JP5460275B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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このような着色においては、高級感を付与したり、他の意匠との差別化を図ったりすることを目的として、ラメ調やメタリック調等の加飾を行うことがある。
ラメ調やメタリック調等の加飾を施す材料としては、金属光沢粒子を熱可塑性樹脂に添加した材料が知られている。
例えば、金属光沢を有する特定の平均粒子径を持った多面体粒子を加えることによりメタリック感のある加飾効果を有し、かつウェルド外観の改善も図った熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
すなわち、本発明は下記の通りである。
屈折率が1.51〜1.58であり、芳香族ビニル系単量体と、当該芳香族ビニル系単量体と共重合可能な一種類以上の単量体との共重合体を含む熱可塑性樹脂と、
平均粒子径が50μm以上600μm以下で平均粒子径と平均厚さとの比(平均粒子径
/平均厚さ)が5以上60以下のフレーク状ガラスに、金属酸化物が40nm以上130
nm以下の厚みで被覆された金属光沢粒子と、
を、含有する射出成形用熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記金属光沢粒子の添加量が、0.01質量部以上5質量部以下である前記〔1〕に記載の射出成形用熱可塑性樹脂組成物。
前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、染料を0.001質量部以上0.1質量部以
下、さらに含有する前記〔1〕又は〔2〕に記載の射出成形用熱可塑性樹脂組成物。
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の射出成形用熱可塑性樹脂組成物を成形した射出成形品。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、屈折率が1.51〜1.58の熱可塑性樹脂と、平均粒子径が50μm以上600μm以下で平均粒子径と平均厚さとの比(平均粒子径/平均厚さ)が5以上60以下のフレーク状ガラスに金属酸化物が40nm以上130nm以下の厚みで被覆された金属光沢粒子とを含有する熱可塑性樹脂組成物である。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂は、屈折率が1.51〜1.58の範囲の熱可塑性樹脂であればよく、特に限定されない。
屈折率は、所定の屈折計を用いて、後述する実施例に示す測定方法により測定できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、芳香族ビニル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、芳香族ビニル系樹脂とアクリル系樹脂との混合物が挙げられる。
前記芳香族ビニル系樹脂には、スチレン系単量体を用いた重合体の他、スチレン系単量体とシアン化ビニル系単量体及び/又はアクリル系単量体との共重合樹脂が含まれ、更に、その他の共重合可能な単量体を共重合させた共重合樹脂や、ゴム状重合体とグラフト重合させた樹脂等も含まれる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸ブチル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル共重合体、ブタジエン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン系共重合体、エチレン−イソプレン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。特に、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体が、本実施形態の熱可塑性樹脂組成物において十分な耐衝撃性を得る観点から好ましい。
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、メタノテトラヒドロフルオレン、テトラシクロドデセン等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン等のシクロオレフィン等が挙げられる。
前記芳香族ビニル系樹脂とアクリル系樹脂との混合物に用いられるアクリル系樹脂としては、メタクリル酸メチル単量体と、その他不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体とを共重合させたものが挙げられる。
その他、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル等の、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が挙げられる。特に、アクリル酸メチル及びアクリル酸n−ブチルが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物を構成する金属光沢粒子は、基材となるフレーク状ガラスに金属酸化物が被覆された構成を有している。
フレーク状ガラスとは、薄い板状、あるいは鱗片状の微小なガラスの粉のことを言う。
フレーク状ガラスは、従来公知の方法により製造することができる。
フレーク状ガラスは、金属光沢粒子において良好な輝きを得、金属光沢粒子の見え方のバランスを良好なものとし、全体的な見栄えを良好なものにするために、平均粒子径は50μm以上600μm以下とし、好ましくは75μm以上125μm以下とする。
フレーク状ガラスの平均粒子径は、水媒体中に粒子を懸濁させ、レーザー回折法、散乱法を用いることで測定できる。
さらに、フレーク状ガラスは、平均粒子径と平均厚さとの比(平均粒子径/平均厚さ)が、金属光沢粒子において良好な輝きを得、金属光沢粒子の配向斑を効果的に低減化する観点から、5以上60以下であるものとし、好ましくは1以上20以下とする。
フレーク状ガラスの平均厚さは、例えば、SEM(走査型電子顕微鏡)等の電子顕微鏡により観察し、n=20以上の任意の部分の測定結果から、すなわち測定サンプル数を20以上として平均値を算出することにより求められる。
金属酸化物の平均被覆厚みは、金属光沢粒子において十分な着色性を得るために40nm以上とし、本実施形態における熱可塑性樹脂組成物のヘイズ(曇度)を低減化させる観点から130nm以下とする。
金属酸化物の平均被覆厚みは、例えば、SEM(走査型電子顕微鏡)等の電子顕微鏡により観察し、上記と同様にn=20以上の任意の部分の測定結果から平均値を算出することにより求められる。
金属酸化物の平均被覆厚みを制御することによって、金属光沢粒子の色を調整することができる。具体的には、平均被覆厚みを40nm〜60nmとすると白色、60nm〜80nmとすると黄色、80nm〜100nmとすると赤色、100nm〜130nmとすると青色が得られる。
特に金属酸化物の平均被覆厚みが80nmを超えると、目的とする熱可塑性樹脂組成物においてヘイズ(曇度)が高くなり、配向斑が生じる傾向があるが、上述したように屈折率を特定した熱可塑性樹脂を用い、金属光沢粒子において、平均粒子径/平均被覆厚みを数値的に特定することにより、効果的に低減化することができる。
フレーク状ガラスの表面を金属酸化物により被覆する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を適用できる。例えば、スパッタリング法、ゾル−ゲル法、化学蒸着(CVD)法、液相抽出(LPD)法等が挙げられる。
本実施形態における熱可塑性樹脂組成物には、染料をさらに添加してもよい。
上記染料はアンスラキノン系、ペリノン系、アゾ系、メチン系、キノフタロン系、クマリン系等の染料が挙げられる。
染料の添加量は、目的とする熱可塑性樹脂組成物において金属光沢粒子の輝きを確保する観点から、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001質量部以上とし、透明性を確保する観点から熱可塑性樹脂100質量部に対して0.1質量部以下とすることが好ましい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物には、透明性、剛性、耐衝撃性、切断性を損なわない範囲で、所定の添加剤を使用してもよい。
添加剤としては、例えば、ホスファイト系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤及び酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系、酸アミド系、さらには高級アルコール等の滑剤及び可塑剤、モンタン酸及びその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイド及びエチレンワックス等の離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩等の着色防止剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系等の帯電防止剤、顔料等の着色剤が挙げられる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、従来公知の方法により製造できる。
例えば、オープンロール、インテシブミキサー、インターナルミキサー、コニーダー、二軸ローター付の連続混練機、押出機等の一般的な混和機を用いて、上述した構成成分を溶融混練することにより、製造できる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物の成形体は、熱可塑性樹脂組成物を押出機により連続的に押出し成形し、これを所望の寸法に切断することにより得られる。
(1)熱可塑性樹脂(A)
(1−1)ポリスチレン(A−1)
PSジャパン株式会社製PSJ−ポリスチレン685を用いた。
(1−2)スチレン−アクリロニトリル共重合体(A−2)
メルトフローレート値(ASTM−D1238に準拠して測定した。条件は、220℃
、10kg荷重とした。)が30g/10分である、スチレン単位含有量が80質量%、
アクリロニトリル単位含有量が20質量%の、スチレン−アクリロニトリル共重合体を使
用した。
(1−3)アクリル系樹脂(A−3)
メルトフローレート値(ASTM−D1238に準拠して測定した。条件は、230℃
、3.8kg荷重。)が2.0g/10分である、メタクリル酸メチル単量体含有量が9
7.5質量%、アクリル酸メチル単量体含有量が2.5質量%の、メタクリル酸メチル−
アクリル酸メチル共重合体を使用した。
日本板硝子株式会社製メタシャイン酸化チタンコートシリーズにおける下記の品種を用いた。
(2−1) メタシャインMC5090RS(B−1)
(2−2) メタシャインMC5090RY(B−2)
(2−3) メタシャインMC5090RR(B−3)
(2−4) メタシャインMC5090RB(B−4)
(2−5) メタシャインMC5090RG(B−5)
(2−6) メタシャインMC1040RB(B−6)
(2−7) メタシャインMC1080RS(B−7)
(2−8) メタシャインMC1080RB(B−8)
(2−9) 前記(B−1)を構成するフレーク状ガラスを、平均粒子径500μm、平均厚み10μmに変更したもの(B−9)
有本化学工業株式会社製Plast Red 8350、三菱化学株式会社製Diaresin Yellow H2G、有本化学工業株式会社製Oil Blue No.5502を、1:0.175:0.9の比率で混合したものを用いた。
上記熱可塑性樹脂(A)、金属光沢粒子(B)、染料(C)を、下記表1及び表2に示す組成により混合し、東芝機械製TEM35B二軸押出機を用いて250℃で溶融し、混練ペレットを得た。なお、混合組成の添加量の単位は「質量部」である。
また、前記ペレットを、日本製鋼所製J−100EPI射出成形機、東芝機械製IS55EPN射出成形機を用い、シリンダー設定温度250℃にて、長さ90mm、幅45mm、厚み2.5mmの第一の試験片及び両端ゲートにて試験片中央部にウェルドを発生させた、長さ102mm、幅12.7mm、厚み2.5mmの第二の試験片を作製し、下記評価を実施した。
(屈折率の評価)
上記熱可塑性樹脂(A)の(A−1)〜(A−3)を、単独で又は所定の組み合わせとして、東芝機械製TEM35B二軸押出機を用いて250℃で溶融し、混練押してペレットを得、圧縮成形機を用いてフィルムを作製した。
アッベ屈折計を用いてJIS K7142に準拠した測定方法にてそのフィルムの屈折率を測定した。
上記第一の試験片を、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製NDH2000)を用いて、JIS K7136に準拠した測定方法にて測定した。
上記第二の試験片を、平坦な机に置いた状態から机の表面対し30度の角度で方端を持ち上げ、真上よりウェルドの両面で輝きの見え方の差があるかを目視にて評価した。
○ 輝きの見え方に差が見られない。
× 輝きの見え方に差が見られる。
表1に示すように、屈折率が1.51〜1.58の熱可塑性樹脂と、平均粒子径が50μm以上600μm以下で平均粒子径と平均厚さとの比(平均粒子径/平均厚さ)が5以上60以下のフレーク状ガラスに金属酸化物が40nm以上130nm以下の厚みで被覆された金属光沢粒子とが含有されている熱可塑性樹脂組成物を用いた実施例1〜10の成形体は、ウェルドを境とした両側において輝きが成形体全面に亘って均一であり、金属光沢粒子の配向斑の発生の効果的な低減化が図られた。また、ヘイズ(曇度)も効果的に低減化されており、優れた美観が得られた。
ヘイズ(曇度)が低いと透明感に優れており、金属光沢粒子の輝き方に奥行きが感じられる効果も得られた。
金属光沢粒子の平均粒子径/平均厚みが適切で、かつ被覆膜である金属酸化物が薄層である場合には、ヘイズは低く抑えられ、ウェルドを境とした両側において輝きが成形面全面に亘って均一で、金属光沢粒子の配向斑の発生の効果的な低減化が図られるが、熱可塑性樹脂の屈折率を選択することによりヘイズが高くなることが分かった。
また、フレーク状ガラスの平均粒子径は小さいが金属酸化膜は厚く形成されているため、ウェルドを境とした両側において輝きが不均一なものとなり、金属光沢粒子において配向斑が発生していることが分かった。
比較例6はフレーク状ガラスの平均粒子径が比較的小さいものであるため、平均厚みが極めて薄いものである。さらには被覆膜である金属酸化膜も薄いものであるため、金属光沢粒子は小薄片状のものである。実施例5に比較すると、ヘイズ(曇度)が著しく高くなっており、透明感に劣り、外観上くすんだ印象があるものとなった。また、ウェルドを境とした両側において輝きが不均一なものとなり、金属光沢粒子において配向斑が発生していることが分かった。
比較例7はフレーク状ガラスの平均粒子径が比較的小さいものであるため、平均厚みが極めて薄いものである。一方において被覆膜である金属酸化膜は比較的厚いものである。実施例9に比較すると、ヘイズ(曇度)が著しく高くなっており、透明感に劣り、外観上くすんだ印象があるものとなった。また、ウェルドを境とした両側において輝きが不均一なものとなり、金属光沢粒子において配向斑が発生していることが分かった。
実施例4、9に比較するとヘイズ(曇度)が高くなっており、外観上の印象として透明感に劣っているものとなった。
実施例4、9、比較例8は、いずれも金属酸化膜が比較的厚いものであるが、実施例4、9においては熱可塑性樹脂の屈折率を適切に選択したことによりヘイズ(曇度)の低減化を図ることが出来たことが分かった。
Claims (4)
- 屈折率が1.51〜1.58であり、芳香族ビニル系単量体と、当該芳香族ビニル系単量体と共重合可能な一種類以上の単量体との共重合体を含む熱可塑性樹脂と、
平均粒子径が50μm以上600μm以下で平均粒子径と平均厚さとの比(平均粒子径/平均厚さ)が5以上60以下のフレーク状ガラスに、金属酸化物が40nm以上130nm以下の厚みで被覆された金属光沢粒子と、
を、含有する射出成形用熱可塑性樹脂組成物。 - 前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、前記金属光沢粒子の添加量が、0.01質量
部以上5質量部以下である請求項1に記載の射出成形用熱可塑性樹脂組成物。 - 前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、染料を0.001質量部以上0.1質量部以
下、さらに含有する請求項1又は2に記載の射出成形用熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の射出成形用熱可塑性樹脂組成物を成形した射出成形品。
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