JP5461605B2 - ウエブロール製造方法およびウエブロール巻き取り方法および内部応力計算方法 - Google Patents

ウエブロール製造方法およびウエブロール巻き取り方法および内部応力計算方法 Download PDF

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Description

本発明は、巻き芯にウエブを巻き取ることによって製造されるウエブロール製造方法およびウエブロール巻き取り方法に関し、特に、ロール状に巻かれたウエブの内部応力を計算することにより、ウエブ巻き取り条件を求め、求めた巻き取り条件でウエブを巻き取る、ウエブロール製造方法およびウエブロール巻き取り方法に関する。
従来、プラスチック等のウエブは、巻き取られてロールにされて客先に出荷されている。なるべく長いウエブを巻き取ってロールにすることにより、一つのロールの運送で多くのウエブを運ぶことができ、効率的な運送が可能になる。
しかしながら、長くウエブを巻き取るほど、形成されたロールに巻きズレ不良等が発生する可能性が大きくなる。ここで巻きズレ不良とは、ウエブを巻いたロールの両側端の位置が、巻き終わった後の状態である初期状態の位置から一部ずれた状態になる不良のことを言う。この巻きズレ不良は、巻き取っているときだけでなく、巻き終わったロールを運搬する際にも発生する。
このような不良を発生させないウエブの巻き取り条件は、従来は、経験的な試行実験が多かった。その理由は、誤差の少ない有効な予測手法(シミュレーション)がないためである。また、条件出しの評価を行う場合、評価期間に2週間以上必要で、評価のための1サンプルで数百から数千mものウエブを巻き取るので、評価期間が長く、評価サンプルのコストも膨大となるからである。また、そのため、多くの条件を評価することも困難であった。
そこで、多くの実験をすることなく、ロールの内部応力を理論的に予測することにより巻き取り条件を求める方法が研究されてきた。例えば、特許文献1に記載されたウエブの巻き取り方法は、ウエブ間に介在する空気膜厚さを考慮した半径方向等価ヤング率を導入することにより、実施値に良く一致する半径方向応力(もしくは面圧と呼ぶ)を理論式によって算出し、半径方向応力或いは横ずれ抵抗力が巻き取り半径に渡って所望の値になるように優れた巻き取りテンションパターンを決定する方法について開示している。
また、非特許文献1は、ロールの内部応力を計算する式を開示している。
特公平7−33198号公報
Z. Hakiel著、「Nonlinearmodel for wound roll stresses」、J. Tech. Assoc. Paper Pulp. Ind.、 vol. 70、 ページ 113-117、 1987年発行
しかしながら、特許文献1に開示されたウエブの巻き取り方法では、ウエブの厚み分布や、ローレットについて考慮していないため誤差が大きくなり、実用に耐えないという問題があった。ここで、ローレット(別名ナーリング)とは、ウエブの幅方向両端部に形成される、滑り止めのための微小な凹凸部のことである。
ここで、図20を参照する。図20は、ロール内部の応力を説明するためのロール斜視図である。図20に示すように、ロール10内部には、ロール10の半径方向にフィルム31に対して加わる応力である半径方向応力σと、フィルム31の円周方向にフィルム31に対して加わる応力である円周方向応力σとが存在する。部分拡大図400に示すように、この半径方向応力に面積を掛けたものが垂直抗力Nになり、フィルムの摩擦係数をμとすると摩擦力F=μNになる。よって、半径方向応力が異なれば摩擦力も異なるのでロールの幅方向において半径方向応力が変化する場合は半径方向応力を考慮する必要がある。ローレットが形成されていればその部分の半径方向応力は大きく異なるので、応力の計算をするには、ローレットが形成されていない部分と同じモデルで計算はできない。
本発明は、かかる実情に鑑み、ウエブの幅方向の応力変化も考慮したウエブロール製造方法およびウエブロール巻き取り方法を提供しようとするものである。
本発明の課題は、下記の各発明によって解決することができる。
即ち、本発明のウエブロール製造方法は、ウエブを巻き芯に巻き取ったウエブロールを製造するウエブロールの製造方法であって、前記ウエブロールに用いられるのと同じウエブを用いて、前記巻き芯に前記ウエブを巻き取ることにより評価用のダミーロールを作製するダミーロール作製工程と、前記ウエブロールを幅方向に輪切りに複数分割した複数の分割モデルを作成するモデル作成工程と、前記分割モデルごとに、かつ、巻き取り径ごとに、円周方向ヤング率と、半径方向ヤング率と、巻き取り張力プロファイルと、に基づいて、円周方向応力と半径方向応力とのうち少なくともいずれか一方の応力を求める計算工程と、前記ダミーロール作製工程でダミーロールに発生した不良の不良発生巻き取り径と、前記計算工程で求めた巻き取り径ごとの前記応力と、から前記不良が発生しうる不良発生応力範囲を求める不良発生応力範囲決定工程と、所定の巻き取り径の範囲の応力が、不良発生応力範囲に含まれなくなるまで、巻き取り条件である、巻き取り張力パターン、フィルムの幅方向厚み分布、ローレット部分の高さ、オシレートの振幅のうち少なくとも一つを変化させて前記計算工程をやり直す応力再計算工程と、前記応力再計算工程において発見した、所定の巻き取り径の範囲の応力が不良発生応力範囲に含まれない巻き取り条件でウエブの巻き取りを行う巻き取り工程と、を備えたことを主要な特徴にしている。
これにより、ロールの幅方向に分割したモデルを作成し、分割したモデルごとに応力計算を行うので、ロールの幅方向全体の応力分布を得ることができる。このため、応力を正確に知ることができ、ダミーロールの作製において複数の種類の不良が発生しても、複数の不良すべて解決したウエブロールを製造することができる。
また、本発明のウエブ巻き取り方法は、巻き芯にウエブを巻き取ったウエブロールを形成するためのウエブ巻き取り方法であって、前記ウエブロールに用いられるのと同じウエブを用いて、前記巻き芯に前記ウエブを巻き取ることにより評価用のダミーロールを作製するダミーロール作製工程と、前記ウエブロールを幅方向に輪切りに複数分割した複数の分割モデルを作成するモデル作成工程と、前記分割モデルごとに、かつ、巻き取り径ごとに、円周方向ヤング率と、半径方向ヤング率と、巻き取り張力プロファイルと、に基づいて、円周方向応力と半径方向応力とのうち少なくともいずれか一方の応力を求める計算工程と、前記ダミーロール作製工程でダミーロールに発生した不良の不良発生巻き取り径と、前記計算工程で求めた巻き取り径ごとの前記応力と、から前記不良が発生しうる不良発生応力範囲を求める不良発生応力範囲決定工程と、所定の巻き取り径の範囲の応力が、不良発生応力範囲に含まれなくなるまで、巻き取り条件である、巻き取り張力パターン、フィルムの幅方向厚み分布、ローレット部分の高さ、オシレートの振幅のうち少なくとも一つを変化させて前記計算工程をやり直す応力再計算工程と、前記応力再計算工程において発見した、所定の巻き取り径の範囲の応力が不良発生応力範囲に含まれない巻き取り条件でウエブの巻き取りを行う巻き取り工程と、を備えたことを主要な特徴にしている。
これにより、ロールの幅方向に分割したモデルを作成し、分割したモデルごとに応力計算を行うので、ロールの幅方向全体の応力分布を得ることができる。このため、応力を正確に知ることができ、ダミーロールの作製において複数の種類の不良が発生しても、複数の不良すべてを良好にできる巻き取り条件を求めることができる。
更に、本発明の内部応力計算方法は、巻き芯にウエブを巻き取ったウエブロールの内部応力計算方法であって、前記ウエブロールを幅方向に輪切りに複数分割した複数の分割モデルを作成する計算モデル作成工程と、前記分割モデルごとに、かつ、巻き取り径ごとに、円周方向ヤング率と、半径方向ヤング率と、巻き取り張力プロファイルと、に基づいて、円周方向応力と半径方向応力とのうち少なくともいずれか一方の応力を求める計算工程と、を備えたことを主要な特徴にしている。
ウエブの幅方向の応力変化も考慮したウエブロール製造方法およびウエブロール巻き取り方法を提供することができる。
ロールの3次元モデルの概念図である。 分割したロールの各パラメータを説明する説明図である。 ロール中の2つのウエブの断面を示す概略図である。 エブの幅方向の張力分布を示す図である。 フィルム間に空気を巻き込む状況を示す説明図である。 中心軸に平行な方向のロール断面の一部の概略図である。 ロールの輪切り方向断面の一部の概略図である。 応力計算結果と実測値とを表したグラフである。 応力計算結果と実測値とを表したグラフである。 応力計算結果と実測値とを表したグラフである。 ウエブの巻き取り方法の手順を示したフロー図である。 切り口写りを説明するためのロールの輪切り方向断面概略図である。 巻き取り径とフィルム張力の関係を示すグラフである。 (a)ダミーロールの巻き取り長と半径方向応力との関係を示す3次元グラフである。(b)ダミーロールの軸中央部の巻き取り長と半径方向応力との関係を示すグラフである。 (a)ダミーロールの巻き取り径と半径方向応力との関係を示す3次元グラフである。(b)ダミーロールのローレット部の巻き取り径と半径方向応力との関係を示すグラフである。 初期条件と導出条件での巻き取り径−中央半径方向応力の関係を示すグラフである。 初期条件と同出場権での巻き取り径−ローレット半径方向応力の関係を示すグラフである。 導出した巻き取り径−フィルム張力条件を示すグラフである。 従来条件と導出条件および巻き取り品質についてまとめた表である。 (A)は、ロールの3次元モデルの断面の一部の概略図である。(B)は、(A)において、ローレット部分が下のフィルムに近接したときの概略図である。 (A)は、ロールの3次元モデルの断面の一部の概略図である。(B)は、(A)において、最大の「フィルム厚み+空気膜厚み」を有する部分が下のフィルムに近接したときの3次元モデルの断面の一部の概略図である。 ロール内部の応力を説明するためのロール斜視図である。 ロール内部応力の2次元モデルでのシミュレーション結果を示す図である。 圧力センサのロール内での配置を示す概略図である。 ロール内部応力の実測値を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。また、本明細書中で、数値範囲を“ 〜 ”を用いて表す場合は、“ 〜 ”で示される上限、下限の数値も数値範囲に含むものとする。
<ロール内ウエブの半径方向応力計算方法>
本発明のロール状に巻かれたウエブの内部応力の計算方法について図面を参照して説明する。
(1)従来の2次元モデル
ロール状に巻かれたウエブ(以下、単にロールと称する)の内部応力をシミュレーションによって求める場合、細かくメッシュを切った3次元モデルを作成することよって、高精度な結果が得られることが期待できる。しかしながら、単純に3次元モデルを作成した場合、まして細かくメッシュを切った3次元モデルを作成した場合は、計算が非常に複雑になり、ロールの内部応力を求めるための方程式である巻き取り方程式を構成する非線形常微分方程式が簡単には解けない場合があり、解けたとしても時間がかかりすぎる場合がある。
そこで、まず従来行われていた2次元モデルでのシミュレーション(以下、従来のシミュレーションと称する)の精度を調査するために、従来のシミュレーションを行い、ロールの内部応力のシミュレーション値と実測値とを比較し検討した。従来のシミュレーションは、非特許文献1に基づいて行った。その結果を、図21に示す。図21は、ロール内部応力の2次元モデルでのシミュレーション結果を示す図である。
また、実測値は、図22に示すように、ウエブ304を巻き取る途中に圧力センサ302を複数個挟み込み、その複数の圧力センサ302で圧力を測定した。図22は、圧力センサのロール内での配置を示す概略図である。圧力センサ302は、所定の巻き取り径ごとに、所定の幅方向間隔で複数個、ロール306中に設置された。圧力センサ302での測定結果を図23に示す。図23は、ロール内部応力の実測値を示す図である。
図21を参照すると、2次元モデル(ロールを輪切りにした断面のモデル)なのでロールの幅方向の影響(ローレットの有無、幅方向のウエブの厚み分布)が考慮されず、どの巻き取り径においても、幅方向の半径方向応力は一定になっている。ここで半径方向応力とは、ウエブの半径方向応力を示す。以下単に半径方向応力とも称する。
これに対して、実測値を示す図23を参照すると、ローレットが形成されているロールの幅方向両端部の半径方向応力が大きくなっている。このように、2次元モデルは、実際の応力を正確に表していないことが判明した。
(2)本発明に用いられる3次元モデル
(1)3次元モデルの概要
本発明においては、従来の2次元モデルの不正確さを改善するために3次元モデルを作成した。3次元モデルは、図1に示すようにウエブ(帯状可撓性支持体)を巻き取ったロール10を幅方向に複数個輪切りに分割して離散化することにより作成した。ここで、ロールは、本来は、その輪切り断面は渦巻き状であるが、本発明の3次元モデルにおいては同心円状のモデルを作成した。図1は、ロールの3次元モデルの概念図である。
次に、本発明に用いられる3次元モデルについて図面を参照して更に詳しく説明する。図2は、分割したロールの各パラメータを説明する説明図である。図3は、ロール中の2つのウエブの断面を示す概略図である。図4は、ウエブの幅方向の張力分布を示す図である。
図2に示すように、本発明に用いられる3次元モデルは、巻き芯18にウエブ(フィルムとも称する)が巻かれたロール10を、幅W1、W2、W3、W4…(以下省略)で輪切りに分割し、それぞれ分割ロール11、分割ロール12、分割ロール13、分割ロール14…(以下省略)としたものである。ここで、本説明においては、W1〜W4までの4分割のみを明示して説明しているが、これは説明の便宜上4分割を例にとって説明しているだけであり、4分割に限定するものではなく、シミュレーション対象のロールの形態、求めたい精度に応じて任意の分割数のモデルを作成することが出来る。
分割ロール11、12、13、14…(以下省略)は、それぞれ分割ウエブ21、22、23、24…(以下省略)を巻いたロールと考え、分割ウエブ21、22、23、24…(以下省略)の張力は、それぞれ張力T1、T2、T3、T4…(以下省略)として考える。各分割ウエブ21、22、23、24…(以下省略)の厚みはそれぞれ、a1、a2、a3、a4として考える。
また、各分割ロール11、12、13、14…(以下省略)共通のパラメータとして、巻き取り速度V、巻き取り長さL、フィルム全幅Wa、巻き取り径rを考える。巻き取り速度Vとは、ウエブを巻き取る速度である。巻き取り長さLとは、巻き取ったウエブの長さである。フィルム全幅Waとは、ウエブの全幅、即ち、W1+W2+W3+W4+…(以下省略)のことである(なお、以下においてフィルムとウエブとは同じ意味として用いる)。巻き取り径rとは、ロールの半径のことである。
ここで、3次元モデルで応力解析を行うと計算が非常に複雑になり、巻き取り方程式といわれる非線形状部分方程式が簡単には解けないという問題があった。しかしながら、本発明者の鋭意研究により、分割ロール間の接続条件である幅方向応力と変位接続条件を考慮しないことにより、3次元モデルの巻き取り方程式を解くことが可能になり、かつ、得られる値も実験値に近い値になることを見いだした。即ち、分割ロールごとに別々に巻き取り方程式を解いて応力を求めることで、容易に、かつ、実験値に近い応力値を得ることができる。
次に、図3を参照して説明する。図3は、ロール中の重なった2つのフィルム(ウエブ)のロール回転中心軸に平行な断面を示した概略図である。図3に示すように、フィルム(ウエブ)31の厚みは、中心が薄く外側に向かうほど厚く形成されていることが多い(この限りではない)。また、フィルム31の間には巻き込まれた空気32が存在している。ロール10を分割ロールに分割する分割線33の間隔は、中央部ほど広く、両端部に向かうにつれて狭くなっている。
これにより、厚みの変化が大きい部分、特に、ローレット部34が形成されていて厚みの変化の大きい両端部ほど細かく分割することによって、応力の計算結果を実験値に近づけることができる。
次に、図4を参照して説明する。図4は、フィルムの幅方向位置と張力の関係を示した図である。図4の横軸は、フィルムの幅方向位置を示し、縦軸はフィルムの張力を示す。この図3も図4とともに参照して、図4に示されるようにフィルムの厚みに比例して張力が大きくなるように張力を設定する。フィルム厚みが厚い領域(分割ロール)ほど大きい張力がかかるからである。全領域(全分割ロール)の張力を合計すると、フィルムの張力になるようにフィルムの張力を各分割ロールごとに分割する。
具体的には、各分割ロールのフィルムの厚みをt(m)、フィルム全幅にかかる張力をT(N)、フィルムの全幅の断面積をA(m2)とすると、単位断面積あたりの張力はT/A(N/m2)となる。これに、各分割ロールのフィルムの厚みをかけると、各分割ロールの単位幅あたりの張力Tnが、Tn=[T×t/A] (N/m)と計算できる。
(2)フィルム間に巻き込まれる空気層の厚み計算
次に、フィルムを巻き取ってロールを形成してゆく過程において、フィルムとフィルムとの間に巻き込まれる空気がフィルム間で形成する空気層の厚みの計算方法について図面を参照して説明する。図5は、フィルム間に空気を巻き込む状況を示す説明図である。図5は、フィルム31を巻き取っているロール10の断面の概略を示している。フィルム間に巻き込まれた空気の厚みは、以下に示すようにフォイル軸受け理論を用いて算出する。
図5に示されるように、フィルム31は、矢印方向に搬送されてロール10に巻き付けられる。このとき、一番外側のフィルム(図面上においては一番上側のフィルム)とその下のフィルムとの間に空気を巻き込み、そのときの空気層の厚みをhoとする。
この巻き込んだ空気を外に排除するため、即ち、空気層の厚みhoを小さくするためにエアプレス装置50から空気を一番外側のフィルム表面に吹き付けて一番外側のフィルムを押さえつけて巻き込んだ空気を外に絞り出す(空気を非圧縮性とみなし、空気をフィルム間から巻取りロール外に絞り出す効果を非圧縮性スクイズ作用という)。エアプレス装置50によって押さえつけられた後の空気層の厚みをhaとする。
ここで、スクイズ効果を出すために、エアプレス装置50を用いることを例にとって説明したが、エアプレス装置だけでなく、フィルム表面に圧力を加えることが出来るものならば、コンタクトロール等様々な装置を採用することができ、空気層の厚み計算も同様に行うことができる。
更に、フィルムがロール10に巻き付けられて、自分の外側に何層ものフィルムが巻かれることにより、それらの応力(フィルム面に垂直な方向の応力)により巻き込まれた内部空気に更に同様のスクイズ作用(絞り出された)がなされたときの空気層の厚みをhとする。ho、ha、hの計算方法については、以下に説明する。
巻き取りに流入する空気層の厚みhoを以下の式1で求める。

ここで、R、η、Vr、Vw、Tについて以下に示す。
R: ロール10の半径
η: 空気の粘性係数
Vr: ロールの回転速度(ロール外側の線速度)
Vw: 巻き付けられるフィルムの搬送速度

T: フィルムの張力
次に、算出したhoを用いて、エアプレス装置50によって押さえつけられた後の巻き込み始めの空気層の厚みhaを以下の式2により求める。

ここで、L、W、tについて以下に示す。
L:エアプレス装置50から噴出する空気によってロール10に巻き付けられるフィルムをロール10に押しつける力
W:ウェブの幅
t:時間

(3)巻き込み空気層のモデルへの適用
次に、巻き込み後(巻取り内部)の空気層の厚みhのモデルへの適用について図6、図18(A)、(B)、図19(A)、(B)を参照して説明する。図6は、中心軸に平行な方向のロール断面の一部の概略図である。図18(A)は、ローレット部分のフィルムを含んだ全体厚みより大きい「フィルム厚み+空気膜厚み」を有する他のフィルムが存在しない場合の3次元モデルの断面の一部の概略図である。図18(B)は、図18(A)において、ローレット部分が下のフィルムに近接したときの概略図である。図19(A)は、ローレット部分のフィルムを含んだ全体厚みより大きい「フィルム厚み+空気膜厚み」を有する他のフィルムが存在する場合の3次元モデルの断面の一部の概略図である。図19(B)は、図19(A)において、最大の「フィルム厚み+空気膜厚み」を有する部分が下のフィルムに近接したときの3次元モデルの断面の一部の概略図である。
本発明においては、フィルムは剛体として考える。また、フィルムの表面、裏面については、ロールの中心側の面を表面、ロールの外側の面を裏面とする。ここでは、図6に示すように、中心部分から両端部分に向かうにつれてフィルムの厚みが厚くなるように形成されているフィルム31を例にとって説明する。しかしながら、本発明は、フィルム31に示される厚みパターンに限定されるものではなく、どのような厚みパターンであっても本発明を適用することができ、本発明の範囲に属するものである。
厚み分布を有するフィルムの場合、上下フィルムは、幅方向で厚い部分上位2箇所で接触しようとする(近接しようとする)。図18(A)に示すように、ローレット部34もフィルムの一部と考えたときの各分割ロールのフィルムの膜厚のうち最大膜厚よりも大きい「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の値を有する他の分割ロールのフィルム50(単に分割フィルム60と称する)が存在しない場合は、図18(B)に示すように、ローレット部34は巻き込み空気に邪魔されることなく、スクイズされその結果、上下フィルムの間隔が決まり、他のゾーンの空気膜厚も決定される。
巻取り各層間の空気膜について、このとき、ローレット部34(もしくは各分割フィルム60のうち最大膜厚を有するフィルム)の下の空気膜厚hは、下記式3Aまたは式3Bにより求められ、図6、図18(B)に示すように、それ以外の分割フィルム60の下の空気膜厚は、フィルム厚み分布によって生じる、その分割フィルム表面と、その下のフィルムの裏面との間隔に等しいと考える。
式3Aの代わりにボイルの法則から容易に導ける以下の式3Bを使用してもよい。
σ:半径方向応力(Hakielで第i層まで巻いた時の計算結果)
σ0:初期半径方向応力(Hakielで第i-1層まで巻いた時の計算結果)
Pap:大気圧
ha:エアプレスで半径方向にLの力で押さえつけた後の空気層の厚み。巻き込み後はHakielで第i-1層まで巻いた時の巻き込んだ空気層厚みh。
図19(A)に示すように、ローレット部34もフィルムの一部と考えたときの前記分割モデルのフィルムのうち最大膜厚を有するフィルムの膜厚よりも大きい「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の値を有する分割フィルム60が存在する場合は、図19(B)に示すように、他の輪切りゾーンの巻き込んだ空気が邪魔をして空気を押し出しにくく上下フィルムの間隔は以下のように決定する。
二つの方法があり、(1)図19(B)のようにローレット部以外の部分の「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の大きさが最大の分割フィルムとその下のフィルムとが空気膜厚haの間隔で配置されたとき、各上下分割フィルム間距離(上フィルムの表面と下フィルムの裏面との距離)を空気膜厚とする。
もしくは(2)図19(B)で示される各分割フィルムの巻き込み空気の断面積の合計と、上下フィルム間(上フィルムの表面と下フィルムの裏面との間)の隙間の断面積とが同じになるような上フィルム表面と下フィルム表面の間隔を求め、そのときの各上下分割フィルム間距離(上フィルムの表面と下フィルムの裏面との距離)を空気膜厚とする。
上記のように、幅方向の膜厚大小比較をして計算することが精度が良く望ましいが、膜厚比較をすることなく幅方向全体に渡って式3Aまたは式3Bで一律に巻き込みスクイズ計算を行いhを算出し、空気膜の厚みとしてもよい(ローレットがない場合や低く影響が少ない場合など)。
このように、巻き込まれた空気の厚みを考慮することにより、巻き込まれた空気の影響を簡単にかつ精度良く数値解析することが可能になり、ロールの幅方向の応力分布を正確に計算できる。
(4)幅方向オシレート
幅方向オシレート(以下、単にオシレートと称する)とは、フィルムを巻いてロールを形成するとき、フィルム巻き取り中に、巻き取られるフィルムをロールに対して相対的にフィルムの幅方向に往復移動させることである。
このオシレートをモデルに適用する方法について図7を参照して説明する。図7は、ロールの輪切り方向断面の一部の概略図である。図7において、(A)はオシレートの振幅が10mmの場合を示し、(B)はオシレートの振幅が5mmの場合を示す。ここで、振幅とは、オシレートによって幅方向に移動する距離のことである。また、図7において、点線で囲まれた範囲は、例えば、3次元モデルで分割された分割ロール1個分の範囲と考えることができる。
このとき、ローレット部34が形成されている部分は、点線の範囲内においては、振幅が10mmの場合よりも、振幅が5mmの場合の方が多くなる。これは、即ち、半径方向応力が大きくなることを示す。このようなオシレートによる影響を考慮するために、例えば、分割ロールAの範囲に隣の分割ロールBのフィルムおよび空気層がオシレートによって侵入してくる場合は、侵入してきた部分の長さと、もともとの分割ロールAのフィルムおよび空気層の長さとを比例配分して等価フィルム厚みおよび等価空気層厚みを計算する。
このとき、フィルム厚みと空気層厚みの両方を計算する。これにより、オシレートの影響も十分に考慮することができる。ここで、オシレートは、一定周期で幅方向にフィルムを揺動させるものであるが、この周期には、巻き取り長周期と、巻き取り径周期とがある。巻き取り長周期とは、一定の巻き取り長さごとに1往復オシレートするときの巻き取り長さのことである。また、巻き取り径周期とは、一定の長さだけロール径が増えるごとに1往復オシレートするときのロール径の増分のことである。どちらの周期の場合でも、上記の方法を適用することにより、オシレートの影響を考慮して計算することができる。
(3)ウエブの半径方向応力および円周方向応力の計算
これまで説明したモデルに従って、下記巻込まれるフィルム間の空気膜を考慮した修正ハキールの式(非特許得文献1参照)を解くことにより半径方向応力σおよび円周方向応力σを求める。
ここで、r、E、Eについて以下に示す。
r: 巻き取り径
:円周方向ヤング率
:半径方向ヤング率
また、半径方向ヤング率Eは、以下の式6によって求められる。
tw:ウエブの厚み
h:空気層厚み
E1:ウエブの半径方向ヤング率
E2:空気層の半径方向ヤング率
ここで、Etは、一般的な引張り試験方法で求められる物性値である。ウエブを円周方向(接線方向)に引張り、ひずみと応力を測定する。ひずみ−円周方向応力の傾きがEtとなる。
また、ウエブの半径方向ヤング率E1は、公知のK2ファクターテスト(J.D.Pfeiffer in Tappi Journalによって確立)と呼ばれるウエブを半径方向に積層した圧縮試験により得られる物性値である。圧縮荷重をかけた際のひずみと半径方向応力の傾きから得られる。
(4)ウエブの半径方向応力計算値と実測値
次に、上記の本発明に掛かるウエブの半径方向応力の計算方法による計算値と実測値との評価について図面を参照して説明する。図8A、図8B、図8Cは、応力計算結果と実測値とを表したグラフである。なお、これ以降、図8A、図8B、図8Cは、まとめて総称として図8と称する。
下記の条件1〜3で半径方向応力をコンピュータで計算させた。そのとき、条件1〜3で実際にフィルムを巻き取り、図22に示すように、圧力センサを用いて半径方向応力を実測した。
・条件1:オシレート振幅5mm、張力580N、ローレット部厚み8μm、幅方向79.0〜81.5μmのフィルム厚み分布
・条件2:オシレート振幅10mm、張力580N、ローレット部厚み8μm、幅方向79.0〜81.5μmのフィルム厚み分布
・条件3:オシレート振幅0mm(オシレート無し)、張力580N(、ローレット部厚み8μm、幅方向79.0〜81.5μmのフィルム厚み分布
条件1〜3の時の応力計算結果は、図8のそれぞれ(A)、(B)、(C)である。また、条件1〜3の時の実測値は、図8のそれぞれ(a)、(b)、(c)である。
図8の(A)と(a)とを比較すると、計算値は、実測値に極めて近いことが分かる。特に、フィルムの幅方向両端のローレットの影響による半径方向応力の変化も実測値に近く計算されている。
これは、図8の(B)と(b)、(C)と(c)も同様であることから分かるように、条件を変化させても実測値に近い値を計算で算出することができている。即ち、本発明に係る応力計算方法を用いることにより、実測値に近い値を求めることができる。
<ロール内ウエブの半径方向応力を用いたウエブ巻き取り方法>
次に、上述した方法により求めたロール内ウエブの半径方向応力、円周方向応力を用いてウエブを巻き取る方法について図面を参照して説明する。図9は、ウエブの巻き取り方法の手順を示したフロー図である。
図8を参照して、まず、評価用のロールであるダミーロールを作製する(S1:ダミーロール作製工程)。ダミーロールの作製は、製品に用いられるものと同じフィルム(ウエブ)を巻き芯に巻き取ることにより行われる。ただし、巻き取りのための条件は、適当でよい。ここで、巻き取りのための条件とは、巻き取り張力プロファイル、オシレート振幅、ローレット高さ、ウエブ厚みパターンなどである。
巻き取り張力プロファイルとは、巻き始めから巻き終わりまでの巻き取り張力の変化パターンのことである。オシレート振幅とは、オシレートによる移動幅のことである。ローレット高さとは、ローレットが形成されていないウエブ表面からローレット形成による凸部の頂点までの高さのことである。ウエブ厚みパターンとは、ウエブの幅方向の厚みの変化パターンのことである。
S1の前または後または同時に、上述した方法により、ロールを幅方向に複数個輪切りに分割した分割モデルを作成し(モデル作成工程)、製品と同じ(即ち、ダミーロールと同じ)円周方向ヤング率と半径方向ヤング率とを用いて式4,式5を解くことにより、ダミーロールの半径方向応力と円周方向応力とを巻き取り径ごと、かつ、分割モデルごとに求める(S2:計算工程)。なお、以下において応力計算と記載した場合は、全て上述した方法による半径方向応力計算または円周方向応力計算を意味する。
次に、限界応力評価を行う(S3:限界応力決定工程)。限界応力評価とは、ダミーロールを作製したときに発生した各不良、即ち、巻きズレ、切り口写り、べこ、黒帯、巻きシワ、菊模様などが、巻芯側から何メートルのところで(別の言い方をすれば、巻き取り径が何mmのとき)に発生したかを調べ、そのときの半径方向応力σと円周方向応力σとをS2で行った応力計算結果から求める評価のことである。各不良について、以下に説明する。
(1)巻きズレ
巻きズレ不良とは、ウエブを巻いたロールの両側端の位置が、巻き終わった後の状態である初期状態の位置から一部ずれた状態になる不良のことである。この不良対策は、半径方向応力σを高く調整することが必要である。
(2)切り口写り
切り口写りとは、図8に示すように、巻き芯にフィルム31を巻き始めたときに生じる巻き始めの段差部分80の上にフィルムを上巻きしてゆくと、上巻きしたフィルムにも発生する段差のこと。この不良対策は、半径方向応力σを低く調整することが必要である。図10は、切り口写りを説明するためのロールの輪切り方向断面概略図である。巻き初めの部分には必ず段差が生じ、この段差の影響で発生する段差は、フィルムを巻いて行くに従って小さくなり、ついには製品状問題の無いレベル以下になる。このように製品状問題のなるレベル以下になるまでのフィルムの巻き取り長さがなるべく短い方が、良品が多くとれるので望ましい。
(3)菊模様
円周方向に圧縮が掛かることによりフィルムに座屈が生じてフィルムが波打った状態になる不良のこと。この不良は、ロールの端面側から見ると菊模様のように見える。この不良対策は、円周方向応力σが圧縮(マイナス)にならないように、万一マイナスになった場合はなるべく正の値に近づけるように調整することが必要である。
(4)ベコ・陥没変形
ベコ・陥没変形とは、ロベコ・陥没変形ロールの表面でウエブが落ち込み陥没変形する不良のことである。この不良対策は、巻き込み空気膜厚が小さくなるように調整することが必要である。
(5)黒帯
フィルムを巻き取ってゆくとき、フィルムの凸部が同じ位置で重なる場合がある。この場合、何重にも巻いて行くに従って、凸部の部分には圧力が強く掛かり、この部分が付着してしまったり、圧力のために延びが発生したりして製品の品質が落ちることになる。また、この部分を外から見ると黒い帯のように見える。これが黒帯不良である。この不良対策は、オシレートの振幅が大きくなるように調整すること、または、半径方向応力σを低く調整することが必要である。
(6)巻きシワ
巻きシワ不良とは、フィルムを巻いているときシワが発生する不良のことである。この不良対策は、円周方向応力σを低く調整することが必要。
次に、ダミーロールで発生した不良が、所定の巻き取り径の範囲(製品の仕様上、不良が発生してはいけない巻き取り径の範囲のことを所定の巻き取り径の範囲と称する)内では無くなるような巻き取り条件を見つけるために次の操作を行う。即ち、不良が発生した際の半径方向応力、円周方向応力、である不良発生半径方向応力、不良発生円周方向応力から当該不良の発生しうる応力範囲である不良発生応力範囲を求める(不良発生応力範囲決定工程)。これは具体的には、以下のようになる。
・巻きズレ不良の場合は、不良発生半径方向応力以下の応力範囲が不良発生応力範囲である。
・切り口写り不良の場合は、不良発生半径方向応力以上の応力範囲が不良発生応力範囲である。
・菊模様不良の場合は、不良発生円周方向応力以下の応力範囲が不良発生応力範囲である。
・べこ不良の場合は、不良発生巻き込み空気膜厚以上の膜厚範囲が不良発生空気膜厚範囲である。
・黒帯不良の場合は、不良発生半径方向応力以上の応力範囲が不良発生応力範囲である。
・巻きシワ不良の場合は、不良発生円周方向応力以下以上の応力範囲が、不良発生応力範囲である。
次に、所定の巻き取り径の範囲内に不良が発生しないように、即ち、所定の巻き取り径の範囲内の応力(半径方向応力、円周方向応力)が、不良発生応力範囲に含まれなくなるように、巻き取り条件である、巻き取り張力パターン、フィルムの幅方向厚み分布、ローレット部分の高さ、オシレートの振幅のうち少なくとも一つを変化させて応力計算を行う(S4:応力再計算工程)。この応力計算は、所定の巻き取り径の範囲で不良が発生しない巻き取り条件(所定の巻き取り径の範囲内のロールの応力が不良発生応力範囲に含まれなくなる巻き取り条件)を見つけるまで、巻き取り条件を変化させて繰り返し行う。これにより、所定の巻き取り径の範囲の応力が、不良発生応力範囲に含まれない巻き取り条件を導出することができる。
この導出した巻き取り条件を用いてフィルム(ウエブ)を巻き芯に巻き取ることにより製品のウエブロールを製造することができる。
ここで、巻き取り張力パターンとは、図10に示されるように、フィルムを巻き取って行ったときの巻き取り径に応じた巻き取り時のフィルム張力の変化パターンのことである。図11は、巻き取り径とフィルム張力の関係を示すグラフである。
最後に、求められた巻き取り条件で実際にフィルムを巻き取る(S5)。
このように、3次元モデルによるロール内部の応力計算を巻き取り条件出しに利用することにより、実際の評価をほとんど行うことなく、不良が発生しない巻き取り条件を求めることができる。これら、応力計算および巻き取り条件を求めることは、コンピュータを用いて行うことができる。上記計算式、および、計算手順、をコンピュータに実行させることにより、巻き取り条件を入力するだけで、応力計算を行いグラフ化することができる。
<評価>
次に、本発明に係る巻き取り方法について、品種Aと品種Bの2種類の光学フィルムについて評価を行った。
(1)品種Aの評価
先ず、品種Aのダミーロールを作製したところ、品種Aのダミーロールは巻き取り長100mまで切り口写りが発生し、ロール径φ520mmの箇所で巻きズレが発生した。この時の巻き取り条件は、以下の通りである。
・巻き始め張力 650N、巻き終わり張力が580Nで巻き始めから巻き終わりまで張力をリニアに変化させた。
・ローレット高さ 6μm(ローレット部の厚みは、フィルムの厚みにローレットの高さ6μmを加えたものになる)
・オシレート振幅 10mm
そこで、ダミーロールの作製条件に基づいて、本発明に係る応力計算方法によりフィルムの巻き取り長と巻き取り径とを変化させたときの半径方向応力の変化を求めた。その結果を図12、図13に示す。
図12(a)ダミーロールの巻き取り長と半径方向応力との関係を示す3次元グラフである。(b)ダミーロールの軸中央部の巻き取り長と半径方向応力との関係を示すグラフである。図13(a)ダミーロールの巻き取り径と半径方向応力との関係を示す3次元グラフである。(b)ダミーロールのローレット部の巻き取り径と半径方向応力との関係を示すグラフである。
切り口写り不良は、有効製品部(ロールの両端部以外)の応力が大きいほど発生しやすい。そこで、幅方向の中で有効製品部を代表して中心部分について横軸を巻き取り長(m)にし、縦軸を半径方向応力にしてグラフを作成したものが図12の(b)である。
図12(b)を参照して、巻き取り長が100mのところで切り口写り不良が発生したので、巻き取り長が100mのときの半径方向応力をグラフ(実線)から読み取ると(計算で求めると)0.088MPaであった。
よって、切り口不良の発生巻き取り長を、例えば目標値として30m以下にするには、図12(b)の点線で示すように、巻き取り長が30m以下の時のみ、半径方向応力の値が、切り口不良が発生する半径方向応力以上になるような巻き取り条件を求め、その条件で巻き取れば良いことになる。ここで、上記目標値は、製品によって任意の値を選ぶことができ、上記値は一例であって、この値に本発明が限定されるものではない。
また、ローレット部分を形成する目的の一つは、ローレット部分の凸部により半径方向応力を大きくすることによって摩擦力を大きくし、巻きズレを防止することである。よって、巻きズレについては、ローレット部の半径方向応力を調べることが重要である。
そこで、図13(a)で示される、ロールの幅方向両端部(ローレット部)の半径方向応力を縦軸に、巻き取り径(mm)を横軸に取ったグラフが図13(b)の実線である。ロール径520mmで巻きズレが発生したので、この実線のグラフから巻きズレ時の半径方向応力を求めると(計算により算出すると)0.15MPaであった。
巻きズレが発生する巻き取り径を、例えば目標値である総巻取り径の93.5%である575mm以上にするためには、図13(b)の点線のように巻き取り径が575mmより大きいときのみ半径方向応力が0.15MPa未満になるような巻き取り条件を求め、その条件で巻き取れば良いことになる。ここで、巻きズレが発生する巻き取り径の目標値は、製品によって任意の%値にすることができ、上記の値は例であってこの値に本発明が限定されるものではない。
ここで、図13(b)の一点鎖線は、図12(b)の点線の条件のときのローレット部の応力を示したものである。即ち、切り口不良対策のために図12(b)の点線で示される半径方向応力になるように巻き取り張力を変えた場合、切り口不良は低減されるが、図13(b)の一点鎖線に示されるように巻きズレ不良はかえって悪化することが分かる。
このように、巻き取り張力を変化させて、切り口不良と巻きズレ不良を低減させることは、互いにトレードオフの関係になり、一方が良ければ一方が悪くなる。そこで、切り口不良は、巻き取り張力を変化させて対応し、巻きズレ不良はオシレート幅を変化させて対応した。巻き取り張力を変化させなくても、オシレート幅を変化させれば、ローレット部の半径方向応力が変化するからである。
このように切り口不良を防ぐために巻き取り張力を変化させ、巻きズレ不良を防ぐためにオシレート幅を変化させて、この場合はのべ100回以上のシミュレーションを行い、切り口不良も巻きズレ不良も同時に防ぐことができる巻き取り条件を導出した。その結果を図14、図15に示す。
図14は、初期条件と導出条件での巻き取り径−中央部半径方向応力の関係を示すグラフである。図15は、初期条件と同出場権での巻き取り径−ローレット部半径方向応力の関係を示すグラフである。図14の点線は、巻き始め張力650Nから巻き終わり張力580Nまでリニアに張力を変化させ、ローレット振幅10mmの初期条件での巻き取り結果を示している。また、図14の実線は、新たに導出した条件である、巻き始め張力550Nから巻き終わり張力550Nまでリニアに張力を変化させ、オシレート振幅5mmでの巻き取り結果を示している。
また、図15の点線は、図14の点線と同じ初期条件での巻き取り結果を示し、図15の実線は、図14の実線と同じ新たに導出した条件での巻き取り結果を示す。図14、図15に示されるように、張力とローレット振幅とを変化させることにより、ロールの中央部の半径方向応力を低減し、ローレット部の半径方向応力を上昇させることができた。その結果、切り口写り不良と巻きズレ不良との両方を同時に良化させることに成功した。
このように、本発明によれば、コストと手間のかからないシミュレーションを用いて不良のない巻き取り条件を導出することができる。
(2)品種Bの評価
次に、品種Bの評価について説明する。品種Bも品種Aと同様にダミーロールを作製し、切り口不良が発生しているロール径範囲と、巻きズレ不良が発生するロール径とを評価した。次に、シミュレーション(本発明に係る応力計算)を繰り返して不良が良化する巻き取り条件を導出した。
ここで、品種Bは、品種Aと異なり、商品の設計上オシレート振幅を変更することができない品種である。そこで、フィルムの巻き取り張力のみを変化させて切り口不良と巻きズレ不良との両方を良化させる巻き取り条件を導出した。
その結果を図16に示す。図16は、導出した巻き取り径−フィルム張力条件を示すグラフである。図16の点線は、初期条件を示し、実線は、新たに導出した巻き取り条件を示す。
図16に示すように、新たに導出した条件は、巻き取り始めからしばらくは、巻き取るごとに張力をリニアに上げてゆき、その後、張力をリニアに下げてゆく。このような巻き取り張力プロファイルを採用することにより、ローレット振幅を変化させなくても、張力についてトレードオフの関係にある切り口不良と巻きズレ不良との両方を良化させることができる。
これは、切り口不良が発生するのは巻き始めのあたりなので、巻き始めの張力を初期条件よりも減少させ、巻きズレが発生するしばらく巻いた後については、初期条件よりも張力を高くしたためと考えられる。
しかしながら、巻き取り径と張力の巻き取り条件プロファイルは無数に存在し、どの条件が適切かを従来の評価により導出するのは現実的に不可能であった。本発明の方法によれば、従来不可能であった巻き取り条件プロファイルの導出を可能にするばかりではなく、評価コスト、評価・実験時間も大幅に低減することができた。例えば、上記品種A、Bの巻き取り条件導出においては、評価時間を従来の1/6程度(300時間から50時間)に減少させることができた。
従来の巻き取り条件と、本発明で導出した巻き取り条件とについて、巻き取り品質も含めてまとめた結果を図17に示す。図17は、従来条件と導出条件および巻き取り品質についてまとめた表である。
図17において、多点テンションパターンとは、張力パターンをリニアに変化させる際、傾きが途中で複数回変わるパターン(折れ線となる)を意味する。フィルム厚みパターンの従来型とは、幅方向中央部が薄く両端は厚めのパターンを、フラットとは、幅方向に厚みが一定であることを意味する。
また、各巻き取り品質の故障評価レベルについて以下に示す。
・巻きズレ 巻き取りロールの端面(側面)の揃い具合や乱れを評価する。
優: 幅方向のズレ無くきれいに巻かれている。(ズレ量3mm以内)
良: 幅方向のズレが見られる。(3mm〜10mm)
不可:幅方向に大きくずれている箇所がある。
・切り口写り 巻き始めの段差が、上巻きされたフィルムに転写して変形する故障。
優: 切り口写りが巻き芯から15m以上はほとんど見られない。
良: 切り口写りが巻き芯から15m以上で弱く見られる。
不可:切り口写りが巻き芯から15m以上で強く見られる。
・黒帯 ブロッキングとも呼ばれ、巻き取りロール内でフィルム層とフィルム層同士が密着した結果、張り付いて透き通るような外観となる部分が現れること。巻き取り半径方向応力が大きい場合に悪化する。巻き込み空気層が全く無い状態。
優: 黒帯が見られない。
良: 黒帯が若干見られる。
不可:巻き表面のほとんどに黒帯が発生している。
・巻きシワ(横巻きシワ) 円周方向にウエブが圧縮された結果、巻取り軸と平行する方向にシワ変形が発生する故障。
優: 巻きシワが見られない。
良: 弱い巻きシワが見られる。
不可:折れてウエブが変形した強いシワが見られる。
・陥没/角巻 巻き表面が落ち込んで、断面円形のきれいな曲率にならず、ところどころ角張った変形箇所が見られる故障。
優: 巻き表面に角巻き変形が見られない。
良: 巻き表面に弱い各巻き変形が見られる。
不可:巻き表面に広範囲に強い角巻き変形が見られる。
図17に示すように、本発明により導出した巻き取り条件で巻き取ることによって、巻き取り品質の良好な、不良のないロールを製造することが可能になった。
なお、上記評価においては、巻きズレ不良と、切り口不良とを例にとって、その不良を低減させるための評価について説明したが、本発明においては、それらの不良に限定されるものではなく、巻きズレ、切り口写り、黒帯、巻きシワ、陥没/角巻き等のどの不良についても良好にさせる巻き取り条件を求めることができる。
それは、どの不良も、半径方向応力と円周方向応力と巻き込み空気膜とのいずれかについて条件出しを行うことにより良好化が可能であり、そのための巻き取り条件を本発明においてシミュレートできるからである。
10…ロール、11…分割ロール、12…分割ロール、13…分割ロール、14…分割ロール、18…芯、21…分割ウエブ、31…フィルム、32…空気、33…分割線、34…ローレット、50…エアプレス装置、60…分割フィルム、80…段差部分、302…圧力センサ、304…ウエブ、306…ロール、400…部分拡大図

Claims (12)

  1. ウエブを巻き芯に巻き取ったウエブロールを製造するウエブロールの製造方法であって、
    前記ウエブロールに用いられるのと同じウエブを用いて、前記巻き芯に前記ウエブを巻き取ることにより評価用のダミーロールを実作製するダミーロール作製工程と、
    前記ウエブロールを幅方向に輪切りに複数分割した複数の分割モデルを作成する計算モデル作成工程と、
    前記分割モデルごとに、かつ、巻き取り径ごとに、円周方向ヤング率と、半径方向ヤング率と、巻き取り張力プロファイルと、に基づいて、円周方向応力と半径方向応力とのうち少なくともいずれか一方の応力を求める計算工程と、
    前記ダミーロール作製工程でダミーロールに発生した不良の不良発生巻き取り径と、前記計算工程で求めた巻き取り径ごとの前記応力と、から前記不良が発生しうる不良発生応力範囲を求める不良発生応力範囲決定工程と、
    所定の巻き取り径の範囲の応力が、前記不良発生応力範囲に含まれなくなるまで、巻き取り条件である、巻き取り張力パターン、エアプレス押し付け力パターン、フィルムの幅方向厚み分布、ローレット部分の高さ、オシレートの振幅と周期 のうち少なくとも一つを変化させて前記計算工程をやり直す応力再計算工程と、
    前記応力再計算工程において求めた、所定の巻き取り径の範囲の応力が前記不良発生応力範囲に含まれない巻き取り条件でウエブの巻き取りを行う巻き取り工程と、
    を備えたウエブロール製造方法。
  2. 前記計算工程において、前記半径方向応力であるσが、巻き込み空気膜を考慮した修正ハキールによって導出された次式、

    r: 巻き取り径
    Et:円周方向ヤング率
    Er:半径方向ヤング率
    によって求められ、
    円周方向応力であるσが、巻き込み空気膜を考慮した修正ハキールによって導出された次式、

    によって求められる請求項1に記載のウエブロール製造方法。
  3. 前記巻き込み空気膜の厚みを求める際、前記ロールの一番外側の空気層の厚みhoを次式1で求め、


    R: ロール10の半径
    η: 空気の粘性係数
    Vr: ロールの回転速度(ロール外側の線速度)
    Vw: 巻き取られるフィルムの搬送速度
    T: フィルム全体の張力を前記分割モデルのフィルム厚みに比例して前記分割モデルごとに分配した張力の値
    前記式1で求められたhoを用いて、前記一番外側の空気厚みを小さくするために、一番外側のウエブの一部を幅方向全体に渡って半径方向にLの力で押さえつけた後の空気層の厚みhaを次式2で求め、


    L:フィルムをロールに押しつける力
    W:ロールの幅
    前記ローレットもフィルムの一部と考えたときの前記分割モデルのフィルムのうち最大膜厚を有するフィルムの膜厚よりも大きい「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の値を有する他の分割ロールのフィルムが存在しない場合は、前記最大膜厚を有するフィルムの下の空気膜厚hは、下記式3Aまたは式3Bにより求められ、前記最大膜厚を有するフィルム以外のフィルムの下の空気膜厚は、フィルムを剛体として考え、フィルム厚み分布によって生じる、そのフィルム表面と、その下のフィルムの裏面との間隔を前記巻き込み空気膜の厚みとし、


    σ:半径方向応力(Hakielで第i層まで巻いた時の計算結果)
    σ0:初期半径方向応力(Hakielで第i-1層まで巻いた時の計算結果)
    Pap:大気圧
    ha:エアプレスで半径方向にLの力で押さえつけた後の空気層の厚み。巻き込み後はHakielで第i-1層まで巻いた時の巻き込んだ空気層厚みh。
    前記ローレットもフィルムの一部と考えたときの前記分割モデルのフィルムのうち最大膜厚を有するフィルムの膜厚よりも大きい「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の値を有する他の分割ロールのフィルムが存在する場合は、フィルムを剛体として考えて、前記ローレット部分以外の部分の「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の大きさが最大の分割フィルムとその下のフィルムとが空気膜厚haの間隔で配置されたとき、各上フィルムの表面と下フィルムの裏面との距離を前記巻き込み空気膜の厚みとし、または、各分割モデルでの巻き込み空気の断面積の合計と、上フィルムの表面と下フィルムの裏面との隙間の断面積とが同じになるような上フィルム表面と下フィルム表面の間隔を求め、そのときの各上フィルムの表面と下フィルムの裏面との距離を前記巻き込み空気膜の厚みとする、請求項2に記載のウエブロール製造方法。
  4. 前記巻き込み空気膜の厚みと、前記フィルム膜厚とを求める際、オシレートにより、ある分割モデルの範囲に隣接する他の分割モデルのフィルムおよび空気層が侵入してくる場合は、他の分割モデルから侵入してきた部分の長さと、前記ある分割モデルのフィルムおよび空気層の長さを比例配分して等価フィルム膜厚および等価空気膜厚みとする、請求項3に記載のウエブロール製造方法。
  5. 巻き芯にウエブを巻き取ったウエブロールを形成するためのウエブロール巻き取り方法であって、
    前記ウエブロールに用いられるのと同じウエブを用いて、前記巻き芯に前記ウエブを巻き取ることにより評価用のダミーロールを実作製するダミーロール作製工程と、
    前記ウエブロールを幅方向に輪切りに複数分割した複数の分割モデルを作成する計算モデル作成工程と、
    前記分割モデルごとに、かつ、巻き取り径ごとに、円周方向ヤング率と、半径方向ヤング率と、巻き取り張力プロファイルと、に基づいて、円周方向応力と半径方向応力とのうち少なくともいずれか一方の応力を求める計算工程と、
    前記ダミーロール作製工程でダミーロールに発生した不良の不良発生巻き取り径と、前記計算工程で求めた巻き取り径ごとの前記応力と、から前記不良が発生しうる不良発生応力範囲を求める不良発生応力範囲決定工程と、
    所定の巻き取り径の範囲の応力が、不良発生応力範囲に含まれなくなるまで、巻き取り条件である、巻き取り張力パターン、エアプレス押し付け力パターン、フィルムの幅方向厚み分布、ローレット部分の高さ、オシレートの振幅と周期のうち少なくとも一つを変化させて前記計算工程をやり直す応力再計算工程と、
    前記応力再計算工程において発見した、所定の巻き取り径の範囲の応力が不良発生応力範囲に含まれない巻き取り条件でウエブの巻き取りを行う巻き取り工程と、
    を備えたウエブロール巻き取り方法。
  6. 前記計算工程において、前記半径方向応力であるσが、巻き込み空気膜を考慮した修正ハキールによって導出された次式、

    r: 巻き取り径
    Et:円周方向ヤング率
    Er:半径方向ヤング率
    によって求められ、
    円周方向応力であるσが、巻き込み空気膜を考慮した修正ハキールによって導出された次式、

    によって求められる請求項5に記載のウエブロール巻き取り方法。
  7. 前記巻き込み空気膜の厚みを求める際、前記ロールの一番外側の空気層の厚みhoを次式1で求め、


    R: ロール10の半径
    η: 空気の粘性係数
    Vr: ロールの回転速度(ロール外側の線速度)
    Vw: 巻き取られるフィルムの搬送速度
    T: フィルム全体の張力を前記分割モデルのフィルム厚みに比例して前記分割モデルごとに分配した張力の値
    前記式1で求められたhoを用いて、前記一番外側の空気厚みを小さくするために、一番外側のウエブの一部を幅方向全体に渡って半径方向にLの力で押さえつけた後の空気層の厚みhaを次式2で求め、


    L:フィルムをロールに押しつける力
    W:ウェブロールの幅
    前記ローレットもフィルムの一部と考えたときの前記分割モデルのフィルムのうち最大膜厚を有するフィルムの膜厚よりも大きい「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の値を有する他の分割ロールのフィルムが存在しない場合は、前記最大膜厚を有するフィルムの下の空気膜厚hは、下記式3Aまたは式3Bにより求められ、前記最大膜厚を有するフィルム以外のフィルムの下の空気膜厚は、フィルムを剛体として考え、フィルム厚み分布によって生じる、そのフィルム表面と、その下のフィルムの裏面との間隔を前記巻き込み空気膜の厚みとし、


    σ:半径方向応力(Hakielで第i層まで巻いた時の計算結果)
    σ0:初期半径方向応力(Hakielで第i-1層まで巻いた時の計算結果)
    Pap:大気圧
    ha:エアプレスで半径方向にLの力で押さえつけた後の空気層の厚み。巻き込み後はHakielで第i-1層まで巻いた時の巻き込んだ空気層厚みh。
    前記ローレットもフィルムの一部と考えたときの前記分割モデルのフィルムのうち最大膜厚を有するフィルムの膜厚よりも大きい「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の値を有する他の分割ロールのフィルムが存在する場合は、フィルムを剛体として考えて、前記ローレット部分以外の部分の「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の大きさが最大の分割フィルムとその下のフィルムとが空気膜厚haの間隔で配置されたとき、各上フィルムの表面と下フィルムの裏面との距離を前記巻き込み空気膜の厚みとし、または、各分割モデルでの巻き込み空気の断面積の合計と、上フィルムの表面と下フィルムの裏面との隙間の断面積とが同じになるような上フィルム表面と下フィルム表面の間隔を求め、そのときの各上フィルムの表面と下フィルムの裏面との距離を前記巻き込み空気膜の厚みとする、請求項6に記載のウエブロール巻き取り方法。
  8. 前記巻き込み空気膜の厚みと、前記フィルム膜厚とを求める際、オシレートにより、ある分割モデルの範囲に隣接する他の分割モデルのフィルムおよび空気層が侵入してくる場合は、他の分割モデルから侵入してきた部分の長さと、前記ある分割モデルのフィルムおよび空気層の長さを比例配分して等価フィルム膜厚および等価空気膜厚みとする、請求項7に記載のウエブロール巻き取り方法。
  9. 巻き芯にウエブを巻き取ったウエブロールの内部応力計算方法であって、
    前記ウエブロールを幅方向に輪切りに複数分割した複数の分割モデルを作成する計算モデル作成工程と、
    前記分割モデルごとに、かつ、巻き取り径ごとに、円周方向ヤング率と、半径方向ヤング率と、巻き取り張力プロファイルと、に基づいて、円周方向応力と半径方向応力とのうち少なくともいずれか一方の応力を求める計算工程と、
    を備えた内部応力計算方法。
  10. 前記計算工程において、前記半径方向応力であるσが、巻き込み空気膜を考慮した修正ハキールによって導出された次式、

    r: 巻き取り径
    Et:円周方向ヤング率
    Er:半径方向ヤング率
    によって求められ、
    円周方向応力であるσが、巻き込み空気膜を考慮した修正ハキールによって導出された次式、

    によって求められる請求項9に記載の内部応力計算方法。
  11. 前記巻き込み空気膜の厚みを求める際、前記ロールの一番外側の空気層の厚みhoを次式1で求め、


    R: ロール10の半径
    η: 空気の粘性係数
    Vr: ロールの回転速度(ロール外側の線速度)
    Vw: 巻き取られるフィルムの搬送速度
    T: フィルム全体の張力を前記分割モデルのフィルム厚みに比例して前記分割モデルごとに分配した張力の値
    前記式1で求められたhoを用いて、前記一番外側の空気厚みを小さくするために、一番外側のウエブの一部を幅方向全体に渡って半径方向にLの力で押さえつけた後の空気層の厚みhaを次式2で求め、


    L:フィルムをロールに押しつける力
    W:ウェブロールの幅
    前記ローレットもフィルムの一部と考えたときの前記分割モデルのフィルムのうち最大膜厚を有するフィルムの膜厚よりも大きい「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の値を有する他の分割ロールのフィルムが存在しない場合は、前記最大膜厚を有するフィルムの下の空気膜厚hは、下記式3Aまたは式3Bにより求められ、前記最大膜厚を有するフィルム以外のフィルムの下の空気膜厚は、フィルムを剛体として考え、フィルム厚み分布によって生じる、そのフィルム表面と、その下のフィルムの裏面との間隔を前記巻き込み空気膜の厚みとし、


    σ:半径方向応力(Hakielで第i層まで巻いた時の計算結果)
    σ0:初期半径方向応力(Hakielで第i-1層まで巻いた時の計算結果)
    Pap:大気圧
    ha:エアプレスで半径方向にLの力で押さえつけた後の空気層の厚み。巻き込み後はHakielで第i-1層まで巻いた時の巻き込んだ空気層厚みh。
    前記ローレットもフィルムの一部と考えたときの前記分割モデルのフィルムのうち最大膜厚を有するフィルムの膜厚よりも大きい「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の値を有する他の分割ロールのフィルムが存在する場合は、フィルムを剛体として考えて、前記ローレット部分以外の部分の「フィルム膜厚+空気膜厚ha」の大きさが最大の分割フィルムとその下のフィルムとが空気膜厚haの間隔で配置されたとき、各上フィルムの表面と下フィルムの裏面との距離を前記巻き込み空気膜の厚みとし、または、各分割モデルでの巻き込み空気の断面積の合計と、上フィルムの表面と下フィルムの裏面との隙間の断面積とが同じになるような上フィルム表面と下フィルム表面の間隔を求め、そのときの各上フィルムの表面と下フィルムの裏面との距離を前記巻き込み空気膜の厚みとする、請求項10に記載の内部応力計算方法。
  12. 前記巻き込み空気膜の厚みと、前記フィルム膜厚とを求める際、オシレートにより、ある分割モデルの範囲に隣接する他の分割モデルのフィルムおよび空気層が侵入してくる場合は、他の分割モデルから侵入してきた部分の長さと、前記ある分割モデルのフィルムおよび空気層の長さを比例配分して等価フィルム膜厚および等価空気膜厚みとする、請求項11に記載の内部応力計算方法。
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