JP5459531B2 - アルドース脱水素酵素の活性化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素の活性化方法に関する。より詳細には、本発明は、ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素に、補酵素であるピロロキノリンキノンを、グリセロールの共存下に接触させることより、当該酵素の活性を有意に向上させる方法に関する。
アルドース脱水素酵素は、アルドースを酸化してアルドノラクトンを生成する反応を触媒する。かかる触媒活性によりアルドース脱水素酵素、なかでもグルコース脱水素酵素は、糖類の検出、バイオ燃料電池の構成資材等に利用されており、食品化学、臨床化学、生化学等の多岐にわたる分野において利用価値に高い酵素である。そして、これらアルドース脱水素酵素は、細菌、酵母から、哺乳類に至るまで広く存在していることが知られており、多様な生物由来のグルコース脱水素酵素が報告されている。
アルドース脱水素酵素としては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、「NAD+」と略する場合がある。)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下、「NADP+」と略する場合がある。)を補酵素として機能するものが広く知られていた。このようなNAD(P)+依存型アルドース脱水素酵素は、多種多様の生物から単離されている。また、近年、ピロロキノリンキノン(以下「PQQ」と略する場合がある。)が、アルドース脱水素酵素の新たな補酵素として見出された。PQQを補酵素として機能するPQQ依存型アルドース脱水素酵素は、酵素から電極へ直接電子移動が可能であるとされ、燃料電池の構築にあたって構造の簡素化の点で有利である等、産業的に利用価値が高いとして注目されている。このようなPQQ依存型アルドース脱水素酵素として、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)LMD79.41株(非特許文献1、2)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)(非特許文献3)、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)(非特許文献4)、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumanni)NCIMB11517株由来のPQQ依存型グルコース脱水素酵素が報告されている。
酵素利用技術の産業利用に際しては、大量に当該有用酵素を取得する必要があり、近年、遺伝子組換え技術を利用することにより、生物由来の有用酵素を細菌や動植物細胞を宿主として大量かつ効率的に生産することが可能となった。遺伝子組換え技術は、ある生物から目的とする有用なタンパク質をコードする遺伝子を取り出して、別の生物を宿主として導入することにより当該細胞内で発現させる技術である。しかしながら、遺伝子組換えは、宿主細胞に異種タンパク質をコードする外来遺伝子を導入することとなり、これに起因するいくつかの問題が存在する。その一つとして、宿主細胞で生産された異種タンパク質が、天然型のタンパク質とは立体構造等の構造が異なった形態で生産されたことにより、生物学的に不活性な状態となる場合があることが知られている。例えば、好熱菌由来のタンパク質を大腸菌で発現させた場合に、その活性が著しく低下することが報告されている。
かかる問題点を解決するため、宿主−ベクター系の選択の好適化が試みられている。例えば、好熱菌由来の酵素の生産の場として、サーマス(Thermus)属菌であるサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)を宿主として使用するタンパク質合成系が優れていることが報告されている(非特許文献5)。詳細には、好熱菌由来の酵素を大腸菌のタンパク質合成系で生産すると不活性型として合成されるが、サーマス・サーモフィラスを宿主細胞とすることで高活性型として合成できるとされている。
しかしながら、サーマス属菌は、培養可能な菌密度が汎用の大腸菌と比べて非常に低くいこと、更に、増殖速度が遅いため必要な培養時間も大腸菌に比べて長いこと等の理由により、酵素の量産化には不向きである等、その産業上利用には未だに解決すべき問題点があった。
また、酵素の中には、その機能発現に際して、酵素本体のタンパク質部分のみでは活性を示さず、補酵素と結合して初めて酵素としての機能を発揮するものがある。補酵素と結合した状態の酵素をホロ酵素と、結合していない状態の酵素をアポ酵素と称されている。PQQ依存型アルドース脱水素酵素も、酵素本体のタンパク質部分にPPQが結合してホロ酵素状態となり初めて酵素として機能する。ここで、遺伝子組換え等の遺伝子工学的手法等の人工的手法で生産された酵素の多くは、アポ酵素の状態で生産されることから、酵素の活性化のためにホロ酵素化処理が要求される。しかしながら、酵素と補酵素を混在させた状態に置くだけでは、生物学的に十分な両者の結合が達成されず、酵素としてその機能を十分に発揮できない場合もあるという問題点が依然としてあった。
したがって、有用酵素の産業上利用のためには、対象酵素の特質に応じた活性向上技術の確立が依然として望まれていた。
Cleton-Jansen AM他著、"Cloning of the gene encoding quinoprotein glucose dehydrogenase from Acinetobacter calcoaceticus: evidence for the presence of a second enzyme."、J.Bacteriol.、1988年、第170巻、第5号、第2121〜5頁 Cleton-Jansen AM他著、"Cloning, characterization and DNA sequencing of the gene encoding the Mr 50,000 quinoprotein glucose dehydrogenase from Acinetobacter calcoaceticus." Mol. Gen. Genet.、1989年、第217巻、第2〜3号、第430〜6頁 Cleton-Jansen AM他著、"Cloning,mapping, and sequencing of the gene encoding Escherichia coli quinoprotein glucose dehydrogenase."、J Bacteriol.、1990年、第172巻、第11号、第6308〜15頁 Cleton-Jansen AM他著、"A single amino acid substitution changes the substrate specificity of quinoprotein glucose dehydrogenase in Gluconobacter oxydans."、Mol. Gen. Genet.、1991年、第229巻、第2号、第206〜12頁 Hidalgo A.他著、"Thermus thermophilus as a cell factory for the production of a thermophilic Mn-dependent catalase which fails to be synthesized in an active form in Escherichia coli."Appl. Environ Microbiol.、2004年、第70巻、第7号、第3839〜44頁
そこで、本発明は、上記問題点を解決すべく、PQQ依存型アルドース脱水素酵素のその触媒活性の向上を目的とする。特には、遺伝子組換え手法等により構築したPQQ依存型アルドース脱水素酵素を高活性型状態へ変換することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、PQQ依存型アルドース脱水素酵素を、グリセロールの共存下で補酵素PQQと混在させることによって、酵素活性を有意に高めることができることを見出した。さらに、かかる活性化は、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の酵素構造内への効率的なPQQの取り込み、及び結合によるものであり、これにより生物学的に高活性なPQQ依存型アルドース脱水素酵素に変換できるとの知見をも導いた。そして、本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成するため、以下の[1]〜[8]に示す発明を提供する。
[1] ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素の活性化方法であって、
前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素に、ピロロキノリンキノンをグリセロールの共存下で接触させる工程、を含む方法。
[2] 前記グリセロールを、最終濃度で、10〜40%(w/v)となるように接触させる上記[1]の方法。
[3] 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、組換え体である上記[1]又は[2]の方法。
[4] 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、好熱菌に由来する酵素である上記[1]〜[3]の何れかの方法。
[5] 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、サーマス・サーモフィラスに由来する酵素である上記[4]の方法。
[6] 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、下記(a)又は(b)のアミノ酸配列からなるタンパク質である上記[5]の方法。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列
(b)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入および付加から選択される1以上の改変が生じたアミノ酸配列
[7] 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、下記(c)又は(d)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質である上記[5]又は[6]の方法。
(c)配列番号1に示す塩基配列を含むポリヌクレオチド
(d)配列番号1に示す塩基配列を含むポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド
[8] 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート、及び2,6−ジクロロフェノール-インドフェノールを要求する上記[1]〜[7]の何れかの方法。
上記[1]〜[8]の構成によれば、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の酵素活性が有意に向上する。特に、遺伝子組換え手法により作製された組換え酵素の活性を顕著に向上させることができる。組換え酵素は、大量生産が可能となる一方で、天然型のタンパク質とは立体構造等の構造が異なった形態で生産されることがあり、生物学的に不活性な状態となる場合がある。補酵素要求型の酵素の場合には補酵素が欠けた状態、所謂アポ酵素状態となり、その機能を発揮できない場合がある。しかしながら、本発明の方法によれば、アルドース脱水素酵素の補酵素PQQの取り込み、及び結合を促進して、高活性型の酵素への変換を可能とする。したがって、本発明の方法を利用することにより、効率的なアルドース脱水素酵素反応を達成でき、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野におけるアルドースの脱水素反応を要する技術の発展に貢献できる。
[9] 上記[1]〜[8]の何れかの方法により取得された活性化ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素。
上記[9]の構成によれば、活性が有意に向上したピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素を提供できる。これにより、効率的なアルドース脱水素酵素反応を達成でき、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野におけるアルドースの脱水素反応を要する技術の発展に貢献できる。特に、燃料電池、バイオセンサー等への応用が期待され、これらの性能の向上を図ることができる。
[10] 上記[1]〜[8]の何れかの方法を実施するために必要となる試薬を含む好熱菌由来のピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素の活性化用キット。
上記[10]の構成によれば、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化用キットが構築できる。当該酵素の活性化に必要な試薬をキットとして構成することにより、簡便かつ迅速なPQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化が可能となる。
本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化方法における、酵素の活性化様式を模式的に示す図である。 本発明の活性化方法の有用性を確認した実施例2の結果を示す図である。 本発明の活性化方法の有用性を確認した実施例3の結果を示す図である。 本発明の活性化方法の有用性を確認した実施例4の結果を示す図である。 本発明の対象となるTthASDの諸性質を確認した実施例5の結果(基質親和性)を示す図である。 本発明の対象となるTthASDの諸性質を確認した実施例6の結果(好適な電子受容体)を示す図である。 本発明の対象となるTthASDの諸性質を確認した実施例7の結果(基質選択性)を示す図である。 本発明の対象となるTthASDの諸性質を確認した実施例8の結果(温度依存性)を示す図である。 本発明の対象となるTthASDの諸性質を確認した実施例9の結果(反応速度と基質濃度の相関)を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
(本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化方法)
本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化方法は、PQQ依存型アルドース脱水素酵素に、当該酵素の補酵素であるPQQを、グリセロールの共存下に接触させることを特徴とする。
グリセロールは、示性式C3H5(OH)3で表される分子量92.09の三価アルコールである。IUPAC名は、1,2,3-プロパントリオール(propane-1,2,3-triol)であり、グリセリンと称される場合もある。そして、無色透明の糖蜜状液体で保水性が高いことが知られている。本発明で使用可能なグリセロールとしては、理化学的性質や構造を大きく変化させるものでない限り、グリセロール分子の一部を、他の原子や官能基により改変したグリセロール誘導体をも含むものとする。グリセロール誘導体としては、グリセロール分子の3個の水酸基のうち、全て、若しくは1又は2個の水酸基に改変が施された形態が例示され、グリセロールとアルコールのエーテル化合物、グリセロールと脂肪酸のエステル化合物等が挙げられる。このとき、アルコール及び脂肪酸の炭素鎖は、飽和又は不飽和のいずれであってもよく、炭素数についても特に制限はない。しかしながら、分子量の変動を最小限に抑えるべく、好ましくは、炭酸数1〜10、より好ましくは1〜4である。また、水酸基が、ハロゲンやアミノ基等により置換されていてもよい。
本発明で活性化の対象となるPQQ依存型アルドース脱水素酵素は、PQQを補酵素とし、アルドースの脱水素反応を触媒する能力を有する酵素であれば、特に制限はない。例えば、EC 1.1.5.2に分類されるグルコース脱水素酵素が挙げられるが、これに限定するものではない。このEC 1.1.5.2に分類される酵素は、以下の式で示されるように、グルコースを糖基質として補酵素PQQの存在下でグルコノラクトンを生成する反応を触媒する。
D−グルコース + 電子受容体 → D−グルコノ−δ−ラクトン+ 還元型電子受容体
また、PQQ依存型アルドース脱水素酵素は、酵素本体のタンパク質部分のみのアポ酵素の状態では活性を示さず、補酵素と結合して初めて酵素としての機能を発揮するホロ酵素である。本発明の活性化の対象となるのは、好ましくはアポ酵素の状態にあるPQQ依存型アルドース脱水素酵素であり、遺伝子組換え手法や化学合成手法等の人工的手法により構築されたアポ酵素状態のPQQ依存型アルドース脱水素酵素に特に好ましく適用できる。しかしながら、ホロ酵素の状態あるものへの適用を排除するものではない。したがって、ホロ酵素状態のPQQ依存型アルドース脱水素酵素に対しても適用でき、当該酵素に対するPQQの結合能力を更に向上させる、又は酵素反応系中に失活したPQQを補うこと等により、更に酵素活性を向上させることができるものである。
ここで、アルドースとは、還元末端であるアルデヒド基を持つ単糖であり、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース等の6炭糖、キシロース、リボース、フコース等の5炭糖が例示される。しかしながら、これらに限定されるものではなく、アルドースの誘導体をも含む概念として使用するものとする。また、アルドースに対して反応性に加えて、二以上の単糖が結合したオリゴ糖類にも反応性を示すものであっても良い。オリゴ糖としては、マルトース、ラクトース、トレハロース等の二糖類、マルトトリオース等の三糖類が例示され、特にグルコース等のアルドースをその構成要素とするものが例示される。オリゴ糖類は、1種類の単糖から構成されるホモオリゴ糖であると、2種以上の単糖から構成されるヘテロオリゴ糖であってもよく、また、単糖間の結合は、グルコシド結合等が例示されるがその結合形態は問わない。また、デオキシ糖、糖アルコール等、糖の誘導体に対して反応性を有していてもよい。
当該アルドース脱水素酵素の由来は、PQQ依存的にアルドースを脱水素する触媒活性を有する限り制限はない。現在において、アシネトバクター・カルコアセティカスLMD79.41株(Cleton-Jansen AM他著、J.Bacteriol.、1988年、第170巻、第5号、第2121〜5頁、及びCleton-Jansen AM他著、Mol. Gen. Genet.、1989年、第217巻、第2〜3号、第430〜6頁)、エシェリヒア・コリ(Cleton-Jansen AM他著、J Bacteriol.、1990年、第172巻、第11号、第6308〜15頁)、グルコノバクター・オキシダンス(Cleton-Jansen AM他著、“A single amino acid substitution changes the substrate specificity of quinoprotein glucose dehydrogenase in Gluconobacter oxydans.”、Mol. Gen. Genet.、1991年、第229巻、第2号、第206〜12頁)、アシネトバクター・バウマンニ NCIMB11517株由来のものが公知であり、本発明の対象となるアルドース脱水素酵素としては、これらを含む。しかしながら、これに限定されるものではなく、PQQ依存的にアルドースを脱水素する反応を触媒する能力を有する生物体に由来する、天然由来のPQQ依存型アルドース脱水素のいずれをも含むものとする。このとき、生物体の種類は問わないが、好ましくは細菌由来であり、特に好ましくは好熱菌由来である。ここで、好熱菌とは、一般に55℃以上の高温環境下で生育、即ち、高温条件に耐え得る生化学資質を有する細菌であり、温泉、熱水域、深海熱水鉱床、工場排水等の人工的熱水環境等から多種分類されている。特に、75 ℃までの温度で生育する細菌を中等度好熱菌と、75 ℃以上で生育する細菌を高度好熱菌と、また、90℃以上で生育する細菌は超好熱菌と分類される。本発明の活性化対象としては、いずれをも含むが、特には高度好熱菌、および超好熱菌由来酵素を意味する。具体的に、好熱菌として、サーマス・サーモフィラス、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)等のサーマス属に属する細菌、ピロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)等のピロコッカス(Pyrococcus)属に属する細菌、スルフォロバス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)、スルフォロバス・トコダイ(Sulfolobus tokodaii)等のスルフォロバス(Sulfolobus)属に属する細菌、サーモプラズマ・アシドフィラム(Thermoplasma acidophilam)等のサーモプラズマ(Thermoplasma)属に属する細菌、及びバチルス・ステアモサーモフィリス(Bacillus steamothermophilus)等の属に属する好熱性の細菌等が例示される。特に好ましくは、サーマス・サーモフィラスであり、サーマス・サーモフィラス由来のアルドース脱水素酵素のアミノ酸配列の一例を配列表の配列番号2に示す。
これら天然由来のPQQ依存型アルドース脱水素酵素は、当該PQQ依存型アルドース脱水素酵素を発現する細菌等の生物体から常法に従って取得することができる。例えば、前記生物体を常法に従って個々の生物に適した方法により培養した前記培養物自体、又は前記培養物に超音波処理、機械的処理等を施してタンパク質画分を抽出した培養物の処理物であってもよく、更には、生物体の培養物から単離した粗酵素、又は精製酵素であってもよい。また、上記培養物自体、その培養物の処理物、粗酵素又は精製酵素は、種々の形態であってよく、例えば凍結乾燥物、または適切な保存溶液中の溶液であっても、適当な担体に固定化した形態であってもよい。そして、これらすべてを本発明の活性化方法に適用することができる。
上記した培養としては、常法に準じて培養され、各生物体の栄養生理学的性質を勘案して、培養条件を選択すればよい。使用される培地としては、宿主細胞が資化し得る栄養素を含み、当該酵素の発現を効率的に行えるものであれば特に制限はない。したがって、生物体の生育に必要な炭素源、窒素源その他必須の栄養素を含む培地であることが好ましく、天然培地、合成培地の別を問わない。例えば、炭素源として、グルコース、デキストラン、デンプン等が、また、窒素源としては、アンモニウム塩類、硝酸塩類、アミノ酸、ペプトン、カゼイン等が挙げられる。他の栄養素としては、所望により、無機塩類、ビタミン類、抗生物質等とを含ませることができる。培養形態についても特に制限はないが、大量培養の観点から液体培地が好適に利用できる。
ここで、生物体の培養物の精製であるが、常法に従って行えばよく、当該化対象酵素の存在する画分に応じて、一般的なタンパク質の単離精製方法に準じた手法を適用すればよい。具体的には、本発明の活性化の対象となるPQQ依存型アルドース脱水素酵素が宿主細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用してもよく、遠心分離、濾過等の手段により宿主細胞を除去して培養上清を得、続いて、培養上清に、公知のタンパク質精製方法を適宜選択し適用することにより、本発明の酵素を単離精製したものをも対象とすることができる。例えば、硫酸アンモニウム沈殿、透析、SDS-PAGE電気泳動、ゲル濾過、疎水、陰イオン、陽イオン、アフィニティークロマトグラフィ等の各種クロマトグラフィ等の公知の単離精製技術を単独、又は適宜組み合わせて適用することができる。また、本発明の活性化の対象となるPQQ依存型アルドース脱水素酵素が宿主細胞内で産生される場合には、菌体をそのまま使用してよく、また培養物を遠心分離、濾過等の手段により宿主細胞を回収する。続いて、リゾチーム処理などの酵素的破砕方法、又は超音波処理、凍結融解、浸透圧ショック等の物理的破砕方法等により、宿主細胞を破砕する。破砕後、遠心分離、濾過等の手段により可溶化画分を収集する。得られた可溶化画分を、前述の細胞外に生産できる場合と同様に処理することにより単離精製することができる。ここで、本発明で得られるPQQ依存型アルドース脱水素酵素が、好熱菌由来等により熱安定性が高い場合には、前述の単離、精製工程において熱処理を併用することが有用かつ便利である。
また、天然由来のほか、公知の配列情報に基づいて、化学合成的もしくは遺伝子工学的に人工的に合成されたアルドース脱水素酵素も本発明の対象として包含する。配列情報は、DDBJ、EMBL、NCBI、GenBank等の公知の核酸配列データベース、及びタンパク質(アミノ酸)配列データベースを利用して入手できる。ここに一例として、サーマス・サーモフィラス由来のアルドース脱水素酵素をコードする塩基配列、及びその推定アミノ酸配列を配列表の配列番号1及び2として提示する。
化学合成的手法により合成する場合には、例えば、ペプチド合成機を用いて合成し、得られるポリペプチドを適当な条件の下で、再構築することにより調製することができる。
遺伝子工学的手法により合成する場合には、既知の大腸菌等の宿主・発現ベクター系を利用することができ、例えば、当該アルドース脱水素酵素をコードする遺伝子を公知の方法により導入した発現ベクターにより大腸菌等の宿主細胞を形質転換して培養し、当該PQQ依存型アルドース脱水素酵素を発現させることによって取得することができる。そして、必要に応じて宿主細胞の培養物から当該酵素を単離、精製すればよい。培養及び単離精製は、天然の生物体からの手法に準じて行うことができる。特に、好熱菌由来のアルドース脱水素酵素を大腸菌等の常温菌の菌体内で発現させた場合には、熱処理を行うことが特に有用かつ便利である。つまり、熱処理によって当該アルドース脱水素酵素以外の大腸菌由来タンパク質は熱変性して熱凝集するため、遠心分離等により分離除去できる。これにより熱変性しない当該アルドース脱水素酵素を可溶画分として大腸菌由来タンパク質と分離して精製することができる。また、培養物をそのまま、若しくは粗抽出液等の培養物の処理物を活性化の対象とする場合においても、熱処理を行なうことにより、他のタンパク質が失活することから、実質的にPQQ依存型アルドース脱水素酵素のみの酵素液として使用することができる。
遺伝子工学的手法において利用されるPQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする遺伝子は、常法に基づいて調製できる。例えば、当該酵素のアミノ酸配列の一部又は全部をコードする塩基配列を基にして作成したDNAプローブとして用いるハイブリダイゼーション法により、PQQ依存型アルドース脱水素酵素を発現し得る細菌等のゲノムDNAから本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする核酸分子を調製することができる。また、当該酵素のアミノ酸配列をコードする塩基配列の一部をプライマーとして用いるPCRによっても同様に、PQQ依存型アルドース脱水素酵素を発現し得る細菌等のゲノムDNAを鋳型として本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする核酸分子を調製することができる。さらに、常法のホスホルアミダイト法等のDNA合成法を利用して、本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする核酸分子を化学的に合成することができる。
そして、ハイブリダイゼーションを利用する場合に用いられるプローブは、本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドであり、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホアミダイト法等に基づく化学合成法、既に標的となる核酸が取得されている場合にはその制限酵素断片等が利用可能である。このようなプローブとしては、本発明のPQQ依存型脱水素酵素をコードする核酸分子の塩基配列に基づき、この塩基配列の連続する10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。そして、プローブは必要に応じて適当な標識が付されていてよく、このような標識として放射線同位体、蛍光色素等が例示される。また、PCRを利用する場合に用いられるプライマーは、本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドであり、常法に基づいて調製することができる。例えば、ホスホアミダイト法等に基づく化学合成法、既に標的となる核酸が取得されている場合にはその制限酵素断片等が利用可能である。化学合成法に基づきプライマーを調製する場合には、合成に先立って標的核酸の配列情報に基づいて設計される。プライマーの設計は、所望の領域を増幅するように、例えばプライマー設計支援ソフト等を利用して設計することができる。プライマーは合成後、HPLC等の手段により精製される。また、化学合成を行う場合には市販の自動合成装置を利用することも可能である。このようなプライマーとしては、本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする核酸分子の塩基配列に基づき、所望の増幅領域を挟んで設計され、10以上、好ましくは15以上、更に好ましくは約20〜50の塩基からなるオリゴヌクレオチドが例示される。
ここで、相補的とは、プライマーと標的核酸とが塩基対合則に従って特異的に結合し安定な二重鎖構造を形成できることを意味する。ここで、完全な相補性のみならず、プライマーと標的核酸が互いに安定な二重鎖構造を形成し得るのに十分である限り、いくつかの核酸塩基のみが塩基対合則に沿って適合する部分的な相補性であっても許容される。その塩基数は、標的核酸を特異的に認識するために十分に長くなければならないが、長すぎると逆に非特異的反応を誘発するので好ましくない。したがって、適当な長さはGC含量等の標的核酸の配列情報、並びに、反応温度、反応液中の塩濃度等のハイブリダイゼーション反応条件など多くの因子に依存して決定されるが、好ましくは、20〜50塩基長である。
そして、遺伝子組換えに際して用いられる発現ベクターは、適当なベクターにPQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする核酸分子を組み込むことによって構築することができる。利用可能なベクターとしては、外来DNAを組み込め、かつ宿主細胞中で自律的に複製可能なものであれば特に制限はない。したがって、ベクターは、PQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする核酸分子を挿入できる少なくとも1つの制限酵素部位の配列を含むものである。例えば、プラスミドベクター(pEX系、pUC系、及びpBR系等)、ファージベクター(λgt10、λgt11、及びλZAP等)、コスミドベクター、ウイルスベクター(ワクシニアウイルス、及びバキュロウイルス等)等が包含される。
そして、発現ベクターは、本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする核酸分子がその機能を発現できるように組み込まれる。この時、発現ベクターには、核酸分子の機能発現に必要な他の公知の塩基配列が含まれていてもよく、他の公知の塩基配列としては特に限定されない。例えば、プロモータ配列、リーダー配列、シグナル配列、並びにリボソーム結合配列等が挙げられる。プロモータ配列としては、例えば、宿主が大腸菌の場合にはlacプロモータ、trpプロモータ等が好適に例示される。しかしながら、これに限定するものではなく公知のプロモータ配列を利用できる。更に、本発明の発現ベクターには、宿主において表現型選択を付与することが可能なマーキング配列等をも含ませることができる。このようなマーキング配列としては、薬剤耐性、栄養要求性などの遺伝子をコードする配列等が例示される。具体的には、カナマイシン耐性遺伝子、クロラムフェニコール耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子等が例示される。また、発現ベクターとして、市販の大腸菌用発現ベクター(例えばpETタンパク質発現システム:ノバジェン社製)を用いることが可能である。
ベクターへの核酸分子等の挿入は、例えば、適当な制限酵素でPQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする遺伝子を切断し、適当なベクターの制限酵素部位、又はマルチクローニング部位に挿入して連結する方法などを用いることができるが、これに限定されない。連結に際しては、DNAリガーゼを用いる方法等、公知の方法を利用できる。また、DNALigation Kit(Takara-bio社)等の市販のライゲーションキットを利用することもできる。
宿主となる細胞としては、PQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする核酸分子を効率的に発現できる細胞であれば、特に制限はない。原核生物を好適に利用でき、特には大腸菌を利用することができる。その他、枯草菌、バシラス属細菌、シュードモナス属細菌等をも利用できる。大腸菌としては、例えば、E.coli DH5α、E.coli BL21、E.coli JM109等を利用できる。更に、原核生物に限定されず真核生物細胞を利用することが可能である。例えば、Saccharomyces cerevisiae等の酵母、Sf9細胞等の昆虫細胞、CHO細胞、COS-7細胞等の動物細胞等を利用することも可能である。形質転換法としては、塩化カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポソームトランスフェクション法、マイクロインジェクション法等を公知の方法を利用することができる。
また、上記したようなアルドース脱水素酵素と類似の構造を有し、かつ、機能的に同等なタンパク質をも含む。したがって、自然界に存在するアルドース脱水素酵素の他、人為的な変異誘発、又は遺伝子組換えにより改変されたタンパク質をも含むことが意図される。例えば、上記した天然由来のアルドース脱水素酵素のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつ上記したアルドース脱水素酵素と生物学的機能が同等である改変体が包含し得る。なお、アミノ酸配列における変異の数は、もとのタンパク質の生物学的機能が維持される限り制限されない。例えば、このような改変体は、天然由来のアルドース脱水素酵素のアミノ酸配列に対して、アミノ酸レベルで70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上の相同性を保持するものとすることができる。
当業者は、アミノ酸配列の改変に際して本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素のその酵素活性を保持する改変を容易に予測することができる。具体的には、例えばアミノ酸置換の場合には、タンパク質構造保持の観点から極性、電荷、親水性、若しくは疎水性等の点で置換前のアミノ酸と類似した性質を有するアミノ酸に置換することができる。このような置換は保守的置換として当業者には周知である。具体例を挙げると、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファンは、共に非極性アミノ酸に分類されるため、互いに似た性質を有する。また、非荷電性アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンが挙げられる。また、酸性アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。また、塩基性アミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジンが挙げられる。これらの各グループ内のアミノ酸置換は、タンパク質の機能が維持されるとして許容される。また、その後の精製、固相への固定化等の便宜のため、アミノ酸配列のN、又はC末端にHis-tag、FLAG-tag等を付加したものも好適に例示される。このようなTagペプチドの導入は常法により行なうことができる。また、酵素活性の消失を引き起こさない範囲内で、C末端側若しくはN末端側のアミノ酸残基を切断した切断型でもよい。更に、グルコシル化等の化学修飾を付加してもよい。
このような改変体は自然又は人工の突然変異により生じた突然変異体の中から当該活性を有するタンパク質をスクリーニングすることにより取得できる。或いは、PQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする核酸分子に対して改変を施すことによっても取得できる。
PQQ依存型アルドース脱水素酵素をコードする核酸分子に対して改変としては、例えば、上記PQQ依存型アルドース脱水素酵素の性質を保持したタンパク質をコードする限り、前記酵素をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドを含むものと解される。そして、前記酵素をコードする塩基配列からなるポリヌクレオチドの塩基配列において1又は複数の塩基が欠失、置換、付加もしくは挿入されたものも含まれる。したがって、配列番号1の塩基配列の3'、又は5'末端にHis-Tag配列をコードする塩基配列が付加したものも好適に例示される。
ここで、ストリンジェントな条件とは、塩基配列において、60 %以上、好ましくは70 %、より好ましくは80 %以上、特に好ましくは90%以上の同一性を有するDNA同士が優先的にハイブリダイズし得る条件をいう。ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーションの反応や洗浄の際の塩濃度及び温度を適宜変化させることによって調製することができる。例えば、Sambrook他著、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、(1989)、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor、New York等に記載のサザンハイブリダイゼーションのための条件等が挙げられる。
より具体的には、50 %(v/v) ホルムアミド、5×SSC中で、42 ℃にて16時間のハイブリダイゼーションが例示される。ここで、1×SSCは、0.15 M NaCl、0.015 M クエン酸ナトリウム、pH 7.0である。また、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を0.1〜1.0 %(v/v)、変性非特異的DNAを0〜200 μl含んでいてよい。そして、洗浄条件としては、2×SSC、0.1 % SDS中の5℃にて5分間の洗浄、及び0.1×SSC、0.1 % SDS中の65℃にて30 分間〜4時間の洗浄が例示される。また、これらと同等の条件も当業者は容易に理解できるであろう。
核酸分子に改変を施す方法としては、特に制限はなく、当業者に公知の改変タンパク質作製のための変異導入技術を利用することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法、PCR等を利用して点変異を導入するPCR突然誘発法、あるいは、トランスポゾン挿入突然変異誘発法などの公知の変異導入技術を利用することができる。市販の変異導入用キット(例えば、QuikChange(登録商標)Site-directed Mutagenesis Kit(Stratagene社製)等を利用してもよい。また、常法のホスホルアミダイト法等のDNA合成法を利用して、所望の改変を施した核酸分子を構築することによっても調製することができる。もしくは、配列番号1の塩基配列を有するポリヌクレオチドに対してエキソヌクレアーゼを作用させることによって取得することができる。
PQQ依存型アルドース脱水素酵素に、当該酵素の補酵素であるPQQを、グリセロールの共存下に接触させる形態は、当該酵素とPQQの反応性及び安定性を保持できる限り特に制限はないが、適当な緩衝液中で行うことが好ましい。緩衝液としては、通常、当該分野で用いられるpH緩衝液を使用することができる。具体的は、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液、Tris-塩酸緩衝液、Tris-酢酸緩衝液等が例示される。緩衝成分の最終濃度は5mM〜100mMの範囲で、pH6.0〜9.5の範囲内で調製される。
また、反応液量、並びに各成分の使用濃度については、当業者は適宜設定することができる。例えば、反応液は100μl以下、特には、10〜50μlの範囲で調製することが好ましい。そして、本発明の方法においては、反応液中にグリセロールを含むが、その濃度は、最終濃度で10〜40%(w/v)含ませることが好ましい。しかしながら、これに限定されるものではなく、当該酵素反応系において、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の触媒反応の効率を高めることができ、かつ当該酵素反応系に必要とされる他の試薬の機能発揮を妨げない範囲内で適宜設定することができる。
また、活性化対象となるPQQ依存型アルドース脱水素酵素はPQQと1:1の比率で結合するため、当該酵素とPQQを等モル量で反応させることが好ましい。しかしながら、当該酵素の可溶性に影響を与えない限り当モル濃度以上のPQQを添加してよく、したがって、当該酵素へのPQQの取り込み、及び結合を阻害しない限り、上記比率に制限されるものではない。例えば、当該酵素とPQQは、100:1〜1:100の比率で含むように反応液を調製することができる。
反応温度は、活性化対象となる酵素の種類に応じその最適な温度を設定することができ、酵素が補酵素PQQを効率的に取り込むことができる温度に調節される好ましくは、4〜25℃で、60分間以上反応させる。本発明の方法により、酵素構造内へのPQQの効率的な取り込み、及び結合が達成されることから、短時間でも高効率の酵素のホロ化が可能となる。したがって、反応時間は、24時間以内であってよく、好ましくは6時間、特に好ましくは3時間以内である。特に、当該酵素が、高度好熱菌由来の酵素である場合には、40℃より高い温度でも好適に実施することができるが、酵素自体のみならず、PQQ及びグリセロールの機能が失われない温度に設定される。
PQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化の確認は、活性化処理後のアルドースに対する脱水素活性を測定することによって行うことができ、好ましくは、活性化処理前の酵素と比較することによって行うことができる。そして、処理前と処理後の酵素活性を比較し、処理後の酵素活性の上昇を指標として活性化の成否を判断する。
アルドースに対する脱水素活性は、PQQ依存的に糖類の脱水素反応を触媒する酵素の活性測定法として知られる方法をいずれも利用して行うことができる。例えば、本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素をグルコース等のアルドース基質と反応させ、当該酵素の触媒反応に伴って還元されるPQQの量を酸化還元試薬の呈色反応により定量することより測定することができる。例えば、ジクロロインドフェノール(dichloroindophenol:DCPIP)を利用するができる。これは還元されると600nmの吸光度が減少することから、かかる吸光度変化をもって当該酵素の活性とすることができる。また、当該酵素の働きにより還元されたジクロロインドフェノール(以下「DCPIP」と略する。)の電極酸化電流を測定することにより行うことができる。実施例において、好適なアルドース脱水素酵素の活性測定方法の一例について開示するが、これに限定されるものではなく、特に用量等の数値設定は適宜変更することができる。
そして、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化のタイミングは、酵素反応系において、向上した酵素活性を発揮できる限りにおいて特に制限はない。酵素反応の前に予め活性化させてもよく、また酵素反応系中で並行して活性化が実行されるように構成してもよい。
以上のように構成することにより、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の酵素活性が有意に向上することができ、本発明の方法により活性が向上したPQQ依存型アルドース脱水素酵素も本発明の一部をなす。特に、遺伝子組換え手法により作製された組換え酵素の酵素活性を顕著に向上させることができる。組換え酵素は、大量生産が可能となる一方で、天然型のタンパク質とは立体構造等の構造が異なった形態で生産されることがあり、生物学的に不活性な状態となる場合がある。例えば、ホロ酵素の場合には補酵素が欠けた状態となることが知られている。しかしながら、本発明の方法によれば、当該PQQ依存型アルドース脱水素酵素の補酵素PQQの取り込み、及び結合を促進して、高活性型状態への変換を可能とする。したがって、本発明の方法を利用することにより、効率的なアルドース脱水素酵素反応を達成でき、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野におけるアルドースの脱水素反応を要する技術の発展に貢献できる。特に、燃料電池、バイオセンサー等への応用が期待される。そして、酵素活性が向上したPQQ依存型アルドース脱水素酵素を利用することにより、更にその性能の向上が図れる。特に、好熱菌由来等の熱安定性が高いPQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化を図り、その触媒能力を燃料電池に利用する場合には、その熱安定性により酵素の劣化を防止し持続的な発電を行えると共に、活性の向上により高性能の燃料電池を構築が可能となる。また、糖基質に対して広い基質特異性を有する酵素の活性化を図る場合には、活性の向上により効率的に様々な種類のアルドースを燃料として利用できることとなり、資源の有効利用が図れ、その利用価値は更に高くなる。そして、熱安定性が高いPQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化を図り、これをバイオセンサーに利用する場合には、熱安定性により触媒能力が劣化することなく連続的な測定ができると共に、活性の向上により更に検出精度の向上が可能となる。
本発明の活性化方法は、グリセロールの存在下で、PQQ依存型アルドース脱水素酵素とその補酵素PQQを接触させるものである。そして、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の酵素構造内へのPQQの取り込み、及び結合が促進され、当該酵素の活性が向上する。つまり、アロ酵素状態の酵素のホロ酵素化が促進され、また、ホロ酵素の状態であったものに対しても、更にPQQの取り込み及び結合効率が向上し、その機能発現が亢進されることによるものと考えられる。特に、本発明の方法によって、酵素構造内へのPQQの取り込み、及び結合が、短時間で高効率に達成することができる。
この現象は、グリセロールの保水性及びその分子量により特異的に奏せられるものと考えられ、その推定活性化様式を図1に模式的に示す。つまり、グリセロールの存在下で、PQQ依存型アルドース脱水素酵素とPQQを接触させることにより、当該酵素の酵素構造体内へのPQQの取り込み、及び結合反応に際して、酵素溶液中の水分がグリセロールにより奪われ、当該酵素が、PQQと密接に関わり合う確率が高くなるものと考えられる。その結果、より高効率でPQQが酵素構造体内に取込まれ、酵素活性が向上するものと推察される。特に、グリセロールは、分子量が92.09と小さいことから、酵素に接近でき、その保水効果が酵素に強く影響するものと考えられ、当該酵素の酵素構造体内へのPQQの取り込み、及び結合反応を促進すると推測される。また、有機溶媒であるグリセロールがタンパク質である酵素の構造に作用し、その高次構造を一時的に不安定化させ、PQQの酵素構造内への侵入を促進することも一因として推測される。
また、本発明は、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化用キットを含み、本発明のPQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化方法を実施するために必要となる試薬を含んで構成される。例えば、PQQ依存型アルドース脱水素酵素、グリセロール、補酵素PQQを含む。そして、必要に応じて、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の電子受容体となるフェナジンメトサルフェート(以下、「PMS」と称する)、2,6−ジクロロフェノール-インドフェノール(以下、「DCPIP」と称する)を含むものとし、適当な緩衝液を含んで構成してもよい。これらの試薬の形態に制限はなく、例えば凍結乾燥物、または適切な保存溶液中の溶液であっても、適当な担体に固定化したものであってもよい。これらPQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化に必要な試薬をキットとして構成することにより、簡便かつ迅速なPQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化が可能となる。
〔実施例1〕サーマス・サーモフィラス由来のPQQ依存型アルドース脱水素酵素の調製
本実施例において、本発明の活性化の対象となり得るサーマス・サーモフィラス由来のPQQ依存型アルドース脱水素酵素の調製を行った。
(方法)
1.遺伝子クローニング
サーマス・サーモフィラスのゲノムDNAからアルドース脱水素酵素をコードする核酸分子を、PCRを利用してクローニングした。
詳細には、鋳型として、サーマス・サーモフィラスHB8のゲノムDNA(タカラバイオ:カタログ番号No.3071)を用いた。プライマーは、サーマス・サーモフィラス HB8由来の推定PQQ依存型グルコース脱水素酵素のオープンリーディングフレーム(以下、「ORF」と称する)の塩基配列(YP_143836:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=protein&val=55980539)に基づいて、ORFの開始コドンと終始コドンの間の領域が増幅されるように設計した。このとき、開始コドン側のプライマーtth_gdh_f1には、ベクター連結用の制限酵素NdeI認識配列(CATATG)を導入して設計した。また、終始コドン側のプライマーtth_gdh_r1及びプライマーtth_gdh_r2には、同様にベクター連結用の制限酵素HindIII認識配列(AAGCTT)を導入して設計した。なお、プライマーtth_gdh_r1は、元の終止コドン(ATG)にそのまま対応するものであるが、プライマーtth_gdh_r2は、カルボキシル末端に精製用のHis tag標識を付加させるため終止コドンをグリシン(GCC)に対応するよう設計した。そして、〔プライマーtth_gdh_f1 − プライマーtth_gdh_r1〕の組み合わせと、〔プライマーtth_gdh_f1 − プライマーtth_gdh_r2〕の組み合わせで、2種類の増幅産物を作製した。
具体的な配列情報は以下の通りである。
プライマーtth_gdh_f1
5'-ACATTCATATGGACCGGAGGCGCTTTCTCGT-3' (配列番号3)
プライマーtth_gdh_r1
5'-ATACCAAGCTTCTAAAGGAGGCGTAGCACCCGGTC-3' (配列番号4)
プライマーtth_gdh_r2
5'-ATACCAAGCTTGCCAAGGAGGCGTAGCACCCGGTC-3' (配列番号5)
PCR反応液の組成、及びPCRプログラムは、以下の通りである。
PCR反応液の組成:
1×KOD plus buffer(東洋紡)、
0.4 mM dNTPs、
0.5 μM プライマーtth_gdh_f1、
0.5 μM プライマーtth_gdh_r1、又は、0.5 μM プライマーtth_gdh_r1、
10 %(v/v) ジメチルスルフォキシド、
1.25 mM MgSO4、
0.5 unit KOD plus(東洋紡)、
5 ng Thermus thermophilus HB8ゲノムDNA。
反応プログラム:
98 ℃ 1分→、
〔98 ℃ 10 秒→(65 ℃−0.5 ℃ / 2サイクル)→68 ℃ 1分〕× 35 サイクル→
68 ℃ 1分。
PCR増幅後、約1kbpのDNAの増幅断片を精製した。精製後の増幅断片、及びプラスミドベクターpET22b(Novagen社)を、それぞれ制限酵素NdeI及びHindIIIで消化した。続いて、増幅断片とプラスミドベクターpET22bとを混合し、連結反応を行った。なお、連結反応は、DNA ligation kit(タカラバイオ社)を用いた。連結後の反応液を、大腸菌XL1-Blue(Stratagene社)に導入し、形質転換させた。続いて、抗生物質アンピシリン含有LB寒天培地のプレート上に接種し培養した。培養後、プレート上に形成されたXL1-Blueの単一コロニーを選択し、このコロニーを、少量の培地(1.5 ml)で培養した。次いで、培養菌体から、プラスミドをplasmid mini kit(QIAGEN社)にて精製し、プラスミドに挿入された断片の塩基配列をチェーンターミネーター法で決定した。その塩基配列、及び推定アミノ酸配列を配列表の配列番号1、2にそれぞれ示す。ここで、増幅されたDNA断片の塩基配列は、YP_143836の塩基配列と一致し、PQQ依存型グルコース脱水素酵素をコードする核酸分子がクローニングされたことが確認された。以下、本実施例で得られたサーマス・サーモフィラス由来のPQQ依存型グルコース脱水素酵素をコードする核酸分子を「tth_asd遺伝子」と、また、それがコードするグルコース脱水素酵素を「TthASD」と称するものとする。
2.形質転換体の製造、及び組換えタンパク質の製造
tth_asd遺伝子により大腸菌を形質転換し、大腸菌細胞内でtth_asd遺伝子を発現させ組換えTthASDを製造した。
詳細には、pET22bにtth_asd遺伝子を導入して調製した酵素発現ベクターを用いて、BL21(DE3)株を形質転換した。これをLB培地にて37℃で振とう培養した。そして、培養液のOD600が約0.6となった時に、イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(Isopropyl β-D-1-thiogalactopyranoside:以下、「IPTG」と略する。)を最終濃度0.5mMとなるように添加し発現誘導を行った。続いて、37℃で4時間培養した後、菌体を遠心分離によりを回収した。回収した菌体を、リン酸緩衝液(以下、「PBS」と称する。)中に懸濁した後、リゾチームを添加し凍結融解を3回繰り返すことにより菌体を破砕した。菌体破壊後、ペンゾネースを適量添加し室温で放置した後、遠心分離により、水溶性画分として上清を回収した。水溶性画分から、His tag精製レジンであるTALON樹脂(CLONTECH社製)を用いたメタルイオンアフィニティークロマトグラフィーにて、His tagを持ったTthASDの精製を行った。詳細には、PBSで平衡化したTALON樹脂に、前記水溶性画分を加え、1mMイミダゾールを含むPBSで樹脂を洗浄し、最後に100mMイミダゾールを含むPBSでTthASDを溶出した。得られた溶出画分を、Hitrap desalting column(GEヘルスケア社製)を用いて、イミダゾールを除去した。
〔実施例2〕PQQ依存型アルドース脱水素酵素のグリセロール添加による効果確認−1
PQQ依存型アルドース脱水素酵素を、その機能発現のためのPQQ添加時におけるグリセロールの共存による効果を確認した。
(方法)
本実施例においては、PQQ依存型アルドース脱水素酵素を、その機能発現のためPQQを添加する際におけるグリセロールの共存による効果を確認した。実施例1にて大腸菌の菌体内で組換え合成されたTthASDの酵素溶液を対象とし、グリセロールの共存下でPQQを添加した。詳細には、100 pmolのTthASDに、グリセロールを最終濃度0〜40 %(w/v)、PQQを10 mM(最終濃度)加えて全量 15 μl(50mM Tris-HCl:pH 7.4)とし、室温で60分間放置した。反応終了後、Hitrap desalting column(GEヘルスケア社製)を用いて酵素溶液から過剰なPQQを除去し、得られた酵素溶液のアルドース脱水素活性を測定した。
ここで、PQQ依存型アルドース脱水素酵素活性の測定原理及び詳細な手順について、グルコースを基質とした場合を例にとって説明する。なお、グルコース以外の基質に対するアルドース脱水素酵素活性を測定するためには、基質を所望のアルドースに置換することによって同様にして測定できる。本明細書中の実施例において特に注釈がない限り、アルドース脱水素酵素活性は以下の通り行った。
測定原理:
PQQ依存型アルドース脱水素酵素の酵素活性は、当該脱水素酵素の働きによりグルコースから奪われた水素が、フェナジンメトサルフェート(以下、「PMS」と称する)を還元し、還元型PMSが、2,6−ジクロロフェノール-インドフェノール(以下、「DCPIP」と称する。)を還元する反応を利用して測定した。即ち、下記反応式A、Bに示す反応を利用した。そして、還元型DCPIPの存在を、600nmで分光光度法により測定し、酵素活性とした。
D-グルコース + PMS+酵素溶液 → D-グルコノ-1,5-ラクトン + 還元型PMS・・・・A
還元型PMS + DCPIP → PMS + 還元型DCPIP・・・・B
手順:
酵素反応液を調製する。20 mMのMOPS緩衝液(pH7.4)、500mM(最終濃度)のD-グルコース、0.1 mM(最終濃度)のPMS、0.05 mM(最終濃度)のDCPIPを混合して調製した0.5 mlの反応混合液に、10 pmolの酵素溶液を加え穏やかにピペッティングにより混合した。続いて、600 nmでの吸光度の減少を分光光度計で3分間記録し、初期直線部分からの1分当たりのΔODを計算した。
酵素活性は、以下の式を用いて算出した。
U/ml={ΔOD/min×Vt×df}/(16.8×1.0×Vs)
U/mg=(U/ml)×1/C
Vt:総体積(0.5 ml)
Vs:サンプル体積(0.5 ml)
16.8:上記測定条件でのDCPIPのミリモル分子吸光係数(cm2/マイクロモル)
1.0:光路長(cm)
df:希釈係数
C:溶液中の酵素濃度(c mg/ml)
なお、グリセロール添加による酵素活性の変動を確認すべく、コントロールとしてグリセロールを添加せず、TthASDとPQQのみを接触させた酵素試料についても同様に、アルドース脱水素活性を測定した。
(結果)
結果を図2に示す。図2Aは、反応速度を縦軸に、グリセロールの添加量を横軸にとったグラフである。図2Bは、グリセロールを添加しない場合の酵素活性を1として、グリセロールを添加した場合の反応速度倍率を示したものであり、反応速度倍率を縦軸に、グリセロールの添加量を横軸にとったグラフである。図2より、グリセロールの添加によってTthASDの酵素活性が向上していることが認められ、特に、グリセロールを酵素反応溶液に対して27%としたときに、5倍以上の酵素活性の向上が認められた。
以上の結果より、グリセロールの存在下で、PQQ依存型アルドース脱水素酵素とPQQを接触させることによって、当該酵素の酵素活性を有意に向上させることができることが判明した。これは、グリセロールとの共存下で、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の酵素構造内へのPQQの取り込み、及び結合が促進され、その結果、当該酵素の活性が向上するものと考えられる。つまり、アロ酵素状態の酵素のホロ酵素化が促進されたか、また、ホロ酵素の状態であったものに対しても更にPQQの取り込み、及び結合効率が向上し、酵素機能の発現が亢進されることによるものと考えられる。そして、ここで共存させたグリセロールは、水分保持力が高く水分を吸収する性質を有していることが知られている。このことを鑑みると、グリセロールの存在下で、PQQ依存型のアルドース脱水素酵素と補酵素PQQとを接触させることにより、酵素溶液中の水分がグリセロールにより奪われ、当該酵素が、PQQと密接に関わり合う確率が高くなり、PQQとの結合効率が向上したものと考えられる。また、かかる現象は、有機溶媒であるグリセロールが、タンパク質である酵素の構造に作用し、タンパク質の高次構造を一時的に不安定化させ、PQQが酵素構造内に入りやすくなったことにも起因するとも考えられる。
〔実施例3〕PQQ依存型アルドース脱水素酵素のグリセロール添加による効果確認−2
実施例2に続き、PQQ依存型アルドース脱水素酵素を、その機能発現のためのPQQ添加時におけるグリセロールの共存による効果を確認した。ここでは、グリセロール濃度を細かく変化させ、最適グリセロール濃度を検討した。
(方法)
本実施例においては、実施例2に続き、PQQ依存型アルドース脱水素酵素を、その機能発現のためPQQを添加する際におけるグリセロールの共存による効果を確認すると共に、その際に必要とされる最適グリセロール濃度の検討を行った。ここでも、実施例1にて大腸菌の菌体内で組換え合成されたTthASDの酵素溶液を対象とし、グリセロール濃度を最終濃度で0、1.2、6、12、18、24、30 %(w/v)とした。このとき、4℃で1日放置した以外は、実施例2と同様の手順により当該酵素とPQQを接触させた。反応終了後、実施例2と同様に、酵素溶液を調製し、グルコースに対するアルドース脱水素酵素活性を測定した。
結果を図3に示す。図3は、グリセロールを添加しない場合の酵素活性を1とした場合の反応速度倍率を示したものであり、反応速度倍率を縦軸に、グリセロールの添加濃度を横軸にとったグラフである。図3より、グリセロールの添加によってTthASDの酵素活性が向上することが認められ、グリセロールを酵素反応溶液に対して12%以上としたときに、酵素活性がグリセロールを添加しない場合に比べて有意に向上することが認められた。特に、30%としたときに、2倍以上の酵素活性の向上が認められた。
以上の結果より、グリセロールの存在下で、PQQ依存型アルドース脱水素酵素とPQQを接触させることによって、当該酵素の酵素活性を有意に向上させることができることが判明した。かかる結果は、実施例2で得られた結果を追随するものある。なお、実施例2に比べて、グリセロール添加時の不添加時に対する反応速度倍率が低下した原因は、反応時間を長くしたことにあると予想される。酵素構造内に取り込まれるPQQ量は、PQQと当該酵素との接触時間を長くすればグリセロールの不添加時においても増加する。しかしながら、グリセロール共存下でのPQQとの接触により、酵素構造内へのPQQの取り込み、及び結合効率を向上させることができ、短時間でのPQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化が可能となる。そして、実施例2、及び3の結果より、グリセロール濃度を10〜40%の共存下で、PQQ依存型アルドース脱水素酵素とPQQを接触させることにより、本発明の特有の効果である高効率かつ短時間での当該酵素の活性化が特に顕著に達成されることが判明した。
実施例2、及び3での結果を踏まえ、実施例4において、水分保持力の観点からアルドース脱水素酵素のPQQの取り込み、及び結合の促進について更に考察する。
〔実施例4〕PQQ依存型アルドース脱水素酵素のグリセロール添加による効果確認−2
実施例2、及び3に続き、PQQ依存型アルドース脱水素酵素を、その機能発現のためのPQQ添加時におけるグリセロールの共存による効果を確認した。ここでは、グリセロールの効果につき、種々の水分保持能力を有する試薬と比較することにより更に検討した。
(方法)
グリセロールの存在下で、PQQ依存型アルドース脱水素酵素とPQQを接触させることにより当該酵素の酵素活性が向上できるとの実施例2、及び3の結果を受け、本実施例においては、グリセロールと同様に水分保持能力を有する試薬についてグリセロールの効果と比較することにより検討した。ここでも、実施例1にて大腸菌の菌体内で組換え合成されたTthASDの酵素溶液を対象とし、グリセロール及び他の水分保持能力を有する試薬の共存下でPQQを添加した。水分保持能力を有する試薬として、グリセロール、ポリエチレングリコール6000、デキストラン、トレハロースについて検討し、この点を除いては、実施例2と同様の手順により、当該酵素とPQQとを接触させた。このとき、反応液は、100pmol(最終濃度)のTthASD、20%(最終濃度)の各試薬、及び1mM(最終濃度)のPQQを含み、全量15μl(50mM Tris-HCl:pH7.4)にして調製した。反応終了後、実施例2と同様に、酵素反応液を調製し、グルコースに対するアルドース脱水素活性を測定した。なお、これら試薬の添加による酵素活性の変動を確認すべく、コントロールとして、何らの試薬によって処理されず、TthASDとPQQのみを接触させた酵素溶液についても同様にアルドース脱水素活性を測定した。
また、ネガティブコントロールとして酵素基質を添加せず、酵素のみでインキュベートした場合について検討した。
(結果)
結果を図4に示す。図4は、反応速度を縦軸に、添加物の種類を横軸にとったグラフである。図4より、グリセロールを添加によってTthASDの酵素活性が顕著に向上するものの、その他の試薬の添加によっては酵素活性の向上は認められず、コントロールと同程度の活性しか示さないことが認められた。
以上の結果より、検討した試薬の中ではグリセロールのみが、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の酵素構造体内へのPQQの取り込み、および結合を促進でき、酵素活性を有意に向上させることができることが判明した。ここで、検討したグリセロール、ポリエチレングリコール6000、デキストラン、トレハロースのその理化学的性質について詳細に比較するとは、いずれも水分保持能力を有するが、分子量が相違するものであることが理解される。つまり、分子量は、グリセロールが92.09、ポリエチレングリコール6000は約6000、デキストランが約6000、トレハロースが342.29であり、グリセロールは、他の試薬に比べて分子量が小さい。したがって、かかる分子の大きさも、当該酵素とPQQとの関わりに対して何らかの影響を与え、PQQとの結合効率が向上したものと考えられる。推測ではあるが、グリセロールは、その小さな分子量から酵素本体に接近できることから酵素に対してその保水効果を強く影響することができるものと考えられ、当該酵素の酵素構造体内へのPQQの取り込み、及び結合反応を促進するものと考えられる。
〔実施例5〕PQQ依存型アルドース脱水素酵素の諸性質の確認−1
大腸菌の菌体内で組換え合成し、本発明の方法により活性化したPQQ依存型アルドース脱水素酵素の諸性質を確認した。ここでは、当該酵素の基質親和性について検討した。
(方法)
実施例1にて大腸菌の菌体内で組換え合成し、実施例2にて活性化したTthASDの酵素溶液を測定対象として、当該酵素の諸性質を確認した。ここでは、当該酵素の基質親和性について確認するため、反応液中のグルコース基質の濃度を変化させた場合の脱水素酵素活性を測定した。詳細には、酵素反応液中のグルコース濃度を、最終濃度0〜1000 mMの範囲で変化させ、各基質濃度における酵素活性を測定した。このとき、基質であるグルコース濃度を上記の範囲で変化させた以外は、上記実施例2と同様に酵素反応液を調製し、グルコースに対する脱水素活性を測定することにより行った。
このとき、比較として、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の一種である、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)由来のPQQ依存型グルコース脱水素酵素(以下、「AccGDH」と略する場合がある。)の酵素活性をも同様にして測定した。
(結果)
結果を図5に示す。図5は、反応速度を縦軸に、グルコース濃度を横軸にとったグラフである。図5より、AccGDHでは、反応初速度が最大初速度の半分となる基質濃度(ミカエリス・メンテン定数Km)は1mMで、一方、TthASDのKmは50mMであることが認められた。また、AccGDHはグルコース濃度50mM以上で反応阻害が生じるのに対し、TthASDではグルコース濃度1000mMでも70%以上の活性を保持していることが認められた。以上の結果より、本発明によって活性化された酵素は、従来型のアシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)由来のグルコース脱水素酵素と比較して幅広い基質親和性を有していることが判明した。
〔実施例6〕PQQ依存型アルドース脱水素酵素の諸性質の確認−2
実施例5に続いて、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の諸性質を確認した。ここでは、当該酵素の触媒活性の発現に際して好適な電子受容体について検討した。
(方法)
実施例5と同様、本実施例においても実施例1にて大腸菌の菌体内で組換え合成し、実施例2にて活性化したTthASDの酵素溶液を測定対象として、当該酵素の諸性質を確認した。ここでは、当該酵素の触媒活性の発現に際して好適な電子受容体について検討するため、反応液中に、電子受容体として、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)単独、又はDCPIPとフェナジンメトサルフェート(PMS)との組み合わせの存在下で、グルコースに対するアルドース脱水素活性を測定した。酵素反応液は、電子受容体として、DCPIPを単独で含ませるように調製したもの、及びDCPIPとPMSとを組み合わせて含ませるように調製したものの2種類を作製した以外は、上記実施例2と同様に調製した。そして、上記実施例2と同様にグルコースに対する脱水素活性を測定した。
(結果)
結果を図6に示す。図6は、反応速度を縦軸に、電子受容体の種類を横軸にとったグラフである。図6より、ここで検討したTthASDは、DCPIP単独よりも、DCPIPとPMSを組み合わせて用いた場合の方が、酵素活性が約3倍高いことが認められた。以上の結果より、DCPIP単独でも当該酵素の触媒反応の電子受容体として機能し、当該酵素反応に適用できるが、DCPIPとPMSを組み合わせて用いることにより、有意に酵素活性を向上できることが判明した。
〔実施例7〕PQQ依存型アルドース脱水素酵素の諸性質の確認−3
実施例5、及び6に続いて、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の諸性質を確認した。ここでは、当該酵素の基質選択性について検討した。
(方法)
実施例5、及び6と同様、本実施例においても実施例1にて大腸菌の菌体内で組換え合成し、実施例2にて活性化したTthASDの酵素溶液を測定対象として、当該酵素の諸性質を確認した。ここでは、当該酵素の基質選択性について検討するため、種々のアルドースに対する反応性を検討した。詳細には、8種類のアルドース(マンノース;C6H12O6、ガラクトース;C6H12O6、フルクトース;C6H12O6、キシロース;C5H10O5、リボース;C5H10O5、フコース;C6H12O5、スクロース;C12H22O11、グルコース;C6H12O6)に対するアルドース脱水素酵素活性を測定した。詳細には、グルコースに代えて上記各アルドースを500 mM(最終濃度)含ませた以外は、上記実施例2と同様に酵素溶液を調製し、各アルドースに対するアルドース脱水素活性を測定した。
(結果)
結果を図7に示す。図7は、反応速度を縦軸に、基質の種類を横軸にとったグラフである。図7より、ここで検討したTthASDは、フコース、リボース、キシロース、マンノース、ガラクトースに対して、グルコースによりも高い脱水素活性を示すことが認められた。また、グルコースよりも低いが、フルクトースに対しても脱水素活性を示し、僅かではあるが、スクロースに対しても脱水素酵素活性を示すことが認められた。以上の結果より、TthASDは、幅広いアルドースを基質として選択できる性質を有していることが判明した。一方、AccGDHについては、文献値(Cleton-Jansen AM他著、J.Bacteriol.、1988年、第170巻、第5号、第2121〜5頁、及びCleton-Jansen AM他著、Mol. Gen. Genet.、1989年、第217巻、第2〜3号、第430〜6頁)から、アルドース基質として、主にグルコースとマンノースを選択する性質を持つことが知られており、ここで検討の対象としたTthASDが、既知の同類の酵素よりも、幅広い基質選択性を有していることが確認された。
〔実施例8〕PQQ依存型アルドース脱水素酵素の諸性質の確認−4
実施例5〜7に続き、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の諸性質を確認した。ここでは、当該酵素の酵素反応の温度依存性について検討した。
(方法)
実施例5〜7と同様、本実施例においても実施例1にて大腸菌の菌体内で組換え合成し、実施例2にて活性化したTthASDの酵素溶液を測定対象として、当該酵素の諸性質を確認した。ここでは、当該酵素の当該酵素の酵素反応の温度依存性について検討するため、酵素反応液の温度を変化させた場合のアルドース脱水素酵素活性を測定した。詳細には、酵素反応温度を40〜75℃の範囲で変化させた。そして、それ以外は、実施例2と同様に、酵素反応液を調製し、グルコースに対するアルドース脱水素酵素活性を測定した。
(結果)
結果を図8に示す。図8は、反応速度を縦軸に、反応温度を横軸にとったグラフである。図8より、ここで検討したTthASDの至適温度が70℃付近であることが認められた。また、40℃付近での酵素活性も、至適温度である70℃における酵素活性の約半分程度保持できることが認められた。以上の結果より、TthASDは、好熱菌由来のタンパク質(酵素)として典型的な反応温度依存性を示していることが理解でき、また、活性温度域の広い酵素であることが理解できる。
〔実施例9〕PQQ依存型アルドース脱水素酵素の諸性質の確認−5
実施例5〜8に続き、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の諸性質を確認した。ここでは、当該酵素の酵素反応における、反応温度と基質濃度の相関について検討した。
(方法)
実施例5〜8と同様、本実施例においても実施例1にて大腸菌の菌体内で組換え合成し、実施例2にて活性化したTthASDの酵素溶液を測定対象として、当該酵素の諸性質を確認した。ここでは、当該酵素の酵素反応における、反応温度と基質濃度の相関について検討するため、酵素反応液の温度、及び基質濃度を変化させた場合のアルドース脱水素酵素活性を測定した。詳細には、基質濃度を100、300、500、700 mMと変化させ、酵素反応温度を40℃と70℃に設定した。そして、ここで用いた酵素量は40℃での反応の場合には20 pmolに、70℃での反応の場合には10 pmolに調製し、これら以外は、実施例2と同様に、酵素反応液を調製し、グルコースに対するアルドース脱水素酵素活性を測定した。
(結果)
結果を図9に示す。図9は、反応速度を縦軸に、グルコース濃度を横軸にとったグラフであり、40℃と70℃での酵素活性の結果を示す。図9より、40℃での酵素反応の場合の酵素濃度を、70℃での場合の2倍に設定したことから、この両者の酵素活性に大きな相違は認められなかった。そして、その傾向はグルコース濃度にも影響されないことが認められた。以上の結果より、TthASD は70℃付近に至適温度を持つ酵素であるが、40℃付近の反応でも基質濃度に影響されることなく2〜2.5倍量の酵素を用いることで同程度の酵素反応を得ることが可能であることが判明した。
本発明は、PQQ依存型アルドース脱水素酵素の活性化方法に関し、医療、食品、環境分野等の様々な産業分野において利用可能である。

Claims (10)

  1. ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素の反応速度を向上させる方法であって、
    前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素に、ピロロキノリンキノンを、グリセロールの共存下で接触させる工程を含み、
    ここで、前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素はアポ酵素の状態である、方法。
  2. 前記グリセロールを、最終濃度で、10〜40%(w/v)となるように接触させる請求項1に記載の方法。
  3. 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、組換え体である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、好熱菌に由来する酵素である請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、サーマス・サーモフィラスに由来する酵素である請求項4に記載の方法。
  6. 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、下記(a)〜(c)の何れかのアミノ酸配列からなるタンパク質である請求項5に記載の方法。
    (a)配列番号2に示すアミノ酸配列
    (b)配列番号2に示すアミノ酸配列において、1又は複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入および付加から選択される1以上の改変が生じたアミノ酸配列
    (c)配列番号2に示すアミノ酸配列において、アミノ酸レベルで80%以上の同一性を有するアミノ酸配列
  7. 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、下記(d)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質である請求項5又は6に記載の方法。
    (d)配列番号1に示す塩基配列を含むポリヌクレオチド
  8. 前記ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素が、電子受容体としてフェナジンメトサルフェート、及び2,6−ジクロロフェノール-インドフェノールを要求する請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. 請求項1〜8の何れか一項に記載の方法により取得された活性化ピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素。
  10. 請求項1〜8の何れか一項に記載の方法を実施するために必要となる試薬を含むピロロキノリンキノン依存型アルドース脱水素酵素の活性化用キット。
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