JP5461112B2 - 電動ウインチ - Google Patents
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Description
そして、ベルトの先端に車椅子を連結し、ドラムを回転駆動することによってベルトを巻き取ると、車外にある車椅子が車両の後部に設けられたスロープに沿って車内へと引き込まれる。また、車内から車外へと車椅子を降ろす場合は、車椅子を車内へと引き込む場合と逆の動作を行う。すなわち、ドラムを逆回転駆動させてベルトを繰出すことにより、スロープに沿って車椅子を安全に降ろすことができる。
また、ゼンマイバネを使用しているので、ベルトの繰出し量に基づいてベルト巻取り荷重が異なってしまう。このため、ベルトの弛緩防止を安定して行うことが困難であるという課題がある。
また、従来のように、ドラムとベルトとをゼンマイバネを介して連結することなく、ワンウェイクラッチを使用してベルトの張力を維持することができる。このため、ベルトの繰出し量に関わらず確実、かつベルトの弛緩防止を安定して行うことが可能になる。
このように構成することで、電動モータを停止させた状態であっても、手動でベルトを引き出すことができる。このため、使い勝手のよい電動ウインチを提供することが可能になる。
このように構成することで、ローラによってベルトに張力を付与することができるので、より確実にベルトの弛緩を防止することができる。
このように構成することで、例えば、被牽引物を電動ウインチによって引き上げている際、ドラムの逆転を確実に防止できる。このため、フェールセーフ機能を高めることができる。
また、従来のように、ドラムとベルトとをゼンマイバネを介して連結することなく、ワンウェイクラッチを使用してベルトの張力を維持することができる。このため、ベルトの繰出し量に関わらず確実、かつベルトの弛緩防止を安定して行うことが可能になる。
(電動ウインチ)
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動ウインチ1が搭載された車両101の使用状態を示す説明図である。なお、以下の説明において、説明を簡単にするために、車両101の進行方向前方を単に前方、進行方向後方を単に後方、車両101の左右方向を単に左右方向、地面側を単に下側、天井側を単に上側などと表現して説明する場合がある。
図2〜図4に示すように、電動ウインチ1は、車両101の床面103a側と前方側(図3における右側)とにそれぞれ開口部3a,3bを有するアルミダイキャスト製のケース3を有している。ケース3の開口部3aの周縁には、電動ウインチ1を車両101の床面103a等に締結固定するためのボルト座34が複数一体形成されている。これらボルト座34に、それぞれ不図示のボルトを挿通するためのボルト孔35が形成されている。
減速機付モータ4は、電動モータ5と、電動モータ5の回転軸(不図示)に連結されているウォーム減速機構6とで構成されている。このウォーム減速機構6がケース3の一側面63aにボルト7によって締結固定されている。
図4に詳示するように、電磁クラッチ10は、出力軸9に外嵌固定されている略円環状のアーマチュア11を有している。アーマチュア11のカバー13側には、略円板状のロータ14が設けられている。ロータ14の径方向中央には、軸受け部15が一体成形されており、ここに出力軸9が回転可能に挿通されている。
さらに、ロータ14のカバー13側には、ステータコイル16が配置されている。このステータコイル16に通電を行うことで磁界が発生し、アーマチュア11がステータコイル16側、つまり、ロータ14側に吸引されるようになっている。
ロータリング17の底部17aには、径方向中央にケース3側に向かって突出するボス部19が一体成形されており、ここにウォームホイール8bが外嵌固定されている。つまり、ウォームホイール8bは、ロータリング17を介してロータ14と一体化している。また、ロータリング17には、ボス部19の中央に出力軸9を挿通可能な挿通孔18が形成されている。
一方、電磁クラッチ10に通電が行われると、ステータコイル16に磁界が発生し、アーマチュア11がロータ14側に向かって吸引される。すると、アーマチュア11とロータ14との間に摺動抵抗が生じ、この抵抗力により、ロータ14の回転がアーマチュア11に伝達される。これにより、アーマチュア11と一体化している出力軸9にウォームホイール8bの回転が伝達され、出力軸9が回転する。
支軸20の第二縮径部22bには、支軸20の回転位置を検出するエンコーダ30の一方を構成するロータリ28が固定されている。
また、エンコーダ30の他方を構成するセンサモジュール29は、ロータリ28に配設されたロータリスケール(不図示)に対応する位置に配設されている。センサモジュール29は、ケース3に固定されている。
ドラム25は略円筒状に形成されており、軸方向略中央よりもやや減速機付モータ4寄りに外フランジ部26が一体形成されている。そして、ドラム25は、外フランジ部26を中心にして減速機付モータ4とは反対側をベルト巻回部25aとし、減速機付モータ4側をラチェット固定部25bとして構成されている。
ドラム25のエンコーダ30側端には、略円環状のプレート32が設けられている。このプレート32は、ベルト2の軸方向への移動を規制するためのものである。このように、ベルト2は、ドラム25のベルト巻回部25a、外フランジ部26、およびプレート32によって形成されたベルト収納部33に収納されている。
このことから、支軸20がベルト2の繰出し方向(図2における反時計回り方向、矢印Y2参照)に向かって回転する際、ベルト2に所望の張力が付与され、支軸20に対してドラム25にベルト2の繰出し方向に向かって所望の力が作用している状態となって、初めて支軸20の回転がドラム25に伝達される(詳細は後述する)。
図5は、ラチェット機構31の斜視図である。
図2、図5に示すように、ドラム25のラチェット固定部25bには、ラチェット機構31が設けられている。ラチェット機構31は、ラチェット固定部25bに外嵌固定されている略円環状の爪車36と、この爪車36の外周縁部に形成された爪部37に係合可能な係合爪38とを有している。
係合爪38の先端がコイルスプリング46によって付勢されることにより、爪車36の爪部37と係合爪38の鉤部42とが係合する。そして、ドラム25のベルト2の繰出し方向(図5における反時計回り方向)に向かう回転が阻止される。一方、ドラム25のベルト2の巻取り方向(図5における時計回り方向)に向かう回転は許容される。
そして、ソレノイド49を通電して作動軸51を後退させると、係合爪38が支軸44を支点にして揺動し、係合爪38の鉤部42が爪車36から離反する方向に向かって変位するように構成されている。これにより、爪車36の爪部37と係合爪38の鉤部42との係合状態が解除される。
次に、図1、図5、図6に基づいて電動ウインチ1の動作について説明する。
図6は、ドラム25とワンウェイクラッチ24の動作説明図である。
図1、図6に示すように、車椅子Sの乗車時には、まず、車両101のハッチバック104を開けた状態でスロープ102を展開する。そして、電動ウインチ1のベルト2を後方に向かって引き出す。
ここで、ベルト2を引き出す際、介護者が直接ベルト2を引っ張り出すようになっている。このとき、電動ウインチ1を駆動させずにベルト2を引っ張り出す方法と、電動ウインチ1を駆動させながらベルト2を引っ張り出す方法との2つの方法がある。
この状態で使用者Uが不図示のコントローラ等を操作すると、減速機付モータ4が駆動し、電磁クラッチ10を介して出力軸9、および支軸20(図4参照)がベルト2の繰出し方向(図6における反時計回り方向、矢印Y3参照)に向かって回転する。
これに対し、ベルト2を引っ張り、ベルト2に所望の張力が付与されると、支軸20に対してドラム25に図6における反時計回り方向に向かう力(図6における矢印F1参照)が作用する。このため、支軸20の回転がドラム25に伝達され、ドラム25がベルト2の繰出し方向に向かって回転する。
このとき、支軸20に対してドラム25に図6における反時計回り方向に向かう力(図6における矢印F1参照)、つまり、ベルト2の繰出し方向に向かう力が作用する。このため、支軸20の回転がワンウェイクラッチ24を介してそのままドラム25に伝達される。
また、車椅子Sの後部室103への引き込みが完了し、電動ウインチ1への通電が停止してもラチェット機構31により、ドラム25のベルト2の繰出し方向に向かう回転が阻止されるので、車椅子Sがスロープ102に沿って滑落することがない。
この状態でベルト2が繰出されることにより、車椅子Sがスロープ102に沿って車外へと移動する。
また、支軸20に連結された出力軸9は、ウォーム減速機構6に連係されているので、支軸20の所定以上の高速回転を防止できる。つまり、車椅子Sが所定以上の速度でスロープ102を降車することを防止でき、車椅子Sを安全に車外へと運び出すことができる。
したがって、上述の第一実施形態によれば、減速機付モータ4の出力軸9と相対回転不能に連結されている支軸20に、ワンウェイクラッチ24を介してドラム25が外嵌されているので、ドラム25に巻回されているベルト2に所望の張力が付与されていない場合、支軸20の回転がドラム25に伝達されるのを防止できる。このため、従来のように、動力伝達機構を動作させることなく、ベルト2の弛緩を防止できる。よって、電動ウインチ1の作動音を低減することが可能になる。
また、従来のように、ベルト2とドラム25とをゼンマイバネを介して連結することなくベルト2の張力を所定値に維持することができる。このため、ベルト2の繰出し量に関わらず安定、かつ確実にベルト2の弛緩を防止することが可能になる。この結果、ベルト2の弛緩に起因するケース3内でのベルト2の詰まりを防止できる。
そして、ドラム25のラチェット固定部25bに、ラチェット機構31を設け、ドラム25のベルト2の繰出し方向への回転を規制するように構成している。このため、車椅子Sの滑落等を確実に防止することができ、フェールセーフ機能を高めることができる。
次に、この発明の第二実施形態を図1を援用し、図7〜図9に基づいて説明する。なお、第一実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明する。
図7は、第二実施形態における電動ウインチ201の斜視図である。
図1、図7に示すように、この第二実施形態において、電動ウインチ201は、例えば、被牽引物である車椅子Sを車両101の後部に設けられたスロープ102に沿って昇降させる際に用いられるものであって、車両101の後部室103の床面103aに設けられている点、電動ウインチ201は、車両101の床面103a側と前方側(図7における右側)にそれぞれ開口部203a,203bを有するアルミダイキャスト製のケース203を有している点、ケース203に、減速機付モータ4と、この減速機付モータ4に連結された支軸20が設けられている点、支軸20にワンウェイクラッチ24を介してドラム25を外嵌させている点、ドラム25にラチェット機構31が設けられている点、ドラム25にベルト2が巻回されている点、このベルト2の一端がケース203の開口部203bから引き出され、車両101の後部室103に固定されている定滑車52を介して折り返す形で後方に向かって配索されている点等の基本的構成は、前述した第一実施形態と同様である。
ここで、第二実施形態の電動ウインチ201には、ケース203の開口部203b近傍に、ベルト2に張力を付与するためのテンショナ機構70が設けられている。テンショナ機構70は、ドラム25からケース203の開口部203bに至る間に配索されたベルト2を中心にして両面に配置されたテンショナローラ71と一対のプーリ72a,72bとを有している。
テンショナローラ71は、ベルト2の幅方向に沿って延在し、ベルト2の上面側(図7における上側)に配置されている。一方、一対のプーリ72a,72bは、ベルト2の幅方向に沿って延在し、ベルト2の下面側(図7における下側)であって、かつテンショナローラ71を中心にして前後方向に振り分け配置されている。
ここで、ケース203の左右方向両側面263a,263bには、テンショナローラ71の両端に対応する箇所であって、上面263c近傍から上下方向略中央に至る間に、長孔73a,73bが形成されている。これら長孔73a,73bは、下方に向かうに従って徐々に後方に向かうようにやや斜めに形成されている。
テンショナローラ71は、各長孔73a,73bに沿って、スライド自在に設けられた状態になっている。すなわち、テンショナローラ71は、ベルト2の配索方向と交差する方向に沿って変位可能に設けられていることになる。
ベルト2は、テンショナローラ71と一対のプーリ72a,72bとの間に挟まれた状態になっており、かつ一対のプーリ72a,72bの間をテンショナローラ71が下方に向かって付勢されているので、一対のプーリ72a,72b間に存在するベルト2に張力が付与される。
次に、図8、図9に基づいて、テンショナ機構70の作用について説明する。
図8、図9は、テンショナ機構70の動作説明図であり、図8は、ベルト2が緊張している状態を示し、図9は、ベルト2が弛緩している状態を示す。
まず、図8に示すように、例えば、電動ウインチ201を用いて、車椅子Sを車外から車内に引き込む(図1参照)等、ベルト2を巻き取る場合について説明する。このような場合、ベルト2を用いて車椅子Sを引っ張り上げることになるので、ベルト2は緊張した状態になっている。このため、テンショナ機構70のテンショナローラ71は、コイルスプリング75a,75bの付勢力に抗して一対のプーリ72a,72bよりも上方に位置する。
ベルト2が弛緩すると、テンショナローラ71がコイルスプリング75a,75bの付勢力によって下方に向かってスライド移動する。すると、一対のプーリ72a,72b間に配索されているベルト2の配索経路長が長くなり、この結果ベルト2に張力が付与される。
したがって、上述の第二実施形態によれば、前述の第一実施形態と同様の効果に加え、電動ウインチ201にテンショナ機構70を設けることによって、常にベルト2に張力を付与することができる。このため、より確実にベルト2の弛緩を防止することができ、このベルト2の弛緩に起因するケース203内でのベルト2の詰まりをより確実に防止できる。
例えば、上述の実施形態では、電動ウインチ1,201は、被牽引物である車椅子Sを車両101の後部に設けられたスロープ102に沿って昇降させる際に用いられるものである場合について説明した。しかしながら、電動ウインチ1,201は、車両101に搭載する場合に限るものではなく、物体を牽引するさまざまな用途に適用可能である。
2 ベルト
4 減速機付モータ
5 電動モータ
6 ウォームホイール減速機構
10 電磁クラッチ
24 ワンウェイクラッチ
25 ドラム
31 ラチェット機構
70 テンショナ機構
71 テンショナローラ(ローラ)
72a,72b プーリ
S 車椅子(被牽引物)
Claims (4)
- 被牽引物に連結されるベルトと、
前記ベルトを巻取り/繰出し可能なドラムと、
前記ドラムを回転可能に保持する支軸と、
前記支軸を介して前記ドラムを正/逆回転駆動させる電動モータとを備えた電動ウインチであって、
前記ドラムは、ワンウェイクラッチを介して前記支軸に保持され、
前記ワンウェイクラッチは、
前記支軸に対する前記ドラムのベルト繰り出し方向への回転力が付与されている状態では、前記支軸の回転の前記ドラムへの伝達を許容する一方、
前記支軸に対する前記ドラムのベルト繰り出し方向への回転力が付与されていない状態では、前記支軸の回転の前記ドラムへの伝達を遮断するよう構成されることを特徴とする電動ウインチ。 - 前記電動モータと、前記電動モータに連結されたウォーム減速機構とで構成される減速機付モータを有し、
前記ドラムと前記減速機付モータとの間に、前記電動モータの駆動力を前記ドラムへ伝達し、または切り離し可能な電磁クラッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動ウインチ。 - 前記ベルトの配索経路の途中に、前記ベルトに張力を付与するテンショナ機構を設け、
前記テンショナ機構は、
前記ベルトの幅方向に延在し、前記ベルトと接触するローラと、
前記ローラに連結され、このローラを前記配索経路と交差する方向に沿って変位させる弾性部材とを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動ウインチ。 - 前記ドラムに、このドラムの前記ベルトの繰出し方向への回転を規制するラチェット機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電動ウインチ。
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