JP5807876B2 - 巻き取りロールの非定常熱伝導解析プログラム、及び巻き取りロールの非定常内部応力解析プログラム - Google Patents
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Description
このような変化は、ロール温度に作用して巻き取りロールの内部応力を経時で変動させ、巻き取り直後には見られなかったブロッキングやシワなどに代表される巻き取り不良を発生させる場合がある。また、製膜プロセスにおいてエージングなどの熱処理を施すときにも同様の問題が生じ得る。
その中でもHakielのモデルが今日の巻き取り理論の基本を成しており、これを修正することで様々な影響を考慮したモデルが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
ロール温度の変化にともなう熱応力について、Willetらは、熱弾性理論を適用してロール温度が均一に変化すると仮定したモデルを報告しており(例えば、非特許文献2参照)、その妥当性をQuallsらが実験的に検証している(例えば、非特許文献3参照)。
ただし、この温度変化に関する仮定は、ロール温度が環境温度に一致した定常状態あるいはロール半径に対して一様に変化する場合には適用できるが、ロール内に温度分布が生じる場合には成立しない。
これに対し、Leiらはロール温度の不均一な変化を仮定したモデルを提示している(例えば、非特許文献4参照)。
一方、巻き取りロール内のウェブ間には巻き取り中の巻き込み空気によって空気層が形成され、その結果熱伝導状態が変化して内部応力に影響を及ぼすと考えられるが、これを考慮した理論モデルは見受けられない。
前記コンピュータに、
前記巻き取りロール内のウェブの見掛けの接触面積Aaに対する真実接触面積Aの比A/Aa (A/A a ≠0)を、下記式(1)を用いて算出する手順と、
求められたA/Aaに基づいて、下記式(2)を用いて各ウェブ間の空気層の熱伝導率kal(W/(m・K))を算出する手順と、
求められた各ウェブ間の空気層の熱伝導率kal(W/(m・K))に基づいて、下記式(3)を用いて半径方向に対するウェブと空気層を合成した等価層の熱伝導率keq(W/(m・K))を算出する手順と、
下記式(4)を用いて前記等価層の密度ρeq(kg/m3)を算出する手順と、
下記式(5)を用いて前記等価層の比熱ceq(J/(kg・K))を算出する手順と、
算出された前記等価層の熱伝導率keq、密度ρeq、比熱ceqを、(6)で与えられる非定常熱伝導の基礎方程式におけるウェブの物性値に置き換え、前記巻き取りロール内の各層のウェブの温度を算出する手順と、
を実行させることを特徴とする。
前記コンピュータに、
前述した巻き取りロールの非定常熱伝導解析プログラムの実行結果として得られる前記等価層の半径方向位置に応じた温度変化量ΔTfと、
前記巻き取りロールのウェブの最内層における境界条件式(7)と、
前記巻き取りロールの巻き取り中のウェブの最外層における境界条件式(8)と、
前記巻き取りロールの巻き取り完了後のウェブの最外層における境界条件式(9)とを、半径方向の応力増分に関する基礎方程式(10)に用いることにより、
前記巻き取りロールの最内層のウェブから第j番目の層に生じる式(11)で与えられる半径方向応力σr,jを求めることを特徴とする。
前記コンピュータに、
前述した巻き取りロールの非定常熱伝導解析プログラムの実行結果として得られる前記等価層の半径方向位置に応じた温度変化量ΔTfと、
ウェブと空気層を合成した等価層の半径方向のヤング率Ereqを、下記式(12)に基づいて算出する手順(空気層の半径方向ヤング率Eralは、下記式(13)で算出される)と、
前記等価層の円周方向のヤング率Eθeqを、下記式(14)に基づいて算出する手順と、
前記等価層の半径方向ヤング率Ereqと、
前記等価層の円周方向ヤング率Eθeqと、
前記等価層の最内層における境界条件式(15)と、
前記巻き取りロールの巻き取り中の最外層における境界条件式(16)と、
前記巻き取りロールの巻き取り完了後の最外層における境界条件式(17)とを、半径方向の応力増分に関する基礎方程式(18)に用いることにより、
前記巻き取りロールの最内層から第j番目の層に生じる式(19)で与えられる半径方向応力σr,jを求めることを特徴とする。
[1]巻き込み空気の影響を考慮した非定常熱伝導解析
基本的な巻き取り方式であるウェブの中心駆動巻き取りにおいて、図1にはニップローラがない場合の巻き取り概念図が示され、図2にはニップローラ3がある場合の概念図が示されている。
ウェブ1は、図1の場合では巻き取り張力Twが与えられた状態で巻芯2に巻き取られる。一方、ニップローラ3がある図2の場合では、ウェブ1は、巻き取り張力Twに加え、ニップローラ3の押し付け荷重Lが与えられた状態で巻芯2に巻き取られる。
このような空気層を有する巻き取りロール4内の熱伝導は、ウェブ1が巻き取られた部分を均質な材料からなるロール構造体とみなした場合とは異なったものとなる。
ここで、ニップローラ3は巻き込み空気量を制限し、後述する見かけの巻き取りロール4の剛性を調整する目的で一般的に使用されている。
巻き取りロール4内において、発熱及び円周方向と軸方向に対する温度変化がないとした熱伝導状態を仮定する。
このような場合、非定常熱伝導の基礎方程式は、巻き取りロール4の半径方向に関する式(20)で表される。
ここで、ウェブ1の表面には粗さが存在するため、巻き取りロール4内におけるウェブ1同士の接触面は理想的な面接触にはならず、図3(A)、図4(A)に示すように実際には空気層厚さによって分散接触又は非接触となる。ウェブ1間に介在する空気の熱伝導率は、一般にウェブ1に比べて低いことから、空気層内及び粗さ部分の温度勾配は隣接するウェブ1内とは異なってくる。本願発明は、図3(A)に示される分散接触をモデルとしている。
粗さの突起高さは多くの場合で正規分布をする。したがって、ウェブ1間の空気層厚さhalが合成自乗平均平方根粗さRffの3倍を超える場合、粗さ同士は確率的に接触しない(橋本巨,“基礎から学ぶトライボロジー”,(2006), p. 94, 森北出版)。
そこで,hal≦3Rffの場合には分散接触とし、空気層内の粗さ部分を矩形状の単一要素とみなすこととする。一方、hal>3Rffの場合には非接触とし、粗さ部分が存在しないと考える。
ウェブ1と空気層を通過する熱流束が等しい場合、半径方向に対するウェブ1と空気層を合成した等価層の熱伝導率keqは、式(32)のように表される。
巻き取りロール4において、既に巻き取られた部分の応力は、巻き取り中における新たなウェブ1の追加及び巻き取り後のロール温度の変化に起因するウェブ1と巻芯2の熱歪みによって逐次変化する。
また、空気層が存在すると見かけのロール剛性は著しく低下し,内部応力が大きく変化する。
このような内部応力状態に対して、本実施形態では、前述したHakielの理論を基礎とし、巻き取りロール4内の熱歪み及び空気層によるロール剛性の変化を考慮できるように修正した解析モデルを採用する。
巻き取りロール4内における巻芯2側から数えて第j番目の層(第j層)の半径方向応力σr,jは,新たなウェブ1の追加及び熱歪みに起因する半径方向の応力増分Δσr,jを第j層の巻き取りが完了した時間tj+1から現在の時間tiまで足し合わせることで求められ、式(37)のように表される。
まず、最内層において巻芯に生じる歪みがウェブ1の第1層目の歪みに等しいと仮定し、ウェブ1と巻芯2の熱歪みを考慮すると最内層境界条件式は式(41)のように与えられる。
巻き込み空気による巻き取りロール4の剛性の低下は、前述したウェブ1のヤング率を等価層のヤング率に置き換えることで考慮することができる(Good, J.K. and Holmberg, M.W, “The Effect of Air Entrainment in Center Wound Rolls”, Proceedings of the Second International Conference on Web Handling, (1993), p. 246-264/谷本光史, 河野和清, 高橋定, 佐々木将志, 吉田総仁, “空気巻き込みを考慮した巻き取りロールの内部応力解析”, 日本機械学会論文集A編,Vol. 68, No. 665, (2002), p. 161-168)。尚、等価層の半径方向ヤング率Ereqは式(46)、等価層の円周方向ヤング率Eθeqはそれぞれ式(47)で与えられる。
従って、巻き込み空気により巻き取りロール4の剛性が低下した場合、式(40)で与えられたΔσrに関する基礎方程式は、式(49)のようになる。
次に、前述した理論予測モデルに基づく巻き取りロールにおける非定常熱伝導解析プログラム、及び非定常内部応力解析プログラムの有効性について実験的に検証した。具体的には、巻き取りロール周辺の環境温度を意図的に変化させ、その際に測定したロール温度及び半径方向応力の実験値を予測値と比較・検討した。
本実験では、ウェブ1としてポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、図5に示すような巻き出し部11とニップローラ12を有する巻き取り部18から構成される試験装置10で巻き取りを実施した。
本試験装置10は、巻き取りロールを巻き出し部11に設置し、張力や速度を制御するためのローラ15、16を介してウェブ1を搬送する。ローラ16には張力センサ17が設けられている。
最終的には最下流に位置する巻き取り軸に固定した巻芯14に、ニップローラ12による押付け荷重を負荷した状態で巻き取る機構になっている。
これらを所定のロール半径位置に設置されるように適宜巻き取り中の最外層部分から挿入し、巻き取りロール13を保管庫に投入した直後から測定を開始した。尚、測定に際しては半径方向応力の測定精度を考慮し、温度測定と応力測定をそれぞれ独立に各3回以上行った。
また、ロール端部からの熱移動の影響を小さくするため,センサの感部がウェブ1の幅に対して中央部に位置するように設置した。
表1にウェブ1であるポリエチレンテレフタレートフィルムの物性値、表2に加工条件をそれぞれ示す。ここで、ウェブ1は図6に示すように半径方向応力σrに対して非線形圧縮特性を有する。そこで本実験では、この図6を基に半径方向ヤング率Erを式(52)によって累乗近似して評価する。
図7〜図10に巻き取りロール13の温度の変化量(Tf−T0)及び半径方向応力σrについて、本発明の解析プログラムを用いた予測値と実測値をそれぞれ示す。図7及び図9は、巻き取りロール13の半径位置を、巻芯14の半径で除した無次元ロール半径位置r/rc、図8及び図10は時間tに対する結果である。
ここで、巻き込み空気が熱伝導に及ぼす影響を検討するため、この影響を無視した場合の予測値を得たが、本理論予測モデルによる予測値とほとんど一致したことから、両者を同一の実線で表している。なお、図中のプロットは実測値の平均値であり、ばらつきの範囲をエラーバーで表示している。
また,図8及び図10中に示している斜線部は巻き取りロール13を保管庫に投入している時間範囲を表している。
このとき、温度変化は巻芯14側に比べて外層側で大きいことがわかる。
これは、保管庫内における巻き取りロール13の最外層面の熱伝達率が巻芯14の内側面より高いためであり、その結果として対流伝熱により流入する熱量が多くなることに起因する。
このときの温度変化は外層側で大きくなることが確認できるが、これは保管庫内の場合と同様に熱伝達率が、巻き取りロール13の最外層面で高いことに加え、時間t=2(h)において、室温との温度差が外層側で大きいことが作用していると考えられる。
また、図8からわかるように、室内におけるロール温度の変化は保管庫内に比べて緩やかであること、また、ロール温度が最大値を示す時刻は内層側ほど環境温度が室温に変化する時間t=2(h)から遅れる傾向にあることが確認できる。
前者は巻き取りロール13の最外層面の熱伝達率が低下すること、後者は外層ほどロール温度が高い状態にあるため、環境温度が室温に転じても内層に向けて熱移動が生じることが原因と考えられる。
このような巻き取りロール13の内部に生じる熱応力は、ウェブ1の線膨張係数の異方性、及びウェブ1と巻芯14の線膨張係数の差に起因している。
表1及び表2に示したようにウェブ1の円周方向の線膨張係数αθは、半径方向の線膨張係数αrに比べて一桁小さく、巻芯14の線膨張係数αcと同程度である。
したがって、前述した式(40)及び式(49)、式(41)及び式(50)を考慮すれば,ウェブ1と巻芯14の組み合わせでは、このウェブ1の異方性が主として熱応力に影響を及ぼし、その結果として半径方向応力σrが温度上昇により増大、温度低下により減少したものと考えられる。
図11〜図13は、それぞれ空気層厚さに対する等価層の熱伝導率keq、密度ρeq、比熱ceqの計算値を示している。
ここで、図11〜図13に示す斜線部は巻き取りロール13内に存在する空気層厚さの予測値の範囲を示している。これより、等価層の熱物性は空気層厚さが大きくなるに従ってウェブの熱物性から空気の熱物性の値へと遷移する傾向にあるが、本発明の検討範囲内ではウェブ1の熱物性値にほぼ一致していることがわかる。
本実験における内部応力の予測値をもとに前述した巻き取り不良との関係について検討を加える。
ここで、図14は、図9に示した半径方向応力の予測値より求められる円周方向応力の予測値を示している。環境温度が上昇する場合、半径方向応力は経時で増大する。
これはウェブ1同士を圧着させるように作用するため、ブロッキングを発生させる要因となる。
このように環境温度の変化に起因した巻き取り後に発生する巻き取り不良に対し、その発生メカニズムを明らかにすること、さらに対策手段を検討することにおいて、本発明の解析プログラムは有用であるといえる。
電子デバイスに用いられる熱伝導フィルムや導電性材料が表面に設けられた薄膜フィルムなど、半径方向に対するウェブ1の熱伝導率が高くなるような場合には、巻き込み空気が巻き取りロール13の熱伝導及び熱応力に及ぼす影響は無視できないと考えられる。
そこで、本理論予測モデルを用いたパラメータ研究により、巻き込み空気の影響が無視できない場合についても検討しておく。
図15〜図20から、ロール温度の変化量、半径方向応力、円周方向応力のいずれにおいても巻き込み空気を考慮した場合と、これを無視した場合の予測値に有意差が認められ、その差は、条件Aに比べて空気層が厚くなる条件Bで顕著に現れることがわかる。
これは、図21に示すように、本計算条件において等価層の熱伝導率が、ウェブ1の熱伝導率より小さく、また、空気層が厚い条件Bの方が、熱伝導率が小さいことに起因する。
これより、図15、図16に示すように本計算条件における巻き込み空気を考慮した場合、特に条件Bで巻き取りロール13内の温度勾配が大きくなったと考えられる。なお、図21に示すように、本計算条件における半径方向応力の範囲内ではウェブ1間の接触状態が等価層の熱伝導率に及ぼす影響はわずかであり、その効果は無視できると考えてよい。
特に巻芯14の近傍において、それぞれの応力は経時で大きく低下する傾向にあり、これはウェブ1間が滑ることによる巻ズレ、前述したようなシワを発生させる要因となり得る。
また、いずれの応力においても巻き込み空気を無視した場合の方が巻き込み空気を考慮した場合よりも高くなっている。これより、予測値をもとに巻き取り不良の発生について検討する際、巻き込み空気を無視した場合においては過大評価となり、実際の現象を適切に評価できないおそれがあると考えられ、このような場合において本発明の解析プログラムは有用であるといえる。
以上の結果から、半径方向に対するウェブ1の熱伝導率が高くかつ空気層が厚くなる条件下においては、巻き込み空気が巻き取りロール13の熱伝導及び熱応力に及ぼす影響は無視できないことがわかる。
本実施形態では、熱伝導に及ぼす巻き込み空気の影響を考慮した非定常状態の巻き取りロール13の熱伝導及び内部応力に関する解析プログラムを提示し、その有効性を実験検証及びパラメータ研究から確認することができた。得られた結論としては、次のことがいえる。
(1)巻き込み空気によってウェブ1間に形成される空気層の厚さ及び隣接するウェブ1同士の接触状態を考慮した巻き取りロール13における非定常熱伝導解析プログラムを提供することができた。
(2)内部応力解析に本実施形態に係る非定常熱伝導解析を適用することにより、巻き込み空気が熱伝導に及ぼす影響を考慮した、非定常状態における巻き取りロール13の内部応力解析プログラムを提供することができた。
(4)本発明の解析プログラムを用いたパラメータ研究から、半径方向に対するウェブ1の熱伝導率が高くかつ空気層が厚くなる条件下において、巻き込み空気が巻き取りロール13の熱伝導及び熱応力に及ぼす影響は無視できないことがわかった。
前述した非定常熱伝導解析プログラム及び非定常内部応力解析プログラムは、汎用のコンピュータで実行処理されるプログラムとして構成することができ、コンピュータ上では、図22〜図24のフローチャートに基づいて、実行処理が行われる。
まず、図22に示されるように、初期設定値として表1に示されるようなウェブ1の物性値、表2に示されるような巻き取り条件を入力する(手順S1)。
次に、予測値を算出する経過時間tを設定する時間増分を設定する(手順S2)。
前述した式(34)を用いて巻き取りロールの見掛けの接触面積に対する真実接触面積の比A/Aaを算出する(手順S3)。
算出された空気層の熱伝導率kalを式(32)に代入し、等価層の熱伝導率keqを算出する(手順S5)。
同様に算出された見掛けの接触面積に対する真実接触面積の比A/Aaを式(35)に代入し、等価層の密度ρeqを算出し(手順S6)、さらに、見掛けの接触面積に対する真実接触面積の比A/Aaを式(36)に代入して等価層の比熱ceqを算出する(手順S7)。
式(21)乃至式(24)に基づいて、境界条件の設定を行う(手順S8)。
算出された等価層の熱伝導率keq、密度ρeq、及び比熱ceqとを式(20)に代入するとともに、式(21)乃至式(24)に設定された境界条件を用いて、巻き取りロール4の半径位置rにおける温度変化量ΔTを算出する(手順S9)。
算出された温度変化量ΔTをコンピュータのメモリ等に記録保存する(手順S10)。
コンピュータは、空気層の影響を考慮しない内部応力解析Aのプログラムと、空気層の影響を考慮した内部応力解析Bのプログラムの選択を促す(手順S11)。
設定された境界条件に基づいて、基礎方程式(40)から応力増分Δσrを算出する(手順SA3)。
算出された応力増分Δσrを、式(37)に代入して各層のロール内半径方向応力Δσrを更新する(手順SA4)。
尚、内部応力解析プログラムAは、内部応力の解析にあたり、事前の測定に基づいて求めた半径方向ヤング率Er、円周方向ヤング率Eθを用いたものである。
具体的には、図24に示されるように、内部応力解析プログラムAと同様に温度変化量ΔTの読み出しを行い(手順SB1)、式(38)により空気層の厚さを算出し、式(48)により空気層の半径方向ヤング率Eralを算出する(手順SB2)。
算出された空気層の厚さhal、空気層の半径方向ヤング率Eralに基づいて、式(46)により、等価層の半径方向ヤング率Ereqを算出し、式(47)により等価層の円周方向ヤング率Eθeqを算出する(手順SB3)。
設定された境界条件に基づいて、基礎方程式(49)から応力増分Δσrを算出する(手順SB5)。
算出された応力増分Δσrを、式(37)に代入して各層のロール内半径方向応力σrを更新する(手順SB6)。
Claims (3)
- 巻き取りロール内に巻き込まれた空気の影響を考慮した巻き取りロールの非定常熱伝導解析をコンピュータに実行させる巻き取りロールの非定常熱伝導解析プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記巻き取りロール内のウェブの見掛けの接触面積Aaに対する真実接触面積Aの比A/Aa (A/A a ≠0)を、下記式(1)を用いて算出する手順と、
求められたA/Aaに基づいて、下記式(2)を用いて各ウェブ間の空気層の熱伝導率kal(W/(m・K))を算出する手順と、
求められた各ウェブ間の空気層の熱伝導率kal(W/(m・K))に基づいて、下記式(3)を用いて半径方向に対するウェブと空気層を合成した等価層の熱伝導率keq(W/(m・K))を算出する手順と、
下記式(4)を用いて前記等価層の密度ρeq(kg/m3)を算出する手順と、
下記式(5)を用いて前記等価層の比熱ceq(J/(kg・K))を算出する手順と、
算出された前記等価層の熱伝導率keq、密度ρeq、比熱ceqを、(6)で与えられる非定常熱伝導の基礎方程式におけるウェブの物性値に置き換え、前記巻き取りロール内の各層のウェブの温度を算出する手順と、
を実行させることを特徴とする巻き取りロールの非定常熱伝導解析プログラム。
- 請求項1に記載の巻き取りロールの非定常熱伝導解析プログラムの解析結果に基づいて、前記巻き取りロール内に巻き込まれた空気の影響を考慮した巻き取りロールの非定常内部応力解析をコンピュータに実行させる巻き取りロールの非定常内部応力解析プログラムであって、
前記コンピュータに、
請求項1に記載の巻き取りロールの非定常熱伝導解析プログラムの実行結果として得られる前記等価層の半径方向位置に応じた温度変化量ΔTfと、
前記巻き取りロールのウェブの最内層における境界条件式(7)と、
前記巻き取りロールの巻き取り中のウェブの最外層における境界条件式(8)と、
前記巻き取りロールの巻き取り完了後のウェブの最外層における境界条件式(9)とを、半径方向の応力増分に関する基礎方程式(10)に用いることにより、
前記巻き取りロールの最内層のウェブから第j番目の層に生じる式(11)で与えられる半径方向応力σr,jを求めることを特徴とする巻き取りロールの非定常内部応力解析プログラム。
- 請求項1に記載の巻き取りロールの非定常熱伝導解析プログラムの解析結果に基づいて、前記巻き取りロール内に巻き込まれた空気によるロール剛性の変化を考慮した巻き取りロールの非定常内部応力解析をコンピュータに実行させる巻き取りロールの非定常内部応力解析プログラムであって、
前記コンピュータに、
請求項1に記載の巻き取りロールの非定常熱伝導解析プログラムの実行結果として得られる前記等価層の半径方向位置に応じた温度変化量ΔTfと、
ウェブと空気層を合成した等価層の半径方向のヤング率Ereqを、下記式(12)に基づいて算出する手順(空気層の半径方向ヤング率Eralは、下記式(13)で算出される)と、
前記等価層の円周方向のヤング率Eθeqを、下記式(14)に基づいて算出する手順と、
前記等価層の半径方向ヤング率Ereqと、
前記等価層の円周方向ヤング率Eθeqと、
前記等価層の最内層における境界条件式(15)と、
前記巻き取りロールの巻き取り中の最外層における境界条件式(16)と、
前記巻き取りロールの巻き取り完了後の最外層における境界条件式(17)とを、半径方向の応力増分に関する基礎方程式(18)に用いることにより、
前記巻き取りロールの最内層から第j番目の層に生じる式(19)で与えられる半径方向応力σr,jを求めることを特徴とする巻き取りロールの非定常内部応力解析プログラム。
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