以下、不正防止手段を備えた好適な実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は、パチンコ機、スロットマシンなどの遊技機に広く適用することができるものであるが、パチンコ機に関する実施形態について説明することとする。
(実施形態1)
実施形態1はパチンコ機に関し、図1(a)はパチンコ機の外観を概略的に示した斜視図、図1(b)はパチンコ機を分解した場合の外観を概略的に示した分解斜視図である。
図1(a)において、このパチンコ機1は、遊技場の遊技島に取り付けられる機枠1aと、機枠1aの前面に支持部1bによって回動可能に軸支された内枠1cと、内枠1cの前面に支持部1bによって回動可能に軸支されたフロント扉1dとを有し、機枠1aの下側部分に、遊技球を収容するための受皿1eと、遊技球を打ち出すためのハンドル1f等が設けられている。
遊技場では通常、施錠部(図示省略)を介して内枠1cとフロント扉1dが機枠1aに対して施錠され、管理者がメンテナンス等を行うために解錠した場合に限って、内枠1cとフロント扉1dを機枠1aから前面へ回動させて開くことができるようになっている。
更に、図1(b)に示すように、フロント扉1dには透明なガラス板1gが固着され、そのガラス板1gを介して遊技者が内枠1cに設けられている遊技盤1hを見ることができるようになっている。なお、フロント扉1dと遊技盤1hの詳細な構造については説明を省略するが、フロント扉1dの両側部分と上部には、視覚効果と音響効果を高めるための演出用のランプとスピーカ等が設けられており、遊技盤1hの盤面には、複数の入賞口、多数の遊技釘、視覚効果を高めるための演出用のランプや液晶表示パネル、ハンドル1fによって打ち出される遊技球を遊技盤1hの盤面上方へ案内するためのガイドレール等が設けられている。
更に、内枠1cの背面、別言すれば遊技盤1hの背面には、パチンコ機1における遊技動作を全体的に集中制御等する主制御基板がケース内に収容された構造を有する制御基板ユニットと、上述の視覚効果と音響効果を高めるために演出用のランプや液晶表示パネル、スピーカを制御する演出用制御基板がケース内に収容された構造を有する制御基板ユニットが取り付けられ、また、その他各種の制御基板がケース内に収容された構造を有する制御基板ユニットも取り付けられている。
そして、図1(a)に示したように、内枠1cとフロント扉1dが機枠1aに対して施錠されると、それらの制御基板ユニットは遊技機1内に収容され、外部から見ることができないようになっている。
次に、図2〜図7を参照して、上述の制御基板ユニットの構造について説明する。なお、上述した主制御基板を収容する制御基板ユニットと、演出用制御基板を収容する制御基板ユニットと、その他各種の制御基板を収容する制御基板ユニットも、基本的に同じ構造の不正防止手段が設けられているため、主制御基板を収容する制御基板ユニットUNの構造について、代表して説明することとする。
図2と図3は、制御基板ユニットUNを2方向から見た場合の外観構造を示す斜視図であり、図2は一方向から見た場合、図3は他方向から見た場合である。図4は、制御基板ユニットUNの分解斜視図である。
図2、図3において、制御基板ユニットUNは、互いに嵌り合うことで主制御基板A(図4を参照)を収容する基板収容ケースを構成する、矩形箱形状の第1基板ケースBとトレー形状の第2基板ケースCとを有している。第1基板ケースB及び第2基板ケースCは共に、透明なアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等のいわゆる硬質の透明プラスチック材により成形されている。したがって、収容されている主制御基板Aを、第1基板ケースB又は第2基板ケースCを介して視認することが可能となっている。
主制御基板Aは、図4に示すように、ガラスエポキシ樹脂等で形成されパターン配線が施された絶縁性基板D上に、抵抗、コンデンサ等の電子素子と、CPU、ROM等の集積回路装置と、複数個の外部接続用ソケットSa〜Sgが搭載された構造を有し、外部接続用ソケットSa〜Sgとして、主制御基板Aに電源を供給するための電源供給ケーブルに取り付けられているコネクタが接続されるソケットや、信号伝送用のフラットケーブルに取り付けられているコネクタが接続されるソケット等が搭載されている。そして、ROMに記憶されているプログラムをCPUが実行することで、遊技動作等のための制御を行うようになっている。
第1基板ケースBは、矩形状の天板部2aと、天板部2aから延在して垂下する側壁(符号省略)とからなる矩形箱形状の基体部2bを有している。また、図4に示すように、上述の基体部2bの一端部には、第2基板ケースC側に向けて貫通する複数個(本実施形態では4個)のネジ穴2cが形成されている。さらに、基体部2bの一端部には第1の嵌合突起2dが形成されており、この嵌合突起2dは、第2基板ケースCの側壁3hに形成された嵌合穴3a内に挿入すると共に、嵌合穴3aの口縁部から外向きに突出して設けられた突起部3iと対向する(本実施の形態では、鉛直方向に対向する)。そして、嵌合突起2dには、後述するリベットからなる固定部材Kが挿入する第1の固定孔2jが貫通して形成されている。
第1基板ケースBの矩形箱形状の基体部2bには更に、外側に延設されたテーブル形状の台部2eが形成されており、台部2eには、主制御基板Aに搭載されている外部接続用ソケットSa〜Sgを遊嵌するための複数個の遊嵌穴ha〜hgが形成されている。製造工程において主制御基板Aが台部2eの下面に取り付けられると、遊嵌穴ha〜hg内に遊嵌した外部接続用ソケットSa〜Sgが台部2eの上面側に突出し、それらの突出した外部接続用ソケットSa〜Sgに、上述の電源供給ケーブルや信号伝送用のフラットケーブルに取り付けられているコネクタを接続することで、パチンコ機1内に設けられている電源装置その他の各種機器等との間で配線されるようになっている。
更に台部2eの側壁には、直線状の嵌合溝2fを有する嵌合部2gが形成され(図3、図4を参照)、第1基板ケースBの台部2eと反対側の側壁には、直線状の嵌合溝(符号省略)を有する嵌合部2hが形成されている(図2を参照)。そして、第2基板ケースCの相対向する側壁には直線状のレール部3b,3c(図4を参照)が形成され、レール部3bが嵌合部2gの嵌合溝2f内に嵌合され、レール部3cが嵌合部2hの嵌合溝(符号省略)内に嵌合されることで、第1,第2基板ケースB,Cが一体に組み合わされている。
第2基板ケースCの矩形状の底面3dには、主制御基板Aを載置するための多数の台座3eが形成されていると共に、第1基板ケースBの側壁の所定位置に形成されている嵌合穴2i(図2を参照)に挿入される第2の嵌合突起3fが形成されている。また、第2基板ケースCの矩形状の底面3dには、第1基板ケースBに形成されている上述の各ネジ穴2cに対向する複数個(本実施形態では4個)のネジ受け部3gが形成され、個々のネジ受け部3gには、個々のネジ穴2cに連通する雌ネジ溝が形成されている。
一方、第2基板ケースCの矩形状の側壁3hには、第1基板ケースBの所定位置に形成されている第1の嵌合突起2d(図2を参照)に挿入される第2の嵌合穴3aが形成されている。そして、側壁3hの表面で第2の嵌合穴3aの口縁部下側には、外側に向けて突起部3iが形成されている。突起部3iは、制御基板ユニットUNが組み立てられた状態で、第1の嵌合突起2dに対向しており、突起部3iの第1の嵌合突起2dに対向する面(本実施形態において上面)には識別シールLBが貼設されている。なお、識別シールLBは第2の固定孔3jの一部又は全部を覆っており(本実施形態においては全部)、固定部材Kに貫通されている。
また、突起部3iの第1の固定孔2jに対向する位置にも、同様にリベットからなる固定部材Kが挿入される第2の固定孔3jが貫通して形成されており、固定部材Kが第1の嵌合突起2dと突起部3i、換言すれば、第1基板ケースBと第2基板ケースCとを強固に固定している。なお、第1の固定孔2jの断面及び第2の固定孔3jの断面と、固定部材Kのこれらの孔2j、3jに挿入される部分の断面とは同一であるので、第1基板ケースBと第2基板ケースCとは固定部材Kによっても拘束されている。
また、嵌合部2g、2hとレール部3b、3cとが嵌合し(嵌合部2g、2hがレール部3b、3cに載置された状態)、第1の嵌合突起2dと第1の嵌合穴3aとが嵌合した状態で、第1の嵌合突起2dと突起部3iとは識別シールLBの厚さ以上離れている。すなわち、後述するように、第1基板ケースBを第2基板ケースC上で嵌合させる方向にスライドさせても、識別シールLBの表面に形成されている印刷層4が第1の嵌合突起2dに接触することはない。また、第1の嵌合突起2dは、第1基板ケースBと第2基板ケースCとが完全に嵌合して密封された状態で、第2基板ケースCの外側に突出しており、その突出した部分が、突起部3iに貼設された識別シールLBを完全に覆っている。
なお、第1の嵌合突起2d、第1の嵌合穴2i、第2の嵌合穴3a及び第2の嵌合突起3fは、第1基板ケースBと第2基板ケースCが所定方向にスライドすると、対応するもの同士が嵌合(挿入)する又は嵌合解除される(引き抜かれる)位置に形成されている。ここで、「所定方向」とは、嵌合部2g、2hとレール部3b、3cとが嵌合した状態(嵌合部2g、2hがレール部3b、3cに載置された状態)で対応する嵌合突起2d、3fと嵌合穴3a、2iとが嵌合する又は嵌合解除される方向(嵌合溝2fの軸方向又はレール部3b、3cの軸方向)のことをいう。すなわち、嵌合突起2dと嵌合穴3aと、及び、嵌合突起3fと嵌合穴2iとが、この嵌合する方向において対向し、これらの軸方向が全て一致している。
更に、嵌合突起2dの基体部の幅と嵌合穴3aの幅、及び、嵌合突起3fの基体部の断面と嵌合穴2iの断面は、同一であるので、対応する嵌合突起2d、3fと嵌合穴3a、2iとが嵌合(挿入)していると、嵌合突起2d、3fが嵌合穴3a、2iに拘束される。よって、基板ケースB、Cの相対運動は上記所定方向のスライドに制限される。これにより、対応する嵌合突起2d、3fと嵌合穴3a、2iとが嵌合(挿入)しているとき、いずれの基板ケースB、Cも破壊させずに、基板収容ケースを解体(分解)するためには、上記の所定方向(嵌合突起2d、3f又は嵌合穴3a、2iの軸方向)にスライドさせるしかない。
次に、制御基板ユニットUNの製造方法について説明する。
まず、図4に示した第1基板ケースBに、下側から主制御基板Aを取り付ける。ここで、台部2eに形成されている遊嵌穴ha〜hg内に外部接続用ソケットSa〜Sgを挿入すると共に、CPU、ROM、電子部品等が搭載されている絶縁性基板Dの領域を第1基板ケースBの基体部分に収容し、絶縁性基板Dの所定位置に形成されている係止穴(図示省略)と、第1基板ケースBの所定位置に形成されている係止突起(図示省略)とを係止させることで、第1基板ケースBの下面に主制御基板Aを取り付ける。
次に、第2基板ケースCの突起部3iの表面(図4においては上面)に識別シールLBを貼設し、第2の固定孔3jを塞ぐ。
次に、第1基板ケースBの下面に主制御基板Aを取り付けた状態で、第1基板ケースBを第2基板ケースCに被せるようにして組み合わせる。ここで、第1基板ケースBに形成されている嵌合部2g,2hと第2基板ケースCに形成されているレール部3b,3cとを嵌合させた後、レール部3b,3cに対して嵌合部2g,2hをスライドさせる。そして、第1基板ケースBが第2基板ケースに対してスライドさせながら、第1基板ケースBに形成されている嵌合穴2i(図2を参照)内に、第2基板ケースCに形成されている嵌合突起3fを嵌め込むと共に、第1基板ケースBに形成されている嵌合突起2dを、第2基板ケースCに形成されている嵌合穴3a内に嵌合させる(図3参照)。このように、嵌合突起3fと嵌合穴2iとが嵌合し、嵌合突起2dと嵌合穴3aとが嵌合すると共に、第1基板ケースBに形成されている嵌合部2g,2hと第2基板ケースCに形成されているレール部3b,3cとが嵌合することで、第1,第2基板ケースB,Cはレール部3b,3cの長さ方向以外の相対移動を規制された状態で強固に組み合わされる。また、第1、第2基板ケースB、Cは密閉されており、絶縁性基板Dが台座3e上に載置されている。つまり、図6の要部断面図にて示すように、主制御基板Aは、安定した状態で、密閉された基板収容ケース内に収容されている。
また、上述したように、レール部3b,3cに対して嵌合部2g,2hをスライドさせるときに、第1の嵌合突起2dと突起部3hとの距離が識別シールLBの厚さより長く確保されているので、このスライド途中における識別シールLBの印刷層4と第1の嵌合突起2dとの接触による印刷層4のガラスビーズ層からの剥離を防止することができる。さらに、上述したように、第1基板ケースBと第2基板ケースCとが完全に密閉されたとき、第1の嵌合突起2dは突起部3hに貼設された識別シールLBを完全に覆うので、識別シールLBが外的要素(タバコの煙や塵・埃)による劣化から保護される。よって、識別シールLBの品質低下を抑えることができる。パチンコ店等では、タバコの煙が発生し易いので、この効果は特に有用である。
上述したように、第1,第2基板ケースB,Cが組み合わされ、嵌合突起2d、3fと嵌合穴3a、2iがそれぞれ嵌合されると、図7の断面図(ネジ穴2cとネジ受け部3gに沿って破断した断面図)に示すように、第1基板ケースBに形成されている複数個のネジ穴2cと、第2基板ケースCに形成されている複数個のネジ受け部3gとが夫々連通する。よって、次に、個々のネジ穴2c内に固定ネジNa〜Ndを挿入して、個々のネジ受け部3gに螺合させることで、第1,第2基板ケースB,Cをより強固に一体化することができる。更に固定ネジNa〜Ndの頭部を熱可塑性樹脂等で封止することで、固定ネジNa〜Ndの抜け止め防止を図ると共に、第1,第2基板ケースB,Cを不正に解体することができないようにすることができる。
また、上述したように、第1,第2基板ケースB,Cが組み合わされ、嵌合突起2d、3fと嵌合穴3a、2iがそれぞれ嵌合されると、第1の固定孔2jと第2の固定孔3jとも連通する。そこで、例えば第1の固定孔2jからリベットからなる固定部材Kを挿入して、識別シールLBを破りながら第2の固定孔3jにも挿入させて、固定部材Kの先端部を突部3hから突出させる。そして、その突出した部分を所定の工具(例えば、リベットハンマーやハトメパンチ)を用いて押し潰すと、リベットが元々備える頭部k1とつぶされた部分k2とによって第1基板ケースBの第1の嵌合突起2dと第2基板ケースCの突起部3iとが強固に固定(一体化)される。これにて制御基板ユニットUNが完成する。このように制御基板ユニットUNの識別シールLBには、固定部材Kによって貫通された孔が形成される。したがって、例えば、何らかの方法によって識別シールLBを取り外すことができたとしても、不正が施された主制御基板Aが設置された別の制御基板ユニットに当該識別シールLBを転用することはできない。すなわち、製造過程において形成された損傷部によって識別シールLBの再利用が防止されている。なお、頭部k1とつぶされた部分k2とによって本発明の取り外し防止部が構成されている。
次に、上述した識別シールLBの構造について説明する。
図8は、識別シールLBの縦断面構造を示す断面図である。なお、識別シールLBの構造を理解しやすくするために、簡略化して示したものである。
図8において、識別シールLBは、印刷層4と、整列して配置された多数の微細なガラスビーズ5から成るガラスビーズ層と、反射層6と、保持層7と、基材8とを有して構成されており、基材8は、支持層9と粘着層10とを有して構成されている。
印刷層4が識別シールLBの上面側(後述する照射光が照射される側)、基材8が図2〜図4に示した突起2d及び突起3fの表面に貼り付けられる裏面側となっている。
また、識別シールLBを製造する製造工程では、PETフィルム等のフィルムの上面にポリエチレン樹脂等を塗布し、その上に多数の微細なガラスビーズ5を散布して乾燥させ、ガラスビーズ5の半球面(ポリエチレン樹脂等の側の半球面)をポリエチレン樹脂中に埋没させた後、ガラスビーズ5の露出した半球面に反射層6を蒸着させ、更に基材8上に形成した保護層7を反射層6に貼り合わせて、更にPETフィルム等のフィルムを剥離し、最後に多数の微細なガラスビーズ5から成るガラスビーズ層の上面に印刷層4を形成して、所定の大きさ及び形状に裁断等することで、識別シールLBが形成されている。
個々の微細なガラスビーズ5は、顕微鏡などを用いて拡大しないと視認することができない極めて小さい球形のガラスビーズ(別言すれば、粉体状のガラスビーズ)であり、多数のガラスビーズ5が整然と二次元方向(面状)に敷き詰められた状態で保持層7に配置されている。ここで、ガラスビーズ5の裏面側の半球面(裏面側のほぼ半分の球面)が反射層6を介して保持層7中に埋設されている。ガラスビーズ5の上面側の半球面(上面側のほぼ半分の球面)は露出又は印刷層4で覆われている。つまり、整然と二次元方向に敷き詰められた状態の多数のガラスビーズ5上に文字や記号、絵柄等のパターンが印刷層4として印刷されており、印刷層4によって覆われていないガラスビーズ5が外部に露出し、印刷層4によって覆われているガラスビーズ5は外部に露出していない。
また、ガラスビーズ5は、識別シールLBの上面側から照射される照射光(本実施形態では、波長390〜770nmの範囲内の複数の波長光を混合させた可視光、又は単一波長の可視光が用いられている)に対して光透過性を有し、且つその照射された照射光を屈折させて上面側へ出射させる屈折率を有する微細な球形のガラスで形成されている。例えば、BaO-SiO2系ガラスやBaO-ZnO-TiO2系ガラス等による微細な球形のガラスで形成されている。
印刷層4は、所定の文字、図形又は模様等が印刷されたインクで形成されている。印刷層4によって表されるものとして、制御基板ユニットUNを識別するための識別情報や、製造元の品質保証を示す情報、商標等の情報等ある。印刷層4が、制御基板ユニットUNを識別するための識別情報を現す場合、その識別情報を上述した主制御基板AのCPU又はROMに与えられた管理番号(又は識別番号)と一義的に対応付けることができる。この場合、不正が施されたCPU等に入れ替えられても、識別シールLBの識別情報とCPU等の管理番号との関係から不正を発見することができる。なお、CPU等に管理番号が与えられる方法として、CPU等の表面に管理番号を直接刻印する方法や管理番号が付されたシールを貼設する方法、記憶装置に管理番号を記憶させる方法等がある。
また、印刷層4の暑さは0.5〜5μmの範囲内となっている。より具体的には、印刷層4は、人間の手(主に指や爪)で印刷層4に軽く触れて擦ると、ガラスビーズ5から印刷層4が剥ぎ取られ、そのガラスビーズ5の上面が露出することとなる程度の厚みで形成されている。このように、人間の手で軽く触れて擦ると剥離することとなる印刷層4を形成することで、不正行為者の手で触った痕跡を知ることができるようになっており、制御基板ユニットUNに対する不正行為を発見して防止することができるようになっている。
また、印刷層4は、上述した照射光を透過させない不透明なインク、又は照射光の一部を透過させる所定透過率を有する有色透明なインクで形成されている。また、印刷層4は、無機顔料、有機顔料の何れのインクでも良く、また、これらの顔料に光散乱粉末等を混入したインクでも良い。印刷方法としては、活版印刷、写真版印刷、水なし平板印刷、グラビア印刷、彫刻凸版印刷、スクリーン印刷、コロタイプ印刷の何れの方法でも良いし、インクジェットプリンタ等によりインクを吹きつけて印刷する方法でも良い。
反射層6は、識別シールLBの上面側からガラスビーズ5に照射される照射光を完全反射する薄い金属材や、照射光の一部を透過させる所定の光透過率を有する金属化合物等の材料で形成されている。また、反射層6が照射光の一部を透過させる所定の光透過率を有する金属化合物で形成される場合には、照射光を干渉させて構造色を発する金属化合物によって単一の薄い層(照射光の波長と同程度の厚みの層)として形成されており、酸化チタン、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化亜鉛等が用いられている。また、反射層6が照射光の一部を透過させる所定の光透過率を有する金属化合物で形成される場合には、照射光に対して屈折率の高い金属化合物と屈折率の低い金属化合物とを交互に積層させた多層構造の薄い層(照射光の波長と同程度の厚みの層)としても形成されており、屈折率の高い金属化合物として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム等が用いられ、屈折率の低い金属化合物として、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム、酸化珪素等が用いられている。
保持層7は、基材8上にガラスビーズ5を保持するための層であり、例えばポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂等の熱可塑性樹脂によって形成されている。また、保持層7は、基材8からガラスビーズ5を離して保持することができる程度の薄い層として形成されている。
基材8のうち支持層9は、制御基板ユニットUNの機械的強度など決定づける層であり、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂等のフィルム状のシートによって形成されている。
粘着層10は、支持層9の裏面側に設けられており、ポリエステル系粘着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、酸化ビニル系接着剤が用いられている。そして、粘着層10の裏面が、図示しない剥離紙によって被覆されており、その剥離紙を剥がして、露出した粘着層10を図4〜図5に示した突起部3iの表面に貼り付けることで、識別シールLBの突起部3iへの貼設が行われるようになっている。
以上に説明した識別シールLBが突起部3iに貼設されると、制御基板ユニットUNが真正のものであることを示すいわゆる品質保証機能等を発揮し、不正行為の発見と防止に寄与することができる。
つまり、遊技場の管理者等が、上述した所定波長の照射光を発光する発光装置を管理、携帯などすることとし、パチンコ機の異常の有無を調べる際などに、制御基板ユニットUNに貼られている識別シールLBの表面に照射光を照射する。
このように照射光を照射すると、図8(a)に示した印刷層4で覆われていないガラスビーズ5に入射した光は屈折されて、戻り光となって表面側の外部へ戻ってくるため、反射層6の色が強調され、自然光の下で見える色彩(図8(b)参照)よりも鮮やかな色彩となる光学パターンが発生する(図8(c)参照)。また、印刷層4で覆われたガラスビーズ5からは、屈折された戻り光が印刷層4によって遮光されたり吸収されるため、外部に戻ってこなくなったり減光されて戻ってくることとなり、印刷層4で覆われていないガラスビーズ5から、殆ど減光等されることなく外部に戻ってくることになるため、印刷層4が存在している領域と存在していない領域間にコントラストが生ずることになる(図8(c)参照)。
更に、反射層6が、照射光の一部を透過させる所定の光透過率を有する金属化合物等で形成されている単一の薄い層である場合には、光の干渉作用によって構造色が発生し、その構造色で着色されたような色彩の光学パターンが発生する。また、反射層6が、照射光の一部を透過させる所定の光透過率を有する金属化合物等で形成されている多層構造の薄い層である場合には、屈折率の高い金属化合物等と屈折率の低い金属化合物等によって生じる光の干渉作用により、構造色が発生し、その構造色で着色されたような色彩の光学パターンが発生する。また、反射層6が、照射光を全反射する金属材で形成されている場合には、その反射した光で着色されたような色彩の光学パターンが発生することになる。
また、反射層6を所定の光透過率に調整すると、自然光では光学パターンが発生せず、所定波長の照射光が照射された場合だけ、光学パターンが発生するようにすることも可能である。
そして、光学パターンは上述したガラスビーズ5による光の屈折と反射層6による光の干渉作用によって決まる特有の色彩等が施されたパターンとなることから、光学パターンが識別シールLBと照射光との関係で特有のパターンとなっているかを管理者が目視して調べることで、制御基板ユニットUNが真正のものであるか否か判定することができる。
このように、所定波長の照射光(可視光)を識別シールLBに照射すると、識別シールLB特有の光学パターンが生じることになり、特有の光学パターンが生じた場合には、制御基板ユニットUNが真正のものである判定し、一方、特有の光学パターンとは異なるパターンが生じたり、光学パターンが生じなかった場合には、制御基板ユニットUNが偽造等された不正のものであると判定して、不正行為を発見することができる。
また、ガラスビーズ5の材質や大きさ、配列の仕方等を調整したり、反射層6の厚みや材料、透過率等を調整したり、反射層6を単一の層や多層構造の層に調整すると、照射光(可視光)の波長に対する光学パターンを変更することができると共に、それらの調整は精密な製造工程でなければ行うことができない。そのため、識別シールLBを偽造することは殆ど不可能とすることができ、偽造防止を図ることができる。更に、偽造防止が不可能で特有の光学パターンを生じさせる真正の識別シールLBが制御基板ユニットUNに貼設されるので、不正改造などが成された制御基板ユニットを確実に発見することができ、ひいては不正行為を防止することが可能である。
また、識別シールLBは、ICタグなどの電子部品と比較して、安価に製造することができる簡素な構造であり、一方、安価に製造することができるものであっても、上述した偽造などを確実に防止することができる特種な機能を発揮する構造を有するものである。
以上に述べたように、本実施形態のパチンコ機1では、所定波長の照射光が照射されると特有の光学パターンを発生させる構造を有する安価に製造することが可能な識別シールLBを新規な不正防止手段として制御基板ユニットUNに設けられているので、コスト高を防止し、不正行為を確実に防止することができる。
なお、以上に述べた本実施形態1の識別シールLBは、図4に示したように真円や楕円などの円形状に形成しても良い。このように円形状に形成すると、製造工程において制御基板ユニットに識別シールLBを貼設する際、剥離紙から識別シールLBを剥離して貼設する処理が容易になり、製造ラインの機械化にとって好ましい。しかしながら、識別シールLBの形状は特に限定されるものではないので、長方形や正方形などの矩形状や他の形状としてもよい。
また、実施形態1では、基板収容ケースは嵌合部2g、2hとレール部3b、3cとでスライド自在に嵌合された基板ケースB、Cがスライドすることによって密封及び開封されるが、基板収容ケースの(密封開封)構造はこれに限られない。例えば、基板収容ケースが、蓋形状の第1基板ケースBと、矩形箱形状の第2基板ケースCとからなり、基板ケースB、Cが蝶番で回動自在に接続される構造でもよい。この場合、嵌合突起2d、3f及び嵌合穴3a、2iは、基板ケースB、Cが蝶番の軸周りに回転し、基板収容ケースが密閉されるときに、適切に嵌合する位置に設けられれば良い。なお、この場合、基板収容ケースが蝶番を具備せず、蓋形状の第1基板ケースBが矩形箱形状の第2基板ケースCの開口側から単に嵌め込まれる構造でも良い。更に、実施形態1では主制御基板Aは第1基板ケースBに取り付けられているが、第2基板ケースCに取り付けられる構造でも良い。
また、実施形態1では、基板ケースB、Cに嵌合突起及び嵌合穴が形成されているが、基板ケースB、Cの嵌合構造はこれに限られない。例えば、基板ケースBには1つの嵌合突起のみが形成され、基板ケースCには1つの嵌合穴のみが形成されるパターンでも、基板ケースBには1つの嵌合穴のみが形成され、基板ケースCには1つの嵌合突起のみが形成されるパターンでも良い。更に、第2基板ケースCが2つに分割されており、第2基板ケースCの構成部材の各々に嵌合穴が形成され、第1基板ケースBには2つの嵌合突起が形成されて、第1基板ケースBの両端部外側から第2基板ケースCの構成部材を差し込む構造でも良い。
また、実施形態1では、嵌合突起の断面と嵌合穴の断面とが同一であるが必ずしも同一である必要はない。なお、実施形態1では、嵌合突起の断面形状と嵌合穴の断面形状は共に矩形であるが、これらの断面形状は特に限定されない。
また、実施形態1では基板収容ケースは2つの嵌合構造を有し、一方の嵌合構造を利用して識別シールLBが貼設されているが、両方の嵌合構造を利用して識別シールLBを貼設しても、他方の嵌合構造を利用して識別シールLBを貼設してもよい。さらに、本実施形態では、突起部3iの第1の嵌合突起2dに対向する面に識別シールLBが貼設されているが、第1の嵌合突起2dの突起部3iに対向する面に識別シールLBを貼設してもよい。また、本実施形態では、嵌合構造を利用して識別シールLBが取り付けられているが、嵌合構造ではない部分で識別シールLBが取り付けられていてもよい。例えば、第1の嵌合突起2dと第2の嵌合穴3aとが嵌合する構造ではなく、第2の嵌合穴3aは側壁3hの上面から切り欠かれており、第1の嵌合突起2dが第2の嵌合穴3aに単に挿入して、第2基板ケースCから突出する構造でもよい。
また、本実施形態では、第1の嵌合突起2dによって識別シールLBが覆われて外的要素から保護されているが、識別シールLBが覆われない構造でもよい。例えば、第1の嵌合突起2dが第2基板ケースCから突出しておらず、又は、突起部3iが形成されておらずに第1の嵌合突起2dの表面に貼設され、識別シールLBの全部が露出している構造でもよい。この場合、基板収容ユニットUNの製造工程における終盤で識別シールLBを取り付けることができるので、製造過程において識別シールLBの印刷層4やガラスビーズ層を傷つけることによる識別シールLBの信頼性の低下を軽減することができる。
さらに、本実施形態では、固定孔2j、3jが予め形成されているが、いずれか一方のみ形成されていても、いずれも形成されていなくてもよい。両方の孔2j、3jが形成されていれば、第1の嵌合突起2dや突起部3iを破損させずに基板収容ユニットUNを製造することができる。一方、いずれの孔2j、3jも形成されていなければ、固定部材Kについては打ち込む作業のみとなり、固定部材Kを固定孔2j、3jに合わせる作業を省略することができ、作業時間の短縮化及び簡素化を図ることができる。
また、本実施形態では、識別シールLBを取り付ける部分は全て平坦となっているが、例えば識別シールLBの外形に沿ったガイド部が形成されていてもよい。この場合、識別シールLBに対する固定孔2j、3jの相対的な位置、すなわち、識別シールLBの損傷位置が安定するので、識別シールLBによる不正防止を強化することができる。
また、図12に示すように、例えば、識別シールLBが取り付けられる面の方が、識別シールLBを覆う面より大きく形成されており、識別シールLBを覆う面に沿った嵌め込み部材2kを、取り付けられる面の覆う面からはみ出した部分と、識別シールLBの印刷層4とに跨って貼り付ける構造にすることもできる。この場合、嵌め込み部材2kの取り付けられる面には所定の接着層が形成されている。したがって、嵌め込み部材2kを取り外そうとすると、印刷層4の嵌め込み部材と接触している部分以外がガラスビーズ層から剥離され得る。さらに、印刷層4を、この嵌め込み部材2kの接着層の接着効果を排除する特殊な化学薬品に溶ける性質を有するようにしておくと、不正行為の痕跡が発見されることとなるので、一層不正防止を阻止することができる。
(実施形態2)
次に、実施形態2について図9を参照して説明する。本実施形態は、図8に示した構造を有する識別シールLBとは異なる別構造の識別シールLBに関するものである。制御基板ユニットUNは実施形態1と同様であるため説明を省略する。
図9に示す識別シールLBは、反射層6が保持層7と基材8との間に形成されており、ガラスビーズ5と保持層7との間に反射層6が形成されている図8に示す識別シールLBとは異なった構造を有している。
ここで、図9に示す識別シールLBでは、ガラスビーズ5に照射される照射光が焦点を結ぶ位置に反射層6が形成されている。
そして、印刷層4とガラスビーズ5と保持層7と基材8の構造及び材質は、実施形態1と同じであり、更に、反射層6自体の構造、すなわち、光を全反射する構造、所定の透過率を有する単一の薄い層とする構造、所定の透過率を有する多層構造の薄い膜とする構造についても実施形態1と同じである。
本実施形態の識別シールLBにおいても、ガラスビーズ5の材質や大きさ、配列の仕方等を調整したり、反射層6の厚みや材料、透過率等を調整したり、反射層6を単一の層や多層構造の層に調整すると、照射される照射光(可視光)の波長に対する特有の光学パターンを発生させることができる。
そのため、この識別シールLBが制御基板ユニットUNに貼設されることで、真正の制御基板ユニットであることを証明することができ、ひいては不正行為を防止することができる。
(実施形態3)
次に、実施形態3について図10と図11を参照して説明する。本実施形態は、図8に示した構造を有する識別シールLBとは異なる別構造の識別シールLBに関するものである。制御基板ユニットUNは実施形態1と同様であるため説明を省略する。
図10に示す本実施形態の識別シールLBは、識別シールLBの周縁部に、印刷インク又は熱可塑性樹脂による保護層11が形成されている。ここで、保護層11は、印刷層4の上面に5μm程度の高さの塀のようにして形成されている。印刷層4とガラスビーズ5と反射層6と保持層7と基材8の構造及び材質は、実施形態1と同じである。
次に、図11に示す識別シールLBは、識別シールLBの周縁部に、印刷インク又は熱可塑性樹脂による保護層11が形成されている。ここで、保護層11は、ガラスビーズ5の上面に5μm程度の高さの塀のようにして形成されている。印刷層4とガラスビーズ5と反射層6と保持層7と基材8の構造及び材質は、実施形態1と同じである。
図10と図11に示す識別シールLBによると、実施形態1で説明した特有の光学パターンを発生することで、不正行為の発見と防止を行うことができる他、保護層11の存在によって、印刷層4の上面を不用意に触ってしまうという問題の発生を軽減することができる。
なお、図10と図11に示す識別シールLBは、図8に示した識別シールLBの変形例に相当するものであるが、図9に示した識別シールLBの周縁部に、保護層11を形成してもよい。そして、図9に示した識別シールLBの周縁部に保護層11を形成すると、実形態2で説明した特有の光学パターンを発生することで、不正行為の発見と防止を行うことができる他、印刷層4の上面を不用意に触ってしまうという問題の発生を軽減することができる。