以下、本発明の実施の形態の車両用空調装置を図面に基づいて説明する。
図1乃至図10は、この発明の実施の形態の車両用空調装置を示すものである。
まず、全体の構成から説明すると、この実施の形態の車両用空調装置では、図3に示す様に、車両1の車室2内前方に設けられたインストルメントパネル3内に、空気調和装置4が収納されている。
この実施の形態の空気調和装置4では、図2に示すような空調装置ケーシング5に、車外8から外気9を導入する外気導入口6及び、車室2内の内気10を導入する内気導入口7が、各々開口形成されている。
そして、内外気切換ドア11のドア開度が、内外気切換ドアアクチュエータ12の駆動によって、変更されることにより、この空調装置ケーシング5内に導入される内,外気が、切り替え可能とされている。
また、この空調装置ケーシング5には、ブロアファン装置13が設けられていて、ブロアモータ14の回転駆動によって、シロッコファン15が回動されることにより、前記外気導入口6又は、内気導入口7から導入された内,外気が、この空調装置ケーシング5内部を通って、車室2内方向へ向けて、分配送風されるように構成されている。
この空調装置ケーシング5内の前記ブロアファン装置13の下流側には、内部を流通する冷媒により、通過する空気を冷却するエバポレータ16が、収納されている。
このエバポレータ16には、前記冷媒を圧縮するコンプレッサ17が接続されていて、走行用エンジン等の動力源18の回転駆動力が、プーリ19,伝達ベルト部材20及びマグネットクラッチ21から、このコンプレッサ17に伝達される。
そして、圧縮冷媒が、このコンプレッサ17から、吐出されることにより、コンデンサ22及びリキッドタンク23を介して接続される膨張弁24から、前記エバポレータ16へ導入されて、冷却されることにより、前記ブロアファン装置13から送られてくる送風の温度を、このエバポレータ16を通過する際に、低下させるように構成されている。
更に、この空調装置ケーシング5内のエバポレータ16の下流側には、エアミックスドア25が設けられている。
このエアミックスドア25は、エアミックスドアアクチュエータ26の駆動によって、ドア開度が変更されることにより、この空調装置ケーシング5内に導入された空気が、ヒータコア27方向に向かうか、或いは、そのまま、フロントベントダクト30,アッパベントダクト31若しくは、乗員足元に設けられたフット吹出口32aが接続されてなるフットダクト32から、車室2内方向へ向かって送風されるかが、切り替え可能となるように構成されている。
このうち、フロントベントダクト30には、フロントベントを構成するセンタベントダクト33,33及びサイドベントダクト34,34が、連設されている。
これらのセンタベントダクト33,33及びサイドベントダクト34,34には、図1に示すように、前記インストルメントパネル3の表面側のうち、中央後側面部3aに開口形成されたフロントベント吹出口の一つとしての各吹出口33a,33aの周縁及び、左,右両側後側面部3b,3bに開口形成されたフロントベント吹出口の一つとしての吹出口34a,34aの周縁が、接続されている。
そして、これらのセンタベントダクト33,33及びサイドベントダクト34,34内を通過した空気が、各吹出口33a,33a及び吹出口34a,34aから、車室2内方向へ向けて、分配されて送風可能となるように構成されている。
また、前記フロントベントダクト30と、フットダクト32との間には、図2に示すように、吹出モード切換ドア35が設けられている。
この吹出モード切換ドア35には、駆動によって、この吹出モード切換ドア35のドア開度を変更可能な吹出モード切換ドアアクチュエータ36が設けられている。
そして、この吹出モード切換ドアアクチュエータ36の駆動により、前記吹出モード切換ドア35のドア開度が変更されることにより、この空調装置ケーシング5内で、混合された空気が、フロントベントダクト30を介して、センタベントダクト33,33若しくは、サイドベントダクト34,34から、車室2内後方方向へ送風されるか、或いは、前記フットダクト32から、車室2内の乗員の足元へ向けて送風されるかが、切り替え可能となるように構成されている。
更に、前記アッパベントダクト31には、このアッパベントダクト31の通風路31cと、前記空調装置ケーシング5との間に開口形成されたアッパベント開口部31bの周縁に装着されて、このアッパベント開口部31bを開閉塞可能なアッパベント吹出切換ドア37が、設けられている。
このアッパベント吹出切換ドア37は、アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38の駆動によって、ドア開度が変更されることにより、この空調装置ケーシング5内で、混合された空気が、このアッパベントダクト31が接続される前記インストルメントパネル3の中央上面部3cに開口形成されたアッパベント吹出口31aから、図3に示すように、車室2内の天井部下面側2aに沿って、前部座席2bに着席した乗員の頭部近傍を通り、後部座席2c方向へ送風される送風量を、0%から100%の間で調整可能としている。
そして、このアッパベント吹出切換ドア37の開度を変更制御することにより、このアッパベント吹出口31aからの吹出風と、前記フロントベントの各吹出口33a,33a及び34a,34aからの吹出風との間の吹出ゆらぎ量割合又は吹出ゆらぎ周期を、調整可能とする吹出口ゆらぎ機構が構成されている。
この実施の形態では、前記アッパベント吹出口31aの通風断面積S1に比して、前記フロントベント吹出口としての各吹出口33a,33a及び34a,34aに送風を行うフロントベントダクト30の通風断面積S2が、大きくなるように設定されている。
そして、前記ブロアモータ14,コンプレッサ17及び、前記内外気切換ドアアクチュエータ12,エアミックスドアアクチュエータ26,吹出モード切換ドアアクチュエータ36,アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38は、この空気調和装置4のオートエアコン温調制御、オートエアコン吹出口のゆらぎ駆動制御及び、前記吹出口ゆらぎ機構のドア開度のゆらぎ駆動制御を行う制御部40に接続されている。
この制御部40には、図6に示すように、車両熱負荷を検出する為の熱負荷センサとしての日射センサ41と、外気温センサ42とが接続されている。
ここで、車両熱負荷とは、日射や、外気温によって、車室内に入ってくる熱量で、外気温日射量が多く、外気温が高い場合には、大きく、日射量が少なく、外気温が低い場合には、小さい値を取ることが知られている。
また、図11に示されるように、外気温と、車両1の車室2内部の室温との差が大きいすなわち、車室2内部の室温が、低いほど、外部からの入熱は多くなる。例えば、図3に示すように、夏季等、外気温が、約30°Cで、日射量も多い場合、車両熱負荷も多くなる。
このため、空気調和装置4の冷房能力も、春秋季の車室2内部の室温と、外気温との差が小さい時と比して、大きく設定されなければならず、例えば、図3に示すような状態で、出入りの熱量を釣り合わせて、25°C近辺で、車室2内の温度を均衡させて維持させる場合には、例えば、この車両1では、図11に示すように、冷房能力を約450W程度としなければならないことが、分かる。
この実施の形態では、これらの日射センサ41及び外気温センサ42とによって、検出された日射量データ及び外気温データが、車両熱負荷の大,小を示す熱負荷検出信号として、車両熱負荷演算手段43に出力される。
そして、これらの入力された日射量データ及び外気温データに基づいて、この車両熱負荷演算手段43では、車両熱負荷データが、演算されるように構成されている。
また、この制御部40には、前記車両熱負荷演算手段43に接続されて、この車両熱負荷演算手段43から送られてくる車両熱負荷データが、入力されるオートエアコン吹出口演算手段44が、設けられている。
このオートエアコン吹出口演算手段44には、前記熱負荷センサとしての日射センサ41及び、外気温センサ42と共に、車両1の車室2内の温度を検出して、このオートエアコン吹出口演算手段44に、室内温度信号を送信する室内温度センサ46が、接続されている。
また、このオートエアコン吹出口演算手段44には、前記インストルメントパネル3に設けられたエアコン操作部に配置されて、オートエアコンの設定温度を任意に設定可能な目標温度設定器47と、前記アッパベントダクト31の通風路を介して、前記アッパベント吹出口31aから車室2内方向へ送出される送風を、前記アッパベント吹出切換ドア37の開閉によって、開閉塞可能に切り替えるアッパベントON/OFFスイッチ48とが、接続されている。
そして、この制御部40には、更に、前記車両熱負荷演算手段43で、演算された車両熱負荷データの大,小に応じた複数のゆらぎ制御パターンマップが記憶されていると共に、これらのゆらぎ制御パターンマップが、有する各ドア開度データ、ドア開時間データ、及びドア閉時間データが、各々読み書き可能に記憶されたゆらぎ制御パターンマップ記憶手段45が、設けられている。
この実施の形態のゆらぎ制御パターンマップ記憶手段45には、前記オートエアコン吹出口演算手段44が、接続されていると共に、フット吹出口32a,32aから吹出風が吹き出す際に、日射量と外気温とによって、ゆらぎ制御パターンマップによる制御をOFFするゆらぎ制御停止パターンが、記憶されている。
また、このオートエアコン吹出口演算手段44には、前記吹出口ゆらぎ機構としてのアッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38及び吹出モード切換ドアアクチュエータ36が接続されている。
そして、このオートエアコン吹出口演算手段44では、前記各アッパベント吹出切換ドア37及び吹出モード切換ドア35のドア開度の変更によって、吹出ゆらぎ量割合又は吹出ゆらぎ周期が、調整される、ゆらぎ駆動制御が行われるように構成されている。
すなわち、例えば、この実施の形態のオートエアコン吹出口演算手段44では、前記車両熱負荷演算手段43で、車両熱負荷の高,低が、演算されると、この車両熱負荷の高,低に応じた熱負荷データが、オートエアコン吹出口演算手段44に出力される。
このオートエアコン吹出口演算手段44では、この熱負荷データに応じたゆらぎ制御パターンマップが、前記ゆらぎ制御パターンマップ記憶手段45から、読み出されて、前記吹出口ゆらぎ機構としての前記内外気切換ドアアクチュエータ12,エアミックスドアアクチュエータ26,吹出モード切換ドアアクチュエータ36,アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38の各ドア開度のゆらぎ駆動制御が、行われるように構成されている。
更に、この実施の形態では、このゆらぎ駆動制御により、アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38及び吹出モード切換ドアアクチュエータ36が、ゆらぎ量を車両熱負荷の高,低に応じて段階的に変動させるように、ドア開度、ドア開時間、及びドア閉時間が、予め記憶された図9に示すような基本のゆらぎパターンが記憶されている。
また、この実施の形態のこのオートエアコン吹出口演算手段44では、実際に、前記アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38及び吹出モード切換ドアアクチュエータ36に、制御信号を出力して、図10に示すようなタイムチャートのゆらぎサイクルが生成される際に、ゆらぎ制御パターンマップに、前記熱負荷に応じて、算出されて記憶されている基本ゆらぎパターンBp内の複数の異なるドア開度変化量及びドア開放時間が、順次入替えられて、並べ替えられたタイムチャートのゆらぎサイクルとして、生成されて、このゆらぎサイクルに基づいて、前記各アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38及び吹出モード切換ドアアクチュエータ36のドア開度が変更されるように構成されている。
そして、実施の形態のこのオートエアコン吹出口演算手段44では、実際に、前記アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38及び吹出モード切換ドアアクチュエータ36に、制御信号を出力して、図10に示すようなタイムチャートのゆらぎサイクルを生成する際に、フット吹出口32aから、送風が行われる場合に、ON,OFFが行われるゆらぎ制御停止パターンが、このタイムチャートのゆらぎサイクルの間に介在されて、ゆらぎ制御パターンマップによる制御がOFFとされることにより、ゆらぎ駆動制御が、一時的に停止されるゆらぎ停止時間Tdが設けられている。
更に、この実施の形態では、前記アッパベント開口部31bに設けられたアッパベント吹出切換ドア37の開度を、前記アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38によって切り替える際に、アッパベント吹出切換ドア37を開ける際には、ダイレクトに短時間で開けると共に、アッパベント吹出切換ドア37を閉じる際には、複数段階、例えば、開閉量が小さい場合には、3段階、開閉量が大きい場合には、5段階等、をかけて段階的に閉じることにより、ドア開,閉の所要時間を異ならせるように構成されている。
このうち、アッパベント吹出切換ドア37を閉じる際に、複数段階に分けて、連続的に閉じていないのは、アッパベント吹出切換ドア37が、少量開いた際の所謂、笛吹き音の発生を防止する為である。
そして、前記アッパベント吹出口31aからの吹出風と、フロントベントダクト30の各吹出口33a,33a及び吹出口34a,34aからの吹出風との間の吹出ゆらぎ量割合又は吹出ゆらぎ周期が、前記各アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38及び吹出モード切換ドアアクチュエータ36のドア開度、ドア開時間、及びドア閉時間によって、変更されて、調整可能となるように、構成されている。
そして、前記車室2内温度全体の熱負荷変動が減少するように、前記アッパベント吹出口31aからの吹出風量及び送風の温度が、前記フロントベントダクト30の各吹出口33a,33a及び34a,34aからの吹出風量及び送風の温度に比して、高い冷房能力となるように構成されている。
この実施の形態では、空調切換としてのアッパベント吹出風量変化が、アッパベント吹出切換ドア37のドア開度、ドア開時間、及びドア閉時間によって調整されると共に、前記フロントベントダクト30の各吹出口33a,33a及び34a,34aに送風を行うドア開度、ドア開時間、及びドア閉時間が調整されて、図7中(a)に示される夏季及び図7中(b)及び(c)に示される春秋季A,Bのベントゆらぎ効果を発揮させるように構成されている。
すなわち、図9及び図10中、縦軸に示されるように、アッパベント吹出口31aからの送風風量であるアッパベント吹出切換ドア37の開度は、前記フロントベントダクト30からの送風風量を減少させる吹き出しモード切換ドア35の閉度と一致するので、図5中(c)に示されるセンタベント開度%=約100%−アッパベント開度%が、成立している。
また、フット吹出口32aの開度は、この図5中(c)に示されるアッパベント開度%に関わらず、前記オートエアコン吹出口演算手段44で、演算された制御値に応じて、調整制御されるように、構成されている。
更に、この実施の形態では、前記アッパベントの吹出風量の変化に加えて、前記吹出モード切換ドアアクチュエータ36による空調切換によって、前記フット吹出口32aからの吹出風量を、吹出モード切換ドア35のドア開度、ドア開時間、及びドア閉時間によって調整することにより、冬季のベントゆらぎ効果を発揮させるように構成されている。
次に、この実施の形態の車両用空調装置で、冷房能力を増大させずに、所望の快適性を得られる空調制御の概念について、図8を用いて説明する。
図8中(a)に示すように、夏季のゆらぎ制御で、前記アッパベントON/OFFスイッチ48によって通常吹出モードが、選択されている状態では、前記ブロアファン装置13からの風量F1を多くして、エバポレータ16の冷力も大とすることにより、前記フロントベントダクト30から送り出される冷風量を、車室2内の乗員が、快適であると感じる温度まで低下させることにより、空調制御が行われている。
このため、前記フロントベントダクト30の各吹出口33a,34aを開放して、多くの風量を有する送風F2に、大きな冷力を与えなければならず、エバポレータ16に接続された図2に示す前記コンプレッサ17の仕事量を多くしつつ、ヒータコア27により、リヒート量を増大させなければならない。
これに対して、図8中(b)に示すように、夏季のゆらぎ制御で、前記アッパベントON/OFFスイッチ48によって、アッパベント吹出モードが、選択されている状態では、前記ブロアファン装置13からの風量F3は、中程度で良く、アッパベントダクト31を介して、前記アッパベント吹出口31aから、送風される風量F4が、少なくても、ヒータコア27を通らない冷風によって、車室2内の天井部下面側2aに沿って、後部座席方向へ吹き出されるので、乗員の頭部近傍を効率良く、冷却出来る。
従って、室温を下げることなく、前記フロントベントダクト30の各吹出口33a,34aからの風量を減少させて、送風F5に必要とされる冷力も小さくて済み、前記ヒータコア27におけるリヒート量を減少させることが出来る分も加えて、冷房能力を増大させる必要が無くなり、前記エバポレータ16に接続されるコンプレッサ17の仕事量を減少させることができる。
このため、前記コンプレッサ17の仕事量を減少させて、省エネルギ化を図ることが出来る。
次に、この実施の形態の車両用空調装置の作用効果について、図4に示すフローチャートに沿って説明する。
この実施の形態では、まず、Step1で、空気調和装置4の空調制御が開始されると、Step2では、図6に示す前記日射センサ41,外気温センサ42,室内温度センサ46による検出値の読み込みが、行われると共に、前記目標温度設定器47,及びアッパベントON/OFFスイッチ48による設定値の読み込みが、行われて、前記制御部40に送られる。
Step3では、前記制御部40のオートエアコン吹出口演算手段44によって、通常のオートエアコンとしての吹出口演算が、行われる。
Step4では、前記日射センサ41によって、検出された日射量及び、外気温センサ42によって、検出された外気温が用いられて、熱負荷に応じたゆらぎモードが、図5中(a),(b)に示す例のように算出される。
Step5では、ゆらぎ制御を行うか否かの判断計算が行われる。
ここで、この実施の形態では、判断項目として、目標吹き出し温度が所定値以上、かつ所定値未満であるか否か、吹出口位置が、バイレベル若しくは、デフロスタ位置であるか否か、前記アッパベントON/OFFスイッチ48が、ON状態であるか否か、図5中(a),(b)に示すゆらぎモードが、X以外であるか否かが、判断される。
Step6では、上記判断が、全てYESである場合は、次のStep7へ進み、上記判断に、YESで無いものが、一つでもある場合には、Step8に進み、ゆらぎ制御を行わない通常のオートエアコン制御が選択されて実行される。
Step7で、ゆらぎ制御を付加したオートエアコン制御が選択されて実行されると、次のStep9では、各モードA〜Fに対応したドア開度、ドア開時間、ドア閉時間、休み時間を、前記ゆらぎ制御パターンマップ記憶手段45から読み込む。例えば、図5中(c)に示すようなものである。
Step10では、前記制御部40のオートエアコン吹出口演算手段44から、この読み込まれたゆらぎ制御パターンマップを、図9に示す基本パターンに基づいて生成されたタイムチャートに従い、前記吹出モード切換ドアアクチュエータ36,アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38によって駆動される各吹出モード切換ドア35及びアッパベント吹出切換ドア37のドア開度のゆらぎ駆動制御を行い、スイング動作させて、Step11で、空調制御を終了する。
この実施の形態では、前記Step5で、ゆらぎ制御が行われない条件が一つ以上存在し、Step6で、ゆらぎ制御が、OFFであると判断された場合には、図6に示す前記オートエアコン吹出口演算手段44が、前記日射センサ41及び、外気温センサ42から送られてくる日射量データ及び外気温データと共に、車両1の車室2内の温度として、室内温度センサ46から送られてくる室内温度信号を受信して、前記目標温度設定器47から送られてくる温度設定値に、車室2内の温度を近づけるように、前記吹出モード切換ドアアクチュエータ36に、駆動制御信号を送信する。
この吹出モード切換ドアアクチュエータ36では、駆動制御信号を受けて、フロントベントダクト30の各吹出口33a,33a及び34a,34a、又は、フット吹出口32a,32a若しくは、これらの吹出口33a,34a及びフット吹出口32aの双方であるバイレベル(B/L吹出)のうち、最適な吹出口から、送風が行われる様に、切換が行われる。
また、この実施の形態では、前記アッパベントON/OFFスイッチ48からのON/OFF情報に基づいて、前記オートエアコン吹出口演算手段44から、前記アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38に、駆動信号が送出されることにより、アッパベント吹出切換ドア37のドア開度が、手動開閉制御される。
この際、前記Step5で、ゆらぎ制御が行われる条件が、全て整い、Step6で、ゆらぎ制御が、ONであると判断された場合には、更に、前記車両熱負荷演算手段43から送られてくる熱負荷データに基づいて、図5中(a)(b)から、熱負荷が考慮されたゆらぎモードが選択される。
また、図5中(c)に示されるゆらぎ制御パターンマップに従い、前記オートエアコン吹出口演算手段44によって、図9に示す基本パターンから、図10に示す入れ替えが行われた実際のゆらぎサイクルが、演算される。
そして、この実際のゆらぎサイクルに基づいた駆動制御信号が、前記オートエアコン吹出口演算手段44から、前記アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38に、ゆらぎ駆動信号が送出されることにより、アッパベント吹出切換ドア37のドア開度が、ゆらぎ制御されると共に、前記吹出モード切換ドアアクチュエータ36にも、ゆらぎ駆動信号が送出されることにより、ゆらぎ制御される。
このため、図7に示すように、8/16/60秒間隔等で、図7中(a)に示される夏季、及び図7中(b)(c)に示される春秋季A,Bでは、前記アッパベント吹出口31a,31aからの送風と、フロントベントダクト30の吹出口33a,33a若しくは、34a,34aからの送風が交互に切り替えられる。
また、図7中(d)に示される冬季では、8/16/60秒間隔等で、前記アッパベント吹出口31a,31aからの送風と、フットダクト32の吹出口からの送付が交互に切り替えられる。
そして、図8中(b)に示されるように、前記アッパベント吹出口31a,31aからの送風によって、前記車室2内温度全体の熱負荷変動が減少するように、前記アッパベント吹出口31aからの吹出風量又は温度を、フロントベントダクト30の吹出口33a,33a若しくは、34a,34aから吹出風量又は温度に比して、高い冷房能力とする。
例えば、同一の吹き出し風量であっても、前記エアミックスドア25をスイング制御することにより、ヒータコア27を通過する空気を混合して、前記吹出口33a,33a若しくは、34a,34aから吹出温度(例えば、約17°C)に比して、アッパベント吹出口31a,31aからの吹出温度(例えば、約14°C)が、低くなるように設定される。
前記アッパベント吹出口31a,31aからの送風は、図3に示すように、車室2内の天井部下面側2aに沿って、前部座席2bに着席した乗員の頭部近傍を通り、後部座席2c方向へ送風される。
このため、車室2内の室温安定時においても、やや暑くなりがちな乗員の頭部の周辺温度を、このアッパベント吹出口31aからの送風によって、効率的に冷却することができる。
この際、乗員の頭部の周辺温度は、前記車室2内の安定室温よりも、数度下げられている温度ゆらぎ制御によって得られる。
しかも、この温度ゆらぎ制御は、前記車室内温度全体の熱負荷変動が減少するように、車体熱負荷に応じて得られる、ゆらぎ量と、ゆらぎ周期とを用いて、ゆらぎ制御パターン及びゆらぎサイクルとが生成されている。
このため、四季を問わず、ゆらぎ効果が適切なものとなり、空調フィーリングを向上させることができる。
更に、平均室温が変更されないように、全体の熱負荷変動を抑制しているので、乗員の頭部以外の身体の空調フィーリングが、悪化してしまう虞が減少して、この点においても、空調フィーリングを向上させることができる。
しかも、この実施の形態では、図2に示すように、前記アッパベント吹出口31aの通風断面積S1に比して、前記フロントベント吹出口33a,33aに送風を行うフロントベントダクト通風断面積S2が、大きくなるように設定されている。
このため、乗員の頭部の周辺温度が、温度ゆらぎ制御によって、前記車室2内の安定室温よりも、数度下げられていても、前記フロントベント吹出口33a,33aの風量は確保出来るので、容易に、前記車室2内の温度全体の熱負荷変動を減少させることができる。
しかも、前記アッパベント吹出口31aの通風断面積S1が、前記フロントベント吹出口33a,33aに送風を行うフロントベントダクト通風断面積S2よりも、小さく設定されているので、図1に示すように、アッパベント吹出口31a,31aの開口面積を小さく設定して、インストルメントパネル3への配置レイアウトの自由度を向上させることができる。
また、図5中(a)〜(c)に示されるように、前記制御部40には、接続される前記日射センサ41及び外気温センサ42が設けられていて、車両熱負荷の高,低が、前記車両熱負荷演算手段43によって演算されている。
そして、この車両熱負荷演算手段43で、演算された車両熱負荷の高,低に応じた複数のゆらぎ制御パターンマップが、前記ゆらぎ制御パターンマップ記憶手段45に記憶されている。
このため、前記アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38と、前記吹出モード切換ドアアクチュエータ36とによる前記各ドア開度のゆらぎ駆動制御が、行われる際に、ゆらぎ量を、車両熱負荷の高,低に応じて段階的に変動させることができる。
このように、アッパベント吹き出し時には、日射量と、外気温とによって、車両熱負荷の高,低に応じた複数のゆらぎ制御パターンを持たせている。
よって、特に、夏季等、単なるゆらぎとすると、アッパベント吹出口31a,31aから、送風される風量が少ない為、全体風量が減少して、冷房感が不足してしまうことも考えられるが、日射量が多く、外気温が高い場合は、車両熱負荷が高い夏季等であるとして、ゆらぎ制御量を小さくすると共に、日射量が少なく、外気温が低い場合には、車両熱負荷が低いとして、ゆらぎ制御量を比較的大きくするように構成出来る。
従って、夏季等には、ゆらぎ制御量が小さく設定されているので、前記アッパベント吹出口31a,31aから、送風される風量が、途切れたり、或いは減少しすぎる虞が無くなり、冷力不足となる虞が無い。
また、図5中(a)〜(c)に示されるモードXのように、この実施の形態の前記ゆらぎ制御パターンマップ記憶手段45には、冬季等、フット吹出口32aから吹出風が吹き出す際に、日射量と外気温とによって、ゆらぎ制御パターンマップによる制御を、OFFするゆらぎ制御停止パターンが記憶されている。
この実施の形態では、前記日射量が少なくても、外気温が比較的高い場合には、乗員の頭部に、不快感が生じる虞が有るので、ゆらぎ制御が行われる。
同様に、外気温が比較的低くても、日射量が多い場合にも、ゆらぎ制御が行われるように構成されている。
そして、冬季等、外気温が低く、日射量が少ない場合は、必要暖房量が多いとして、フット吹出口32aから吹出風が吹き出す際に、ゆらぎ制御を行わず、暖房に必要とされる吹出風量が確保される。
このため、空調フィーリングを損なわず、必要な冷暖房を行うことができる。
更に、この実施の形態では、図10に示すように、前記ゆらぎ制御パターンマップ記憶手段45に、前記熱負荷に応じて、算出されて記憶されている図9に示す基本ゆらぎパターンBp内の複数の異なるドア開度変化量及びドア開放時間が、順次入替えられて、並べ替えられたタイムチャートのゆらぎサイクルに基づいて、前記ドア開度が変更される。
このため、前記アッパベント吹出切換ドア37及び、吹出モード切換ドア35の開閉動作が、単純なスイングとなるのでなく、自然風により近いゆらぎを、実際に送風されるゆらぎサイクルで実現出来る。
しかも、この実施の形態では、前記車両の熱負荷変動とのバランスを考慮したゆらぎサイクルとして、実現する為、単なるランダム値とせず、図9に示すような基本となる基本パターンを算出して、この基本パターンに用いられる開度、開時間、閉時間データを交互に組み合わせることで、自然なゆらぎ効果を得つつ、冷房能力及び暖房能力を損なわないように送風できる。
また、この実施の形態では、図10に示す様に、前記タイムチャートのゆらぎサイクルの間に、ゆらぎ制御パターンマップによる制御をOFFとすることにより、ゆらぎ駆動制御を停止させるゆらぎ停止時間Tdを設けて、ゆらぎ制御停止パターンが、生成されている。
このため、車室2内の乗員の空調フィーリングが悪化しない範囲で、休み時間を設けることにより、前記アッパベント吹出切換ドア37を動作させるアッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38及び、吹出モード切換ドア35を動作させる吹出モード切換ドアアクチュエータ36のコストを上昇させることなく、ゆらぎ制御を実現することができる。
更に、この実施の形態では、前記アッパベント吹出口31aに設けられたアッパベント吹出切換ドア37の開度を調整可能なアッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38が、ドア開,閉の所要時間を、異ならせるように構成されている。
すなわち、この実施の形態では、前記アッパベント吹出口31aに設けられたアッパベント吹出切換ドア37の開度が、前記アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38によって切り替えられる際に、アッパベント吹出切換ドア37が開けられる際には、ダイレクトに短時間で開けられると共に、アッパベント吹出切換ドア37が、閉じられる際には、複数段階、例えば、開閉量が小さい場合には、3段階、開閉量が大きい場合には、5段階をかけて段階的に閉じられることにより、ドア開,閉の所要時間が異ならせられている。
このため、車室2内の乗員の顔に、送風を当てる際には、瞬時に風量を増大させることにより、空調フィーリングを更に向上させている。
また、乗員の顔への送風を止める際には、段階的に徐減させて、空調フィーリングを更に向上させている。
しかも、この実施の形態では、アッパベント吹出切換ドア37を閉じる際に複数段階として、連続的に閉じていない為、アッパベント吹出切換ドア37が、少量開いた際の所謂、笛吹き音の発生が防止される。
図3,図6及び図7は、この車両用空調装置の実施の形態の一実施例の車両用空調装置としての空気調和装置104を、主に示すものである。
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
この実施例の空気調和装置104では、図6に示す前記吹出モード切換ドアアクチュエータ36により、図3中(b)に示す前記吹出モード切換ドア35が、切り替えられることにより、フットダクト32のフット吹出口32a,32a又は、フロントベントダクトとしてのセンタベントダクト33の吹出口33a,33aとの何れかから、送風が、車室2内に行われるかが、選択可能となるように、構成されている。
このため、図7中、夏季及び春秋季A,Bは、図6中に示すように、前記吹出モード切換ドア35によって、フロントベントダクトとしてのセンタベントダクト33の吹出口33a,33aが、開放されて、前記フットダクト32が、閉塞されるように切り替えられることにより、前記アッパベント吹出口31aと、センタベントダクト33の吹出口33aとの間のベントゆらぎ制御が、行われて、ゆらぎ効果が得られる。
また、図7中(d)に示す、冬季は、図6中に示すように、前記吹出モード切換ドア35によって、フロントベントダクトとしてのセンタベントダクト33の吹出口33a,33aが、閉塞されて、前記フットダクト32が、開放されるように切り替えられることにより、前記アッパベント吹出口31aと、フットダクト32のフット吹出口32aとの間のベントゆらぎ制御が行われて、ゆらぎ効果が得られる。
このため、この一実施例のオートエアコン吹出口演算手段44では、実際に、前記アッパベント吹出切換ドアアクチュエータ38及び吹出モード切換ドアアクチュエータ36に、制御信号が出力されて、図10に示すようなタイムチャートのゆらぎサイクルを生成する際に、冬季等、外気温が低く、日射量が少ない場合は、必要暖房量が多いとしてゆらぎ制御を行わず、暖房に必要とされる吹出風量を確保しなればならない場合であると判断される。
そして、フット吹出口32aから、送風が行われる場合に、ゆらぎ制御が、停止される休み時間Tdが、介在された図10に示すようなゆらぎ制御停止パターンが、このタイムチャートのゆらぎサイクルの間に介在されて、ゆらぎ制御パターンマップによる制御が、OFFとされる。
従って、更に、暖房効率を良好なものとして、空調フィーリングを向上させることが出来る。
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
即ち、前記実施の形態では、車両用空調装置として、実施の形態では、図2に示すような構成の空気調和装置4を、この実施の形態の前記一実施例では、図3に示すような空気調和装置104を各々示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、後部座席の乗員足元に、送風を行う後部座席吹出口を備えた後部座席用ダクトや、或いは、天井部ルーフレール近傍を通り、後部座席の乗員に、送風を行う後部座席側頭部吹出口を備えた後部座席用天井ダクト等を備えた車両用空調装置であっても良く、また、これらの後部座席用ダクト又は、後部座席用天井ダクト等を、フロントベントダクトとして、利用しても又は、利用しなくても良く、前記アッパベント吹出口31aの通風断面積S1に比して、前記フロントベント吹出口としての各吹出口33a,33a及び34a,34aに送風を行うフロントベントダクト30の通風断面積S2が、大きくなるように設定されているものであれば、車両用空調装置のダクトの形状、数量及び材質が、特に限定されるものではない。
また、前記実施の形態では、吹出モード切換ドア35が、ドア開度を変更可能な吹出モード切換ドアアクチュエータ36によって、回動駆動されて、前記空調装置ケーシング5内で、混合された空気が、フロントベントダクト30を介して、センタベントダクト33,33若しくは、サイドベントダクト34,34から、車室2内後方方向へ送風されるか、或いは、前記フットダクト32から、車室2内の乗員の足元へ向けて送風されるかが、切り替え可能となるように構成されているが、特にこれに限らず、例えば、図3中エアミックスドア25として示すスライドドアを用いても、アッパベント吹出口31aからの吹出風と、フロントベント吹出口33a,34aからの吹出風との間の吹出ゆらぎ量割合又は吹出ゆらぎ周期を、ドア開度によって変更することにより、調整可能なものであれば、どのようなドア及び駆動機構を、吹出口ゆらぎ機構として用いても良く、各ドアの形状、数量及び材質が、特に限定されるものではない。