次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお実施例では、遊技球としてのパチンコ球を使用して遊技を行うパチンコ機について説明する。また、以下の説明において前・後および左・右とは、特に断りのない限り、遊技機を正面側(遊技者側)から見た場合において指称するものとする。
図1〜図4に示すように、実施例に係るパチンコ機10は、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、遊技盤30(図4参照)が着脱可能に保持された本体枠としての中枠14が開閉および着脱可能に組み付けられている。パチンコ機10は、外枠11の左側部の上下に夫々設けられた外枠ヒンジ部12,12(図4参照)に対して中枠14の左側部がヒンジ接続され、中枠14の前部が外枠11の前面に合わさると共に該中枠14の後部が外枠11の開口領域に整合するように組み付けられている(図5参照)。中枠14の前面側には、遊技盤30を透視保護するガラス板17を備えた装飾枠としての前枠16が開閉可能に組付けられると共に(図4参照)、前枠16の下方にパチンコ球S(図16参照)を貯留する下球皿20が開閉可能に組み付けられる。そして、前枠16の下部には、下球皿20の上側に位置して、パチンコ球Sを貯留する上球皿21が組み付けられており、前枠16の開閉に合わせて上球皿21も一体的に開閉するよう構成される。また、中枠14には、下球皿20の右側に位置するように回動操作可能なハンドル部材22が配設されており(図1参照)、該ハンドル部材22の回動操作によって中枠14の下部に設けられた球発射装置23(図4または図5参照)により上球皿21に貯留したパチンコ球Sが遊技盤30の遊技領域に向けて打ち出されるようになっている。
図4に示すように、前枠16は、中枠14に保持された遊技盤30が後側に臨む遊技盤窓口16aを画成する枠状の部材であって、この遊技盤窓口16aを後側から塞ぐようにガラス板17(図1参照)が着脱可能に組み付けられている。前枠16は、遊技盤窓口16aの周りを装飾する飾り16bや発光装置(図示せず)が配設された合成樹脂製の前枠ベース18と、この前枠ベース18の後側に配設され、ガラス板17を着脱可能に保持するガラス保持部19aが設けられた金属製の前枠補強板19(図4参照)とから基本的に構成されている。パチンコ機10では、中枠14の左側部の上下に夫々設けられた中枠ヒンジ部15,15(図5参照)に対して前枠16の左側部がヒンジ接続され、前枠16が中枠14の前側を覆うように組み付けられている。また、前枠16には、上部に左右に離間してスピーカ24,24が設けられており(図1参照)、前記発光装置のLED基板やスピーカ24,24等の前枠16に設けられた電気部品に繋がる前枠用配線H1が接続される前枠ソケット16c(図4参照)が、前枠16の後面上部において中枠14へのヒンジ接続側となる左側に設けられている。
前記遊技盤30には、遊技領域30aが前面に設けられるベニヤ板や透明なアクリル板からなる板状本体31の後側に配設した裏ユニットとも呼ばれるセット部材32(図6参照)に、各種図柄を変動表示可能な図柄表示部を有する図柄表示装置34が表示装置取付部32a,32b(図2または図6参照)を介して配設されている。遊技盤30には、図柄表示装置34の図柄表示部に対応する位置に前後に開口する表示開口部(図示せず)が開設され、該表示開口部に合わせては、所要の装飾を施したセンター役物とも称される装飾部材(図示せず)が臨むようになっている。なお、実施例では、図柄表示装置34が、遊技盤30の左右端部近傍まで延在する大型の液晶表示装置を採用している。また、遊技盤30の所要位置には、パチンコ球Sの入賞により図柄表示装置34の図柄を変動開始させる始動入賞装置や、大当りの発生時に開放する特別入賞装置(何れも図示せず)等が配設されている。
図4または5に示すように、前記中枠14は、上縁をなす上枠部36と、下縁をなし、スピーカや球発射装置23等を設置する設置部材として機能する下枠部37と、左側縁をなす左枠部38と、右側縁をなす右枠部39とから構成されて、これら上下左右の枠部36,37,38,39を組付けた際に、全体が外枠11の開口領域に整合する大きさに形成される。実施例では、上下の枠部36,37が合成樹脂で形成されると共に、左右の枠部38,39はアルミ等の金属材により成形されて、中枠14全体としての剛性を確保しつつ軽量化が図られている。そして、中枠14には、上下左右の枠部36,37,38,39を組み付けることで前後に開口する開口領域14aが画成され(図5参照)、この開口領域14aに遊技盤30が設置される(図4参照)。このとき、上下左右の枠部36,37,38,39が、遊技盤30における上下左右の対応する端面に対して所要のクリアランスを介して対向するようになっている。なお、実施例では、下枠部37の左右両側における上端面の一部に遊技盤30の下端面が当接するよう構成され、下枠部37との当接下に遊技盤30の下部の位置決めがなされる。
図2、図3または図7に示すように、前記中枠14には、パチンコ球Sを貯留可能な球貯留部40が、上枠部36の後側に設けられている。また、中枠14には、上下の球皿20,21に連通する第1球流通路61(図7または図8参照)、および設置枠台に設けられる球回収樋(図示せず)にパチンコ球Sを排出する第2球流通路62(図9または図12参照)が形成された球通出案内部60が、下枠部37の裏側に配設されている(図9参照)。そして、球貯留部40と球通出案内部60の第1および第2球流通路61,62とが、後述する球通路ユニット70によって連通接続されている(図2,図12または図13参照)。すなわち、設置枠台に設けられた球供給設備から球貯留部40に供給されたパチンコ球Sは、球通路ユニット70を介して球通出案内部60まで到来して、上下の球皿20,21または球回収樋に給出されるようになっている。図7、図10または図13に示すように、球貯留部40は、中枠14の開口領域14aより後方に位置するよう上枠部36と一体成形されると共に、その一部が開口領域14aの後方に重なるように臨んでいる(図5参照)。すなわち、パチンコ機10では、中枠14の開口領域14aに設置した遊技盤30の上部と球貯留部40とが前後に重なり合うよう構成される。
図7または図10に示すように、球貯留部40は、球供給設備からパチンコ球Sを受け入れて、該パチンコ球Sを貯留する球タンク41と、この球タンク41に貯留したパチンコ球Sを整列させるタンクレール42とを備えている。実施例の球貯留部40は、球タンク41およびタンクレール42が一体的に形成されている。 球貯留部40は、上方に開口する箱状に形成されて、中枠14における上枠部36の後側に突出するよう設けられている。また、球貯留部40は、右枠部39との間に後述する前枠用配線H1を通す配線挿通路(図2参照)分の間隔をあけて、上枠部36の左右方向の大部分を占めるように延在している。
図10に示すように、前記球タンク41は、球貯留部40における右側領域に設けられている。球タンク41は、球貯留部40の前側に延在する前壁部43と、球貯留部40の後側に延在する後壁部44と、球貯留部40の右側に延在する右壁部45と、前壁部43の左右方向中央部に連設されて、右枠部39側から左枠部38側に向かうにつれて後方に変位するように斜めに延在するタンク壁部41aとで囲われている。また、球タンク41は、底面41b(以下、タンク底面という)が前側から後側へ向けて下方傾斜すると共に(図13参照)、右枠部39側から左枠部38側に向けて下方傾斜するよう形成され(図12または図16参照)、前記壁部43,44,45,41aおよびタンク底面41bで画成される貯留空間41cにパチンコ球Sを貯留するようになっている。球タンク41のタンク底面41bの傾斜下端側には、タンクレール42が設けられており、貯留空間41cから受け入れたパチンコ球Sをタンクレール42で1列に整列しつつ左方へ案内するようになっている(図3参照)。
図3に示すように、前記タンクレール42は、球貯留部40における左側領域の後側に位置して、左右方向に延在するように形成されている。タンクレール42のレール底面42aは、球タンク41におけるタンク底面41bより一段下がるように凹設されると共に、右側から左側に向かうにつれて下方傾斜するように形成されている(図12または図16参照)。実施例のタンクレール42は、パチンコ球Sの案内方向上流端となる右端部が球タンク41の貯留空間41cに重なるように設けられており(図3参照)、パチンコ球Sの案内方向下流端となる左端部が球貯留部40の左後側の角隅部に位置している(図12参照)。また、タンクレール42は、前後の通路幅がパチンコ球Sの1個ずつの通過を許容するよう設定され、貯留空間41cから受け入れたパチンコ球Sを一列状態で左側に向けて流下し得るようになっている。タンクレール42のレール底面42aは、球タンク41のタンク底面41bよりパチンコ球1個分程度下げて形成されている(図7または図13参照)。そして、タンクレール42には、レール底面42aにおける下流端部に、上下方向に開口する球出口48(図16参照)が開設されている。なお、球出口48は、パチンコ球Sの1個ずつの通過を許容する開口寸法に設定されている。
前記球貯留部40では、前壁部43がタンクレール42の前側を画成し、球タンク41の左側を画成するタンク壁部41aの左側に連設されたレール壁部42bが、タンクレール42の中途部位から前壁部43に並行するように延在し、該レール壁部42bがタンクレール42の下流側を画成するよう構成される(図3または図10参照)。タンクレール42には、左側に偏倚した部位に流路を蛇行させる変向部42c,42dが設けられている(図3参照)。変向部は、前壁部43に頂点が前方へ突出する平面視略三角形状に形成された突起42cと、この突起42cに対向してレール壁部42bに前方に凹むように形成された湾曲部42dとによって前後が画成され、流路を前後に折り返すように構成されている。タンクレール42は、左右方向に直線的に延在する後壁部44に沿って球タンク41側の上流側から直線的に案内されたパチンコ球Sが、変向部42c,42dで前方へ誘導された後に後方へ折り返すように蛇行して、変向部42c,42dの下流側で再び後壁部44に沿って左方へ直線的に案内される。
図7または図13に示すように、前記タンクレール42は、レール底面42aと前面とがなす角隅部が凹面状に湾曲するテーパ形状に形成される一方、レール底面42aと後面とがなす角隅部が略直角に形成されている。また、タンクレール42は、上流端においてレール底面42aと右面とがなす角隅部が、凹面状に湾曲するテーパ形状に形成されている。タンクレール42は、レール底面42aに上下に開口する底面通口42eを備えている(図3参照)。底面通口42eは、パチンコ球Sが通過しない開口寸法に設定されており、実施例の底面通口42eは、変向部42c,42dの上流側においてレール底面42aの後側に位置して左右に離間して2ヵ所設けられると共に、変向部を構成する突起42cの左右の斜面前側および湾曲部42dの後側に設けられている。なお、タンクレール42の上流側に設けられた底面開口42eは、左右方向に長手が延在する長孔形状になっている。
前記球貯留部40には、球出口48の上方を覆うように球案内カバー49が取り付けられている(図3参照)。球案内カバー49の下面には、球案内片49a(図13参照)が下方へ突出形成されている。球案内片49aは、左右方向に延在するように形成された板状片であって、右端がタンクレール42における球出口48の上流側に位置し、左端が球出口48の上方に位置している。また、球案内片49aは、タンクレール42の案内上流側(右側)から下流側(左側)に向かうにつれて下方へ突出するよう形成され、タンクレール42に臨む下端面が球出口48に向けて下方傾斜するようになっている。このように、球貯留部40では、タンクレール42の下流端部において球案内片49aによって上下に重なったパチンコ球Sが、1個ずつ球出口48に案内される。
図10に示すように、前記球貯留部40には、前壁部43に沿って金属板59が貯留空間41cに臨むように配設され、球タンク41に貯留したパチンコ球Sが金属板59に接触するよう構成される。すなわち、球タンク41に貯留したパチンコ球S同士の衝突により生じた静電気は、金属板59を介して左右の金属製の枠部38,39に逃げるようになっている。
図3〜図5に示すように、前記上枠部36には、中枠14の閉成時に外枠11の前端面に当接する上枠部フランジ36aが前端部に上方へ延出するよう形成されて、中枠14と外枠11との間からの異物挿入による不正行為を阻止すると共に、該上枠部36の剛性を向上するようになっている。また、上枠部36には、上枠部フランジ36aと球貯留部40との間を構成する上枠部本体50に、球貯留部40の前側に位置して配線通路51が設けられている。上枠部本体50は、中枠14を外枠11の開口領域に組み付けた際に、外枠11の上縁を構成する上縁枠部11aの下方に位置するようになっており(図7参照)、中枠14を外枠11に閉じた際に配線通路51が外枠11における上縁枠部11aの下方に配置される。また、上枠部36には、前枠16の左側部を開閉可能に支持するヒンジ側に位置して前後に連通して、中枠14の前側に設置される前枠16に設けられたスピーカ24等の電気部品に接続する前枠用配線H1が挿通される第1配線通口(配線通口)52が形成されている(図4、図5または図10参照)。ここで、前枠用配線H1としては、前枠16に設けられたスピーカ24や発光装置等の電気部品に応じて複数のハーネスが取り回されており、前枠16のヒンジ側に設けられた前枠ソケット16cに接続した前枠用配線H1が、第1配線通口52を介して上枠部36の後側に引き出されて、配線通路51に挿通される。
図10または図13に示すように、配線通路51は、上方に開口する溝状に形成され、上枠部本体50の上面において球タンク41およびタンクレール42の前側に位置して左右方向に延在するよう設けられている。配線通路51は、球貯留部40の前壁部43と、この前壁部43の前側に左右方向に延在する通路壁部51aによって前後が規定されている(図10参照)。配線通路51は、左側部において前壁部43が前後の開口幅寸法を拡開するよう後方へ偏倚するよう延在し、配線通路51の左側部に設けられた拡開部分前側に第1配線通口52が前後および上下に開口するようになっている。配線通路51は、上枠部本体50において球貯留部40側に延在するように設けられている。なお、上枠部本体50には、配線通路51と上枠部フランジ36aとの間に補強リブ50aが格子状に形成され(図10参照)、この補強リブ50aによって補強が図られている。また、上枠部36には、前枠16の開放を検知する前枠開放検知手段54が右側に偏倚して設けられ(図5または図10参照)、該前枠開放検知手段54の後側に配線通路51へ向けて前後方向に延在する配線溝53が上枠部本体50の上面に凹設されている。そして、開放検知手段54に接続した配線を、配線溝53を介して配線通路51に案内するようになっている。
図10に示すように、前記通路壁部51aの上端には、配線通路51の上方に張り出すように後方に突出する配線保持片55が設けられている。配線保持片55は、配線通路51における球タンク41の前側部位に左右に離間して複数(実施例では3ヵ所)設けられ、配線通路51において前後幅が狭くなった部位に挿通した前枠用配線H1の上方への抜け出しを規制している。球貯留部40の前壁部43には、配線保持片55の後側に対向する部位を含む所要領域に亘って、上端が凹むように挿通凹部56が形成され、該挿通凹部56によって配線保持片55を回避した配線通路51への前枠用配線H1の挿入を助けている。
図10に示すように、配線通路51は、球貯留部40における球タンク41の右側(前枠の16ヒンジと反対側)に位置して中枠14の後側に向けて第2配線通口57が開口しており、第2配線通口57を介して球タンク41の右側で前枠用配線H1が中枠14の後側に引き出される。ここで、図2に示すように、上枠部36の後面には、第2配線通口57の下方位置(上枠部36における球タンク41の右側)に、前枠用配線H1を保持する配線保持具100が設けられている。このように、中枠14では、上枠部本体50とこの上枠部本体50の後面から後方へ張り出すように形成された球貯留部40との段差部分である上枠部36の後面右側領域を前枠用配線H1を挿通する配線挿通路として用い、この配線挿通路を取り回された前枠用配線H1が、球貯留部40の下方に右側に偏倚するように設置された統括制御装置111に接続されるようになっている(図2参照)。
図10または図13に示すように、上枠部本体50の上面には、着脱可能な通路カバー部材(カバー部材)58が取り付けられ、この通路カバー部材58によって配線通路51の上部開口が覆われるようになっている。通路カバー部材58は、透明な樹脂成形品であって、上枠部本体50の上面の略全域を被覆可能な大きさに設定された板状の通路カバー本体58aと、この通路カバー本体58aの後縁に球貯留部40の前壁部43に沿って垂下するよう形成された短尺なカバー係止片58bとを備えている。通路カバー部材58は、上枠部本体50の上面に上方へ向けて突設されたカバー規制片50bに対応してカバー規制口58cが通路カバー本体58aに上下方向に貫通形成されている。なお、通路カバー部材58には、左右方向に離間して設けられた(実施例では3ヵ所)のカバー規制片50bに対応して、左右方向に離間して複数(3ヵ所)のカバー規制口58cが開設されている。通路カバー部材58は、カバー規制口58cにカバー規制片50bを挿入した状態で上枠部本体50の上面にねじ止め固定することで、配線通路51および配線溝53の上方を通路カバー本体58aで覆い、該配線通路51および配線溝53に通した配線が外れないように構成してある。
前記配線保持具100は、中枠14における第1配線開口52と反対側の側部に設けられ、球貯留部40の右側方で配線通路51の延在方向と異なる下方向に取り回した前枠用配線H1を保持するようになっている(図2参照)。また、配線保持具100は、中枠14と別体に形成されており、通路カバー部材58で覆われる部位から外れた位置に配設されている。更に、配線保持具100は、中枠14の後側に開閉可能に設けられたリアカバー25(図5参照)で覆われる部位から外れた部位に配設されており、パチンコ機10の後側に露出するようになっている。
図11に示すように、前記配線保持具100は、指先操作によって前枠用配線H1を挿通可能な閉じた保持路100aを画成する係止姿勢(図11(b)参照)と該保持路100aを開放して該前枠用配線H1を挿脱し得る開放姿勢(図11(a)参照)とに変位可能に構成されている。より具体的に説明すると、配線保持具100は、保持路100aを画成する対をなす配線保持片(保持片)101,101と、中枠14に係合保持される配線取付部104とを備えている。各配線保持片101は、可撓性を有する配線延出部(延出部)102と、この配線延出部102の先端部に膨出形成された配線係止部(係止部)103とを夫々備え、配線保持具100は、対をなす配線延出部102を互いに絡ませて配線係止部103を互いに引っ掛けることで前記係止姿勢とされる(図11(b)参照)。
図11に示すように、前記配線保持具100は、一対の配線保持片101,101が配線取付部104の後述する配線板部105の一面に向かい合うように設けられている。各配線保持片101は、配線板部105の一面(中枠14に取り付けた際の後面)から延出する配線延出部102が、断面略円形の丸棒状に形成されると共に、指先操作によって弾性変位可能に構成されている。一対の配線延出部102は、開放姿勢において、配線板部105に連なった根元側が対向する他方の配線延出部102から互いに離れるように凹状に湾曲し、先端側が該他方の配線延出部102に互いに近づくよう凹状に湾曲している(図11(a)参照)。配線保持具100は、一対の配線延出部102,102が対称な形状に形成されており、これらの配線延出部102,102における根元側の湾曲部間に前枠用配線H1が挿通される保持路100aが画成される。
前記各配線延出部102の先端に設けられた配線係止部103は、球状に形成されている(図11参照)。配線係止部103は、配線延出部102より大きな直径で形成されており、該配線係止部103が配線延出部102の延出方向と交差する方向に該配線延出部102から張り出すようになっている。
前記配線保持具100は、上枠部36の後面に設けられた保持具取付口36bに対して配線取付部104を係合することで、上枠部36に取り付けられる。図11に示すように、配線取付部104は、一対の配線保持片101,101が一面に設けられると共に他面が上枠部36の後面に当接する配線板部105と、この配線板部105の前面中央に、配線保持片101の延出方向と反対側に突出形成された取付係合片106と、配線板部105における左右の側縁の夫々に、取付係合片106と同じ方向に突出形成された一対の取付位置決め片107,107とから構成されている。ここで、配線保持具100では、配線取付部104の取付係合片106を挟んで対称な関係で一対の配線保持片101,101が設けられると共に、取付係合片106を挟んで対称な関係で一対の取付位置決め片107,107が設けられている。取付係合片106は、突出端部から根元側に向けて互いに離間するように分岐形成された一対の係合突片106a,106aを備えた略矢印形状に形成され、両係合突片106a,106aが互いに近づくように弾性変形可能に構成される。また、配線取付部104は、取付係合片106が左右の取付位置決め片107より配線板部105から長く延出するよう形成されている。
図11(a)に示すように、前記配線保持具100は、上枠部36の後面に左右方向に並べて3ヵ所形成された保持具取付口36bに対し、対応する取付係合片106および取付位置決め片107,107に挿入することで、上枠部36に対して係合保持されるようになっている。すなわち、配線保持具100は、取付係合片106を中央の保持具取付口36bに対して一対の係合突片106a,106aを互いに近接するように弾性変形しつつ押し込むことで、中央の保持具取付口36bに挿通した両係合突片106a,106aが上枠部36に引っ掛かり、配線保持具100が上枠部36に保持される。そして、配線保持具100は、左右の保持具取付口36b,36bに対して挿入した一対の取付位置決め片107,107によって、上下左右方向や取付係合片106を軸とした回転方向の変位が規制されて、前枠用配線H1を一対の配線保持片101,101によって適切な姿勢で保持し得るようになっている。また、配線保持具100では、取付係合片106における一対の係合突片106a,106aの離間方向と、一対の配線保持片101,101の離間方向が同じになるよう設定されており、配線取付部104を上枠部36に取り付けることで一対の配線保持片101,101が、係止姿勢で上下方向に開口する保持路100aを画成するように配置される。なお、配線保持具100は、一対の配線保持片101,101および配線取付部104が一体形成された合成樹脂成形品である。
前記前枠用配線H1は、前枠16の後面におけるヒンジ側に設けられた前枠ソケット16cに一端を接続し、中枠14における上枠部36のヒンジ側に開口している第1配線開口52に挿通される。前枠用配線H1は、配線通路51に臨む第1配線開口52を介して上枠部36の前側から後側に引き出され、配線通路51に挿通して球貯留部40の前側スペースを左右方向に取り回される。そして、前枠用配線H1は、配線通路51の第2配線開口57から球貯留部40の右側方を通して球貯留部40の下方に配設された統括制御装置111に他端が接続される(図2参照)。このように、球貯留部球40回りのスペースを有効利用して設けた配線通路51によって、前枠16に設けられたスピーカ24等の電気部品24に繋がる前枠用配線H1を他に干渉しないようにまとめることができる。
前記前枠用配線H1は、球貯留部40の側方において配線保持具100によって適切にまとめて保持される。配線保持具100は、一対の配線保持片101,101の先端部が互いに離間方向に向くように斜めに延在しているので(図11(a)参照)、両配線保持片101,101の間に前枠用配線H1を押し込み易く、両配線保持片が互いに近接するように窄まった部位を越えて保持路100aに押し込むことで、当該窄まった部位によって前枠用配線H1が保持路100aから抜け出し難い。そして、配線保持具100は、一対の配線保持片101,101の先端部を互いに絡めるように捩ることで、配線係止部103,103が互いに引っ掛かって保持路100aを閉成して(図11(b)参照)、保持路100aに挿通された前枠用配線H1が保持される。このように、実施例の配線保持具100によれば、前枠用配線H1を簡単に保持することができる。
前記前枠用配線H1を配線保持具100から取り外す際には、一対の配線保持片101,101を閉じる場合と反対に捩ることで、両配線係止部103,103の係合状態が簡単に解除される。そして、前枠用配線H1を保持路100aから引き抜くことで、一対の配線保持片101が弾性変形して互いに離間するように変位するので、保持路100aから前枠用配線H1を簡単に取り出すことができる。
このように、配線保持具100は、上枠部36と別体に形成したので、該配線保持具100を前枠用配線H1の保持路100aを開閉することができるような任意の形状に形成することができる。すなわち、配線保持具100は、前枠用配線H1の保持路100aを開閉する形状とすることで、前枠用配線H1を取り付け易く、かつ保持路100aに通した前枠用配線H1が抜け出ることを防止できる。そして、容易な前枠用配線H1の取り付けおよび取り外しを、前述した簡単な配線保持具100の構成で達成し得る。しかも、配線保持具100は、配線通路51によって左右方向に取り回された前枠用配線H1が上下方向に向きが変わる部位に配設されているので、前枠用配線H1を他の部材等に干渉させることなく適切にまとめることができる。そして、配線保持具100の設置部位は、通路カバー部材58やリアカバー25等によって被覆されていないが、配線保持具100によって前枠用配線H1を適切に保持することができる。
図6に示すように、前記球貯留部40の後壁部44には、球通路ユニット70の上端部を支持する上ユニット支持部47が形成されている。ここで、上ユニット支持部47は、球貯留部40からパチンコ球Sが送り出される球出口48側に設けられ、実施例では上枠部36の左側部に設けられている。上ユニット支持部47は、後壁部44より後方および下方に突出するよう形成されて、その略中央位置に前後に貫通する上部係合孔47aが開設されている。なお、上部係合孔47aは、上下に長手が延在する長孔形状に形成されている。
前記球通出案内部60は、下枠部37の裏側に概ね隠れる大きさに形成されて、該球通出案内部60が下枠部37より上方に大きく突出しないよう設定される。球通出案内部60における上ユニット支持部47の下方位置には、球通路ユニット70の下端部を支持する下ユニット支持部63が形成されている(図6参照)。下ユニット支持部63は、球通出案内部60の上端面より上方に延出するよう形成されると共に、該下ユニット支持部63に第1および第2球流通路61,62の一部が形成されている。なお、第1球流通路61は右側に位置し、第2球流通路62は左側に位置すると共に、両球流通路61,62は、上方に開口している。下ユニット支持部63には、上方および前方に開口する下部係合受部63aが形成されており、球通路ユニット70に形成される後述のユニット突出部71(図14参照)を、下部係合受部63aに対して挿脱し得るようになっている。また、下ユニット支持部63における上端部の左右側部には、球通路ユニット70に形成される後述のユニット枢軸72,72(図14参照)を回転可能に支持する軸受部63b,63bが上方に開口するよう形成されている。
次に、球貯留部40と球通出案内部60の球流通路61,62とを連通接続する球通路ユニット70について説明する。図2または図12〜図14に示すように、球通路ユニット70は、上下方向に延在する矩形状に形成されたユニット本体73と、該ユニット本体73に対して着脱可能に配設されたカセット形態の球払出装置74とを備え、後述する払出制御装置114の払出制御基板115からの信号に基づいて球払出装置74がパチンコ球Sの払出し動作を行うようになっている。また、球通路ユニット70は、上枠部36(具体的には上ユニット支持部47)および下枠部37(具体的には球通出案内部60に形成した下ユニット支持部63)の間に架設される(図2または図12参照)。ここで、球通路ユニット70は、上枠部36および球通出案内部60に対して左側方に偏った位置に設けられ、中枠14の開口領域14aの左側部後方に配置されている。
図12〜図14に示すように、前記ユニット本体73は、タンクレール42に連通接続する第1球通路(球通路)77が形成された第1通路形成部(通路形成部)76と、遊技盤30の後面に対向するように、第1通路形成部76から延出するユニット設置部(設置部)79とを備え、ユニット設置部79の前側に画成された空間部に、遊技盤30の裏側に設けた図柄表示装置34や該図柄表示装置を保持する表示装置取付部32b等を臨ませ得るようになっている(図13参照)。また、ユニット本体73は、第1通路形成部76に設けられた第1球通路77の下流側に連通接続される第2球通路81が形成された第2通路形成部80と、第2通路形成部80の下側に設けられて、後方に開口する開口部を介して球払出装置74を着脱自在に配設し得る装置設置部82と、該装置設置部82の開口部を開閉可能に閉成する装置カバー部材83とを備えている(図14参照)。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、装置設置部82に球払出装置74を配設すると共に、球通路ユニット70を上ユニット支持部47および下ユニット支持部63に架設した状態を基準に説明する。
前記球払出装置74は、後端部に上下に延在する球払出通路(図示せず)が形成されており、第1球通路77および第2球通路81を介して該球払出通路の上部開口から流入するパチンコ球Sを、球払出通路の下部開口から1個ずつ排出する装置である。すなわち、球払出装置74は、球払出通路でパチンコ球Sの通過規制を行っている状態において、当該通過規制位置から上流側の第1および第2球通路77,81にかけてパチンコ球Sが並ぶようになっている(図16参照)。なお、球払出装置74の後端面には、棒状部材や針金等を差込むことで操作可能な球抜操作部(図示せず)が設けられており、棒状部材や針金等の差込みにより球抜操作部を操作することで、球払出通路に流入したパチンコ球Sを球排出口から無条件で排出させ得るようになっている。
図13または図16に示すように、ユニット本体73には、第1通路形成部76の第1球通路77と第2通路形成部80の第2球通路81によって、タンクレール42から装置設置部82に連通接続するパチンコ球Sの流下路が形成されている。また、ユニット本体73の下部には、装置設置部82と球通出案内部60の第1球流通路61とを連通接続する第3球通路84が形成されている(図13または図14参照)。そして、第1〜第3球通路77,81,84は、通路幅がパチンコ球1個ずつの通過を許容する寸法に設定されている。球通路ユニット70は、球貯留部40の球出口48に連通する第1球通路77の球導入口78から流入したパチンコ球Sが、第1球通路77、第2球通路81、球払出装置74および第3球通路84を通って、球通出案内部60の第1球流通路61に流下するようになっている。
前記第1通路形成部76は、ユニット本体73の上部における左側に設けられ、左右方向の通路幅がパチンコ球1個ずつの通過を許容する幅に設定された第1球通路77に合わせて、左右方向の幅が設定されている(図5または図16参照)。また、第1通路形成部76は、遊技盤30の後側に設けられた図柄表示装置34の左側方に延在するようになっている。第1通路形成部76には、前後方向に延在する横引き部分が上下に折り重なる蛇行形状に第1球通路77が形成されている(図13参照)。すなわち、第1球通路77は、遊技盤30の後側に設けられた図柄表示装置34の左側方の前後スペースを利用して蛇行するように形成されており、第1通路形成部76の左右方向の寸法が最小限に抑えられてる。なお、「横引き」とは、通路の垂直方向の変位成分と比べて水平方向の変位成分が大きいことをいい、「縦引き」とは、通路の水平方向の変位成分と比べて垂直方向の変位成分が大きいことをいう。
前記第1球通路77の始端となる球導入口78は、第1通路形成部76の上端部における前側に偏倚した部位に位置して、上方に開口するようになっている。第1球通路77は、球通路ユニット70を側面から視た状態(図13に示す状態)において、球導入口78から下方に向かうにつれて後方へ延在し、球貯留部40の後側左隅部に設けられた球出口48に連通する球導入口78からの垂下ラインより後側の前後範囲において蛇行するように形成されている。図13に示すように、第1球通路77は、後方に凹むように湾曲した第1蛇行部77aとこの第1蛇行部77aの下流に連なって前方に凹むように湾曲した第2蛇行部77bとが、第1通路形成部76の上部に形成され、第2蛇行部77bの下流に鉛直方向に垂下する直線部77cが第1通路形成部76の後部に沿って形成されている。また、第1球通路77は、直線部77cの下流に連なって前方に凹むように形成された第3蛇行部77dと、この第3蛇行部77dの下流に連なって後方に凹むように形成された第4蛇行部77eと、この第4蛇行部77eの下流に連なって前方に凹むように形成された第5蛇行部77fとを、第1通路形成部76の下部に備えている。このように、第1球通路77は、蛇行するよう形成することで、球貯留部40から到来するパチンコ球Sを減勢させつつ流下させるようになっている。
前記ユニット設置部79は、第1通路形成部76の後縁部から右方に延出するように設けられ(図5、図12または図13参照)、ユニット本体73は、第1通路形成部76とユニット設置部79によって横断面視において略L字形状になっている。ユニット設置部79の後面には、端子板取付部79aが形成されており(図14(b)参照)、該端子板取付部79aに外部端子板85を着脱自在に配設し得るようになっている(図12または図13参照)。また、ユニット設置部79には、端子板取付部79aの右側方における第1球通路77の後側に重なる部位に、球検出センサ86(図12参照)を着脱可能なセンサ取付部79bが形成されており(図14(b)参照)、該センサ取付部79bに取付けた球検出センサ86により、第1球通路77内のパチンコ球Sの有無を検出している。そして、ユニット設置部79は、外部端子板85や球検出センサ86の取付部79a,79bが設けられる最小限の前後寸法に抑えられ(図13参照)、例えば球通路を該ユニット設置部79に設ける場合と比べて前後寸法を薄く設定することができる。
前記第2通路形成部80は、第1通路形成部76およびユニット設置部79の下方に設けられ、第1球通路77と装置設置部82に配設された球払出装置74とを繋ぐ第2球通路81を備えている(図12または図13参照)。第2球通路81は、ユニット本体73の左側に位置している第1球通路77の下端から右方に横引きした後に左方へ折り返すように湾曲し、この蛇行部位の下流側がユニット本体73の右側に沿って前方へ変位しつつ垂下し、更に左方へクランク状に屈曲する流路形状に形成されている。そして、第2球通路81は、装置設置部82の後部位置で球払出装置74に連通するように構成することで、第2球通路81(第2通路形成部80)の前側にもスペースを確保している。
図12に示すように、前記ユニット本体73には、第2球通路81の下流端部近傍から分岐する球抜き通路87が形成されている。球抜き通路87は、装置設置部82の左側部を通るように設けられて、ユニット本体73の下側前端部で下方に開口する導出口を介して球通出案内部60に形成した第2球流通路62に連通接続するようになっている。ユニット本体73には、第2球通路81と球抜き通路87との分岐位置に、第2球通路81から到来するパチンコ球Sの流下方向を変更する球抜規制部材88が配設されている(図12参照)。球抜規制部材88は、ユニット本体73の外方に突出する操作片88aを操作することで流路を切り替えるよう構成され、操作片88aが右方にある状態では球抜規制部材88が球抜き通路87を閉成してパチンコ球Sを球払出装置74側へ案内し、操作片88aを左方へ変位することで、パチンコ球Sが球抜き通路87へ案内されるようになっている。なお、図16は、球抜規制部材88が球抜き通路87を閉成して、第2球通路81を流下するパチンコ球Sを球払出装置74へ案内する状態を示している。
このように、前記球通路ユニット70は、ユニット設置部79に球通路が形成されていないので、該球通路ユニット70において遊技盤30の後側に延在するユニット設置部79の前後寸法を、球通路が設けられない分だけ薄くすることが可能となる。また、球通路ユニット70は、第1球通路77が形成される第1通路形成部76を、中枠14における開口領域14aの中央部側から離れる左枠部38側に設けると共に(図5参照)、該第1通路形成部76の左右幅をパチンコ球Sの1個ずつの通過を許容する第1球通路77に合わせて最小限に抑えている。これにより、球通路ユニット70において、ユニット設置部79の前側のスペースを広く確保することができ、遊技盤30の大型化を許容できる。第1通路形成部76には、遊技盤30の後側に設置される図柄表示装置34の左側のスペースを有効利用して、横引き部分が上下に折り重なる蛇行形状に第1球通路77を形成しているので、第1通路形成部76の左右方向の拡がりを抑制しつつ、第1球通路77を流下するパチンコ球Sの流下速度を適切に落とすことができる。そして、球通路ユニット70は、第1通路形成部76の第1球通路77が、球貯留部40の球出口48に接続する始端からの垂下ラインより後側の前後範囲に蛇行するよう形成されているので、第1通路形成部76の前側スペースを広くとることができる。
前記球通路ユニット70は、ユニット本体73の下部に設けられるユニット突出部71と、ユニット本体73の上部に設けられる回転式係合部材89とによって、上ユニット支持部47と下ユニット支持部63との間に着脱可能に架設される(図12または図13参照)。図14に示すように、ユニット突出部71は、ユニット本体73の下側前端部に、球通出案内部60の下ユニット支持部63に形成した下部係合受部63aに挿脱し得るよう下方へ突設され、ユニット突出部71を下部係合受部63aに挿入することで、球通路ユニット70の下部を位置決めしている。また、ユニット本体73の下側前端部には、該ユニット本体73の左右側面から突出するユニット枢軸72,72(図14参照)が形成されており、該ユニット枢軸72,72が下ユニット支持部63に形成された軸受部63b,63bで支持されるようになっている。すなわち、球通路ユニット70は、ユニット突出部71を下部係合受部63aに挿入した状態で、軸受部63b,63bで支持されたユニット枢軸72,72を中心として上部側を所要角度だけ前後へ傾倒することで、中枠14に着脱される。
前記回転式係合部材89は、円板部90と、該円板部90の後面側に形成されて作業者が摘み操作可能な把持部91と、円板部90の前面側に形成されて、上ユニット支持部47の上部係合孔47aに係脱自在に係合し得る係合突部92とから構成されている(図12、図13または図15参照)。ユニット本体73の上端部には、上方へ向けて突出する突出板部93を形成すると共に、この突出板部93に前後に貫通するよう挿通孔93aを形成し(図14参照)、挿通孔93aに係合突部92を後方から挿入することにより、回転式係合部材89が突出板部93(ユニット本体73)に回転可能に組み付けられる。そして、回転式係合部材89の係合突部92を上部係合孔47aに挿入した状態で、回転式係合部材89を略90°回転操作すると、係合突部92が上部係合孔47aの開口縁部に係合して、球通路ユニット70の上部が位置決め固定される。更に、回転式係合部材89を略90°回転操作すると、係合突部92と上部係合孔47aとの係合が解除され、球通路ユニット70の上部を上ユニット支持部47から離脱させ得るようになっている。
図6または図15に示すように、前記球貯留部40は、球出口48からのパチンコ球Sの通過を規制する閉成位置および該パチンコ球Sの通過を許容する開放位置の間で変位する球止部材94を備えている。球止部材94は、閉成位置に向けて付勢されており、球貯留部40に球通路ユニット70が取り付けられていない状態で該球止部材94が閉成位置にあって球出口48に臨むようになっている。また、球止部材94は、球貯留部40に対して取り付けられた球通路ユニット70によって、閉成位置から変位されて開放位置に保持される。
前記球止部材94は、球通路ユニット70の前側に位置して、球貯留部40の下面に設けられている(図15参照)。球止部材94は、球貯留部40の下面に固定される固定片部94aと、この固定片部94aの後縁から垂下するよう形成された変形片部94bと、この変形片部94bの下縁から前方に延出するように形成された開閉片部94cと、この開閉片部94cの前縁から垂下するように形成された当接片部94dとから構成されている。実施例の球止部材94は、弾力性を有する金属製の簿板を折り曲げて、固定片部94a、変形片部94b、開閉片部94cおよび当接片部94dが階段状に一体形成されている。球止部材94は、球出口48が開口する球貯留部40の底面より上側に延在する底面に対して固定片部94aが固定されると共に、球出口48が開口する球貯留部40の底面に沿って開閉片部94cが延在し、変形片部94bの弾性変形に伴って開閉片部94cが球出口48の開口面に沿って前後に変位するようになっている。球止部材94は、閉成位置で開閉片部94cが球出口48の下方に臨み、パチンコ球1個ずつの通過を許容する開口寸法に設定された球出口48に臨む開閉片部94cによって、球出口48からのパチンコ球Sの通過を規制している。ここで、球止部材94は、閉成位置で球出口48に対してパチンコ球Sの通過を規制し得る最小限の領域に臨むように設定されており、球出口48の半分以下の領域に臨むようになっている。球止部材94は、当接片部94dが球通路ユニット70における第1通路形成部76の前側に位置し、球通路ユニット70を上ユニット支持部47に取り付けることで、第1通路形成部76の前面で当接片部94dが前方に押されて、開閉片部94cが球出口48の下方から退避するようになっている。そして、球止部材94は、球貯留部40に対して取り付けられた球通路ユニット70の第1通路形成部76と当接片部94dとの当接下に、開閉片部94cが開放位置に保持される(図14参照)。
実施例の球止部材94によれば、球通路ユニット70を取り外しても、閉成位置にある球止部材94の開閉片部94cによって球出口48からのパチンコ球Sの流下を規制することで、球出口48からのパチンコ球Sのこぼれ落ちを防ぐことができる。また、球止部材94は、当接片部94dが球通路ユニット70に押されることで開閉片部94cが開放位置に保持される構成であるので、球通路ユニット70を取り付ければ、球止部材94を操作することなく球貯留部40と第1球通路77とが連通される。そして、球止部材94は、自身の弾力によって開閉片部94cが閉成位置に向けて付勢される構成であるので、球通路ユニット70が当接片部94dから離れれば、球止部材94を操作することなく開閉片部94cが閉成位置に戻る。このように、球止部材94は、弾力を用いた簡単な構成で該球止部材94を操作することなく、球通路ユニット70の着脱に合わせて球出口48を開閉することができる。
前記球通路ユニット70は、球貯留部40に設けられた球出口48に対して、第1球通路77の球導入口78を整合することで該球貯留部40に第1球通路77が連通接続される(図16参照)。そして、球通路ユニット70は、球出口48の開口面に対して球導入口78が開口する上端面を沿わせて前後方向に変位することで着脱するよう構成されている。前述の如く、球通路ユニット70は、中枠14への取付状態において、下部に設けたユニット枢軸72,72を軸受部63b,63bに保持させた状態で上部を後方へ傾倒させる構成であるので、球導入口78が開口する第1通路形成部76の上面と球貯留部52の下面との間に、傾倒時に第1通路形成部76の上端が引っ掛からないだけの僅かな隙間Gが設けられている(図16拡大図参照)。ここで、球出口48が設けられる球貯留部40の下面と第1通路形成部76の上面とは、平行な関係で形成されており、実施例では両者が水平面となっている。
前記第1球通路77および第2球通路81は、球払出装置74で通過規制されて該球通路77,81に並ぶ最上流のパチンコ球Sの上端が、球導入口78の開口面から球出口48の開口面の間に位置するよう設定されている(図16拡大図参照)。すなわち、最上流のパチンコ球Sの上端が、球導入口78の開口面に揃っていても(図16拡大図の破線参照)、該最上流のパチンコ球Sの上端が球導入口78の開口面より上方に突出していてもよい(図16拡大図の1点鎖線S参照)。但し、最上流のパチンコ球Sの上端が球導入口78の開口面より上方に突出する場合には、該上端が、球導入口78の上方に開口する球出口48にかからないように設定される。ここで、球通路ユニット70では、第1球通路77およびこの第1球通路77の下流側に連なる第2球通路81に、球払出装置74で通過規制されたパチンコ球Sが一列に並ぶようになっており(図16参照)、第1球通路77および第2球通路81の長さを適宜設定することで、球払出装置74におけるパチンコ球Sの通過規制位置から球導入口78までに並ぶパチンコ球Sの数を規定することができる。換言すると、球通路ユニット70は、球払出装置74の通過規制位置から球導入口78までの通路の長さが、整数倍のパチンコ球Sが並ぶ寸法から前記隙間Gを差し引いた寸法と、当該整数倍のパチンコ球Sが並ぶ寸法との範囲に設定されている。
前記球通路ユニット70は、球払出装置74においてパチンコ球Sが詰まった際に、球抜き操作を行っても球詰まりが解消しない場合に、第1および第2球通路77,81にパチンコ球が充填された状態で取り外す必要がある。実施例の球通路ユニット70によれば、球払出装置74で通過規制してパチンコ球Sが第1および第2球通路77,81に充填された状態で着脱しても、第1および第2球通路77,81に収まった最上流のパチンコ球Sが球貯留部40に引っ掛からないので、球通路ユニット70の着脱を円滑に行うことができると共に、第1球通路77からのパチンコ球Sのこぼれ落ちを防ぐことができる。
図2に示すように、前記パチンコ機10の裏側には、各種電気部品を制御する制御基板を備えた制御装置110,111,112,113,114が配設されている。遊技盤30の後面に着脱可能に配設される図柄表示装置34の後面には、遊技盤30に設けられる可動演出装置や発光装置を制御したり、前枠16に設けられる発光装置やスピーカ24を制御する統括制御装置111が配設されている。なお、図柄表示装置34の後面には、右側に偏倚した部位に設置された統括制御装置111の左側に、図柄表示装置34の表示を制御する演出表示制御装置(図示せず)が配設される。そして、統括制御装置111は、遊技盤30の後側に配設される主制御装置110に配線接続され、該主制御装置110からの制御信号に基づいて所定の制御を実行するようになっている。また、球通出案内部60の後面には、パチンコ機10の電源制御を行う電源装置112や、球発射装置23を制御する発射制御装置113や、球通路ユニット70に配設した球払出装置74を制御する払出制御装置114や、外部端末に接続されるインターフェース基板140等が配設されている。なお、電源装置112に繋がる配線(図示せず)についても、払出制御装置114とインターフェース基板140との間で、前述した配線保持具100と同様の配線保持具99(図2または図9参照)で保持されている。
図9、図17〜図19に示すように、前記払出制御装置114は、遊技用電気機器である球払出装置74を制御する払出制御基板(基板)115と、この払出制御基板115を保持し、球通出案内部60の後側に配設された払出設置部132に取り付けられる払出基板ケース(基板ケース)116と、この払出基板ケース116に着脱可能に取り付けられる払出基板カバー(基板カバー)126とを備えている。払出制御基板115には、球払出装置74等の遊技用電気機器またはインターフェース基板140等の他の基板に繋がる払出用配線H2(図2参照)が挿脱可能に接続される複数の払出ソケット(接続部)115a,115bと(図17参照)、メモリやトランジスタや抵抗等の電気素子(図示せず)とが設けられている。払出ソケット115a,115bは、払出制御基板115の後面に後方へ突出するよう設けられ、払出用配線H2の端部に設けられたコネクタ(図示せず)を受け入れる接続口が後方へ開口するようになっている。また、払出ソケット115a,115bは、払出基板ケース116の後面に該払出ソケット115a,115bに対応して開設された払出ソケット開口116aを介して払出基板ケース116の後方に突出するよう構成されている。なお、払出制御基板115の電気素子は、払出基板ケース116に収容される。
図18に示すように、前記払出基板ケース116は、後方に開口する略トレイ形状の第1ケース半体118と、前方に開口する略トレイ形状の第2ケース半体120とから構成され、第1ケース半体118の後縁と第2ケース半体120の前縁を突き合わせて組み付けられている。そして、払出基板ケース116は、第1ケース半体118と第2ケース半体120との間に画成される収容空間に払出制御基板115を収容保持するよう構成されている。第1ケース半体118には、左右の側壁上部に後側に開口する係止受口118aが夫々設けられると共に、下壁から下方に延出した部位にネジ受部119が左右に並んで複数(実施例では4ヵ所)設けられている。第2ケース半体120は、左右の側壁の夫々に第1ケース半体118の係止受口118a,118aに対応するように設けられ、後方へ延出する鉤状に形成された係止鉤部120a,120aを備えると共に、下壁の下方に第1ケース半体118のネジ受部119に対応して前後に貫通する円筒状のネジ止部121が複数(実施例では4ヵ所)設けられている。
前記払出基板ケース116は、係止鉤部120aを対応の係止受口118aに挿入して引っ掛けると共に、ネジ受部119にネジ止部121を整合して、ネジ止部121の後方から該ネジ止部121を介してネジ受部119にネジ122を螺挿することで(図18参照)、第1ケース半体118と第2ケース半体120とが払出制御基板115を保持した状態で組み付けられる(図9参照)。なお、ネジ止部121には、ネジ止めした後に不正防止キャップ123が嵌め合わされ、ネジ122に外方からアクセスし難くすることで、払出基板ケース116を開放して払出制御基板115に対して行う不正行為を行い難くすると共に当該不正行為が行われた際に痕跡が残るようになっている。図18の符号124は、試験や検査に際して払出基板ケース116を開放したときに用いる予備ネジであり、同様に符号125は、試験や検査に際して払出基板ケース116を開放したときに用いる予備不正防止キャップである。
前記払出制御基板115には、上部左側に左右方向に並んで複数(実施例では4つ)の払出ソケット(特に区別する場合は、上部払出ソケット115aという)が設けられ、第2ケース半体120の上部左側に開設された払出ソケット開口116aを介して払出基板ケース116の外方に臨んでいる(図17参照)。また、払出制御基板115には、左側部上側に上下に並んで複数(実施例では2つ)の払出ソケット(特に区別する場合は、側部接続ソケット115bという)が設けられ、第2ケース半体120の左側部上側に開設された払出ソケット開口116aを介して払出基板ケース116の外方に臨んでいる。例えば、球払出装置74に繋がる払出用配線H2(図2参照)は、右から2つ目の上部払出ソケット115aに接続され、球通路ユニット70に配設された球検出センサ86に繋がるセンサ用配線H3(図2参照)は、右から3つ目の上部払出ソケット115aに接続され、インターフェース基板140に繋がる取次用配線H4(図2参照)は、一番左側の上部払出ソケット115aに接続されている。なお、第2ケース半体120において払出ソケット開口116aが設けられる部位は、前方に凹むように形成されている。
前記払出基板カバー126は、払出制御基板115の上側に設けられた上部払出ソケット115aに配線H2〜H4を接続した状態で払出基板ケース116に対して着脱可能に取り付けられ、上部払出ソケット115aに接続した配線H2〜H4の抜き出し方向前側を覆うよう構成されている(図8または図13参照)。すなわち、実施例の払出基板カバー126は、4つ並んだ上部払出ソケット115aの後側を少なくとも覆うように構成され、当該払出基板カバー126を払出基板ケース116に取り付けた状態で上部払出ソケット115aおよび該ソケット115aに接続された配線H2〜H4に外方からアクセスし難くなっている。
図19に示すように、前記払出基板カバー126は、前方に開口する箱形状に形成された払出カバー本体127と、この払出カバー本体127の左側部に左方に延出するように形成された払出カバー延出部128とを備えている。また、払出基板カバー126は、端縁に払出基板ケース116に向けて延出形成された払出係止片(係止片)129を払出設置部132の端縁に引っ掛けて、払出設置部132に保持された払出基板ケース116に取り付けられている(図8または図13参照)。実施例の払出基板カバー126には、払出カバー本体127の上端縁に左右に離間して2つの払出係止片129,129が設けられ(図19(b)参照)、前方に向けて延出する払出係止片129の先端に設けられた爪129a(図19(c)参照)が払出設置部132の前面に引っ掛かるようになっている。ここで、払出基板カバー126は、上部払出ソケット115aに配線H2〜H4が接続された払出制御基板115を保持した払出基板ケース116に取り付け可能に構成されている。払出カバー延出部128は、前方に開口する凹溝状に形成されている。そして、払出基板カバー126には、上部払出ソケット115aからの抜き出し方向前側から外れた位置で該抜き出し方向と異なる向きに開口する払出配線開口(配線開口)130が設けられる(図8または図19(c)参照)。ここで、払出配線開口130および払出カバー延出部128の凹溝が左右方向に揃い、該凹溝および払出配線開口130に配線H2〜H4が挿通される。なお、払出基板カバー126には、払出カバー本体127の左側面に払出配線開口130が設けられ、この払出配線開口130を介して配線H2〜H4が取り回されている。
前記払出設置部132は、払出制御装置114の取付ベースとして用いられるだけでなく、払出制御装置114の右側方に設けられる中継基板109の取付ベースとして用いられている(図12参照)。払出設置部132は、払出制御装置114が固定される部位から左方に延出するように設けられた挿入取付部(取付部)133が、球通出案内部60の後面に右方に開口する門型に形成された受入支持部(支持部)64に挿入保持されると共に(図9参照)、右側上部に設けられて前後方向に貫通形成された筒状取付部(取付部)134に、球通出案内部60の後面に突設された挿入支持部(支持部)65を挿入することで(図2または図12参照)、着脱可能に保持される。挿入支持部65の後端部は、球通出案内部60からの突出方向と交差する半径方向へ弾力的に拡縮変形するよう形成されて、筒状取付部134と弾力的に係合するようになっている。そして、配線H2〜H4を上部払出ソケット115aに接続して払出基板カバー126を払出基板ケース116に取り付けた状態で、払出設置部132を球通出案内部60に対して着脱することができる。
前記払出制御装置114は、1つの払出基板カバー126によって払出制御基板115の複数の上部払出ソケット115aおよび該ソケット115aに接続された配線H2〜H4を覆う構成であるので、簡単な構成で複数の配線H2〜H4の接続部分への外部からの不正なアクセスを妨げることができる。また、払出基板カバー126は、上部払出ソケット115aに配線H2〜H4を接続していても、該配線H2〜H4を払出配線開口130に挿通させた状態で、払出基板ケース116に取り付けることができる。しかも、払出基板カバー126は、払出基板ケース116への取り付け時に、上部払出ソケット115aに対する配線H2〜H4の挿脱を規制するものであるが、払出基板ケース116に対して着脱可能であるので、正規のメンテナンス等に伴う上部払出ソケット115aに対する配線H2〜H4の挿脱が、払出基板カバー126を取り外すことで許容される。なお、払出基板カバー126は、払出係止片129の爪129aによって引っ掛けて払出基板ケース116に取り付ける構成であるので、工具を用いることなく指先操作で着脱可能である。前述したように、払出基板カバー126には配線H2〜H4を通すための払出配線開口130が必要であるが、上部払出ソケット115aから外した位置に払出配線開口130が設けられているので、上部払出ソケット115aおよびこのソケット115aに接続した配線H2〜H4に対して払出配線開口130からのアクセスを行い難い。そして、払出制御装置114は、賞球の払い出しに関わる球払出装置74に制御する払出制御基板115が設けられているので、該球払出装置74に繋がる払出用配線H2が繋がる接続部分について払出基板カバー126で覆うことで、不正行為防止対策として非常に意義がある。
図2、図7または図9に示すように、前記インターフェース基板140は、球通出案内部60の後側に設けられた取次設置部66に取り付けられる取次基板ケース(基板ケース)142に保持されており、この取次基板ケース142に取次基板カバー(基板カバー)150(図20参照)が着脱可能に取り付けられている。インターフェース基板140には、外部端子や遊技用電気機器や払出制御基板115等の他の基板に繋がる配線H4(図2参照)が挿脱可能に接続される複数の取次ソケット(接続部)140a,140bと(図6または図7参照)、トランジスタや抵抗やヒューズ等の電気素子とが設けられている。取次ソケット140a,140bは、インターフェース基板140の後面に後方へ突出する設けられ、配線H4の端部に設けられたコネクタ(図示せず)を受け入れる接続口が後方へ開口するようになっている。また、取次ソケット140a,140bは、取次基板ケース142に該取次ソケット140a,140bに対応して開設された取次ソケット開口142aを介して取次基板ケース142の後方に突出している。
前記取次基板ケース142は、前方に開口する略トレイ形状の部材であって、前側に画成される収容空間にインターフェース基板140を収容保持するようになっている(図9参照)。インターフェース基板140は、複数の取次ソケット140a,140bを備えているが、取次基板カバー150の被覆対象になるのは、上下方向中央部に設けられ、払出制御基板115に繋がる取次用配線H4が接続される取次ソケット(特に区別する場合は、中央取次ソケット140aという)だけである(図7参照)。
前記取次基板カバー150は、インターフェース基板140の中央取次ソケット140aに取次用配線H4を接続した状態で取次基板ケース142に対して着脱可能に取り付けられ、中央取次ソケット140aに接続した取次用配線H4の抜き出し方向前側を覆うよう構成されている(図7参照)。すなわち、実施例の取次基板カバー150は、中央取次ソケット140aの後側を少なくとも覆うように構成され、当該取次基板カバー150を取次基板ケース142に取り付けた状態で中央取次ソケット140aおよび該ソケット140aに接続された取次用配線H4に外方からアクセスし難くなっている。 図20に示すように、取次基板カバー150は、取次基板ケース142の後側に延在する板状部分150aを基本とし、中央取次ソケット140aの後側が後方へ凹むように形成されて、当該凹状部150bによって中央取次ソケット140aに接続される取次用配線H4の挿通スペースを画成している。
前記取次基板カバー150は、端縁に取次基板ケース142に向けて延出形成された取次係止片(係止片)151を取次基板ケース142の端縁に引っ掛けて、中央取次ソケット140aに取次用配線H2が接続されたインターフェース基板140を保持した取次基板ケース142に取り付けられている(図7または図9参照)。実施例の取次基板カバー150には、左右の側縁の夫々に取次係止片151,151が設けられ(図20(b)参照)、前方に向けて延出する取次係止片151の先端に設けられた爪151aが取次基板ケース142の前面に引っ掛かるようになっている。そして、取次基板カバー150には、中央取次ソケット140aからの抜き出し方向前側から外れた位置で該抜き出し方向と異なる向きに開口する取次配線開口152が設けられ(図7または図20(c)参照)、この取次配線開口152に取次用配線H4が挿通される。取次基板カバー150には、凹状部150bの右側面に取次配線開口152が設けられ、この取次配線開口152を介して右方へ取次用配線H4が取り回されている。
図9に示すように、前記取次基板ケース142は、左側縁から左方に突出するように設けられた嵌入取付部(取付部)143が、取次設置部66の左側に右方に開口する門型に形成された受口支持部(支持部)67に挿入保持されると共に、右側縁に設けられた係合取付部(取付部)144を、取次設置部66の右側に設けられた係合支持部(支持部)68に挿入することで、着脱可能に保持される。ここで、係合取付部144は、平面視で折り返し部分が前側に位置する略V字形状に形成されており、向かい合う板面が互いに近接する弾性変形可能になっている。そして、係合取付部144は、係合支持部68に弾力的に係合することで保持されている。
前記インターフェース基板140は、1つの取次基板カバー142によって該インターフェース基板140の中央取次ソケット140aおよび該ソケット140aに接続された配線H4を覆う構成であるので、簡単な構成で複数の配線H4の接続部分への外部からの不正なアクセスを妨げることができる。また、取次基板カバー150は、中央取次ソケット140aに取次用配線H4を接続していても、該配線H4を取次配線開口152に挿通させた状態で、取次基板ケース142に取り付けることができる。しかも、取次基板カバー150は、取次基板ケース142への取り付け時に、中央取次ソケット140aに対する取次用配線H4の挿脱を規制するものであるが、取次基板ケース142に対して着脱可能であるので、正規のメンテナンス等に伴う中央取次ソケット140aに対する取次用配線H4の挿脱が、取次基板カバー150を取り外すことで許容される。なお、取次基板カバー150は、取次係止片151の爪151aによって引っ掛けて取次基板ケース142に取り付ける構成であるので、工具を用いることなく指先操作で着脱可能である。前述したように、取次基板カバー150には取次用配線H4を通すための取次配線開口152が必要であるが、中央取次ソケット140aから外した位置に取次配線開口152が設けられているので、中央取次ソケット140aおよびこのソケット140aに接続した取次用配線H4に対して取次配線開口152からのアクセスを行い難い。
(変更例)
なお、遊技機の構成としては、実施例のものに限らず、種々の変更が可能である。
(1)実施例の中枠は、別体の枠部を組み合わせて構成したが、全体を一体形成しても、上枠部および左枠部等の一部を一体形成してもよい。
(2)実施例の球貯留部は、球タンクとタンクレールとを一体形成したが、球タンクとタンクレールとを別体に形成してもよい。
(3)実施例では、球通路ユニットを傾倒して球貯留部に対して着脱する構成を説明したが、前後方向または左右方向にスライド移動させて着脱する構成であってもよい。
(4)払出制御装置の払出基板カバーを、統括制御装置やその他の制御装置に適用してもよい。
(5)実施例では、本発明を実施する遊技機としてパチンコ機を例示して説明したが、これに限定されるものではなく、アレンジボール機等の従来公知の各種遊技機に対しても好適に採用し得る。