JP5446305B2 - 印刷装置 - Google Patents
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Description
ところが、この技術では、軸状(円柱状)の表面に周方向に沿って突起を形成するため、作業性が悪いといった課題がある。また、中実の材料を用いるため、コストが嵩むといった課題もある。
例えば、プレス加工によって表面を叩き、前記特許文献1のように突起を形成することが考えられるが、その場合には、中空であるため変形が生じ易いといった課題がある。
ところが、このように繋ぎ目の全長に亘って凹凸による嵌合部を形成すると、これら嵌合部には、円筒軸の中心軸、すなわち回転軸と平行な直線成分が多く形成されてしまう。その結果、搬送ローラー(円筒軸)の全長に亘る完全な直線状の溝ではなくても、比較的長い直線成分に対応する溝が紙送りの際に同時に用紙に接触することになり、これに起因して搬送ムラが引き起こされてしまう可能性がある。また、微細な液滴を吐出して画像を形成する、所謂インクジェットプリンターにおいては、非常に高い紙送り精度が必要とされることから、このような搬送ムラの発生は、特に問題となっている。また、紙送り精度を高めるため、搬送ローラーに高摩擦層を形成することも考えられるが、搬送ローラーの軸全体に高摩擦層を形成する場合には、コストが多くかかってしまう。
本発明の円筒軸は、プレス加工により一対の端部を対向させて円筒状に形成され、前記一対の端部間に繋ぎ目を有する円筒軸であって、
前記繋ぎ目と、前記円筒軸の外周面上における前記円筒軸の中心軸に平行な直線と、は線分で重なることなく、一つあるいは複数の点でのみ重なっていることを特徴としている。
このようにすれば、この円筒軸からなる搬送ローラーの全周に亘って接触抵抗がほぼ均一になり、搬送ムラがより確実に防止される。
このようにすれば、この円筒軸を形成する際、プレス加工する前に用意する金属板として、対向する一対の端部がそれぞれ直線状に形成されたものを用いることができ、したがって用意する金属板についての前加工などが簡易になる。また、繋ぎ目が直線状であるため、端部間を隙間無く均一に形成するのが容易になる。
また、前記繋ぎ目は、前記円筒軸を展開した状態において、一つの円弧状に形成されていてもよい。
さらに、前記繋ぎ目は、前記円筒軸を展開した状態において、山部と谷部とが交互に連続する曲線状に形成されていてもよい。
また、前記繋ぎ目は、前記円筒軸の中心軸と直交する所定の横断面を対称面として、左右対称に形成されていてもよい。
このようにすれば、円筒軸の中心軸に平行な直線上において、該直線に対して線分で重なることなく、一つあるいは複数の点でのみ重なるように、繋ぎ目を形成することができる。
この搬送ローラーによれば、円筒状にプレス加工されてなる円筒軸を用いることにより、中実の丸棒材を用いた場合に比べてコストダウン及び軽量化が可能になる。また、この円筒軸の表面に、無機粒子を含有してなる高摩擦層が設けられているので、この高摩擦層によって良好な搬送力が発揮される。
さらに、前記円筒軸の繋ぎ目に起因する溝は、紙送りの際同時に用紙に接触する箇所が、一つあるいは複数の点のみとなっているので、この円筒軸を備えてなる搬送ローラーは、用紙の搬送速度がほぼ一定になり、搬送ムラが防止されたものとなる。
このように、媒体に接触する領域に高摩擦層を設けることにより、高摩擦層の材料コストが最小限に抑えられる。
この搬送ユニットによれば、前述したようにコストダウン及び軽量化が可能であり、さらに搬送ムラが防止された搬送ローラーを備えているので、この搬送ユニット自体のコストダウン及び軽量化が可能になり、さらに搬送ローラーによる記録媒体の搬送性にも優れたものとなる。
このようにすれば、搬送ローラーとの接触、特に高摩擦層との接触により、従動ローラーにダメージが加わることが抑制される。
このようにすれば、搬送ローラーと従動ローラーとの間で紙等の記録媒体を挟持する力が大きくなり、記録媒体の搬送性がより良好になる。
このようにすれば、搬送ローラーの前記繋ぎ目に対し、従動ローラーの荷重が左右対称にかかる。したがって、左右対称に形成された繋ぎ目は、一部に荷重が偏ることなく左右が均等に荷重を受けるようになり、これにより、繋ぎ目の一部が過剰に荷重を受け、これに起因して搬送ムラが生じるのが防止される。
この印刷装置によれば、前記搬送ユニットを備えているため、コストダウン及び軽量化が可能であり、さらに記録媒体を良好に搬送することができる優れたものとなる。
まず、図1、図2を参照して、本発明に係る搬送ローラーを備えた印刷装置について説明する。なお、図1は本発明に係る搬送ユニットを備えた印刷装置(インクジェットプリンター)の側断面図、図2(A)は同印刷装置の搬送ユニット部分の平面図、図2(B)は同印刷装置の駆動系の側面図である。
そして、搬送ローラー機構19に至った用紙Pは、搬送ローラー15の回転駆動によって印刷処理に伴う精密で正確な搬送(紙送り)動作を受けつつ、搬送ローラー機構19の下流側に位置する印字ヘッド(印刷部)21へ搬送されるようになっている。
なお、前記印字ヘッド21による印字処理(印刷処理)は、制御部CONTによって制御されるようになっている。
排紙ローラー機構27は、下側に配置された排紙ローラー29と上側に配置された排紙ギザローラー31とを備えて構成されたもので、排紙ローラー29の回転駆動によって用紙Pを引き出し、排出するようになっている。
プリンター本体3には、図2(A)、(B)に示すように、前記制御部CONTの制御下で駆動される搬送モーター(駆動装置)32が設けられている。この搬送モーター32の駆動軸にはピニオン33が設けられており、ピニオン33には搬送駆動ギア35が歯合しており、搬送駆動ギア35には前記の搬送ローラー15が内挿されて連結されている。このような構成のもとに搬送モーター32は、搬送ローラー15を回転駆動する駆動装置となっている。
また、搬送ローラー機構19による用紙Pの挟持力(押圧力)は、排紙ローラー機構27による挟持力(押圧力)よりも大きく設定されている。したがって、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構27とが共に用紙Pを挟持しているとき、その用紙搬送速度は、排紙ローラー機構27の排紙速度とは関係なく、搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されるようになっている。
図3は、搬送ローラー15及び従動ローラー17からなる搬送ローラー機構19の概略構成を示す図である。
搬送ローラー15は、亜鉛メッキ鋼板やステンレス板等の金属板がプレス加工されて円筒状に形成されたローラー本体16と、このローラー本体16の表面に設けられた高摩擦層50とを備えてなるものである。ここで、ローラー本体16は、本発明における円筒軸の一実施形態となるものである。
搬送ローラー15を製造するには、まず、図4(a)に示すように矩形板状または帯状の大型金属板(第1金属板)65を用意する。この大型金属板65としては、例えば厚さ1mm程度の亜鉛メッキ鋼板が用いられる。続いて、この大型金属板65をプレス加工することにより、前記ローラー本体16の基材となる金属板を、このローラー本体16に対応する大きさ・形状に形成する。
すなわち、まず、図5(a)に示す雄型101と雌型102とで金属板60をプレス加工し、金属板60の両側部62a、62bを円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。なお、図5(a)においては、各部材を分かりやすくするため、金属板60と雄型101と雌型102との間にそれぞれ間隔を開けてこれらの部材を記しているが、この間隔は実際には存在せず、金属板60と雄型101、雌型102とはそれぞれの接触部においてほぼ密着している。これは、後述する図5(b)、(c)、図6(a)〜(c)においても同様である。
次いで、図5(c)に示すように、図5(b)で得られた金属板60の内部に芯型105を配置し、図5(c)に示す上型106と下型107とを用いて、図6(a)〜(c)に示すようにして金属板60の両側部62a、62bの各端面61a、61bを近接させる。
次いで、図6(b)に示すように、芯型106を少し(一方の側の端面61aと他方の側の端面61bとを近接させることができる程度に)下降させるとともに、他方の側の上型106bを下降させ、金属板60の他方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
すると、この中空パイプは、センターレス研磨加工前に比べその真円度がより良好になり、また、振れ量も小さいローラー本体16、すなわち本発明に係る円筒軸となる。また、このローラー本体(円筒軸)16にあっては、前記の両端面61a、61b間がより狭まることで、図7(a)に示すようにこれら両端面61a、61b間の隙間がより狭くされた繋ぎ目80が形成される。この繋ぎ目80は、前述したようにローラー本体16の外周面をその周方向に延びつつ、ローラー本体16の一端から他端にかけて延在した状態に形成される。
この高摩擦層50の形成方法としては、乾式法及び湿式法(またはこれらを併用した方法)が採用可能であるが、本実施形態では乾式法が好適に採用される。
具体的には、まず、高摩擦層50の形成材料として、樹脂粒子と無機粒子とを用意する。樹脂粒子としては、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる、直径10μm程度の微粒子が好適に用いられる。
そして、前記樹脂粒子を、静電塗装装置(図示せず)のトリボガンを用いてローラー本体16に向けて噴霧(噴出)し吹き付けつつ、この噴霧粒子(樹脂粒子)を+(プラス)高電位に帯電させる。すると、この帯電された樹脂粒子はローラー本体16の外周面に吸着され、樹脂膜を形成する。
なお、このアルミナ粒子95の塗布(散布)については、アルミナ粒子95が鉛直方向下方にゆっくりと散布されるのであれば、静電塗装法による塗布に限定されるものではなく、例えばスプレーガンを用いた塗布(散布)法であってもよい。
なお、前記実施形態では、樹脂粒子の塗布(吹付)とアルミナ粒子(無機粒子)の塗布(吹付)とを別々の塗装ブースで実施したが、同一の塗装ブース内で行ってもよいのはもちろんである。
すなわち、アルミナ粒子95としてその平均粒径が、繋ぎ目80の、外周面側での距離d1より大となるものを用いているので、アルミナ粒子95はその大半が繋ぎ目80内に入り込むことなく、図10に示すようにローラー本体16の外周面上に樹脂膜51を介して付着している。したがって、繋ぎ目80には金属板60の端面61a、61b間に隙間が形成されているにもかかわらず、アルミナ粒子95がこの隙間上を覆うことにより、この隙間に起因する溝が実質的に形成されなくなる。
したがって、この搬送ローラー15によれば、仮に繋ぎ目80に起因して溝が形成されているとしても、この溝は、紙送りの際に同時に用紙に接触する箇所が、一つあるいは複数の点のみとなる。よって、他の面(線)が当たるときに比べほとんど接触抵抗に変化がなく、これにより、用紙の搬送速度がほぼ一定になり、搬送ムラが防止される。
また、一般にローラー本体16(搬送ローラー15)の両端部は、歯車などの駆動系の連結部品を取り付けるための部位となり、用紙P(記録媒体)に直接接触するのは、ローラー本体16の中央部となる。したがって、本実施形態では、前記高摩擦層50をローラー本体16の両端部を除く中央部に設けているので、用紙Pの搬送性能を低下させることなく、高摩擦層50の材料コストを最小限に抑えることができる。
このようにしても、繋ぎ目83を、ローラー本体16の中心軸16aに平行な線分を有することなく、その全長に亘って中心軸に交差するように、形成することができる。
このようにしても、繋ぎ目84を、ローラー本体16の中心軸16aに平行な線分を有することなく、その全長に亘って中心軸に交差するように、形成することができる。
このように繋ぎ目85を形成するには、基材となる金属板として、図20(b)に示すように、細長い円弧状(弓状)に形成された金属板60dを用い、符号16bで示す直線が中心軸(曲げ中心)となるようにプレス加工する。
このようにすれば、金属板60dの両端部61a、61bが比較的単純な一つの円弧状となるので、図7(a)に示したローラー本体16の場合と同様に、用意する金属板60dについての前加工(プレス加工)などが簡易になる。また、繋ぎ目85が一つの円弧状であり、直線に近くなるため、端部61a、61b間を隙間無く(隙間を少なく)均一に形成するのが容易になる。
給紙ローラー13によって給紙された用紙Pは、搬送ローラー機構19の上流側近傍に至ると、搬送ローラー15と従動ローラー17との間に引き込まれ、両ローラーの駆動によって下流側に位置する印字ヘッド21の下方に向けて定速で搬送される。
その後、用紙Pの始端が排紙ローラー機構27に至ると、排紙動作が開始される。なお、排紙ローラー機構27の搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度より速く設定されているため、用紙Pにはバックテンションが掛かった状態で搬送される。ただし、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構27とが共に用紙Pを挟持しているときには、前述したようにその用紙搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されている。したがって、このように排紙ローラー機構27と搬送ローラー機構19とによって排紙と搬送とを同時に行う際にも、その用紙搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されているため、搬送ムラのない正確で安定した紙送り(搬送)がなされるようになる。
例えば、前記実施形態では本発明に係る搬送ローラーを、搬送ローラー機構19における搬送ローラー15に適用したが、排紙ローラー機構27における排紙ローラー29や排紙ギザローラー31に適用することもでき、さらには、搬送ローラー機構19における従動ローラー17(ローラー17a)に適用することもできる。
Claims (12)
- プレス加工により一対の端部を対向させて円筒状に形成され、前記一対の端部間に繋ぎ目を有する円筒軸を含み、回転駆動する搬送ローラーと、
前記搬送ローラーとで記録媒体を挟んで搬送する従動ローラーと、
前記搬送ローラーの軸端部に設けられた軸受部と、を備え、
前記繋ぎ目は、前記円筒軸の外周面上における前記円筒軸の中心軸に平行な直線に対して一つの点でのみ重なりを有し、
前記記録媒体が挟まれる領域において前記搬送ローラーの表面に高摩擦層が形成され、
前記軸受部に位置する前記搬送ローラーの表面には高摩擦層が形成されない、ことを特徴とする印刷装置。 - 前記繋ぎ目は、前記円筒軸を展開した状態において、一つの直線状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 前記繋ぎ目は、前記円筒軸を展開した状態において、複数の直線が折曲した状態に形成されていることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 前記繋ぎ目は、前記円筒軸を展開した状態において、一つの円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 前記繋ぎ目は、前記円筒軸を展開した状態において、山部と谷部とが交互に連続する曲線状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 前記繋ぎ目は、前記円筒軸の中心軸と直交する所定の横断面を対称面として、左右対称に形成されていることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
- 前記高摩擦層は、無機粒子を含有して前記円筒軸の表面に設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の印刷装置。
- 前記高摩擦層は、少なくとも前記搬送ローラーが搬送する記録媒体に接触する領域に設けられていることを特徴とする請求項7記載の印刷装置。
- 前記搬送ローラーを回転駆動する駆動装置を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の印刷装置。
- 前記従動ローラーの表面に低摩耗処理が施されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の印刷装置。
- 前記従動ローラーは、前記搬送ローラーの前記高摩擦層に当接する位置に配置されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の印刷装置。
- 前記搬送ローラーの前記円筒軸は、前記繋ぎ目が、前記円筒軸の中心軸と直交する所定の横断面を対称面として、左右対称に形成されてなり、
前記従動ローラーは、その荷重の中心位置が、前記搬送ローラーの前記円筒軸の、前記対称面に対応して配置されていることを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
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