100A、100Bを、前記車両に搭載されて前記車両が備える発電機等の補機の動力源としてもよい。
排熱回収システム10は、2台のスターリングエンジン100A、100Bと、排熱回収対象である熱機関である内燃機関20とを合体させ、一体として構成される。これによって、本実施例に係る排熱回収システム10では、スターリングエンジン100A、100Bと、内燃機関20とが同一の構造体として取り扱われる。
内燃機関20は、レシプロ式の内燃機関であり、複数(図4に示す例では3個、図5に示す例では4個、図6に示す例では5個)のシリンダ(以下、内燃機関シリンダという)22が一列に、すなわち一方向に並んで配置された内燃機関シリンダ群(以下、必要に応じてバンクという)22B1、22B2を一対有する。そして、図3に示すように、内燃機関20のクランクシャフト(以下、内燃機関クランクシャフトという)25の回転軸(内燃機関回転軸)Zeの方向から見た場合に、一対のバンク22B1、22B2がV字形に組み合わされて、内燃機関20が構成される。すなわち、一対のバンク22B1、22B2間において、内燃機関シリンダ22のシリンダ中心軸Zc_eが0度よりも大きい角度で交差する。
一対のバンク22B1、22B2のなす角度が180度未満である場合、内燃機関20は、いわゆるV型の内燃機関である。また、一対のバンク22B1、22B2のなす角度が180度である場合、内燃機関20は、いわゆる水平対向型の内燃機関である。さらに、本実施例において、内燃機関20は、それぞれのバンク22B1、22B2が一対のバンクで構成されていてもよい。例えば、内燃機関20は、それぞれのバンク22B1、22B2が、狭角(例えば10度〜20度)のV型に構成される、いわゆるW型の内燃機関であってもよい。
内燃機関シリンダ22の内部にはピストン(以下、内燃機関ピストンという)21が配置されており、内燃機関シリンダ22の内部を往復運動する。なお、内燃機関20は、火花点火式であってもディーゼル式であってもよく、点火形式は問わない。また、内燃機関シリンダ22の個数も問わない。内燃機関シリンダ22は、内燃機関20の内燃機関シリンダブロック26内に配置される。内燃機関シリンダ22と、シリンダヘッド23と、内燃機関ピストン21の頂面とで囲まれて形成される空間が、内燃機関20へ供給される燃料が空気中の酸素と反応して燃焼する燃焼空間20Bとなる。
内燃機関ピストン21は、燃焼空間20B内で燃料が空気中の酸素と反応して燃焼することによって内燃機関シリンダ22内を往復運動する。内燃機関ピストン21の往復運動は、コネクティングロッド24を介して内燃機関クランクシャフト25に伝達され、回転運動に変換される。内燃機関シリンダ22は内燃機関シリンダブロック26内に設けられる。また、内燃機関クランクシャフト25は内燃機関クランクケース27内に配置される。内燃機関20の内燃機関筐体20Cは、内燃機関シリンダブロック26と内燃機関クランクケース27とを含んで構成される。
内燃機関20の排気口23e及び排気マニホールド28は排熱回収システム10の幅方向(内燃機関回転軸Zeと直交する方向であり、図3の矢印W方向)外側に設けられるので、排熱回収機関であるスターリングエンジン100も、排熱回収システム10の幅方向外側に設けられる。後述するように、本実施例では、排熱回収機関クランクシャフト110と内燃機関クランクシャフト25とが平行に配置されるので、2台の排熱回収システム10をV型に配置した場合においても、排熱回収システム10の幅方向における寸法の増加を抑制できる。
排熱回収システム10は、排熱回収対象である内燃機関20のそれぞれのバンク22B1、22B2にそれぞれ1台のスターリングエンジン100A、100Bを設ける。すなわち、バンク22B1にスターリングエンジン100Aを設け、バンク22B2はスターリングエンジン100Bを設ける。そして、それぞれのバンク22B1、22B2から排出される排ガスExの熱エネルギーをそれぞれのスターリングエンジン100A、100Bで回収する。なお、スターリングエンジン100A、100Bは、いずれも図1に示したスターリングエンジン100と同様の構成であり、符号100の後に付したA、Bは、2台のスターリングエンジン100A、100Bが設けられる場所を区別するために便宜上付したものである。
図4に示すように、排熱回収システム10は、それぞれの内燃機関シリンダ群に対して少なくとも1台ずつ排熱回収機関を設けるとともに、一対の内燃機関シリンダ群の間において、排熱回収機関を構成する高温側シリンダ同士及び低温側シリンダ同士が内燃機関回転軸Zeに対して対称性を有して配置される。本実施例において、排熱回収システム10は、それぞれのバンク22B1、22B2に対してそれぞれ1台のスターリングエンジン(排熱回収機関)100A、100Bを設け、一対のバンク22B1、22B2の間においては、スターリングエンジン100A、100Bを構成する高温側シリンダ101同士及び低温側シリンダ102同士が、内燃機関回転軸Zeに対して対称性を有して配置される。
これによって、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の配列順序が、それぞれのバンク22B1、22B2の間で同一となるとともに、それぞれのバンク22B1、22B2においては、それぞれのバンク22B1、22B2を構成するそれぞれの内燃機関シリンダ22に対する高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置関係が同一になる。図4に示す例では、バンク22B1は#1、#2、#3で示される内燃機関シリンダ22で構成され、バンク22B2は#4、#5、#6で示される内燃機関シリンダ22で構成される。以下において、#1、#2等の表記は、内燃機関シリンダ22を表すものとしても用いる。
それぞれのバンク22B1、22B2において、バンク22B1の#1に対応する内燃機関シリンダ22はバンク22B2の#4であり、バンク22B1の#2に対応する内燃機関シリンダ22はバンク22B2の#5であり、バンク22B1の#3に対応する内燃機関シリンダ22はバンク22B2の#6である。バンク22B1に設けられるスターリングエンジン100Aの高温側シリンダ101は#1と#2との間に配置され、低温側シリンダ102は#2と#3との間に配置される。また、バンク22B2に設けられるスターリングエンジン100Bの高温側シリンダ101は#4と#5との間に配置され、低温側シリンダ102は#5と#6との間に配置される。
このように、本実施例では、一対のバンク22B1、22B2において、バンク22B1を構成するそれぞれの内燃機関シリンダ22(#1、#2、#3)に対する高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置関係は、バンク22B2を構成するそれぞれの内燃機関シリンダ22(#4、#5、#6)に対する高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置関係と同一になる。したがって、バンク22B1に設けられるスターリングエンジン100Aの高温側シリンダ101が#1と#2との間に配置され、低温側シリンダ102は#2と#3との間に配置されるが、バンク22B2に設けられるスターリングエンジン100Bの高温側シリンダ101が#5と#6との間に配置され、低温側シリンダ102が#6の外側に配置される場合、前記位置関係は同一にならない。
ここで、内燃機関20は、1本の内燃機関クランクシャフト25で、それぞれのバンク22B1、22B2を構成する内燃機関シリンダ22内を往復運動する内燃機関ピストン21の往復運動を回転運動に変換する。したがって、それぞれのバンク22B1、22B2間において、内燃機関シリンダ22同士は、内燃機関回転軸Zeと平行な方向に対してずれて配置される。例えば、バンク22B1の#1で示される内燃機関シリンダ22とバンク22B2の#4で示される内燃機関シリンダ22とは、内燃機関回転軸Zeと平行な方向に対してΔLだけずれて配置される。
仮にΔL=0であるとすると、それぞれのバンク22B1、22B2間における内燃機関シリンダ22のずれはなくなる。この場合、一対のバンク22B1、22B2の間においては、スターリングエンジン100A、100Bを構成する高温側シリンダ101同士及び低温側シリンダ102同士が、内燃機関回転軸Zeに対して対称(内燃機関回転軸Zeを直線とした場合の線対称)に配置される。
実際はΔL≠0なので、一対のバンク22B1、22B2間において、高温側シリンダ101同士及び低温側シリンダ102同士の関係は内燃機関回転軸Zeに対して対称にはならない。しかし、上述したように、ΔL=0である場合には高温側シリンダ101同士及び低温側シリンダ102同士の関係は対称(内燃機関回転軸Zeを直線とした場合の線対称)になる。上記した「対称性を有して配置される」とは、一対のバンク22B1、22B2間において内燃機関回転軸Zeと平行な方向の内燃機関シリンダ22のずれΔLが0であると仮定した場合に、それぞれのバンク22B1、22B2において、排熱回収機関(スターリングエンジン100A、100B)同士、及びそれぞれの排熱回収機関の高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102同士が、内燃機関回転軸Zeに対して対称に配置されるということである。
スターリングエンジン100A、100Bは、内燃機関20のそれぞれのバンク22B1、22B2が備える排気マニホールド28内にヒータ105が配置されて、それぞれの排気マニホールド28内の排ガスExが有する熱エネルギーを回収する。本実施例のように、内燃機関20を構成するそれぞれのバンク22B1、22B2の間において、それぞれのバンク22B1、22B2に設けられるスターリングエンジン100A、100Bの高温側シリンダ101同士及び低温側シリンダ102同士が対称性を有して配置されることにより、それぞれのバンク22B1、22B2の間で、一対のバンク22B1、22B2間におけるそれぞれの高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の温度環境を揃えることができる。
これによって、それぞれのスターリングエンジン100A、100Bの動力差を極めて小さくできる。その結果、後述するように、複数のスターリングエンジン100A、100Bの動力を合成する場合は、それぞれのスターリングエンジン100A、100Bの動力差を吸収する機構が不要、あるいは前記機構を簡易な構成とすることができる。
また、一対のバンク22B1、22B2間におけるそれぞれの高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の温度環境を揃えることにより、バンク22B1、22B2に対してスターリングエンジン100A、100Bを専用に設計する必要はない。これによって、排熱回収システム10の製造コストを低減できる。
図4に示すように、それぞれのバンク22B1、22B2において、スターリングエンジン100の高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102は、排熱回収機関クランクシャフト110の回転軸、すなわち排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における位置が、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における内燃機関シリンダ22の位置に対してずらされて配置される。これによって、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における排熱回収機関シリンダ、すなわち高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置が、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における内燃機関シリンダ22の位置と重ならないように構成されることになる。
後述するように、排熱回収システム10は、排熱回収機関回転軸Zsと内燃機関回転軸Zeとが平行に配置される。したがって、排熱回収システム10において、排熱回収機関回転軸Zs及び排熱回収機関シリンダのシリンダ中心軸Zc_sに直交する直線は、内燃機関回転軸Ze及び内燃機関シリンダ22のシリンダ中心軸Zc_eに直交する直線と平行になり、両者は交差しない。このため、排熱回収機関回転軸Zs及び排熱回収機関シリンダのシリンダ中心軸Zc_sに直交する方向から排熱回収システム10を見た場合、内燃機関シリンダ22同士の間にスターリングエンジン100の高温側シリンダ101と低温側シリンダ102とのうち少なくとも一方(図4に示す例では両方)が配置される。
このように、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置を、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における内燃機関シリンダ22の位置に対してずらして配置することにより、燃焼空間20Bを有する内燃機関シリンダ22とスターリングエンジン100のヒータ105とを近接させて配置できるので、燃焼空間20Bから排出された直後の最も温度が高い排ガスExの温度低下を最小限に抑制した状態でヒータ105へ供給できる。その結果、スターリングエンジン100の熱効率が向上するので、排熱回収システム10は、内燃機関20から排出される排ガスExの熱エネルギーの回収効率を向上させることができる。
また、上記構成により、隣接する内燃機関シリンダ22同士の間に、高温側シリンダ101や低温側シリンダ102を配置できる。したがって、両者の位置をずらさない場合と比較して、内燃機関20とスターリングエンジン100とをより近接させて配置できる。その結果、排熱回収システム10の幅方向における寸法の増加を効果的に抑制できるので、内燃機関20とスターリングエンジン100とをよりコンパクトに配置できる。
それぞれのバンク22B1、22B2において、排熱回収システム10を構成するスターリングエンジン100の高温側シリンダ101は、内燃機関シリンダ22の配列方向(内燃機関回転軸Zeと平行な方向)におけるバンク、すなわち内燃機関シリンダ群の中央部に配置される。内燃機関シリンダ群の中央部とは、それぞれのバンク22B1、22B2で一列に配置される内燃機関シリンダ群の両端部における内燃機関シリンダ22間である。ここで、図4の例では、#1、#2、#3等が内燃機関シリンダ22の番号を示す。
図4に示す排熱回収システム10、すなわち、排熱回収対象である内燃機関20がV型6気筒である場合には、バンク22B1においては#1の内燃機関シリンダ22と#3の内燃機関シリンダ22との間が、内燃機関シリンダ群の中央部になる。また、バンク22B2においては#4の内燃機関シリンダ22と#6の内燃機関シリンダ22との間が、内燃機関シリンダ群の中央部になる。すなわち、V型6気筒の内燃機関20からスターリングエンジン100A、100Bで排熱を回収する場合、バンク22B1では#1の内燃機関シリンダ22と#3の内燃機関シリンダ22との間(より具体的には#1と#2との間)、バンク22B2では#4の内燃機関シリンダ22と#6の内燃機関シリンダ22との間(より具体的には#4と#5との間)に高温側シリンダ101が配置される。
また、図5に示す排熱回収システム10aは、排熱回収対象である内燃機関20aがV型8気筒であるが、バンク22Ba1においては#1の内燃機関シリンダ22と#4の内燃機関シリンダ22との間が、内燃機関シリンダ群の中央部になる。また、バンク22Ba2においては#5の内燃機関シリンダ22と#8の内燃機関シリンダ22との間が、内燃機関シリンダ群の中央部になる。すなわち、V型8気筒の内燃機関20aからスターリングエンジン100A、100Bで排熱を回収する場合、バンク22Ba1では#1の内燃機関シリンダ22と#4の内燃機関シリンダ22との間(より具体的には#2と#3との間)、バンク22Ba2では#5の内燃機関シリンダ22と#8の内燃機関シリンダ22との間(より具体的には#6と#7との間)に高温側シリンダ101が配置される。
また、図6に示す排熱回収システム10bは、排熱回収対象である内燃機関20bがV型10気筒であるが、バンク22Bb1においては#1の内燃機関シリンダ22と#5の内燃機関シリンダ22との間が、内燃機関シリンダ群の中央部になる。また、バンク22Bb2においては#6の内燃機関シリンダ22と#10の内燃機関シリンダ22との間が、内燃機関シリンダ群の中央部になる。すなわち、V型10気筒の内燃機関20bからスターリングエンジン100A、100Bで排熱を回収する場合、バンク22Bb1では#1の内燃機関シリンダ22と#5の内燃機関シリンダ22との間(より具体的には#2と#3との間)、バンク22Bb2では#6の内燃機関シリンダ22と#10の内燃機関シリンダ22との間(より具体的には#7と#8との間)に高温側シリンダ101が配置される。
これによって、高温側シリンダ101は、それぞれのバンク22B1、22B2、22Ba1、22Ba2、22Bb1、22Bb2において一列に配置される内燃機関シリンダ22の両端部よりも外側に配置されることはない。したがって、スターリングエンジン100のヒータ105は、内燃機関シリンダ22の配列方向における内燃機関シリンダ22の集まりにおいて、両端部の内燃機関シリンダ22の間に配置される。その結果、内燃機関20、20a、20bの燃焼空間20Bから排出された直後の最も温度が高い排ガスExが確実にヒータ105へ供給されるので、スターリングエンジン100A、100Bの熱効率が向上する。これによって、排熱回収システム10、10a、10bは、内燃機関20、20a、20bから排出される排ガスExの熱エネルギーの回収効率を、より向上させることができる。
スターリングエンジン100A、100Bは、ヒータ105の取り回しに制限がある。特に、排熱回収対象が車両に搭載される内燃機関であるような場合、ヒータ105の取り回しの制限は大きくなる。ここで、より高い温度の排ガスExを利用するためには、可能な限り、排熱回収対象である内燃機関20、20a、20bに近い位置に搭載する必要がある。そして、内燃機関20の排気口23eから排出された直後の排ガスExは温度が最も高くなるため、これを利用するためには、スターリングエンジン100A、100Bのヒータ105を、内燃機関20、20a、20bに最接近させて配置する必要がある。
これを実現するため、排熱回収システム10、10a、10bは、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置を、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における内燃機関シリンダ22の位置と重ならないようにする。これによって、隣接する内燃機関シリンダ22同士の間に、高温側シリンダ101や低温側シリンダ102を配置できるので、高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102を内燃機関シリンダ22により接近させることができる。その結果、車両のように、ヒータ105の取り回しに制限が多いものに排熱回収対象である内燃機関20、20a、20bを搭載するような場合であっても、内燃機関20、20a、20bから排出された直後の温度の高い排ガスExから効率的に熱エネルギーを回収できる。
排熱回収システム10、10a、10bは、内燃機関20、20a、20bの出力軸である内燃機関クランクシャフト25と、スターリングエンジン100A、100Bの出力軸である排熱回収機関クランクシャフト110とが平行に配置される。すなわち、内燃機関クランクシャフト25の回転中心(内燃機関回転軸)Zeと、排熱回収機関クランクシャフト110の回転中心、すなわち排熱回収機関回転軸Zsとが平行に配置される。これによって、排熱回収システム10の幅方向における寸法の増加を抑制できる。ここで、排熱回収システム10の幅方向とは、内燃機関回転軸Ze及び排熱回収機関回転軸Zsに直交する方向であり、図3〜図6に示す矢印Wの方向である。また、平行とは、完全に平行の場合のみならず、完全に平行でない場合であっても公差や製造上の誤差の範囲内であれば平行の概念に含まれる(以下同様)。
また、内燃機関回転軸Zeと排熱回収機関回転軸Zsとが平行であるため、例えば、排熱回収機関クランクシャフト110からの動力を、内燃機関クランクシャフト25と合成して取り出す場合には、比較的簡単な構造で済むという利点がある。例えば、排熱回収機関クランクシャフト110と内燃機関クランクシャフト25とが直交して配置される場合、排熱回収機関クランクシャフト110の出力の方向を一旦90度変更する必要があるが、両者が平行に配置される場合には、この必要はない。なお、本実施例において、内燃機関20の動力は内燃機関クランクシャフト25から取り出され、それぞれのスターリングエンジン100A、100Bの動力は、それぞれの磁気カップリング9を介して排熱回収機関クランクシャフト110に連結される従動軸2から取り出される。
上述したように、本実施例においては、排熱回収機関であるスターリングエンジン100A、100Bと、内燃機関20とを合体させて、両者が一体として構成される。このようにするため、排熱回収システム10では、スターリングエンジン100A、100Bの排熱回収機関筐体114と、内燃機関20の内燃機関筐体20Cとを合体し、両者を一体とした排熱回収装置筺体とする。これによって、本実施例に係る排熱回収システム10では、スターリングエンジン100A、100Bと、内燃機関20とは同一の構造体として取り扱われる。そして、内燃機関20とスターリングエンジン100A、100Bとのうち少なくとも一方が運転中である場合には、両者は一体不可分の構造体として取り扱われる。
なお、排熱回収機関筐体114と内燃機関筐体20Cとを合体させて一体とするにあたっては、すべてを同一の構造体とする必要はなく、一部を同一の構造体としてもよい。例えば、排熱回収機関クランクケース114Aと内燃機関クランクケース27とを同一の構造体として製造してもよい。もちろん、排熱回収機関シリンダブロック114Bと内燃機関シリンダブロック26とを同一の構造体として製造してもよい。また、同一の構造体として製造した排熱回収機関クランクケース114A及び内燃機関クランクケース27と、排熱回収機関シリンダブロック114B及び内燃機関シリンダブロック26とを合体させ一体として、排熱回収システム10の筐体としてもよい。
スターリングエンジン100と内燃機関20とを合体させるためには、例えば、排熱回収機関筐体114と、内燃機関筐体20Cとを鋳造によって同一の構造体として製造する手法がある。また、排熱回収機関筐体114と、内燃機関筐体20Cとを別個の構造体として用意して、両者をボルト等の締結手段で取り付けて合体させたり、両者を溶接等の接合手段によって合体させたりする手法もある。
このように、スターリングエンジン100A、100Bと、内燃機関20とを合体させ、両者を一体として排熱回収システム10を構成することにより、排熱回収システム10をコンパクトに構成できる。その結果、内燃機関20を含む排熱回収システム10を車両に搭載する際における配置の自由度が向上する。
なお、スターリングエンジン100A、100Bは、上述したように、排熱回収機関筐体114内が加圧される。すなわち、スターリングエンジン100A、100Bの運転中、すなわち排熱の回収中においては、排熱回収機関筐体114内の平均圧力は、内燃機関筐体20C内の平均圧力よりも高くなる。このため、排熱回収機関筐体114内の気体が内燃機関筐体20C内へ漏れないように、排熱回収機関筐体114の内部と内燃機関筐体20Cの内部とは、仕切り手段(例えば仕切り板)11によって仕切られる。これによって、排熱回収機関筐体114内の圧力を、内燃機関筐体20C内の圧力とは別個独立に調整できる。
排熱回収システム10は、内燃機関20から排出される排ガスExの熱エネルギーを、スターリングエンジン100A、100Bが発生する動力として回収する。排ガスExは、内燃機関20のシリンダヘッド23に設けられる排気口23e、及び排気口23eに取り付けられる排気マニホールド28を通って内燃機関20の燃焼空間20Bから排出される。排気マニホールド28は、内燃機関20の各燃焼空間20Bから排出される排ガスExを通過させる排ガス通路である。排気マニホールド28は浄化触媒29に接続されており、内燃機関20から排出された排ガスExは、浄化触媒29で未燃の炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等が浄化されてから、大気中へ排出される。
排熱回収システム10は、内燃機関20の排気口23eから浄化触媒29までの間における排ガス通路内に、スターリングエンジン100A、100Bの熱交換器108(図1参照)のうち少なくともヒータ105が配置される。本実施例では、排気マニホールド28が、内燃機関20の排気口23eから浄化触媒29までの間における排ガス通路に相当する。
図1に示すように、スターリングエンジン100が備えるヒータ105は、略U字形状をしているので、排気マニホールド28内のように比較的狭い空間内であっても容易に配置できる。なお、ヒータ105とともに、熱交換器108が備える再生器106(図1参照)を、内燃機関20の排気口23eから浄化触媒29までの間における排ガス通路内(排気マニホールド28内)に配置してもよい。なお、上述したように、排熱回収システム10に搭載されるスターリングエンジン100A、100Bは、図1に示すスターリングエンジン100と同様の構成である。
図7〜図9は、実施例1の変形例に係る排熱回収システムのシリンダ配置を示す模式図である。本変形例は、実施例1と略同様であるが、内燃機関20cのそれぞれのバンク22Bc1、22Bc2において、スターリングエンジン100A、100Bの排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向におけるスターリングエンジン100A、100Bの高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102を、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における内燃機関シリンダ22の位置に揃える点が異なる。他の構成は、実施例1と同様である。
図7の排熱回収システム10cは、V型6気筒の内燃機関20cを構成するそれぞれのバンク22Bc1、22Bc2に、スターリングエンジン100A、100Bを配置し、内燃機関20cの排熱を回収するものである。図8の排熱回収システム10dは、V型8気筒の内燃機関20dを構成するそれぞれのバンク22Bd1、22Bd2に、スターリングエンジン100A、100Bを配置し、内燃機関20dの排熱を回収するものである。図9の排熱回収システム10eは、V型10気筒の内燃機関20eを構成するそれぞれのバンク22Be1、22Be2に、スターリングエンジン100A、100Bを配置し、内燃機関20eの排熱を回収するものである。このような構成としても、上述した実施例1と同様の作用、効果が得られる。
以上、本実施例では、シリンダ内でピストンが往復運動するV型の内燃機関を排熱回収対象とし、同じくシリンダ内でピストンが往復運動する排熱回収機関で内燃機関から排出される排ガスの熱エネルギーを回収するものにおいて、内燃機関のそれぞれのバンクに排熱回収機関を設けるとともに、それぞれのバンク間においては排熱回収機関の高温側シリンダ同士及び低温側シリンダ同士が内燃機関クランクシャフトの回転軸に対して対称性を有するように配列される。これによって、それぞれのバンク間において、高温側シリンダ及び低温側シリンダの温度環境を揃えることができる。これによって、複数の排熱回収機関を用いて排熱を回収する場合に、それぞれの排熱回収機関が発生する動力のばらつきを抑制できる。なお、本実施例で開示した構成は、以下の実施例でも適宜適用できる。
図10は、実施例2に係る排熱回収システムのシリンダ配置を示す模式図である。図11は、実施例2に係る排熱回収システムにおけるスターリングエンジンの組み合わせ方を示す模式図である。図12、図13は、実施例2に係る排熱回収システムの他のシリンダ配置を示す模式図である。なお、実施例2において、排熱回収システム10f〜10hの正面図は、図3に示す排熱回収システム10と同様である。実施例2は、実施例1と略同様の構成であるが、排熱回収機関であるスターリングエンジンを複数備える点が異なる。他の構成は、実施例1と同様である。
図10に示す排熱回収システム10fは、内燃機関20f及び複数(本実施例では4台)のスターリングエンジン100A、100B、100C、100Dを含んで構成される。なお、スターリングエンジン100A、100B、100C、100Dは、いずれも図1に示したスターリングエンジン100と同様の構成であり、符号100の後に付したA、B、C、Dは、4台のスターリングエンジン100A、100B、100C、100Dが設けられる場所を区別するために便宜上付したものである。
内燃機関20fは、V型6気筒の内燃機関であり、バンク22Bf1にはスターリングエンジン100A、100Bが設けられ、バンク22Bf2にはスターリングエンジン100C、100Dが設けられる。このように、内燃機関20fは、それぞれのバンク22Bf1、22Bf2にそれぞれ2台ずつスターリングエンジンを備える。バンク22Bf1において、複数のスターリングエンジン100A、100Bは、それぞれの高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102が一列に並んで配列されるとともに、バンク22Bf1に対して一方の側、より具体的には排気側(図4の排気マニホールド28側)のみに配置される。もう一方のバンク22Bf2についても複数のスターリングエンジン100C、100Dは同様に配置される。
バンク22Bf1において、隣接する一対のスターリングエンジン100A、100Bは、それぞれのスターリングエンジン100A、100Bの高温側シリンダ101同士が対向して配置される。同様に、バンク22Bf2において、隣接する一対のスターリングエンジン100C、100Dは、それぞれのスターリングエンジン100C、100Dの高温側シリンダ101同士が対向して配置される。また、実施例1と同様に、排熱回収システム10fは、バンク22Bf1において、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における、それぞれのスターリングエンジン100A、100Bの高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置が、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における内燃機関シリンダ22の位置と重ならないように構成される。バンク22Bf2においても同様である。
図10、図11に示すように、バンク22Bf1に設けられる複数のスターリングエンジン100A、100Bは、それぞれの排熱回収機関クランクシャフト110が一体化されるとともに、複数のスターリングエンジン100A、100Bのクランクケース114Aを共通として一つのクランクケースとする。同様に、バンク22Bf2に設けられる複数のスターリングエンジン100C、100Dは、それぞれの排熱回収機関クランクシャフト110が一体化されるとともに、複数のスターリングエンジン100C、100Dのクランクケース114を共通として一つのクランクケースとする。
なお、実施例1で説明したように、磁気カップリング9の代わりに、排熱回収機関クランクシャフト110と図1に示す排熱回収機関クランクケース114Aとの間にシール軸受を設けて、排熱回収機関クランクシャフト110を排熱回収機関クランクケース114Aから直接取り出してもよい。この場合、スターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)のそれぞれの排熱回収機関クランクシャフト110が、例えば、オルダム継ぎ手によって連結される。このように、本実施例では、それぞれのスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の排熱回収機関クランクシャフト110同士を、間接的に、又は直接連結する。
それぞれのスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)が備える排熱回収機関クランクシャフト110同士を連結することにより、それぞれのスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の発生する動力が合成される。合成された複数のスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の動力は、スターリングエンジン100A、100Cの磁気カップリング9を構成する従動軸2から出力される。
本実施例では、それぞれのバンク22Bf1、22Bf2において、隣接する一対のスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の高温側シリンダ101同士が対向して配置される。これによって、それぞれのスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の高温側シリンダ101同士を接近して配置できるので、それぞれの高温側シリンダ101に接続されるヒータ105(図1参照)も接近して配置できる。このようにすると、それぞれのバンク22Bf1、22Bf2において、スターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)それぞれの高温側シリンダ101側におけるヒータ105には、内燃機関20fから排出された直後で最も温度が高く、かつ温度分布の小さい排ガスExが供給される。その結果、それぞれのヒータ105の温度環境が略同様になるので、それぞれのスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の動力差を極めて小さくできる。これによって、本実施例のように、それぞれのバンク22Bf1、22Bf2において、複数のスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の動力を合成する場合は、それぞれのスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の動力差を吸収する機構が不要、あるいは前記機構を簡易な構成とすることができる。
また、それぞれのバンク22Bf1、22Bf2において、複数のスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の高温側シリンダ101は、内燃機関シリンダ22の配列方向における内燃機関シリンダ群の中央部に配置される。内燃機関シリンダ群の中央部については、実施例1で説明した通りである。ここで、図10、図12、図13の例では、#1、#2、#3等が内燃機関シリンダ22の番号を示す。
図10に示す排熱回収システム10f、すなわち、排熱回収対象である内燃機関20fがV型6気筒である場合、バンク22Bf1においては#1の内燃機関シリンダ22と#3の内燃機関シリンダ22との間が内燃機関シリンダ群の中央部になり、バンク22Bf2においては#4の内燃機関シリンダ22と#6の内燃機関シリンダ22との間が内燃機関シリンダ群の中央部になる。スターリングエンジン100A、100B、100C、100DがV型6気筒の内燃機関20fから排熱を回収する場合、バンク22Bf1においては#1の内燃機関シリンダ22と#2の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Aの高温側シリンダ101が配置され、#2の内燃機関シリンダ22と#3の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Bの高温側シリンダ101が配置される。また、バンク22Bf2においては#4の内燃機関シリンダ22と#5の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Cの高温側シリンダ101が配置され、#5の内燃機関シリンダ22と#6の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Dの高温側シリンダ101が配置される。
また、図12に示す排熱回収システム10gは、排熱回収対象である内燃機関20gがV型8気筒であるが、バンク22Bg1においては#1の内燃機関シリンダ22と#4の内燃機関シリンダ22との間が内燃機関シリンダ群の中央部になり、バンク22Bg2においては#5の内燃機関シリンダ22と#8の内燃機関シリンダ22との間が内燃機関シリンダ群の中央部になる。スターリングエンジン100A、100B、100C、100DがV型8気筒の内燃機関20gから排熱を回収する場合、バンク22Bg1においては#1の内燃機関シリンダ22と#2の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Aの高温側シリンダ101が配置され、#2の内燃機関シリンダ22と#3の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Bの高温側シリンダ101が配置される。また、バンク22Bg2においては#5の内燃機関シリンダ22と#6の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Cの高温側シリンダ101が配置され、#6の内燃機関シリンダ22と#7の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Dの高温側シリンダ101が配置される。
また、図13に示す排熱回収システム10hは、排熱回収対象である内燃機関20hがV型10気筒であるが、バンク22Bh1においては#1の内燃機関シリンダ22と#5の内燃機関シリンダ22との間が内燃機関シリンダ群の中央部になり、バンク22Bh2においては#6の内燃機関シリンダ22と#10の内燃機関シリンダ22との間が内燃機関シリンダ群の中央部になる。スターリングエンジン100A、100B、100C、100DがV型10気筒の内燃機関20hから排熱を回収する場合、バンク22Bh1においては#2の内燃機関シリンダ22と#3の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Aの高温側シリンダ101が配置され、#3の内燃機関シリンダ22と#4の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Bの高温側シリンダ101が配置される。また、バンク22Bh2においては#7の内燃機関シリンダ22と#8の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Cの高温側シリンダ101が配置され、#8の内燃機関シリンダ22と#9の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Dの高温側シリンダ101が配置される。
これによって、複数のスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)が備える高温側シリンダ101は、一方のバンクにおいて一列に配置される内燃機関シリンダ22の集まりの両端部よりも外側に配置されることはない。したがって、スターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)のヒータ105は、内燃機関シリンダ22の配列方向における内燃機関シリンダ22の集まりにおいて、両端部の内燃機関シリンダ22の間に配置される。
その結果、燃焼空間20Bから排出された直後の最も温度が高い排ガスExが確実にヒータ105へ供給されるので、複数のスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の熱効率が向上する。これによって、排熱回収システム10f、10g、10hは、内燃機関20f、20g、20hから排出される排ガスExの熱エネルギーの回収効率を向上させることができる。
また、内燃機関シリンダ22の配列方向における内燃機関シリンダ22の集まりにおいて、ヒータ105を両端部の内燃機関シリンダ22の間に配置することにより、それぞれのバンク22Bf1、22Bf2等においては、それぞれのスターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)が備えるヒータ105の温度環境を略同様に揃えることができる。その結果、それぞれのバンク22Bf1、22Bf2等において、スターリングエンジン100A(100C)、100B(100D)の動力差を極めて小さくできる。
また、排熱回収システム10f、10g、10hは、バンク22Bf1等を構成するそれぞれの内燃機関シリンダ22に対する高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置関係が、バンク22Bf2等を構成するそれぞれの内燃機関シリンダ22に対する高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置関係と同一になる。これによって、一対のバンク22Bf1、22Bf2間等において、対向するスターリングエンジン100A、100B同士、スターリングエンジン100B、100C同士の動力差を極めて小さくできる。
このように、排熱回収システム10f、10g、10hは、それぞれのバンク22Bf1、22Bf2内等における複数のスターリングエンジンの動力差、及び一対のバンク22Bf1、22Bf2間等において対向するスターリングエンジン同士の動力差を極めて小さくできる。その結果、排熱回収システム10f、10g、10hを構成するスターリングエンジン全体の動力差を抑制できる。
図14は、実施例2の変形例に係る排熱回収システムのシリンダ配置を示す模式図である。図15は、実施例2の変形例に係る排熱回収システムにおけるスターリングエンジンの組み合わせ方を示す模式図である。本変形例は、実施例2と略同様であるが、排熱回収機関であるスターリングエンジンの台数が実施例2よりも多い点が異なる。他の構成は、実施例2と同様である。
図14に示す排熱回収システム10iは、内燃機関20i及び複数(本実施例では6台)のスターリングエンジン100A、100B、100C、100D、100E、100Fを含んで構成される。なお、スターリングエンジン100A、100B、100C、100D、100E、100Fは、いずれも図1に示したスターリングエンジン100と同様の構成であり、符号100の後に付したA、B、C、D、E、Fは、6台のスターリングエンジン100A、100B、100C、100D、100E、100Fが設けられる場所を区別するために便宜上付したものである。
内燃機関20iは、V型10気筒の内燃機関であり、バンク22Bi1にはスターリングエンジン100A、100B、100Cが設けられ、バンク22Bi2にはスターリングエンジン100D、100E、100Fが設けられる。このように、内燃機関20iは、それぞれのバンク22Bi1、22Bi2にそれぞれ3台ずつスターリングエンジンを備える。バンク22Bi1において、複数のスターリングエンジン100A、100B、100Cは、それぞれの高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102が一列に並んで配列されるとともに、バンク22Bi1に対して一方の側、より具体的には排気側(図4の排気マニホールド28側)のみに配置される。もう一方のバンク22Bi2についても複数のスターリングエンジン100D、100E、100Fは同様に配置される。
一方のバンク22Bi1において、複数のスターリングエンジン100A、100B、100Cのうち、隣接する一対のスターリングエンジン100B、100Cは、それぞれのスターリングエンジン100B、100Cの高温側シリンダ101同士が対向して配置される。また、実施例1、実施例2と同様に、排熱回収システム10iは、一方のバンク22Bi1において、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における、それぞれのスターリングエンジン100A、100B、100Cの高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置が、排熱回収機関回転軸Zsと平行な方向における内燃機関シリンダ22の位置と重ならないように構成される。もう一方のバンク22Bi2に設けられる複数のスターリングエンジン100D、100E、100Fについても、バンク22Bi1と同様である。なお、それぞれのスターリングエンジン100A(100D)、100B(100E)、100C(100F)の排熱回収機関クランクシャフト110を一体化するとともに、複数のスターリングエンジン100A(100D)、100B(100E)、100C(100F)のクランクケースを共通として一つのクランクケースとする。
それぞれのスターリングエンジン100A(100D)、100B(100E)、100C(100F)が備える排熱回収機関クランクシャフト110同士を連結することにより、それぞれのスターリングエンジン100A(100D)、100B(100E)、100C(100F)の発生する動力が合成される。合成された複数のスターリングエンジン100A(100D)、100B(100E)、100C(100F)の動力は、スターリングエンジン100A(100D)の磁気カップリング9を構成する従動軸2から出力される。
本変形例のように、排熱回収システム10iが、排熱回収機関であるスターリングエンジンを奇数台備える場合、対向して配置できない高温側シリンダ101が発生する。図14に示すように、本変形例では、スターリングエンジン100B(100E)、100C(100F)の高温側シリンダ101同士は対向して配置されるが、スターリングエンジン100A(100D)の高温側シリンダ101は、スターリングエンジン100A(100D)に隣接して配置されるスターリングエンジン100B(100E)の低温側シリンダ102と対向して配置される。
排熱回収システム10iでは、複数のスターリングエンジン100A(100D)、100B(100E)、100C(100F)の高温側シリンダ101は、内燃機関シリンダ22の配列方向における内燃機関シリンダ群の中央部に配置される。図14の例では、#1、#2、#3等が内燃機関シリンダ22の番号を示す。
図14に示す排熱回収システム10iは、排熱回収対象である内燃機関20iがV型10気筒であるが、この場合、バンク22Bi1においては#1の内燃機関シリンダ22と#5の内燃機関シリンダ22との間が内燃機関シリンダ群の中央部になり、バンク22Bi2においては、#6の内燃機関シリンダ22と#10の内燃機関シリンダ22との間が内燃機関シリンダ群の中央部になる。そして、バンク22Bi1では、#1の内燃機関シリンダ22と#2の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Aの高温側シリンダ101が配置され、#3の内燃機関シリンダ22と#4の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Bの高温側シリンダ101が配置される。また、#4の内燃機関シリンダ22と#5の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Cの高温側シリンダ101が配置される。
同様に、バンク22Bi2では、#6の内燃機関シリンダ22と#7の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Dの高温側シリンダ101が配置され、#8の内燃機関シリンダ22と#9の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Eの高温側シリンダ101が配置される。また、#9の内燃機関シリンダ22と#10の内燃機関シリンダ22との間にスターリングエンジン100Fの高温側シリンダ101が配置される。
このような構成により、複数のスターリングエンジン100A、100B、100C、100D、100E、100Fが備えるヒータ105は、それぞれのバンク22Bi1、22Bi2において、両端部の内燃機関シリンダ22の間に配置されることになる。これによって、内燃機関20iから排出された直後の最も温度が高い排ガスExが確実にヒータ105へ供給される。その結果、対向して配置できない高温側シリンダ101が発生しても、排熱回収システム10iは、内燃機関20iから排出される排ガスExの熱エネルギーの回収効率を向上させることができる。
また、ヒータ105を内燃機関シリンダ群の中央部に配置することにより、それぞれのバンク22Bi1、22Bi2においては、それぞれのスターリングエンジン100A(100D)、100B(100E)、100C(100F)が備えるヒータ105の温度環境を略同様に揃えることができる。その結果、それぞれのバンク22Bi1、22Bi2において、スターリングエンジン100A(100D)、100B(100E)、100C(100F)の動力差を極めて小さくできる。
また、排熱回収システム10iは、バンク22Bi1を構成するそれぞれの内燃機関シリンダ22(#1〜#5)に対する高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置関係が、バンク22Bi2を構成するそれぞれの内燃機関シリンダ22(#6〜#10)に対する高温側シリンダ101及び低温側シリンダ102の位置関係と同一になる。これによって、一対のバンク22Bi1、22Bi2間において、対向するスターリングエンジン100A、100D同士、スターリングエンジン100B、100E同士、スターリングエンジン100C、100F同士の動力差を極めて小さくできる。
このように、排熱回収システム10iは、それぞれのバンク22Bi1、22Bi2内における複数のスターリングエンジンの動力差、及び一対のバンク22Bi1、22Bi2間において対向するスターリングエンジン同士の動力差を極めて小さくできる。その結果、排熱回収システム10iを構成するスターリングエンジン全体の動力差を抑制できる。
以上、本実施例及びその変形例では、上述した実施例1の作用、効果に加え、排熱回収機関を複数備えるとともに、排熱回収機関の高温側シリンダを対向して配置する。これによって、それぞれの高温側シリンダに接続されるヒータも接近して配置できるので、それぞれのヒータには、排熱回収対象である内燃機関から排出された直後で最も温度が高く、かつ温度分布の小さい排ガスが供給される。その結果、それぞれのヒータの温度条件は略同様になるので、それぞれの排熱回収機関の動力差を極めて小さくできる。
また、本実施例及びその変形例では、複数の排熱回収機関の高温側シリンダは、排熱回収対象である内燃機関シリンダの配列方向における内燃機関シリンダの群の中央部に配置される。これによって、内燃機関から排出された直後の最も温度が高い排ガスが確実に排熱回収機関のヒータへ供給される。その結果、それぞれのヒータの温度条件は略同様になるので、それぞれの排熱回収機関の動力差を極めて小さくできる。また、排熱回収機関の熱効率が向上して、排熱回収システムは、内燃機関から排出される排ガスExの熱エネルギーの回収効率をより向上させることができる。
以上のように、本発明に係る排熱回収システムは、内燃機関から排出される排ガスの熱エネルギーを回収することに有用であり、特に、複数の排熱回収機関を用いる場合に適している。
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、10i 排熱回収システム
20、20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i 内燃機関
21 内燃機関ピストン
22 内燃機関シリンダ
22B1、22B2、22Ba1、22Ba2、22Bb1、22Bb2、22Bc1、22Bc2、22Bd1、22Bd2、22Be1、22Be2、22Bf1、22Bf2、22Bg1、22Bg2、22Bh1、22Bh2、22Bi1、22Bi2 バンク
23 シリンダヘッド
25 内燃機関クランクシャフト
28 排気マニホールド
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F スターリングエンジン
101 高温側シリンダ
102 低温側シリンダ
105 ヒータ
109 コネクティングロッド
110 排熱回収機関クランクシャフト
20、20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i 内燃機関
21 内燃機関ピストン
22 内燃機関シリンダ
22B1、22B2、22Ba1、22Ba2、22Bb1、22Bb2、22Bc1、22Bc2、22Bd1、22Bd2、22Be1、22Be2、22Bf1、22Bf2、22Bg1、22Bg2、22Bh1、22Bh2、22Bi1、22Bi2 バンク
23 シリンダヘッド
25 内燃機関クランクシャフト
28 排気マニホールド
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F スターリングエンジン
101 高温側シリンダ
102 低温側シリンダ
105 ヒータ
109 コネクティングロッド
110 排熱回収機関クランクシャフト
Claims (7)
- 直列に配置される複数の内燃機関シリンダで構成される内燃機関シリンダ群、及びそれぞれの前記内燃機関シリンダの内部に配置される内燃機関ピストン、及び前記内燃機関ピストンの往復運動を回転運動に変換する内燃機関クランクシャフトを有し、前記内燃機関シリンダ群を一対備える内燃機関と、
ヒータと再生器とクーラーとを含んで構成される熱交換器、及び前記ヒータとの間で作動流体が流出入する高温側シリンダ、及び前記クーラーとの間で作動流体が流出入する低温側シリンダ、及び前記高温側シリンダ内を往復運動する高温側ピストン、及び前記低温側シリンダ内を往復運動する低温側ピストン、及び高温側ピストンの往復運動と前記低温側ピストンの往復運動とを回転運動に変換する排熱回収機関クランクシャフトを有し、前記ヒータは前記内燃機関から排出される排ガスで加熱される排熱回収機関と、を含み、
それぞれの前記内燃機関シリンダ群に対して少なくとも1台ずつ前記排熱回収機関を設けるとともに、一対の前記内燃機関シリンダ群の間において、前記高温側シリンダ同士及び前記低温側シリンダ同士が前記内燃機関クランクシャフトの回転軸に対して対称性を有して配置されることを特徴とする排熱回収システム。 - それぞれの前記排熱回収機関クランクシャフトの回転軸は、前記内燃機関クランクシャフトの回転軸と平行に配置されることを特徴とする請求項1に記載の排熱回収システム。
- それぞれの前記内燃機関シリンダ群において、前記高温側シリンダ及び前記低温側シリンダは、前記排熱回収機関クランクシャフトの回転軸と平行な方向における位置が、内燃機関シリンダに対してずらされて配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の排熱回収システム。
- それぞれの前記内燃機関シリンダ群において、前記高温側シリンダは、前記内燃機関シリンダの配列方向における前記内燃機関シリンダ群の中央部に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排熱回収システム。
- それぞれの前記内燃機関シリンダ群に前記排熱回収機関が複数設けられ、
それぞれの前記内燃機関シリンダ群において、一対の前記排熱回収機関は、それぞれの前記排熱回収機関の前記高温側シリンダ同士を対向して配置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排熱回収システム。 - 対向して配置される一対の前記高温側シリンダは、前記内燃機関シリンダの配列方向における前記内燃機関シリンダ群の中央部に配置されることを特徴とする請求項5に記載の排熱回収システム。
- 前記内燃機関は車両に搭載されて前記車両の動力発生源となり、また、前記排熱回収機関は、前記内燃機関とともに前記車両に搭載されて前記車両の動力発生源となるスターリングエンジンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の排熱回収装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP3061330A2 (fr) * | 2013-10-24 | 2016-08-31 | Bull | Utilisation de machines de stirling pour systeme de traitement de l'information |
CN109139289A (zh) * | 2017-06-19 | 2019-01-04 | 冯大威 | 发动机余热综合利用系统 |
-
2008
- 2008-06-12 JP JP2008154524A patent/JP2009299568A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3061330A2 (fr) * | 2013-10-24 | 2016-08-31 | Bull | Utilisation de machines de stirling pour systeme de traitement de l'information |
EP3061330B1 (fr) * | 2013-10-24 | 2023-09-13 | Bull | Utilisation de machines de stirling pour systeme de traitement de l'information |
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