以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図9を参照して、本発明の第1実施形態によるスライド支持装置の構成について説明する。
この第1実施形態によるスライド支持装置は、建設機械の伸縮ブームに用いられるものである。具体的には、例えば、図1に示すようなクレーンに起伏自在となるように設けられる伸縮ブーム2に、当該第1実施形態によるスライド支持装置12(図2参照)は設けられる。伸縮ブーム2は、その先端から図略のワイヤロープ及びフック装置を介して吊荷を吊るものである。伸縮ブーム2は、複数のブーム材3を備えている。各ブーム材3は、互いに径の異なる筒状に形成されており、大径のブーム材3の内側に小径のブーム材3が挿入されることによって、テレスコープ型の伸縮ブーム2が構成されている。
各ブーム材3は、天壁と、この天壁の両端から下方に延びる一対の側壁と、これらの側壁の下端同士を連結する底壁とを有する。前記天壁及び各側壁の上部は、平板状に形成されており、両側壁の下部から底壁にかけての部分、すなわちブーム材3の下部は、下向きに凸となるように湾曲した断面形状を有する。なお、本実施形態では、各ブーム材3の下部は、厳密には、平板を複数個所で折り曲げることにより多角形状に形成されたものであり、巨視的に湾曲した形状をなしている。また、各ブーム3の軸方向に直交する断面は、互いに相似形となっている。複数のブーム材3のうち大径のブーム材3でその内側に小径のブーム材3を受け入れるブーム材3が外側ブーム材4であり、その外側ブーム材4内に挿入されたブーム材3が内側ブーム材5である。従って、伸縮ブーム2の最も基端側(クレーンの本体側)に配置されるブーム材3は、外側ブーム材4であり、伸縮ブーム2の最も先端側に位置するブーム材3は、内側ブーム材5であるが、それら以外のブーム材3は、外側ブーム材4であると同時に内側ブーム材5でもある。そして、伸縮ブーム2は、外側ブーム材4に対する内側ブーム材5の軸方向への相対移動により伸縮する。なお、以下の説明において、「前側」及び「前端側」とは、伸縮ブーム2又はブーム材3の先端側(クレーンの本体から遠い側)のことを意味し、「後側」及び「後端側」とは、伸縮ブーム2又はブーム材3の基端側(クレーンの本体に近い側)のことを意味する。
この第1実施形態によるスライド支持装置12は、外側ブーム材4の下部(軸方向に直交する断面において下側に位置する部分)の内面に固定された状態で内側ブーム材5が軸方向にスライド可能となるように内側ブーム材5を支持する。なお、伸縮ブーム2に含まれる全ての外側ブーム材4にスライド支持装置12をそれぞれ設置し、その各スライド支持装置12によってそれぞれ対応する内側ブーム材5を支持するようにしてもよい。
第1実施形態によるスライド支持装置12は、図2に示すように、複数のスライドパッド14と、ホルダ16と、後側規制部18と、前側規制部20と、浮上阻止部22とを備えている。
複数のスライドパッド14は、内側ブーム材5の下部の外面と摺接してその内側ブーム材5が軸方向にスライド可能となるように支持するものである。各スライドパッド14は、内側ブーム材5の下部の外面と摺接する摺接面14aをそれぞれ有する。具体的には、スライドパッド14は、偏平な略直方体状に形成されており、その上面が摺接面14aを構成する。スライドパッド14の材質は、ある程度の強度を有し、且つ、内側ブーム材5の外面に対する摩擦係数の低いものが望ましい。例えば、そのような性質を有する各種樹脂がスライドパッド14の材質として用いられる。また、スライドパッド14の摺接面14aには、内側ブーム材5の外面との摩擦を軽減するためにグリスが塗布される。
ホルダ16は、複数のスライドパッド14をそれらの摺接面14aが内側ブーム材5の下部の外面と摺接する姿勢で外側ブーム材4の周方向に並ぶ複数の位置に保持するものである。ホルダ16は、外側ブーム材4の下部の内面上に配設されており、外側ブーム材4の下部の湾曲した内面に沿うように湾曲した形状をなしている。このホルダ16は、複数のスライドパッド14が外側ブーム材4の下部及び内側ブーム材5の下部の湾曲した形状に沿って並ぶようにそれらのスライドパッド14を保持する。
具体的には、ホルダ16は、複数(本実施形態では3つ)の分割ホルダ26と、複数(本実施形態では2つ)の連結部材28とによって構成されている(図5及び図6参照)。
複数の分割ホルダ26は、外側ブーム材4の下部の内面上にその外側ブーム材4の周方向に並ぶように配設される。各分割ホルダ26は、それぞれ、複数(所定数)のスライドパッド14を外側ブーム材4の周方向に並ぶように保持する。本実施形態では、1つの底部ホルダ26aと2つの側部ホルダ26bとが、分割ホルダ26として設けられている。
底部ホルダ26aは、外側ブーム材4の底壁の内面上に設置される。この底部ホルダ26aは、それぞれ1つずつスライドパッド14を保持する複数(本実施形態では6つ)のパッド保持部26cと、その複数のパッド保持部26cの隣り合うもの同士をそれらの間で連結する複数(本実施形態では5つ)の保持部間連結部26dとを有する(図7参照)。これら複数のパッド保持部26cと複数の保持部間連結部26dは、一体的に形成されている。
各パッド保持部26cは、底部ホルダ26aが外側ブーム材4の底壁の内面上に設置された状態で外側ブーム材4の周方向に並ぶように配置される。各パッド保持部26cは、偏平な略直方体状をなしている。各パッド保持部26cは、1つのスライドパッド14を保持するための嵌合凹部26eを有する。嵌合凹部26eは、パッド保持部26cの表面(内側ブーム材5の外面に向き合う面)から裏側へ凹む有底の凹部である。この嵌合凹部26eにスライドパッド14が嵌め込まれることによって、スライドパッド14がパッド保持部26cに保持される。なお、嵌合凹部26eは、スライドパッド14が当該嵌合凹部26eに着脱可能となるように形成されているが、当該嵌合凹部26eに嵌合されたスライドパッド14に外側ブーム材4の内面から離反させる方向へ多少の力が作用しても当該嵌合凹部26eからスライドパッド14が抜け出さないような嵌合力でスライドパッド14が嵌合するようになっている。具体的には、底部ホルダ26aが外側ブーム材4の内面に固定された状態で、内側ブーム材5の外面にグリスの粘着力によって付着したスライドパッド14が、外側ブーム材4の内面から離反するように変位する内側ブーム材5によって引っ張られても、スライドパッド14が嵌合凹部26eから抜け出すのを阻止し得るような嵌合力でスライドパッド14は嵌合凹部26eに嵌合する。
また、嵌合凹部26eは、図9に示すように、当該嵌合凹部26e内の底面にスライドパッド14の裏面(下面)が接触するようにスライドパッド14が当該嵌合凹部26eに嵌め込まれた状態でパッド保持部26cの表面からスライドパッド14の摺接面14a(表面)側の部位が突出するような深さを有する。すなわち、嵌合凹部26eの深さは、スライドパッド14の厚みよりも小さい。なお、スライドパッド14の裏面(下面)と嵌合凹部26e内の底面との間に例えば薄板状のスペーサを介装することによって、スライドパッド14の突出量を調節してもよい。これにより、内側ブーム材5の外面に対する各スライドパッド14の接触具合の調整や、スライドパッド14が支持する内側ブーム材5の微妙な位置調整を行うことが可能である。
各保持部間連結部26dは、図6に示すように、パッド保持部26cの幅よりも小さい幅を有し且つパッド保持部26cの厚みよりも小さい厚みを有する。具体的には、底部ホルダ26aの表面(内側ブーム材5の外面に向き合う面)側と裏面(外側ブーム材4の内面に向き合う面)側には、各保持部間連結部26dの位置(隣り合うパッド保持部26c間の位置)に当該底部ホルダ26aの前端から後端に至る溝がそれぞれ形成されている。それらの各溝は、前後方向(ブーム材の軸方向)に直線的に延びている。このような構成により、底部ホルダ26aは、各保持部間連結部26dにおいて折り曲げ可能となっており、各保持部間連結部26dが連結するパッド保持部26c同士がなす角度を調節して当該底部ホルダ26aが外側ブーム材4の底壁の内面にフィットするように当該底部ホルダ26aの形状を外側ブーム材4の底壁の内面形状に合わせて調節できるようになっている。
また、底部ホルダ26aは、浮上阻止部22の後述する後端浮上阻止部22aと外側ブーム材4の下部の内面との間に挟み込まれる後端被挟持部26fと、その後端被挟持部26fを外側ブーム材4の下部の内面との間で挟み込んだ後端浮上阻止部22aに対して外側ブーム材4の周方向の両側から当接する周方向移動規制部26gとを有している(図7参照)。
後端被挟持部26fは、底部ホルダ26aの後端部に配置されており、その後端部において外側ブーム材4の周方向(複数のパッド保持部26cが並ぶ方向)に間隔をおいた2箇所に設けられている。具体的には、本実施形態では、後端被挟持部26fは、外側ブーム材4の周方向における底部ホルダ26aの一端側から2番目に位置するパッド保持部26cの後端部とその周方向における底部ホルダ26aの他端側から2番目に位置するパッド保持部26cの後端部とにそれぞれ設けられている。後端被挟持部26fは、その周りに位置する部分よりも厚みが小さくなっている。
周方向移動規制部26gは、底部ホルダ26aの後端部の外側ブーム材4の周方向への移動を阻止するように後端浮上阻止部22aに対して外側ブーム材4の周方向の両側から当接する。具体的には、周方向移動規制部26gは、外側ブーム材4の周方向において各後端被挟持部26fの両側にそれぞれ設けられており、その後端被挟持部26fよりも内側ブーム材5の外面側へ突出している。すなわち、後端被挟持部26fとその両側に設けられた周方向移動規制部26gによって、底部ホルダ26aの後端部に後端浮上阻止部22aが嵌め込まれる凹部が形成されている。
また、底部ホルダ26aは、連結部材28が挿入される2つの挿入溝26hを有している。挿入溝26hは、外側ブーム材4の周方向における底部ホルダ26aの一端部と他端部とにそれぞれ設けられている。具体的には、挿入溝26hは、底部ホルダ26aのうち外側ブーム材4の周方向において一方の側部ホルダ26bと向き合う一端面と他方の側部ホルダ26bと向き合う他端面とにそれぞれ形成されている。底部ホルダ26aの各端面に形成された挿入溝26hは、底部ホルダ26aの前端から後側へ直線的に延びるように形成され、その後端部は、底部ホルダ26aの後端の手前の所定の位置に配置されている。各挿入溝26hは、外側ブーム材4の周方向における底部ホルダ26aの両端面と前端面において開口している。
前記2つの側部ホルダ26bは、外側ブーム材4の周方向において底部ホルダ26aの両側に分かれて配置されており、互いに対称形となるように形成されている(図6参照)。各側部ホルダ26bは、それぞれ、複数(本実施形態では4つ)のパッド保持部26jと、複数(本実施形態では3つ)の保持部間連結部26kを有している。当該側部ホルダ26bの各パッド保持部26jは、前記底部ホルダ26aのパッド保持部26cと同様に構成されており、当該側部ホルダ26bの各保持部間連結部26kは、前記底部ホルダ26aの保持部間連結部26dと同様に構成されている。すなわち、当該側部ホルダ26bの各パッド保持部26cは、外側ブーム材4の周方向に並ぶように配置され、前記嵌合凹部26eと同様に構成された嵌合凹部26mをそれぞれ有する。また、各側部ホルダ26bは、各保持部間連結部26kが連結するパッド保持部26j同士がなす角度を調節して外側ブーム材4の下部のうち当該側部ホルダ26bが設置される部分の内面にフィットするようにその部分の内面形状に合わせて当該側部ホルダ26bの形状を調節できるようになっている。
また、各側部ホルダ26bは、1つの後端被挟持部26pと、その後端被挟持部26pの両側に配置された周方向移動規制部26qとを有している(図5参照)。後端被挟持部26p及びその両側の周方向移動規制部26qは、各側部ホルダ26bを構成する複数のパッド保持部26jのうち底部ホルダ26aから最も遠い側に位置するパッド保持部26jの後端部に設けられている。当該側部ホルダ26bの後端被挟持部26p及び周方向移動規制部26qのこれ以外の構成は、前記底部ホルダ26aの後端被挟持部26f及び周方向移動規制部26gの構成と同様である。また、各側部ホルダ26bは、連結部材28が挿入される1つの挿入溝26rを有している。この挿入溝26rは、側部ホルダ26bのうち外側ブーム材4の周方向において底部ホルダ26aの端部と向き合う端面に形成されている。この挿入溝26rのこれ以外の構成は、前記底部ホルダ26aの挿入溝26hの構成と同様である。
前記各連結部材28は、互いに隣り合う底部ホルダ26aと側部ホルダ26bとを連結するものであり、それらの各ホルダ26a,26bに対して着脱可能となるように取り付けられている。具体的には、図6に示すように、2つの連結部材28のうちの一方は、外側ブーム材4の周方向における底部ホルダ26aの一端部とその一端部に隣接する一方の側部ホルダ26bの端部とを連結し、2つの連結部材28のうちの他方は、外側ブーム材4の周方向における底部ホルダ26aの他端部とその他端部に隣接する他方の側部ホルダ26bの端部とを連結する。各連結部材28は、例えば薄い金属板からなり、底部ホルダ26aの挿入溝26hに挿入される部分と、その挿入溝26hと向き合う側部ホルダ26bの挿入溝26rに挿入される部分とを有する(図8参照)。すなわち、連結部材28は、互いに向き合う底部ホルダ26aの挿入溝26hと側部ホルダ26bの挿入溝26rとに跨るように挿入され、それによってそれらの底部ホルダ26aと側部ホルダ26bとを連結する。この連結部材28による底部ホルダ26aと側部ホルダ26bとの連結によって、底部ホルダ26aと2つの側部ホルダ26bが一体化され、全体として図6に示すような湾曲形状をなす。
前記複数の後側規制部18は、ホルダ16が外側ブーム材4の後端側へ移動するのを阻止するようにホルダ16の後端部に後側から当接するものである(図9参照)。各後側規制部18は、例えば金属板からなり、外側ブーム材4の下部の内面にそってその周方向に並ぶように配置され、その外側ブーム材4の下部の内面上に溶接等により固着される(図3参照)。後側規制部18は、外側ブーム材4の前端から後端側へ向かって一定距離だけ離れた位置に設置されている。具体的には、後側規制部18は、当該後側規制部18に当接するように外側ブーム材4の下部の内面上に設置されたホルダ16の前端の位置が外側ブーム材4の前端の位置に一致するような位置に設けられている。
前側規制部20は、ホルダ16が外側ブーム材4の前端側へ移動するのを阻止するようにホルダ16の前端部に前側から当接するものである(図9参照)。具体的には、この前側規制部20は、外側ブーム材4の前端部のカラー4aに着脱可能に装着され、その装着状態でホルダ16を外側ブーム材4の前端側から拘束する形状を有する。具体的には、前側規制部20は、外側ブーム材4の下部の前縁(カラー4a)に沿って並ぶように配置され、その外側ブーム材4の前端部のカラー4aに個別に着脱可能に取り付けられる複数の前側分割規制部20aからなる(図2参照)。この複数の前側分割規制部20aは、外側ブーム材4の前端部のカラー4aに装着された状態で全体としてその外側ブーム材4の前縁に沿って延びる略U字状をなし、その全体としてホルダ16の配設領域を全て含み得る周方向の長さを有している。前側規制部20は、外側ブーム材4の下部の前端部のカラー4aに装着された状態で外側ブーム材4の下部の内面よりも内側(内側ブーム材5の外面側)に突出する部分を有し、その突出した部分がホルダ16の前端面に当接するようになっている。また、この状態で、前側規制部20の内側に突出した部分の内側端は、ホルダ16の表面(内側ブーム材5の下部の外面に向き合う面)よりも内側の位置(内側ブーム材5の下部の外面寄りの位置)で且つホルダ16に保持されたスライドパッド14の摺接面14aよりも外側の位置(外側ブーム材4の下部の内面寄りの位置)に配置される。各前側分割規制部20aは、外側ブーム材4の下部の前端部のカラー4aにボルト21によって締結される。
前記浮上阻止部22(図9参照)は、ホルダ16の特定の部位を外側ブーム材4の下部の内面との間で挟み込んでホルダ16が外側ブーム材4の下部の内面から浮き上がるのを阻止するためのものである。換言すれば、浮上阻止部22は、ホルダ16に外側ブーム材4の下部の内面から内側ブーム材5の下部の外面側へ向かう力が作用したときにその力に対抗するようにホルダ16の特定の部位に対して内側から当接してホルダ16が外側ブーム材4の下部の内面から内側ブーム材5の下部の外面側へ向かう方向に変位するのを阻止するものである。
この第1実施形態では、浮上阻止部22は、ホルダ16の後端部が外側ブーム材4の下部の内面から浮き上がるのを阻止するように当該ホルダ16の後端被挟持部26f,26pを外側ブーム材4の下部の内面との間で挟み込む複数(本実施形態では4つ)の後端浮上阻止部22aからなる。各後端浮上阻止部22aは、チップ状に形成された金属板からなり、その一方の面(裏面)が外側ブーム材4の下部の内面との間に一定の隙間を形成するように外側ブーム材4の内側に設けられている。換言すれば、各後端浮上阻止部22aは、外側ブーム材4の内側にその外側ブーム材4の下部の内面に対する相対位置(間隔)が固定されるように設けられている。そして、各後端浮上阻止部22aが外側ブーム材4の下部の内面との間に形成する隙間は、ホルダ16の後端被挟持部26f,26pが挿入される隙間である。各後端浮上阻止部22aは、後側規制部18の上面(内側ブーム材5の下部の外面と向き合う面)上に溶接によって固着されている。また、各後端浮上阻止部22aは、外側ブーム材4の周方向に間隔をおいて配置されている(図3及び図4参照)。各後端浮上阻止部22a間の間隔は、ホルダ16に設けられた後端被挟持部26f,26p間の間隔と一致している。また、後端浮上阻止部22aは、ホルダ16の後端被挟持部26f,26pとその両側の周方向移動規制部26g,26qによって形成される凹部内にちょうどフィットするように嵌め込まれる形状を有する。また、後端浮上阻止部22aが外側ブーム材4の下部の内面との間に形成する隙間は、外側ブーム材4の前端側に開口し且つその開口を通じてホルダ16の後端被挟持部26f,26pを外側ブーム材4の前端側から後端側へ向かって挿入可能に構成されている。各後端浮上阻止部22aは、ホルダ16に外側ブーム材4の下部の内面から内側ブーム材5の下部の外面側へ向かう力が作用したときには、その力に対抗するように当該後端浮上阻止部22aと外側ブーム材4の下部の内面との間の隙間に挿入された後端被挟持部26f又は26pに内側から当接してホルダ16の後端部が外側ブーム材4の下部の内面から内側ブーム材5の下部の外面側へ向かう方向に変位するのを阻止する。
本実施形態では、外側ブーム材4の下部の内面上でホルダ16の後端が後側規制部18の前端に当接し、そのホルダ16の前端の前後方向の位置が外側ブーム材4の前端の位置に一致し、且つ、ホルダ16の後端被挟持部26f,26pとその両側の周方向移動規制部26g,26qによって形成される各凹部内に対応する後端浮上阻止部22aが嵌め込まれる位置が、外側ブーム材4の下部の内面上に設置されるホルダ16及びスライドパッド14の正規の設置位置である。
次に、この第1実施形態によるスライド支持装置12を伸縮ブーム2に設置するための設置方法について説明する。
まず、この設置方法では、伸縮ブーム2の各ブーム材3を相互に組み付ける前に、予め外側ブーム材4に後側規制部18及び後端浮上阻止部22aを設置しておく。具体的には、外側ブーム材4の下部の内面に各後側規制部18を上記した位置に溶接によって取り付け、その後、4つの後端浮上阻止部22aを上記した各位置において後側規制部18に溶接によって取り付けておく。
その後、内側ブーム材5が外側ブーム材4内に挿入され、その状態でスライド支持装置12の後側規制部18及び後端浮上阻止部22a以外の構成部材を外側ブーム材4に設置する。
具体的には、各分割ホルダ26(底部ホルダ26a及び各側部ホルダ26b)の各嵌合凹部26e,26mにスライドパッド14をそれぞれ嵌め込むことによって各分割ホルダ26にそれぞれ所定数のスライドパッド14を保持させる。
その後、スライドパッド14を保持している底部ホルダ26aを、前側規制部20が取り外されている状態の外側ブーム材4の前端部側から外側ブーム材4の下部の内面と内側ブーム材5の下部の外面との間のスペースに挿入する。このとき、底部ホルダ26aの後端が後側規制部18に当接する位置までスライドパッド14及び底部ホルダ26aを挿入するとともに、底部ホルダ26aの後端被挟持部26fを対応する後端浮上阻止部22aと外側ブーム材4の下部の内面との間の隙間に外側ブーム材4の前端側から後端側へ向かって挿入する。これによって、底部ホルダ26aの後端被挟持部26fが対応する後端浮上阻止部22aと外側ブーム材4の下部の内面との間に挟み込まれるとともに、底部ホルダ26aの後端部が外側ブーム材4の周方向に移動しないように仮固定される。
その後、スライドパッド14を保持している一方の側部ホルダ26bを、外側ブーム材4の前端部側から外側ブーム材4の下部の内面と内側ブーム材5の下部の外面との間のスペースで且つ外側ブーム材4の周方向において底部ホルダ26aの一方側に位置するスペースに挿入する。この時、上記底部ホルダ26aの挿入時と同様に、側部ホルダ26bの後端が後側規制部18に当接する位置まで側部ホルダ26bを挿入するとともに、その側部ホルダ26bの後端被挟持部26pを対応する後端浮上阻止部22aと外側ブーム材4の下部の内面との間の隙間に挿入する。これによって、一方の側部ホルダ26bの後端被挟持部26pが対応する後端浮上阻止部22aと外側ブーム材4の下部の内面との間に挟み込まれるとともに、その側部ホルダ26bの後端部が外側ブーム材4の周方向に移動しないように仮固定される。この後、スライドパッド14を保持したもう一方の側部ホルダ26bを、同様に、外側ブーム材4の下部の内面と内側ブーム材5の下部の外面との間のスペースで且つ外側ブーム材4の周方向において底部ホルダ26aの他方側に位置するスペースに挿入する。これによって、当該もう一方の側部ホルダ26bの後端被挟持部26pが対応する後端浮上阻止部22aと外側ブーム材4の下部の内面との間に挟み込まれるとともに、その側部ホルダ26bの後端部が外側ブーム材4の周方向に移動しないように仮固定される。
次に、底部ホルダ26aの周方向の一方の端部に設けられた挿入溝26hとその挿入溝26hに向き合う前記一方の側部ホルダ26bの挿入溝26rとに連結部材28を外側ブーム材4の前端側から後側へ向かって挿入するとともに、底部ホルダ26aの周方向の他方の端部に設けられた挿入溝26hとその挿入溝26hに向き合う前記もう一方の側部ホルダ26bの挿入溝26rとにもう1つの連結部材28を外側ブーム材4の前端側から後側へ向かって挿入する。これにより、外側ブーム材4の下部の内面と内側ブーム材5の下部の外面との間のスペースにおいて、底部ホルダ26aと2つの側部ホルダ26bとが連結部材28を介して連結されてホルダ16が形成される。
次に、前側規制部20を外側ブーム材4の下部の前端部のカラー4aにボルト21によって締結する。この時、前側分割規制部20aを1つずつ締結していく。具体的には、各前側分割規制部20aがホルダ16の前端に外側ブーム材4の前端側から当接するように各前側分割規制部20aを外側ブーム材4のカラー4aに締結する。前側規制部20を外側ブーム材4のカラー4aに取り付けることにより、ホルダ16が当該前側規制部20と前記後側規制部18とによって前後から拘束される。
以上のようにして、この第1実施形態によるスライド支持装置12は、伸縮ブーム2に設置される。
この第1実施形態では、後端浮上阻止部22aがホルダ16の後端被挟持部26f,26pを外側ブーム材4の下部の内面との間で挟み込んでホルダ16の後端部が外側ブーム材4の下部の内面から浮き上がるのを抑止するため、ホルダ16に保持されたスライドパッド14がグリス等によって内側ブーム材5の外面に付着しても、そのスライドパッド14及びホルダ16は、外側ブーム材4の内面から離反する方向への内側ブーム材5の変位に伴って浮き上がることが阻止される。このため、スライドパッド14が内側ブーム材5の外面に付着しても、外側ブーム材4の前端から進出する方向へ内側ブーム材5が移動するときにスライドパッド14及びホルダ16が正規の設置位置から前側規制部20を乗り越えて外側ブーム材4の前端側へ離脱するのを防ぐことができ、また、外側ブーム材4の後端側へ内側ブーム材5が移動するときにスライドパッド14及びホルダ16が正規の設置位置から後側規制部18を乗り越えて外側ブーム材4の後端側へ離脱するのを防ぐことができる。従って、この第1実施形態では、外側ブーム材4の内面からスライドパッド14及びホルダ16が浮き上がって正規の設置位置から離脱するのを防ぐことができる。
また、当該第1実施形態では、後端浮上阻止部22aがホルダ16の後端部の浮き上がりを阻止するため、スライドパッド14及びホルダ16の正規の設置位置から外側ブーム材4の前端側及び後端側への離脱のうち発生しやすい後端側への離脱を特に有効に防止することができる。具体的には、後側規制部18は、外側ブーム材4の下部の内面上に設けられるので、伸縮ブーム2の組み立て時に内側ブーム材5を外側ブーム材4内へ挿入する際にその内側ブーム材5と後側規制部18との干渉が生じるのを避けるために外側ブーム材4の内面から内側への後側規制部18の突出量を小さくせざるを得ない。このため、ホルダ16は、正規の設置位置から後側規制部18を乗り越えて外側ブーム材4の後端側へ離脱しやすい。これに対して、当該第1実施形態では、後端浮上阻止部22aがホルダ16の後端部の浮き上がりを阻止するため、ホルダ16の後端部が後側規制部18を乗り越えるのを有効に抑止することができ、スライドパッド14及びホルダ16の正規の設置位置から外側ブーム材4の後端側への離脱を特に有効に防止することができる。
また、当該第1実施形態では、内側ブーム材5が外側ブーム材4内に挿入された状態でスライドパッド14及びホルダ16を外側ブーム材4の下部の内面上に固定する作業を容易化することができる。具体的には、当該第1実施形態では、前側規制部20が外側ブーム材4の前端部に対して着脱可能であるので、外側ブーム材4の前端部から前側規制部20を取り外した状態で、その外側ブーム材4の前端側から外側ブーム材4の下部の内面と内側ブーム材5の下部の外面との間のスペースにスライドパッド14及びホルダ16を挿入することができる。そして、各後端浮上阻止部22aと外側ブーム材4の下部の内面との間に形成された隙間は、外側ブーム材4の前端側が開口しているので、前記スペースに挿入したホルダ16の後端被挟持部26f,26pを外側ブーム材4の前端側から前記隙間にその前側の開口を通じて挿入することができ、その後、前側規制部20がホルダ16の前端に当接するようにその前側規制部20を外側ブーム材4の前端部に装着することで、スライドパッド14及びホルダ16を固定することができる。すなわち、当該第1実施形態では、スライドパッド14及びホルダ16の固定作業を全て外側ブーム材4の前端の外側から行うことができ、外側ブーム材4の内面と内側ブーム材5の外面との間の狭いスペースで固定作業を行わなくてもよい。このため、スライドパッド14及びホルダ16の固定作業を容易化することができる。
また、当該第1実施形態では、ホルダ16の各分割ホルダ26が、ホルダ16の後端部の外側ブーム材4の周方向への移動を阻止するように後端浮上阻止部22aに外側ブーム材4の周方向の両側から当接する周方向移動規制部26g,26qを有するため、後端浮上阻止部22aによってホルダ16の後端部の浮き上がりが防止されるとともに、外側ブーム材4の周方向へのホルダ16の後端部の位置ずれを防止することができる。すなわち、当該第1実施形態では、外側ブーム材4の周方向へのホルダ16の位置ずれを防止するための固定部材を別途設けることなく、その周方向へのホルダ16の位置ずれを防止することができる。このため、部材点数の増加を防ぎつつ、外側ブーム材4の周方向へのホルダ16の位置ずれを防止することができる。
また、当該第1実施形態では、外側ブーム材4の下部の内面上にホルダ16及びスライドパッド14を設置する作業に要する労力を軽減しつつ、ホルダ16及びスライドパッド14の正規の設置位置からの離脱を有効に防止することができる。具体的には、当該第1実施形態では、ホルダ16が、複数の分割ホルダ26(1つの底部ホルダ26a及び2つの側部ホルダ26b)とその分割ホルダ26に着脱可能な連結部材28とによって構成されていて、連結部材28が隣り合う分割ホルダ26同士を連結するようにそれらの分割ホルダ26に装着されるので、連結部材28を分割ホルダ26から取り外せば、各分割ホルダ26を互いに分離させることができる。このため、当該第1実施形態では、ホルダ16を複数の分割ホルダ26に分けて別々に外側ブーム材4の下部の内面上に設置することができるので、ホルダ全体が一体的に形成されていて分離できないような場合に比べて、ホルダ16及びスライドパッド14を外側ブーム材4の下部の内面上に設置する作業に要する労力を軽減することができる。そして、各分割ホルダ26を外側ブーム材4の下部の内面上に設置した後、連結部材28でそれらの分割ホルダ26の隣り合うもの同士を連結すれば、複数の分割ホルダ26を一体化してホルダ16を形成することができる。このように一体化されたホルダ16は、個別に分離している状態の各分割ホルダ26よりも安定性が高くなる。このため、ホルダ16及びスライドパッド14の正規の設置位置からの離脱を有効に防止することができる。
また、当該第1実施形態では、底部ホルダ26aの周方向の一端部に挿入溝26hが形成されるとともにその一端部に対向するように配置される一方の側部ホルダ26bの周方向の一端部に挿入溝26rが形成され、底部ホルダ26aの周方向の他端部に挿入溝26hが形成されるとともにその他端部に対向するように配置されるもう一方の側部ホルダ26bの周方向の一端部に挿入溝26rが形成されている。そして、これらの挿入溝26h,26rは、連結部材28が外側ブーム材4の前端側から挿脱可能となるように構成されているので、底部ホルダ26aと2つの側部ホルダ26bを別々に外側ブーム材4の下部の内面と内側ブーム材5の下部の外面との間のスペースに設置した後、連結部材28を互いに隣り合う底部ホルダ26aの挿入溝26hと側部ホルダ26bの挿入溝26rに外側ブーム材4の前端側から挿入してそれらの隣り合う底部ホルダ26aと側部ホルダ26bを互いに連結することができる。すなわち、当該第1実施形態では、外側ブーム材4の前端の外側から隣り合う分割ホルダ26同士の連結作業を行うことができるため、外側ブーム材4の内面と内側ブーム材5の外面との間のスペースで隣り合う分割ホルダ同士の連結作業を行う必要があるような構成に比べて、その連結作業を容易に行うことができる。
(第2実施形態)
次に、図10を参照して、本発明の第2実施形態によるスライド支持装置12の構成について説明する。
本発明の第2実施形態によるスライド支持装置12は、ホルダ16の後端部の浮き上がりを阻止するための後端浮上阻止部22aに加えて、ホルダ16の前端部の浮き上がりを阻止するためのホルダ前端浮上阻止部30を備えており、外側ブーム材4の下部の内面上に設置されたホルダ16の後端部と前端部の両方の浮き上がりが抑えられるようになっている。
具体的には、ホルダ前端浮上阻止部30は、前側規制部20が外側ブーム材4の下部の前端部のカラー4aに締結された状態でその前側規制部20から外側ブーム材4の後端側へ突出してホルダ16の前端部内にその前端面から入り込み、そのホルダ16の前端部が外側ブーム材4の下部の内面から浮き上がるのを阻止するためのものである。詳しくは、ホルダ前端浮上阻止部30は、ホルダ16の前端部が浮き上がるのを阻止するためにその前端部を螺子留めするための複数のホルダ固定螺子30aからなる。また、前側規制部20を構成する各前側分割規制部20aのうち当該核前側分割規制部20aが外側ブーム材4の下部の前端部のカラー4aに締結された状態でホルダ16の前端部に前側から当接する部位には、その部位を外側ブーム材4の軸方向(前後方向)に貫通するホルダ固定用螺子穴20cが形成されている。ホルダ固定螺子30aは、尖った先端部を有しており、この先端部がホルダ固定用螺子穴20cから外側ブーム材4の後端側へ突出してホルダ16の前端面からそのホルダ16内に食い込むようにホルダ固定用螺子穴20cに前側から螺入される。なお、この第2実施形態では、ホルダ固定螺子30aとして芋螺子が用いられているが、芋螺子以外の種類の螺子をホルダ固定螺子30aとして用いてもよい。例えば、頭部を有する各種螺子をホルダ固定螺子30aとして用いてもよい。また、この第2実施形態では、複数のホルダ固定用螺子穴20cは、前側規制部20(各分割前側規制部20a)において外側ブーム材4の周方向に所定間隔を置いた各箇所に設けられており、その各箇所に設けられたホルダ固定用螺子穴20cに螺入された各ホルダ固定螺子30aがその各箇所においてホルダ16の前端部を固定している。
この第2実施形態によるスライド支持装置12の上記以外の構成は、上記第1実施形態によるスライド支持装置12の構成と同様である。
また、この第2実施形態によるスライド支持装置12の設置方法は、上記第1実施形態によるスライド支持装置12の設置方法と基本的に同様であるが、当該第2実施形態では、外側ブーム材4の前端部への前側規制部20の取り付け(締結)を行った後、ホルダ固定用螺子穴20cにホルダ固定螺子30aを螺入してホルダ16の前端部を固定する作業を行う。
この第2実施形態では、スライド支持装置12を構成する浮上阻止部22が後端浮上阻止部22aに加えてホルダ前端浮上阻止部30を有しているため、外側ブーム材4の下部の内面からのホルダ16の後端部の浮き上がりに加えてホルダ16の前端部の浮き上がりを有効に防止することができ、外側ブーム材4の下部の内面上に設置されたホルダ16及びスライドパッド14の正規の設置位置からの離脱をより確実に防止することができる。そして、この第2実施形態では、ホルダ前端浮上阻止部30がホルダ16の前端部の浮き上がりを阻止するため、特に、ホルダ16の前端部が前側規制部20を乗り越えるのを有効に抑止することができ、ホルダ16及びスライドパッド14が正規の設置位置から外側ブーム材4の前端側へ離脱するのをより有効に防止することができる。
また、この第2実施形態では、ホルダ前端浮上阻止部30を構成するホルダ固定螺子30aが、前側規制部20のうち外側ブーム材4の前端部に取り付けられた状態でホルダ16の前端部に前側から当接する部位に形成されたホルダ固定用螺子穴20cに前側から螺入されて、その先端部がホルダ16の前端面からそのホルダ16内に食い込むため、前側規制部20が外側ブーム材4の前端部に取り付けられた状態でホルダ固定用螺子穴20cに前側からホルダ固定螺子30aを螺入するだけでホルダ16の前端部の浮き上がりを阻止することができる。このため、ホルダ16の前端部の浮き上がりを阻止するために前側規制部20を外側ブーム材4の前端部から一旦取り外してから何らかの固定具でホルダ16の前端部を外側ブーム材4の内面に対して固定するような構成に比べて、ホルダ16の前端部の浮き上がりを阻止するためのホルダ16の前端部の固定作業を簡略化することができる。
また、この第2実施形態では、ホルダ固定螺子30aがホルダ16を積極的に後側規制部18に対して押し付けて固定するため、外側ブーム材4の下部の内面上の正規の設置位置でホルダ16をより強固に固定することができる。このため、ホルダ16及びそれに保持されたスライドパッド14の浮き上がりをより確実に防止することができる。
この第2実施形態による上記以外の効果は、上記第1実施形態による効果と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、図11に示す上記第2実施形態の第1変形例のように、ホルダ16が外側ブーム材4の下部の内面上の正規の設置位置に設置され、前側規制部20が外側ブーム材4の下部の前端部のカラー4aに締結された状態で、その前側規制部20に設けられた複数のホルダ固定用螺子穴20cとそれぞれ略同軸となるように連通する複数の挿嵌穴16aが、ホルダ16(底部ホルダ26a及び側部ホルダ26b)の前端部に形成されていてもよい。この第1変形例では、各ホルダ固定用螺子穴20cに前側から螺入されたホルダ固定螺子30aの先端部は、ホルダ16の前端部に形成された各挿嵌穴16aの対応するものにそれぞれ挿嵌される。挿嵌穴16aに挿嵌されたホルダ固定螺子30aの先端部は、ホルダ16に外側ブーム材4の下部の内面から内側ブーム材5の下部の外面側へ向かう力が作用したときには、その力に対抗するように、ホルダ16の前端部のうちその挿嵌穴16aに対して外側ブーム材4の内面側に位置する部位に内側から当接してホルダ16の前端部が外側ブーム材4の下部の内面から内側ブーム材5の下部の外面側へ向かう方向に変位するのを阻止する。なお、この変形例では、ホルダ固定螺子30aの先端部をホルダ16の前端面に食い込ませない(ねじ込まない)ため、当該ホルダ固定螺子30aの先端部は尖っている必要はない。
また、図12に示す上記第2実施形態の第2変形例のように、パッド前端浮上阻止部32によってスライドパッド14の前端部の浮き上がりを抑えることにより、外側ブーム材4の下部の内面上の正規の設置位置に設置されたホルダ16の前端部及びそのホルダ16に保持されたスライドパッド14の前端部が外側ブーム材の4の下部の内面から浮き上がるのを阻止するようにしてもよい。
具体的には、この第2変形例によるスライド支持装置12は、前記ホルダ前端浮上阻止部30の代わりに、前側規制部20に設けられるパッド前端浮上阻止部32を備えている。このパッド前端浮上阻止部32は、外側ブーム材4の前端部に取り付けられた前側規制部20から外側ブーム材4の後端側へ突出してスライドパッド14の前端部内にその前端面から入り込み、スライドパッド14の前端部及びホルダ16の前端部が外側ブーム材4の下部の内面から浮き上がるのを阻止するためのものである。具体的には、このパッド前端浮上阻止部32は、スライドパッド14の前端部が浮き上がるのを阻止するためにそのスライドパッド14の前端部を螺子留めするための複数のパッド固定螺子32aからなる。前側規制部20を構成する各前側分割規制部20aは、当該核前側分割規制部20aが外側ブーム材4の下部の前端部のカラー4aに締結された状態でホルダ16の前端部よりも内側ブーム材5の下部の外面側(伸縮ブーム2の軸心側)に突出してスライドパッド14の前端面と向き合う部位を有している。この部位には、当該部位を外側ブーム材4の軸方向(前後方向)に貫通するパッド固定用螺子穴20dが形成されている。パッド固定螺子32aは、尖った先端部を有しており、この先端部がパッド固定用螺子穴20dから外側ブーム材4の後端側へ突出してホルダ16に保持されたスライドパッド14の前端面からその前端部内に食い込むようにパッド固定用螺子穴20dに前側から螺入される。なお、この変形例では、パッド固定螺子32aとして芋螺子が用いられているが、芋螺子以外の種類の螺子をパッド固定螺子32aとして用いてもよい。例えば、頭部を有する各種螺子をパッド固定螺子32aとして用いてもよい。また、複数のパッド固定用螺子穴20dは、前側規制部20(各前側分割規制部20a)において外側ブーム材4の周方向に所定間隔を置いた各箇所に設けられており、その各箇所に設けられたパッド固定用螺子穴20dに螺入された各パッド固定螺子32aがその各箇所においてスライドパッド14の前端部を固定している。
この第2変形例によるスライド支持装置12の設置方法は、上記第2実施形態によるスライド支持装置12の設置方法と基本的に同様であるが、当該第2変形例では、外側ブーム材4の前端部への前側規制部20の取り付け(締結)を行った後、ホルダ固定用螺子穴20cにホルダ固定螺子30aを螺入してホルダ16の前端部を固定する作業の代わりに、パッド固定用螺子穴20dにパッド固定螺子32aを螺入してスライドパッド14の前端部及びホルダ16の前端部を固定する作業を行う。
この第2変形例では、後端浮上阻止部22aによる外側ブーム材4の下部の内面からのホルダ16の後端部の浮き上がりの防止に加えて、パッド前端浮上阻止部32によるスライドパッド14の前端部及びホルダ16の前端部の浮き上がりの防止を行うことができるため、上記第2実施形態と同様、外側ブーム材4の下部の内面上に設置されたホルダ16及びスライドパッド14の正規の設置位置からの離脱をより確実に防止することができる。
また、この第2変形例では、パッド前端浮上阻止部32がスライドパッド14の前端部及びホルダ16の前端部の浮き上がりを阻止するため、特に、スライドパッド14の前端部及びホルダ16の前端部が前側規制部20を乗り越えるのを有効に抑止することができ、ホルダ16及びスライドパッド14が正規の設置位置から外側ブーム材4の前端側へ離脱するのをより有効に防止することができる。
また、この第2変形例では、前側規制部20が外側ブーム材4の前端部に取り付けられた状態でその前側規制部20のパッド固定用螺子穴20dに前側からパッド固定螺子32aを螺入するだけでスライドパッド14の前端部及びホルダ16の前端部の浮き上がりを阻止することができる。このため、この第2変形例でも、上記第2実施形態と同様、ホルダ16の前端部の浮き上がりを阻止するためのその前端部の固定作業を簡略化することができる。
さらに、この第2変形例では、パッド固定螺子32aがスライドパッド14の前端面に食い込んでそのスライドパッド14の前端部の浮き上がりを阻止するため、ホルダ16に保持されたスライドパッド14の前端部がホルダ16から浮き上がるのもより確実に防止することができる。このため、ホルダ16に保持されたスライドパッド14がそのホルダ16から離脱するのをより有効に阻止することができる。
この第2変形例の上記以外の効果は、上記第2実施形態による効果と同様である。
また、ホルダを構成する複数の分割ホルダの隣り合うもの同士を連結する連結部材及び分割ホルダのうち連結部材を装着する部分の構造は、上記の構造以外の構造であってもよい。
また、ホルダは、全体が一体的に形成されていて、上記のように分割されていなくてもよい。
また、後端浮上阻止部、後端被挟持部、周方向移動規制部、前端浮上阻止部及び前端被挟持部の設置位置及び設置数としては、上記以外の種々の設置位置及び設置数を適用することが可能である。ただし、後端浮上阻止部、後端被挟持部、周方向移動規制部、前端浮上阻止部及び前端被挟持部の設置数は、ホルダに保持されるスライドパッドの数よりも少ないことが部材点数の削減の観点からは好ましい。上記したように、ホルダは、複数のスライドパッドをまとめて保持しているから、後端浮上阻止部、後端被挟持部、周方向移動規制部、前端浮上阻止部及び前端被挟持部は、ホルダが保持するスライドパッドの数よりも少なくてもそのホルダを固定することでそのホルダが保持する全てのスライドパッドをホルダを介して固定することができる。従って、本構成では、外側ブーム材の下部の内面上に設置する複数のスライドパッドを1つずつ個別の固定具で外側ブーム材に固定するような構成に比べて格段に部材点数を削減しつつ、全てのスライドパッドの確実な固定を実現できる。
また、外側ブーム材4の下部の内面からのホルダ及びスライドパッドの浮き上がりを阻止するための浮上阻止部は、上記したような構成のものに限定されず、上記以外の各種構成のものを浮上阻止部として用いることができる。
例えば、浮上阻止部として、外側ブーム材の内側でホルダの正規の設置位置の後方から前方へ向かって延びるように配置され、外側ブーム材に対する位置が固定された棒状もしくはワイヤ状の部材を用いてもよい。この場合には、ホルダに前記棒状もしくはワイヤ状の部材が係合される溝又は貫通穴を前後方向に延びるように形成し、外側ブーム材の下部の内面にホルダを設置するときに、そのホルダの溝又は貫通穴に前記棒状もしくはワイヤ状の浮上阻止部を係合させ、その後、外側ブーム材の下部の前端部に取り付けた前側規制部にその浮上阻止部の前端部を固定することによって、その浮上阻止部でホルダの浮き上がりを阻止するようにしてもよい。また、スライドパッドに前記棒状もしくはワイヤ状の部材が係合される溝又は貫通穴を前後方向に延びるように形成し、外側ブーム材の下部の内面にホルダ及びスライドパッドを設置するときに、そのスライドパッドの溝又は貫通穴に前記棒状もしくはワイヤ状の浮上阻止部を係合させ、その後、外側ブーム材の下部の前端部に取り付けた前側規制部にその浮上阻止部の前端部を固定することによって、その浮上阻止部でホルダ及びスライドパッドの浮き上がりを阻止するようにしてもよい。