JP5818083B2 - 巻き取りロールの内部応力解析プログラム - Google Patents
巻き取りロールの内部応力解析プログラム Download PDFInfo
- Publication number
- JP5818083B2 JP5818083B2 JP2011203596A JP2011203596A JP5818083B2 JP 5818083 B2 JP5818083 B2 JP 5818083B2 JP 2011203596 A JP2011203596 A JP 2011203596A JP 2011203596 A JP2011203596 A JP 2011203596A JP 5818083 B2 JP5818083 B2 JP 5818083B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- roll
- stress
- winding
- layer
- procedure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
- 238000004804 winding Methods 0.000 title claims description 127
- 238000000034 method Methods 0.000 claims description 41
- 230000014509 gene expression Effects 0.000 claims description 22
- 238000004458 analytical method Methods 0.000 claims description 20
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 claims description 11
- 230000002194 synthesizing effect Effects 0.000 claims description 2
- NAWXUBYGYWOOIX-SFHVURJKSA-N (2s)-2-[[4-[2-(2,4-diaminoquinazolin-6-yl)ethyl]benzoyl]amino]-4-methylidenepentanedioic acid Chemical compound C1=CC2=NC(N)=NC(N)=C2C=C1CCC1=CC=C(C(=O)N[C@@H](CC(=C)C(O)=O)C(O)=O)C=C1 NAWXUBYGYWOOIX-SFHVURJKSA-N 0.000 claims 1
- 230000035882 stress Effects 0.000 description 117
- 239000010410 layer Substances 0.000 description 82
- 238000003860 storage Methods 0.000 description 21
- 230000008859 change Effects 0.000 description 19
- 230000007613 environmental effect Effects 0.000 description 14
- 239000010408 film Substances 0.000 description 14
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 11
- 238000002474 experimental method Methods 0.000 description 9
- 238000005259 measurement Methods 0.000 description 9
- 230000006870 function Effects 0.000 description 8
- 230000008569 process Effects 0.000 description 8
- 238000012360 testing method Methods 0.000 description 8
- 238000012546 transfer Methods 0.000 description 8
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 7
- 230000007423 decrease Effects 0.000 description 7
- 108010074506 Transfer Factor Proteins 0.000 description 5
- 238000009826 distribution Methods 0.000 description 4
- 230000004907 flux Effects 0.000 description 4
- 230000010354 integration Effects 0.000 description 4
- 230000000704 physical effect Effects 0.000 description 4
- 238000012795 verification Methods 0.000 description 4
- -1 Polypropylene Polymers 0.000 description 3
- 239000004743 Polypropylene Substances 0.000 description 3
- 239000002131 composite material Substances 0.000 description 3
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 3
- 238000006073 displacement reaction Methods 0.000 description 3
- 238000010438 heat treatment Methods 0.000 description 3
- 229920001155 polypropylene Polymers 0.000 description 3
- 238000004088 simulation Methods 0.000 description 3
- 230000009471 action Effects 0.000 description 2
- 230000004913 activation Effects 0.000 description 2
- 230000006835 compression Effects 0.000 description 2
- 238000007906 compression Methods 0.000 description 2
- 230000007547 defect Effects 0.000 description 2
- 238000005461 lubrication Methods 0.000 description 2
- 239000000463 material Substances 0.000 description 2
- 230000007246 mechanism Effects 0.000 description 2
- 239000002985 plastic film Substances 0.000 description 2
- 229920006255 plastic film Polymers 0.000 description 2
- 239000002861 polymer material Substances 0.000 description 2
- 238000003825 pressing Methods 0.000 description 2
- 235000010724 Wisteria floribunda Nutrition 0.000 description 1
- 238000013459 approach Methods 0.000 description 1
- 230000015572 biosynthetic process Effects 0.000 description 1
- 230000000903 blocking effect Effects 0.000 description 1
- 238000009529 body temperature measurement Methods 0.000 description 1
- 239000011248 coating agent Substances 0.000 description 1
- 238000000576 coating method Methods 0.000 description 1
- 238000012669 compression test Methods 0.000 description 1
- 238000001816 cooling Methods 0.000 description 1
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 1
- 230000020169 heat generation Effects 0.000 description 1
- 230000001771 impaired effect Effects 0.000 description 1
- 239000011810 insulating material Substances 0.000 description 1
- 239000011229 interlayer Substances 0.000 description 1
- 238000004519 manufacturing process Methods 0.000 description 1
- 238000000465 moulding Methods 0.000 description 1
- 238000007639 printing Methods 0.000 description 1
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 1
- 239000002994 raw material Substances 0.000 description 1
- 239000011347 resin Substances 0.000 description 1
- 229920005989 resin Polymers 0.000 description 1
- 230000003746 surface roughness Effects 0.000 description 1
- 230000002277 temperature effect Effects 0.000 description 1
- 238000009864 tensile test Methods 0.000 description 1
- 238000002076 thermal analysis method Methods 0.000 description 1
- 230000008646 thermal stress Effects 0.000 description 1
- 239000010409 thin film Substances 0.000 description 1
- 230000037303 wrinkles Effects 0.000 description 1
Landscapes
- Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)
- Winding Of Webs (AREA)
- Controlling Rewinding, Feeding, Winding, Or Abnormalities Of Webs (AREA)
Description
特にフラットパネルディスプレーやフレキシブル電池などの基幹素材としてのフィルムの重要性は年々増してきている。このようなフィルムは、付加価値を高めるため、製膜後に塗工や印刷などの様々な二次加工が施され、ロール状に巻き取られて次工程まで保管、輸送されるのが一般的であり、製品によっては熱処理が施される。その際、ロール内部の応力状態が時々刻々と変化し、巻き取り直後には見られなかった型崩れやシワなどに代表される巻き取り不良が発生して商品価値を損なう場合がある。
また、フィルムは、高分子材料を原料とするために粘弾性特性を有する。巻き取りロール内のフィルムは応力が負荷された状態にあるため、クリープ変形が生じて内部応力が変化する。なお、応力と温度は高分子材料のクリープ挙動に影響を及ぼすことが知られている(非特許文献1)。したがって、巻き取りロールにおける内部応力およびロール温度がフィルムのクリープ変形に作用すると考えられる。
ただし,この温度変化に関する仮定は、ロール温度が環境温度に一致した定常状態あるいはロール半径に対して一様に変化する場合には適用できるが、ロール内に温度分布が生じる場合には成立しない。
これに対して、Leiらはロール温度の不均一な変化を仮定した熱弾性モデルを提示している(非特許文献6)。しかしながら、この論文においては非定常状態における内部応力の数値解析結果は示されておらず、単にモデルの提案にとどまっている。
このように熱歪みを考慮した熱弾性モデルおよび粘弾性特性を考慮した粘弾性モデルがそれぞれ提示されている。
前記コンピュータに、
前記巻き取りロールの最内層における下記境界条件式(1)を算出する手順と、
前記巻き取りロールの最外層における下記境界条件式(2)を算出する手順と、
境界条件式(1)の算出結果、及び境界条件式(2)の算出結果を、前記巻き取りロールの半径方向の応力増分に関する下記基礎方程式(3)に用いることにより、時間増分Δtiにおける巻き取りロールの第k層に生じる応力増分Δσr.k(ti)を求める手順と、
求められた応力増分Δσr.k(ti)を、下記式(4)に適用して、時間tiにおける半径方向応力σr.k(ti)を求める手順とを実行させることを特徴とする。
巻き取りロール内に巻き込まれた空気の影響と、ウェブの熱粘弾性特性を考慮した巻き取りロールの内部応力解析を、コンピュータに実行させる巻き取りロールの内部応力解析プログラムであって、
ウェブと空気層を合成した等価層の半径方向のヤング率Ereqを、下記式(5)、(6)、(7)に基づいて算出する手順と、
前記等価層の円周方向のヤング率Eθeqを、下記式(8)に基づいて算出する手順と、
算出された前記等価層の半径方向のヤング率Ereqに基づいて、前記等価層の半径方向クリープ関数を、下記式(9)に基づいて算出する手順と、
算出された前記等価層の半径方向のヤング率Eθeqに基づいて、前記等価層の円周方向クリープ関数を、下記式(10)に基づいて算出する手順と、
前記巻き取りロールの最内層における下記境界条件式(11)を算出する手順と、
前記巻き取りロールの最外層における下記境界条件式(12)を算出する手順と、
境界条件式(11)の算出結果、及び境界条件式(12)の算出結果を、前記巻き取りロールの半径方向の応力増分に関する下記基礎方程式(13)に用いることにより、時間増分Δtiにおける巻き取りロールの第k層に生じる応力増分Δσr.k(ti)を求める手順と、
求められた応力増分Δσr.k(ti)を、下記式(14)に適用して、時間tiにおける半径方向応力σr.k(ti)を求める手順とを実行させることを特徴とする。
[1]熱粘弾性モデル
(1-1)概要
図1は、最も基本的な巻き取り方式のひとつであるニップローラ3を有する場合の中心駆動巻き取りの概念図を示している。フィルム等のウェブ1は、巻き取り張力Twとニップローラ3による押付け荷重Lが与えられた状態で巻芯2に巻き取られ、巻き取りの進行にともない新たな層が追加されると、既に巻き取られた部分の応力は逐次変化していく。これと同時に、ウェブ1の粘弾性特性とロール温度の変化にともなう熱歪みの効果により、巻き取り中および巻き取り後も内部応力は時々刻々と変化する。
このような空気層が存在すると巻き取りロール4の見かけの剛性は著しく低下し、内部応力が大きく変化する(非特許文献6、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献11)。これに対し、ニップローラ3は巻き込み空気量を制限し、巻き取りロール4の見かけの剛性を調整する目的で使用される。
本発明では、前述したHakielが提示した弾性モデルを基礎とし、ウェブ1の粘弾性特性と熱歪みの効果により変化する内部応力状態を予測するための巻き取りロールの内部応力解析プログラムを提供する。なお、本解析プログラムに導入するクリープ関数について、応力と温度の依存性を考慮できるように修正するとともに、巻き込み空気層によるロール剛性の変化を考慮できるように拡張する。
本解析プログラムの定式化に際し、(1)巻取りロール4は完全な円筒形状を保ち、ウェブ1の厚さ、幅、表面粗さなどは均一である、(2)ウェブ1がスパイラル状に巻かれている効果は無視でき、巻取りロール4を薄肉円筒の重ね合わせで表現し得る、(3)巻取りロール4内部において半径方向応力と円周方向応力が支配的であり、軸方向応力は考慮しなくてよい、とする仮定を置く。
円筒座標系における応力の釣り合い方程式、歪みの適合条件式、歪みと変位の関係式はそれぞれ下記式(15)〜式(17)のように表される。尚、以下の説明では、巻き取りロール4の半径方向位置は、巻き取りロール4の中心を起点として、巻き取りロール4の最外層に向かった位置をいう。
粘弾性特性に関する項において、時間積分はJ(t−τ’)の微分次数により2種類の積分に分類できる。そこで、これらをそれぞれ下記式(26)及び(27)で定義する。
まず、式(26)を時間に関して離散化すると、下記式(28)のように表される。
また、式(27)についても同様に考えると、下記式(29)のように書き改められる。
そして、求められた応力増分Δσr.k(ti)を式(24)に用いることにより、時間tiにおける半径方向応力σr(ti)が求められる。尚、円周方向応力σθ(ti)は、式(15)の関係により求めることができる。
空気を巻き込んだ状態での巻き取りロール4の剛性は、数値解析上ではウェブ1と空気層を複合した等価層として取り扱うことができる(非特許文献6、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献11)この等価層に対する半径方向ヤング率Ereqは、下記式(34)から求めることができ、円周方向ヤング率Eθeqは、下記式(35)から求めることができる。
最外層に形成される初期空気層厚さhal0は、巻き取りロール4とニップローラ3間に対して弾性流体潤滑理論を適用することで求めることができる。本実施形態では、下記式(36)に示すChangの結果を利用する(Chang, Y.B., Chambers, F.W. and Shelton, J.J., “Elastohydrodynamic Lubrication of Air Lubricated Rollers”, ASME Journal of Tribology, Vol. 118, (1996), p. 623-628)。
次に、等価層のヤング率を粘弾性問題へ展開する。式(34)、式(35)に示した等価層の半径方向ヤング率Ereq及び円周方向ヤング率Eθeqがそれぞれ式(20)に示したクリープ関数における瞬間項J0に対応する。
従って、等価層における半径方向クリープコンプライアンスJreq(t)は、式(41)のように、円周方向クリープコンプライアンスJθeq(t)は、式(42)のように書き改めることができる。
以下の説明では、巻き取りロール4のロール温度Tf(ti)及びその温度増分ΔTf(ti)、巻芯2における温度増分ΔTc(ti)を見積もるための非定常熱伝導解析について説明する。
円筒座標系における非定常熱伝導の基礎方程式は、巻き取りロール4内の空気層が熱伝導に及ぼす影響を無視することができ、発熱がなく、半径方向のみに温度変化があるとした場合に対して下記式(45)のように表される。
さらに、これらの結果を式(23)、式(25)に考慮すれば、時間増分Δtにおけるロール温度の増分ΔTf(t)及び巻芯2の温度の増分ΔTc(t)が求められる。
次に、前述した理論予測モデルに基づく巻き取りロールの内部応力解析プログラムの有効性について実験的に検証した。具体的には,巻き取りロール周辺の環境温度を意図的に変化させ,その際に測定したロール温度および半径方向応力の実験値を予測値と比較・検討した。
また、本実験において、ロール温度が内部応力状態に及ぼす影響は大きいと考えられるため、非定常熱伝導解析の妥当性を確認しておく必要がある。そこで、ロール温度に関しても半径方向応力の場合と同様に実験値と予測値を比較・検討する。
本試験装置10は、巻き取りロール13を巻き出し側に設置し、張力や速度を制御するためのローラ15、16を介してウェブ1を搬送する。ローラ16には張力センサ17が設けられている。
最終的には最下流に位置する巻き取り軸に固定した巻芯14に、ニップローラ12による押付け荷重を負荷した状態で巻き取る機構になっている。
尚、環境温度として、実際の熱処理を想定し、室温Troom=24℃において、巻き取りが完了した0.5時間後、巻き取り中の温度より20K高い温度に制御された保管庫に巻き取りロール13を投入して、巻き取りロール13の環境温度を変化させた。ここで、巻き取りロール13を投入した時間を保管時間tst=0として定義する。
これらを無次元ロール半径r/rc=1.3、1.55、1.8、2.05にそれぞれ設置されるように適宜巻き取り中の最外層部分から挿入し、巻き取りロール4を保管庫に投入した直後から測定を開始した。尚、測定に際しては半径方向応力の測定精度を考慮し、応力測定と温度測定をそれぞれ独立に各3回以上行った。
また、ロール端部からの熱移動の影響を小さくするため,センサの感部がフィルムの幅に対して中央部に位置するように設置した。
一方、遅延項の部分は様々な応力・温度環境下における圧縮クリープ試験(負荷応力:0.25,0.5,1,1.5MPa,温度:23,31,40℃)、及び引張クリープ試験(負荷応力:2,4,6MPa,温度:23,31,40,50℃)により測定したクリープコンプライアンスと、時間の関係をもとに合成曲線を作成し、その結果を近似して得ている。ここで、ウェブ1の半径方向に関しては圧縮方向、円周方向に関しては引張方向の試験を実施した。
また、合成曲線を作成する際に半径方向および円周方向における基準温度Tf0に対する時間移動因子aTr(Tf)、aTθ(Tf)、基準応力σ0に対する時間移動因子aTr(σr)、aTθ(σθ)がそれぞれ求められる。この結果として得られる基準温度に対する時間移動因子と温度の関係、基準応力に対する時間移動因子と応力の関係は、式(52)〜式(55)のように近似できる。
図3は、温度を変化させて測定したウェブ1の半径方向および円周方向における熱歪みの実験値と、その近似値を併せて示したものであり、0℃での歪みを基準としている。この近似式を温度について微分すれば、温度Tfにおけるウェブ1の半径方向および円周方向の線膨張係数αr(Tf)、αe(Tf)は、それぞれ下記式(56)及び式(57)で求められる。
図4及び図5は、ロール温度の変化量(Tf−Troom)の予測値及び実験値をそれぞれ示したものであり、図4は、横軸に巻き取りロール13の中心を起点とした半径方向位置r/rc(半径方向位置を巻芯14の半径で除した無次元半径方向位置)を取ったものであり、図5は、保管時間tstを横軸に取ったものである。
また、図6〜図8は、半径方向応力σrの予測値と実験値をそれぞれ示したものであり、図6〜図8において(A)は巻き取りロールの中心を起点とした半径方向位置r/rc(半径方向位置を巻芯14の半径で除した無次元半径方向位置)を横軸に取ったものであり、(B)は、保管時間tstを横軸に取ったものである。
また、本発明の熱粘弾性プログラムの有効性を検討するため、図6には、熱粘弾性(Thermal-viscoelastic)プログラムによる予測値を示し、図7には、熱歪みのみを考慮した熱弾性(Thermal-elastic)プログラムによる予測値を示し、図8には粘弾性特性(Viscoelastic)のみを考慮した粘弾性プログラムによる予測値を示している。
尚、これらの図中のプロットは実験結果(実測値)の平均値であり、ばらつきの範囲をエラーバーで表示している。
また、時間が経過すれば巻き取りロール13内の温度は、環境温度に達するが、これには、15時間程度要することがわかる。ロール温度の予測値と実験値は良く一致しており、本実施形態で適用した非定常熱伝導解析は本実験の範囲内において妥当であると言える。
熱弾性モデルによる予測値の場合、図7に示すように、半径方向応力は、ロール温度の上昇にともない保管開始直後で急激に減少する。さらに時間が経過すると、内層部においてはそのまま減少するが、中間層部および外層部においては、一旦増大に転じることがわかる。
したがって、前述した式(30)、式(32)を考慮すると、半径方向応力が温度変化初期で減少するのは巻き取りロール13内に生じる温度分布が主たる要因であり、その後の変化に関しては、内層部ではウェブ1の円周方向の線膨張係数と巻芯14の線膨張係数との差が影響を及ぼし、中間層部と外層部ではウェブ1の円周方向の線膨張係数と半径方向の線膨張係数の差が影響を及ぼしていると考えられる。
また、いずれの場合においても半径方向応力の変化が大きいのは巻き取りロール13の内層側であることがわかる。
熱粘弾性プログラムによる予測値は実験値と概ね一致しており、本実施形態の巻き取りロールの内部応力解析プログラムは、熱弾性プログラム及び粘弾性プログラムに比べて高い精度で半径方向応力を予測できることがわかる。
ここで、無次元ロール半径r/rc=1.30、1.55、1.80、2.05における予測値と実験値は比較的よく一致する。
本実験の条件における巻き取りロール13の内部応力の予測値を基に、巻き取り不良との関係について検討を加える。ここで、図9は、図6に示した熱粘弾性モデルによる半径方向応力σrの予測値を用いて求めた円周方向応力σθの予測値を示したものである。
図6に示したように、環境温度の変化にともなうロール温度の上昇および時間の経過により、半径方向応力σrは、巻き取りロール13内において全体的に減少する。
このような場合、ウェブ1層間が滑りやすくなる。そのため、輸送、保管、及び熱処理している間に受ける外乱による軸方向の力、あるいは次工程で巻き出す際の巻出し張力に起因する円周方向の力によって型崩れが生じる恐れがある。
このような範囲ではウェブ1が座屈することにより、シワが発生する可能性がある。
実際の製造現場では、巻き取り直後に問題のない巻取りロール4であっても、その後に巻き取り不良が生じる場合があるが、ここで検討した内容は、このような不具合に関連していると考えられる。これより、環境温度の変化および時間経過により巻き取り後に発生する巻き取り不良に対し、その発生メカニズムを明らかにすること、さらに対策手段を検討することにおいて、本発明で提示した熱粘弾性プログラムは有用と判断する。
本実施形態では、ロール温度の変化および時間経過により変化する巻き取りロール13の内部応力状態を予測するための巻き取りロールの内部応力解析プログラムについて検討した。得られた主な結論を以下に記す。
(1)弾性モデルを拡張し、ウェブ1の粘弾性特性と熱歪みの効果を考慮した非定常状態における巻き取りロール4の内部応力に関する熱粘弾性プログラムを提示した。尚、本プログラムに導入したクリープ関数に関して、粘弾性特性における応力と温度の依存性を、考慮できるように修正するとともに、巻き込み空気層によるロール剛性の変化を考慮できるように拡張して用いた。
(2)ウェブ1の半径方向応力について、ポリプロピレンフィルムを用いた検証実験における実験値と、前述した熱粘弾性プログラムによる予測値は概ね一致し、プログラムの妥当性が確認された。
前述した非定常熱伝導解析プログラム及び内部応力解析プログラムは、汎用のコンピュータで実行処理されるプログラムとして構成することができ、コンピュータ上では、図9及び図10のフローチャートに基づいて、実行処理が行われる。
まず、図9に示されるように、初期設定値として表1に示されるようなウェブ1の物性値、表2に示されるような巻き取り条件及び弾性モデルにより求めた内部応力を入力する(手順S1)。
境界条件の設定が終了したら、この境界条件を基礎方程式(30)に適用し(手順S4)、応力増分Δσr.kを算出する(手順S5)。
応力増分Δσr.kの算出が終了したら、式(24)に基づいて、その時間tiにおけるロール内半径方向応力σr.kを更新する(手順S6)。
経過時間tを更新し(手順S7)、手順S2からを繰り返す。
必要な経過時間tすべてについて算出が終了したら(手順S8)、処理を終了する。
基本的には、図9のフローチャートと同様の処理となるが、空気層のヤング率Eralを算出し(手順S9)、さらに等価層の半径方向ヤング率Ereqを算出し(手順S10)、さらに等価層の円周方向のヤング率Eθeqを算出する(手順S11)。
これらの算出が終了したら、式(44)に基づいて、最内層の境界条件を設定し(手順S12)、前述と同様に最外層の境界条件を設定した(手順S3)後、式(43)にこれらの条件を適用して(手順S13)、応力増分Δσr.kを算出し(手順S14)、前述と同様に半径方向応力Δσr.kの更新を行う(手順S6)。以後は、前述と同様なので、説明を省略する。
Claims (2)
- ウェブの熱粘弾性特性を考慮した巻き取りロールの内部応力解析を、コンピュータに実行させる巻き取りロールの内部応力解析プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記巻き取りロールの最内層における下記境界条件式(1)を算出する手順と、
前記巻き取りロールの最外層における下記境界条件式(2)を算出する手順と、
境界条件式(1)の算出結果、及び境界条件式(2)の算出結果を、前記巻き取りロールの半径方向の応力増分に関する下記基礎方程式(3)に用いることにより、時間増分Δtiにおける巻き取りロールの第k層に生じる応力増分Δσr.k(ti)を求める手順と、
求められた応力増分Δσr.k(ti)を、下記式(4)に適用して、時間tiにおける半径方向応力σr.k(ti)を求める手順とを実行させることを特徴とする巻き取りロールの内部応力解析プログラム。
- 巻き取りロール内に巻き込まれた空気の影響と、ウェブの熱粘弾性特性を考慮した巻き取りロールの内部応力解析を、コンピュータに実行させる巻き取りロールの内部応力解析プログラムであって、
ウェブと空気層を合成した等価層の半径方向のヤング率Ereqを、下記式(5)、(6)、(7)に基づいて算出する手順と、
前記等価層の円周方向のヤング率Eθeqを、下記式(8)に基づいて算出する手順と、
算出された前記等価層の半径方向のヤング率Ereqに基づいて、前記等価層の半径方向クリープ関数を、下記式(9)に基づいて算出する手順と、
算出された前記等価層の半径方向のヤング率Eθeqに基づいて、前記等価層の円周方向クリープ関数を、下記式(10)に基づいて算出する手順と、
前記巻き取りロールの最内層における下記境界条件式(11)を算出する手順と、
前記巻き取りロールの最外層における下記境界条件式(12)を算出する手順と、
境界条件式(11)の算出結果、及び境界条件式(12)の算出結果を、前記巻き取りロールの半径方向の応力増分に関する下記基礎方程式(13)に用いることにより、時間増分Δtiにおける巻き取りロールの第k層に生じる応力増分Δσr.k(ti)を求め
る手順と、
求められた応力増分Δσr.k(ti)を、下記式(14)に適用して、時間tiにお
ける半径方向応力σr.k(ti)を求める手順とを実行させることを特徴とする巻き取り
ロールの内部応力解析プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011203596A JP5818083B2 (ja) | 2011-09-16 | 2011-09-16 | 巻き取りロールの内部応力解析プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011203596A JP5818083B2 (ja) | 2011-09-16 | 2011-09-16 | 巻き取りロールの内部応力解析プログラム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2013064650A JP2013064650A (ja) | 2013-04-11 |
JP5818083B2 true JP5818083B2 (ja) | 2015-11-18 |
Family
ID=48188284
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011203596A Active JP5818083B2 (ja) | 2011-09-16 | 2011-09-16 | 巻き取りロールの内部応力解析プログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5818083B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5461605B2 (ja) * | 2012-03-02 | 2014-04-02 | 富士フイルム株式会社 | ウエブロール製造方法およびウエブロール巻き取り方法および内部応力計算方法 |
CN106197798B (zh) * | 2015-05-19 | 2018-11-16 | 中国石油大学(华东) | 粘弹性应变测现场地应力的测试装置 |
JP6162281B1 (ja) | 2016-03-16 | 2017-07-12 | 住友化学株式会社 | フィルム巻取装置の制御方法、フィルム捲回体、フィルム巻取装置、およびフィルム捲回体の製造方法 |
JP6240697B2 (ja) | 2016-03-16 | 2017-11-29 | 住友化学株式会社 | セパレータ捲回体 |
JP6839018B2 (ja) * | 2017-03-30 | 2021-03-03 | リンテック株式会社 | 算出システム、算出方法、及び巻取り方法 |
-
2011
- 2011-09-16 JP JP2011203596A patent/JP5818083B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2013064650A (ja) | 2013-04-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5818083B2 (ja) | 巻き取りロールの内部応力解析プログラム | |
US10301135B2 (en) | Film winding device control method, film roll, film winding device, and film roll production method | |
Sugiman et al. | Experimental and numerical investigation of the static response of environmentally aged adhesively bonded joints | |
JP5748514B2 (ja) | 巻取装置および巻取制御方法 | |
Lee et al. | Advanced taper tension method for the performance improvement of a roll-to-roll printing production line with a winding process | |
JP5807876B2 (ja) | 巻き取りロールの非定常熱伝導解析プログラム、及び巻き取りロールの非定常内部応力解析プログラム | |
US20190312249A1 (en) | Method for manufacturing separator roll | |
Jabbar et al. | Modeling and analysis of web span tension dynamics considering thermal and viscoelastic effects in roll-to-roll manufacturing | |
Wald et al. | Determining the elastic modulus of compliant thin films supported on substrates from flat punch indentation measurements | |
JP2017100850A (ja) | ウエブ巻取装置及びウエブ巻取方法 | |
Mosaddegh et al. | Friction measurement in precision glass molding: an experimental study | |
JP2012017159A (ja) | 巻き取りロールにおける各空気層厚さ、空気層の半径方向のヤング率、および、内部応力の解析プログラム | |
Mollamahmutoglu et al. | Analysis of large deformation wound roll models | |
JP5971293B2 (ja) | 調質圧延機の制御装置及び制御方法 | |
Dbouk et al. | Advanced roll bite models for cold and temper rolling processes | |
Alexandrov et al. | A new empirical relation for free surface roughening | |
Ren et al. | Center winding versus surface winding: the effect of winder type and web material properties on wound roll stresses | |
Hashimoto et al. | MoC-1-2 INTERNAL STRESS ANALYSIS OF WOUND ROLL CONSIDERING THERMAL-VISCOELASTIC PROPERTY AND EXPERIMENTAL VERIFICATION | |
Hashimoto et al. | Optimization of winding conditions for preventing roll defects caused by thermo-viscoelastic property and its experimental verification | |
Weisz-Patrault et al. | Non-linear numerical simulation of coiling by elastic finite strain model | |
Tian et al. | Modeling and simulation for the swelling behavior of unvulcanized rubber during the calendering process | |
Goyal et al. | Effect of notch on low cycle fatigue behaviour of 316 LN stainless steel | |
Lei et al. | Modeling air entrainment and temperature effects in winding | |
Pan | The mechanics of winding laminate webs and the prediction of machine direction curl | |
Shi | The Interaction Between Webs and Rollers in Roll-To-Roll Manufacturing Process Machines |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20140708 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20140709 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140912 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20140912 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20150610 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20150616 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150811 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150901 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150916 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5818083 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |