図1及び図2に示すAは、本発明に係る施肥装置Mを装備する乗用田植機である。以下に、乗用田植機Aを説明した後に、本発明に係る施肥装置Mについて詳説する。
[乗用田植機A]
乗用田植機Aは、図1及び図2に示すように、牽引車としての走行装置1の後方に昇降機構2を介して植付装置3を昇降自在に取り付けている。そして、かかる乗用田植機Aは、複数(本実施形態では6条)の植付作業を行うことができるようにしている。
〔走行装置1〕
走行装置1は、図1及び図2に示すように、下部体11に上部体12を載設して構成している。そして、下部体11は、図3及び図4にも示すように、メイン車体フレーム13上にエンジン15等からなる原動機部14を搭載している。また、メイン車体フレーム13は、ミッションケース16の左右側壁前部よりそれぞれ外側方へフロントアクスルケース17,17を延設し、各フロントアクスルケース17,17の外側端部に前車軸18,18を介して左右一対の前車輪19,19を取り付ける一方、リヤアクスルケース20の左右外側端部に後車軸21,21を介して左右一対の後車輪22,22を取り付けて、上記ミッションケース16の後部とリヤアクスルケース20の中央部との間に、前後方向に伸延する連結フレーム23を横架状に架設して形成している。ここで、連結フレーム23は、断面四角形状でかつ前後方向に直状に伸延するパイプ状となしている。
図4に示すように、かかる連結フレーム23の中途部には外側上方に向けて左右側前部エンジンマウント24,24を突設する一方、リヤアクスルケース20の中途部には前方に向けて左右側後部エンジンマウント25,25を突設して、これらエンジンマウント24,24,25,25上に前記エンジン15を搭載している。
図1に示すように、エンジン15の左側前部から外側方へ突設した出力軸26と、ミッションケース16の左側後部から外側方へ突設した入力軸27との間には、プーリー28,29を介して伝動ベルト30を巻回している。
図4に示すように、ミッションケース16の後部とリヤアクスルケース20の右側前部との間には前後方向に伸延する伝動シャフト31を介設している。リヤアクスルケース20の左側後部にはPTO軸32を後方へ向けて突出させている。
図3及び図4に示すように、リヤアクスルケース20の右側前部には動力取出ケース33をエンジン15の右側方に張り出し状に設けて、同動力取出ケース33とミッションケース16の右側後部との間に前後方向に伸延する動力取出シャフト35を介設している。動力取出ケース33の上面後部からは第1動力取出軸36を上方へ向けて突出させると共に、同動力取出ケース33の後部からは第2動力取出軸34を後方へ向けて突出させている。
このようにして、エンジン15→出力軸26→プーリー28→伝動ベルト30→プーリー29→入力軸27→ミッションケース16に動力を伝達する。そして、ミッションケース16→フロントアクスルケース17,17→前車軸18,18→左右一対の前車輪19,19に動力を伝達すると共に、ミッションケース16→伝動シャフト31→リヤアクスルケース20→後車軸21,21→左右一対の後車輪21,21に動力を伝達する。また、リヤアクスルケース20のPTO軸32に動力を伝達する。また、ミッションケース16→動力取出シャフト35→第1動力取出軸36及び第2動力取出軸34に動力を伝達する。ここで、PTO軸32から後述する植付装置3に設けた整地装置4に動力を伝達する。そして、第1動力取出軸36から後述する施肥装置Mに動力を伝達する。また、第2動力取出軸34から後述する植付装置3に動力を伝達する。
前記したメイン車体フレーム13上には、図3及び図4に示すように、平面視四角形枠状のサブ車体フレーム37を、同メイン車体フレーム13の前方及び左右側方へ張り出し状に載設している。そして、サブ車体フレーム37は、フロントアクスルケース17,17上から前方へ張り出し状に配置した前半形成枠部38と、同前半形成枠部38の後端縁部からリヤアクスルケース20の上方位置まで上方へ一定の段差を持たせて配置した後半形成枠部39とから形成している。ここで、後半形成枠部39の後端部は、リヤアクスルケース20から立ち上げて形成した左右一対の後端部支柱40,40と、両後端部支柱40,40の上端部間に左右方向に伸延させて形成した後端部形成片41を左右両側方に張り出し状に横架して形成している。
また、図3及び図4に示すように、サブ車体フレーム37の後半形成枠部39の後部には、前後方向に伸延する左右一対の施肥装置取付座48,48を左右方向に一定の間隔を開けて設けている。
このようにして、左右一対の施肥装置取付座48,48に後述する施肥装置Mを着脱自在に取り付けて、同施肥装置Mをサブ車体フレーム37の後半形成枠部39に堅実に支持させている。
上部体12は、図3及び図4に示すように、前記したサブ車体フレーム37上に車体カバー体42を被覆状に張設している。そして、車体カバー体42は、サブ車体フレーム37の前半形成枠部38に沿わせて配置した前半形成部43と、サブ車体フレーム37の後半形成枠部39に沿わせて配置した後半形成部44とから形成している。前半形成部43の前部にはハンドルコラム45を立設し、同ハンドルコラム45の上端面部にハンドル46を取り付けている。ハンドル46の後方に位置する後半形成部44上に座席47を載置している。ここで、サブ車体フレーム37の後部の一定幅(本実施形態では施肥装置Mの前後幅)は、前記車体カバー体42の後半形成部44で被覆することなく露出させている。そして、露出させた後半形成枠部39に施肥装置Mを支持させている。
〔植付装置3〕
植付装置3は、図1,図2及び図5に示すように、植付ミッションケース50から植付センターケース51を後方へ向けて延設している。そして、植付ミッションケース50の左右側部には、それぞれ左右方向へ伸延する筒状の連結ケース52,52を介して、前後方向に伸延する植付サイドケース53,53の前部を連結している。植付センターケース51と植付サイドケース53,53は左右方向に一定の間隔を開けて並列状に配置し、植付センターケース51の前部と各植付サイドケース53,53の前部との間には連動シャフト54,54を介設して、これらケース51,53,53を連動連結している。各ケース51,53,53の左右側後部には左右一対のロータリケース(図示せず)を介して植付爪(図示せず)を取り付けている。これらケース51,53,53上には、苗載台支持フレーム57を介して、苗載台58を前高後低の傾斜姿勢にて左右方向に往復横摺動自在に支持している。そして、苗載台58の前面側(下面側)には苗載台58を往復横摺動(横送り)させる横送り機構59を配設して、同横送り機構59に苗載台58を連動連結している。苗載台58上には6条分の苗マットを載置可能としている。植付ミッションケース50には、入力軸55を前方へ向けて突設している。そして、前記した走行装置1に設けた動力取出ケース33の第2動力取出軸34に、植付伝動シャフト60を介して、上記入力軸55を着脱自在に連動連結している。また、植付ミッションケース50には連結フレーム56を上方へ立ち上げて立設している。植付センターケース51の下方にはセンターフロート61を配置し、各植付サイドケース53,53の下方にはそれぞれサイドフロート62,62を配置している。
前記昇降機構2は、前記した後半形成枠部39の後端部を形成する後端部形成片41及び左右一対の後端部支柱40,40と上記連結フレーム56との間に介設している。昇降機構2は昇降リンク63と昇降シリンダ(図示せず)とローリングシリンダ(図示せず)を具備している。このようにして、昇降機構2により走行装置1の後方に植付装置3を前後方向の軸線廻りにローリング自在かつ昇降自在に連結している。
上記のように構成した乗用田植機Aでは、圃場内を走行しながら6条分の苗の植え付け作業を行うことができる。
[施肥装置M]
施肥装置Mは、図1及び図2に示すように、走行装置1の後部に、前記した左右一対の施肥装置取付座48,48(図3及び図4参照)を介して、着脱自在に載設している。
かかる施肥装置Mは、図6〜図7に示すように、一方向(本実施形態では左右方向)に伸延する支持フレーム部70にその伸延方向に沿わせて複数(本実施形態では6個)の繰り出し部72を取り付け、各繰り出し部72の上端開口部には複数(本実施形態では6個)のホッパー部73をそれぞれ連通連設する一方、各繰り出し部72の下端開口部には複数(本実施形態では6個)の施肥ホース部74(図1参照)をそれぞれ連通連結している。
ここで、各繰り出し部72は、図8〜図10に示すように、前記した支持フレーム部70に取り付けた下部側繰り出し体75と、後述する各ホッパー部73に連通連設した上部側繰り出し体76とに分離・接合自在に形成している。
そして、支持フレーム部70と下部側繰り出し体75と施肥ホース部74とで固定側施肥部77を形成している。また、一側(本実施形態では左側)に配置した複数(本実施形態では3個)のホッパー部73同士を隣接方向に一体的に連通連設し、各ホッパー部73の下端部に各上部側繰り出し体76を連通連設して一側可動側施肥部としての左側可動側施肥部78を形成している。一方、他側(本実施形態では右側)に配置した複数(本実施形態では3個)のホッパー部73同士を隣接方向に一体的に連通連設し、各ホッパー部73の下端部に各上部側繰り出し体76を連通連設して他側可動側施肥部としての右側可動側施肥部79を形成している。また、両可動側施肥部78,79の外側端部には、それぞれ内部に残留する肥料を排出するための排出部80,80を設けている。
左側可動側施肥部78と右側可動側施肥部79は、それぞれ支持フレーム部70の左右側端部に回動支持アーム体81,81を介して枢支・連結して、略水平に横臥させた繰り出し姿勢(a)(図6及び図7参照)と、略垂直に跳ね上げて前記排出部80,80を下方へ指向させた排出姿勢(b)(図8〜図10参照)とに姿勢変更自在としている。
このように、左側可動側施肥部78と右側可動側施肥部79を、それぞれ略水平に配置した繰り出し姿勢(a)と、略垂直に跳ね上げた排出姿勢(b)とに姿勢変更自在とし、両可動側施肥部78,79の外側端部には、内部に残留する肥料を排出するための排出部80,80を設けているため、両可動側施肥部78,79を、それぞれ排出姿勢(b)に姿勢変更することで、各排出部80,80を下方へ指向させることができる。そのため、残留肥料を自重で各排出部側に流下させて、各排出部80,80から簡単にかつ堅実に排出することができる。この際、走行装置1の左右外側方位置で下方へ指向した各排出部80,80の直下方位置に回収容器K(図27参照)を配置しておけば、同回収容器K内に流下状態に排出される残留肥料H(図29参照)を楽に回収することができる。また、排出ホースを繰り出し部に接続することなく排出作業を行うことができるため、従来のように各繰り出し部72に接続した排出ホースの煩雑な取り回しに苦慮する必要性がない。
そして、左側可動側施肥部78と右側可動側施肥部79には、図7に示すように、それぞれ上部側繰り出し体76を繰り出し作動させる一側繰り出し作動軸としての左側繰り出し作動軸82と他側繰り出し作動軸としての右側繰り出し作動軸83とを設けている。しかも、左側繰り出し作動軸82と右側繰り出し作動軸83は、各上部側繰り出し体76の上部を貫通させて左右方向に伸延させると共に同軸的に配置している。両側繰り出し作動軸82,83の対向する内側端部同士はクラッチ部84,84を介して接続・切断自在に接続している。ここで、各クラッチ部84,84は、図12にも示すように、各繰り出し作動軸82,83の内側端部にその軸線方向に摺動自在に外嵌した円筒状の摺動体85,85と、各摺動体85,85の内側端部に対向状態にてドッグクラッチ状に形成した噛み合い体86,86とから構成している。そして、各摺動体85,85は対向する方向(接続する方向)にスプリング87,87で弾性付勢している。
右側可動側施肥部79には、図11及び図12に示すように、右側繰り出し作動軸83の左側部に入力側接続部88を設けて、同入力側接続部88と右側繰り出し作動軸83とを連動連結している。一方、支持フレーム部70には出力側接続部89を設けている。
入力側接続部88は、図6にも示すように、右側繰り出し作動軸83の左側部に同軸的かつ一体的に取り付けたギヤケース90と、同ギヤケース90から前方へ突出させた入力側接続軸91と、同入力側接続軸91の前端部に取り付けた大径の入力ギヤ92とから形成している。
出力側接続部89は、図6及び図8〜図12に示すように、前側の下部フレーム形成体93の右側寄り中途部にブラケット94を介して取り付けた変速ケース95と、同変速ケース95から後方へ突出させた出力側接続軸96と、同出力側接続軸96の後端部に取り付けた小径の出力ギヤ97とから形成している。なお、変速ケース95はフリクションドライブ機構を内蔵している。
そして、図13にも示すように、略水平に配置した右側可動側施肥部79の繰り出し姿勢(a)にて入力ギヤ92が出力ギヤ97に上方から噛合して接続される。一方、略垂直に跳ね上げた右側可動側施肥部79の排出姿勢(b)にて入力ギヤ92が出力ギヤ97から離隔して噛合状態を解除されることで、動力の伝達が切断されるようにしている。入力ギヤ92と出力ギヤ97は、相互に柔軟な噛み合い性を良好に確保するために合成樹脂で成形している。98は上部フレーム形成体99に着脱自在に取り付けた変速交換用の小径ギヤである。100は下部フレーム形成体93に着脱自在に取り付けた変速交換用の大径ギヤである。
このように、右側可動側施肥部79を入力側接続部88の入力ギヤ92と出力側接続部89の出力ギヤ97とが噛合して接続された繰り出し姿勢(a)から排出姿勢(b)に姿勢変更させるだけで、入力ギヤ92が出力ギヤ97から離隔して噛合状態が解除されるため、入力側接続部88と出力側接続部89との接続・切断操作を逐一行う必要性がない。そのため、作業者が入力側接続部88と出力側接続部89との接続・切断操作をし忘れるという不具合がなくなり、操作性が向上する。この際、左側繰り出し作動軸82と右側繰り出し作動軸83は、あらかじめクラッチ部84,84を介して接続を解除して切断状態にしておく。
図6〜図9に示すように、変速ケース95の底部から下方へ突出させた入力軸102と、前記した動力取出ケース33の上面後部から上方へ向けて突出させた第1動力取出軸36との間には、上下方向に伸延する伝動縦シャフト101を着脱自在に介設している。そして、変速ケース95の入力軸102は、動力取出ケース33の第1動力取出軸36の略鉛直上方に配置して、伝動縦シャフト101を略鉛直方向に短幅化させて介設している。従って、伝動縦シャフト101のコンパクト化と伝動効率の向上を図ることができる。
上記のように、本発明に係る施肥装置Mは、走行装置1の後部に設けた左右一対の施肥装置取付座48,48上に固定する固定側施肥部77と、同固定側施肥部77に姿勢変更自在に取り付けている左側可動側施肥部78及び右側可動側施肥部79とから構成している。そして、施肥装置Mは、ユニットとして走行装置1に着脱自在としている。この際、動力取出ケース33の第1動力取出軸36に伝動縦シャフト101の下端部を着脱することで、施肥装置Mはその固定側施肥部77に設けた変速ケース95と伝動縦シャフト101を一体的にユニットとして走行装置1に着脱することができる。従って、走行装置1に施肥装置Mを変速ケース95と伝動縦シャフト101を含むユニットとして着脱する着脱作業性を向上させることができる。
以下に、上記した支持フレーム部70、ホッパー部73、繰り出し部72、及び、施肥ホース部74について、具体的に説明する。
〔支持フレーム部70〕
支持フレーム部70は、図6〜図10に示すように、前記した固定側施肥部77の基部を形成している。すなわち、前後方向に長手状に形成した左右一対の取付体110,110上に、左右方向に直状に伸延する前後一対の下部フレーム形成体93,93を横架し、両下部フレーム形成体93,93に左右一対の板状フレーム形成体111,111の下側面部を架設状に取り付けて起立状となし、両板状フレーム形成体111,111の前上側面部間に、左右方向に直状に伸延する上部フレーム形成体99を横架して立体枠状に形成している。そして、上・下部フレーム形成体93,93,98の左右側部には、図12に示すように、左右一対の板状の補強体112,112を起立状に架設している。ここで、上部フレーム形成体99は棒状(断面円形の管状)に形成している。また、下部フレーム形成体93,93は断面四角形の管状に形成している。板状の補強体112は前端縁部に後方へ凹状に湾曲する凹状部113を形成して、同凹状部113を介して後述する圧送風ダクト114との干渉を回避する状態にて3本の各フレーム形成体93,93,98間に架設している。
下部フレーム形成体93,93の間には、図10〜図15に示すように、左右方向に直状に伸延する円管状の圧送風ダクト114を、前記左右一対の板状フレーム形成体111,111間に横架して配設している。ここで、圧送風ダクト114の左側端は、図14及び図15に示すように、左側の板状フレーム形成体111に貫通させて、左側の板状フレーム形成体111の外側面に取り付けた接続体129の開口端部124に連通連設している。一方、圧送風ダクト114の右側端は、右側の板状フレーム形成体111で閉塞している。
そして、圧送風ダクト114の左側端は、図15に示すように、ブロワー等の圧送風供給部115と接続・切断自在としている。また、圧送風ダクト114の中途部には、前記繰り出し部72を連通連結している。このようにして、圧送風供給部115から圧送風ダクト114を通して各繰り出し部72に肥料圧送風を供給することにより、各繰り出し部72から繰り出される肥料が各施肥ホース部74を通して間欠的に圧送されて、各苗植付条に植設された苗の近傍位置に施肥されるようにしている。
また、圧送風供給部115は、図15及び図16に示すように、本体116に吸気口部117と吐出口部118とを設けて、吸気口部117から吸気した外気を吐出口部118から吐出させるようにしている。かかる圧送風供給部115は、左側の板状フレーム形成体111に連設した供給部取付体128に取付ブラケット119を介して取り付けている。供給部取付体128は板状に形成して、左側の板状フレーム形成体111の前端部に、起立状態にて前方へ向けて張り出し状に連設している。そして、供給部取付体128の上・下縁部にそれぞれ外側方に張り出して前後方向に伸延する上下一対のフランジ片120,120を形成している。また、取付ブラケット119は圧送風供給部115の本体116に取り付けたブラケット本体121と、同ブラケット本体121から突設した上下一対の取付アーム片122,122とから形成している。そして、上下一対のフランジ片120,120の上面前部に、上下一対の取付アーム片122,122の先端部を上下方向に軸線を向けた枢軸123,123を介して枢支している。両枢軸123,123は略鉛直方向に伸延する同一軸線上に配置している。173はパッチン錠等の連結・固定具であり、同連結・固定具173はブラケット本体121に設けた係止用フック174と、板状フレーム形成体111に設けた連結操作片175及び係止片176とを具備している。177はブラケット本体121に設けた間隔保持用突片であり、板状フレーム形成体111に当接する。
このようにして、圧送風供給部115は、図17に示すように、取付ブラケット119を介して枢軸123,123を中心に圧送風ダクト114側に回動させると、同圧送風ダクト114に連通連設した接続体129の開口端部124に吐出口部118が符合して、両者を連通状態に接続させることができる(以下、かかる圧送風供給部115の姿勢を接続姿勢(c)という)。この際、連結・固定具173で支持フレーム部70の板状フレーム形成体111に圧送風供給部115のブラケット本体121を連結・固定する。また、圧送風供給部115は、図16に示すように、取付ブラケット119を介して枢軸123,123を中心に圧送風ダクト114から離隔する方向に回動させると、同圧送風ダクト114の開口端部124から吐出口部118が離隔して、両者を接続解除させることができる(以下、かかる圧送風供給部115の姿勢を接続解除姿勢という)。この際、連結・固定具173による板状フレーム形成体111とブラケット本体121との連結・固定は、あらかじめ解除しておく。ここで、圧送風供給部115が接続解除姿勢を採った際には、同圧送風供給部115の作動は強制停止されるようにして安全性を確保している。
しかも、圧送風供給部115は、図16に示すように、最大限に回動させた接続解除姿勢、すなわち、排出姿勢(b)を採る左側可動側施肥部78と干渉しないようにする干渉回避姿勢(d)に姿勢変更自在としている。具体的には、圧送風供給部115を干渉回避姿勢(d)に姿勢変更した際に、上下一対のフランジ片120,120と、上下一対の取付アーム片122,122とが枢軸123,123を中心に内角が一定の鈍角(例えば、135度)を形成するようにしている。このように、圧送風供給部115を排出姿勢(b)を採る左側可動側施肥部78の回動軌跡外に配置する干渉回避姿勢(d)に姿勢変更することで、圧送風供給部115と左側可動側施肥部78との干渉を回避している。
従って、左側可動側施肥部78を排出姿勢(b)に姿勢変更する際には、あらかじめ圧送風供給部115を干渉回避姿勢(d)に姿勢変更することで、排出姿勢(b)を採る左側可動側施肥部78と干渉しないようにすることができる。
圧送風供給部115は姿勢保持手段125により干渉回避姿勢(d)に保持されるようにしている。すなわち、姿勢保持手段125は、上側のフランジ片120の前部にバネ鋼で成形した板状の姿勢保持体126を外側前方へ向けて横臥状(面を上下方向に向けて)に突設し、同姿勢保持体126の先端部に上方へ突出する円錐状の凸部127を下方から上方へ打ち起こし状に形成している。
このようにして、圧送風供給部115を干渉回避姿勢(d)に姿勢変更する場合には、枢軸123を中心に取付アーム片122を凸部127の弾性に抗して前方へ回動させることで、同凸部127の直前方位置まで移動させる。また、取付アーム片122はそれ以上に前方へは回動しないように規制している。従って、圧送風供給部115は干渉回避姿勢(d)に保持される。圧送風供給部115の姿勢を接続姿勢(c)に変更する際には、枢軸123を中心に取付アーム片122を凸部127の弾性に抗して後方へ回動させることで、同凸部127の後方位置まで移動させて干渉回避姿勢(d)を解除する。
このように、圧送風供給部115を姿勢保持手段125により干渉回避姿勢(d)に保持することができるため、圃場面等の凹凸により施肥装置M自体が傾いている場合や突風が吹いた場合にも、圧送風供給部115を干渉回避姿勢(d)に保持して、排出姿勢(b)を採る左側可動側施肥部78との干渉を堅実に回避することができる。また、圧送風供給部115が姿勢変更することで不慮の事故が発生するのを防止することもできる。
〔ホッパー部73〕
ホッパー部73は、図6,図18及び図19に示すように、上下面が開口する四角形筒状に形成した上部形成体130と、同上部形成体130の下端縁部にから下方へ漸次縮径させて漏斗状に形成した下部形成体131とから形成している。そして、3個のホッパー部73,73,73の上部形成体130,130,130を左右幅方向に隣接状態に連設して前記した左側可動側施肥部78の一部を形成すると共に、3個のホッパー部73,73,73の上部形成体130,130,130を左右幅方向に隣接状態に連設して前記した右側可動側施肥部79の一部を形成している。なお、右側可動側施肥部79は、基本的に左側可動側施肥部78と同様に構成している。従って、以下に左側可動側施肥部78の構成について具体的に説明して、右側可動側施肥部79の構成については左側可動側施肥部78の構成部材と対応する構成部材の符号を同一にして、その具体的な説明は省略する。
ホッパー部73は軽量かつ硬質材料で剛性の高い合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)で成形することで、一体に連設した3個のホッパー部73,73,73を左側可動側施肥部78の強度メンバーとして機能させている。すなわち、繰り出し姿勢(a)と排出姿勢(b)とに姿勢変更自在とした左側可動側施肥部78の剛性を強度部材としての3個のホッパー部73,73,73で確保することができるようにしている。そのため、左側可動側施肥部78を軽量化して、左側可動側施肥部78の姿勢変更作業を楽に行うことができる。
しかも、図19に示すように、隣接する上部形成体130,130同士の側壁132は大きく切り欠いて、同側壁132に左右方向に連通する連通口133を形成している。134は3個の上部形成体130,130,130の上端開口部を開閉蓋する蓋体である。なお、各上部形成体130内には篩用網体(図示せず)を配置して一定以下の大きさの肥料だけを繰り出し部72に供給するようにしている。
このようにして、左側可動側施肥部78の一部を形成する3個のホッパー部73,73,73の上部形成体130,130,130同士は、連通口133,133を介して左右方向に連通させている。そして、左側可動側施肥部78を横臥状の繰り出し姿勢(a)から略垂直に跳ね上げて前記排出部80,80を下方へ指向させた排出姿勢(b)となした際には、同左側可動側施肥部78の上部及び中途部に残留している肥料を、連通口133,133を通して下部まで流下させることができて、左側可動側施肥部78に残留している全ての肥料を排出部80から堅実に排出することができる。
また、左側可動側施肥部78の外側端部(左側端部)には、内部に残留する肥料を排出するための排出部80を設けている。すなわち、排出部80は、図20に示すように、外側端部(左側端部)に配置したホッパー部73の外側壁(左側壁)135に開口状に形成した排出口部136と、同排出口部136の周縁部に沿わせて連設した収納枠体137と、同収納枠体137に出し入れ自在に取り付けた排出案内体138と、同排出案内体138を出し入れするために収納枠体137を開閉蓋する内・外側開閉蓋体139,140とから構成している。そして、内側開閉蓋体139と外側開閉蓋体140は、排出案内体138の基端開口縁部141の外側方に位置させて収納枠体137に開閉蓋自在に取り付けている。しかも、収納枠体137内において、閉蓋した内側開閉蓋体139と外側開閉蓋体140との間に案内体収容空間142を形成している。案内体収容空間142内には排出案内体138の基端開口縁部141を除く残余の部分を折り畳み状態にて収納可能となしている。
図18に示すように、排出口部136は、ホッパー部73の外側壁(左側壁)135の周縁部をわずかに残す程度に大きく四角形に開口させて形成している。収納枠体137は排出口部136の周縁部に沿わせて四角形枠状に形成すると共に、案内体収容空間142、すなわち排出案内体138を収納する空間を確保可能な左右幅に形成している。
排出案内体138は、柔軟性素材(例えば、ナイロン)により筒状に形成すると共に、図20に示すように、排出口部136の周縁部に沿わせて形成した収納枠体137の内周縁部に基端開口縁部141の外周縁部を連設している。従って、排出口部136を形成したホッパー部73と排出案内体138とは収納枠体137を介して連通している。そして、排出案内体138は伸縮自在、本実施形態ではジグザグ状に折り畳むことで短縮状態となして排出案内体138内に形成した案内体収容空間142内に収納可能である。また、展開状に伸張させることで伸張状態となして、排出案内体138の先端開口部144の配設位置の自由度を確保することができる。すなわち、排出案内体138を伸張状態にて垂下させた使用姿勢(i)(図27及び図28参照)と折り畳み状態にて収納した不使用姿勢(j)(図24及び図25参照)とに姿勢変更自在となしている。従って、残留肥料Hの排出作業時には排出案内体138を回収容器K内に向けて伸張状態に垂下させた使用姿勢(i)となすことで、残留肥料Hを回収容器K内に堅実に回収することができる。また、排出作業が終了した後は、排出案内体138を短縮状態に折り畳んで収納した不使用姿勢(j)となすことで、排出案内体138が後続の作業に支障となることがない。そのため、排出口部136から排出される残留肥料Hの排出位置の自由度と排出作業の簡易性及び堅実性が高まって、排出作業性能が向上する。
内側開閉蓋体139は、図18〜図20に示すように、収納枠体137の内周面に沿わせて四角形板状に形成して、同収納枠体137の下部に横架した枢軸123に下縁部を連設している。枢軸123は、図15に示すように、前後方向に伸延させて収納枠体137から前後に突出状に横架して枢支している。枢軸123の突出一側端部には上方へ立ち上がり状に伸延する操作体145を形成している。操作体145の上端には収納枠体137の側壁側に突出する係止片146を形成し、同係止片146を収納枠体137の側壁に設けた係止受け片147に係脱可能としている。枢軸123の突出他側端部の周面には弾性付勢体としてのスプリング148(図18参照)を巻回して、同スプリング148により係止片146を係止片受け片147に係止させる方向に弾性付勢している。このようにして、内側開閉蓋体139は、起立姿勢にて収納枠体137の内側を閉蓋する閉蓋姿勢(e)と、横臥姿勢にて収納枠体137の内側を開蓋する開蓋姿勢(f)とに姿勢変更自在としている。そして、閉蓋姿勢(e)では操作体145の係止片146を収納枠体137に設けた係止受け片147に係止させると共に、同係止状態をスプリング148により弾性付勢することで、内側開閉蓋体139を閉蓋姿勢(e)に保持することができる。また、開蓋姿勢(f)にする際には、操作体145の係止片146を収納枠体137に設けた係止受け片147からスプリング148の弾性付勢力に抗して離脱させる(後退させて引き抜く)と共に、枢軸123の軸線廻りに操作体145を外側方へ回動させることで、内側開閉蓋体139を開蓋姿勢(f)である横臥姿勢となすことができる。
外側開閉蓋体140は、図15及び図20に示すように、収納枠体137外周面に沿わせて四角形板状に形成した本体171と、同本体171の周囲に沿わせて形成した縁部149とから形成している。そして、収納枠体137の上縁部に本体171の上端縁部を枢支連結している。このようにして、外側開閉蓋体140は、垂下姿勢にて収納枠体137の外側を閉蓋する閉蓋姿勢(g)と、上方へ跳ね上げた姿勢にて収納枠体137の外側を開蓋する開蓋姿勢(h)とに姿勢変更自在としている。ここで、閉蓋姿勢(g)では、外側開閉蓋体140の下側縁部150が、収納枠体137の下面部151に設けた係止片172に係合する。
上記のように構成した内側開閉蓋体139と外側開閉蓋体140の間には案内体収容空間142が形成されるようにして、同案内体収容空間142内に排出案内体138を折り畳み状態にて収納可能となしている。すなわち、内側開閉蓋体139を閉蓋姿勢(e)となすことで、前記排出口136を閉塞すると共に収納枠体137の内側を閉蓋することができる。この際、排出案内体138の基端開口縁部141を除く残余の部分を案内体収容空間142側に配置することができる。そして、伸長状態の排出案内体138を折り畳み状態となして、案内体収容空間142内に収納する。続いて、外側開閉蓋体140を閉蓋姿勢(g)となす。このようにして、案内体収容空間142内に排出案内体138を構造簡易にしてコンパクトにかつ簡単に収納して不使用状態となすことができる。また、案内体収容空間142内から排出案内体138を引き出す際には上記した収納手順と反対の手順をたどることで簡単に引き出して使用状態となすことができる。しかも、排出部80には内・外側開閉蓋体139,140を設けているため、各排出部の閉蓋性を良好に確保することができる。
また、左側可動側施肥部78は、図14に示すように、前記した支持フレーム部70の左側端部に回動支持アーム体81を介して枢支・連結している。かかる回動支持アーム体81は、上下方向に伸延する前後一対の回動支持アーム103,103と、両回動支持アーム103,103の先端部間に架設した連設片152と、両回動支持アーム103,103の基部間に架設した補強片153とから側面視四角形枠状に形成している。154はホッパー部連結ブラケットである。また、支持フレーム部70の一部を形成する左側の板状フレーム形成体111の外側面上部には枢支・連結部155を設けており、同枢支・連結部155は前後一対の枢支ブラケット156,156を介して前後方向に伸延する回動支軸157をその前後端部158,159が突出状となるように架設している。前後端部158,159には、ボス部160,161を介して上記した前後一対の回動支持アーム体81,81の基端部を回動自在に嵌合している。このようにして、回動支持アーム体81は回動支軸157を中心として回動自在に枢支・連結している。
そして、図6に示すように、回動支持アーム体81の連設片152には、左側可動側施肥部78の左側端部を連設している。すなわち、回動支持アーム体81の連設片152に、左側可動側施肥部78の左側端部に位置するホッパー部73の下部形成体131の上縁部を連設している。また、回動支持アーム体81のホッパー部連結ブラケット154には、ホッパー部73の下部形成体131の下縁部を連結している。このようにして、左側可動側施肥部78は、回動支持アーム体81を介して支持フレーム部70の左側端部に枢支・連結することで、前記枢支・連結部155の回動支軸157を中心に回動させて、横臥状態の繰り出し姿勢(a)と跳ね上げ状態の排出姿勢(b)とに姿勢変更自在としている。
しかも、図6及び図8に示すように、前後一対の回動支持アーム103,103の基端縁部にはそれぞれ当接面162,162を形成している。そして、回動支持アーム体81を介して左側可動側施肥部78を跳ね上げ状に回動させると、回動支持アーム103,103の基端縁部に形成した当接面162,162が左側の板状フレーム形成体111の外側面に当接して、跳ね上げ方向への左側可動側施肥部78の回動が一定の回動角度θ(例えば、115度)で規制されるようにしている。つまり、かかる一定の回動角度θで左側可動側施肥部78が排出姿勢(b)を採るようにしている。ここで、回動角度θは鈍角となすことで、排出姿勢(b)となした左側可動側施肥部78の重心位置Gが上記枢支・連結部155の回動支軸157よりも外側方に位置するようにしている。従って、左側可動側施肥部78は略垂直に跳ね上げた起立状態の排出姿勢(b)で回動規制されて安定に保持される。そのため、かかる排出姿勢(b)にて左側可動側施肥部78を固定する手段を設ける必要性がなく、また、固定状態を解除して繰り出し姿勢(a)に姿勢変更する手間も生じない。その結果、排出部80から残留肥料を排出する作業を効率良く行うことができる。
また、図15に示すように、後側の回動支持アーム103の中途部からは、後下方へ向けて支持アーム163を突設している。支持アーム163の先端部には左右方向に伸延する円管状の補助フレーム164の左側端を連設している。165は補助フレーム164の左側端部の下面に重合状態に連設した補強片である。そして、補助フレーム164は中途部を3個の各繰り出し部72と連結片166を介して連結して、これら3個の繰り出し部72の背後に横架し、右側端を左側可動側施肥部78の内側部に位置させている。左側の板状フレーム形成体111の後端上部には後上方へ向けて補助フレーム受け体167を突設している。そして、補助フレーム受け体167の先端部には、上記補助フレーム164を受ける受け用凹部168を形成している。
このようにして、左側可動側施肥部78を繰り出し姿勢(a)となす際には、受け用凹部168に補助フレーム164の左側端部(基端部)が上方から係合して、左側可動側施肥部78の基端部側を適正な繰り出し姿勢(a)位置に位置決めすることができる。そして、後述する左側可動側施肥部78の先端部側である支持脚体169の係合凹部170が上部フレーム形成体99に堅実に係合されることで、左側可動側施肥部78の先端側部も適正な繰り出し姿勢(a)位置に位置決めすることができる。
左側可動側施肥部78には、図11及び図12に示すように、繰り出し姿勢(a)と排出姿勢(b)とに姿勢変更操作する際の把持体として操作用把持体180を設けている。すなわち、左側可動側施肥部78に設けた3個のホッパー部73の内、中央部のホッパー部73の下部形成体131の前面部と、内側部のホッパー部73の下部形成体131の外側面部との間に、第1・第2支持アーム体181,182を介して操作用把持体180を横架している。ここで、操作用把持体180は、中央部と内側部のホッパー部73の前面に沿って左右方向に伸延する左右伸延部183と、同左右伸延部183の右側端部から第2支持アーム体182の先端部に向けて前後方向に伸延する前後伸延部185とから平面視鉤状に形成している。
第2支持アーム体182の先端部には、図12に示すように、枢支体186を内方へ向けて突設し、同枢支体186に操作レバー体187の中途部を枢支して、同操作レバー体187により左側繰り出し作動軸82の内側端部に設けたクラッチ部84を接続・切断操作するようにしている。すなわち、操作レバー体187は前後方向に伸延する前後伸延片188と、同前後伸延片188の前端部より外側方へ伸延する外側方伸延片189とから平面視鉤状に形成している。そして、前後伸延片188は、上記枢支体186に後部を上下方向に軸線を向けた枢支ピン190により枢支すると共に、クラッチ部84の摺動体85に形成した係合用鍔片191に後端部192を係合可能としている。図6にも示す193は規制ピンであり、同規制ピン193は前後伸延片188の前端部に垂設して、前後伸延片188の外側方伸延片189側への回動を前記操作用把持体180を介して規制する。
ここで、規制ピン193が操作用把持体180に当接して前後伸延片188の外側方伸延片189側への回動を規制している状態では、操作用把持体180の左右伸延部183に対して操作レバー体187の外側方伸延片189は、自由端側が漸次離隔する姿勢を採るようにしている。そして、かかる状態の操作レバー体187の外側方伸延片189を操作用把持体180の左右伸延部183と共に把持すると、操作レバー体187が枢支ピン190を中心に回動されて、クラッチ部84の摺動体85に形成した係合用鍔片191に後端部192が係合すると共に、摺動体85を摺動させて右側のクラッチ部84との接続を解除、つまり、切断することができる。従って、操作レバー体187の外側方伸延片189と操作用把持体180の左右伸延部183とを把持したまま、手を持ち帰ることなく左側可動側施肥部78を繰り出し姿勢(a)から排出姿勢(b)に姿勢変更する次の操作を連続的にかつ円滑に行うことができる。
左側可動側施肥部78の内側端部には、図6及び図18に示すように、前記した操作用把持体180の前後伸延部185の後端部(基端部)と第2支持アーム体182との連設部から支持脚体169を垂設している。かかる支持脚体169の下端部は、前記繰り出し姿勢(a)で前記支持フレーム部70に係合して、左側可動側施肥部78を位置決めするようにしている。すなわち、支持脚体169は上下方向に伸延する板状の左右側面部194と前後面部195とから断面L字状に形成している。そして、左右側面部194は上端から下端に向けて漸次前後幅を広幅に形成して、下端部に上方へ半円弧凹状の係合凹部170(図10参照)を形成している。かかる支持脚体169は、前記した前後伸延部185の後端部(基端部)と第2支持アーム体182との連設部から断面円形の管状に形成した前記上部フレーム形成体99に向けて直状に垂設して、上部フレーム形成体99に上記係合凹部170を上方から略直交状態に係合・離脱自在となしている。ここで、上部フレーム形成体99に上記係合凹部170を係合させた状態では、左側可動側施肥部78の前後方向と下方向への動きが規制されて、左側可動側施肥部78の前後方向と下方向への位置決めがなされる。なお、上記係合凹部170には、その内側縁部に沿わせてゴム素材等の緩衝体を設けて、同緩衝体を介して上部フレーム形成体99に係合凹部170を係合自在となすこともできる。
このように、左側可動側施肥部78の内側端部、すなわち、前記した操作用把持体180の前後伸延部185の後端部(基端部)と第2支持アーム体182との連設部から支持脚体169を垂設して、同支持脚体169の下端部に形成した係合凹部170を繰り出し姿勢(a)で支持フレーム部70の上部フレーム形成体99に係合させるようにしている。この際、支持脚体169は操作用把持体180の基端部側に取り付けているため、操作用把持体180を把持して上部フレーム形成体99に支持脚体169の係合凹部170を係合させる手元操作を簡単かつ堅実に行うことができる。その結果、左側可動側施肥部78を繰り出し姿勢(a)に堅実に位置決めすることができる。そのため、位置決めされた繰り出し姿勢(a)から排出姿勢(b)への姿勢変更も円滑に行うことができて、排出作業を効率良く行うことができる。そして、支持フレーム部70に設けた棒状の上部フレーム形成体99に、操作用把持体180を把持して支持脚体169の下端部に形成した係合凹部170を上方から略直交状態に係合させることができるため、左側可動側施肥部78を繰り出し姿勢(a)に構造簡易にして堅実に位置決めすることができる。また、緩衝体を介して上部フレーム形成体99に係合凹部170を係合自在となした場合には、左側可動側施肥部78の姿勢変更作業に伴って、上部フレーム形成体99と係合凹部170とが係合時に相互に損傷等されることや、異音を発生するのを防止することができる。
そして、左側可動側施肥部78は、略水平横臥状態の繰り出し姿勢(a)において、支持フレーム部70と前記回動支持アーム体81と上記支持脚体169とで、正面視ないしは背面視で枠状に形成される枠状位置決め体Fを形成している(図13参照;図13は右側可動側施肥部79の姿勢変更説明図であるが、左側可動側施肥部78についても同様に枠状位置決め体Fが形成される)。すなわち、繰り出し姿勢(a)において、左側可動側施肥部78の内側端部に第1・第2支持アーム体181,182を介して操作用把持体180を取り付け、同操作用把持体180の前後伸延部185の後端部(基端部)から支持脚体169を垂設している。そして、支持脚体169の下端部に形成した係合凹部170を前記支持フレーム部70の上部フレーム形成体99に係合させることで、同支持フレーム部70の上部フレーム形成体99と回動支持アーム体81と左側可動側施肥部78と第1・第2支持アーム体181,182と操作用把持体180と支持脚体169とで枠状位置決め体Fを形成している。そして、かかる枠状位置決め体Fを形成することで、左側可動側施肥部78を排出姿勢(b)から繰り出し姿勢(a)に姿勢変更する際に、簡単かつ確実に左側可動側施肥部78を位置決めすることができる。ここで、前記した右側可動側施肥部79の場合は、排出姿勢(b)から繰り出し姿勢(a)に姿勢変更した際には、入力ギヤ92が出力ギヤ97に上方から噛合して接続されるが、枠状位置決め体Fが形成されることで、繰り出し姿勢(a)が確実に位置決めされるため、入力ギヤ92と出力ギヤ97との噛合・接続を円滑かつ堅実に行うことができる。そして、左側可動側施肥部78に設けた上部側繰り出し体76と支持フレーム部70に設けた下部側繰り出し体75との位置ずれを防止することができて、両繰り出し体75,76の整合性及び接続性を良好に確保することができる。また、施肥装置Mをフレーム構造にしてその剛性を高めることができる。
ここで、図6,図8,図13及び図18に示すように、枢支体186の下端部と、前記上部フレーム形成体99から立ち上げて形成した板状の連結支持体197の上端部との間には、連結・固定具(本実施形態では、いわゆる、パッチン錠)198を介設している。すなわち、連結・固定具198は、図13及び図18に示すように、枢支体186の下端部に係止用フック199を下方へ凹状に湾曲させて形成する一方、上記連結支持体197の上端部に連結操作片200を介して門型に形成した係止片201を取り付け構成している。そして、係止片201の左右側中途部には圧縮スプリング202,202を介設して係止片201の中途部を伸縮自在かつ収縮方向に弾性付勢している。
このようにして、連結操作片200を介して係止片201を係止用フック199に係止して、同状態にて連結操作片200を介して係止片201を圧縮スプリング202,202の弾性付勢に抗して下方へ引張操作することで、左側可動側施肥部78の内側端部を支持フレーム部70に押圧付勢状態に連結・固定することができる。従って、左側可動側施肥部78を繰り出し姿勢(a)にして施肥作業を行う際には、上記のように連結操作片200を介して係止片201を係止用フック199に係止して、左側可動側施肥部78の内側端部を支持フレーム部70に連結・固定することで、強固な枠状位置決め体Fを形成する。また、左側可動側施肥部78を排出姿勢(b)にして残留肥料の排出作業を行う際には、あらかじめ上記した連結操作片200を介して係止片201を係止用フック199から係止解除して、左側可動側施肥部78の内側端部と支持フレーム部70の連結・固定を解除する。
しかも、前記したように、支持フレーム部70の左側端部には、回動支持アーム体81を取り付けている。すなわち、回動支持アーム体81は、上記支持フレーム部70の伸延方向と直交する方向に軸線を向けた回動支軸157を介してその軸線方向に対向する前後一対の回動支持アーム103,103の基端部を軸架している。そして、両回動支持アーム103,103の先端部間に架設した連設片152に箱形に形成したホッパー部73の外側面部を連設して、側面視四角形枠状に形成することで、回動支軸157の軸線方向に奥行きのある立体的な枠状位置決め体Fを形成している。そのため、枠状位置決め体構造の剛性をより一層高めることができる。その結果、左側可動側施肥部78を排出姿勢(b)から繰り出し姿勢(a)に姿勢変更する際の位置決めが堅実となる。そして、繰り出し姿勢(a)が堅実に位置決めされるため、入力ギヤ92と出力ギヤ97との噛合・接続の円滑性と堅実性とを向上させることができる。また、フレーム構造とした施肥装置Mの剛性をより一層高めることができる。その結果、左側可動側施肥部78の支持構造も強固なものとなすことができて、左側可動側施肥部78の姿勢変更動作を良好に確保することができる。
〔繰り出し部72〕
各繰り出し部72は、図8〜図10に示すように、前記した上部側繰り出し体76と下部側繰り出し体75とを、分離・接合自在に形成している。ここで、上部側繰り出し体76は、直上方に配設したホッパー部73に連通連設して、前記した左ないしは右側可動側施肥部78,79の一部を形成している。一方、下部側繰り出し体75は、前記した支持フレーム部70と後述する施肥ホース部とで固定側施肥部77を形成している。
上部側繰り出し体76は、図19に示すように、搬入ケース210と機構ケース211と繰り出しケース212とを上下方向に順次連通連結して形成している。
搬入ケース210は、上下面が開口する四角形枠状に形成した上端接続片213と、同上端接続片213の下端周縁から後下方へ向けて漸次縮径状に伸延させて漏斗状に形成したケース本片214とから形成している。そして、ホッパー部73の下部形成体131の下端開口部215に上端接続片213を嵌入させて接続している。また、ケース本片214の左右側面部216,216は、図12に示すように、略鉛直面となして、水平断面四角形状となしている。かかる搬入ケース210内には、ホッパー部73から繰り出し部72に肥料を自重で自然落下させて搬入する搬入路217を形成している。施肥作業後には、この搬入ケース210の搬入路217内に肥料が残留することがあり、この搬入路217内に残留した残留肥料を前記した排出部80から簡単かつ堅実に、しかも、迅速に排出可能としている。
すなわち、図8に示すように、上部側繰り出し体76の搬入ケース210の軸線Pは、排出姿勢(b)ではホッパー部73側が下り傾斜状となるようにして、上部側繰り出し体76の搬入ケース210内に残留する肥料がホッパー部73内を通して排出部80から排出されるようにしている。このようにして、左側可動側施肥部78を排出姿勢(b)となすだけで、搬入ケース210内に残留する肥料も堅実に排出部80から排出することができる。従って、残留肥料の排出作業効率を向上させることができる。
しかも、排出姿勢(b)では下側周壁面、すなわち、左側可動側施肥部78では左側面部216がホッパー部73側へ下り傾斜状となるように形成している。本実施形態では左側可動側施肥部78の回動角度θが、例えば、115度の鈍角を形成するまで左側可動側施肥部78を跳ね上げ状に回動させることで、左側壁部135がホッパー部73側へ下り傾斜状となるようにしている。このようにして、左側可動側施肥部78を排出姿勢(b)となすだけで、搬入ケース210内に残留する肥料を左側壁部135に沿って流下させることができて、ホッパー部73を通して堅実に排出部80から排出することができる。従って、この点からも残留肥料の排出作業効率を向上させることができる。
機構ケース211は、図19に示すように、目皿220を収容する目皿収容ケース片221と、上記目皿220を繰り出し駆動させる駆動機構222を収容する駆動ケース片223とを具備している。目皿収容ケース片221は搬入ケース210の下端に前部を連通連設している。224は下端開口部である。駆動ケース片223は目皿収容ケース片221の中央部から上方へ突出状に形成して、搬入ケース210の背後に配置している。駆動ケース片223内に収容している駆動機構222は、上下方向に軸線を向けた繰り出し軸225を前高後低の傾斜姿勢にてその軸線廻りに回動自在に設けている。そして、繰り出し軸225の上端部にベベルギヤ226,226を介して前記した左ないしは右側繰り出し作動軸82,83の中途部を連動連結している。また、繰り出し軸225の中途部には目皿220の回転中心部を取り付けている。
繰り出しケース212は、上記目皿収容ケース片221の下端開口部215に上端開口部230を着脱自在に連通連結している。そして、繰り出しケース212は上端開口部230から下方へ漸次縮径状の円形漏斗状に形成して、下端部に開口縁部としての円形の繰り出し口部231を形成している。図21に示すように、繰り出し口部231の下端開口縁部254には鍔状の上部側フランジ片232を形成している。233は繰り出し軸225の下端に取り付けた掻き落とし片である。
下部側繰り出し体75は、図18及び図19に示すように、前後方向に伸延する管状体240と、同管状体240の上周面中途部に連通連設した接続体241とから形成している。そして、管状体240は前端部を前記圧送風ダクト114の後周面中途部に連通連結している。また、管状体240は下周面中途部に取付片242を垂設し、同取付片242を介して後側の下部フレーム形成体93に管状体240の中途部を取り付けている。
接続体241は、図21にも示すように、上下面が開口する短幅筒状に形成して、管状体240の上周面中途部に下端開口縁部を連通連設している。そして、接続体241は、左側可動側施肥部78の繰り出し姿勢(a)において、上部側繰り出し体76の繰り出しケース212と同軸的に接続されるように、上端開口縁部255を開口させている。243は接続体241の上端開口縁部254の外周面に形成した下部側フランジ片である。
このようにして、左側可動側施肥部78の繰り出し姿勢(a)となした際には、上部側繰り出し体76の下端開口縁部と下部側繰り出し体75の上端開口縁部とが上下方向に整合して、上部側繰り出し体76の上部側フランジ片232と下部側繰り出し体76の下部側フランジ片243とが後述するガスケット体245を介して上下に方向に対面して連通状態に接続されるようにしている。この際、各下部側繰り出し体76が各上部側繰り出し体76を下方から支持することになる。
前記上部側繰り出し体76の繰り出し口部231に取り付けているシール材としてのガスケット体245について説明する。すなわち、ガスケット体245は、図21及び図22に示すように、上部側繰り出し体76の下端開口縁部に形成した上部側フランジ片232に装着されるリング状の装着体246と、下部側繰り出し体75の上端開口縁部254に形成した下部側フランジ片243を離隔・密着自在に受けるリング状の受け体247とを具備している。そして、受け体247の受け面側には、同芯短幅筒状の内・外側密着片248,249を半径方向に間隔を開けて撓み変形自在に突設している。
より具体的に説明すると、本実施形態では装着体246と受け体247とをゴム素材(例えば、エチレンとプロピレン及び架橋用ジエンモノマーとの三元共重合体であるEPDM)で一体成形することができる。すなわち、上端から下端に向けて漸次拡径させてスカート状に形成した本体250の内周面において、上端周縁部にリング状の係止片251の外周縁部を一体に取り付けることで係止片251を本体250の内方へ張り出し状となした装着体246を形成すると共に、中途部周縁部にリング状の受け体247の外周縁部を一体に取り付け、同受け体247の受け面側(下面)に同芯短幅筒状の内・外側密着片248,249の上端周縁部を一体に取り付けている。内・外側密着片248,249はそれぞれ上端から下端に向けて漸次拡径するスカート状に形成して、本体250内に配置すると共に本体250と略平行状態となしている。
このようにして、左側可動側施肥部78を繰り出し姿勢(a)にした際には、上部側繰り出し体76に装着したガスケット体245の本体250が下部側繰り出し体75の開口縁部を上方から被覆する。そして、内・外側密着片248,249が下部側繰り出し体75の開口縁部によって、下方から押圧力を受ける。この際、内・外側密着片248,249はそれぞれ外方へ撓み変形して、各内・外側密着片248,249の内周面252,253が下部側繰り出し体75の上端面256に面接触するようにしている。従って、繰り出し姿勢(a)で連通する上・下部側繰り出し体76,75の接続部の密封性をガスケット体245で良好に確保することができる。また、左可動側施肥部の繰り出し姿勢(a)と排出姿勢(b)との姿勢変更時に、分離と接合を繰り返す上・下部側繰り出し体76,75の上・下端開口縁部255,254同士を保護することができると共に、密閉性を良好に確保することができる。
ここで、前記したように、排出姿勢(b)から繰り出し姿勢(a)に姿勢変更した際には、上部フレーム形成体99に支持脚体169の係合凹部170が係合されて枠状位置決め体Fが形成される。そのため、左側可動側施肥部78の前後方向と下方向への動きが規制されて、左側可動側施肥部78の前後方向と下方向への位置決めがなされる。そして、繰り出し姿勢(a)が位置決めされることで、左側可動側施肥部78に設けた上部側繰り出し体76と支持フレーム部70に設けた下部側繰り出し体75との位置ずれを防止することができて、両繰り出し体75,76の整合性及び接続性を良好に確保することができる。その結果、両繰り出し体75,76間に介設されるガスケット体245の損耗等を軽減して、その寿命を可及的に延長させることができる。また、下部側繰り出し体75がガスケット体245を介して上部側繰り出し体76を堅実に支持することで、排出姿勢(b)と繰り出し姿勢(a)に姿勢変更される左側可動側施肥部78の繰り出し姿勢(a)を良好に確保することができる。その結果、繰り出し部72の繰り出し性能を良好に保持させることができる。
また、左側可動側施肥部78が排出姿勢(b)を採った場合には、前記上部側繰り出し体76の下端開口縁部254に取り付けたガスケット体245の受け体247が、下部側繰り出し体75の上端開口縁部から容易に離隔して、円滑に左側可動側施肥部78を排出姿勢(b)となすことができる。
上部側繰り出し体76にガスケット体245を装着する際には、繰り出し口部231の下端外周縁部に形成した鍔状の上部側フランジ片232に、装着体246を装着する。この際、装着体246のリング状の係止片251が上部側フランジ片232の上周面に係止されて、同係止片251の下周面と受け体247の上周面とでフランジ片232の上・下周面を堅実に挟持する。従って、左側可動側施肥部78を繰り出し姿勢(a)から排出姿勢(b)に頻繁に姿勢変更した際にも、ガスケット体245は上部側繰り出し体76のフランジ片232から容易に離脱することがない。
なお、ガスケット体245は、本実施形態では上記のように上部側繰り出し体76の下端開口縁部255に装着したが、下部側繰り出し体75の上端開口縁部254に装着することもできる。この場合はガスケット体245を上下反転させて使用することができる。
上記のように、左側可動側施肥部78が繰り出し姿勢(a)の繰り出し部72では、上部側繰り出し体76がホッパー部73から供給された肥料を一定量ずつ下部側繰り出し体75の管状体240に間欠的に繰り出すようにしている。また、圧送風ダクト114を通して管状体240には圧送風が供給されている。従って、管状体240に繰り出された肥料は圧送風により後述する施肥ホース部74を通して施肥される。
〔施肥ホース部74〕
施肥ホース部74は、図1,図2及び図5に示すように、可撓性を有する基端側施肥ホース体260と、堅硬性を有する中途施肥ホース体261と、伸縮性を有する先端側施肥ホース体262とから形成している。そして、各繰り出し部72の管状体240の後端に施肥ホース部74を接続して、各施肥ホース部74を通して植付条毎に施肥作業ができるようにしている。
中途施肥ホース体261は、図23及び図24に示すように、硬質素材(例えば、ポリプロピレン)で、苗載台58の中央部から下端部にかけて上下方向に伸延する長さに形成している。そして、中途施肥ホース体261は、前記した苗載台58と横送り機構59との間に配設している。また、中途施肥ホース体261の中途部には他物、本実施形態では横送り機構59との干渉を回避するための回避用凹部263を形成している。しかも、回避用凹部263の内部流路断面積は中途施肥ホース体261の他の内部流路断面積と略同一となしている。
このように、中途施肥ホース体261の中途部には横送り機構59との干渉を回避するための回避用凹部263を形成し、かつ、回避用凹部263の内部流路断面積は他の内部流路断面積と略同一となしているため、横送り機構59との干渉を回避しながら肥料の搬送性を良好に確保することができる。
また、基端側施肥ホース体260は基端を管状体240に着脱自在に接続すると共に先端を中途施肥ホース体261の基端(上端)に接続している。中途施肥ホース体261は上記のように配設して、先端(下端)を先端側施肥ホース体262の基端に接続している。先端側施肥ホース体262は先端を各フロート61,62に取り付けた作溝器264に接続している。このようにして、管状体240から間欠的に圧送された肥料は、基端側施肥ホース体260→中途施肥ホース体261→先端側施肥ホース体262→作溝器264で作溝された条溝に施肥されるようにしている。
[残留肥料を排出する手順]
次に、残量肥料の排出作業の一例を示す。
(1)図25に示すように、繰り出し姿勢(a)となした左側可動側施肥部78において、図26に示すように、排出部80の外側開閉蓋体140を開蓋姿勢(h)となす。そして、圧送風供給部115を接続姿勢(c)から干渉回避姿勢(d)となす。具体的には、枢軸123を中心に取付アーム片122を凸部127の弾性に抗して前方へ回動させることで、同凸部127の直前方位置まで移動させる。
(2)図27に示すように、案内体収容空間142内に収容している排出案内体138を引き出して、直下方に配置した回収容器K内に排出案内体138の先端開口部を挿入しておく(排出案内体138を使用状態(i)となす)。
(3)図27に示すように、地上からないしは走行装置1に搭乗して連結・固定具198を操作する。すなわち、強固な枠状位置決め体Fを形成している左側可動側施肥部78の内側端部と支持フレーム部70の連結・固定具198による連結・固定を解除する。具体的には、連結・固定具198の連結操作片200を介して係止片201を係止用フック199から係止解除する。
(4)図27に示すように、操作レバー体187の外側方伸延片189を操作用把持体180の左右伸延部183と共に把持する。そうすると、操作レバー体187が枢支ピン190を中心に回動されて、クラッチ部84が切断される。
(5)図28に示すように、操作レバー体187の外側方伸延片189と操作用把持体180の左右伸延部183とを把持したまま、手を持ち帰ることなく左側可動側施肥部78を繰り出し姿勢(a)から排出姿勢(b)に姿勢変更する。この際、左側可動側施肥部78は、一定の回動角度θで排出姿勢(b)を採るようにしている。しかも、回動角度θは鈍角となすことで、排出姿勢(b)となした左側可動側施肥部78の重心位置Gが上記枢支・連結部155の回動支軸157よりも外側方に位置するようにしている。従って、左側可動側施肥部78は略垂直に跳ね上げた起立状態の排出姿勢(b)で回動規制されて安定に保持される。また、右側可動側施肥部79を排出姿勢(b)にすると、入力ギヤ92が出力ギヤ97から離隔して、噛合状態を解除されることで動力の伝達が切断される。
(6)図28及び図29に示すように、操作体145を操作して内側開閉蓋体139を開蓋姿勢(f)となすことで、排出口部136を開口させると共に収納枠体137の内側を開蓋する。そうすると、搬入ケース210内に残留する肥料を左側面部216に沿って流下させることができて、ホッパー部73を通して堅実に排出部80から回収容器K内に排出することができる。
(7)施肥装置Mから残留肥料Hを排出させた後は、上記した手順とは反対の手順をたどることで、施肥装置Mを元の繰り出し姿勢(a)に復帰させることができる。