JP5453831B2 - 印刷装置 - Google Patents
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Description
ところが、この技術では、軸状(円柱状)の表面に周方向に沿って突起を形成するため、作業性が悪いといった課題がある。また、中実の材料を用いるため、コストが嵩むといった課題もある。
例えば、プレス加工によって表面を叩き、前記特許文献1のように突起を形成することが考えられるが、その場合には、中空であるため変形が生じ易いといった課題がある。
ところが、このように繋ぎ目の全長に亘って凹凸による嵌合部を形成すると、これら嵌合部では設計通りに嵌合させ、凸部の先端とこれに対応する凹部との間を隙間なく突き合わせるのが困難になる。その結果、円筒軸全体で歪みや捩れ等が生じ易くなり、設定値以上の真円度や振れなどが得られにくくなるなど、形状や寸法について良好な精度が得られにくくなる。
したがって、このように形状や寸法についての精度が不十分な円筒状の軸を、前記したように搬送ローラーに適用すると、搬送ムラを引き起こす一因になってしまう。また、微細な液滴を吐出して画像を形成する、所謂インクジェットプリンターにおいては、非常に高い紙送り精度が必要とされることから、このような搬送ムラの発生は、特に問題となっている。
本発明の円筒軸は、プレス加工により一対の端部を対向させて円筒状に形成され、前記一対の端部間に繋ぎ目を有する円筒軸であって、
前記繋ぎ目は、
前記円筒軸の軸方向における中央部に設けられ、前記円筒軸の軸方向に略平行な直線状に形成された中央直線部と、
前記中央部の両側に設けられ、前記円筒軸の軸方向に交差する方向に延在する複数の交差部と、隣り合う一対の前記交差部の端部間を結ぶ連結直線部と、を有する折曲部と、
を備え、
前記連結直線部は、前記一対の交差部の一方の側の端部間を結ぶ第1直線部と、前記一対の交差部の他方の側の端部間を結び、前記第1直線部より短い第2直線部と、を有し、
前記中央部における前記一対の端部間の距離は、前記第2直線部における前記一対の端部間の距離よりも長いことを特徴としている。
また、中央部における前記一対の端部間の距離が、前記第2直線部における前記一対の端部間の距離よりも長く形成されているので、繋ぎ目の全長を見た場合に、対向する一対の端部間にできる隙間がより均一化し易くなり、これによって円筒軸の形状や寸法についての精度がより高くなる。すなわち、中央部(中央直線部)の長さは折曲部における第2直線部の長さより長くなり、したがって中央直線部における一対の端部間の方を第2直線部に比べて精度良く近接させることが可能になる。よって、相対的に端部間の精度をより良好にすることができる中央直線部の方の一対の端部間の距離を、第2直線部に比べて長くしてその隙間を大きくしても、この隙間を十分均一にすることが可能になり、したがって円筒軸の歪みや捩れ等の変形を抑えることが可能になる。
また、前記第1直線部を、前記第2直線部より長く形成しているので、プレス加工した際、繋ぎ目の全長に亘って対向する一対の端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることが可能になる。
このようにすれば、中央直線部とともに第1直線部の対向する端部間を、より高い精度で均一に近接させることが可能になる。
このようにすれば、プレス加工した際に、前記交差部において対向する端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることが可能になる。
この搬送ローラーによれば、円筒状にプレス加工されてなる円筒軸を用いることにより、中実の丸棒材を用いた場合に比べてコストダウン及び軽量化が可能になる。また、この円筒軸の表面に、無機粒子を含有してなる高摩擦層が設けられているので、この高摩擦層によって良好な搬送力が発揮される。
さらに、前記円筒軸は、前記したように形状や寸法についての精度がより高くなっているので、精度が不十分であることに起因する搬送ムラも抑制されたものとなる。
このように、媒体に接触する領域に高摩擦層を設けることにより、高摩擦層の材料コストが最小限に抑えられる。
搬送ローラーを構成する円筒軸の両端部は、通常は歯車などの駆動系の連結部品を取り付けるための部位となり、紙等の記録媒体に直接接触するのは、円筒軸の中央部となる。したがって、この円筒軸の中央部、すなわち前記中央直線部と対応する領域に高摩擦層を設けることにより、高摩擦層の材料コストが最小限に抑えられる。
この搬送ユニットによれば、前述したようにコストダウン及び軽量化が可能であり、さらには搬送ムラが抑制された搬送ローラーを備えているので、この搬送ユニット自体のコストダウン及び軽量化が可能になり、さらには搬送ローラーによる記録媒体の搬送性にも優れたものとなる。
このようにすれば、搬送ローラーとの接触、特に高摩擦層との接触により、従動ローラーにダメージが加わることが抑制される。
このようにすれば、搬送ローラーと従動ローラーとの間で紙等の記録媒体を挟持する力が大きくなり、記録媒体の搬送性がより良好になる。
この印刷装置によれば、前記搬送ユニットを備えているため、コストダウン及び軽量化が可能であり、さらに記録媒体を良好に搬送することができる優れたものとなる。
まず、図1、図2を参照して、本発明に係る搬送ローラーを備えた印刷装置について説明する。なお、図1は本発明に係る搬送ユニットを備えた印刷装置(インクジェットプリンター)の側断面図、図2(A)は同印刷装置の搬送ユニット部分の平面図、図2(B)は同印刷装置の駆動系の側面図である。
そして、搬送ローラー機構19に至った用紙Pは、搬送ローラー15の回転駆動によって印刷処理に伴う精密で正確な搬送(紙送り)動作を受けつつ、搬送ローラー機構19の下流側に位置する印字ヘッド(印刷部)21へ搬送されるようになっている。
なお、前記印字ヘッド21による印字処理(印刷処理)は、制御部CONTによって制御されるようになっている。
排紙ローラー機構27は、下側に配置された排紙ローラー29と上側に配置された排紙ギザローラー31とを備えて構成されたもので、排紙ローラー29の回転駆動によって用紙Pを引き出し、排出するようになっている。
プリンター本体3には、図2(A)、(B)に示すように、前記制御部CONTの制御下で駆動される搬送モーター(駆動装置)32が設けられている。この搬送モーター32の駆動軸にはピニオン33が設けられており、ピニオン33には搬送駆動ギア35が歯合しており、搬送駆動ギア35には前記の搬送ローラー15が内挿されて連結されている。このような構成のもとに搬送モーター32は、搬送ローラー15を回転駆動する駆動装置となっている。
また、搬送ローラー機構19による用紙Pの挟持力(押圧力)は、排紙ローラー機構27による挟持力(押圧力)よりも大きく設定されている。したがって、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構27とが共に用紙Pを挟持しているとき、その用紙搬送速度は、排紙ローラー機構27の排紙速度とは関係なく、搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されるようになっている。
図3は、搬送ローラー15及び従動ローラー17からなる搬送ローラー機構19の概略構成を示す図である。
搬送ローラー15は、亜鉛メッキ鋼板やステンレス板等の金属板60がプレス加工されて円筒状に形成されたローラー本体16と、このローラー本体16の表面に設けられた高摩擦層50とを備えてなるものである。ここで、ローラー本体16は、本発明における円筒軸の一実施形態となるものである。
搬送ローラー15を製造するには、まず、図4(a)に示すように矩形板状または帯状の大型金属板(第1金属板)65を用意する。この大型金属板65としては、例えば厚さ1mm程度の亜鉛メッキ鋼板が用いられる。続いて、この大型金属板65をプレス加工することで切断処理し、図4(b)に示すように前記ローラー本体16に対応する大きさの細長い略矩形板状の金属板(第2金属板)60、すなわちローラー本体16の基材となる金属板60を形成する。
なお、これら一対の長辺(端部61a、61b)は、プレス加工によって近接させられ、あるいは当接させられるため、当然ながら互いに対応する(対向する)箇所間では、一方の長辺の凹凸部110が凸部となる場合に、他方の長辺の凹凸部110では凹部となるように形成する。また、逆に一方の長辺の凹凸部110が凹部となる場合に、他方の長辺の凹凸部110では凸部となるように形成する。
また、このような金属板60の形成に際しては、一対の長辺(端部61a、61b)をプレス加工によって近接させた際、その間に形成される繋ぎ目においてこれに形成される隙間、すなわち互いに対向する端部(端面)間の距離が、各部位間において後述するような関係になるように寸法等を設計しておき、これに基づいてプレス加工を行う。
すなわち、まず、図5(a)に示す雄型101と雌型102とで金属板60をプレス加工し、金属板60の両側部62a、62bを円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。なお、図5(a)においては、各部材を分かりやすくするため、金属板60と雄型101と雌型102との間にそれぞれ間隔を開けてこれらの部材を記しているが、この間隔は実際には存在せず、金属板60と雄型101と雌型102とはそれぞれの接触部においてほぼ密着している。これは、後述する図5(b)、(c)、図6(a)〜(c)においても同様である。
次いで、図5(c)に示すように、図5(b)で得られた金属板60の内部に芯型105を配置し、図5(c)に示す上型106と下型107とを用いて、図6(a)〜(c)に示すようにして金属板60の両側部62a、62bの各端面(端部)61a、61bを近接させる。
次いで、図6(b)に示すように、芯型106を少し(一方の側の端部61aと他方の側の端部61bとを近接させることができる程度に)下降させるとともに、他方の側の上型106bを下降させ、金属板60の他方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
すると、この中空パイプは、センターレス研磨加工前に比べその真円度がより良好になり、また、振れ量も小さいローラー本体16、すなわち本発明に係る円筒軸となる。また、このローラー本体(円筒軸)16にあっては、前記の両端部61a、61b間がより狭まることで、図7(a)に示すようにこれら両端部61a、61b間の隙間がより狭くされた繋ぎ目80が形成される。
このように距離d7を距離d6より短く形成しているので、このローラー本体(円筒軸)16にあっては、繋ぎ目80の全長を見た場合に、対向する一対の端部61a、61b間にできる隙間がより均一化し易くなり、これによって得られるローラー本体16の形状や寸法についての精度がより高くなっている。
この高摩擦層50の形成方法としては、乾式法及び湿式法(またはこれらを併用した方法)が採用可能であるが、本実施形態では乾式法が好適に採用される。
具体的には、まず、高摩擦層50の形成材料として、樹脂粒子と無機粒子とを用意する。樹脂粒子としては、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる、直径10μm程度の微粒子が好適に用いられる。
そして、前記樹脂粒子を、静電塗装装置(図示せず)のトリボガンを用いてローラー本体16に向けて噴霧(噴出)し吹き付けつつ、この噴霧粒子(樹脂粒子)を+(プラス)高電位に帯電させる。すると、この帯電された樹脂粒子はローラー本体16の外周面に吸着され、樹脂膜を形成する。
なお、このアルミナ粒子95の塗布(散布)については、アルミナ粒子95が鉛直方向下方にゆっくりと散布されるのであれば、静電塗装法による塗布に限定されるものではなく、例えばスプレーガンを用いた塗布(散布)法であってもよい。
なお、前記実施形態では、樹脂粒子の塗布(吹付)とアルミナ粒子(無機粒子)の塗布(吹付)とを別々の塗装ブースで実施したが、同一の塗装ブース内で行ってもよいのはもちろんである。
すなわち、アルミナ粒子95としてその平均粒径が、繋ぎ目80の、外周面側での距離d1より大となるものを用いているので、アルミナ粒子95はその大半が繋ぎ目80内に入り込むことなく、図11に示すようにローラー本体16の外周面上に樹脂膜51を介して付着している。したがって、繋ぎ目80には金属板60の端部61a、61b間に隙間が形成されているにもかかわらず、アルミナ粒子95がこの隙間上を覆うことにより、この隙間に起因する溝が実質的に形成されなくなる。
また、前記連結直線部85における第1直線部87bを、中央直線部86と同一直線上に形成しているので、これによっても、金属板60をプレス加工した際に繋ぎ目の全長に亘って対向する一対の端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
また、折曲部85における交差部87aを、ローラー本体16の中心軸16aに対して略直交する方向に延在させているので、金属板60をプレス加工した際に、該交差部87aにおいて対向する端部間を、比較的精度良く近接させあるいは当接させることができる。
さらに、ローラー本体16が前記したように形状や寸法についての精度がより高くなっているので、精度が不十分であることに起因する搬送ムラも抑制されたものとなる。
給紙ローラー13によって給紙された用紙Pは、搬送ローラー機構19の上流側近傍に至ると、搬送ローラー15と従動ローラー17との間に引き込まれ、両ローラーの駆動によって下流側に位置する印字ヘッド21の下方に向けて定速で搬送される。
その後、用紙Pの始端が排紙ローラー機構27に至ると、排紙動作が開始される。なお、排紙ローラー機構27の搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度より速く設定されているため、用紙Pにはバックテンションが掛かった状態で搬送される。ただし、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構27とが共に用紙Pを挟持しているときには、前述したようにその用紙搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されている。したがって、このように排紙ローラー機構27と搬送ローラー機構19とによって排紙と搬送とを同時に行う際にも、その用紙搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されているため、搬送ムラのない正確で安定した紙送り(搬送)がなされるようになる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
Claims (5)
- 一方の軸端部から他方の軸端部に渡り一つの繋ぎ目を有する円筒軸を含み、回転駆動する搬送ローラーと、
前記搬送ローラーとで記録媒体を挟んで搬送する従動ローラーと、
前記記録媒体に記録を行う記録部と、を備え、
前記繋ぎ目は、
前記搬送ローラーの軸方向に延びる第1の繋ぎ目と、
前記第1の繋ぎ目よりも前記一方の軸端部側あるいは他方の軸端部側に設けられ、前記第1の繋ぎ目に対して交差する方向に突出する突出部と、を備え、
前記第1の繋ぎ目は前記突出部よりも前記軸方向に長い範囲に渡って設けられ、
前記突出部における前記第1の繋ぎ目に対して交差する方向に最も突出する繋ぎ目の間隔よりも前記第1の繋ぎ目の間隔は広く形成されている
ことを特徴とする印刷装置。 - 前記搬送ローラーの表面において少なくとも前記第1の繋ぎ目と対応する領域に高摩擦層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
- 前記従動ローラーは、前記搬送ローラーの前記高摩擦層に当接する位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
- 前記第1の繋ぎ目は、前記記録媒体と接触する領域に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷装置。
- 前記第1の繋ぎ目は、前記搬送ローラーの軸方向における中央部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
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