JP5402055B2 - 搬送ローラーの製造方法、搬送ローラー、搬送ユニット、及び印刷装置 - Google Patents
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Description
ところが、この技術では、軸状(円柱状)の表面に周方向に沿って突起を形成するため、作業性が悪いといった課題がある。また、中実の材料を用いるため、コストが嵩むといった課題もある。
例えば、プレス加工によって表面を叩き、前記特許文献1のように突起を形成することが考えられるが、その場合には、中空であるため変形が生じ易いといった課題がある。
ところが、このような係合部の形成には、各係合部毎に別途加工工程が必要になるため、この加工工程が搬送ローラーのコストアップや生産性の低下を招いてしまう。
本発明の搬送ローラーの製造方法は、第1金属板をプレス加工して切欠状、突片状、孔状、あるいは溝状等の展開係合部を形成し、第2金属板とする第1プレス工程と、
前記第2金属板をプレス加工して、対向する一対の端面を互いに近接させ、あるいは当接させて円筒状のローラー本体を形成するとともに、該ローラー本体に前記展開係合部からなる係合部を形成する第2プレス工程と、
前記ローラー本体の外周面に、樹脂膜中に無機粒子を分散し露出してなる高摩擦層を形成する高摩擦層形成工程と、を備えたことを特徴としている。
このようにすれば、大型金属板をローラー本体に対応する大きさに小型化する際に、展開係合部を一括して形成することができ、したがって工程を一層簡略化して、コストダウン及び生産性の向上を図ることができる。
このようにすれば、第2金属板をプレス加工して円筒状に形成した際、その内周面と外周面との円周の長さの差により、繋ぎ目に隙間が生じるのが抑えられる。
このようにすれば、ローラー本体の真円度がより良好になり、また、振れ量も小さくなる。
このようにすれば、中空のローラー本体に変形を生じさせることなく、無機粒子を樹脂膜に均一に付着させることが可能になる。
ローラー本体と高摩擦層とを備え、前記ローラー本体に、歯車等の連結部品に連結するための連結部として、前記係合部を有してなることを特徴としている。
この搬送ローラーによれば、前記製造方法によって製造されているため、十分にコストダウンが図られ、さらにその生産性の向上も図られた優れたものとなる。
この搬送ユニットによれば、前述したようにコストダウン及び生産性の向上が図られた搬送ローラーを備えているので、この搬送ユニット自体のコストダウン及び生産性の向上が可能になる。
このようにすれば、搬送ローラーとの接触、特に高摩擦層との接触により、従動ローラーにダメージが加わることが抑制される。
このようにすれば、搬送ローラーと従動ローラーとの間で紙等の記録媒体を挟持する力が大きくなり、記録媒体の搬送性がより良好になる。
この印刷装置によれば、前記搬送ユニットを備えているため、コストダウン及び生産性の向上が可能となる。
まず、図1、図2を参照して、本発明の搬送ローラーを備えた印刷装置について説明する。なお、図1は本発明に係る搬送ユニットを備えた印刷装置(インクジェットプリンター)の側断面図、図2(A)は同印刷装置の搬送ユニット部分の平面図、図2(B)は同印刷装置の駆動系の側面図である。
そして、搬送ローラー機構19に至った用紙Pは、搬送ローラー15の回転駆動によって印刷処理に伴う精密で正確な搬送(紙送り)動作を受けつつ、搬送ローラー機構19の下流側に位置する印字ヘッド(印刷部)21へ搬送されるようになっている。
なお、前記印字ヘッド21による印字処理(印刷処理)は、制御部CONTによって制御されるようになっている。
排紙ローラー機構27は、下側に配置された排紙ローラー29と上側に配置された排紙ギザローラー31とを備えて構成されたもので、排紙ローラー29の回転駆動によって用紙Pを引き出し、排出するようになっている。
プリンター本体3には、図2(A)、(B)に示すように、前記制御部CONTの制御下で駆動される搬送モーター(駆動装置)32が設けられている。この搬送モーター32の駆動軸にはピニオン33が設けられており、ピニオン33には搬送駆動ギア35が歯合しており、搬送駆動ギア35には前記の搬送ローラー15が内挿されて連結されている。このような構成のもとに搬送モーター32は、搬送ローラー15を回転駆動する駆動装置となっている。
また、排紙ローラー29の回転速度は、前記各ギアのギア比を調整することにより、搬送ローラー15の回転速度より速くなるように設定されている。したがって、排紙ローラー機構27の排紙速度は、搬送ローラー機構19の搬送速度より増速率sだけ速くなっている。
また、搬送ローラー機構19による用紙Pの挟持力(押圧力)は、排紙ローラー機構27による挟持力(押圧力)よりも大きく設定されている。したがって、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構27とが共に用紙Pを挟持しているとき、その用紙搬送速度は、排紙ローラー機構27の排紙速度とは関係なく、搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されるようになっている。
図3は、搬送ローラー15及び従動ローラー17からなる搬送ローラー機構19の概略構成を示す図である。
搬送ローラー15は、亜鉛メッキ鋼板やステンレス板等の金属板がプレス加工されて円筒状に形成されたローラー本体16と、このローラー本体16の表面に設けられた高摩擦層50とを備えてなるものである。
搬送ローラー15を製造するには、まず、図4(a)に示すように矩形板状または帯状の大型金属板(第1金属板)65を用意する。この大型金属板65としては、例えば厚さ1mm程度の亜鉛メッキ鋼板が用いられる。続いて、この大型金属板65をプレス加工することで切断処理し、図4(b)に示すように前記ローラー本体16に対応する大きさの細長い略矩形板状の金属板(第2金属板)60、すなわちローラー本体16の基材となる金属板60を形成する。ただし、ここでは説明を省略するものの、後述するようにこの大型金属板65をプレス加工するに際しては、前記の切断処理と同時に、前記係合部を形成するための展開係合部(図示せず)を形成する。
すなわち、まず、図5(a)に示す雄型101と雌型102とで金属板60をプレス加工し、金属板60の両側部62a、62bを円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。なお、図5(a)においては、各部材を分かりやすくするため、金属板60と雄型101と雌型102との間にそれぞれ間隔を開けてこれらの部材を記しているが、この間隔は実際には存在せず、金属板60と雄型101、雌型102とはそれぞれの接触部においてほぼ密着している。これは、後述する図5(b)、(c)、図6(a)〜(c)においても同様である。
次いで、図5(c)に示すように、図5(b)で得られた金属板60の内部に芯型105を配置し、図5(c)に示す上型106と下型107とを用いて、図6(a)〜(c)に示すようにして金属板60の両側部62a、62bの各端面61a、61bを近接させる。
次いで、図6(b)に示すように、芯型106を少し(一方の側の端面61aと他方の側の端面61bとを近接させることができる程度に)下降させるとともに、他方の側の上型106bを下降させ、金属板60の他方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
すると、この中空パイプは、センターレス研磨加工前に比べその真円度がより良好になり、また、振れ量も小さいローラー本体16となる。また、このローラー本体16にあっては、前記の両端面61a、61b間がより狭まることで、図7(a)に示すようにこれら両端面61a、61b間の隙間がより狭くされた繋ぎ目80が形成される。
この高摩擦層50の形成方法としては、乾式法及び湿式法(またはこれらを併用した方法)が採用可能であるが、本実施形態では乾式法が好適に採用される。
具体的には、まず、高摩擦層50の形成材料として、樹脂粒子と無機粒子とを用意する。樹脂粒子としては、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる、直径10μm程度の微粒子が好適に用いられる。
そして、前記樹脂粒子を、静電塗装装置(図示せず)のトリボガンを用いてローラー本体16に向けて噴霧(噴出)し吹き付けつつ、この噴霧粒子(樹脂粒子)を+(プラス)高電位に帯電させる。すると、この帯電された樹脂粒子はローラー本体16の外周面に吸着され、樹脂膜を形成する。
なお、このアルミナ粒子95の塗布(散布)については、アルミナ粒子95が鉛直方向下方にゆっくりと散布されるのであれば、静電塗装法による塗布に限定されるものではなく、例えばスプレーガンを用いた塗布(散布)法であってもよい。
なお、前記実施形態では、樹脂粒子の塗布(吹付)とアルミナ粒子(無機粒子)の塗布(吹付)とを別々の塗装ブースで実施したが、同一の塗装ブース内で行ってもよいのはもちろんである。
すなわち、アルミナ粒子95としてその平均粒径が、繋ぎ目80の、外周面側での距離d1より大となるものを用いているので、アルミナ粒子95はその大半が繋ぎ目80内に入り込むことなく、図10に示すようにローラー本体16の外周面上に樹脂膜51を介して付着している。したがって、繋ぎ目80には金属板60の端面61a、61b間に隙間が形成されているにもかかわらず、アルミナ粒子95がこの隙間上を覆うことにより、この隙間に起因する溝が実質的に形成されなくなる。
また、一般にローラー本体16(搬送ローラー15)の両端部は、歯車などの駆動系の連結部品を取り付けるための部位となり、用紙P(記録媒体)に直接接触するのは、ローラー本体16の中央部となる。したがって、本実施形態では、前記高摩擦層50をローラー本体16の両端部を除く中央部に設けているので、用紙Pの搬送性能を低下させることなく、高摩擦層50の材料コストを最小限に抑えることができる。
また、図16(b)に示すように、金属板60の端部を所定形状に切り欠いて一対の切欠部73b、73bからなる展開係合部73cとしておくことにより、この金属板60をプレス加工することで図13(a)、(b)に示した係合部73を形成することができる。
このように展開形成部76d〜76fを曲げ方向における中心線の近傍に形成すれば、これら展開形成部76d〜76fから得られる係合部73〜75を、より精度良く形成することができる。
また、このように折曲部85を両端部にのみ形成し、その間の中央部については中央直線部86とした場合、図8(c)に示した高摩擦層50の形成領域を中央部直線部86に対応させるのが好ましい。
このようにすれば、距離d5が相対的に短くなって交差部87aにおける端部間の隙間が非常に狭くなるため、ローラー本体16を形成するための基材となる金属板をプレス加工した際、一方の端部と他方の端部との間の長さ方向(軸方向)でのずれが、交差部87aを構成する一対の対向する端部によって規制されるようになる。したがって、得られるローラー本体16(搬送ローラー15)に歪みや捩れ等が生じにくくなり、このような歪みや捩れ等に起因する搬送ムラが防止される。
また、図22(a)に示した矩形波状の折曲部85と、図25(b)に示した曲線からなる波線89aとを組み合わせて繋ぎ目を形成してもよく、矩形波状の折曲部85と、図25(c)に示した折れ曲がった波線89bとを組み合わせて繋ぎ目を形成してもよい。
給紙ローラー13によって給紙された用紙Pは、搬送ローラー機構19の上流側近傍に至ると、搬送ローラー15と従動ローラー17との間に引き込まれ、両ローラーの駆動によって下流側に位置する印字ヘッド21の下方に向けて定速で搬送される。
その後、用紙Pの始端が排紙ローラー機構27に至ると、排紙動作が開始される。なお、排紙ローラー機構27の搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度より速く設定されているため、用紙Pにはバックテンションが掛かった状態で搬送される。ただし、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構27とが共に用紙Pを挟持しているときには、前述したようにその用紙搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されている。したがって、このように排紙ローラー機構27と搬送ローラー機構19とによって排紙と搬送とを同時に行う際にも、その用紙搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されているため、搬送ムラのない正確で安定した紙送り(搬送)がなされるようになる。
また、前記のプレス工程では、大型金属板65を小型化して金属板60にすると同時に、展開係合部を形成しているので、工程を一層簡略化してコストダウン及び生産性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態のインクジェットプリンター(印刷装置)1は、前記搬送ユニットを備えているため、このインクジェットプリンター1自体もコストダウン及び軽量化が可能なものとなる。
例えば、前記実施形態では本発明に係る搬送ローラーを、搬送ローラー機構19における搬送ローラー15に適用したが、排紙ローラー機構27における排紙ローラー29や排紙ギザローラー31に適用することもでき、さらには、搬送ローラー機構19における従動ローラー17(ローラー17a)に適用することもできる。
また、本発明が必須とする係合部の形状、及びこれを形成するための展開係合部の形状についても、図示した形状のものに限定されることなく、これら以外にも種々の形状のものが採用可能である。
Claims (9)
- 第1金属板をプレス加工して切欠状、突片状、孔状、あるいは溝状等の展開係合部を形成し、第2金属板とする第1プレス工程と、
前記第2金属板をプレス加工して、対向する一対の端面を互いに近接させて円筒状のローラー本体を形成するとともに、該ローラー本体に前記展開係合部からなる係合部を形成する第2プレス工程と、
前記ローラー本体の外周面に、樹脂膜中に無機粒子を分散し露出してなる高摩擦層を形成する高摩擦層形成工程と、を備え、
前記第2プレス工程では、前記一対の端面を、該一対の端面の、円筒状に曲げられた際に内周面側となる端縁間の距離が、外周面側となる端縁間の距離より狭くなるように加工し、
前記高摩擦層形成工程では、前記無機粒子として、前記一対の端面間における外周面側での端縁間の距離より小となり、かつ、内周面側での端縁間の距離より大となる粒子を含むものを用いることを特徴とする搬送ローラーの製造方法。 - 前記第1金属板は大型金属板であり、前記第1プレス工程は、前記大型金属板を前記ローラー本体に対応する大きさに小型化する切断処理を有していることを特徴とする請求項1記載の搬送ローラーの製造方法。
- 前記第2プレス工程と前記高摩擦層形成工程との間に、前記ローラー本体の外周面を研磨するセンターレス研磨工程を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送ローラーの製造方法。
- 前記高摩擦層形成工程は、前記ローラー本体の外周面に樹脂膜を形成する工程と、該樹脂膜上に無機粒子を静電塗装法で付着させる工程と、を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の搬送ローラーの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されてなり、
ローラー本体と高摩擦層とを備え、前記ローラー本体に、歯車等の連結部品に連結するための連結部として、前記係合部を有してなることを特徴とする搬送ローラー。 - 請求項5記載の搬送ローラーと、
前記搬送ローラーに従動する従動ローラーと、
前記搬送ローラーを回転駆動する駆動装置と、を備えたことを特徴とする搬送ユニット。 - 前記従動ローラーの表面に低摩耗処理が施されていることを特徴とする請求項6記載の搬送ユニット。
- 前記従動ローラーは、前記搬送ローラーの前記高摩擦層に当接する位置に配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の搬送ユニット。
- 請求項6〜8のいずれか一項に記載の搬送ユニットと、
搬送された記録媒体に印刷処理を行う印刷部と、
前記印刷部の印刷処理を制御する制御部と、を有することを特徴とする印刷装置。
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