以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の説明および図面では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの機能および名称も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。以下においては、本発明の実施の形態に係る画像形成装置をタンデム形式のフルカラータイプとして説明するが、他の形式(たとえば4サイクル)のフルカラータイプでもよく、モノクロタイプであっても構わない。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。この画像形成装置100は、後述する印刷キャンセル処理を実行する点が特徴である。なお、後述するように、本発明の他の実施の形態に係る画像形成装置は同じ印刷キャンセル処理において異なる印字処理を行なう点のみが異なり、基本的な画像形成機能はこの画像形成装置100と同じである。この画像形成装置100は、いわゆる複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であって、コピー機能(コピーモード)、ファクシミリ送受信機能(ファクシミリモード)、プリンタ機能(プリンタモード)およびスキャナ機能(スキャナモード)を有する。以下において、図1を参照して、記録用紙に画像を形成する機能(コピーモード、ファクシミリ受信モードおよびプリンタモードにおいて使用)について説明する。
[画像形成装置の構造]
この画像形成装置(MFP)100は、情報処理装置(コンピュータ)からネットワーク回線を介して伝達された画像データ(印刷データと記載する場合がある。)に応じて、所定の記録用紙(シートと記載する場合がある。)に対して多色の画像または単色の画像を形成するもので、大略的には、画像形成装置100の本体部110と、自動原稿処理装置120(コピーモードまたはスキャナモードで使用)とにより構成されている。本体部110には、画像形成部(後述する図2における画像形成部360および記録用紙搬送部370)が、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着ユニット7、給紙カセット81、排紙トレイ91等により構成されている。
本体部110の上部には、原稿が載置される透明ガラスからなる原稿載置台92が設けられ、原稿載置台92の上側には自動原稿処理装置120が取り付けられている。自動原稿処理装置120は、原稿載置台92の上に自動で原稿を搬送する。また、自動原稿処理装置120は矢印M方向に回動自在に構成され、原稿載置台92の上を開放することにより原稿を手置きで置くことができるようになっている。原稿載置台92に載置された原稿は、原稿読取部(スキャナ部)により画像データとして読取られる。
この画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に対応するデータである。従って、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、クリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4つの画像ステーションが構成されている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるために機能する。露光ユニット1には、レーザー出射部および反射ミラー等を備えたレーザースキャニングユニット(LSU:Laser Scannig Unit)として構成される。露光ユニット1は、レーザー光を走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザー光を感光体ドラム3に導くためのレンズおよびミラー等の光学要素が配置されている。
露光ユニット1は、帯電された感光体ドラム3を、入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を、4色(Y、M、C、K)のトナーにより顕像化するものである。また、クリーナユニット4は、現像および画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去および回収する。
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、および中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、Y、M、C、Kの各色に対応して4本設けられている。中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、および中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。中間転写ローラ64は、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト61上に転写するための転写バイアスを与える。
中間転写ベルト61は、4つの感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。中間転写ベルト61は、たとえば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行なわれる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8mm〜10mmの金属(たとえばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(たとえばエチレン−プロピレン−ジエンゴム、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では転写電極としてローラ形状の電極を使用しているが、それ以外にブラシ形状の電極等を用いることが可能である。
上述のように、各感光体ドラム3上で各色に応じて顕像化された静電潜像は中間転写ベルト61で積層される。このように、積層された画像情報は中間転写ベルト61の回転によって、後述の記録用紙と中間転写ベルト61の接触位置に配置される転写ローラ10によって記録用紙上に転写される。
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ10にはトナーを記録用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、転写ローラ10は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10または中間転写ベルト駆動ローラ62のいずれか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)としたものが用いられる。
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナーまたは転写ローラ10によって記録用紙上に転写が行なわれず中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去および回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、中間転写ベルト61に接触する、たとえば、クリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
給紙カセット81は、画像形成に使用するシートを蓄積しておくためのトレイであり、本体部110の露光ユニット1の下側に設けられている。手差し給紙カセット82にも画像形成に使用するシートを載置することができる。本体部110の上方に設けられている排紙トレイ91は、印刷済みのシートをフェイスダウンで集積するためのトレイである。
本体部110には、給紙カセット81および手差し給紙カセット82のシートを転写ローラ10および定着ユニット7を経由させて排紙トレイ91に送出するための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット81または手差し給紙カセット82から排紙トレイ91までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ11a、ピックアップローラ11b、複数の搬送ローラ12a〜搬送ローラ12d、レジストローラ13、転写ローラ10、定着ユニット7等が配されている。
搬送ローラ12a〜搬送ローラ12dは、シートの搬送を促進および補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。また、ピックアップローラ11aは、給紙カセット81の端部近傍に備えられ、給紙カセット81からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。また、同様にして、ピックアップローラ11bは、手差し給紙カセット82の端部近傍に備えられ、手差し給紙カセット82からシートを1枚ずつピックアップして用紙搬送路Sに供給する。
レジストローラ13は、用紙搬送路Sを搬送されているシートを一旦保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端とシートの先端を合わせるタイミングでシートを転写ローラ10に搬送する機能を有している。
定着ユニット7は、ヒートローラ71および加圧ローラ72を備えており、ヒートローラ71および加圧ローラ72は、シートを挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ71は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて、画像形成装置100の全体を制御または画像形成部を制御する制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ72とともにトナーをシートに熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融、混合および圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
この定着ユニット7には、ヒートローラ71を加熱するためのヒータ(ハロゲンヒータ等)が備えられている。
次に、シート搬送経路を詳細に説明する。上述のように、画像形成装置100には予めシートを収納する給紙カセット81および手差し給紙カセット82が設けられている。これらの給紙カセット81または手差し給紙カセット82からシートを給紙するために、ピックアップローラ11aまたはピックアップローラ11bが配置され、シートを1枚ずつ用紙搬送路Sに導くようになっている。
給紙カセット81または手差し給紙カセット82から搬送されるシートは、用紙搬送路Sの搬送ローラ12aによってレジストローラ13まで搬送され、シートの先端と中間転写ベルト61上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ10に搬送され、シート上に画像情報が書き込まれる。その後、シートは定着ユニット7を通過することによってシート上の未定着トナーが熱で溶融および固着されて、その後に配置された搬送ローラ12bを経て排紙トレイ91上に排出される。
上記の搬送経路は、シートに対する片面印字要求のときのものであるが、これに対して両面印字要求の時は、上記のように片面印字が終了し定着ユニット7を通過したシートの後端が最終の搬送ローラ12bで把持されたときに、搬送ローラ12bが逆回転することによってシートを搬送ローラ12c、12dに導く。その後、レジストローラ13を経てシート裏面に印字が行われた後にシートが排紙トレイ91に排出される。
通常の用紙搬送路Sに対して、シートの表裏を反転させてシートを搬送させる搬送路を反転搬送路Rとして、図1に示す。上述したように、シートの第1面(表面)に印刷した後にこの反転搬送路Rを通過させるとシートの第2面(裏面)に中間転写ベルト61が対向するので、この第2面に画像を形成できる。さらに、シートの第1面(表面)に印刷した後にこの反転搬送路Rを2回通過させるとシートの第1面(表面)に中間転写ベルト61が対向するので、印刷済みの第1面に画像を重ねて形成できる。また、シートの第1面(表面)に印刷してからシートの第2面(裏面)に印刷した後にこの反転搬送路Rを通過させるとシートの第1面(表面)に中間転写ベルト61が対向するので、印刷済みの第1面に画像を重ねて形成できる。
図1の画像形成装置100の本体部110の上方に、手前側に突設して設けられた操作装置90は、操作装置90の表面の右側の領域に配置された、テンキー、およびその他の種々の操作ボタンであるハードウェアキーが備えられている板状の操作パネルと、操作装置90の中央部から左側の領域に配置された、小型のタッチパネル一体型液晶表示装置から構成されている表示パネルとを含む。操作パネルと表示パネルとは一つの筐体に保持され、操作装置90は全体として一体となるように構成されている。
この操作装置90においては、表示パネルに、この画像形成装置100の動作状態、ユーザが所望の機能を選択するために複数の機能が表示されるメニューおよびサブメニュー(メニューのさらに下位階層のメニュー)等が表示される。表示パネルの液晶表示装置の表示領域上には選択ボタンが表示され、この選択ボタンの表示されている領域を指で押すと、タッチパネルがその押された位置を検出する。プログラム上で選択ボタンの表示位置とタッチパネルが押された位置とを照合することにより、画像形成装置100の機能設定および動作指示等が行なわれる。以下において、表示パネルをタッチパネルディスプレイと記載する場合がある。
このように、操作装置90は、ユーザにより操作されるハードウェアキーおよびタッチパネルディスプレイで構成されるソフトウェアキーにより構成される操作部(後述する操作部340)と、タッチパネルディスプレイで構成される表示部(後述する表示部350)とで構成される。
[画像形成装置の動作モード]
本実施の形態に係る画像形成装置100は、その動作モードとして、コピーモード、ファクシミリ送受信モード(タッチパネルディスプレイ画面例では「ファクス/イメージ送信」モードと記載)、プリンタモードおよびスキャナモード(タッチパネルディスプレイ画面例では「ドキュメントファイリング」モードと記載)を備える。以下においては、これらの動作モードを説明する。
−コピーモード−
以下において、コピーモードの動作説明を行なう。このコピーモードにおいては、主として、本体部110が動作することにより、コピー機能が実現される。なお、原稿を自動送りする場合には、自動原稿処理装置120が動作する。
画像形成装置100においては、原稿載置台92に置かれた原稿が画像データとして読取られ、読取られた画像データが制御部へ入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施される。上述した構成を備える画像形成部は、この画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
−ファクシミリモード−
以下において、ファクシミリモードの動作説明を行なう。このファクシミリモードにおいては、主として、送信動作は原稿読取部(スキャナ部)およびFAX通信部が動作することにより、受信動作はFAX通信部および画像形成部が動作することにより、ファクシミリ機能が実現される。
送信動作については以下の通りである。送信側の画像形成装置100においては、ファクシミリモードを指定して、原稿載置台92に置かれた原稿が原稿読取部により画像データとして読取られ、読取られた画像データが制御部に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データがFAX通信部へと出力される。FAX通信部は、指定された送信側の回線を指定された送信先に接続して、画像データをファクシミリ通信規格に合致した通信データへ変換して、受信側のファクシミリ装置(たとえばファクシミリ機能を備えた画像形成装置100)へ送信する。回線が接続されると、受信側の画像形成装置100のFAX通信部は、送信側の画像形成装置100のFAX通信部からの通信要求信号を検出して、応答信号を送信する。その後、たとえば、FAX通信部は、送信側および受信側で互いに実装されている能力情報の受渡しを行ない利用可能な最大能力での通信速度および画像データの符号化・符号訂正方式などを決定してモデムの通信方式を設定する。この通信方式にあわせた画像信号形式を用いて、送信側の画像形成装置100のFAX通信部から受信側の画像形成装置100のFAX通信部へデータを送信する。送信が終了すると回線が切断される。
受信動作については以下の通りである。受信側の画像形成装置100のFAX通信部は、受信したデータを画像データに変換して、画像形成部へ送る。なお、受信したデータを画像データへ変換するのは画像形成部であっても構わない。画像形成部は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、受信したデータから変換された画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
−プリンタモード−
以下において、プリンタモードの動作説明を行なう。このプリンタモードにおいては、主として、画像形成部が動作することにより、プリント機能が実現される。
ネットワークインターフェイスを介してコンピュータからプリントデータを受信すると、受信したプリントデータを画像データに変換して、画像形成部へ送る。なお、プリントデータを画像データへ変換するのは画像形成部であっても構わない。画像形成部は、上述したコピーモードにおける動作と同じように、プリントデータから変換された画像データによって示される原稿の画像を記録用紙に印刷する。
−スキャナモード−
以下において、スキャナモードの動作説明を行なう。このスキャナモードにおいては、主として、原稿読取部(スキャナ部)が動作することにより、スキャナ機能が実現される。
画像形成装置100においては、原稿載置台92に置かれた原稿が原稿読取部により画像データとして読取られ、読取られた画像データが制御部に入力され、ここで画像データに各種の画像処理が施され、この画像データが画像形成装置100の記憶装置(ハードディスク)に記憶されたり(ドキュメントファイリング)、ネットワークに接続されたコンピュータへネットワークインターフェイスを介して送信されたり(スキャンtoフォルダ)、電子メールの添付ファイルとしてネットワークインターフェイスを介して送信されたり(スキャンtoメール)する。
[画像形成装置の制御ブロック構造]
本実施の形態に係る画像形成装置100は、この画像形成装置100が備える上述した機能の中のプリンタ機能を用いて、コンピュータから受信した印刷要求を処理する。この画像形成装置100は、この印刷要求の処理中にキャンセル信号を受信すると、画像形成装置100から出力された記録用紙を、使用できる記録用紙であるのか(正常に全ての印刷データが印刷されているのか)、そうではないのかを、ユーザが混同することなく分別することができるように、記録用紙にキャンセルコメントを印刷する。以下において、このようなキャンセルコメントを記録用紙に印刷する機能を実現する制御部300を含む画像形成装置100の制御ブロックについて説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置100は、図2に示す制御ブロックを備える。この図2を参照して、この画像形成装置100の制御ブロックについて説明する。なお、図1に示す画像形成装置100は、画像形成装置としての一般的機能を実現する制御ブロックを備えるが、それらの制御ブロックは、本発明の本質的部分である、印刷要求の処理中にキャンセル信号を受信すると、記録用紙にキャンセルコメントを印刷する処理とは直接関係するものではないので、その詳細についてはここでは説明しない。
図2に示すように、この画像形成装置100の制御ブロックは、画像形成装置100において検出された信号に基づいて画像形成部360および記録用紙搬送部370等を制御する制御部300と、制御部300に接続され、印刷要求が入力されるコンピュータとネットワーク回線を介して通信する通信部310と、制御部300に接続され、用紙搬送路Sおよび反転搬送路Rにおける記録用紙を検出する記録用紙検出部320と、制御部300に接続された、上述の操作装置90で構成される操作部340および表示部350とを含む。制御部300は、CPU(Central Processing Unit)で構成されている。
さらに、この画像形成装置100の制御ブロックは、上述した画像形成部360と、記録用紙を搬送する搬送ローラ等で構成される記録用紙搬送部360と、印刷要求の処理中にコンピュータからキャンセル信号を受信した場合に記録用紙に印刷するキャンセルコメントを生成するキャンセルコメント生成部380と、生成されたキャンセルコメントを格納するキャンセルコメント格納部390とを含む。また、この画像形成装置100の制御ブロックは、制御部300で実行されるプログラム、ジョブ状況およびキャンセルコメントの印刷設定内容等を記憶する記憶部330を備える。なお、以下において、キャンセルコメント格納部をコメントメモリと記載する場合がある。
キャンセルコメント生成部380は、印刷要求がキャンセルされたときに記録用紙がどの程度まで印刷されているのかに従って(記録用紙の空きスペースの大きさに従って)、キャンセルコメントを生成する。このキャンセルコメントとして、本実施の形態においては、記録用紙の空きスペースが大きい場合にその記録用紙に印刷する「同面用コメント」、記録用紙の空きスペースが小さい場合にその記録用紙の裏面に印刷する「裏面用コメント」、印刷途中の記録用紙の次の記録用紙に印刷する「前頁用コメント」の3種類がある。さらに、このキャンセルコメントは、強調のために文字が修飾されて生成される場合がある。
生成されたキャンセルコメントは、キャンセルコメント格納部390へ格納(記憶)されて、制御部300により制御された画像形成部360および記録用紙搬送部370により、所定の記録用紙(印刷途中の記録用紙/次の記録用紙)の指定された面(表面/裏面)に印刷される。なお、キャンセルコメントを次ページへ印刷することが予め設定されたことが記憶部330に記憶されていると、記録用紙の空きスペースの大きさによらないで次ページにキャンセルコメントを印刷する。
[制御部のソフトウェア構造]
図2に示す制御部300は、この画像形成装置100において、キャンセルコメントを記録用紙に印刷する動作を、以下に示すソフトウェア構成を備えたプログラムを実行することにより、実現する。
この画像形成装置100におけるソフトウェア構成を説明する前に、画像形成装置100へ印刷を要求するコンピュータにおいて実行される印刷要求プログラムの制御構造について説明する。なお、このコンピュータの構造および制御ブロックは、CPU、記憶メモリ、操作キーボードおよびマウス、モニタ、ネットワーク通信機能を備えた公知のコンピュータであるので、ここでは詳細に説明しない。
図3は、画像形成装置100へ印刷を要求するコンピュータのCPUで実行される、印刷要求プログラムの制御構造を示すフローチャートである。なお、このコンピュータの全体を制御するCPUは、このようなプログラムと並行して、コンピュータとしての一般的機能を実現するプログラムを実行する。しかしながら、そのプログラムは、本発明の本質的部分とは直接関係するものではないので、その詳細についてはここでは説明しない。
図3を参照して、ステップ(以下、ステップをSと記載する。)1000にて、画像形成装置100へ印刷を要求するコンピュータのCPU(以下、単にCPUと記載する。)は、印刷要求を検出したか否かを判定する。このとき、CPUは、記憶メモリに記憶されたプリンタドライバが読み出されて、このプリンタドライバの印刷要求ボタンがマウスでクリック等されると印刷要求を検出したと判定する。印刷要求を検出したと判定されると(S1000にてYES)、処理はS1010へ移される。もしそうでないと(S1000にてNO)、この処理はS1000へ戻されて印刷要求を検出したと判定されるまで待つ。なお、S1000にてNOの場合、このプログラムを一旦終了させても構わない。
S1010にて、CPUは、印刷ジョブデータを画像形成装置100へ送信する。なお、CPUはネットワークを介して印刷ジョブデータを画像形成装置へ送信する。このとき、ネットワークには複数の画像形成装置が接続されていても構わない。CPUは、プリンタドライバで選択された1台の画像形成装置へ印刷ジョブデータを送信する。また、印刷ジョブデータには、印刷を要求したユーザ名を含む。ユーザ名は、たとえば、コンピュータにログインしたユーザ名とすることができる。
S1020にて、CPUは、印刷要求が中止(キャンセル)される入力を検出したか否かを判定する。このとき、CPUは、印刷ジョブデータの送信先である画像形成装置100を監視するプリンタドライバにおいて印刷中止ボタンがマウスでクリック等されると印刷要求がキャンセルされる入力を検出したと判定する。印刷要求がキャンセルされる入力を検出したと判定されると(S1020にてYES)、処理はS1030へ移される。もしそうでないと(S1020にてNO)、この処理は終了する。
S1030にて、CPUは、印刷ジョブデータの送信先の画像形成装置100へ、印刷キャンセル信号を送信する。
図4および図5は、画像形成装置100の制御部300で実行される、キャンセルコメントを記録用紙に印刷する印刷処理プログラムの制御構造を示すフローチャートである。なお、画像形成装置100の全体を制御する制御部300は、このようなプログラムと並行して、画像形成装置としての一般的機能を実現するプログラムを実行する。しかしながら、そのプログラムは、本発明の本質的部分とは直接関係するものではないので、その詳細についてはここでは説明しない。
図4および図5を参照して、画像形成装置100の制御部300で実行される印刷処理プログラムについて説明する。
S2000にて、画像形成装置100の制御部(以下、単に制御部と記載する。)300は、印刷ジョブデータをコンピュータから受信したか否かを判定する。この処理は、図3のS1010の処理に対応している。印刷ジョブデータをコンピュータから受信したと判定されると(S2000にてYES)、処理はS2010へ移される。もしそうでないと(S2000にてNO)、この処理はS2000へ戻されて印刷要求を検出したと判定されるまで待つ。なお、S2000にてNOの場合、このプログラムを一旦終了させても構わない。
S2010にて、制御部300は、コンピュータから受信した印刷ジョブデータに基づいて、印刷処理を実行する。このとき、制御部300は、画像形成部360および記録用紙搬送部370を制御して、印刷処理を実行する。
S2020にて、制御部300は、印刷ジョブデータに基づく印刷処理を終了したか否かを判定する。印刷処理が終了したと判定されると(S2020にてYES)、この処理は終了する。もしそうでないと(S2020にてNO)、この処理はS2030へ移される。
S2030にて、制御部300は、印刷キャンセル信号を、印刷ジョブデータを送信してきたコンピュータから受信したか否かを判定する。この処理は、図3のS1020の処理に対応している。印刷キャンセル信号をコンピュータから受信したと判定されると(S2030にてYES)、処理はS2040へ移される。もしそうでないと(S2030にてNO)、この処理はS2010へ戻されて印刷処理を継続して実行する。すなわち、印刷が終了するまでに印刷キャンセル信号を受信するとS2030にてYESと判定される。
S2040にて、制御部300は、搬送路(用紙搬送路Sまたは反転搬送路R)に印刷済みの反転不可能な記録用紙があるか否かを判定する。このとき、制御部300は、記録用紙検出部320にて検出された信号および画像形成部360における処理状態に基づいて、搬送路に印刷済みの反転不可能な記録用紙があるか否かを判定する。搬送路に印刷済みの反転不可能な記録用紙があると判定されると(S2040にてYES)、処理はS2050へ移される。もしそうでないと(S2040にてNO)、この処理は、S2060へ移される。
S2050にて、制御部300は、搬送路にある印刷済みの反転不可能な記録用紙について、通常の排出処理を実行する。
S2060にて、制御部300は、搬送路(用紙搬送路Sまたは反転搬送路R)に印刷途中の記録用紙(反転可能とする。)があるか否かを判定する。このときも、制御部300は、S2040の処理と同様にして、搬送路に印刷途中の記録用紙があるか否かを判定する。搬送路に印刷途中の記録用紙があると判定されると(S2060にてYES)、処理はS2070へ移される。もしそうでないと(S2060にてNO)、この処理は、S2180へ移される。
S2070にて、制御部300は、キャンセルコメントを次ページに印刷することが強制的に設定されているか否かを判定する。このとき、制御部300は、記憶部330に記憶された「キャンセルコメント印刷設定」に基づいて、判定する。キャンセルコメントを次ページに印刷することが設定されていると判定されると(S2070にてYES)、処理はS2170へ移される。もしそうでないと(S2070にてNO)、この処理は、S2080へ移される。
S2080にて、制御部300は、印刷途中の記録用紙にキャンセルコメントを印刷するスペースがあるか否かを判定する。このとき、制御部300は、画像形成部360における画像形成状態に基づいて、判定する。印刷途中の記録用紙にキャンセルコメントを印刷するスペースがあると判定されると(S2080にてYES)、処理はS2090へ移される。もしそうでないと(S2080にてNO)、この処理は、S2100へ移される。なお、S2080の判定対象面は、第1面であるとする。
S2090にて、制御部300は、コメントメモリ390に、「同面用コメント」を格納する。「同面用コメント」は、印刷途中の記録用紙の空きスペースが大きい場合にその印刷途中の記録用紙の印刷面に印刷する場合のキャンセルコメントである。その後、この処理はS2130へ移される。
S2100にて、制御部300は、印刷途中の記録用紙における現在の印刷面は第1面であって第2面にコメント印刷スペースがあるか否かを判定する。このときも、制御部300は、S2080の処理と同様にして、画像形成部360における画像形成状態に基づいて、判定する。なお、第1面とは両面印刷において先に印刷される面のことであって表面と同じ意味であり、第2面とは両面印刷において後に印刷される面のことであって裏面と同じ意味である。印刷途中の記録用紙における現在の印刷面は第1面であって第2面(裏面)に印刷されていない、または、第2面に印刷されていても第2面にコメント印刷スペースがあると判定されると(S2100にてYES)、処理はS2110へ移される。もしそうでないと(S2100にてNO)、この処理は、S2170へ移される。S2100にてYESの場合とは、両面印刷であって、裏面にコメント印刷スペースがある場合(裏面に全く印刷されていないか印刷されていてもスペースがある場合)である。S2100にてNOの場合とは、両面印刷であって、裏面にコメント印刷スペースがない場合である。
S2110にて、制御部300は、搬送路にある印刷途中の記録用紙について、反転搬送路Rを用いた反転搬送処理を実行する。これにより、印刷されていない第2面またはコメント印刷スペースがある第2面へ印刷することが可能となる。
S2120にて、制御部300は、コメントメモリ390に、「裏面用コメント」を格納する。「裏面用コメント」は、印刷途中の記録用紙の表面の空きスペースが小さい場合にその印刷途中の記録用紙の裏面に印刷する場合のキャンセルコメントである。その後、この処理はS2130へ移される。
S2130にて、制御部300は、コメントメモリ390に格納された、「同面用コメント」または「裏面用コメント」を、印刷途中用紙の指定された面(第1面(表面)/第2面(裏面))に印刷する。
S2140にて、制御部300は、キャンセルコメントが印刷された、搬送路にあった印刷途中の記録用紙について、通常の排出処理を実行する。
S2150にて、制御部300は、搬送路(用紙搬送路Sまたは反転搬送路R)に印刷前の記録用紙があるか否かを判定する。このときも、制御部300は、S2040の処理と同様にして、搬送路に印刷前の記録用紙があるか否かを判定する。搬送路に印刷前の記録用紙があると判定されると(S2150にてYES)、処理はS2160へ移される。もしそうでないと(S2150にてNO)、この処理は、終了する。
S2160にて、制御部300は、搬送路にある印刷前の記録用紙について、通常の排出処理を実行する。
S2170にて、制御部300は、搬送路にあった印刷途中の記録用紙について、通常の排出処理を実行する。なお、この記録用紙にはキャンセルコメントは印刷されていない。
S2180にて、制御部300は、搬送路(用紙搬送路Sまたは反転搬送路R)に印刷前の記録用紙があるか否かを判定する。このとき、制御部300は、S2150の処理と同様にして、搬送路に印刷前の記録用紙があるか否かを判定する。搬送路に印刷前の記録用紙があると判定されると(S2180にてYES)、処理はS2200へ移される。もしそうでないと(S2180にてNO)、この処理は、S2190へ移される。
S2190にて、制御部300は、次の記録用紙について、通常の供給処理を実行する。次の記録用紙にキャンセルコメントを印刷するためである。
S2200にて、制御部300は、コメントメモリ390に、「前頁用コメント」を格納する。「前頁用コメント」は、印刷途中の記録用紙の空きスペースが少なくかつ裏面に印刷できない場合、または、次の記録用紙にキャンセルコメントを印刷することが強制的に設定されている場合に、印刷途中の記録用紙の次の記録用紙(搬送路にある印刷前の記録用紙を含む。)に印刷する場合のキャンセルコメントである。
S2210にて、制御部300は、コメントメモリ390に格納された、「前頁用コメント」を、搬送路にあった印刷前の記録用紙または新たに供給された次の記録用紙に印刷する。
S2220にて、制御部300は、キャンセルコメントが印刷された、搬送路にあった印刷前の記録用紙または新たに供給された次の記録用紙について、通常の排出処理を実行する。
この画像形成装置100においては、ユーザがキャンセルコメントをより識別しやすくするために、キャンセルコメントの文字が修飾されて生成される場合がある。図6を参照して、画像形成装置100の制御部300で実行されるコメント修飾処理プログラムについて説明する。
S2300にて、制御部300は、キャンセルコメントの修飾が必要であるか否かを判定する。たとえば、このとき、制御部300は、印刷データが全てモノクロであるとキャンセルコメントの修飾が必要であると判定するようにしてもよい。キャンセルコメントの修飾が必要であると判定されると(S2300にてYES)、処理はS2310へ移される。もしそうでないと(S2300にてNO)、この処理は終了する。
S2310にて、制御部300は、キャンセルコメントの修飾にカラーを使用するか否かを判定する。このとき、画像形成装置100がモノクロ機である場合には当然にキャンセルコメントの修飾にカラーを使用しないと判定される。また、画像形成装置100がカラー機である場合であっても、ユーザの設定により、キャンセルコメントの修飾にカラーを使用しないと判定されることがある。キャンセルコメントの修飾にカラーを使用すると判定されると(S2310にてYES)、処理はS2320へ移される。もしそうでないと(S2310にてNO)、この処理はS2330へ移される。
S2320にて、制御部300は、カラーを使用した、キャンセルコメントが修飾されたコメント修飾データを生成する。このとき、たとえば、コメント文字の色を黒以外に変更したコメント修飾データが生成される。その後、この処理は終了する。
S2330にて、制御部300は、カラーを使用しない、キャンセルコメントが修飾されたコメント修飾データを生成する。このとき、たとえば、コメント文字を黒ベタ白抜きに変更したコメント修飾データが生成される。
この画像形成装置100においては、ユーザにより印刷処理がキャンセルされたことを画像形成装置100において確認できるように、画像形成装置100の表示部350へ印刷ジョブの状況が表示される。図7を参照して、画像形成装置100の制御部300で実行されるキャンセル表示処理プログラムについて説明する。
S2400にて、制御部300は、ジョブ状況キー(タッチパネルディスプレイ上に形成されたソフトウェアボタン)が押下されたか否かを判定する。ジョブ状況キーが押下されたと判定されると(S2400にてYES)、処理はS2410へ移される。もしそうでないと(S2400にてNO)、この処理はS2420へ移される。
S2410にて、制御部300は、ジョブ状況をタッチパネルディスプレイに表示する。このとき、印刷要求を送信したユーザ名、記録用紙のサイズ、印刷要求枚数および状況が表示される。なお、これらの表示項目はユーザにより設定することが可能である。
S2420にて、制御部300は、印刷キャンセル信号を、印刷ジョブデータを送信してきたコンピュータから受信したか否かを判定する。この処理は、図3のS1020の処理に対応している。印刷キャンセル信号をコンピュータから受信したと判定されると(S2420にてYES)、処理はS2430へ移される。もしそうでないと(S2420にてNO)、この処理は終了する。
なお、このキャンセル表示処理プログラムにおける、S2400の処理およびS2410の処理と、S2420の処理およびS2430の処理とを、別のサブルーチンプログラムとして構成して、並列的に実行させるようにしても構わない。
[画像形成装置の動作]
以上のような構造およびフローチャートに基づく画像形成装置100の動作について、図8〜図10の表示画面例および図11〜図16の印刷例を参照して、説明する。
−表示動作−
画像形成装置100の操作装置90を構成する表示部350には、メインメニュー画面として図8に示すような画面が表示される。この状態で、画面右側に表示された「ジョブ状況」キーを押下すると(S2400にてYES)、図9に示すように、画面の中央部にジョブ状況が表示される(S2410)。
この図9に示す画面例を見たユーザは、この画像形成装置100における印刷ジョブの進行状況を確認することができる。
この画像形成装置100が、印刷ジョブデータを送信してきたコンピュータから印刷キャンセル信号を受信すると(S2420にてYES)、図8に示すメインメニュー画面または図9に示すジョブ状況表示画面から、図10に示すように、キャンセル状況がポップアップ形式で表示部350に表示される。このとき、たとえば、図10に示すように、「ユーザ◆◆の印刷処理がキャンセルされました。5頁中の3頁までが印刷されました。」と表示される。このため、ユーザは、キャンセルされた印刷ジョブがどこまで処理されたのかを容易に知ることができる。
−キャンセルコメント印刷動作−
画像形成装置100が、印刷ジョブデータを受信して(S2000にてYES)、印刷処理を実行しているときに(S2010、S2020にてNO)、印刷キャンセル信号を受信すると(S2030にてYES)、搬送路における記録用紙の状態および記録用紙への印刷状態が検出される。
(1)印刷途中の記録用紙の印刷面(第1面:表面)にキャンセルコメント印刷
搬送路に印刷途中の記録用紙があって(S2060にてYES)、次頁へのキャンセルコメントの印刷が強制的に設定されておらず(S2070にてNO)、かつ、キャンセルコメント用のスペースがあると判定されると(S2080にてYES)、コメントメモリ390へ同面用コメントが格納される(S2090)。
この場合には、コメントメモリ390に格納された同面用のキャンセルコメントが、印刷途中の記録用紙に印刷されて、この記録用紙が排出される(S2140)。
図11に、この場合の印刷例を示す。図11(A)が、正常に印刷が終了した場合の印刷例である。図11(B)に示すように、記録用紙の途中までは印刷ジョブデータに基づく印刷が実行されている(「ABCDE、FGH」まで)。それよりも下方のスペースに「キャンセルされた原稿です。」というキャンセルコメント(同面用コメント)が印刷されている。
(2)印刷途中の記録用紙の印刷面(第2面:裏面)にキャンセルコメント印刷
搬送路に印刷途中の記録用紙があって(S2060にてYES)、かつ、次頁へのキャンセルコメントの印刷が強制的に設定されていない場合であっても(S2070にてNO)、キャンセルコメント用のスペースがあると判定されないと(S2080にてNO)、現在の印刷面が第1面であって第2面にキャンセルコメント用のスペースがあるか否かが判定される(S2100)。現在の印刷面が第1面であって第2面である裏面へのキャンセルコメントの印刷が可能であると判定されると(S2100にてYES)、印刷途中の記録用紙が反転搬送されて(S2110)、コメントメモリ390へ裏面用コメントが格納される(S2120)。
この場合には、コメントメモリ390に格納された裏面用のキャンセルコメントが、印刷途中の記録用紙に印刷されて、この記録用紙が排出される(S2140)。
図12に、この場合の印刷例を示す。図12(A)が、正常に印刷が終了した場合の印刷例である。図12(B)に示すように、記録用紙の途中までは印刷ジョブデータに基づく印刷が実行されている(「ABCDE、FGH、MNOPQ」まで)。それよりも下方のスペースはキャンセルコメントを印刷するには十分に大きくないので、この印刷途中の記録用紙の裏面に「裏面はキャンセルされた原稿です。」というキャンセルコメント(裏面用コメント)が印刷されている。
(3)印刷途中の記録用紙の次の記録用紙にキャンセルコメント印刷
(3−1)搬送路に印刷途中の記録用紙がない場合(S2060にてNO)、
(3−2)次頁へのキャンセルコメントの印刷が強制的に設定されている場合(S2070にてYES)、または、
(3−3)搬送路に印刷途中の記録用紙があり、次頁へのキャンセルコメントの印刷が強制的に設定されておらず、キャンセルコメント用のスペースが印刷途中の記録用紙の第1面にも第2面にもない場合(S2060にてYES、S2070にてNO、S2080にてNO、S2100にてNO)には、
印刷途中の記録用紙の次の記録用紙にキャンセルコメントが印刷される。このとき、コメントメモリ390へ前頁用コメントが格納される(S2200)。なお、この場合において、キャンセルコメントが印刷される次の記録用紙が既に搬送路にある場合には(S2180にてYES)、搬送路にあるその印刷前の記録用紙にキャンセルコメントが印刷され、次の記録用紙が搬送路にない場合には(S2180にてNO)、搬送路に新たに供給された記録用紙にキャンセルコメントが印刷される。
この場合には、コメントメモリ390に格納されたキャンセルコメントが、印刷途中の記録用紙に印刷されて、この記録用紙が排出される(S2220)。
図13および図14に、この場合の印刷例を示す。図13(A)および図14(A)が、正常に印刷が終了した場合の印刷例である。
図13(B)に示すように、記録用紙の裏面の途中までは印刷ジョブデータに基づく印刷が実行されている(「QWER、ASD、F、ZXCV」まで)。それよりも下方のスペースはキャンセルコメントを印刷するには十分に大きくないので、この印刷途中の記録用紙の次の記録用紙に「前頁はキャンセルされた原稿です。」というキャンセルコメント(前頁用コメント)が印刷されている。これが、上述した(3−3)の場合である。
図14(A)に示すように、記録用紙の裏面の最後まで印刷ジョブデータに基づく印刷が実行されている(「QWER、ASD、F、ZXCV、BNM」まで印刷されて排出されている)。この記録用紙についてはキャンセルコメントを印刷することができないので、この印刷途中の記録用紙の次の記録用紙に「前頁はキャンセルされた原稿です。」というキャンセルコメント(前頁用コメント)が印刷されている。これが、上述した(3−1)の場合である。
さらに、図14(B)および図14(C)に示すように、記録用紙の裏面の途中までは印刷ジョブデータに基づく印刷が実行されている。この場合において、次頁へのキャンセルコメントの印刷が強制的に設定されていると、この印刷途中の記録用紙の次の記録用紙に「前頁はキャンセルされた原稿です。」というキャンセルコメント(前頁用コメント)が、記録用紙におけるスペースの大きさに関わらず、印刷されている。これが、上述した(3−2)の場合である。
なお、上述した、3つのキャンセルコメント、
「キャンセルされた原稿です。」というキャンセルコメント(同面用コメント)、
「裏面はキャンセルされた原稿です。」というキャンセルコメント(裏面用コメント)、
「前頁はキャンセルされた原稿です。」というキャンセルコメント(前頁用コメント)、
は、ユーザ(管理者であっても構わない。)により、適宜変更することが可能である。たとえば、自己以外のユーザへの記録用紙の処理を許可するような「キャンセルされた原稿です。」の部分を「キャンセルされた原稿ですので、破棄して下さい。」に変更することができる。
−キャンセルコメント修飾動作−
キャンセルコメントを修飾する必要があると判定され(S2300にてYES)、かつ、カラーを使用すると判定されると(S2310にてYES)、図15に示すように、修飾されたキャンセルコメントが記録用紙に印刷される。
図15に示すように、キャンセルコメントが印刷データの文字色である黒色とは異なる赤色で印刷される。このため、キャンセルコメントをユーザが認識しやすくなる。
また、キャンセルコメントを修飾する必要があると判定され(S2300にてYES)、かつ、カラーを使用しないと判定されると(S2310にてNO)、図16に示すように、修飾されたキャンセルコメントが記録用紙に印刷される。
図16に示すように、キャンセルコメントの文字が黒ベタ(黒地)に白抜きの文字で印刷される。このため、キャンセルコメントをユーザが認識しやすくなる。
以上のようにして、本実施の形態に係る画像形成装置100によると、印刷ジョブの処理途中で印刷要求がキャンセルされると、印刷途中の記録用紙の空きスペース、裏面、次の記録用紙に、ユーザが認識しやすい態様のキャンセルコメントが印刷されて出力される。また、画像形成装置の表示部にキャンセルされた印刷ジョブについての情報が表示される。このため、画像形成装置から出力された記録用紙を、使用できる記録用紙であるのか、そうではないのかを、ユーザが混同することなく分別することができる。
<第2の実施の形態>
以下に、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。なお、本実施の形態に係る画像形成装置は、第1の実施の形態と異なる構造を備えた印刷処理プログラムを実行する。これら以外の画像形成装置100の構成(図1、図2)については、上述した第1の実施の形態と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
図17は、本実施の形態に係る画像形成装置100の制御部300で実行される、キャンセルコメントを記録用紙に印刷する印刷処理プログラムの制御構造を示すフローチャートである。図17に示すフローチャートは、第1の実施の形態における図5に対応する。図17において、図5と同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらの処理は同じであるため、ここでの詳細な説明は繰返さない。
S3000にて、制御部300は、搬送路(用紙搬送路Sまたは反転搬送路R)に印刷済み(途中まで印刷済みを含む。)の反転可能な記録用紙があるか否かを判定する。このとき、制御部300は、記録用紙検出部320にて検出された信号および画像形成部360における処理状態に基づいて、搬送路に印刷済みの反転可能な記録用紙があるか否かを判定する。搬送路に印刷済みの反転可能な記録用紙があると判定されると(S3000にてYES)、処理はS3010へ移される。もしそうでないと(S3000にてNO)、この処理は、終了する。
S3010にて、制御部300は、記録用紙の印刷済みの面に、画像形成部360により画像が形成できるように反転搬送処理を実行する。反転搬送路Rを通過させる回数を制御することにより、記録用紙の印刷済みの面に画像が形成できるように反転できる。
S3020にて、制御部300は、記録用紙の印刷済みの面に、画像形成部360により、大きな×印の画像を印刷する。
S3030にて、制御部300は、印刷済みの記録用紙は、両面印刷済みであるか否かを判定する。このときにも、制御部300は、記録用紙検出部320にて検出された信号および画像形成部360における処理状態に基づいて、印刷済みの記録用紙は、両面印刷済みであるか否かを判定する。印刷済みの記録用紙は、両面印刷済みであると判定されると(S3030にてYES)、処理はS3040へ移される。もしそうでないと(S3030にてNO)、この処理は、S3050へ移される。
S3040にて、制御部300は、印刷済みの記録用紙の両面に大きな×印の画像が印刷済みであるか否かを判定する。このときにも、制御部300は、記録用紙検出部320にて検出された信号および画像形成部360における処理状態に基づいて、印刷済みの記録用紙の両面に大きな×印の画像が印刷済みであるか否かを判定する。印刷済みの記録用紙の両面に大きな×印の画像が印刷済みであると判定されると(S3040にてYES)、処理はS3050へ移される。もしそうでないと(S3040にてNO)、この処理は、S3010へ戻される。
S3050にて、制御部300は、大きな×印の画像が印刷された、搬送路にあった印刷途中の記録用紙について、通常の排出処理を実行する。
このようにすると、図18(A)に示すように表面の途中まで印刷されてキャンセルされた場合に、図18(B)に示すように大きな×印の画像が印刷されるので、ユーザは正常に印刷処理が終了していない印刷物であることを容易に認識することができる。また、両面に印刷されている場合は、図18に示すように、印刷面の両方に大きな×印の画像が印刷される。
なお、本実施の形態において、印刷ジョブデータに基づく画像が途中まで印刷された記録用紙の画像に重ねて印刷される印は、このような大きな×印に限定されるものではない。たとえば、記録用紙の右上隅から左下隅までの斜線(または記録用紙の左上隅から右下隅までの斜線)であっても構わない。
以上のようにして、本実施の形態に係る画像形成装置100によっても、第1の実施の形態と同様に、印刷ジョブの処理途中で印刷要求がキャンセルされた場合に、印刷途中の記録用紙に、ユーザが認識しやすい態様の印が印刷されて出力される。このため、画像形成装置から出力された記録用紙を、使用できる記録用紙であるのか、そうではないのかを、ユーザが混同することなく分別することができる。
<変形例>
本実施の形態に係る画像形成装置は、以下のように変形することもできる。たとえば、印刷途中の記録用紙の空きスペースの大きさに関わらず、次の記録用紙にキャンセルコメントを印刷するようにするのではなく、これに加えて/これに代えて、印刷途中の記録用紙の空きスペースの大きさに関わらず(ただし片面印刷の場合)、その記録用紙の裏面にキャンセルコメントを印刷するようにする。このようにすると、印刷領域を判定する必要がなくなる。
また、上述した第1の実施の形態の一部を第2の実施の形態に組込むようにしても構わないし、第1の実施の形態と第2の実施の形態とを適宜組合わせるようにしても構わない。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに限定されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。