以下、不正防止手段を備えた好適な実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は、パチンコ機、スロットマシンなどの遊技機に広く適用することができるものであるが、パチンコ機に関する実施形態について説明することとする。
(実施形態1)
実施形態1はパチンコ機に関し、図1はパチンコ機の外観を概略的に示した斜視図、図2はパチンコ機を分解した場合の外観を概略的に示した分解斜視図である。
図1において、このパチンコ機1は、遊技場の遊技島に取り付けられる機枠1aと、機枠1aの前面に支持部1bによって回動可能に軸支された内枠1cと、内枠1cの前面に支持部1bによって回動可能に軸支されたフロント扉1dとを有し、機枠1aの下側部分に、遊技球を収容するための受皿1eと、遊技球を打ち出すためのハンドル1f等が設けられている。
遊技場では通常、施錠部(図示省略)を介して内枠1cとフロント扉1dが機枠1aに対して施錠され、管理者がメンテナンス等を行うために解錠した場合に、内枠1cとフロント扉1dを機枠1aから前面へ回動させて開くことができるようになっている。
図2に示すように、フロント扉1dには透明なガラス板1gが固着され、そのガラス板1gを介して遊技者が内枠1cに設けられている遊技盤1hを見ることができるようになっている。なお、フロント扉1dと遊技盤1hの詳細な構造については説明を省略するが、フロント扉1dの両側部分と上部には、視覚効果と音響効果を高めるための演出用のランプとスピーカ等が設けられており、遊技盤1hの盤面には、複数の入賞口、多数の遊技釘、視覚効果を高めるための演出用のランプや液晶表示パネル、ハンドル1fによって打ち出される遊技球を遊技盤1hの盤面上方へ案内するためのガイドレール等が設けられている。
更に、内枠1cの背面、別言すれば遊技盤1hの背面には、パチンコ機1における遊技動作を全体的に集中制御等する主制御基板がケース内に収容された構造を有する制御基板ユニットと、上述の視覚効果と音響効果を高めるために演出用のランプや液晶表示パネル、スピーカを制御する演出用制御基板がケース内に収容された構造を有する制御基板ユニットが取り付けられ、また、その他各種の制御基板がケース内に収容された構造を有する制御基板ユニットも取り付けられている。
そして、図1に示したように、内枠1cとフロント扉1dが機枠1aに対して施錠されると、それらの制御基板ユニットは遊技機1内に収容され、外部から見ることができないようになっている。
次に、図3〜図7を参照して、上述の制御基板ユニットの構造について説明する。なお、上述した主制御基板を収容する制御基板ユニットと、演出用制御基板を収容する制御基板ユニットと、その他各種の制御基板を収容する制御基板ユニットも、基本的に同じ構造の不正防止手段が設けられているため、主制御基板を収容する制御基板ユニットUNの構造について、代表して説明することとする。
図3と図4は、制御基板ユニットUNを2方向から見た場合の外観構造を示す斜視図であり、図3は一方向から見た場合、図4は他の方向から見た場合である。図5は、制御基板ユニットUNの分解斜視図である。
図3、図4において、制御基板ユニットUNは、互いに嵌り合うことで主制御基板A(図5を参照)を収容する基板収容ケースを構成する、矩形箱形状の第1基板ケースBとトレー形状の第2基板ケースCとを有している。第1基板ケースB及び第2基板ケースCは共に、透明なアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等のいわゆる硬質の透明プラスチック材により成形されている。したがって、収容されている主制御基板Aを、第1基板ケースB又は第2基板ケースCを介して視認することが可能となっている。
主制御基板Aは、図5に示すように、ガラスエポキシ樹脂等で形成されパターン配線が施された絶縁性基板D上に、抵抗、コンデンサ等の電子素子と、CPU、ROM等の集積回路装置と、複数個の外部接続用ソケットSa〜Sgが搭載された構造を有し、外部接続用ソケットSa〜Sgとして、主制御基板Aに電源を供給するための電源供給ケーブルに取り付けられているコネクタが接続されるソケットや、信号伝送用のフラットケーブルに取り付けられているコネクタが接続されるソケット等が搭載されている。そして、ROMに記憶されているプログラムをCPUが実行することで、遊技動作等のための制御を行うようになっている。
第1基板ケースBは、矩形状の天板部2aと、天板部2aから延在して垂下する側壁(符号省略)とを有することで上述の矩形箱形状となっており、その矩形箱形状の基体部分(符号省略)から外側へ舌片状に突出した板部2bが形成されている。そして、板部2bの板面に、互いに異なる機能を有する、円形状の第1の識別シールLBと第2の識別シールとしてのICタグTG(図中、矩形状のICタグTGが示されている)とが重ねて貼設されている。ここで、2カ所に設けられている2個の第1の識別シールLBが、板部2bの板面に貼設された第2の識別シールTGの周縁部分と板部2bの板面とに跨って、割り印の如く貼設されている。
なお、ICタグTGは、微小な無線ICチップを内蔵し、自身の識別コードなどの情報が記録されており、電波を使って管理システムと情報を送受信する能力をもつ、切手形状のタグのことである。第1の識別シールLBは後述する新規な構造を有しており、第1の識別シールLBとICタグTGは互いに異なった機能を有するものである。
以下、第1の識別シールLBを単に識別シールLB、第2の識別シールをICタグTGと呼んで説明する。
更に、図5に示すように、上述の基体部分の板部2b近傍に、第2基板ケースC側に向けて貫通する複数個(本実施形態では4個)のネジ穴2cが形成されると共に、第2基板ケースCの所定部分に形成された嵌合穴3a内に挿装される第1の嵌合突起2dが形成されている。
第1基板ケースBの矩形箱形状の基体部分には更に、外側に延びるテーブル形状の台部2eが形成されており、台部2eには、主制御基板Aに搭載されている外部接続用ソケットSa〜Sgを遊嵌するための複数個の遊嵌穴ha〜hgが形成されている。製造工程において主制御基板Aが台部2eの下面に取り付けられると、遊嵌穴ha〜hg内に遊嵌した外部接続用ソケットSa〜Sgが台部2eの上面側に突出し、それらの突出した外部接続用ソケットSa〜Sgに、上述の電源供給ケーブルや信号伝送用のフラットケーブルに取り付けられているコネクタを接続することで、パチンコ機1内に設けられている電源装置その他の各種機器等との間で配線されるようになっている。
更に台部2eの側壁には、直線状の嵌合溝2fを有する嵌合部2gが形成され(図4、図5を参照)、第1基板ケースBの台部2eとは反対側の側壁には、直線状の嵌合溝(符号省略)を有する嵌合部2hが形成されている(図3を参照)。そして、第2基板ケースCの相対向する側壁に形成されている直線状のレール部3b,3c(図5を参照)のうち、レール部3bが嵌合部2gの嵌合溝2f内に嵌合され、レール部3cが嵌合部2hの嵌合溝(符号省略)内に嵌合されることで、第1,第2基板ケースB,Cが一体に組み合わされている。
第2基板ケースCの矩形状の底面3dには、主制御基板Aを載置するための多数の突起3eと、第1基板ケースBの側壁の所定位置に形成されている嵌合穴2i(図3を参照)に挿装される第2の嵌合突起3fが形成され、更に、第1基板ケースBに形成されている上述の各ネジ穴2cに対向する複数個(本実施形態では4個)のネジ受け部3gが形成されている。また、個々のネジ受け部3gには、個々のネジ穴2cに連通する雌ネジ溝が形成されている。
次に、制御基板ユニットUNの製造方法について説明する。
まず、図5に示した第1基板ケースBに、下側から主制御基板Aを取り付ける。ここで、台部2eに形成されている遊嵌穴ha〜hg内に外部接続用ソケットSa〜Sgを挿入すると共に、CPU、ROM、電子部品等が搭載されている絶縁性基板Dの領域を第1基板ケースBの基体部分に収容し、絶縁性基板Dの所定位置に形成されている係止穴(図示省略)と、第1基板ケースBの所定位置に形成されている係止突起(図示省略)とを係止させることで、第1基板ケースBの下面に主制御基板Aを取り付ける。
次に、第1基板ケースBの下面に主制御基板Aを取り付けた状態で、第1基板ケースBを第2基板ケースCに被せるようにして組み付ける。
ここで、第1基板ケースBに形成されている嵌合穴2i(図3を参照)内に、第2基板ケースCに形成されている嵌合突起3fを嵌め込むと共に、第1基板ケースBに形成されている嵌合部2g,2hと第2基板ケースCに形成されているレール部3b,3cとを嵌合させた後、レール部3b,3cに対して嵌合部2g,2hをスライドさせて、第1基板ケースBに形成されている嵌合突起2dを、第2基板ケースCに形成されている嵌合穴3a内に嵌合させる。これにより、図3、図4に示すように、嵌合突起3fと嵌合穴2iとが嵌合すると共に、嵌合突起2dと嵌合穴3aとが嵌合し、更に第1基板ケースBに形成されている嵌合部2g,2hと第2基板ケースCに形成されているレール部3b,3cとが嵌合することで、第1,第2基板ケースB,Cが強固に組み合わされ、更に絶縁性基板Dが突起3e上に載置された状態で、主制御基板Aが第1,第2基板ケースB,C内に密閉されて収容される。つまり、図6の要部断面図にて示すように、主制御基板Aが第1,第2基板ケースB,C内に密閉されて収容される。
次に、上述したように第1,第2基板ケースB,Cを組み合わせると、図7の断面図(ネジ穴2cとネジ受け部3gに沿って破断した断面図)にて示すように、第1基板ケースBに形成されている複数個のネジ穴2cと、第2基板ケースCに形成されている複数個のネジ受け部3gとが夫々連通することとなり、個々のネジ穴2c内に固定ネジNa〜Ndを挿入して、個々のネジ受け部3gに螺合させることで、第1,第2基板ケースB,Cをより強固に一体化させて組み合わせ、更に固定ネジNa〜Ndの頭部を熱可塑性樹脂等で封止することで、固定ネジNa〜Ndの抜け止め防止を図ると共に、第1,第2基板ケースB,Cを不正に解体することができないようにする。
そして、板部2bの板面にICタグTGと識別シールLBを重ねて貼設することで、制御基板ユニットUNを完成させる。つまり、図8の分解斜視図に示すように、板部2bの板面にICタグTGを貼着した後、識別シールLBをICタグTGの周縁部分と板部2bの板面に跨ぐようにして貼り付け、これによって、識別シールLBが少なくともICタグTGの一面に重なるようにして貼設ける。ただし、第1基板ケースBと第2基板ケースBとを組み合わせて主制御基板Aを収容する以前に、予め第1基板ケースBの板部2bに、ICタグTGと識別シールLBを図8のように重ねて貼設しておいても良い。
以上に説明した制御基板ユニットUNの構造及び製造方法によると、組み合わせ工程だけで、第1,第2基板ケースB,C内に主制御基板Aを収容して固定ネジNa〜Ndで固定するまでの処理を行うことができ、更に固定ネジNa〜Ndの頭部を熱可塑性樹脂等で封止する工程と、板部2bの板面にICタグTGと識別シールLBを貼設する工程も簡素な処理で実現することができる。そのため、製造ラインの簡素化、自動化、合理化等を図ることが可能となっている。
次に、上述した識別シールLBの構造について説明する。
図9は、識別シールLBの縦断面構造を示す断面図である。なお、識別シールLBの構造を理解しやすくするために、モディファイして示したものである。
図9において、識別シールLBは、印刷層4と、整列して配置された多数の微細なガラスビーズ5から成るガラスビーズ層と、反射層6と、保持層7と、基材8とを有して構成されており、基材8は、支持層9と粘着層10とを有して構成されている。
印刷層4が識別シールLBの上面側(後述する照射光が照射される側)、基材8がICタグTGに貼り付けられる裏面側となっている。
また、識別シールLBを製造する製造工程では、PETフィルム等のフィルムの上面にポリエチレン樹脂等を塗布し、その上に多数の微細なガラスビーズ5を散布して乾燥させ、ガラスビーズ5の半球面(ポリエチレン樹脂等の側の半球面)をポリエチレン樹脂中に埋没させた後、ガラスビーズ5の露出した半球面に反射層6を蒸着させ、更に基材8上に形成した保護層7を反射層6に貼り合わせて、更にPETフィルム等のフィルムを剥離し、最後に多数の微細なガラスビーズ5から成るガラスビーズ層の上面に印刷層4を形成して、所定の大きさ及び形状に裁断等することで、識別シールLBが形成されている。
個々の微細なガラスビーズ5は、顕微鏡などを用いて拡大しないと視認することができない極めて小さい球形のガラスビーズ(別言すれば、粉体状のガラスビーズ)であり、多数のガラスビーズ5が整然と二次元方向に敷き詰められた状態で保持層7に配置されている。ここで、ガラスビーズ5の裏面側の半球面(裏面側のほぼ半分の球面)が反射層6を介して保持層7中に埋設されている。ガラスビーズ5の上面側の半球面(上面側のほぼ半分の球面)は露出又は印刷層4で覆われている。つまり、整然と二次元方向に敷き詰められた状態の多数のガラスビーズ5上に文字や記号、絵柄等のパターンが印刷層4として印刷されており、印刷層4によって覆われていないガラスビーズ5が外部に露出し、印刷層4によって覆われているガラスビーズ5は外部に露出していない。
また、ガラスビーズ5は、識別シールLBの上面側から照射される照射光(本実施形態では、波長390〜770nmの範囲内の複数の波長光を混合させた可視光、又は単一波長の可視光が用いられている)に対して光透過性を有し、且つその照射された照射光を屈折させて上面側へ出射させる屈折率を有する微細な球形のガラスで形成されている。例えば、BaO-SiO2系ガラスやBaO-ZnO-TiO2系ガラス等による微細な球形のガラスで形成されている。
印刷層4は、制御基板ユニットUNを識別するための識別情報や、製造元の品質保証を示す情報、商標等の情報が文字や記号、絵柄などによって印刷されたインクの層であり、0.5〜5μmの範囲内の何れかの厚みで形成されている。より具体的には、人間の手で印刷層4に軽く触れて擦ると、ガラスビーズ5から印刷層4が剥ぎ取られ、そのガラスビーズ5の上面が露出することとなる程度の厚みで印刷層4が形成されており、最適な厚みとして上述の0.5〜5μmの範囲内の何れかの厚みで形成されている。このように、人間の手で軽く触れて擦ると剥離することとなる印刷層4を形成することで、不正行為者の手で触った痕跡を知ることができるようになっており、制御基板ユニットUNに対する不正行為を発見して防止することができるようになっている。
また、印刷層4は、上述した照射光を透過させない不透明なインク、又は照射光の一部を透過させる所定透過率を有する有色透明なインクで形成されている。また、印刷層4は、無機顔料、有機顔料の何れのインクでも良く、また、これらの顔料に光散乱粉末等を混入したインクでも良い。印刷方法としては、活版印刷、写真版印刷、水なし平板印刷、グラビア印刷、彫刻凸版印刷、スクリーン印刷、コロタイプ印刷の何れの方法でも良いし、インクジェットプリンタ等によりインクを吹きつけて印刷する方法でも良い。
反射層6は、識別シールLBの上面側からガラスビーズ5に照射される照射光を全反射する薄い金属材や、照射光の一部を透過させる所定の光透過率を有する金属化合物等の材料で形成されている。また、反射層6が照射光の一部を透過させる所定の光透過率を有する金属化合物で形成される場合には、照射光を干渉させて構造色を発する金属化合物によって単一の薄い層(照射光の波長と同程度の厚みの層)として形成されており、酸化チタン、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化亜鉛等が用いられている。また、反射層6が照射光の一部を透過させる所定の光透過率を有する金属化合物で形成される場合には、照射光に対して屈折率の高い金属化合物と屈折率の低い金属化合物とを交互に積層させた多層構造の薄い層(照射光の波長と同程度の厚みの層)としても形成されており、屈折率の高い金属化合物として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム等が用いられ、屈折率の低い金属化合物として、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム、酸化珪素等が用いられている。
保持層7は、基材8上にガラスビーズ5を保持するための層であり、例えばポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂等の熱可塑性樹脂によって形成されている。また、保持層7は、基材8からガラスビーズ5を離して保持することができる程度の薄い層として形成されている。
基材8のうち支持層9は、制御基板ユニットUNの機械的強度など決定づける層であり、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂等のフィルム状のシートによって形成されている。
粘着層10は、支持層9の裏面側に設けられており、ポリエステル系粘着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、酸化ビニル系接着剤が用いられている。そして、粘着層10の裏面が、図示しない剥離紙によって被覆されており、その剥離紙を剥がして、露出した粘着層10をICタグTGへの貼設が行われている。
以上に説明した識別シールLBが図8に示したように制御基板ユニットUNに取り付けられると、制御基板ユニットUNが真正のものであることを示すいわゆる品質保証機能等を発揮し、不正行為の発見と防止に寄与することができる。
つまり、遊技場の管理者等が、上述した所定波長の照射光を発光する発光装置を管理、携帯などすることとし、パチンコ機の異常の有無を調べる際などに、制御基板ユニットUNに取り付けられている識別シールLBの上面に照射光を照射する。
このように照射光を照射すると、図9に示した印刷層4で覆われていないガラスビーズ5に入射した光は屈折されて、戻り光となって上面側の外部へ戻ってくるため、反射層6の色が強調され、自然光の下で見える色彩よりも鮮やかな色彩となる光学パターンが発生する。また、印刷層4で覆われたガラスビーズ5からは、屈折された戻り光が印刷層4によって遮光されたり吸収されるため、外部に戻ってこなくなったり減光されて戻ってくることとなり、印刷層4で覆われていないガラスビーズ5から、殆ど減光等されることなく外部に戻ってくることになるため、印刷層4が存在している領域と存在していない領域間にコントラストが生ずることになる。
更に、反射層6が、照射光の一部を透過させる所定の光透過率を有する金属化合物等で形成されている単一の薄い層である場合には、光の干渉作用によって構造色が発生し、その構造色で着色されたような色彩の光学パターンが発生する。また、反射層6が、照射光の一部を透過させる所定の光透過率を有する金属化合物等で形成されている多層構造の薄い層である場合には、屈折率の高い金属化合物等と屈折率の低い金属化合物等によって生じる光の干渉作用により、構造色が発生し、その構造色で着色されたような色彩の光学パターンが発生する。また、反射層6が、照射光を全反射する金属材で形成されている場合には、その反射した光で着色されたような色彩の光学パターンが発生することになる。
また、反射層6を所定の光透過率に調整すると、自然光では光学パターンが発生せず、所定波長の照射光が照射された場合だけ、光学パターンが発生するようにすることも可能である。
そして、光学パターンは上述したガラスビーズ5による光の屈折と反射層6による光の干渉作用によって決まる特有の色彩等が施されたパターンとなることから、光学パターンが識別シールLBと照射光との関係で特有のパターンとなっているかを管理者が目視して調べることで、制御基板ユニットUNが真正のものであるか否か判定することができる。
このように、所定波長の照射光(可視光)を識別シールLBに照射すると、識別シールLB特有の光学パターンが生じることになり、特有の光学パターンが生じた場合には、制御基板ユニットUNが真正のものである判定し、一方、特有の光学パターンとは異なるパターンが生じたり、光学パターンが生じなかった場合には、制御基板ユニットUNが偽造等された不正のものであると判定して、不正行為を発見することができる。
また、ガラスビーズ5の材質や大きさ、配列の仕方等を調整したり、反射層6の厚みや材料、透過率等を調整したり、反射層6を単一の層や多層構造の層に調整すると、照射光(可視光)の波長に対する光学パターンを変更することができると共に、それらの調整は精密な製造工程でなければ行うことができない。そのため、識別シールLBを偽造することは殆ど不可能とすることができ、偽造防止を図ることができる。更に、偽造防止が不可能で特有の光学パターンを生じさせる真正の識別シールLBが制御基板ユニットUNに取り付けられているので、不正改造などが成された制御基板ユニットを確実に発見することができ、ひいては不正行為を防止することが可能である。
また、識別シールLBは、安価に製造することができる簡素な構造であり、一方、安価に製造することができるものであっても、上述した偽造などを確実に防止することができる特種な機能を発揮する構造を有するものである。
以上に述べたように、本実施形態のパチンコ機1では、所定波長の照射光が照射されると特有の光学パターンを発生させる構造を有する安価に製造することが可能な識別シールLBを新規な不正防止手段として、ICタグTGと共に制御基板ユニットUNに設けられているので、不正行為を確実に防止することができる。つまり、機能が異なるICタグTGと識別シールLBを制御基板ユニットUNを設けるので、ICタグTGによる不正行為の防止と識別シールLBと不正行為の防止を行うことができて、高い相乗効果が得られる。
更に、識別シールLBがICタグTGと板部2bに跨って貼設されているため、ICタグTGを剥離しようとする不正行為が行われると、不正行為者が識別シールLBに触れて印刷層4(図4参照)が剥離し易くなったり、識別シールLBが変形したり損傷等するため、不正行為の痕跡が識別シールLBに残ることとなる。このため、管理者が照射光を識別シールLBに照射すると、特有の光学パターンが発生しなくなり、不正行為の痕跡の影響が反映された光学パターンが生じたり光学パターンが生じなくなる。このことから、ICタグTGを剥離して再使用する等の不正行為を防止することができる。また、ICタグTGから識別シールLBを剥離しようとすれば、益々識別シールLBに傷が付いたり損傷が生じることになるので不正行為が困難となり、ひいては不正行為を防止することができる。
更に、識別シールLBは円形状に形成されているため、製造工程において制御基板ユニットに識別シールLBを貼設する際、剥離紙から識別シールLBを剥離して貼設する処理が容易になり、製造ラインの機械化にとって好ましい。
なお、以上に述べた本実施形態1の識別シールLBは、図3、図4などに示したように円形状に形成されているが、長円形状や矩形状等の他の形状に形成しても良い。また、識別シールLBを、ICタグTGの周縁部分と板部2bを跨ぐようにして、ICタグTGの周縁部分に沿って貼り付けられる帯状に形成しても良い。また、識別シールLBは2個に限定されるものではなく、1個でも良いし、3個以上でも良く、要は、識別シールLBがICタグTGと板部2bに跨って貼設されたり、少なくともICタグTGに重ねて貼設されれば良い。
また、以上の説明では、第2の識別シールとしてICタグが適用されているが、縞模様状の線によって識別情報を表すバーコード、QRコード等の二次元バーコード等、識別情報を表す各種の識別シールを適用してもよい。要は、第2の識別シールが第1の識別シールLBと機能の異なる識別シールであればよい。なお、次に述べる実施形態2〜実施形態4においても同様である。
(実施形態2)
次に、実施形態2について図10を参照して説明する。本実施形態は、図9に示した構造を有する識別シールLBとは異なる別構造の識別シールLBに関するものである。制御基板ユニットUNは実施形態1と同様であるため説明を省略する。
図10に示す識別シールLBは、反射層6が保持層7と基材8との間に形成されており、ガラスビーズ5と保持層7との間に反射層6が形成されている図9に示す識別シールLBとは異なった構造を有している。
ここで、図10に示す識別シールLBでは、ガラスビーズ5に照射される照射光が焦点を結ぶ位置に反射層6が形成されている。
そして、印刷層4とガラスビーズ5と保持層7と基材8の構造及び材質は、実施形態1と同じであり、更に、反射層6自体の構造、すなわち、光を全反射する構造、所定の透過率を有する単一の薄い層とする構造、所定の透過率を有する多層構造の薄い膜とする構造についても実施形態1と同じである。
本実施形態の識別シールLBにおいても、ガラスビーズ5の材質や大きさ、配列の仕方等を調整したり、反射層6の厚みや材料、透過率等を調整したり、反射層6を単一の層や多層構造の層に調整すると、照射される照射光(可視光)の波長に対する特有の光学パターンを発生させることができる。
そのため、ICタグTGと共にこの識別シールLBを制御基板ユニットUNに貼設すると、真正の制御基板ユニットであることを証明することができるなど、実施形態1と同様の効果が得られ、ひいては不正行為を防止することができる。
(実施形態3)
次に、実施形態3について図11と図12を参照して説明する。本実施形態は、図9に示した構造を有する識別シールLBとは異なる別構造の識別シールLBに関するものである。制御基板ユニットUNは実施形態1と同様であるため説明を省略する。
図11に示す本実施形態の識別シールLBは、識別シールLBの周縁部に、印刷インク又は熱可塑性樹脂による保護層11が形成されている。ここで、保護層11は、印刷層4の上面に5μm程度の高さの塀のようにして形成されている。印刷層4とガラスビーズ5と反射層6と保持層7と基材8の構造及び材質は、実施形態1と同じである。そして、実施形態1と同様に、この識別シールLBがICタグTGと板部2bに跨ぐようにして貼設されて制御基板ユニットUNに取り付けられる。
次に、図12に示す識別シールLBは、識別シールLBの周縁部に、印刷インク又は熱可塑性樹脂による保護層11が形成されている。ここで、保護層11は、ガラスビーズ5の上面に5μm程度の高さの塀のようにして形成されている。印刷層4とガラスビーズ5と反射層6と保持層7と基材8の構造及び材質は、実施形態1と同じである。そして、実施形態1と同様に、この識別シールLBがICタグTGと板部2bに跨ぐようにして貼設されて制御基板ユニットUNに取り付けられる。
図11と図12に示す識別シールLBによると、実施形態1で説明した特有の光学パターンを発生することで、不正行為の発見と防止を行うことができる他、保護層11が存在しているので、制御基板ユニットUNの製造工程において印刷層4の上面を不用意に触ってしまうという問題の発生を軽減することができる。
なお、図11と図12に示す識別シールLBは、図9に示した識別シールLBの変形例に相当するものであるが、図10に示した識別シールLBの周縁部に、保護層11を形成してもよい。そして、図10に示した識別シールLBの周縁部に保護層11を形成すると、実施形態2で説明した特有の光学パターンを発生することで、不正行為の発見と防止を行うことができる他、制御基板ユニットUNの製造工程において印刷層4の上面を不用意に触ってしまうという問題の発生を軽減することができる。
(実施形態4)
次に、実施形態4について図13を参照して説明する。
本実施形態は、実施形態1〜3で説明した識別シールLBの変形例に関するものである。すなわち、図13(a)の斜視図とX−X矢視断面図13(b)に示すように、本実施形態は、図9〜図12に示した何れかの識別シールLBを、透明なアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等のいわゆる硬質の透明プラスチック材により成形されている2つのシート面を有する薄い袋状且つシート状のホルダST内に収容して密封し、全体を新たな構造を有する識別シールLBAとしている。
更に、ホルダSTの一方のシート面には、弱い力で接触しただけで破断する極めて薄く且つ細い切り込みKが形成されており、識別シールLBの印刷層4がホルダSTの内側から、その切り込みKの形成されているシート面に対面している。そして、ホルダSTが、切り込みKの形成されているシート面を表側にして、ICタグTGに貼設されている。
図3〜図5に示したように本実施形態4の識別シールLBAを、ICタグTGと板部2bに跨ぐように貼設して制御祈願ユニットUNに取り付けると、照射光の照射によって生じる光学パターンに切り込みKが映り込むことになるが、光学パターン本来の特徴をスポイルする程のことはない。このため、光学パターンを見て不正行為の有無を判断することが可能である。
更に、不正行為者がICタグTG又は識別シールLBAを剥がそうと試みたり、剥がして偽造した制御基板ユニットに取り付けて再使用するような場合、その剥がし行為の際に切り込みKが破断して、識別シールLBの印刷層4に損傷の痕跡が残る。このため、照射光を照射するとその痕跡の影響を受け変形等した光学パターンを見ることでき、不正行為を発見することができる。また、ホルダSTの切り込みKの形成されているシート面においても、その切り込みKが破断しない限り、識別シールLBを外部から被覆することとなるので、埃やタバコの煙などの多い遊技場内にパチンコ機が設置されても、埃やタバコの煙等が識別シールLBに付着して汚染されるといった問題を軽減することができて、識別シールLBの劣化を防止することができる。
また他の変形例として、ホルダSTを有色透明なプラスチック材で成形しても良い。また、ホルダSTに、商標、社名、ロゴマークなどを有色透明なインクで印刷してもよい。また、ホルダSTの一端に、識別情報等を有するバーコードBCを付けても良く、これによって更なる不正行為の防止を図ることが可能である。
なお、以上に説明した実施形態4の識別シールLBAは、ホルダST内に識別シールLBを収容した構造となっているが、ホルダSTに収容する代わりに、弱い力で接触しただけで破断する極めて薄く且つ細い切り込みKが形成されているシートを識別シールLBの印刷層4の上面側に設けて覆うようにしても良い。ただし、当該シートによって識別シールLBの上面を覆うようにして貼り付けるに際し、識別シールLBの周縁部分と当該シートの周縁部分とを接着剤等で接着させ、識別シールLBにおける周縁部分の内側(照射光が照射される領域)と当該シートとが空隙を介して対向するようにすることが望ましい。識別シールLBにおける周縁部分の内側(照射光が照射される領域)と当該シートを接着すると、照射光の照射によって生じる光学パターンに変形が生じたりして、本来の光学パターンが得られなくなるからである。
また、弱い力で接触しただけで破断する極めて薄く且つ細い切り込みKが形成されているシートを識別シールLBの裏面側(基材8の裏面)設け、当該シートの周縁部分をICタグTGと板部2bに跨ぐようにして貼設しても良い。このように、識別シールLBの裏面側に設けた当該シートの周縁部分をICタグTGと板部2bに跨ぐようにして貼設しても、不正行為が行われた際に細い切り込みKが破断して、識別シールLBに損傷等の痕跡が残るため、照射光を照射すると不正行為を発見することができる。
また、上述したホルダSTや当該シートは、無色透明なプラスチック材でなくとも良く、照射光を透過させる有色透明なプラスチック材で成形しても良い。当該シートの一部に、有色透明なインクで文字や絵柄などを印刷することも構わない。例えば、商標、社名、ロゴマークなどを有色透明なインクで印刷することで、品質表示や識別表示を行うことが可能である。