JP5459463B2 - プライマー組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ウレタン・ウレア樹脂を含有するプライマー組成物に関する。
例えばプラスチックなどからなる成型品用のプライマーとして、有機ジイソシアネートと、高分子ジオールと、アミン系鎖延長剤とを反応させて得られるポリウレタン・ウレア樹脂の溶液からなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されたプライマーは、ポリウレタン樹脂の溶液からなるものと比較して、耐水性および耐熱性が良好であるとともに、アミド結合に類似するウレア結合により、ナイロンからなる成型品(被着体)に対して良好な接着性を有するものである。
特開昭62−129361号公報
プライマーによる塗膜は、溶剤、ガソリンなどと接触する場合があり、このため、塗膜には耐溶剤性が要求される。
しかしながら、特許文献1に記載のプライマーによる塗膜は、十分な耐溶剤性(例えば、ガソリンとアルコールとの混合物に対する耐蝕性)を有するものではなかったり、十分な耐溶剤性を発現するまでに長時間(例えば120時間程度の養生時間)を必要としたりする。
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、ナイロンなどのプラスチックからなる被着体に対して十分な接着性を発揮することができ、養生時間が短くても耐溶剤性に優れた塗膜を形成することのできるプライマー組成物を提供することにある。
本発明のプライマー組成物は、(A)有機ポリイソシアネートと、(B)結晶性ポリエステルポリオールからなる高分子ポリオールと、(C)低分子ジアミンからなる鎖延長剤とを反応させて得られるウレタン・ウレア樹脂を含有するプライマー組成物であって、前記ウレタン・ウレア樹脂は、JIS K6301に規定する引張速度200mm/分の引張試験における降伏応力が5.0MPa以上であり、JIS K7244に規定する昇温速度2℃/分の動的粘弾性試験における20℃のtanδが0.05〜0.10であり、数平均分子量が10,000〜30,000であることを特徴とする。
本発明のプライマー組成物においては、低分子モノアミンからなる末端封止剤により、前記ウレタン・ウレア樹脂の分子両末端が封鎖されていることが好ましい。
本発明のプライマー組成物によれば、ナイロン等のプラスチックからなる被着体に対して十分な接着性を発揮する塗膜(プライマー層)を形成することができるとともに、短い養生時間であっても、耐溶剤性に優れた塗膜を形成することができる。
本発明のプライマー組成物の樹脂成分であるウレタン・ウレア樹脂は、(A)有機ポリイソシアネートと、(B)高分子ポリオールと、(C)低分子ジアミンからなる鎖延長剤とを反応させることにより得られる。
<(A)有機ポリイソシアネート>
ウレタン・ウレア樹脂を得るために使用する有機ポリイソシアネートとしては特に限定されるものではないが、耐候性の良好な塗膜を形成することができることから、脂肪族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートが好ましく、塗膜の接着性を考慮すると、脂環族ジイソシアネートが好ましい。
具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、イソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
また、上記の脂肪族ジイソシアネートおよび/または脂環族ジイソシアネートと併用できる有機ジイソシアネートとしては、例えば1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、オルトキシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、パラキシリレンジイソシアネート等の難黄変有機ジイソシアネートを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて併用することができる。
<(B)高分子ポリオール>
ウレタン・ウレア樹脂を得るために使用する高分子ポリオールの数平均分子量は、通常500〜5,000であり、好ましくは1,000〜3,000である。
本発明で使用する高分子ポリオールにおいて、1分子中の水酸基数(平均官能基数)は1.9〜3であることが好ましい。
本発明で使用する高分子ポリオールの種類としては、ポリエステルポリオールを挙げることができ、ポリエステルポリオールは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリエステルポリオールとしては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、クルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、α−ハイドロムコン酸、β−ハイドロムコン酸、α−ブチル−α−エチルグルタル酸、α,β−ジエチルサクシン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸・無水物・ジアルキルエステル等の1種類以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド付加物、ビス(β−ヒドロキシエチル)ベンゼン、キシリレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の分子量500以下の低分子ポリオール類の1種類以上との縮重合反応から得られるものが挙げられる。更に、ε−カプロラクトン、アルキル置換ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキル置換δ−バレロラクトン等の環状エステル(いわゆるラクトン)モノマーの開環重合から得られるラクトン系ポリエステルポリオール等がある。更に、低分子ポリオールの一部をヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミン等の低分子ポリアミンや低分子アミノアルコールを用いてもよい。この場合には、ポリエステル−アミドポリオールが得られることになる。
また、数平均分子量が500〜5,000で、かつ、1分子中に活性水素基を平均1個以上有するものであれば、ダイマー酸系ポリオール、水素添加ダイマー酸系ポリオールの他にエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ポリビニルアルコール等の活性水素基含有樹脂を併用することができる。
本発明で使用する高分子ポリオールとしては、ナイロンへの密着性や各種耐久性を考慮すると、ポリエステルポリオールであることが好ましい。
<(C)低分子ジアミンからなる鎖延長剤>
ウレタン・ウレア樹脂を得るために使用する低分子ジアミン(鎖延長剤)は、1級または2級アミノ基を一分子中に2個有する、分子量が500以下の化合物である。
低分子ジアミンの分子中には、イソシアネート基との反応性が1級または2級アミノ基より小さい他の活性水素基(例えば水酸基)が含有されていてもよい。
具体的には、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルジアミン、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジアミンなどを例示することができる。
<(D)低分子モノアミンからなる末端封止剤>
本発明のプライマー組成物を構成するウレタン・ウレア樹脂の分子末端は、低分子モノアミンからなる末端封止剤により封鎖されていることが好ましい。
ここに、ウレタン・ウレア樹脂を得るために使用することのできる低分子モノアミンは、1級または2級アミノ基を一分子中に1個有する、分子量が500以下の化合物である。
低分子モノアミンの分子中には、イソシアネート基との反応性が1級または2級アミノ基より小さい他の活性水素基(例えば水酸基)が含有されていることが好ましい。
具体的には、エチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、ヒドロキシエチルピペラジン、N−(3−アミノプロピル)ジエタノールアミン、N−シクロヘキシルエタノールアミンなどを挙げることができる。
<ウレタン・ウレア樹脂>
本発明のプライマー組成物を構成するウレタン・ウレア樹脂は、JIS K6301に規定する引張速度200mm/分の引張試験における降伏応力が5.0MPa以上とされ、好ましくは7.0MPa以上とされる。
ここに、「降伏応力」とは、JIS K6301に準じた引張試験によって測定される応力−歪み曲線における降伏点における応力をいい、当該曲線において降伏現象が明瞭に認められない場合には、当該曲線における変曲点における応力をいうものとする。
上記の降伏応力が5.0MPa未満であるウレタン・ウレア樹脂は凝集力が小さいため、当該樹脂を含有するプライマー組成物により形成される塗膜は、48時間程度の養生では所期の耐溶剤性を発現することができず、プライマーとして十分な耐溶剤性を発現するためには、長い養生時間が必要となる(後述する比較例3参照)。
ウレタン・ウレア樹脂の降伏応力を制御する方法の一例を示せば、当該樹脂を得るための高分子ポリオールを1種または2種以上の結晶性ポリエステルポリオールとし、かつ、使用する高分子ポリオール全体の75℃における粘度を400mPa・s以上とすることにより、得られるウレタン・ウレア樹脂の降伏応力を5.0MPa以上とすることができる。
なお、本発明において「結晶性ポリエステルポリオール」とは、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの、一般式:HO−(CH2 m −OH(mは1以上の整数である)で示される1種類の直鎖グリコールと、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの、一般式:HOOC−(CH2 n −COOH(nは1以上の整数である)で示される1種類の直鎖ジカルボン酸とから得られるポリエステルポリオール、または前述の直鎖グリコールを開始剤として、ε−カプロラクトンやδ−バレロラクトンを開環付加させて得られる、アルキル側鎖のないラクトン系ポリエステルポリオールをいい、直鎖グリコールと直鎖ジカルボン酸とから得られるポリエステルポリオールでは、上記一般式中のm,nが偶数であることが好ましい。
本発明のプライマー組成物を構成するウレタン・ウレア樹脂は、JIS K7244に規定する昇温速度2℃/分の動的粘弾性試験における20℃のtanδ〔損失正接=損失弾性率(E″)/貯蔵弾性率(E′)〕が0.05〜0.10とされ、好ましくは0.05〜0.09とされる。
上記のtanδが0.05未満〔貯蔵弾性率(E′)が過大〕であるウレタン・ウレア樹脂は、弾性の程度が過大となり、当該樹脂を含有するプライマー組成物により形成される塗膜は、被着体に対して十分な接着性を有するものとならない(後述する比較例1参照)。
一方、tanδが0.10を超える〔損失弾性率(E″)が過大〕であるウレタン・ウレア樹脂は、粘性の程度が過大となって強度が低くなり、当該樹脂を含有するプライマー組成物により形成される塗膜は、48時間程度の養生では所期の耐溶剤性を発現することができず、プライマーとして十分な耐溶剤性を発現するためには、長い養生時間が必要となる(後述する比較例2参照)。
ウレタン・ウレア樹脂のtanδ(20℃)を制御する方法の一例を示せば、当該樹脂を得るための高分子ポリオールを1種または2種以上の結晶性ポリエステルポリオールとし、かつ、使用する高分子ポリオール全体の75℃における粘度を400〜900mPa・sの範囲とすることにより、得られるウレタン・ウレア樹脂のtanδ(20℃)を0.05〜0.10の範囲とすることができる。
本発明のプライマー組成物を構成するウレタン・ウレア樹脂の数平均分子量(Mn)は10,000〜30,000とされ、好ましくは12,000〜28,000とされる。 数平均分子量が10,000未満であると、得られるプライマー組成物により形成される塗膜が十分な機械的特性を有するものとならない。
他方、数平均分子量が30,000を超えると、得られるプライマー組成物のスプレーによる塗布性が損なわれる(後述する比較例4参照)。
本発明のプライマー組成物を構成するウレタン・ウレア樹脂を合成する方法としては、有機ポリイソシアネートと高分子ポリオールとを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得、これと、低分子ジアミン(鎖延長剤)および低分子モノアミン(末端封止剤)とを反応させる、いわゆるプレポリマー法が採用される。
いわゆるワンショット法によると、有機ポリイソシアネートとアミン化合物(低分子ジアミン・低分子モノアミン)との反応によりウレア凝集物が生じるので好ましくない。
ウレタン・ウレア樹脂の溶液を調製する方法の一例を示すと、先ず、活性水素を持たない溶剤(例えばケトン、エステル、芳香族炭化水素等)による高分子ポリオールの溶液に有機ジイソシアネートを添加し、ウレタン化触媒の存在下、30〜100℃で数時間反応させて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成する。
このとき、有機ジイソシアネートと高分子ポリオールとの使用比率としては、NCO基/OH基のモル比が1.1〜2.5、特に1.5〜2.0となる比率であることが好ましい。NCO基/OH基のモル比が1.1未満であると、得られるプライマー組成物による塗膜が十分な耐溶剤性を有するものとならない場合がある。他方、NCO基/OH基のモル比が2.5を超えると、得られる樹脂の溶解性が低下したり、得られるプライマー組成物による塗膜が十分な接着性を有するものとならない場合がある。
次いで、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの溶液に、低分子ジアミン(鎖延長剤)および低分子モノアミン(末端封止剤)を添加し、30〜50℃で、イソシアネート基が消失するまで反応させる。
ここに、ウレタン・ウレア樹脂を合成する際に使用する溶剤(最終的に、ウレタン・ウレア樹脂の溶液を構成する溶剤)としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
特に、ポリオール骨格やウレタン骨格に対する溶解性の良好なトルエンおよびメチルエチルケトンと、ウレア基に対する溶解性の良好なイソプロパノールとの3種の混合溶剤を使用することが好ましい。
上記のようにして得られるウレタン・ウレア樹脂の溶液中の樹脂濃度(固形分)としては、10〜50質量%であることが好ましく、更に好ましくは15〜45質量%とされる。
そして、このウレタン・ウレア樹脂の溶液を、必要に応じて、更に溶剤により希釈することによって、本発明のプライマー組成物を調製することができる。
本発明のプライマー組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、各種の任意成分が含有されていてもよい。
かかる任意成分としては、ウレタン・ウレア樹脂以外の樹脂、ブロックイソシアネートなどの硬化剤成分、顔料(有機顔料、無機顔料)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤、分散剤、触媒など、通常の塗料用添加剤を挙げることができる。
本発明のプライマー組成物は、イソシアネート基含有化合物などの硬化剤成分を含有しない一液硬化性の組成物として使用することができる。
この場合において、本発明のプライマー組成物による塗膜に上塗りされる樹脂組成物の少なくとも一種には、硬化剤成分(イソシアネート基含有化合物)が含有されていることが好ましい。
また、本発明のプライマー組成物は、イソシアネート基含有化合物などの硬化剤成分を含有する二液硬化性の組成物として使用することもできる。
本発明のプライマー組成物は、自動車の(外装)部品に代表されるプラスチック成型品に対して好適に使用することができ、難接着性とされるナイロンからなる被着体に対しても十分な接着力を発現することができる。
本発明のプライマー組成物は、スプレー、刷毛、浸漬などの方法により被着体に塗布される。
本発明のプライマー組成物による塗膜は、溶剤を除去するために乾燥処理される。塗膜の乾燥条件としては、例えば10〜50℃で1〜30分間とされる。
本発明のプライマー組成物による塗膜は、通常、加熱処理され、これにより硬化する。塗膜(ウレタン・ウレア樹脂)の硬化は、通常、当該塗膜上に積層形成される上層(例えばトップ層)中の硬化剤成分(イソシアネート基含有化合物)が当該塗膜に浸透し、加熱処理により、ウレタン・ウレア樹脂の末端水酸基とのウレタン化反応により、架橋構造が導入されることにより起こるものである。
加熱条件としては例えば60〜100℃で10〜60分間とされる。加熱処理は、当該塗膜を乾燥処理した後に行ってもよく、当該塗膜に樹脂組成物を上塗りして上層(例えば、ベース層およびトップ層)を積層形成した後に行ってもよい。
本発明のプライマー組成物による塗膜に上塗りされる樹脂組成物としても、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂(一液硬化型または二液硬化型)でもよい。具体的には、アクリル酸、アルキッド、ウレタン、エポキシ、メラミンアルキッド、アクリルウレタン系など一般的な塗料を例示することができる。
本発明のプライマー組成物による塗膜(プライマー層)および上層(例えば、ベース層およびトップ層)を形成し、プライマー層を加熱処理した後、必要な接着強度および十分な耐溶剤性を確保するために、一定時間の養生が行われる。ここに、好適な養生環境としては、温度10〜30℃、相対湿度50〜70%とされる。
従来公知のプライマー組成物(例えば、特許文献1に記載のプライマー組成物)を使用する場合には、120時間を超える養生時間が必要であった。
これに対して、本発明のプライマー組成物を使用することにより、養生時間が50時間以内であっても、耐溶剤性に優れた塗膜(プライマー層)を形成することができる。
本発明のプライマー組成物を使用して行われる代表的な積層態様としては、
(1)イソシアネート基を含まない本発明のプライマー組成物によってプライマー層を形成し、当該プライマー層上に、イソシアネート基を含まない樹脂組成物によってベース層を形成し、当該ベース層上に、イソシアネート基を含む二液硬化性の樹脂組成物によってトップコート層を形成する態様、
(2)イソシアネート基を含む本発明のプライマー組成物(二液硬化性の樹脂組成物)によってプライマー層を形成し、当該プライマー層上に、イソシアネート基を含まない樹脂組成物によってベース層を形成し、当該ベース層上に、イソシアネート基を含まない樹脂組成物によってトップコート層を形成する態様、
(3)イソシアネート基を含む本発明のプライマー組成物(二液硬化性の樹脂組成物)によってプライマー層を形成し、当該プライマー層上に、イソシアネート基を含まない樹脂組成物によってベース層を形成し、当該ベース層上に、イソシアネート基を含む二液硬化性の樹脂組成物によってトップコート層を形成する態様を挙げることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および/または比較例において使用した高分子ポリオールは、下記のとおりである。
・ポリオール(1):
エチレングリコールとアジピン酸とから得られる、数平均分子量2,000のポリエステルジオール(結晶性ポリエステルポリオール)。
・ポリオール(2):
1,4−ブタンジオールとアジピン酸とから得られる、数平均分子量2,000のポリエステルジオール(結晶性ポリエステルポリオール)。
・ポリオール(3):
エチレングリコールとアジピン酸とから得られる、数平均分子量2,600のポリエステルジオール(結晶性ポリエステルポリオール)。
・ポリオール(4):
1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とから得られる、数平均分子量2,600のポリエステルジオール(結晶性ポリエステルポリオール)。
・ポリオール(5):
エチレングリコールと1,4−ブタンジオールとの混合グリコール〔EG/BD=1/1(モル比)〕と、アジピン酸とから得られる、数平均分子量2,000のポリエステルジオール。
・ポリオール(6):
1,6−ヘキサンジオールとジエチルカーボネートとから得られる、数平均分子量2,000のポリカーボネートジオール。
・ポリオール(7):
エチレングリコールにε−カプロラクトンを開環付加させて得られる、数平均分子量2,000のポリカプロラクトンジオール(結晶性ポリエステルポリオール)。
・ポリオール(8):
プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを開環付加させて得られる、数平均分子量2,000のポリエーテルジオール。
<実施例1>
(1)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液の調製:
攪拌機、温度計、アリーン冷却管、窒素ガス導入管を備えた容量2000mLの反応装置に、ポリオール(1)207.1gと、ポリオール(2)216.1gと、トルエン200gと仕込み、45℃で均一に攪拌して高分子ポリオールの溶液を調製した。
ここに、使用した高分子ポリオール全体の75℃における粘度は720mPa・sである。
この高分子ポリオール溶液に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)47.0gと、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)35.5gと、ジオクチルチンジラウレート(DOTDL)0.05gとを仕込み、窒素気流下、75℃で3時間反応させることにより、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含量は2.52%であった。
(2)ウレタン・ウレア樹脂溶液の調製:
このプレポリマー溶液に、トルエン178gと、メチルエチルケトン(MEK)504gとを添加して均一に攪拌した後、液温を30℃に冷却し、イソプロピルアルコール(IPA)378gと、低分子ジアミンであるイソホロンジアミン(IPDA)29.9gと、低分子モノアミンであるモノエタノールアミン(MEA)4.4gとを予め混合してなるアミン溶液を添加し、40℃で4時間にわたり鎖延長反応させることによりウレタン・ウレア樹脂を合成して樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液の固形分は30.2%、粘度(25℃)は190mPa・sであった。
得られたウレタン・ウレア樹脂の数平均分子量(Mn)を、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定したところ15,000であった。ここに、測定条件は下記のとおりである。
・測定器:「HLC−8120」(東ソー(株)製)
・カラム:「Styragel HR2 DMF」(日本ウォーターズ(株)製)
粒径=5μm、サイズ=7.8mmID×30cm×4本
・キャリア:LiBr0.1%含有N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)
・検出器:視差屈折
・サンプル:0.1%LiBr/DMF溶液
・検量線:ポリエチレングリコール
(3)ウレタン・ウレア樹脂の降伏応力の測定:
上記(2)で得られたウレタン・ウレア樹脂溶液を離型紙上にキャストして、常温で30分間静置後、60℃で2時間、120℃で2時間、23℃×60%RHで1週間静置して、厚さが約100μmのフィルムを作製した。
得られたキャストフィルムから試験片(4号ダンベル)を切出し、JIS K6301に準じて引張試験(引張速度=200mm/分)を行って応力−歪み曲線を測定し、降伏応力を求めたところ7.0MPaであった。
(4)ウレタン・ウレア樹脂のtanδの測定:
上記(3)で作製したキャストフィルムから短冊状試験片(25mm×4mm)を切出し、JIS K7244に準じて動的粘弾性試験を行うことにより、20℃のtanδ〔損失正接=損失弾性率(E″)/貯蔵弾性率(E′)〕を測定したところ0.088であった。
ここに、測定条件は下記のとおりである。
・測定装置:「レオバイブロンDDV−01FP」((株)エー・アンド・デイ製)
・昇温速度:2℃/分
・周波数:35Hz
・変形モード:引張
・振幅 :16μm
(5)プライマー組成物の調製:
上記(2)で得られたウレタン・ウレア樹脂溶液100質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30質量部と、トルエン128質量部と、イソブタノール128質量部とを攪拌混合して均一に混合することにより、本発明のプライマー組成物を調製した。
<実施例2>
下記表1に示す処方に従って、高分子ポリオールとしてポリオール(3)404.1gを使用し、有機ポリイソシアネートとしてHDI58.2gを使用したこと以外は実施例1(1)と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含量は2.42%であった。
このイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液に、トルエン178gと、MEK504gとを添加して均一に攪拌し、IPA378gと、IPDA23.4gと、MEA4.4gとを予め混合してなるアミン溶液を添加したこと以外は実施例1(2)と同様にして鎖延長反応させることによりウレタン・ウレア樹脂を合成して樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液の固形分は30.1%、粘度(25℃)は360mPa・sであった。
得られたウレタン・ウレア樹脂の数平均分子量(Mn)を、GPCにより測定したところ14,000であった。
また、上記の樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1(3)と同様にして、キャストフィルムを作製し、このキャストフィルムから切出した試験片を用いて引張試験を行い、応力−歪み曲線を測定し、降伏応力を求めたところ14.0MPaであった。
さらに、このキャストフィルムから切出した試験片を用い、実施例1(4)と同様にして動的粘弾性試験を行うことにより、20℃のtanδを測定したところ0.062であった。
次いで、上記のウレタン・ウレア樹脂溶液を使用したこと以外は実施例1(5)と同様にして本発明のプライマー組成物を調製した。
<実施例3>
下記表1に示す処方に従って、高分子ポリオールとしてポリオール(7)431.6gを使用し、有機ポリイソシアネートとしてHDI73.1gを使用したこと以外は実施例1(1)と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含量は2.61%であった。
このイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液に、トルエン178gと、MEK504gとを添加して均一に攪拌し、IPA378gと、IPDA30.9gと、MEA4.4gとを予め混合してなるアミン溶液を添加したこと以外は実施例1(2)と同様にして鎖延長反応させることによりウレタン・ウレア樹脂を合成して樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液の固形分は30.2%、粘度(25℃)は350mPa・sであった。
得られたウレタン・ウレア樹脂の数平均分子量(Mn)を、GPCにより測定したところ15,000であった。
また、上記の樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1(3)と同様にして、キャストフィルムを作製し、このキャストフィルムから切出した試験片を用いて引張試験を行い、応力−歪み曲線を測定し、降伏応力を求めたところ17.0MPaであった。
さらに、このキャストフィルムから切出した試験片を用い、実施例1(4)と同様にして動的粘弾性試験を行うことにより、20℃のtanδを測定したところ0.059であった。
次いで、上記のウレタン・ウレア樹脂溶液を使用したこと以外は実施例1(5)と同様にして本発明のプライマー組成物を調製した。
<比較例1>
下記表1に示す処方に従って、高分子ポリオールとしてポリオール(4)445.6gを使用し、有機ポリイソシアネートとして、IPDI38.1gとHDI28.8gとを使用したこと以外は実施例1(1)と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含量は2.02%であった。ここに、使用したポリオール(4)の75℃における粘度は1,150mPa・sである。
このイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液に、トルエン178gと、MEK504gとを添加して均一に攪拌し、IPA378gと、IPDA23.1gと、MEA4.4gとを予め混合してなるアミン溶液を添加したこと以外は実施例1(2)と同様にして鎖延長反応させることによりウレタン・ウレア樹脂を合成して樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液の固形分は30.0%、粘度(25℃)は390mPa・sであった。
得られたウレタン・ウレア樹脂の数平均分子量(Mn)を、GPCにより測定したところ15,000であった。
また、上記の樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1(3)と同様にして、キャストフィルムを作製し、このキャストフィルムから切出した試験片を用いて引張試験を行い、応力−歪み曲線を測定し、降伏応力を求めたところ17.0MPaであった。
さらに、このキャストフィルムから切出した試験片を用い、実施例1(4)と同様にして動的粘弾性試験を行うことにより、20℃のtanδを測定したところ0.044であった。
次いで、上記のウレタン・ウレア樹脂溶液を使用したこと以外は実施例1(5)と同様にして比較用のプライマー組成物を調製した。
この比較例1は、プライマー組成物を構成するウレタン・ウレア樹脂のtanδが0.05未満の比較例である。
<比較例2>
下記表1に示す処方に従って、高分子ポリオールとして、ポリオール(6)302.5gと、ポリオール(7)129.7gとを使用し、有機ポリイソシアネートとしてHDI72.7gとを使用したこと以外は実施例1(1)と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含量は2.58%であった。 このイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液に、トルエン178gと、MEK504gとを添加して均一に攪拌し、IPA378gと、IPDA30.7gと、MEA4.4gとを予め混合してなるアミン溶液を添加したこと以外は実施例1(2)と同様にして鎖延長反応させることによりウレタン・ウレア樹脂を合成して樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液の固形分は30.3%、粘度(25℃)は1,940mPa・sであった。 得られたウレタン・ウレア樹脂の数平均分子量(Mn)を、GPCにより測定したところ15,000であった。
また、上記の樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1(3)と同様にして、キャストフィルムを作製し、このキャストフィルムから切出した試験片を用いて引張試験を行い、応力−歪み曲線を測定し、降伏応力を求めたところ6.0MPaであった。
さらに、このキャストフィルムから切出した試験片を用い、実施例1(4)と同様にして動的粘弾性試験を行うことにより、20℃のtanδを測定したところ0.119であった。
次いで、上記のウレタン・ウレア樹脂溶液を使用したこと以外は実施例1(5)と同様にして比較用のプライマー組成物を調製した。
この比較例2は、プライマー組成物を構成するウレタン・ウレア樹脂のtanδが0.10を超える比較例である。
<比較例3>
下記表1に示す処方に従って、高分子ポリオールとして、ポリオール(1)137.3gと、ポリオール(2)143.3gと、ポリオール(5)143.3gとを使用し、有機ポリイソシアネートとして、IPDI46.7gとHDI35.3gとを使用したこと以外は実施例1(1)と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含量は2.48%であった。
このイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液に、トルエン178gと、MEK504gとを添加して均一に攪拌し、IPA378gと、IPDA29.7gと、MEA4.4gとを予め混合してなるアミン溶液を添加したこと以外は実施例1(2)と同様にして鎖延長反応させることによりウレタン・ウレア樹脂を合成して樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液の固形分は30.0%、粘度(25℃)は170mPa・sであった。
得られたウレタン・ウレア樹脂の数平均分子量(Mn)を、GPCにより測定したところ15,000であった。
また、上記の樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1(3)と同様にして、キャストフィルムを作製し、このキャストフィルムから切出した試験片を用いて引張試験を行い、応力−歪み曲線を測定し、降伏応力を求めたところ4.0MPaであった。
さらに、このキャストフィルムから切出した試験片を用い、実施例1(4)と同様にして動的粘弾性試験を行うことにより、20℃のtanδを測定したところ0.094であった。
次いで、上記のウレタン・ウレア樹脂溶液を使用したこと以外は実施例1(5)と同様にして比較用のプライマー組成物を調製した。
この比較例3は、プライマー組成物を構成するウレタン・ウレア樹脂の降伏応力が5.0未満の比較例である。
<比較例4>
下記表1に示す処方に従って、高分子ポリオールとしてポリオール(8)549.7gを使用し、有機ポリイソシアネートとしてIPD122.1gを使用し、溶剤としてN−メチルピロリドン(NMP)300gを使用したこと以外は実施例1(1)と同様にしてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液を得た。このプレポリマーのNCO含量は2.38%であった。
このイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー溶液に、MEK130gと、NMP200gと酢酸エチル75gとを添加して均一に攪拌し、NMP375gと、IPDA43.8gと、ジ−n−ブチルアミン(DBA)4.4gとを予め混合してなるアミン溶液を添加したこと以外は実施例1(2)と同様にして鎖延長反応させることによりウレタン・ウレア樹脂を合成して樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液の固形分は39.5%、粘度(25℃)は2,540mPa・sであった。
得られたウレタン・ウレア樹脂の数平均分子量(Mn)を、GPCにより測定したところ42,000であった。
また、上記の樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1(3)と同様にして、キャストフィルムを作製し、このキャストフィルムから切出した試験片を用いて引張試験を行い、応力−歪み曲線を測定し、降伏応力を求めたところ0.6MPaであった。
さらに、このキャストフィルムから切出した試験片を用い、実施例1(4)と同様にして動的粘弾性試験を行うことにより、20℃のtanδを測定したところ0.177であった。
次いで、上記のウレタン・ウレア樹脂溶液を使用したこと以外は実施例1(5)と同様にして比較用のプライマー組成物を調製した。
この比較例4は、特許文献(特開昭62−129361号)の実施例2に相当するものであり、プライマー組成物を構成するウレタン・ウレア樹脂の降伏応力が5.0未満であり、tanδが0.10を超え、数平均分子量(Mn)が30,000を超える比較例である。
実施例1〜3および比較例1〜4についての配合処方(単位は「g」である。)、固形分、樹脂溶液の粘度、樹脂の降伏応力、樹脂のtanδ(20℃)、樹脂の平均分子量を下記表1にまとめて示す。

Figure 0005459463
※ 比較例3および比較例4の降伏応力の測定結果において、測定された応力−歪み曲線には降伏現象が明瞭に認められなかった。
このため、変曲点での応力(本発明での降伏応力)をかっこ付きの数値で示した。
<評価試験>
実施例1〜3および比較例1〜4で得られたプライマー組成物の各々を使用し、以下のようにして、スプレー塗布時の作業性、並びに、塗膜の常態密着性(接着性)、耐湿熱性、耐溶剤性および養生完了時間(耐溶剤性を発現するまでの時間)について評価(測定)した。これらの結果を下記表2に示す。
ここに、プライマー組成物の塗膜に上塗りするベース層形成用樹脂組成物は、アクリル樹脂「アクリディックA−801−P」(DIC(株)製)100質量部に、酸化チタン20質量部とトルエン230質量部とを添加し、分散機中で10分間混練することにより調製した。
また、トップ層形成用樹脂組成物は、アクリル樹脂「アクリディックA−801−P」(DIC(株)製)100質量部に、ポリイソシアネート硬化剤「コロネートHX」(日本ポリウレタン工業(株)製)18質量部(NCO/OH=1)と、トルエン110質量部とを添加し、常温で均一に攪拌することにより調製した。
(1)スプレー塗布時の作業性:
6−ナイロン「ナイロン1022B」(宇部興産(株)製)からなる被着体の表面を、メタノールで十分に脱脂処理し、常温で乾燥した。
この被着体の表面に、プライマー組成物をエアスプレーにより塗布し、常温で10分間乾燥することにより膜厚8μmの乾燥塗膜を形成した。
このとき、エアスプレーによる塗布時の作業性を評価した。結果を下記表2に示す。
(2)塗膜の常態密着性(接着性):
上記(1)において被着体の表面に形成したプライマー組成物の乾燥塗膜(プライマー層)上に、ベース層形成用樹脂組成物をエアスプレーにより塗布し、常温で10分間乾燥することにより膜厚10μmの乾燥塗膜を積層形成した。
次いで、ベース層形成用樹脂組成物による乾燥塗膜(ベース層)上に、トップ層形成用樹脂組成物をエアスプレーにより塗布し、常温で10分間乾燥することにより膜厚30μmの乾燥塗膜(トップ層)を積層形成した。
次いで、80℃の乾燥機中で30分間加熱処理を行い、その後、温度20℃、相対湿度65%の環境下で48時間の養生を行った。
このようにして得られた試験片(プライマー層とベース層とトップ層とが積層形成された被着体)の各々について、1mm方形の碁盤目(10×10)の切れ目を塗膜形成面に形成し、JIS K5400によって、テープによる剥離試験を行って残留枚数(X)を測定した。
なお、試験片は、実施例1〜3および比較例1〜4の各々について3個ずつ作製し、3個の試験片における残留枚数の平均値を求めた。結果を下記表2に示す。
(3)塗膜の耐湿熱性:
上記(1)および(2)と同様にして、プライマー組成物の塗布・乾燥、ベース層形成用樹脂組成物の塗布・乾燥、トップ層形成用樹脂組成物の塗布・乾燥、加熱処理を行い、温度20℃、相対湿度65%の環境下で168時間の養生を行った。
このようにして得られた試験片(プライマー層とベース層とトップ層とが積層形成された被着体)を、温度50℃、相対湿度80%の環境下に24時間放置し、その後、直ちにテープによる剥離試験を行って残留枚数(X)を測定した。
(4)耐溶剤性および養生完了時間(耐溶剤性を発現するまでの時間):
上記(1)および(2)と同様にして、プライマー組成物の塗布・乾燥、ベース層形成用樹脂組成物の塗布・乾燥、トップ層形成用樹脂組成物の塗布・乾燥を行い、加熱処理を実施した後、温度20℃、相対湿度65%の環境下での養生時間の異なる試験片(プライマー層とベース層とトップ層とが積層形成された被着体)を作製した。
なお、試験片は、実施例1〜3および比較例1〜4の各々について、養生時間(48時間、72時間、96時間、168時間)ごとに3個ずつ作製した(実施例:×4×3=36個、比較例:4×4×3=48個)。
先ず、実施例1〜3および比較例1〜4の各々について、48時間の養生によって得られた試験片(実施例:×3=個、比較例:4×3=12個)のそれぞれを、ガソリン:エタノール=9:1の混合溶剤(20℃)に浸漬し、試験片の縁から生じる塗膜の浮き(剥離)が、縁から2mm以上内側に到達するまでの浸漬時間(各例について、3個の平均時間)を測定し、下記の評価基準に基いて耐溶剤性を評価した。この結果、実施例1〜3および比較例1では、3個の試験片のすべてが合格(評価:◎または○)となった(養生時間48時間で十分な耐溶剤性が発現された)ので、この時間を養生完了時間とし、実施例1〜3および比較例1についての試験を終了した。
(評価基準)
・30分以上:合格(評価:◎)
・20分以上〜30分未満:合格(評価:○)
・20分未満:不合格(評価:×)
次いで、比較例2〜4の各々について、72時間の養生によって得られた試験片(3×3=9個)のそれぞれにおける耐溶剤性を、上記と同様にして評価した。この結果、比較例2では、3個の試験片のすべてが合格(評価:○)となった(養生時間72時間で耐溶剤性が発現された)ので、この時間を養生完了時間とし、比較例2についての試験を終了した。
次いで、比較例3〜4の各々について、96時間の養生によって得られた試験片(2×3=6個)のそれぞれにおける耐溶剤性を、上記と同様にして評価した。この結果、比較例3では、3個の試験片のすべてが合格(評価:○)となった(養生時間96時間で耐溶剤性が発現された)ので、この時間を養生完了時間とし、比較例3についての試験を終了した。
次いで、比較例4について、168時間の養生により得られた3個の試験片のそれぞれにおける耐溶剤性を、上記と同様にして評価した。この結果、比較例4では、3個の試験片は何れも不合格(評価:×)であり、養生時間168時間でも耐溶剤性を発現できなかった。
以上の結果を、下記表2に示す。

Figure 0005459463
※ 比較例4の作業性の評価「不良」の状況として、スプレー塗布の際に糸引きが起こり、塗装ガンのノズルの詰まり、周囲への飛散が発生した。また、塗布面には、塗りムラが認められた。
上記表2に示したように、実施例1〜3に係るプライマー組成物によれば、難接着性とされるナイロンからなる被着体に対して十分な常態密着性(ナイロン被着体に対する接着性)、耐湿熱性を発揮するプライマー層を形成することができる。
また、実施例1〜3に係るプライマー組成物によれば、48時間という比較的短い養生時間であっても、耐溶剤性(ガソリンとアルコールとの混合溶剤に対する耐蝕性)に優れたプライマー層を形成することができた。
これに対して、tanδが0.05未満の樹脂を含有する比較例1に係るプライマー組成物により形成される塗膜は常態密着性および耐湿熱性に劣る。
また、tanδが0.10を超える樹脂を含有する比較例2に係るプライマー組成物により形成される塗膜は、48時間の養生後において、プライマーとして十分な耐溶剤性を有するものとならず、長い養生時間(72時間)が必要である。
また、降伏応力が5.0MPa未満の樹脂を含有する比較例3に係るプライマー組成物により形成される塗膜は、48時間の養生後において、プライマーとして十分な耐溶剤性を有するものとならず、長い養生時間(96時間)が必要である。
また、降伏応力が5.0MPa未満で、tanδが0.10を超え、数平均分子量が30,000を超える樹脂を含有する比較例4に係るプライマー組成物は、スプレー塗布性に劣り、これにより形成される塗膜は、168時間の長い養生後においても、十分な耐溶剤性を有するものとならなかった。

Claims (2)

  1. (A)有機ポリイソシアネートと、
    (B)結晶性ポリエステルポリオールからなる高分子ポリオールと、
    (C)低分子ジアミンからなる鎖延長剤とを反応させて得られるウレタン・ウレア樹脂を含有するプライマー組成物であって、
    前記ウレタン・ウレア樹脂は、
    JIS K6301に規定する引張速度200mm/分の引張試験における降伏応力が5.0MPa以上であり、
    JIS K7244に規定する昇温速度2℃/分の動的粘弾性試験における20℃のtanδが0.05〜0.10であり、
    数平均分子量が10,000〜30,000である
    ことを特徴とするプライマー組成物。
  2. (D)低分子モノアミンからなる末端封止剤により、前記ウレタン・ウレア樹脂の分子末端が封鎖されていることを特徴とする請求項1記載のプライマー組成物。
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