JP5461973B2 - 多孔質膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高分子を主体とする多孔質膜及びその製造方法、より詳しくは、膜強度、耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れる多孔質膜及びその製造方法に関する。
本発明の多孔質膜は、多孔質膜の空孔特性を利用することにより、精密濾過、分離濃縮等の膜分離技術における分離膜、低誘電率材料、電池用セパレーター、電解コンデンサー、クッション材、インク受像シート、絶縁材、断熱材、電解質膜基材等の広範囲な基板材料として利用することができる。さらに、多孔質膜の表面を機能性化することにより、回路用基板、放熱材(ヒートシンク、放熱板)、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、アンテナ、細胞培養基材等として利用することができる。
本発明の多孔質膜は、多孔質膜の微小孔により優れた印刷特性を示すので、多孔質膜上への機能性材料の微細印刷が可能であり、上記のなかでも特に、電磁波制御材、回路基板、アンテナ、放熱板等の基板材料として有用である。
従来より、高分子を主体とする多孔質膜が知られている。それを製造する方法として、多孔質膜を構成すべき高分子を含む溶液を、基材上にフィルム状に流延し、その後、これを凝固液中に導き、多孔質膜を得る方法(湿式相転換法)が知られている。
例えば、特開2003−313356号公報、特開2004−175104号公報、特開2005−162885号公報、特開2007−126638号公報、特開2007−246876号公報には、湿式相転換法による多孔質層のみからなる多孔性膜が開示されている。
また、特開2009−73124号公報には、湿式相転換法による基材と多孔質層とから構成される積層体が開示され、湿式相転換法による多孔質層のみからなる多孔性膜が開示されている。
特開2003−313356号公報 特開2004−175104号公報 特開2005−162885号公報 特開2007−126638号公報 特開2007−246876号公報 特開2009−73124号公報 特開2006−237322号公報
しかしながら、最近では多孔質膜が適用される用途が広がっており、従来の高分子を主体とする多孔質膜では、各用途に要求される性能、例えば、膜強度、耐熱性、耐薬品性、耐久性等の性能が不十分であることも多い。
例えば、種々の用途において、多孔質膜が、強い極性溶媒、アルカリ、酸、その他の薬品に晒されることがある。また、多孔質膜上に機能性層(機能性パターン)を形成する際に、高温処理を受けることもある。また、多孔質膜の使用期間中において、高温・高湿環境下であっても、寸法変化を起こすことは好ましくない。さらに、多孔質膜が、繰り返しの使用に耐えうることも必要である。
本発明の目的は、高分子を主体とする多孔質膜であって、空孔特性に優れ、柔軟性を有し、取扱性及び成形加工性に優れ、且つ架橋構造形成により、膜強度、耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れる多孔質膜、及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、前記多孔質膜又は前記多孔質膜由来の高分子層の表面上に導電性材料等の機能性材料からなる機能性層が形成された機能性積層体を得るためにも用いられる前記多孔質膜を提供することにある。
本発明には、以下の発明が含まれる。
(1) 多数の微小孔が存在する多孔質膜であって、
前記多孔質膜は、主成分として架橋可能な官能基を有する高分子と、前記架橋可能な官能基と架橋反応し得る架橋剤とを含む組成物から構成され、
前記多孔質膜中に含まれている前記架橋剤は、未反応の状態であり、
前記多孔質膜における微小孔の平均孔径が0.01〜10μmであり、空孔率が30〜85%である多孔質膜。
前記多孔質膜を構成する上記高分子は、架橋可能な官能基を有している。前記架橋剤は、各高分子中の官能基と架橋し得るものである。そのため、前記架橋剤に応じて、加熱処理、及び/又は活性エネルギー線照射処理を行い架橋剤を反応させることにより、前記多孔質膜中に架橋構造が形成される。
(2) 前記高分子に含まれる架橋可能な官能基は、アミド基、カルボキル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、エポキシ基、アルデヒド基、及び酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(1) に記載の多孔質膜。
(3) 前記高分子は、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリエーテルイミド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(1) 又は(2) に記載の多孔質膜。
(4) 前記架橋剤は、2個以上のエポキシ基を含有する化合物、ポリイソシアネート化合物、及びシランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記(1) 〜(3) のうちのいずれかに記載の多孔質膜。
(5) 前記多孔質膜は、5〜200μmの厚みを有する、上記(1) 〜(4) のうちのいずれかに記載の多孔質膜。
(6) 前記多孔質膜は、前記多孔質膜を構成すべき前記高分子と前記架橋剤とを含む多孔質膜形成用材料の溶液を、基材上にフィルム状に流延し、その後、これを凝固液中に浸漬し、フィルム状多孔質層を前記基材から剥離し、次いで、前記フィルム状多孔質層を乾燥に付すことにより形成されたものである、上記(1) 〜(5) のうちのいずれかに記載の多孔質膜。
(7) 上記(1) 〜(6) のうちのいずれかに記載の多孔質膜を製造する方法であって、
前記多孔質膜を構成すべき前記高分子と前記架橋剤とを含む多孔質膜形成用材料の溶液を、基材上にフィルム状に流延し、その後、これを凝固液中に浸漬し、フィルム状多孔質層を前記基材から剥離し、次いで、前記フィルム状多孔質層を乾燥に付すことを含む、多孔質膜の製造方法。
(8) 前記多孔質膜形成用材料の溶液を前記基材上にフィルム状に流延した後、相対湿度70〜100%、温度15〜100℃の雰囲気下に0.2〜15分間保持し、その後、これを凝固液中に浸漬する、上記(7) に記載の多孔質膜の製造方法。
(9) 上記(1) 〜(6) のうちのいずれかに記載の多孔質膜又は前記多孔質膜由来の高分子層の表面上に、導電体層、誘電体層、半導体層、絶縁体層、及び抵抗体層からなる群より選ばれる機能性層を有する機能性積層体であって、
前記多孔質膜又は前記多孔質膜由来の高分子層は、前記架橋剤により架橋構造が形成されているものである、機能性積層体。
この明細書において、前記多孔質膜由来の高分子層とは、架橋構造を形成するための架橋処理(加熱処理、活性エネルギー線照射処理)、及び/又は機能性層の機能性を発現させるための処理(加熱処理等)によって、前記多孔質膜中の微小孔が消失した層を意味している。前記多孔質膜由来の高分子層は、微小孔の消失により透明化していることもある。
(10) 前記機能性層は、パターン化されている、上記(9) に記載の機能性積層体。
(11) 上記(1) 〜(6) のうちのいずれかに記載の多孔質膜又は前記多孔質膜由来の高分子層の表面上に、導電体層、誘電体層、半導体層、絶縁体層、及び抵抗体層からなる群より選ばれる機能性層を有する機能性積層体を製造する方法であって、
上記(1) 〜(6) のうちのいずれかに記載の多孔質膜の表面上に、導電体層、誘電体層、半導体層、絶縁体層、抵抗体層、及び前記層の前駆体層からなる群より選ばれる層を形成し、
加熱処理、及び/又は活性エネルギー線照射処理を行い、前記多孔質膜中の前記架橋剤により架橋構造を形成することを含む、機能性積層体を製造する方法。
(12) 前記機能性層は、パターン化されている、上記(11)に記載の機能性積層体。
本発明の多孔質膜は、前記多孔質膜における微小孔の平均孔径、及び空孔率が特定範囲とされ、多孔質膜の柔軟性、耐折性、取扱性に優れている。
そして、前記多孔質膜は、架橋可能な官能基を有している高分子と、前記官能基と架橋し得る架橋剤とを含む組成物から構成されているので、前記架橋剤の種類に応じて、加熱処理、及び/又は活性エネルギー線照射処理などの架橋処理を行うことにより、前記多孔質膜中に架橋構造が形成される。架橋構造形成により、膜強度、耐熱性、耐薬品性(耐溶剤性、耐酸性、耐アルカリ性など)、耐久性に優れる多孔質膜が得られる。
また、前記多孔質膜が、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリエーテルイミド系樹脂からなる群より選ばれる樹脂材料からなる耐熱性高分子であると、より一層耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れる多孔質膜が得られる。
本発明の多孔質膜は、多孔質膜の空孔特性を利用することにより、精密濾過、分離濃縮等の膜分離技術における分離膜、低誘電率材料、電池用セパレーター、電解コンデンサー、クッション材、インク受像シート、絶縁材、断熱材、電解質膜基材等の広範囲な基板材料として利用することができる。さらに、多孔質膜の表面を機能性化することにより、回路用基板、放熱材(ヒートシンク、放熱板)、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、アンテナ、細胞培養基材等として利用することができる。
本発明の多孔質膜は、多孔質膜の微小孔により優れた印刷特性を示すので、多孔質膜上への機能性材料の微細印刷が可能であり、上記のなかでも特に、電磁波制御材、回路基板、アンテナ、放熱板等の基板材料として有用である。
また、本発明の多孔質膜は、多孔質膜又は前記多孔質膜由来の高分子層の表面上に導電性材料等の機能性材料からなる機能性層が形成された機能性積層体を得るためにも好適に用いられる。架橋構造形成により、多孔質膜又は前記多孔質膜由来の高分子層は、膜強度、耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れる。
耐薬品性評価試験における寸法変化測定を説明するための平面図である。
1: 多孔質膜サンプル
a,b,c: 直角三角形の各辺
本発明の多孔質膜について説明する。
本発明の多孔質膜は、多数の微小孔が存在する多孔質膜であって、前記多孔質膜は、主成分として架橋可能な官能基を有する高分子と、前記架橋可能な官能基と架橋反応し得る架橋剤とを含む組成物から構成され、前記多孔質膜における微小孔の平均孔径が0.01〜10μmであり、空孔率が30〜85%であるものである。架橋構造形成により、膜強度、耐熱性、耐薬品性、耐久性に優れる多孔質膜が得られる。
多孔質膜を構成する高分子に含まれる架橋可能な官能基としては、例えば、アミド基、カルボキル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、エポキシ基、アルデヒド基、酸無水物基等を挙げることができる。これらの官能基が高分子中に何種類含まれていても構わない。
多孔質膜を構成する高分子は、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリエーテルイミド系樹脂からなる群より選ばれる架橋可能な官能基を有している少なくとも1種の高分子が好ましい。これらの高分子成分は、耐熱性に優れ、熱成形が可能であり、機械的強度、耐薬品性、電気特性に優れている。
ポリアミドイミド系樹脂は、通常、無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応、又は無水トリメリット酸クロライドとジアミンとの反応により重合した後、イミド化することによって製造することができる。分子中に多数のアミド基を有しているため、これを架橋可能な官能基として好ましく用いることができる。また、イミドの一部が未反応な前駆体(アミック酸)の状態として反応性を残したものも存在し、このアミック酸を構成するアミド基やカルボキシル基を架橋可能な官能基として利用することができる。また、ポリアミドイミド系樹脂は前述のように無水トリメリット酸とジイソシアネートとの反応、又は無水トリメリット酸クロライドとジアミンとの反応により重合して製造されるため、末端にカルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基等が残存している場合が多く、これらも架橋可能な官能基として利用することができる。
ポリイミド系樹脂は、例えば、テトラカルボン酸成分とジアミン成分との反応によりポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を得て、それをさらにイミド化することにより製造することができる。多孔質層をポリイミド系樹脂で構成する場合には、イミド化すると溶解性が悪くなるために、まずポリアミック酸の段階で多孔膜を形成してからイミド化(熱イミド化、化学イミド化等)するとよい。前駆体の分子中に多数のカルボキシル基やアミド基を有しているため、これを架橋可能な官能基として好ましく用いることができる。また、ポリアミドイミド系樹脂の場合と同様に、末端にカルボキシル基、アミノ基等が残存している場合が多く、これらも架橋可能な官能基として利用することができる。
ポリアミド系樹脂は、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、ラクタムの開環重合、アミノカルボン酸の重縮合などによって製造することができる。芳香族ポリアミド系樹脂も含まれる。分子中に多数のアミド基を有しているため、これを架橋可能な官能基として好ましく用いることができる。ポリアミドイミド系樹脂の場合と同様に、末端にカルボキシル基、アミノ基等が残存している場合が多く、これらを架橋可能な官能基として利用することができる。
ポリエーテルイミド系樹脂は、例えば、エーテル結合を有する芳香族テトラカルボン酸成分とジアミン成分との反応によりポリアミック酸を得て、それをさらにイミド化することにより製造することができる。このアミック酸を構成するアミド基やカルボキシル基を架橋可能な官能基として利用することができる。また、ポリアミドイミド系樹脂の場合と同様に、末端にカルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基等が残存している場合が多く、これらも架橋可能な官能基として利用することができる。
このように架橋可能な官能基は、前記高分子の前駆体に存在していてもよい。イミド系の樹脂(ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂)は、イミド基部分が完全に未反応な前駆体(アミック酸)の状態であったり、一部が未反応な前駆体(アミック酸)の状態として製造することができるし、実際にそのような形態で販売されているものもある。一般的には加熱によってアミック酸をイミドに変換させてイミド系樹脂として使用されるが、本発明においては、この前駆体アミック酸を構成するアミド基やカルボキシル基を架橋可能な官能基として利用することを含む。
また、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、又はポリエーテルイミド系樹脂を修飾することにより架橋可能な官能基をこれら樹脂に導入してもよい。
また、架橋可能な官能基は、樹脂の主鎖に存在していてもよいし、側鎖に存在していてもよい。さらに分子鎖の途中に存在していてもよいし、末端に存在していてもよい。また、架橋可能な官能基は前記高分子に含まれるベンゼン環に存在していてもよい。
本発明において、多孔質膜を構成する高分子として、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂の他に、例えば、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエステル系樹脂、液晶性ポリエステル系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂等を用いてもよい。
これらの高分子成分は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよく、また、上記樹脂の共重合体(グラフト重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体)を単独で又は組み合わせて用いることも可能である。さらに、上記樹脂の骨格(ポリマー鎖)を主鎖又は側鎖に含む重合物を用いてもよい。このような重合物の具体例として、ポリシロキサンとポリイミドの骨格を主鎖に含むポリシロキサン含有ポリイミドが挙げられ、架橋可能な官能基として、ポリイミド前駆体のアミック酸を構成するアミド基やカルボキシル基を利用することができる。
架橋剤は、前記高分子が有している架橋可能な官能基と反応し架橋できるものである。前記架橋剤としては、例えば、2個以上のエポキシ基を含有する化合物、ポリイソシアネート化合物、及びシランカップリング剤が挙げられる。
前記2個以上のエポキシ基を含有する化合物は、前記高分子が有している架橋可能な官能基(アミド基、カルボキル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、エポキシ基、アルデヒド基、酸無水物基)と反応し得る。前記2個以上のエポキシ基を含有する化合物は、一般にエポキシ樹脂と称されることも多い。
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型やビスフェノールF型等のビスフェノール系、フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型等のノボラック系等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂; 脂環式エポキシ樹脂; 及びこれらの変性樹脂などの多様な樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂の市販品としては、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社の「アラルダイト」、ナガセケムテックス社の「デナコール」、ダイセル化学工業社の「セロキサイド」、東都化成社の「エポトート」、ジャパンエポキシレジン社の「jER」等を利用できる。
前記ポリイソシアネート化合物は、前記高分子が有している架橋可能な官能基(カルボキル基、アミノ基、水酸基、エポキシ基、酸無水物基)と反応し得る。ポリイソシアネート化合物として、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート; ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート; イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添MDIなどの脂環族ポリイソシアネートなどを挙げることができる。ポリイソシアネート化合物の市販品としては、三井化学ポリウレタン社の「タケネート」、日本ポリウレタン社の「コロネート」等を利用できる。
前記シランカップリング剤は、前記高分子が有している架橋可能な官能基(アミド基、カルボキル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、エポキシ基、アルデヒド基、酸無水物基)と反応し得る。シランカップリング剤として、N―2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。信越化学工業社のシランカップリング剤を利用できる。多孔質膜の表面上に各種機能性層を形成する場合には、多孔質膜と機能性層との密着性向上に有効である。
上記以外の架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、アルキッド樹脂、ジアルデヒド化合物、酸無水物類等を挙げることができる。
メラミン樹脂は、前記高分子が有している架橋可能な官能基(アミノ基、水酸基、アルデヒド基)と反応し得る。メラミン樹脂として、例えば、三井化学社の「ユーバン20SB」、DIC社の「スーパーベッカミン」を利用できる。
フェノール樹脂は、前記高分子が有している架橋可能な官能基(カルボキル基、アミノ基、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基、酸無水物基)と反応し得る。フェノール樹脂として、例えば、住友ベークライト社の「スミライトレジン」を利用できる。
尿素樹脂は、前記高分子が有している架橋可能な官能基(アミノ基、水酸基、アルデヒド基)と反応し得る。尿素樹脂として、例えば、三井化学社の「ユーバン10S60」を利用できる。
グアナミン樹脂は、前記高分子が有している架橋可能な官能基(アルデヒド基)と反応し得る。グアナミン樹脂として、例えば、三和ケミカル社の「ニカラックBL−60」を利用できる。
アルキッド樹脂は、前記高分子が有している架橋可能な官能基(カルボキル基、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基、酸無水物基)と反応し得る。アルキッド樹脂として、例えば、DIC社の「ベコゾール」を挙げることができる。
ジアルデヒド化合物は、前記高分子が有している架橋可能な官能基(アミノ基、水酸基)と反応し得る。ジアルデヒド化合物として、例えば、グリオキザールが挙げられる。
酸無水物類は、前記高分子が有している架橋可能な官能基(アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基)と反応し得る。酸無水物類として、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(Me−THPA)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(Me−HHPA)、メチルナジック酸無水物(NMA)、水素化メチルナジック酸無水物(H−NMA)、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸(TATHPA)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸ニ無水物(MCTC)、無水フタル酸(PA)、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸ニ無水物(BTDA)、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート(TMEG)、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート(TMTA)、ドデセニル無水コハク酸(DDSA)、脂肪族ニ塩基酸ポリ無水物、クロレンド酸無水物等を挙げることができる。
本発明において、用いる前記高分子の種類に応じて、反応性を考慮して架橋剤を選択するとよい。架橋剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
高分子中の架橋可能な官能基と架橋剤を反応させる方法としては、熱、活性エネルギー線(可視光線、紫外線、電子線、放射線)照射による物理的処理が挙げられる。熱処理が簡便なため好ましく用いられる。また、紫外線、電子線、放射線などの活性エネルギー線照射も短時間で大きなエネルギーを与え、反応を促進させることができるため、好ましく用いられる。また、架橋剤の反応は無触媒で進行させることも可能であるが、触媒を添加して反応を促進させることもできる。
多孔質膜を構成する組成物において、架橋可能な官能基を有している高分子と前記官能基と架橋し得る架橋剤との配合比については、特に限定されることはなく、所望の架橋度合い、高分子と架橋剤の種類、官能基と架橋剤との反応性等を考慮して、適宜決定される。例えば、高分子100重量部に対して、架橋剤2〜312.5重量部とするとよい。高分子100重量部に対して、架橋剤が2重量部未満では、架橋度合が小さいであろう。高分子100重量部に対して、架橋剤が312.5重量部を超えると、架橋剤が過剰となり、架橋反応に寄与しない架橋剤が架橋処理後の多孔質膜中に残存するおそれがある。架橋剤の下限量については、高分子100重量部に対して、架橋剤10重量部以上が好ましく、架橋剤20重量部以上がより好ましい。架橋剤の上限量については、高分子100重量部に対して、架橋剤200重量部以下が好ましく、架橋剤150重量部以下がより好ましい。
多孔質膜の厚みは、例えば5〜200μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは15〜50μmである。厚みが薄くなりすぎると安定して製造することが困難になり、また、クッション性能が低下したり、印刷特性が低下する場合がある。一方、厚すぎる場合には孔径分布を均一に制御することが困難になる。
本発明において、多孔質膜の多数の微小孔は連通性の低い独立した微小孔であってもよいし、連通性のある微小孔であってもよい。前記多孔質膜における微小孔の平均孔径(=多孔質膜内部の微小孔の平均孔径)は0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmである。平均孔径が上記範囲外である場合には、用途に応じた所望の効果が得られにくい点で空孔特性に劣る。平均孔径が0.01μmより小さいと、クッション性能が低下したり、断熱性が低下したりする場合があり、また、多孔質膜は本発明の相分離法では製造が困難である。一方、平均孔径が10μmを超えると、多孔質膜中で孔径分布を均一に制御することが困難になり、多孔質膜の各部位で比誘電率が不均質となる場合がある。
多孔質膜が多数の微小孔を有するという特徴は電子顕微鏡による観察により、判断することができる。多くの場合、多孔質膜表面からの観察により球形状の小室、円形・楕円形状の孔、又は繊維状の構成物等の存在が判断でき、また多孔質膜断面の観察により、球形状の壁に囲まれた小室、繊維状の構成物により囲まれた小室の存在を確認することができる。多孔質膜の表面に薄いスキン層が形成されたものであってもよいし、孔の開いた状態になっているものでもよい。
多孔質層の内部の空孔率(平均開孔率)は、例えば30〜85%、好ましくは35〜85%、さらに好ましくは40〜85%である。空孔率が上記範囲外である場合には、用途に対応する所望の空孔特性が得られにくく、例えば空孔率が低すぎると、誘電率が上がったり、クッション性能が低下したり、断熱性が低下したり、印刷特性が低下する場合がある。一方、空孔率が高すぎると、強度や耐折性に劣る可能性がある。
多孔質膜がこのような微小孔の平均孔径と空孔率とを備えることによって、柔軟性と優れた空孔特性を備える一方、適度な剛性を有するため取扱性が向上している。
また、多孔質膜の表面の開孔率(表面開孔率)としては、例えば90%以下(例えば0〜90%)であり、好ましくは0〜80%程度である。表面開孔率が高すぎると機械的強度、耐折性が低下しやすくなったりするおそれがある。多孔質膜の表面の開孔率は用途によって高い方が好ましい場合と低い方が好ましい場合とがある。
例えば、多孔質膜と銅箔を接着して低誘電率基材の銅張り積層板を製造する場合、銅箔との接着時に接着剤が中に浸透して比誘電率を低下させたりするおそれがあるし、さらにエッチングして回路を形成する場合、エッチング液が多孔質膜内部に浸透して内部からの好ましくないエッチングが起こったりするおそれがあるため、表面開孔率は低い方が好ましい。
例えば、燃料電池の電解質膜基材として使用する場合には、多孔質膜に電解質を充填するため表面開孔率は高い方が好ましい。また、多孔質膜の表面にめっきや印刷を施す場合には、アンカー効果を発揮させめっきやインクとの密着性を確保するために、適度な開孔は好ましいこともある。他にも、多孔質膜を形成するときに使用する水溶性極性溶媒、水溶性ポリマーを十分に洗浄するためには、適度な開口は好ましい場合もある。
本発明の前記多孔質膜は、前記多孔質膜を構成すべき前記高分子と前記架橋剤とを含む多孔質膜形成用材料の溶液を、基材上にフィルム状に流延し、その後、これを凝固液中に浸漬し、フィルム状多孔質層を前記基材から剥離し、次いで、前記フィルム状多孔質層を乾燥に付すことにより製造することができる。すなわち、湿式相転換法を用いて基材上にフィルム状多孔質層を形成した後、フィルム状多孔質層を前記基材から剥離して乾燥する。
この製造において用いる基材としては、例えば、ガラス板; ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂、塩化ビニル樹脂、その他の樹脂からなるプラスチックシート; ステンレン板、アルミニウム等の金属板などが挙げられる。なお、多孔質膜形成用材料の溶液が流延されるべき表面素材と、裏面素材あるいは内部素材とが異なる複数層からなる基材であってもよい。
多孔質膜形成用材料の溶液(以下、多孔質膜用溶液ということもある)は、例えば、多孔質膜を構成する主たる素材となる高分子成分、架橋剤、及び水溶性極性溶媒を含み、必要に応じて水溶性ポリマー、必要に応じて水を含んでなる。
多孔質膜用溶液においては、多孔質膜を構成する高分子成分の代わりに、該高分子成分の単量体成分(原料)や、そのオリゴマー、イミド化や環化等の前の前駆体等を用いてもよい。
前記多孔質膜用溶液への水溶性ポリマーや水の添加は、膜構造をスポンジ状に多孔化するために効果的である。水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、多糖類等やその誘導体、及びこれらの混合物などが挙げられる。なかでもポリビニルピロリドンは、多孔質膜内部における微小孔の形成を抑制し、多孔質膜の機械的強度を向上しうる点で好ましい。これらの水溶性ポリマーは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。多孔化の観点から、多孔化のためには、水溶性ポリマーの重量平均分子量は200以上が良く、好ましくは300以上、特に好ましくは400以上(例えば、400〜20万程度)であり、特に分子量1000以上であってもよい。水の添加により孔径を調整でき、例えば多孔質膜用溶液への水の添加量を増やすと孔径を大きくすることが可能となる。
水溶性ポリマーは、膜構造を均質なスポンジ状多孔構造にするのに非常に有効であり、水溶性ポリマーの種類と量を変更することにより多様な構造を得ることが可能である。このため、水溶性ポリマーは、所望の空孔特性を付与する目的で、多孔質膜を形成する際の添加剤として極めて好適に用いられる。
一方、水溶性ポリマーは、最終的には多孔質膜を構成しない、除去すべき不要な成分である。湿式相転換法を利用する本発明の方法においては、水溶性ポリマーは水等の凝固液に浸漬して相転換する工程において洗浄除去される。これに対し、乾式相転換法においては、多孔質膜を構成しない成分(不要な成分)は加熱により除去され、水溶性ポリマーは通常加熱除去に不向きであるため添加剤として利用することは極めて困難である。このように、乾式相転換法によっては多様な空孔構造を形成することは困難であるのに対し、本発明の製造方法は、所望の空孔特性を有する多孔質膜を容易に製造することが可能である点で有利である。
ただし、水溶性ポリマーの量を増やしていくと、孔の連通性が高くなる傾向がある。よって、連通性が低い方がよい場合、水溶性ポリマーの量は最小量とするのが好ましい。連通性が高くなると強度が低下する傾向が見られるので、水溶性ポリマーを過剰に添加するのは好ましくない。また、過剰の添加は洗浄時間を長くする必要が生じ好ましくない。水溶性ポリマーを使用しないことも可能である。
水溶性極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド,N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、及びこれらの混合物などが挙げられ、前記高分子成分として使用する樹脂の化学骨格に応じて溶解性を有するもの(高分子成分の良溶媒)を使用することができる。
前記多孔質膜用溶液における各成分の配合量は、前記多孔質膜用溶液を基準として、前記高分子成分8〜25重量%、前記架橋剤0.5〜25重量%、前記水溶性ポリマー0〜50重量%、水0〜10重量%、及び水溶性極性溶媒30〜82重量%とすることが好ましい。この際に、前記高分子成分の濃度が低すぎると多孔質膜の厚みが不十分となったり、所望の空孔特性が得られにくく、一方、高分子成分の濃度が高すぎると空孔率が小さくなる傾向にある。前記架橋剤の濃度が低すぎると耐薬品性や耐熱性の十分な向上効果が得られにくい。一方、前記架橋剤の濃度が高すぎると、得られる多孔質膜の表面がべとつくものとなりやすく、また、架橋後においても、過剰の架橋剤が残存するおそれがある。水溶性ポリマーの濃度が高すぎると多孔質膜用溶液中への各成分の溶解性が悪くなったり、多孔質膜の強度が低下するなどの不具合が生じやすい。水の添加量は孔径の調整に用いることができ、添加量を増やすことで孔径を大きくすることが可能となる。
前記多孔質膜用溶液を基材上にフィルム状に流延し、その後、これを凝固液中に浸漬する。
相転換法に用いる凝固液としては、高分子成分を凝固させる溶剤(高分子成分の非溶剤)であればよく、高分子成分として使用する高分子の種類によって適宜選択されるが、例えば、ポリアミドイミド系樹脂又はポリアミック酸等を凝固させる溶剤であればよく、例えば、水;メタノール、エタノール等の1価アルコール、グリセリン等の多価アルコールなどのアルコール;ポリエチレングリコール等の水溶性高分子;これらの混合物などの水溶性凝固液などが使用できる。
前記凝固液の温度は、特に制限されないが、例えば0〜100℃とするとよい。凝固液の温度が0℃未満であると、溶剤等の洗浄効果が低下しやすい。凝固液の温度が100℃を超えると、溶剤や凝固液が揮発して、作業環境が損なわれる。凝固液としては、コスト、安全性、毒性などの観点から、水が好ましく用いられる。凝固液として水を用いた場合には、水の温度5〜60℃程度が適切である。前記凝固液中への浸漬時間は、特に制限されないが、溶剤、水溶性ポリマーが十分に洗浄される時間を適宜選択するとよい。洗浄時間が短すぎると、残存した溶剤により、乾燥工程で多孔質構造が壊れるおそれがある。洗浄時間が長すぎると、製造効率が低下し、製品コストの上昇に繋がる。洗浄時間は、多孔質膜の厚み等にもよるので一概には言えないが、0.5〜30分間程度とすることができる。
流延後のフィルム状物を凝固液中に浸漬する前に、流延後のフィルム状物を相対湿度70〜100%、温度15〜100℃からなる雰囲気下に0.2〜15分間保持し、その後、前記凝固液中に導くことが望ましい。流延後のフィルム状物を上記の加湿条件下におくことにより、均質性の高い多孔質膜が得られやすい。加湿下に置くと、水分がフィルム表面から内部へと侵入し、高分子溶液の相分離を効率的に促進すると考えられる。好ましい条件は、相対湿度90〜100%、温度30〜80℃であり、さらに好ましい条件は、相対湿度約100%(例えば、95〜100%)、温度40〜70℃である。空気中の水分量がこれよりも少ない場合は、空孔率が充分でなくなる場合がある。
フィルム状多孔質層の基材からの剥離工程は、該フィルム状層を基材から強制的に剥離してもよいし、あるいは、多孔質膜を構成する高分子成分と基材材料との組み合わせを選択して、凝固液中に浸漬すると自然と該フィルム状層が基材から剥離するようにしてもよい。
強制的な剥離は、多孔質膜の厚みを均一にできる傾向があるが、強く引っ張ると多孔質膜を破損してしまうおそれがあるので注意が必要となる。
自然と剥離するようにした方が、製造は容易であるが、多孔質膜の厚みに若干の厚みむらが生じる傾向がある。フィルム状多孔質層と基材が凝固液に導かれると自然と剥離するようにするためには、基材として撥水性の高いものを使用することが好ましい。例えば、フッ素系フィルム(例えば、テフロン(登録商標)フィルム)、フッ素系樹脂を貼り合わせたり、コーティングしたフィルム等を用いることができる。
剥離されたフィルム状多孔質層を乾燥する。乾燥処理の方法は特に制限されず、熱風処理、熱ロール処理、あるいは、恒温槽やオーブン等に投入する方法でもよく、フィルム状多孔質層を所定の温度にコントロールできるものであればよい。乾燥処理時の雰囲気は空気でも窒素や不活性ガスでもよい。空気を使用する場合が最も安価であるが、酸化反応を伴う可能性がある。これを避ける場合は、窒素や不活性ガスを使用するのがよく、コスト面からは窒素が好適である。加熱条件は、生産性、多孔質膜の物性等を考慮して適宜設定される。
上記方法によれば、多数の微小孔を有し、前記微小孔の平均孔径が0.01〜10μmであり、空孔率が30〜85%であり、厚みが5〜200μmである多孔質膜を容易に成形することができる。本発明における多孔質膜の微小孔の径、空孔率、開孔率は、上記のように、高分子溶液の構成成分の種類や量、水の使用量、流延時の湿度、温度及び時間などを適宜選択することにより所望の値に調整することができる。
得られた多孔質膜に架橋処理を施す。上述のようにして得られた多孔質膜中に含まれている架橋剤は、通常、未反応の状態である。ただし、架橋剤が熱架橋するものである場合には、上記の乾燥処理条件によっては、一部又は全部の架橋剤が反応したことにより架橋構造が形成されていることもあるであろう。
架橋処理は、架橋剤の種類に応じて、加熱処理、及び/又は活性エネルギー線照射(可視光線、紫外線、電子線、放射線等)処理によって行うことができる。それぞれ、適切な条件を設定するとよい。例えば、加熱処理は、100〜400℃、10秒〜5時間の条件とするとよい。
架橋処理を施すことにより、高分子中の架橋可能な官能基と架橋剤の官能基とが反応し、多孔質膜中に架橋構造が形成される。架橋構造形成により、多孔質膜の膜強度、耐熱性、耐薬品性、耐久性、剛性に優れる多孔質膜が得られる。また、多孔質層の表面上に各種機能性層を形成する場合には、次の(b)又は(c)のように、機能性層の形成(機能性の発現)の際に架橋を起こすようにすれば、多孔質膜と機能性層との密着性向上に有効である。
多孔質膜表面に機能性層を設けて(機能性化処理)、機能性積層体を得る場合には、次のような幾とおりかの架橋処理を施すタイミングがある。
(a) 得られた多孔質膜に架橋処理を施し、その後、多孔質膜表面に機能性層を設けて、機能性積層体を得る方法。
(b) 得られた多孔質膜表面に機能性層を設けて、その後、架橋処理を施し、機能性積層体を得る方法。加熱による架橋処理は、機能性層の機能発現化のための加熱処理を兼ねてもよい。
(c) 得られた多孔質膜に部分的架橋処理を施し、その後、多孔質膜表面に機能性層を設けて、さらに、再度の架橋処理を施し架橋処理を完全とし、機能性積層体を得る方法、ここで、部分的架橋処理とは、それにより、半硬化状態(いわゆるBステージ)とすることを意図している。
多孔質膜は多孔質層の単層からなるものであるので、架橋反応が起こる時に収縮現象が見られることがある。これを避けるために、多孔質膜を適宜固定部材に固定した状態で架橋反応を行うことが好ましい。例えば、多孔質膜の一部を、樹脂、金属、ガラス製等のフィルム、板等に固定することが考えられる。あるいは、フレーム状(枠状)のものやバットのようなものの縁に固定することが考えられる。固定方法としては、片面テープ又は両面テープ等で多孔質膜の一部を貼り付ける方法、クリップで挟む方法、ネジで固定する方法、ピンに突き刺して固定する方法等が考えられる。工業的製造時には、ポリアミック酸を加熱してポリイミドフィルムを作る時に使用されるピンテンターを使用することもできる。また、固定のさせ方で、面方向の収縮率を適度にコントロールすることで、厚み、空孔率等の構造をコントロールすることも可能である。
本発明の多孔質膜には、所望の特性を付与するため、必要に応じて熱処理や被膜形成処理が施されていてもよい。
本発明の多孔質膜は、架橋形成により耐薬品性が一段と向上するが、さらに別途、多孔質膜に耐薬品性高分子化合物を被覆してもよい。
ここで、薬品とは、従来の多孔性フィルムを構成する樹脂を溶解、膨潤、収縮、分解して、多孔性フィルムとしての機能を低下させるものとして公知のものであり、多孔質膜の構成素材や用途によって異なり一概に言うことはできないが、このような薬品の具体例として、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、2−ピロリドン、シクロヘキサノン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロルエタン、テトラヒドロフラン(THF)等の強い極性溶媒;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩;トリエチルアミン等のアミン類;アンモニア等のアルカリを溶解した水溶液や有機溶媒等のアルカリ溶液;塩化水素、硫酸、硝酸等の無機酸;酢酸、フタル酸等のカルボン酸を持つ有機酸等の酸を溶解した水溶液や有機溶媒等の酸性溶液;及びこれらの混合物等が挙げられる。
耐薬品性高分子化合物としては、強い極性溶媒、アルカリ、酸等の薬品に優れた耐性を有していれば特に制限されないが、例えば、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、アルキド系樹脂、トリアジン系樹脂、フラン系樹脂、不飽ポリエステル、エポキシ系樹脂、ケイ素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂;ポリビニルアルコール、酢酸セルロース系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、フッ素系樹脂、フタル酸系樹脂、マレイン酸系樹脂、飽和ポリエステル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、キチン、キトサンなどの熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらの高分子化合物は、1種又は2種以上混合して使用することができる。また、高分子化合物は、共重合体でもよく、グラフト重合体であってもよい。
このような耐薬品性高分子化合物により多孔質膜が被覆されていると、前記強い極性溶媒、アルカリ、酸等の薬品と接触した場合にも、多孔質膜が溶解したり、膨潤して変形するなどの変質が全く生じないか、使用目的や用途に影響のない程度に変質を抑制することができる。例えば、多孔質膜と薬品とが接触する時間が短い用途では、その時間内で変質しない程度の耐薬品性が付与されていればよい。
なお、前記耐薬品性高分子化合物は、耐熱性をも有する場合が多いため、多孔質膜の耐熱性が低下するおそれは少ない。また、耐薬品性高分子化合物の被覆によって、多孔質膜表面の特性を変化させることも可能である。例えば、フッ素系樹脂を使用すれば表面を撥水性にすることも可能となるし、エチレン−ビニルアルコール共重合体を使用すれば表面を親水性にすることも可能となる。さらに、フェノール系樹脂を使用すれば中性の水に対しては表面を撥水性に、アルカリ性の水溶液に対しては表面を親水性にすることも可能となる。このように、被覆に用いる高分子化合物の種類を適宜選択することにより、液体に対する親和性(親水性等)を変更することができる。
本発明の多孔質膜は、上記構成を有するため、広範な分野において多様な用途に適用できる。具体的には、多孔質膜が有する空孔特性をそのまま利用して、例えば、精密濾過、分離濃縮等の膜分離技術における分離膜、低誘電率材料、電池用セパレーター、電解コンデンサー、クッション材、インク受像シート、絶縁材、断熱材、電解質膜基材等の広範囲な基板材料として利用することができる。さらに、多孔質膜の表面を機能性化することにより、回路用基板、放熱材(ヒートシンク、放熱板)、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、アンテナ、細胞培養基材等として利用することができる。
電池用セパレーターとしては、リチウムイオン二次電池用セパレーターを挙げることができる。リチウムイオン二次電池用セパレーター用途においては、電解質液に含まれる各種成分に対する耐薬品性が求められる。本発明の多孔質膜は架橋により耐薬品性が強化されているので、好ましく適用できる。
また、本発明の多孔質膜は、燃料電池用電解質膜基材として使用することも可能である。例えば、特開2004−171994号公報には、多孔質膜を基材とした燃料電池用電解質膜の製造方法が開示されている。多孔質膜基材に電解質を充填することで、燃料電池用電解質膜とすることが可能である。燃料電池用電解質膜は使用においては、水、メタノールに対する膨潤への耐性が求められるし、電解質膜基材に電解質を充填する時は、電解質又はその前駆体やそれらを溶解している溶剤への耐性が求められる。つまり、耐薬品性に優れた多孔性シートが求められているが、現状においては、湿式相分離法で製造される多孔性シートは溶剤に対する耐薬品性が不十分である場合が多い。本発明の多孔質膜は架橋により耐薬品性が強化されているので、好ましく適用できる。
次に、本発明の多孔質膜を用いた機能性積層体について説明する。本発明において、機能性積層体は、上述した多孔質膜又は前記多孔質膜由来の高分子層の表面上に、導電体層、誘電体層、半導体層、絶縁体層、及び抵抗体層からなる群より選ばれる機能性層を有する機能性積層体であって、前記多孔質膜又は前記多孔質膜由来の高分子層は、前記架橋剤により架橋構造が形成されているものである。このような機能性積層体を、本明細書において「複合材料」と称することもある。
上述した前記多孔質膜の表面上への各種機能性層又はその前駆体層の形成は、例えば、メッキ、印刷技術等により行うことができる。
金属メッキ層は、例えば、多孔質膜表面に薄い金属被覆として形成されていてもよい。金属メッキ層を構成する金属としては、例えば、銅、ニッケル、銀、金、すず、ビスマス、亜鉛、アルミニウム、鉛、クロム、鉄、インジウム、コバルト、ロジウム、白金、パラジウムやこれらの合金等を挙げることができる。さらにニッケル−りん、ニッケル−銅−りん、ニッケル−鉄−りん、ニッケル−タングステン−りん、ニッケル−モリブデン−りん、ニッケル−クロム−りん、ニッケル−ホウ素−りん等、多種多様の金属以外の元素を含む合金皮膜も挙げることができる。金属メッキ層は、上記の金属を単独で又は複数を組み合わせて用いてもよく、単層であってもよく、複数の層を積層してもよい。
磁性メッキ層を構成する材料としては、磁性を有するものであれば特に限定されず、強磁性体及び常磁性体のいずれであってもよく、例えば、ニッケル−コバルト、コバルト−鉄−りん、コバルト−タングステン−りん、コバルト−ニッケル−マンガン等の合金;メトキシアセトニトリル重合体等のラジカルを発生し得る部位を有する化合物、デカメチルフェロセンの電荷移動錯体等の金属錯体系化合物、グラファイト化途上炭素材料であるポリアクリロニトリルなどの化合物からなる有機磁性体等が例示できる。
金属メッキ層の形成には、例えば、無電解メッキ及び電解メッキ等の公知の方法を利用できる。本発明においては、多孔質膜が高分子成分で構成されている観点から、無電解メッキが好ましく用いられ、無電解メッキと電解メッキを組み合わせて用いることもできる。
金属メッキ層の形成に用いるメッキ液は、各種の組成のものが知られており、メーカーが販売しているものを入手することもできる。メッキ液の組成は特に制限されず、各種の要望(美観、硬さ、耐磨耗性、耐変色性、耐食性、電気伝導性、熱伝導性、耐熱性、摺動性、撥水性、ぬれ性、半田ぬれ性、シール性、電磁波シールド特性、反射特性等)に合ったものを選択すればよい。
複合材料の製造方法の一形態は、上記本発明の多孔質膜の表面に、光により反応基を生成する化合物からなる感光性組成物を塗布して感光層を設ける工程、前記感光層にマスクを介して露光し、露光部に反応基を生成させる工程、及び露光部に生成された反応基を金属と結合させて導体パターンを形成する工程を含む方法;又は上記製造方法において、光により反応基を生成する化合物の代わりに光により反応基を消失する化合物を用い、露光部に反応基を消失させる工程、未露光部に残る反応基を金属と結合させて導体パターンを形成する工程を含む方法;で行われる。
光により反応基を生成する化合物としては、金属(金属イオンを含む)と結合形成可能な反応基を分子内に生成する化合物であれば特に限定されず、例えば、オニウム塩誘導体、スルフォニウムエステル誘導体、カルボン酸誘導体およびナフトキノンジアジド誘導体から選択される少なくとも1種の誘導体を含有する感光性化合物等が挙げられる。これらの感光性化合物は、汎用性に富み、光照射により金属と結合可能な反応基を容易に生成しうるため、微細なパターンを有する導電部を精度良くできる。
光により反応基を消失する化合物としては、例えば、金属(金属イオンを含む)と結合形成可能な反応基を有する化合物であって、光の照射により該反応基が疎水性官能基を生成して、水に溶解あるいは膨潤しにくくなる化合物などが挙げられる。
上記光により生成又は消失する反応基とは、前記金属(金属イオンを含む)と結合形成可能な反応基であれば特に限定されず、例えば金属イオンとイオン交換可能な官能基などが例示でき、好ましくは陽イオン交換性基が挙げられる。陽イオン交換性基には、例えば−COOX基、−SO3 X基あるいは−PO3 2 基等の酸性基(ここで、Xは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム基)等が含まれる。なかでも、pKa値が7.2以下の陽イオン交換性基によれば、単位面積当たりに十分な金属との結合を形成しうるため、所望の導電性を容易に得ることができ好ましい。このような反応基は、次工程において、金属イオン交換され、金属還元体や金属微粒子による安定した吸着能を発揮することができる。
照射光としては、反応基の生成又は消失を促進できれば特に限定されず、例えば280nm以上の波長の光を用いることができるが、多孔質膜の露光による劣化を避けるため、好ましくは波長が300nm以上(300〜600nm程度)、特に350nm以上の光が好ましく用いられる。
マスクを介して光照射後、必要に応じて洗浄することにより、露光部又は未露光部に反応基で構成されたパターンを形成できる。こうして多孔質膜表面に設けられた反応基を、以下に示す方法により金属と結合させて導体パターンが形成される。
本発明では、反応基を金属と結合する方法として無電解メッキによる方法が好ましく用いられる。無電解メッキは、一般的にプラスチック等で形成された樹脂層に金属を積層する方法として有用であることが知られている。多孔質膜表面は、金属との密着性を向上する目的で、予め脱脂、洗浄、中和、触媒処理等の処理が施されてもよい。前記触媒処理としては、例えば被処理面に金属の析出を促進しうる触媒金属を付着させる触媒金属核形成法等を利用できる。触媒金属核形成法は、触媒金属(塩)を含むコロイド溶液に接触させた後、酸若しくはアルカリ溶液又は還元剤に接触させて化学メッキを促進させる方法(キャタライザー(触媒)−アクセレータ(促進剤)法);触媒金属の微粒子を含むコロイド溶液に接触させた後、加熱等により溶媒や添加剤等を除去して触媒金属核を形成する方法(金属微粒子法);還元剤を含む酸又はアルカリ溶液に接触させた後、触媒金属の酸又はアルカリ溶液に接触させてアクチベーティング(賦活化)液を接触させて触媒金属を析出させる方法(センシタイジング(感作)−アクチベーティング(賦活化)法)等が挙げられる。
キャタライザー−アクセレータ法における触媒金属(塩)含有溶液としては、例えば、すず−パラジウム混合溶液、硫酸銅等の金属(塩)含有溶液などを用いることができる。キャタライザー−アクセレータ法は、例えば、多孔質膜積層体を硫酸銅水溶液中に浸漬した後、必要に応じて過剰な硫酸銅を洗浄除去し、次いで、水素化ホウ素ナトリウムの水溶液に浸漬することにより、多孔質膜表面に銅微粒子からなる触媒核を形成できる。金属微粒子法は、例えば、銀のナノ粒子が分散したコロイド溶液を多孔質膜表面に接触させた後、加熱して界面活性剤やバインダー等の添加剤を除去することにより、多孔質膜表面に銀粒子からなる触媒核を析出させることができる。センシタイジング−アクチベーティング法は、例えば、塩化すずの塩酸溶液に接触させた後、塩化パラジウムの塩酸溶液に接触させることによりパラジウムからなる触媒核を析出させることができる。これらの処理液に多孔質膜を接触させる方法としては、金属メッキ層を積層させる多孔質膜表面に塗布する方法、多孔質膜を処理液に浸漬する方法等を用いることができる。
無電解メッキに用いられる主な金属としては、例えば、銅、ニッケル、銀、金、ニッケル−りん等を挙げることができる。無電解メッキに用いるメッキ液には、例えば、上記金属又はその塩が含まれている他、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、グリオキシル酸等の還元剤、酢酸ナトリウム、EDTA、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリシン等の錯化剤や析出制御剤等が含まれており、これらの多くは市販されており簡単に入手することができる。無電解メッキは、上記のメッキ液に上記処理を施した多孔質膜を浸漬することにより行われる。なお、多孔質膜の片面に保護シートを貼った状態で無電解メッキを施すことにより、他の面にのみ無電解メッキが施される。
金属メッキ層の厚みは、特に限定されず用途に応じて適宜選択でき、例えば0.01〜20μm程度、好ましくは0.1〜10μm程度である。金属メッキ層の厚みを効率よく厚くするため、例えば無電解メッキと電解メッキとを組み合わせて金属メッキ層を形成する方法が行われる場合がある。すなわち、無電解メッキにより金属被膜が形成された多孔質膜表面は導電性が付与されるため、次いでより効率のよい電解メッキを施すことによりにより短時間で厚い金属メッキ層を得ることが可能となる。
上記方法は、特に回路基板、放熱材又は電磁波制御材に用いられる複合材料を得る方法として好適である。
回路基板は、従来は、一般にガラス・エポキシ樹脂やポリイミド等を素材とする基板表面に銅箔を貼り合わせ、エッチングにより銅箔の不要な部分を除去することにより配線を形成する方法により製造されていた。しかし、このような従来法では、高密度化する回路基板に対応しうる微細な配線の形成が困難になりつつあった。配線の微細化を進めるためには、非常に薄い銅箔をガラス・エポキシ樹脂やポリイミド等を素材とする基板に強く密着させる必要があるが、薄い銅箔は取扱性にきわめて劣り、基板への積層工程が非常に困難であった。また、薄い銅箔の製造はそれ自体が困難で、高価であり、しかも、基材の素材に用いられるガラス・エポキシ樹脂やポリイミドと銅箔はもともと密着力が大きくないため、微細化を進めると配線が基板から剥離してしまうという問題があった。
このような背景において、本発明の複合材料によれば、多孔質膜表面に微細な開口部を形成することも可能なので、その場合、金属メッキ層と十分な密着力を確保でき、微細配線を有する回路基板用材料に好適である。回路基板用材料を構成する場合には、金属メッキ層は、銅、ニッケル、銀等で構成されていることが好ましい。
本発明の多孔質膜は、多孔質膜表面に直接微細配線を形成する方法で製造される回路基板として極めて有用である。このような回路基板を製造する方法としては、上記本発明の複合材料の製造方法として記載されている方法を利用できる。この方法によれば、本発明の多孔質膜を用いるため、多孔質膜に強固に絡みついた微細配線を形成することができ、しかも露光技術を用いて精度よく簡単に配線を形成することができる。これまで、多孔体に無電解メッキ法を用いて配線を形成する方法が知られているが、従来の多孔体は強度が弱いため取扱性に劣り、製造工程中に破損するなどの問題があった。これに対し、本発明の多孔質膜を用いる場合には、十分な強度を確保することができ、取扱性に優れた回路基板を提供することができる。
電磁波制御材は、電磁波を遮断(シールド)又は吸収する材料として、周囲の電磁環境に及ぼす影響や、機器自体が周囲の電磁環境から受ける影響を軽減又は抑制するために利用されている。デジタル電子機器の普及、パソコンや携帯電話など、われわれの身近には、電気・電子機器や無線機器、システムなど、多くの電磁波発生源が存在し、それらは様々な電磁波を放射している。これらの機器から放射される電磁波は、周囲の電磁環境に影響を及ぼす可能性があり、また、機器自体も周囲の電磁環境から影響を受ける。これらの対策として電磁波シールド材料、電磁波吸収体材料等の電磁波制御材が年々重要となってきている。本発明の複合材料は、例えば、金属メッキ層による導電性の付与によって電磁波を遮断して電磁波シールド性を付与でき、また、多孔質膜を構成する空孔に電磁波吸収材料を充填して電磁波吸収性を付与できるため、優れた電磁波制御材として極めて有用である。
電磁波制御材を構成する金属メッキ層は、導電性を付与することができるものが好ましく、例えば、ニッケル、銅、銀等で形成されることが効果的である。また、複合材料が、無電解メッキで多孔質膜表面に磁性メッキ層が成形された層構成を有する場合には電磁波吸収体材料として有用である。無電解メッキにより磁性メッキ層を形成する際に用いる材料としては、例えば、ニッケル、ニッケル−コバルト、コバルト−鉄−りん、コバルト−タングステン−りん、コバルト−ニッケル−マンガン等の合金等の磁性材料が挙げられる。本発明の複合材料は、非常に薄く柔軟性の高いものが得られ、メッキにより形成された金属や磁性体は多孔質膜に絡み付いているため、メッキ層が剥離しにくく、折り曲げ耐性(耐折性)を改善することができる。このような複合材料は、電子機器の任意の場所に設置したり、貼り付けたりして使用することができる。
本発明の多孔質膜は、低誘電率材料としても有用である。ブロードバンド時代の到来により、大容量の情報を高速で伝達する必要が生じている。そのため、電子機器で使用される周波数も高まってきており、その中で使われる電子部品も高周波信号に対応する必要がある。これまでの配線基板(主にガラスエポキシ樹脂)を高周波回路に使用すると、(1)高い誘電率による伝達信号の遅れ、(2)高い誘電損失による、信号の混信・減衰の発生、消費電力の増加、回路内の発熱、などの問題が生じる。これらの問題を解決するための高周波用配線基板材料としての多孔性の材料が有用であるとされている。それは、空気の比誘電率は1と低いのに対して、多孔性の材料にすれば、低い比誘電率を達成可能なためである。このため、従来、多孔性基板材料が必要とされてきたが、低誘電率にするためには空孔率を上げる必要があり、その結果、基板としての強度が低下してしまうという問題があった。本発明の多孔質膜は、低誘電率特性を持っているのみならず、多孔質膜が取り扱う上で十分な強度を確保することができ、低誘電率材料として好ましい媒体である。
本発明の多孔質膜を低誘電率な回路基板材料として使用する場合、上記したように、多孔質膜表面に銅箔を貼り合わせ、エッチングにより銅箔の不要な部分を除去することにより配線を形成する方法により製造することが考えられる。配線の微細化、高密度化は困難になりつつあるが、現在でもこの従来法でほとんどの回路基板が作られており、本発明の多孔質膜もこの方法で使用することができる。非常に要求が強くなってきている基板の低誘電率化に対応しうる有用な材料と言える。微小孔の連通性が低い多孔質膜を使用する場合、銅箔をエッチングする時に、エッチング液が多孔質膜の中に入り難く、好ましくない銅箔の裏側からのエッチングが起こりにくく、連通性の低い独立した多孔質膜の特徴を生かすことが可能である。
本発明の複合材料の製造方法の一形態として、印刷技術による方法が挙げられる。本発明の多孔質膜は印刷特性に優れているため、多孔質膜の上に印刷によりパターン形成を行い使用することができる。このようにインク受像シート(印刷メディア)としても使用されるために、次に印刷技術について詳しく述べる。
インク受像シートは、印刷メディアとも呼ばれ、印刷技術においてしばしば使用されてる。一方、現在、多くの印刷法が実用化、利用されており、このような印刷技術として、例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、ディスペンサ印刷、凸版印刷(フレキソ印刷)、昇華型印刷、オフセット印刷、レーザープリンタ印刷(トナー印刷)、凹版印刷(グラビア印刷)、コンタクト印刷、マイクロコンタクト印刷等を挙げることができる。使用されるインクの構成成分としては、特に制限されないが、例えば導電体、誘電体、半導体、絶縁体、抵抗体、色素等が挙げられる。
電子材料を印刷法で作成するメリットとしては、(1)シンプルなプロセスで製造できる、(2)廃棄物の少ない低環境負荷プロセスである、(3)低エネルギー消費によって短時間で製造できる、(4)初期投資額が大幅に低減できる等があるが、その一方、これまでにない高精細な印刷が要求され、技術的に困難であることも事実である。従って、特に電子材料の製造に利用される印刷に関しては、印刷機械の性能だけでなく、インクやインク受像シートの特性が印刷結果に大きな影響を与える。本発明の多孔質膜の微細な多孔構造は、そのクッション性のため印刷版と隙間なく密着することができるし、また、インクを吸ったり、インクを精密に固定することができるため、これまでにない高精細な印刷を達成することができ、非常に好ましく用いられる。また、多孔質膜が取り扱う上で十分な強度を確保することができ、例えば、ロールツーロールで連続的に印刷することもでき、生産効率を著しく向上することができる。
電子材料を印刷により製造する場合、印刷法としては上述の方法を利用できる。印刷により製造される電子材料の具体例としては、電磁波シールドや電磁波吸収体などの電磁波制御材、回路基板、アンテナ、放熱板等を挙げることができ、さらに詳しくは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、ICカード、ICタグ、太陽電池、LED素子、有機トランジスタ、コンデンサー(キャパシタ)、電子ペーパー、フレキシブル電池、フレキシブルセンサ、メンブレンスイッチ、タッチパネル、EMIシールド等を挙げることができる。
上記電子材料を製造する方法は、例えば導電体、誘電体、半導体、絶縁体、抵抗体等の電子素材を含むインクを多孔質膜(基板)表面に印刷する工程を含んでいる。例えば多孔質膜(基板)表面に誘電体を含むインクで印刷することにより、コンデンサー(キャパシタ)を形成できる。このような誘電体としては、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等を挙げることができる。また、半導体を含むインクで印刷することにより、トランジスタ等を形成することができる。半導体としては、ペンタセン、液状シリコン、フルオレン−ビチオフェンコポリマー(F8T2)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)等を挙げることができる。
導電体を含むインクで印刷することにより、配線を形成することができるため、フレキシブル基板やTAB基板、アンテナ等を製造することができる。前記導電体としては、銀、金、銅、ニッケル、ITO、カーボン、カーボンナノチューブ等の導電性を有する無機粒子;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性の有機高分子からなる粒子を挙げることができる。前記ポリチオフェンとしては、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)等を挙げることができる。これらは、溶液やコロイド状のインクとして用いることができる。なかでも、無機粒子からなる導電体粒子が好ましく、特に電気特性やコストのバランスから、銀粒子や銅粒子が特に好ましく用いられる。粒子の形状としては、球状、鱗片状(フレーク状)等が挙げられる。粒子サイズは、特に限定されないが、例えば平均粒径数μm程度のものから、数nmのいわゆるナノ粒子も使用できる。これらの粒子は複数の種類を混合して使用することもできる。導電性のインクとして、容易に入手可能な銀インク(銀ペースト)を例に挙げて以下に説明するが、これに限定されず、他の種類のインクも適用可能である。
銀インクは、その構成成分として、一般に銀粒子、界面活性剤、バインダー、溶剤等が含まれている。また、他の例として、酸化銀が加熱により還元される性質を利用して、酸化銀の粒子を含むインクを印刷し、後で加熱還元して銀配線とするものもある。さらに他の例として、有機銀化合物を含むインクを印刷し、後で加熱分解して銀配線とするものもある。有機銀化合物には、溶剤に溶解するものも利用できる。銀インクを構成する粒子として、銀粒子、酸化銀、有機銀化合物等は単独で又は複数を組み合わせて用いてもよく、また異なる粒子径のものを混合して用いることもできる。銀インクを用いて印刷後、インクを硬化させる際の温度(焼成温度)は、インクの組成、粒子径等に応じて適宜選択できるが、通常、100〜300℃程度の範囲内であることが多い。本発明の多孔質膜は有機材料であるため、劣化を回避するため焼成温度は比較的低温であることが好ましいが、配線の電気抵抗を小さくするため、一般に高温で焼成されることが好ましく、適当な硬化温度をもつインクを選択して用いる必要がある。このような銀インクの市販品としては、大研化学工業(株)製の商品名「CA−2503」、藤倉化成(株)製の商品名「ナノ・ドータイトXA9053」、ハリマ化成(株)製の商品名「NPS」、「NPS−J」(平均粒子径約5nm)、日本ペイント(株)製の商品名「ファインスフェアSVW102」(平均粒子径約30nm)等が知られている。配線基板に要求される電気抵抗と配線密着性のバランスを考慮して、インクに添加する導電体等の粒子径の大きさや粒度分布、混合比率を選択することが好ましい。
スクリーン印刷の場合は、粘度が低すぎるとスクリーンにインクを保持しにくいので、むしろ粘度がある程度高い方が好ましく、インクに含まれる粒子の粒子径は大きくても特に問題はなく、また、粒子径が小さい場合は溶剤量を低減することが好ましい。従って、前記粒子径が0.01〜10μm程度であるのが好ましい。
配線は、多孔質膜の片面のみに形成されてもよく、その両面に形成されてもよい。両面に配線を形成する場合は、必要に応じて、両面の配線をつなぐビアを形成することもできる。ビアホールはドリルで形成してもよいし、レーザーで形成してもよい。ビアホール内の導電体は、導電ペーストで形成してもよいし、メッキで形成してもよい。
また、導電性のインクで形成した配線表面をメッキ又は絶縁体で被覆して使用することができる。特に、銀配線は、銅配線と比較したときに、エレクトロマイグレーションやイオンマイグレーションを起こしやすいとの指摘がある(日経エレクトロニクス2002.6.17号75頁)。そのため、配線の信頼性を向上する目的で、銀インクで形成した配線表面をメッキで被覆することが有効である。メッキとしては、銅メッキ、金メッキ、ニッケルメッキ等が挙げられる。メッキは公知の方法で行うことができる。
さらに、導電性のインクで形成した配線表面を樹脂で被覆して使用することもできる。上記構成は、配線の保護、配線の絶縁、配線の酸化やマイグレーションの防止、屈曲性向上などの目的に好適に利用できる。例えば、銀配線は酸化により酸化銀に、銅配線は酸化銅となって導電性が低下していくおそれがあるが、配線表面を前記樹脂で被覆することにより、配線が酸素や水分と接触するのを回避でき、導電性の低下を抑制することができる。配線表面を選択的に樹脂被覆する方法としては、例えば、被覆する樹脂として後述する硬化性樹脂や可溶性樹脂を用いた、スポイト、ディスペンサ、スクリーン印刷、インクジェット等の方法が挙げられる。
配線が形成された後において多孔質膜の空孔が保たれている場合は、多孔質膜部は低誘電率となるため、高周波用配線基板として好ましく用いられる。
本発明の多孔質膜積層体の用途としては、多孔質膜の空孔がそのまま残されているものを用いる場合の他に、本発明の多孔質膜積層体について、多孔質膜の空孔構造を失わせて、それを用いる場合も考えられる。
配線表面を樹脂で被覆する時、多孔質膜が連通性の低い独立した微小孔からなる場合には樹脂は孔内に侵入し難いため、空孔構造は維持される傾向がある。逆に多孔質膜が連通性を有する微小孔からなる場合には樹脂は孔内に侵入し易いため、空孔内は樹脂が充填され、空孔構造は消失する傾向がある。
配線を被覆する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、無溶剤で用いられる硬化性樹脂や、溶剤に溶解して利用される可溶性樹脂等が挙げられる。可溶性樹脂を使用する場合には、溶剤が揮発したときの体積減少分を考慮して被覆する必要がある。
硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリル系樹脂、ビニルエーテル樹脂等を挙げることができる。
エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型やビスフェノールF型等のビスフェノール系、フェノールノボラック型やクレゾールノボラック型等のノボラック系等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂及びこれらの変性樹脂等の多様な樹脂が含まれる。エポキシ樹脂の市販品としては、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社の「アラルダイト」、ナガセケムテックス社の「デナコール」、ダイセル化学工業社の「セロキサイド」、東都化成社の「エポトート」等を利用できる。エポキシ樹脂硬化物は、例えば、エポキシ樹脂に硬化剤を混合して得た硬化性樹脂組成物により硬化反応を開始させ、加熱により反応を促進させる方法により得ることができる。前記エポキシ樹脂の硬化剤には、例えば有機ポリアミン、有機酸、有機酸無水物、フェノール類、ポリアミド樹脂、イソシアネート、ジシアンジアミド等を利用できる。
エポキシ樹脂硬化物は、また、エポキシ樹脂に潜在性硬化剤と言われる硬化触媒を混合して得た硬化性樹脂組成物に、加熱又は紫外線などの光照射によって硬化反応を開始させる方法により得ることもできる。前記潜在性硬化剤としては、三新化学工業社の「サンエイドSI」等の市販品を利用できる。
エポキシ樹脂硬化物として、可撓性の高いものを用いれば、フレキシブル基板のような柔軟性のあるものとすることができる。また、耐熱性や高い寸法安定性が要求される場合は、硬化性樹脂組成物として硬化後に硬度が高くなる組成物を用いることで、リジッド基板(硬質基板)として用いることも可能である。
エポキシ樹脂を被覆に使用する時、硬化性樹脂組成物は低粘度であると取り扱いやすい。このような特徴を持つものとして、ビスフェノールF系の組成、脂肪族ポリグリシジルエーテル系の組成を挙げることができる。
オキセタン樹脂としては、東亞合成社の「アロンオキセタン」等をあげることができる。オキセタン樹脂硬化物は、オキセタン樹脂に、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のカチオン系光重合開始剤「IRGACURE 250」等を混合し、紫外線照射することで硬化反応を開始させる方法により得ることができる。
可溶性樹脂としては、三菱ガス化学社製の低誘電性樹脂「オリゴ・フェニレン・エーテル」、東洋紡績社製のポリアミドイミド樹脂「バイロマックス」、宇部興産社製のポリイミドインク「ユピコート」、東都化学工業製のポリイミドインク「エバーレック」、エヌアイマテリアル社製のポリイミドインク「ULIN COAT」、ピーアイ技術研究所製のポリイミドインク「Q−PILON」、日本合成化学社製の飽和ポリエステル樹脂「ニチゴーポリエスター」、アクリル溶剤型粘着剤「コーポニール」、紫外線・電子線硬化型樹脂「紫光」等の市販品を用いることができる。
被覆時に用いられる可溶性樹脂を溶解する溶剤としては、公知の有機溶剤から樹脂の種類に応じて適宜選択して用いることができる。可溶性樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液(可溶性樹脂溶液)の代表的な例としては、例えば、「オリゴ・フェニレン・エーテル」をメチルエチルケトンやトルエンなどの汎用溶剤に溶解した樹脂溶液;「バイロマックス」をエタノール/トルエン混合溶媒に溶解した樹脂溶液(商品名「HR15ET」);「ユピコート」をトリグライムに溶解した樹脂溶液等を用いることができる。
配線を樹脂で被覆する方法としては、特に限定されないが、スポイト、さじ、ディスペンサ、スクリーン印刷、インクジェット等の手段を用いて、上記の硬化性樹脂組成物や可溶性樹脂溶液を多孔質膜表面へ展開(塗布)し、必要に応じてヘラ等で余分な樹脂を除去する方法等を用いることができる。前記ヘラとして、例えば、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂、シリコーンゴム等のゴム、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂製;ステンレス等の金属製のものを使用できる。なかでも、配線や多孔質膜を傷つけにくい点で樹脂製のヘラが好ましく用いられる。また、ヘラ等を使用することなく、スポイト、ディスペンサ、スクリーン印刷、インクジェット等の吐出量をコントロール可能な手段を用いて、適量を多孔質膜表面に滴下する方法も可能である。
多孔質膜の表面に樹脂をスムーズに展開するため、未硬化の樹脂として粘度の低いものが好ましく用いられる。また、粘度が高い樹脂は、適温で加熱するなどの手段を用いて粘度を下げて用いることにより取り扱い性を上げることが可能である。但し、硬化性樹脂を用いる場合には、加熱により硬化反応速度を上昇させてしまうため、必要以上の加熱は作業性を悪化させるため好ましくない。
上記樹脂成分を多孔質膜表面へ展開した後、樹脂の硬化を促進したり、溶剤を揮発する目的で加熱処理が施されることが好ましい。加熱方法は、特に限定されないが、急激な加熱は、樹脂や硬化剤が揮発したり、溶剤が激しく揮発することによりムラができるおそれがあるため、穏やかに昇温する方法が好ましい。昇温は、連続的、逐次的のいずれであってもよい。硬化や乾燥における温度及び時間は、樹脂や溶剤の種類に応じて適宜調整することが好ましい。
本発明において複合材料には、多孔質膜の空孔構造が維持されている場合の他に、多孔質膜表面への機能性層の形成後(機能性化後)に、多孔質膜の空孔構造を例えば溶剤処理によって消失させて、好ましくは多孔質膜が透明化している場合も含まれる。
本発明において複合材料は、多孔質膜の空孔がそのまま残されている構成であってもよい。多孔質膜の空孔がそのまま残されている複合材料とは、多孔質膜が多孔体としての特性を備えていることを意味しており、具体的には、例えば、複合材料が、印刷技術により導電体が形成された時点における多孔質膜と同程度の空孔構造を保持していることを意味している。このような複合材料は、多孔質膜が多孔体としての特性を保持可能な範囲で、他の層が積層されたり、種々の処理が施された構成であってもよい。
例えば、低誘電率化等のために多孔質膜の空孔をそのまま残す場合は、溶剤処理は行わない。ただし、配線の保護、配線の絶縁、配線の酸化防止、屈曲性向上の目的のために、上記に例示の方法で配線部だけを樹脂で被覆してもよい。
本発明の多孔質膜積層体は、より高周波特性の優れたアンテナに利用することができる。
最近では、多くの無線機器が使われており、信号の送受信にはアンテナが必要となる。携帯電話、無線LAN、ICカードなどの普及は著しい。低誘電率の材料をアンテナに使用することはアンテナゲインを増大させることができ、好ましいことである。例えば、ICカード等にはループ状のRFIDアンテナが使われており現状これらは、サブトラクティブ法(エッチング法)により作られている。
従来から使用されているPET基板等を本発明の多孔質膜に置き換えることで、より高周波特性の優れたアンテナを製造することができる。製造法はサブトラクティブ法を用いることができる。具体的には、低誘電率な回路基板の製造法で示したのと同様に、樹脂フィルムを基材とした多孔質膜表面に銅箔を貼り合わせ、レジストパターン形成後、エッチングにより銅箔の不要な部分を除去することにより行うことができる。また、他の方法としては、銅などの金属箔を基材とした多孔質膜にレジストパターンを形成した後に、エッチングして、銅箔の不要な部分を除去することにより行うことができる。そして、従来から行われているサブトラクティブ法は工程が長く、手間とコストがかかる方法である。インク受像シートのところで述べたのと同様に、導電体を含むインクで印刷してアンテナを形成する方法を適用すると、より簡単に低コストで製造することができる。
特開2006−237322号公報に銅ポリイミド基板の製造方法が開示されている。ポリイミド樹脂フィルムの表面を親水化し、物理現像核層を設け、銀拡散転写法により銀膜を形成させた後、銅めっきすることを特徴とする銅ポリイミド基板の製造方法である。ポリイミド樹脂フィルムは接着性がよくないために、表面の改質のためにアルカリ処理やコロナ放電処理が必要とされている。しかし、本発明の多孔質膜では、その上に形成される接着剤が孔内に入り込むことができ、そのアンカー効果のためにより強い密着性が期待できる。よって、多孔質膜は前記用途に、好ましく利用できる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。まず、各測定方法について示す。
多孔質膜の平均孔径及び空孔率は以下の方法で算出した。これらの平均孔径及び空孔率は、電子顕微鏡写真に見えている微小孔のみを対象として求められている。
1.平均孔径
電子顕微鏡写真から、積層体の表面又は断面の任意の30点以上の孔についてその面積を測定し、その平均値を平均孔面積Saveとした。孔が真円であると仮定し、下記式を用いて平均孔面積から孔径に換算した値を平均孔径とした。ここでπは円周率を表す。
表面又は内部の平均孔径[μm]=2×(Save/π)1/2
2.空孔率
多孔質膜内部の空孔率は下記式より算出した。Vは多孔質膜の体積[cm3 ]、Wは多孔質膜の重量[g]、ρは多孔質膜組成物の密度[g/cm3 ](ここで、多孔質膜組成物の密度は、該組成物を構成している各成分の密度を重量組成比で分配して算出される)を示す。多孔質膜の体積V、多孔質膜の重量Wは、それぞれ、基材上に多孔質膜が積層された積層体の体積、又は重量から、基材の体積、又は重量を差し引いて算出した。
空孔率[%]=100−100×W/(ρ・V)
3.耐薬品性評価試験I(多孔質膜のNMPに対する溶解性)
加熱架橋処理前及び処理後の多孔質膜それぞれについての耐薬品性試験I(多孔質膜のNMPに対する溶解性)を次のように行った。
多孔質膜サンプルを40mm×30mm程度の大きさに切り出し、スポイトを用いて、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を多孔質膜上に1滴(約26mg)滴下した。2分後にサンプルを大量の水(約1リットル)中に浸漬して攪拌し、NMPを洗浄した。その後、サンプルを取り出して、ウエス上で室温にて自然乾燥させた。乾燥後、サンプルの状態を目視で観察した。
4.耐薬品性評価試験II(多孔質膜の寸法変化率の測定)
加熱架橋処理前及び処理後の多孔質膜それぞれについての耐薬品性試験II(多孔質膜の寸法変化率の測定)を次のように行った。
図1を参照して、多孔質膜サンプルを30mm×20mmの大きさに切り出した(1) 。切り出したサンプル(1) に、各辺の長さが8〜30mmの範囲である直角三角形の頂点を形成するように、3点の小さな穴を開け、3点間の距離a、b、cを測定することにより多孔質膜の寸法変化を測定した。
まず、切り出したサンプル(1) の距離a1 、b1 、c1 を測定した(初期の距離)。
次に、径が約100mmのシャーレに溶剤テトラヒドロフラン(THF)を約50cc入れ、その中にサンプル(1) を投入した。浸漬して2分後にサンプル(1) を取り出し、乾燥しないように上下2枚のスライドガラスでサンプル(1) を挟み、挟んだ状態で距離a2 、b2 、c2 を測定した(浸漬後の距離)。次に、サンプル(1) をスライドガラスから取り出し、室温下で10分間放置して自然乾燥させ、乾燥後の距離a3 、b3 、c3 を測定した(浸漬乾燥後の距離)。下記式を用いて、a、b、cのそれぞれの変化率を計算した。
THFへの浸漬後のaの変化率(%)=[(a2 −a1 )/a1 ]×100
THFへの浸漬乾燥後のaの変化率(%)=[(a3 −a1 )/a1 ]×100
b(b1 、b2 、b3 )及びc(c1 、c2 、c3 )の変化率も同様の方法で算出した。
変化率の値が+であれば多孔質膜サンプル(1) が膨張(膨潤)したことを示し、変化率が−であれば収縮したことを示す。
5.透気度試験
透気度は、テスター産業株式会社製のガーレー式デンソメーターB型を用い、JIS P8117に準じて測定した。秒数はデジタルオートカウンターで測定した。透気度(ガーレー値)の値が大きいほど空気の透過性が低いことを意味し、つまり多孔質膜における微小孔の連通性が低いことを意味する。ガーレー値としては30秒/100cc以上であれば微小孔の連通性が低いと判断できる。なお、比較のために、厚み93μmの普通紙(国際紙パルプ商事株式会社製「オゾン100リサイクルPPC用紙」)について、同一条件での透気度測定を行ったところ、ガーレー値は27秒/100ccであった。
[実施例1]
多孔質膜作製用の基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポン社製、HS74ASタイプ、厚み100μm)の易接着面を用いた。
ポリアミドイミド系樹脂(ソルベイアドバンストポリマーズ社製の商品名「トーロンAI−10」)、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、及び架橋剤としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名「jER 152」)を、ポリアミドイミド系樹脂/NMP/フェノールノボラック型エポキシ樹脂の重量比が25/75/5となる割合で混合して製膜用の原液を得た。ガラス板上に、PETフィルム基材(帝人デュポン社製、HS74ASタイプ、厚み100μm)をPETフィルムの易接着面が外側となるようにテープで固定し、25℃としたこの原液をフィルムアプリケーターを使用して、フィルムアプリケーターと基材とのギャップ38μmの条件でキャストした。キャスト後速やかに湿度約100%、温度50℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸漬して凝固させていると、自然と基材から多孔質層が剥離した。その後、室温下で自然乾燥することによって多孔質層のみからなる膜Aを得た。得られた多孔質層のみからなる膜Aの厚みは約27μmであった。
この多孔質膜Aを電子顕微鏡で観察したところ、多孔質膜の表面には基本的にスキン層が形成される傾向があり、多孔質膜内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約1.0μmの独立した微小孔が存在していた。また、多孔質膜内部の空孔率は75%であった。
[実施例2]
ポリアミドイミド系樹脂溶液(東洋紡績社製の商品名「バイロマックスN−100H」;固形分濃度20重量%、溶剤NMP、溶液粘度350dPa・s/25℃)、溶剤としてのNMP、水溶性ポリマーとしてのポリビニルピロリドンK−15(平均分子量約10000)、及び架橋剤としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名「jER 828」)を、ポリアミドイミド系樹脂/NMP/ポリビニルピロリドン/ビスフェノールA型エポキシ樹脂の重量比が15/85/25/5となる割合で混合して製膜用の原液を得た。ガラス板上に、PETフィルム基材(帝人デュポン社製、HS74ASタイプ、厚み100μm)をPETフィルムの易接着面が外側となるようにテープで固定し、25℃としたこの原液をフィルムアプリケーターを使用して、フィルムアプリケーターと基材とのギャップ51μmの条件でキャストした。キャスト後速やかに湿度約100%、温度50℃の容器中に4分間保持した。その後、水中に浸漬して凝固させていると、自然と基材から多孔質層が剥離した。その後、室温下で自然乾燥することによって多孔質層のみからなる膜Bを得た。得られた多孔質層のみからなる膜Bの厚みは約36μmであった。
この多孔質膜Bを電子顕微鏡で観察したところ、多孔質膜内部はほぼ均質で全域に亘って平均孔径が約0.3μmの連通性を持つ微小孔が存在していた。また、多孔質膜内部の空孔率は70%であった。
[多孔質膜の加熱架橋処理]
実施例1〜2でそれぞれ得られた多孔質膜サンプルA、Bについて、次のようにして加熱架橋処理を行った。
各多孔質膜サンプルをホットプレート上で表1に示す加熱条件(温度、時間)で加熱した。サンプル全体が均質に加熱されるように、サンプルの上から深さ約20mmのアルミ製のバットを被せて加熱した。
各多孔質膜サンプルについて、加熱架橋処理の前後における多孔質膜の厚み(μm)、耐薬品性評価試験I(多孔質膜のNMPに対する溶解性)、透気度の測定結果を表1に示す。さらに、多孔質膜サンプルBについて、加熱処理の前後における耐薬品性評価試験II(多孔質膜の寸法変化率の測定)の測定結果を表2に示す。
Figure 0005461973
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表1より、多孔質膜サンプルA、Bについて、加熱処理前に比べ、加熱処理後にはNMPに対する耐薬品性が著しく向上した。なお、表1の耐薬品性評価Iにおいて、「溶解」とは、NMPを滴下した部分のサンプルが溶解したことを示している。「痕跡有」とは、NMPを滴下した部分にその痕跡が認められたことを示している。
多孔質膜サンプルAについては、加熱処理の前後において、透気度は4000秒以上(秒数測定限界)であった。多孔質膜A中の微小孔の連通性が低いという特性は維持されていることが確認された。
多孔質膜サンプルBについては、加熱処理前の透気度76秒が加熱処理後の透気度48秒に僅かに変化した。この僅かな透気度の変化は、多孔質膜B中の微小孔の連通性の度合いは維持されていることを示している。
表2より、多孔質膜サンプルBについて、加熱処理前に比べ、加熱処理後にはTHFに対する耐薬品性が著しく向上した。加熱処理前のサンプルでは、THFへの浸漬時に膨潤が見られ、乾燥後は膜自体の変形が激しく平面上での測定が不能であった。加熱処理後のサンプルでは、THFへの浸漬時の膨潤や、THFへの浸漬後の乾燥時の収縮も見られなかった。このように、多孔質膜において、架橋可能な官能基を有する高分子と架橋剤との架橋形成が、多孔質膜の膜強度の向上、及び耐薬品性向上に非常に有効であることが確認された。

Claims (8)

  1. 多数の微小孔が存在する多孔質膜であって、
    前記多孔質膜は、主成分として架橋可能な官能基を有する高分子と、前記架橋可能な官能基と架橋反応し得る架橋剤とを含む組成物から構成され、
    前記多孔質膜中に含まれている前記架橋剤は、未反応の状態であり、
    前記多孔質膜における微小孔の平均孔径が0.01〜10μmであり、空孔率が30〜85%である多孔質膜。
  2. 前記高分子に含まれる架橋可能な官能基は、アミド基、カルボキル基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基、エポキシ基、アルデヒド基、及び酸無水物基からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の多孔質膜。
  3. 前記高分子は、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリエーテルイミド系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の多孔質膜。
  4. 前記架橋剤は、2個以上のエポキシ基を含有する化合物、ポリイソシアネート化合物、及びシランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の多孔質膜。
  5. 前記多孔質膜は、5〜200μmの厚みを有する、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の多孔質膜。
  6. 前記多孔質膜は、前記多孔質膜を構成すべき前記高分子と前記架橋剤とを含む多孔質膜形成用材料の溶液を、基材上にフィルム状に流延し、その後、これを凝固液中に浸漬し、フィルム状多孔質層を前記基材から剥離し、次いで、前記フィルム状多孔質層を乾燥に付すことにより形成されたものである、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載の多孔質膜。
  7. 請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の多孔質膜を製造する方法であって、
    前記多孔質膜を構成すべき前記高分子と前記架橋剤とを含む多孔質膜形成用材料の溶液を、基材上にフィルム状に流延し、その後、これを凝固液中に浸漬し、フィルム状多孔質層を前記基材から剥離し、次いで、前記フィルム状多孔質層を乾燥に付すことを含む、多孔質膜の製造方法。
  8. 前記多孔質膜形成用材料の溶液を前記基材上にフィルム状に流延した後、相対湿度70〜100%、温度15〜100℃の雰囲気下に0.2〜15分間保持し、その後、これを凝固液中に浸漬する、請求項に記載の多孔質膜の製造方法。
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