JP5451165B2 - 色素増感型光電変換素子およびこれを用いた太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は色素増感型光電変換素子およびこれを用いた太陽電池に関する。より詳細には、本発明は、特定のフタロシアニン系色素を含有する色素増感型光電変換素子およびこれを用いた太陽電池に関する。
近年、二酸化炭素の増加による温室効果による地球の温暖化や酸性雨などの地球規模の環境問題が深刻化し、現在、火力発電に代わるクリーンなエネルギーの開発が切望されるようになってきた。
このようなエネルギー源として現在最も注目・期待されているものの一つとして、クリーンさ、安全性及び取り扱い易さの点から、無限の太陽エネルギーを直接電気エネルギーに変換できる太陽電池がある。中でも変換効率が高く、比較的安価な材料で製造できる色素増感型太陽電池が注目されている。
色素増感型太陽電池は、基板上に設けられた多孔性半導体層、対向電極および多孔性半導体層および対向電極間に存在する電荷移動層を含む構成となっている。多孔性半導体層には増感色素が吸着されてなる。太陽光の照射により、増感色素が励起され、励起された増感色素の電子が半導体層に注入し、外部回路を通って対向電極に移動する。対向電極に移動した電子は、電荷移動層中のイオンによって運ばれ、増感色素に戻る。このような過程を繰り返して、電気エネルギーに変換する。
色素増感型太陽電池の性能を向上させるために、太陽光を効率的に光電変換できる色素が求められている。色素増感型太陽電池に最も一般的に用いられている色素はルテニウム錯体色素である。ルテニウム錯体色素は、波長が700nmを越える辺りから吸収が落ち込み、これを超える波長の光を効率的に吸収することができない。したがって、ルテニウム錯体色素に加えて、800〜1000nmの光を吸収できる色素を用いると、光電変換効率の上昇が期待される。
これまでに、色素増感型太陽電池において、800〜1000nmの領域に最大吸収波長を有する色素としては、ポリメチン系色素がルテニウム錯体色素と組み合わせて用いられた例が特許文献1や特許文献2に開示されている。
特開2008−71535号公報 特開2000−268892号公報
しかしながら、上記ポリメチン系色素は耐光性や耐候性に問題があり、長期間使用した場合に色素が劣化し、光電変換効率が低下する虞れがある。
一方、色素増感型太陽電池を製造する際には、色素を溶解した色素溶液に半導体層を浸漬する方法が広く用いられている。この際、ルテニウム錯体色素の溶解には親水性溶媒が一般的に用いられている。このため、ルテニウム錯体色素と組み合わせて色素増感型太陽電池の増感色素として用いられる色素には、親水性溶媒への溶解性が高いことも要求される。
そこで本発明は、親水性溶媒への溶解性が高い色素を用いた、耐候性、耐光性およびエネルギー変換効率の高い色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
本願発明者らは、上記課題に鑑みた結果、特定のフタロシアニン化合物と400〜700nmに最大吸収波長を有する色素とを色素増感型光電変換素子の光増感色素として用いることによって、上記課題が解決できることを見出し、本願発明を完成させた。
本発明の色素増感型光電変換素子は、特定のフタロシアニン化合物と400〜700nmに最大吸収波長を有する色素とを組み合わせて増感色素として用いることによって、幅広い領域の波長の光を吸収できるため、エネルギー変換効率が高く、また耐光性に優れている。さらに、用いる色素が親水性溶媒への溶解性が高いため、特別な工程を必要とすることなく、簡便に色素増感型光電変換素子を製造することができる。
本発明の色素増感型光電変換素子の一実施形態を示す、断面模式図である。 本発明の色素増感型光電変換素子の他の実施形態を示す、断面模式図である。
本発明の色素増感型太陽電池は、400〜700nmに最大吸収波長を有する色素と、フタロシアニン化合物(1)およびフタロシアニン化合物(2)の少なくとも1種とを光増感色素として含有する。
これまでにもフタロシアニン化合物を色素増感型太陽電池の増感色素として用いる試みがなされてきた。しかしながら、従来色素増感型太陽電池の色素として提案されてきたフタロシアニン化合物はいずれも最大吸収波長が700nm以下であり、ルテニウム錯体色素の吸収波長域と重複するものであった。本発明で用いられるフタロシアニン化合物(1)および(2)は、いずれも最大吸収波長が750〜1100nmであり、光電変換効率が高いとされるルテニウム錯体色素と組み合わせた場合にも、さらに光電変換効率が向上する。
以下、各色素について説明する。
[フタロシアニン化合物(1)]
フタロシアニン化合物(1)は下記式(1)で表される。
フタロシアニン化合物(1)は、1化合物中に少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個のカルボキシル基(その塩を含む)および/またはスルホン酸基(その塩を含む)を有する。カルボキシル基(その塩を含む)および/またはスルホン酸基(その塩を含む)の存在により、フタロシアニン化合物(1)は半導体層の半導体粒子等に吸着することができ、光増感色素として作用する。また、フタロシアニン化合物(1)は耐光性に優れるため、光電変換素子に用いた場合も色素劣化が抑制され、長期間にわたりエネルギー変換を行うことができる。さらに、これらの置換基の存在により、メタノールやエタノール、2−エトキシエタノール等の炭素数1〜4の低級アルコールまたはこれらの水溶液などの親水性溶媒にも良好に溶解する。
フタロシアニン化合物(1)は、優れた親水性を発揮するため、メタノールやエタノール等の低級アルコール若しくはこれらの水溶液などの親水性溶媒に対して容易に溶解できる。本明細書において、「親水性」とは、メタノール、エタノール、2−エトキシエタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール若しくはこれらの水溶液中での溶解度が0.1質量%以上であることを意味し、好ましくは、これらの親水性溶媒における溶解度が、0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上である。
フタロシアニン化合物(1)は、フタロシアニン化合物骨格に嵩高な置換基を導入することによって、従来のフタロシアニン化合物では吸収が不十分であった、より長波長の近赤外線を選択的に吸収することが可能であり、その結果、高い可視光線の透過率を有するものである。
上記式(1)において、Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。ここで、無金属とは、金属以外の原子、例えば、2個の水素原子であることを意味する。また、金属としては、鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、錫等が挙げられる。金属酸化物としては、チタニル、バナジル等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化錫(II)、塩化錫(IV)、塩化珪素等が挙げられる。好ましくは、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物であり、具体的には、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、バナジル、チタニル、塩化インジウム、塩化錫(II)であり、より好ましくは銅、バナジル及び亜鉛である。
上記式(1)において、Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14、Z15(フタロシアニン核の8箇所のβ位に置換する置換基ともいう)は、SR1、ORまたはハロゲン原子を表わす。この際、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子があり、これらのうち、好ましくはフッ素原子及び塩素原子、特に好ましくはフッ素原子である。また、SR1、ORについては、以下に詳述する。なお、Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14、Z15は、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。
上記式(1)において、Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13、Z16(フタロシアニン核の8箇所のα位に置換する置換基ともいう)は、SR1、NHR、ORまたはハロゲン原子を表わし、かつ少なくとも1個はNHRを表わしかつ少なくとも4個はORを表わす。さらに好ましくは、3〜4個がNHRでおよび4〜5個がORで置換される、さらに好ましくは4個がNHRで4個がORで置換されたものである。この際、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子があり、これらのうち、好ましくはフッ素原子及び塩素原子、特に好ましくはフッ素原子である。また、SR1、NHR、ORについては、以下に詳述する。なお、Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13、Z16は、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。
1〜Z16のうち少なくとも2個は、カルボキシル基若しくはその塩またはスルホン酸基若しくはその塩を有する基である。この際、カルボキシル基若しくはその塩またはスルホン酸基若しくはその塩を有するZ1〜Z16の基は、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。カルボキシル基若しくはその塩またはスルホン酸基若しくはその塩の導入によって、フタロシアニン化合物は、メタノール、エタノール、2−エトキシエタノール等のアルコールまたはこれらの水溶液への溶解性が付与されるからであり、1個ではこれらの溶媒への溶解性が不十分である。上記溶媒への溶解性を考慮すると、Z1〜Z16のうち少なくとも3個、より好ましくは3〜12個、特に好ましくは3〜8個が、カルボキシル基若しくはその塩またはスルホン酸基若しくはその塩を有する基であることが好ましい。
本明細書において、「カルボキシル基の塩」及び「スルホン酸基の塩」は、それぞれ、−COOY及び−SOYで表わされる基を意味し、この際、Yは、リチウム、ナトリウム、カリウム等の、アルカリ金属;または−NH、ならびに−N(CH、−N(C、−N(COH)、−NHCH、−NH(C)および−H(COH)などの、第1〜3級アンモニウムの残基を示す。これらのうち、Yは、アルカリ金属、より好ましくは、ナトリウム、カリウムであることが好ましい。
フタロシアニン化合物(1)は、750〜1100nmに最大吸収波長を有することが好ましく、より好ましくは800〜1050nmに最大吸収波長を有する。ルテニウム錯体と750〜1100nmに最大吸収波長を有するフタロシアニン化合物(1)とを組み合わせることによって、幅広い波長領域の太陽光を効率よくエネルギーに変換できるためである。本明細書において、最大吸収波長は、後述の実施例に記載の方法で測定されたものを採用する。750〜1100nmの範囲に最大吸収波長を有するフタロシアニン化合物としては、Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14、Z15のうち、少なくとも1個はSR’(R’は、炭素原子数1〜20のアルコキシル基を有するフェニル基を表わす)であることが好ましい。より好ましくは4個以上がSR’であり、特に好ましくは8個全てがSR’であることが好ましい。これは、SR’のような電子供与性基をβ位に有するフタロシアニン化合物は、吸収波長の長波長化や、特に可視光の透過率に優れ、かつ、750〜1100nmの範囲の近赤外線の優れた選択吸収能を獲得することができるからである。加えて、製造段階で、先にSR’で置換し、次いでアミノ化合物で置換すると、置換位置の制御が容易で樹脂との相溶性向上に優れるフタロシアニン化合物が得られるためである。なお、上記「SR’」におけるR’は、炭素原子数1〜20個のアルコキシル基を有していてもよいフェニル基であり、必要であれば、カルボキシル基若しくはその塩またはスルホン酸基若しくはその塩を有していてもよい。アルコキシル基として好ましくは、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキルから誘導されたアルコキシル基である。アルコキシル基は、フェニル基に1〜5個置換可能であり、好ましくは1個置換である。これらアルコキシル基の種類は、複数個置換する場合には同種若しくは異種のいずれであってもよい。上記アルコキシル基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−イソプロピルプロポキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−イソプロピルプロポキシ基、1−エチル−3−メチルブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などが挙げられる。これらアルコキシル基が置換されるフェニル基の位置はとくには限定されないが、好ましくは2位または4位である。これらのアルコキシル基の中でも、メトキシ基及びエトキシ基が、波長が750〜1100nm、特に900〜1100nmの範囲の近赤外線の選択吸収能を高める効果が特に高いため好ましく、最も好ましくはメトキシ基である。より具体的には、SR’としては、フェニルチオ基、2−メトキシフェニルチオ基、または4−メトキシフェニルチオ基が特に好ましい。
フタロシアニン化合物(1)は、フタロシアニン核のα位(Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13、Z16)に、NHR(Rは、置換基を有してもよい炭素原子数1〜20のアルキル基を表わす)を少なくとも1個有することが好ましい。NHRは電子供与性の強い嵩高な置換基を有するアミノ基であり、フタロシアニン核のα位に有することによって、波長が750〜1100nmの範囲の近赤外線の選択吸収能を高めることができ、加えて樹脂との相溶性の顕著な向上を実現することができるためである。なお、上記「NHR」におけるRは、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20個のアルキル基であり、必要であれば、カルボキシル基若しくはその塩またはスルホン酸基若しくはその塩を有していてもよい。非置換の炭素原子数1〜20個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、2−プロピルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、イソウンデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ペンタデシル基、イソペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、n−オクタデシル基、イソオクタデシル基、n−ノナデシル基、イソノナデシル基、n−イコシル基、イソイコシル基などが挙げられる。これらアルキル基のなかでも、炭素原子数が5個以上の長鎖のアルキル基や、アミノ基の窒素原子から数えて2つ目以上の炭素原子で分岐しているアルキル基が好ましい。このようなアルキル基は嵩高であるため電子供与性が高く、波長が750〜1100nmの範囲の近赤外線の選択吸収能を高めることができるためである。具体的には、1,2−ジメチルプロピル基、シクロヘキシル基、2−ヘプチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクタデシル基、2−プロピルヘキシル基が、波長が750〜1100nmの範囲の近赤外線の選択吸収能を高める効果が特に高いため特に好ましい。
該アルキル基への置換基としては、炭素原子数1〜20個のアルコキシル基または炭素原子数1〜20個の窒素含有基である。上記アルコキシル基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−イソプロピルプロポキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、n−ヘプチルオキシ基、1,4−ジメチルペンチルオキシ基、2−メチル−1−イソプロピルプロポキシ基、1−エチル−3−メチルブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などが挙げられる。これらアルコキシル基のなかでも、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基が、波長が750〜1100nmの範囲の近赤外線の選択吸収能を高める効果が特に高いため好ましい。
上記このような炭素原子数1〜20個のアルコキシル基を有するアルキル基としては、3−エトキシプロピル基、3−イソプロポキシプロピル基、3−ブトキシプロピル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピル基が特に好ましく、このような基をα位に有することにより、波長が750〜1100nmの範囲の近赤外線の選択吸収能をより高めることができる。
また、上記窒素含有基とは、第一級モノアミン(一般式:R”NH)または第二級アミン(一般式:R”NH)から水素原子1個を除いて生じる1価の基、または、ヘテロ原子として窒素原子を有する複素環式化合物から誘導される1価の基(ただし遊離原子価は窒素原子が有する)であることが好ましい。なお、式中、R”は、炭素原子数1〜20個のアルキル基であり、複数存在する場合には、同一でも異なっていてもよい。該アルキル基としては、上記式(1)の説明で以下にフェニル基またはアラルキル基に場合によっては存在する置換基と得るアルキル基から適宜選択できる。このような窒素含有基として好ましくは、第二級アミンから水素原子1個を除いて生じる1価の基である。また、ヘテロ原子として窒素原子を有する複素環式化合物から誘導される1価の基(ただし遊離原子価は窒素原子が有する)としては、ピペラジノ基、ピペリジン基、モルホリノ基が好ましい。
上記窒素含有基としては、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジイソプロピルアミノ基、N,N−ジ−n−ブチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノエチル基、N,N−ジイソプロピルアミノエチル基、N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル基、2−ピペラジノエチル基、2−ピペリジノエチル基、2−モルホリノエチル基が特に好ましく、このような基をα位に有することにより、波長が750〜1100nmの範囲の近赤外線の選択吸収能をより高めることができる。
上記式(1)において、R、R及びRは、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20個のアルキル基を表わす。なお、R、R及びRが複数個存在する際には、これらは同一であっても異なるものであってもよい。
ここで、R、R及びRにおけるアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基などが例示できる。
なお、上記フェニル基またはアラルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アシル基、アルキル基、フェニル基、アルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシスルホニル基、アルキルチオ基、カルバモイル基、アリールオキシカルボニル基、オキシアルキルエーテル基、シアノ基などが例示できる。これらの置換基は、フェニル基またはアラルキル基に1〜5個置換可能であり、これらの置換基の種類も、複数個置換する場合には同種若しくは異種のいずれであってもよい。
まず、上記フェニル基またはアラルキル基に置換しうるハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子があり、好ましくは塩素原子である。
アシル基としては、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、p−t−ブチルベンゾイル基などが挙げられ、これらのうち、エチルカルボニル基が好ましい。
アルキル基とは、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、メチル基及びエチル基が好ましい。
アルコキシル基は、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシル基であり、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−イソプロピルプロポキシ基などが挙げられる。これらのうち、メトキシ基及びエトキシ基が好ましい。
ハロゲン化アルキル基とは、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基の一部がハロゲン化されたものであり、クロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基、クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ブロモエチル基、クロロプロピル基、ブロモプロピル基などが挙げられる。
ハロゲン化アルコキシル基とは、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシル基の一部がハロゲン化されたものであり、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、クロロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、ブロモエトキシ基、クロロプロポキシ基、ブロモプロポキシ基などが挙げられる。
アルキルアミノ基とは、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個のアルキル部位を有するアルキルアミノ基であり、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基などが挙げられる。これらのうち、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基及びn−ブチルアミノ基が好ましい。
アルコキシカルボニル基とは、アルコキシル基のアルキル基部分にヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数1〜8個、好ましくは1〜5個のアルコキシカルボニル、またはヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数3〜8個、好ましくは5〜8個の環状アルコキシカルボニルを示す。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などが挙げられる。これらのうち、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が好ましい。
一方、R、R及びRにおける非置換の炭素原子数1〜20個のアルキル基は、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基及びn−ブチル基が好ましい。
該アルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシル基、ヒドロキシアルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、ハロゲン化アルコキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシスルホニル基などが例示できる。これらの置換基の種類は、上記フェニル基またはアラルキル基で述べたのと同様であり、また、これらの置換基は、複数個置換する場合には、同種若しくは異種のいずれであってもよい。
上記した式(1)のフタロシアニン化合物のうち、Mが無金属とするものを具体的に挙げると、下記のものが挙げられる。また、下記の化合物において、3,6位は、フタロシアニン核のα位(Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13、Z16の置換位置)であり、4,5位はフタロシアニン核のβ位(Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14、Z15)である。下記の化合物の略称において、Pcはフタロシアニン核を表わし、Pcのすぐ後にβ位に置換する8個の置換基を表わし、そのβ位に置換する置換基の後にα位に置換する8個の置換基を表わす。なお、以下の化合物は、カルボキシル基またはスルホン酸基の形態で記載されているが、これらは上記したような塩の形態を有していてもよい。
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(trans−4−カルボキシシクロヘキシルメチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(trans−4−カルボキシシクロヘキシルメチルアミノ)}フタロシアニン
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(trans−4−スルホシクロヘキシルメチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(trans−4−スルホシクロヘキシルメチルアミノ)}フタロシアニン
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(カルボキシヘプタアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(カルボキシヘプタアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(カルボキシフェニルメチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{NHCHPhCOOH}
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(2−スルホエチルアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{NHCHCHSOH}
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2−メトキシ−4−カルボキシフェノキシ)−テトラキス(カルボキシヘプタアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2−(CHO)−4−(COOH)PhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2−メトキシ−4−ヒドロキシメチルフェノキシ)−テトラキス(カルボキシヘプタアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){2−(CHO)−4−(CHOH)PhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−3,6−{テトラキス(3−カルボキシフェノキシ)−テトラキス(カルボキシヘプタアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2,5−ClPhO){3−(COOH)PhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキス(3−カルボキシフェノキシ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(カルボキシヘプタアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc{3−(COOH)PhO}{2,6−(CHPhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキスフェニルチオ−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(カルボキシシクロヘキシルメチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
4,5−オクタキスフェニルチオ−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(カルボキシシクロヘキシルメチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
4,5−オクタキスフェニルチオ−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(カルボキシヘプタアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(PhS){2,6−(CHPhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキスフェニルチオ−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(カルボキシヘプタアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(PhS){2,6−(CHPhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキス(4−メトキシフェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(カルボキシシクロヘキシルメチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
4,5−オクタキス(4−メトキシフェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(カルボキシシクロヘキシルメチルアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
4,5−オクタキス(4−メトキシフェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−トリス(カルボキシヘプタアミノ)−フルオロ}フタロシアニン
略称;Pc(4−(CHO)PhS){2,6−(CHPhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキス(4−メトキシフェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(カルボキシヘプタアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(4−(CHO)PhS){2,6−(CHPhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキス(2−カルボキシフェニルチオ)−3,6−{テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−テトラキス(カルボキシヘプタアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(2−(COOH)PhS){2,6−(CHPhO}{NH(CHCOOH}
4,5−オクタキス(4−メトキシフェニルチオ)−3,6−{テトラキス(3−カルボキシフェノキシ)−テトラキス(カルボキシヘプタアミノ)}フタロシアニン
略称;Pc(4−(CHO)PhS){3−(COOH)PhO}{NH(CHCOOH} フタロシアニン化合物(1)は、従来公知の方法により製造でき、例えば、特開2005−220060号公報に記載の方法により製造することができる。
[フタロシアニン化合物(2)]
フタロシアニン化合物(2)は、下記式(A)で示されるフタロシアニン化合物(A)を、置換基を有してもよいピリジノール、置換基を有してもよいイミダゾールおよび置換基を有してもよいピラゾールからなる群より選択される少なくとも一種と、反応させることによって製造される化合物である。
フタロシアニン化合物(2)は、半導体層へ吸着することができ、光増感色素として作用する。吸着の詳細なメカニズムは不明であり、下記推定に拘束されるものではないが、ハロゲン原子に存在する位置に導入された、置換基を有してもよいピリジノール、置換基を有してもよいイミダゾールおよび置換基を有してもよいピラゾール由来の基の存在によって、半導体層へ吸着できるものと推定される。また、フタロシアニン化合物(2)は耐光性に優れるため、光電変換素子に用いた場合も色素劣化が抑制され、長期間にわたりエネルギー変換を行うことができる。
フタロシアニン化合物(2)は、優れた親水性および/または水溶性を発揮するため、メタノールやエタノール等の低級アルコール若しくはこれらの水溶液などの親水性溶媒、および/または水に対して容易に溶解できる。本明細書において、「親水性」とは、メタノール、エタノール、2−エトキシエタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール若しくはこれらの水溶液中での溶解度が0.1質量%以上であることを意味し、好ましくは、これらの親水性溶媒における溶解度が、1.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上である。また、本明細書において、「水溶性」とは、水中での溶解度(水溶解度)が0.1質量%以上であることを意味し、好ましくは、水溶解度が、1.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上である。なお、本明細書中では、「親水性および/または水溶性」を一括して「親水性」とも称する。
フタロシアニン化合物(2)は好ましくは混合物の形態で製造される。各フタロシアニン化合物の最大吸収波長は、式(A)のフタロシアニン化合物(A)の構造、特に式(A)中に示すハロゲン原子の種類や数およびハロゲン原子以外の他の置換基の種類;置換基を有してもよいピリジノール、置換基を有してもよいイミダゾール、置換基を有してもよいピラゾールの種類;ならびにフタロシアニン化合物(A)と、置換基を有してもよいピリジノール、置換基を有してもよいイミダゾール、および置換基を有してもよいピラゾールとの混合比などによって調節できる。このため、上記諸因子を適宜選択することによって、様々な色調を有するフタロシアニン混合物を容易に製造することができる。
本明細書において、式(2)のフタロシアニン化合物(2)を「フタロシアニン化合物(2)」と、置換基を有してもよいピリジノールを「ピリジノール誘導体」と、置換基を有してもよいイミダゾールを「イミダゾール誘導体」と、および置換基を有してもよいピラゾールを「ピラゾール誘導体」とも称し、さらにピリジノール誘導体、イミダゾール誘導体およびピラゾール誘導体を一括して「誘導体」とも称する。
上記式(A)において、Z’1〜Z’16は、同一であってもあるいは相互に異なるものであってもよい。また、上記式(A)中、フタロシアニン骨格のZ’2、Z’3、Z’6、Z’7、Z’10、Z’11、Z’14、Z’15の置換基を、フタロシアニン核の8箇所のβ位に置換する置換基または単に「β位の置換基」と、また、フタロシアニン骨格のZ1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13、Z16の置換基を、フタロシアニン核の8箇所のα位に置換する置換基または単に「α位の置換基」と称する場合がある。
上記式(A)において、M’は、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わすものである。ここで、無金属とは、金属以外の原子、例えば、2個の水素原子であることを意味する。また、金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物としては、上記式(1)で示される化合物におけるMの説明と同じものが例示される。好ましくは、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物であり、具体的には、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、バナジル、チタニル、塩化インジウム、塩化錫(II)であり、より好ましくは銅、バナジルおよび亜鉛である。
式(2)において、Z’1〜Z’16は、水素原子、SR、NHR、ORまたはハロゲン原子を表わす。この際、Z’1〜Z’16の少なくとも2個はハロゲン原子を表わす。フタロシアニン化合物(A)と、ピリジノール誘導体、イミダゾール誘導体およびピラゾール誘導体からなる群より選択される少なくとも一種との反応によって、フタロシアニン化合物(A)中に存在するハロゲン原子の一部または全部が上記誘導体で置換され(ハロゲン原子が存在する位置に上記誘導体由来の基が導入され)、これにより得られたフタロシアニン化合物は親水性/水溶性を発揮する。このため、フタロシアニン化合物の親水性/水溶性は、Z’1〜Z’16中に占めるハロゲン原子の数によって調節され、ハロゲン原子の数が多いほど、即ち、これらの誘導体のフタロシアニン骨格への導入数が多いほど、得られるフタロシアニン化合物の親水性/水溶性が高くなる。このため、Z’1〜Z’16に占めるハロゲン原子の数は、所望の親水性/水溶性レベルによって異なるが、好ましくは4〜16個、より好ましくは8〜16個、さらにより好ましくは12〜16個、最も好ましくは16個であり、この際、Z’1〜Z’、Z’〜Z’、Z’〜Z’12及びZ’13〜Z’16中に占めるハロゲン原子の数が同じである、すなわち、式(A)中のZ’1〜Z’16中に占めるハロゲン原子の数が4、8、12及び16個であることが特に好ましい。また、上記式(A)中のZ’1〜Z’16としてのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子のいずれもでもよいが、好ましくはフッ素原子および塩素原子、特に好ましくはフッ素原子である。
フタロシアニン化合物(2)の最大吸収波長としては、変換効率を向上させるために、750〜1100nmであることが好ましく、750〜1000nmであることがより好ましい。
上記式(A)において、Z’1〜Z’16に占めるハロゲン原子の数が2〜15個である場合の、ハロゲン原子の結合位置は、特に制限されず、ハロゲン原子の種類や数によって異なる。例えば、ハロゲン原子が4個である場合には、ハロゲン原子は、フタロシアニン骨格の各ベンゼン環に1個ずつ存在し、各ベンゼン環、例えば、Z’1〜Z’中、Z’位、Z’位に存在することが好ましい。また、例えば、ハロゲン原子が8個である場合には、ハロゲン原子は、フタロシアニン骨格の各ベンゼン環に2個ずつ存在し、各ベンゼン環、例えば、Z’1〜Z’中、Z’位とZ’位、Z’位とZ’位、Z’位とZ’位、Z’位とZ’位、Z’位とZ’位、最も好ましくはZ’位とZ’位に存在することが好ましい。さらに、ハロゲン原子が12個である場合には、ハロゲン原子は、フタロシアニン骨格の各ベンゼン環に3個ずつ存在し、各ベンゼン環、例えば、Z’1〜Z’中、Z’位とZ’位とZ’位、Z’位とZ’位とZ’位に存在することが好ましい。なお、ハロゲン原子の数が上記場合以外である場合には、なるべく各ベンゼン環に同じ数のハロゲン原子が存在し、かつ余りのハロゲン原子がフタロシアニン骨格のベンゼン環中少なくともZ’位もしくはZ’位に存在することが好ましい。
また、上記式(A)において、Z’1〜Z’16に占めるハロゲン原子の数が2〜15個である場合の、ハロゲン原子以外のZ’1〜Z’16は、水素原子、SR、NHRまたはORであるが、好ましくは水素原子、ORであり、より好ましくは水素原子、置換基を有してもよいフェノキシ基、アルコキシ基であり、特に好ましくは置換基を有してもよいフェノキシ基である。
式(A)において、R、RおよびRは、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよい炭素原子数1〜20個のアルキル基を表わす。なお、R、RおよびRが複数個存在する際には、これらは同一であっても異なるものであってもよい。
ここで、R、RおよびRにおけるアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基などが例示できる。
なお、上記フェニル基またはアラルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アシル基、アルキル基、フェニル基、アルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシスルホニル基、アルキルチオ基、カルバモイル基、アリールオキシカルボニル基、オキシアルキルエーテル基、シアノ基などが例示できる。これらの置換基は、フェニル基またはアラルキル基に1〜5個置換可能であり、これらの置換基の種類も、複数個置換する場合には同種若しくは異種のいずれであってもよい。
まず、上記フェニル基またはアラルキル基に置換しうるハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子があり、好ましくはフッ素原子、塩素原子、より好ましくはフッ素原子である。
アシル基としては、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、ヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、p−t−ブチルベンゾイル基などが挙げられ、これらのうち、アセチル基、エチルカルボニル基が好ましい。
アルキル基とは、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、メチル基およびエチル基が好ましい。
アルコキシル基は、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシル基であり、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−イソプロピルプロポキシ基などが挙げられる。これらのうち、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
ハロゲン化アルキル基とは、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基の一部がハロゲン化されたものであり、クロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基、クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ブロモエチル基、クロロプロピル基、ブロモプロピル基などが挙げられる。
ハロゲン化アルコキシル基とは、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個の直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシル基の一部がハロゲン化されたものであり、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、クロロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、ブロモエトキシ基、クロロプロポキシ基、ブロモプロポキシ基などが挙げられる。
アルキルアミノ基とは、炭素原子数1〜20個、好ましくは炭素原子数1〜8個のアルキル部位を有するアルキルアミノ基であり、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基などが挙げられる。これらのうち、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基およびn−ブチルアミノ基が好ましい。
アルキルカルボニルアミノ基としては、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n−プロピルカルボニルアミノ基、iso−プロピルカルボニルアミノ基、n−ブチルカルボニルアミノ基、iso−ブチルカルボニルアミノ基、sec−ブチルカルボニルアミノ基、t−ブチルカルボニルアミノ基、n−ペンチルカルボニルアミノ基、n−ヘキシルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、n−ヘプチルカルボニルアミノ基、3−ヘプチルカルボニルアミノ基、n−オクチルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アリールアミノ基としては、フェニルアミノ基、p−メチルフェニルアミノ基、p−t−ブチルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ−p−メチルフェニルアミノ基、ジ−p−t−ブチルフェニルアミノ基等が挙げられる。
アリールカルボニルアミノ基としては、ベンゾイルアミノ基、p−クロロベンゾイルアミノ基、p−メトキシベンゾイルアミノ基、p−t−ブチルベンゾイルアミノ基、p−トリフロロメチルベンゾイルアミノ基、m−トリフロロメチルベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基とは、アルコキシル基のアルキル基部分にヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数1〜8個、好ましくは1〜5個のアルコキシカルボニル、またはヘテロ原子を含んでもよい炭素原子数3〜8個、好ましくは5〜8個の環状アルコキシカルボニルを示す。具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基などが挙げられる。これらのうち、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が好ましい。
アルキルアミノカルボニル基としては、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n−プロピルアミノカルボニル基、n−ブチルアミノカルボニル基、sec−ブチルアミノカルボニル基、n−ペンチルアミノカルボニル基、n−ヘキシルアミノカルボニル基、n−ヘプチルアミノカルボニル基、n−オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ−n−プロピルアミノカルボニル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニル基、ジ−sec−ブチルアミノカルボニル基、ジ−n−ペンチルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘキシルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘプチルアミノカルボニル基、ジ−n−オクチルアミノカルボニル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、t−ブチルチオフェニル基、ジ−tert−ブチルチオフェニル基、2−メチル−1−エチルチオフェニル基、2−ブチル−1−メチルチオフェニル基等が挙げられる。
一方、R、RおよびRにおける非置換の炭素原子数1〜20個のアルキル基は、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2−メチル1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基およびn−ブチル基が好ましい。
該アルキル基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシル基、ヒドロキシアルコキシル基、アルコキシアルコキシル基、ハロゲン化アルコキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシスルホニル基などが例示できる。これらの置換基の種類は、上記フェニル基またはアラルキル基で述べたのと同様であり、また、これらの置換基は、複数個置換する場合には、同種若しくは異種のいずれであってもよい。
フタロシアニン化合物(A)の製造方法は、従来公知の製造方法により製造することができ、具体的には特開2008−106258号公報に記載の方法で製造することができる。
ピリジノール誘導体は、ピリジノール、ピリジノール環の水酸基を持たない4つの残位の少なくともいずれかの位置に置換基を有するピリジノール置換体、およびこれらの塩を包含する。ここで、ピリジノールにおける水酸基のピリジン環への結合位は、特に制限されず、2,3,4位いずれでもよいが、3位(3−ピリジノール)および4位(4−ピリジノール)が好ましく、4位が特に好ましい。また、ピリジノール誘導体がピリジノール環の残位の少なくともいずれかの位置に置換基を有する場合の、置換基としては、特に制限されないが、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン化アルコキシル基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、フェニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジメチルアミノ基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ピペリジル基、ピペリジノメチル基、モルホリノ基、モルホリノメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。上記置換基のうち、ヒドロキシアルキル基以外の置換基については、上記したのと同様の置換基が使用できる。また、ヒドロキシアルキル基としては、特に制限されないが、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ−n−プロピル基、ヒドロキシイソプロピル基、ヒドロキシ−n−ブチル基などが挙げられ、これらのうち、ヒドロキシメチル基およびヒドロキシエチル基が好ましい。この場合、これらの置換基のピリジノール環への結合位は、特に制限されないが、例えば、4−ピリジノールの場合には、2位、6位が好ましい。また、ピリジノールやピリジノール置換体が塩の形態を有する場合には、ピリジノール環の窒素原子が塩の形態を有し、具体的には、ピリジノール環の窒素原子が、炭素原子数1〜8個のアルキル基と、塩を形成する(プラスに帯電する)ことが好ましい。この際、ピリジノール環の窒素原子は、メチル基、エチル基と塩を形成することがより好ましい。これらのピリジノール誘導体のうち、ピリジノール、より好ましくは4−ピリジノール、2−メチルピリジノール、特に2−メチル−4−ピリジノールが好ましく、4−ピリジノールが最も好ましい。
イミダゾール誘導体は、イミダゾール、イミダゾール環の2,4,5位の少なくともいずれかの位置に置換基を有するイミダゾール置換体、およびこれらの塩を包含する。イミダゾール誘導体がイミダゾール環の2,4,5位の少なくともいずれかの位置に置換基を有する場合の、置換基としては、特に制限されないが、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン化アルコキシル基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、フェニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジメチルアミノ基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ピペリジル基、ピペリジノメチル基、モルホリノ基、モルホリノメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。上記置換基は、上記ピリジノール誘導体での定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。上記置換基のうち、アルキル基、特にメチル基、エチル基が好ましい。この場合、これらの置換基のイミダゾール環への結合位は、特に制限されないが、例えば、2位、4位が好ましく、2位がより好ましい。また、イミダゾールやイミダゾール置換体が塩の形態を有する場合には、イミダゾール環の3位の窒素原子が、炭素原子数1〜8個のアルキル基、と、塩を形成(プラスに帯電する)ことが好ましい。この際、ピリジノール環の窒素原子は、メチル基、エチル基と塩を形成することがより好ましい。これらのイミダゾール誘導体のうち、イミダゾール、2−メチルイミダゾールが好ましく、特にイミダゾールが好ましい。
ピラゾール誘導体は、ピラゾール、ピラゾール環の3,4,5位の少なくともいずれかの位置に置換基を有するピラゾール置換体、およびこれらの塩を包含する。ピラゾール誘導体がピラゾール環の3,4,5位の少なくともいずれかの位置に置換基を有する場合の、置換基としては、特に制限されないが、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン化アルコキシル基、ヒドロキシアルキル基、アシル基、フェニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジメチルアミノ基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ピペリジル基、ピペリジノメチル基、モルホリノ基、モルホリノメチル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、などが挙げられる。上記置換基は、上記ピリジノール誘導体での定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。上記置換基のうち、アルキル基、特にメチル基、エチル基が好ましい。この場合、これらの置換基のピラゾール環への結合位は、特に制限されないが、例えば、4位、5位が好ましく、4位がより好ましい。また、ピラゾールやピラゾール置換体が塩の形態を有する場合には、ピラゾール環の2位の窒素原子が、炭素原子数1〜8個のアルキル基と、塩を形成(プラスに帯電する)ことが好ましい。この際、ピラゾール環の窒素原子は、メチル基、エチル基と塩を形成することが好ましい。これらのピラゾール誘導体のうち、ピラゾール、4−メチルピラゾールが好ましく、特にピラゾールが好ましい。
ピリジノール誘導体、イミダゾール誘導体及びピラゾール誘導体のいずれを、フタロシアニン化合物(A)と反応させてもよく、これらは、それぞれ、単独でもしくは2種以上の混合物でフタロシアニン化合物(A)と反応させてもよく、または各誘導体の1種以上を組合わせてフタロシアニン化合物(A)と反応させてもよい。好ましくは、ピリジノール誘導体および/またはイミダゾール誘導体を、フタロシアニン化合物(A)と反応させることが好ましい。
フタロシアニン化合物(A)と上記誘導体との反応混合比は、フタロシアニン化合物(A)中のハロゲン原子が効率よく上記誘導体と置換する割合であれば特に制限されず、化学量論的には、フタロシアニン化合物(A)中、1個のハロゲン原子に対して、1分子の誘導体であれば、フタロシアニン化合物(A)中のハロゲン原子の位置に上記誘導体由来の基が1個導入される。最終生産物であるフタロシアニン化合物の混合形態と考慮すると、上記誘導体は、前記フタロシアニン化合物(A)中に存在するハロゲン原子の数がn個の場合に、0.25×n〜1×n分子の割合で、フタロシアニン化合物(A)と反応させることが好ましく、より好ましくは、前記フタロシアニン化合物(A)中に存在するハロゲン原子の数がn個の場合に、0.5〜1.0分子、最も好ましくは0.8〜1.0分子である。この際、「上記誘導体は、前記フタロシアニン化合物(A)中に存在するハロゲン原子の数がn個の場合に、0.25×n〜1×n分子の割合で、フタロシアニン化合物(A)と反応させる」とは、フタロシアニン化合物(A)中に存在するハロゲン原子が0.25×n〜1×n個の上記誘導体と反応することを意味する。このような混合比であれば、フタロシアニン化合物(A)のハロゲン原子の位置に上記誘導体由来の基が様々な個数で導入され、一回の製造工程によって異なる最大吸収波長を示すフタロシアニン化合物が同時に混合物の形態で製造できる。
フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応は、無溶媒下であるいは有機溶媒中で行われてもよいが、好ましくは有機溶媒中で行なわれる。この際使用できる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、ベンゾニトリル、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトフェノン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、スルホラン、キノリン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(2−メトキシメトキシ)エタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、フェネトール、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。これらのうち、好ましくは、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(2−メトキシメトキシ)エタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、ジオキサン、アニソール、フェネトール、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびベンゾニトリルが使用でき、より好ましくは、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、ジオキサン、アニソール、メチルイソブチルケトン、ベンゾニトリルが使用でき、最も好ましくは、2−メトキシエタノール、アニソール、およびベンゾニトリルが使用される。
また、フタロシアニン化合物(A)と上記誘導体との反応は、塩基の存在下で行われることが好ましい。これにより、フタロシアニン化合物(A)中のハロゲン原子の位置に上記誘導体由来の基が効率よく導入でき、その結果、得られるフタロシアニン化合物の親水性溶媒及び水に対する溶解性を向上できるからである。
フタロシアニン化合物(A)と上記誘導体との反応を塩基の存在下で行なう場合に使用される塩基は、フタロシアニン化合物(A)中のハロゲン原子の位置に上記誘導体由来の基が効率よく導入できるものであれば特に制限されないが、例えば、フッ化カリウム(KF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化セシウム(CsF)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸セシウム(CsCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、塩化マグネシウム(MgCl)、炭酸マグネシウム(MgCO)、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジエチル−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−n−プロピルピペリジン、N,N−ジメチルピペリジン、1,8−Diazabicyclo[5.4.0]undec−7−ene、1,4−Diazabicyclo[2.2.2]octane、1,5−Diazabicyclo[4.3.0]non−5−ene、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム(benzyltrimethylammonium chloride)、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(benzyltrimethylammonium hydroxide)などが好ましく挙げられる。これらのうち、フッ化カリウム(KF)、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジンがより好ましく、フッ化カリウム(KF)、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、N−メチルピペリジンが特に好ましい。上記塩基は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上を混合物の形態で使用してもよい。後者の場合の塩基の組合わせとしては、フタロシアニン化合物(A)中のハロゲン原子の位置に上記誘導体由来の基が効率よく導入できるものであれば特に制限されない。具体的には、炭酸塩及びN−アルキルピペリジンとの組み合わせが好ましく、より好ましくは炭酸カルシウム及びN−メチルピペリジンとの組み合わせならびに炭酸カリウム及びN−エチルピペリジンとの組み合わせなどであり、炭酸カルシウム及びN−メチルピペリジンの組み合わせが特に好ましい。また、塩基を2種以上を混合物の形態で使用する場合には、各塩基を同一の溶媒に溶解/分散/懸濁(好ましくは溶解)してもあるいは異なる溶媒に溶解/分散/懸濁(好ましくは溶解)して、フタロシアニン化合物(A)と上記誘導体との反応に供してもよい。さらに、上記反応における塩基の使用量は、フタロシアニン化合物(A)と上記誘導体との反応を効率よく進行できる量であれば特に制限されないが、誘導体1モルに対して、好ましくは0.5〜5.0モル、より好ましくは1.0〜3.0モルである。このような量であれば、得られるフタロシアニン化合物の親水性/水溶性の向上効果が最も高くなる。なお、上記塩基の使用量は、2種以上の塩基を組合わせて使用する場合には、塩基の合計使用量を意味する。
したがって、本発明では、上記式(A)中、Z’1〜Z’16の少なくとも12個がフッ素原子または塩素原子、特にフッ素原子を表わすフタロシアニン化合物(A)を、上記誘導体と、前記フタロシアニン化合物(A)中に存在するハロゲン原子の数がn個の場合に、0.8×n〜1×n分子の割合で、反応させる、特にフッ化カリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、N−メチルピペリジンの存在下で反応させることが好ましい。
フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応条件は、これらの反応が十分進行できる条件であれば特に制限されない。好ましくは、フタロシアニン化合物(A)を、誘導体と、40〜240℃、より好ましくは60〜200℃の温度で、0.5〜60時間、より好ましくは1〜45時間、反応させることが好ましい。なお、上記反応は、常圧、加圧または減圧条件下のいずれであってもよいが、常圧で行なうことが好ましい。
本発明において、特に、フタロシアニン骨格のβ位に誘導体由来の基が導入されかつフタロシアニン骨格のα位にNHR置換基が導入された構造を有するフタロシアニン化合物を得ようとする場合には、フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応後に、フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応物をさらにアミン化合物と反応させてもよい。一般的に、フタロシアニン骨格のα位は、β位に比して、置換基を導入することが難しく、また、アミン化合物は、反応性が高いので、アミン化合物由来のNHR置換基は容易にフタロシアニン骨格に導入されやすい。このため、フタロシアニン化合物(A)と誘導体とを反応させて、当該誘導体由来の置換基を予めβ位に導入した後であっても、アミン化合物と反応させると、当該アミン化合物由来のNHR置換基はフタロシアニン骨格のα位に効率よく導入することができる。なお、フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応物と、アミン化合物との反応条件は、上記フタロシアニン化合物(A)の製造において記載したのと同様であるため、ここでは説明を省略する。
フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応後、さらに4級化反応を行なってもよい。この場合において、上記アミン化合物との反応及び4級化反応は、いずれか一方を行なってもあるいは双方の反応を行なってもよい。後者の場合における、アミン化合物との反応及び4級化反応の順番は特に限定されず、いずれの順番であってもよいが、アミン化合物との反応を行なった後、4級化反応を行なうことが好ましい。このような4級化反応によって、得られたフタロシアニン化合物の水溶性を向上することができる。上記効果は特にイミダゾール誘導体を使用する場合に達成される。上記4級化反応の機構は明らかではないが、例えば、イミダゾールを使用した場合の4級化反応の機構を以下に説明する。しかしながら、下記説明によって本発明が限定されるものではない。すなわち、フタロシアニン化合物(A)とイミダゾールを反応させた後、例えば、ヨウ化メチルを用いて4級化反応を行なうと、下記反応式に示されるように、イミダゾール環の3位の窒素原子がメチル基と結合して、塩の形態をとると考えられる。
フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応後、さらに4級化反応を行なう際には、当該4級化反応は、得られるフタロシアニン化合物の塩の構造によって適宜選択されるが、例えば、上記ヨウ化メチルに加えて、塩化メチル、塩化エチル、塩化n−プロピル、塩化n−ブチル、塩化n−ペンチル、塩化n−ヘキシル、臭化メチル、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化n−ブチル、臭化n−ペンチル、臭化n−ヘキシル、ヨウ化エチル、ヨウ化n−プロピル、ヨウ化n−ブチル、ヨウ化n−ペンチル、ヨウ化n−ヘキシル等の炭素数1〜8のハロゲン化アルキル、ジエチル硫酸、ジメチル硫酸、モノクロロ酢酸などを用いて行なわれる。これらのうち、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ジメチル硫酸が好ましく、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸がより好ましく、ヨウ化メチルが特に好ましい。この際、当該化合物の添加量は、特に制限されないが、フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応によって得られたフタロシアニン化合物中に存在する誘導体1モルに対して、好ましくは1.0〜2.0モル、より好ましくは1.1〜1.5モルである。このような量であれば、フタロシアニン化合物中に存在する誘導体が効率よく4級化される。また、上記4級化反応は、無溶媒下であるいは有機溶媒中で行われてもよいが、好ましくは有機溶媒中で行なわれる。この際使用できる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等のアルコール;アセトニトリルおよびベンゾニトリル等のニトリル;アセトンおよび2−ブタノン等の極性溶媒;ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトフェノン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、メタノール、エタノールであり、特に好ましくはメタノールである。溶媒を使用する際の有機溶媒の使用量は、フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応産物の濃度が、通常、2〜40(w/v)%、好ましくは10〜30(w/v)%となるような量である。なお、上記4級化反応に使用される溶媒は、フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応に使用される溶媒と同一であってもあるいは異なるものであってもよいが、前者の場合には、溶媒を変えずに、必要であれば溶媒量を適宜調節するだけで、そのまま反応を連続的に行なうことができるため、好ましい。
また、上記4級化反応条件は、このような4級化が十分進行できる条件であれば特に制限されないが、−10〜100℃、より好ましくは10〜60℃の温度で、0.5〜24時間、より好ましくは1〜6時間、4級化反応させることが好ましい。なお、上記4級化反応は、常圧、加圧または減圧条件下のいずれであってもよいが、常圧で行なうことが好ましい。
このように、上記フタロシアニン化合物(A)と誘導体との反応により、フタロシアニン化合物(2)が得られる。当該フタロシアニン化合物は、優れた親水性/水溶性を発揮するため、メタノールやエタノール等の低級アルコール若しくはこれらの水溶液などの親水性溶媒、さらには水に対して良好に溶解でき、また、様々な最大吸収波長を示すため、様々な色調を呈する。
[400〜700nmに最大吸収波長を有する色素]
400〜700nmに最大吸収波長を有する色素としては、特に限定されるものではないが、ルテニウム錯体、ぺリレン色素、キサンテン色素、メロシアニン色素、クマリン色素等が挙げられる。中でも、発光効率の観点からは400〜700nmに最大吸収波長を有する色素としてルテニウム錯体を用いることが好ましい。
ルテニウム錯体としては、特に限定されるものではないが、例えば、米国特許第4927721号、特表平09−507334号、特表平10−504521号、特表2002−512729号、特公2997773号明細書等に記載されたような公知のルテニウム錯体色素が用いられる。例えば、シス−L−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)錯体(ここで、Lは、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、CN、SCNまたはNCSである)、シス−L−ビス(2,2’−ビピリジル−4−カルボキシレート−4’−カルボン酸)ルテニウム(II)−ビステトラブチルアンモニウム錯体、(2,2’:6’,2”−ターピリジン−4,4’,4”−トリカルボキシレート)ルテニウム(II)トリス(テトラブチルアンモニウム)トリス(イソチオシアネート)、シス−ジ(イソチオシアネート)−(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)(4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジル)−ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアネート)−(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)(4,4’−ジヘキシル−2,2’−ビピリジル)−ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアネート)−(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)(4−メチル−4’−ヘキサデシル−2,2’−ビピリジル)−ルテニウム(II)、シス−ジ(イソチオシアネート)−(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)(4,4’−ノニル−2,2’−ビピリジル)−ルテニウム(II)などが挙げられる。
中でも、光電変換効率の観点からは、下記式:
で表されるシス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)ルテニウム(II)ビステトラブチルアンモニウム(N−719とも称される)、下記式:
で表されるシス−ビス(イソチオシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)ルテニウム(II)(N3とも称される)、下記式:
で表されるトリス(イソチオシアナト)−ルテニウム(II)−2,2’,6’,2”−ターピリジン−4,4’,4”−トリカルボン酸トリステトラブチルアンモニウム塩(ブラックダイ(black dye)とも称される)が好ましい。
[色素増感型光電変換素子]
図1は、色素増感型光電変換素子の一実施形態を示す断面模式図である。透明基板1上に導電性層2が形成され、導電性支持体3を構成する。導電性支持体上には、色素が吸着した半導体層4が形成される。そして、さらに、電解質を含有する電荷移動層5、対向電極6が積層されてなる。そして、構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために電池の側面を封止材7でシールしている。
入射した光により色素が励起され、該励起色素はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素から半導体微粒子の伝導帯に渡され、さらに拡散によって導電性支持体に到達する。この時色素分子は酸化体となっている。色素増感型光電変換素子においては導電性支持体上の電子が外部回路で仕事をしながら対向電極および電荷移動層を経て色素酸化体に戻り、色素が再生する。
導電性支持体は、金属のように支持体そのものに導電性があるものか、または表面に導電剤を含む導電性層を有するガラスもしくはプラスチック等の基板を使用することができる。好ましい導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸化物(ITO(インジウム−スズ複合酸化物)、FTO(フッ素をドープした酸化スズ)等)等が挙げられる。
導電性層は、蒸着法やスパッタリング法等の公知の方法で、基板表面に薄膜を形成することにより得られる。中でも、導電性支持体としては基板に導電性層が塗布された形態を用いることが好ましい。導電性層の厚さは、0.02〜10μm程度であることが好ましい。
基板としては、特に限定されるものではないが、透明性に優れたガラスやプラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムの素材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系フィルム;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のポリハロゲン化ビニル系フィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム;トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系フィルム;(メタ)アクリレート系フィルム;ポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)(ETEF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)(FEP)等のフッ素樹脂系フィルム等が挙げられる。
導電性支持体側から光を照射する場合には、導電性支持体は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましい。
実質的に透明な透明導電性支持体としては、ガラス又はプラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物からなる透明導電層を塗布又は蒸着等により形成したものが好適である。また、透明重合体フィルムに導電層を設けたものを用いてもよい。透明重合体フィルムの材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ等が好適である。
半導体層は、通常の色素増感型太陽電池に用いられる公知の半導体電極がいずれも採用でき、多孔性の半導体層を形成すると共に半導体の孔に色素を吸着させることができる。
半導体層に用いられる半導体としては、Ti、V、Fe、Zn、Sr、Y、Zr、Nb、In、Sn、La、Ce、Hf、Ta、またはWの酸化物が好ましいものとして挙げられ、特に、TiO、Fe、ZnO、Nb、WOが好ましく、TiOが最も好ましい。また、金属酸化物に限られず、SiやGe等の単体半導体、III−V系化合物半導体、酸化物以外の金属カルコゲナイド(金属の硫化物、セレン化物、テルル化物等)、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等のペロブスカイト構造を有する化合物等も利用可能である。半導体は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
用いられる半導体は、単結晶でも、多結晶でもよい。変換効率としては単結晶が好ましいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の点では多結晶が好ましく、特にナノメートルからマイクロメートルサイズの微粒子半導体が好ましい。半導体微粒子の粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子として5〜200nmであることが好ましく、特に8〜100nmであることが好ましい。また、分散物中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径としては0.01〜100μmであることが好ましい。
半導体層の作成方法も特に限定されないが、金属酸化物系半導体電極の場合は、多孔質化のために、半導体微粒子の分散液を導電性支持体に、スピンコート法等で塗布するか噴霧する等して、その後熱処理(焼成)する方法を採用することが好ましい。色素増感型太陽電池の量産化、半導体微粒子液の物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法としては塗布法及び印刷法が代表的である。
半導体微粒子の分散液は、ゾル−ゲル法や、金属酸化物を機械的に微粒子化して分散媒に分散させる等の公知の方法が採用可能である。分散媒としては、水又は各種の有機溶媒が使用可能であり、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。分散の際、必要に応じて重合体、界面活性剤、酸、キレート剤等を分散助剤として用いてもよい。
塗布方法としては、アプリケーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションとメータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58−4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米国特許第2681294号明細書、米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書等に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ましい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセット及びグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例えば、0.001〜50Pa・s)ではエクストルージョン法、キャスト法、スクリーン印刷法等が好ましい。また低粘度液(例えば、0.01Pa・s以下)ではスライドホッパー法、ワイヤーバー法又はスピン法が好ましく、均一な膜にすることが可能である。なお、ある程度の塗布量があれば低粘度液の場合でもエクストルージョン法による塗布は可能である。このように塗布液の粘度、塗布量、支持体、塗布速度等に応じて適宜湿式製膜方法を選択すればよい。
半導体層は単層に限らず、粒径の違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が異なる半導体微粒子(又は異なるバインダー、添加剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもできる。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効である。多層塗布にはエクストルージョン法又はスライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場合は同時に多層を塗布してもよく、数回から十数回順次重ね塗りしてもよい。更に順次重ね塗りする場合にはスクリーン印刷法も好ましく使用できる。
また、400〜700nmに最大吸収波長を有する色素(以下、単に色素Iとも称する)と、フタロシアニン化合物(1)および/またはフタロシアニン化合物(2)(以下、単に色素IIとも称する)とを別々の半導体層に吸着させて半導体層を積層構造としてもよい。積層構造とする場合、色素Iを含む半導体層を導電性支持体側に設置することが好ましい。かような形態であると、導電性支持体が透明である場合、支持体から進入した光が、まず色素Iを励起し、その後、色素Iで吸収されなかった光によって色素IIが励起されることから、幅広い領域の光を吸収することができ、素子の光電変換効率が向上するため好ましい。
一般に、半導体層の厚みが増大するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、半導体層には好ましい厚さが存在するが、通常0.1〜100μmであり、1〜30μmであることが好ましく、2〜25μmであることがより好ましい。
半導体微粒子は導電性支持体に塗布した後に粒子同士を電子的にコンタクトさせるため、および塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために加熱処理することが好ましい。好ましい加熱処理温度の範囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは100℃以上600℃以下である。また加熱処理時間は10分〜10時間程度である。ポリマーフィルムなど融点や軟化点の低い支持体を用いる場合は、高温処理は支持体の劣化を招くため、好ましくない。また、コストの観点からもできる限り低温であることが好ましい。低温化は、5nm以下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱処理等により可能である。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。したがって、半導体層表面を波型の凹凸状としてもよい。
半導体層を形成した後、色素を吸着させる。色素を吸着させるには、色素を有機溶媒に溶解させて色素溶液を作製し、半導体層を浸漬するか、半導体層に噴霧・塗布すればよい。
色素を溶解させる溶媒は、色素の溶解性に応じて適宜選択でき、メタノール、エタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等のニトリル類;ニトロメタン;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド等のアミド類;N−メチルピロリドン;1,3−ジメチルイミダゾリジノン;3−メチルオキサゾリジノン;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の炭酸エステル類;アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等の炭化水素やこれらの混合溶媒等が好適である。中でも、色素I、特にルテニウム錯体、および色素IIの溶媒溶解性の観点から、水、炭素数1〜4の低級アルコール、およびこれらの混合物等の親水性溶媒を用いることが好ましい。炭素数1〜4の低級アルコールとしては、メタノール、エタノールまたは2−エトキシエタノール等が挙げられる。
色素溶液としては、用いる色素を全て溶解して単一の色素溶液としてもよいし、それぞれ単独に色素が溶解した色素溶液を準備し、各色素溶液を順々に半導体層に吸着させてもよい。また、三種以上の色素を用いる場合には、二種の色素を混合した色素溶液を半導体層に吸着させた後、一種の色素を吸着させるなどという組み合わせを用いることができる。色素溶液を作製する際の色素を溶解させる順序は特に問わない。
本発明においては、用いられる色素として、400〜700nmに最大吸収波長を有する色素、フタロシアニン化合物(1)および/またはフタロシアニン化合物(2)が含まれる。色素Iおよび色素IIを単一の色素溶液として用いる場合、両者の質量混合比は、吸着性および光電変換効率を考慮すると、色素I:色素II=1:0.05〜10であることが好ましく、1:0.5〜3であることがより好ましい。また、色素Iを溶解した色素溶液I、および色素IIを溶解した色素溶液IIを順々に半導体層に吸着させる場合にも、色素溶液I中に含まれる色素Iと、色素II中に含まれる色素IIとの質量比が、色素I:色素II=1:0.05〜10であることが好ましく、1:0.5〜3であることがより好ましい。なお、一つの半導体層に色素Iおよび色素IIを吸着させる場合には、作業効率性の点からは、色素Iおよび色素IIを溶媒に混合して単一の色素溶液を作製することが好ましい。
フタロシアニン化合物(2)を光増感色素として用いた場合、フタロシアニン化合物(2)は、半導体層に直接吸着していることが好ましい。この場合、色素Iも半導体層に直接吸着していることが好ましい。かような形態であると、電子の移動経路が短く、光電変換素子の光電変換効率が向上するため好ましい。フタロシアニン化合物(2)が半導体層に直接吸着している光電変換素子は、フタロシアニン化合物(2)を含む色素溶液を用いて半導体層にフタロシアニン化合物(2)を吸着させた後、色素Iを含む色素溶液を用いて半導体層に色素Iを吸着させる方法、またはフタロシアニン化合物(2)および色素Iを含む色素溶液を用いて、フタロシアニン化合物(2)および色素Iを半導体層に吸着させる方法によって、容易に製造することができる。
色素を半導体層に吸着させる方法としては、浸漬や噴霧・塗布などの方法などが挙げられる。浸漬方法としては、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が好適である。なお浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7−249790号公報に記載されているように加熱還流して行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等が好適であり、印刷方法としては、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印刷等が好適である。
色素溶液の粘度についても、半導体微粒子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば、0.001〜50Pa・s)ではエクストルージョン法、各種印刷法等が好適であり、また低粘度液(例えば、0.1Pa・s以下)ではスライドホッパー法、ワイヤーバー法又はスピン法が好適であり、いずれも均一な膜にすることが可能である。このように色素の塗布液の粘度、塗布量、導電性支持体、塗布速度等に応じて、適宜色素の吸着方法を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間は、量産化を考えた場合なるべく短い方がよい。
未吸着の色素の存在は素子性能の外乱になるため、吸着後速やかに洗浄によって除去することが好ましい。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのがよい。また、吸着色素量を増大させるため、加熱処理を吸着前に行うことが好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さず40〜80℃の間で素早く色素を吸着させることも好ましい。
色素の全使用量としては、導電性支持体の単位表面積(1m)当たり0.01〜100mmolとすることが好ましい。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜1mmolとすることが好ましい。これにより、半導体における増感効果が充分に得られる。
会合など色素同士の相互作用を低減する目的で無色の化合物を共吸着させてもよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばコール酸)等が挙げられる。
余分な色素の除去を促進する目的で、色素を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし有機溶媒に溶解して用いてもよい。
上記により色素が吸着した半導体層を得ることができる。図1のように、各色素を同一の半導体層に吸着させる場合、色素Iと、色素IIとの含有質量比は、1:0.05〜10であることが好ましく、1:0.5〜3であることがより好ましい。また、各色素を別々の半導体層に吸着させて、これらを積層させる場合、各半導体層に吸着されている色素Iおよび色素IIとの含有質量比は、1:0.05〜10であることが好ましく、1:0.5〜3であることがより好ましい。
電荷移動層(酸化還元対を有する電解質)としては、通常、電解液を用いることができるが、電解液をポリマーマトリックスに含浸させたいわゆるゲル電解質や、酸化還元対を有する溶融塩も使用可能である。さらに固体電荷移動層であってもよい。電解液は、電解質、溶媒および必要に応じて添加される添加剤とから構成される。電解液は、所定位置にそのまま注入して用いる以外に、貫通孔を有する多孔質支持体に充填して使用することもできる。
電解液の電解質は、酸化体と還元体とを組み合わせたもの(酸化還元対)であり、ヨウ素(I)と、LiI、NaI、KI、CaIなどの金属ヨウ化物や第4級アンモニウム化合物ヨウ素塩等のヨウ化物との組合せや、臭素(Br)と、LiBr、NaBr、KBr、CaBrなどの金属臭化物や第4級アンモニウム化合物臭素塩等の臭化物との組合せ等が挙げられる。
電解液の溶媒は、電解質を溶解し得ると共に、低粘度で、イオン伝導性を有するものであればよく、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などが使用可能である。中でもカーボネート化合物およびニトリル化合物が好ましい。
対向電極は、太陽電池の正極として働くものである。対向電極は通常前述の導電性支持体と同様に導電性層を有する支持体を用いることもできるが、強度や密封性が十分に保たれるような構成では支持体は必ずしも必要でない。具体的に対向電極に用いる導電性の材料としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。中でも、エネルギー交換効率が高まるため、ガラスやプラスチックなどの基板上にPt微粒子を蒸着法やスパッタリング法等で層状化したものを用いるのが一般的である。対向電極の厚さは、特に制限はないが、1〜20μm程度である。
封止材は、電池材料のカバーとして封止セル中の電荷移動層を構成する物質が漏洩することを防止するため、特に電荷移動層のヨウ素や水等の溶剤の流出を防止するために用いられる封止材や、導電性支持体等の基材の周縁部を補強するための封止材がある。封止材としては、ラジカル硬化型樹脂、イオン硬化型樹脂、熱硬化型樹脂等の硬化型樹脂を用いることができる。
光増感色素に光が到達するためには、導電性支持体と対向電極の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本実施形態においては、導電性支持体が透明であって太陽光を支持体側から入射させるのが好ましい。この場合対向電極は光を反射する性質を有することがさらに好ましい。
本実施形態では、図1の構造を採るが、各構成要素以外に、電極として作用する導電性支持体及び対向電極の一方又は両方に、保護層、反射防止層等の機能性層等を設けてもよい。このような機能性層を多層に形成する場合、同時多層塗布法や逐次塗布法を利用できるが、生産性の観点からは同時多層塗布法が好ましい。同時多層塗布法では、生産性及び塗膜の均一性の観点からスライドホッパー法やエクストルージョン法が適している。これらの機能性層の形成には、その材質に応じて蒸着法や貼り付け法等を用いることができる。また、対向電極と導電性支持体の短絡を防止するため、予め導電性支持体と半導体層の間に緻密な半導体の薄膜層を下塗り層として塗設しておくこともできる。下塗り層の材料は好ましくはTiO、SnO、Fe、WO、ZnO及び/又はNbであり、更に好ましくはTiOである。下塗り層はElectrochimi.Acta,40(1995)p.643−652に記載されているスプレーパイロリシス法により塗設することができる。下塗り層の好ましい膜厚は5〜1000nmである。より好ましくは、10〜500nmである。
本発明の光電変換素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、従来公知の種々の構成を採りうる。
例えば、色素Iおよび色素IIを一の光電変換素子中で用いずに、セル構造を変形したタンデム型、またはハイブリッド型の光電変換素子としてもよい。
具体的には、他の実施形態として図2の光電変換素子が挙げられる。図2の光電変換素子では、導電性支持体3上に色素Iが吸着された半導体層4aが形成され、さらに電荷移動層5および白金メッシュである対向電極6が積層されて一つのセルが形成されている。さらに、対向電極6上に他の電荷移動層5、色素IIが吸着された半導体層4b、および他の導電性支持体3が形成され、もう一つのセルが形成されている。本実施形態は、2つのセルが並列構造で接続されて光電変換素子を構成している。
光増感色素に光が到達するためには、導電性支持体と対向電極の少なくとも一方は実質的に透明でなければならない。本実施形態においては、少なくとも色素Iが吸着された半導体層4aを含むセル側の導電性支持体が透明であることが好ましい。かような構成とすることで、支持体から進入した光が、まず色素Iを励起し、その後、色素Iで吸収されなかった光によって色素IIが励起されることから、幅広い領域の光を吸収することができ、素子の光電変換効率が向上するため好ましい。
上記実施形態において、対向電極6は、導電性を有するとともに、光を透過する構造であることが好ましい。したがって、対向電極としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)を材料として、メッシュ状に成型されたものを用いることが好ましい。この際、支持体上に上記メッシュが形成されていてもよい。
図2の実施形態において、各セルを構成する電荷移動層は同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
また、他の実施形態として色素Iを吸着させた半導体層を含むセルと色素IIを吸着させた半導体層を含むセルとを直列に接続してもよい。
以上、代表的な実施形態を用いて色素増感型光電変換素子について説明したが、本発明の色素増感型光電変換素子は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の形態のセル構造を採りうる。
少なくとも1の上記色素増感型光電変換素子を用いた色素増感型太陽電池も本願に包含される。色素増感型太陽電池のモジュールは従来公知の構造を用いることができる。
本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
まず、透明基材としてガラス基板上に、透明導電膜としてITOからなる透明導電膜を形成した。その上にドクターブレードを用いて酸化チタンペーストを塗布し、予備乾燥した後、循環式熱風乾燥機を用いて450℃で30分間焼成し、膜厚約10μmの酸化チタン微粒子多孔膜を形成した。
次いで、ルテニウム色素(N3色素:Solaronix社製、商品名:Ruthenium535、λmax=535nm)を色素濃度0.35ミリモル濃度になるように、無水エタノールに溶解し吸着用色素溶液を調製し、上記多孔膜層を一晩浸漬することで、色素を酸化チタン多孔膜表面に担持させた。
その後、得られた多孔膜を無水エタノールで数回洗浄し、約60℃で約20分間乾燥させた。
次に、色素として、特開2008−106258号公報の実施例1に記載のヘキサデカフルオロ亜鉛フタロシアニンと4−ピリジノールの反応産物(λmax=810nm)を無水エタノールに溶解して、色素濃度2wt%の吸着用色素溶液を調製し、上記ルテニウム担持酸化チタン多孔膜を約3時間浸漬することで、フタロシアニン色素を重ねて酸化チタン多孔膜に担持させた。
その後、得られた多孔膜を無水エタノールで数回洗浄し、約60℃で約20分間乾燥させた。
上記の酸化チタン多孔膜はルテニウム色素とフタロシアニン色素の両方の色に着色されたことから両色素が担持したことを確認した。
次に、酸化還元性電解液を調製した。すなわち、ヨウ化リチウムが濃度0.5モル/リットルになるように、かつヨウ素が濃度0.05モル/リットルになるように、アセトニトリルとエチレンカーボネートの混合溶媒(体積比=1:4)に、ヨウ化リチウムとヨウ素を溶解した。
その後、両色素を担持させた酸化チタン多孔膜を具備したガラス基盤の酸化チタン多孔膜側と、白金膜を具備した対極としてのITOガラスの白金膜側とが対向するように設置し、その間に調製した上記の酸化還元性電解液を注入し、周囲をエポキシ系樹脂の封止剤で封止して、太陽電池を完成した。得られた太陽電池の全体にAM1.5の擬似太陽光の光を照射して、エネルギー変換効率を測定した。
(耐光性の測定)
また、得られた太陽電池をキセノン耐光性試験機(ATLAS社製サンテストCPS+)を用い約13万ルクスの光を250時間照射後に再度、エネルギー変換効率を測定し、変換効率の残存率が90%以上の場合を○、それ以下の場合を×として評価した。その結果を、下記表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、ヘキサデカフルオロ亜鉛フタロシアニンと4−ピリジノールの反応産物にかえて、特開2005−220060号公報の実施例5に記載のVOPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{NHCH(C10)COONa}(λmax=871.5nm)を用いた以外は実施例1と全く同様に操作し、エネルギー変換効率を測定した。その結果を、下記表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、ヘキサデカフルオロ亜鉛フタロシアニンと4−ピリジノールの反応産物にかえて、特開2005−220060号公報の実施例6に記載のVOPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{NHCH(C10)COOH}(λmax=893.0nm)を用いた以外は実施例1と全く同様に操作し、エネルギー変換効率を測定した。その結果を、下記表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、ヘキサデカフルオロ亜鉛フタロシアニンと4−ピリジノールの反応産物にかえて、特開2005−220060号公報の実施例7に記載のCuPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{NHCH(C10)COONa}(λmax=814.0nm)を用いた以外は実施例1と全く同様に操作し、エネルギー変換効率を測定した。その結果を、下記表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、ヘキサデカフルオロ亜鉛フタロシアニンと4−ピリジノールの反応産物にかえて、特開2005−220060号公報の実施例8に記載のCuPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{NHCH(C10)COOH}(λmax=823.5nm)を用いた以外は実施例1と全く同様に操作し、エネルギー変換効率を測定した。その結果を、下記表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、膜厚約10μmの酸化チタン微粒子多孔膜をそれぞれ2枚形成し、そのうちの片方を、色素濃度0.35ミリモル濃度になるように調整したルテニウム色素(N3色素:Solaronix社製、商品名:Ruthenium535、λmax=535nm)の無水エタノールに一晩浸漬することで、色素を酸化チタン多孔膜表面に担持させた。
また、もう一枚は特開2005−220060号公報の実施例8に記載のCuPc(2,5−ClPhO){2,6−(CHPhO}{NHCH(C10)COOH}(λmax=823.5nm)の2wt%の吸着用色素溶液を用いて一晩浸漬した以外は実施例1と全く同様に操作し、それぞれの色素が担持した酸化チタン多孔膜を作製した。
その後、両色素をそれぞれ担持させた酸化チタン多孔膜を具備したガラス基盤の酸化チタン多孔膜側と、白金膜を両面に具備した対極としてのITOガラスを図2に示すようにタンデム型セルになるようにセルの中央に設置し、その間に調製した上記の酸化還元性電解液を注入し、周囲をエポキシ系樹脂の封止剤で封止して、太陽電池を完成した。
その他は、実施例1と全く同様にしてルテニウム錯体色素側から光をあててエネルギー変換効率を測定した。その結果を、下記表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、ヘキサデカフルオロ亜鉛フタロシアニンと4−ピリジノールの反応産物による担持を行わなかった以外は実施例1と全く同様に操作し、エネルギー変換効率を測定した。その結果を、下記表1に示す。
比較例との差異から明らかな通り、近赤外領域に吸収を持つフタロシアニン色素を併用することにより、ルテニウム錯体色素単独の場合よりも、光を有効利用でき光電変換効率が約20%程度向上する効果が見られた。また、一般的に耐光性の弱いメチン色素などと異なり耐光性にも優れており実用性が高いことも判明した。
1 透明基板、
2 導電性層、
3 導電性支持体、
4、4a、4b 色素が吸着した半導体層、
5 電荷移動層、
6 対向電極、
7 封止材。

Claims (5)

  1. 記式(1):
    (式中、Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14、及びZ15は、それぞれ独立して、SR1、ORまたはハロゲン原子を表わし;Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13、及びZ16は、それぞれ独立して、SR1、NHR、ORまたはハロゲン原子を表わし、この際、少なくとも1個はNHRを表わしかつ少なくとも4個はORを表わし;Z1〜Z16のうち少なくとも2個は、それぞれ独立して、カルボキシル基若しくはその塩またはスルホン酸基若しくはその塩を有する基であり;R、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基または置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20個のアルキル基を表わし;複数のR、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく;Mは、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。)
    で示されるカルボキシル基および/またはスルホン酸基を有するフタロシアニン化合物(1)および下記式(A):
    式中、Z’1〜Z’16は、それぞれ独立して、水素原子、SR、NHR、ORまたはハロゲン原子を表わし、この際、Z’1〜Z’16の少なくとも2個はハロゲン原子を表わし;R、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよい炭素原子数1〜20個のアルキル基を表わし;複数のR、RおよびRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよく;M’は、無金属、金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす、で示されるフタロシアニン化合物(A)を、置換基を有してもよいピリジノール、置換基を有してもよいイミダゾールおよび置換基を有してもよいピラゾールからなる群より選択される少なくとも一種と、反応させることによって製造されるフタロシアニン化合物(2)の少なくとも1種と、400〜700nmに最大吸収波長を有する色素と、を光増感色素として含有する色素増感型光電変換素子。
  2. 前記フタロシアニン化合物(1)およびフタロシアニン化合物(2)が、750〜1100nmに最大吸収波長を有する、請求項1に記載の色素増感型光電変換素子。
  3. 前記400〜700nmに最大吸収波長を有する色素が、ルテニウム錯体である、請求項1または2に記載の色素増感型光電変換素子。
  4. 少なくともフタロシアニン化合物(2)を含有し、半導体層に前記フタロシアニン化合物(2)が直接吸着している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感型光電変換素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の色素増感型光電変換素子を用いた太陽電池。
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