JP5448241B2 - ボールエンドミル及びそれを用いた切削加工方法 - Google Patents

ボールエンドミル及びそれを用いた切削加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、主として工作機械等で使用されるボールエンドミルの形状に関するものであり、特に、溶着しやすくかつ材料硬度の高い被削性の悪い金型など、ボールエンドミルの先端を使用して加工するようなフラット部を含んだ3次元曲面加工等の切削加工に適した新規かつ高性能のボールエンドミルに関するものである。
また本発明は、前記ボールエンドミルを用いた3次元曲面加工等に好適な高効率の切削加工方法に関する。
ボールエンドミルは、金型などの3次元曲面加工用工具として広く用いられているものであり、超硬合金を基材としたボールエンドミルが普及している。一方、削られる方の被削材に関しては、金型としての性能改良が進んでいる。例えば、プラスチック金型材料においては、射出成型の際に、ショット数が多くなってくると、金型に割れが発生し、金型に修正が必要になる。その金型割れの発生までの時間を延ばすための改良がなされており、今までの金型としての強度は保ちつつ、金属自体に靭性を持たせる傾向にある。つまり、硬度はある程度硬くかつ、溶着をおこし易いねばさを兼ね備えた金属材料が一般的になってきている。
一般的に、ボールエンドミルによる切削加工においては、工具本体のボール刃先端部(以後、チゼル近傍ともいう。)における切削速度よりもボール刃の外周側(回転軸より45°〜90°の範囲をいう。)の切削速度は極めて大であるため、ボール刃の外周側における負荷は大きく、チッピングや摩耗が著しく進行し、大幅に工具寿命を短くしてしまう。特に先述したような近年開発されたプラスチック金型材料の切削においては、硬度が高く、摩耗進行が早くなる問題と、生成された切屑が刃先からうまく排出されず切屑詰まりを起こしやすくなるといった問題が発生する。
特許文献1には、非鉄金属材料を切削するために切屑排出性を向上させたボールエンドミルが開示されている。従来、ボールエンドミルの刃底丸みの半径は、刃径に対して0.15〜0.30倍に形成されていた。しかしながら、本発明者が検討したところ、従来構成のボールエンドミルでは、本発明の対象とするプラスチック金型材料等の高速切削等において、前記問題が顕在化していることがわかった。
一方、近年、等高線加工を行うための切削工具として、超硬合金を基材としたボールエンドミルが種々提案され、実用化されている。しかしながら、従来実用化されているものは、ある程度の工具寿命の確保ができるものの、プラスチック金型材料などの難加工性の金型材料の加工に際して切屑排出性が悪く、問題になっていた。
即ち、近年の金型加工では、高能率かつ安定した高精度切削が要求されるため、荒加工から仕上げ加工までを等高線加工で彫り込む加工方法が実用性の点から採用されている。そうなると、従来主として切削性や切屑排出性について検討され、改良がなされてきたボール刃の外周側における切削だけでなく、ボールエンドミルのチゼル近傍でも切削を行うことが必要になる。しかし、従来のものでは、特にチゼル近傍における切り屑排出性と切削性が極めて不十分であり、この問題の解決が望まれている。
特開平6−218612号公報
従って、本発明の目的は、高硬度でかつ高靭性なプラスチック金型材料等、高硬度でかつ高靭性な難削性の金属材料の切削加工に適した新規かつ高性能なボールエンドミル及びそれを用いた高効率の切削加工方法を提供することにある。
本発明のボールエンドミルは、略半球状のボール刃と外周刃とから構成される二枚の切れ刃と、前記二枚の切れ刃をつなぐチゼル刃と、前記切れ刃に沿って切屑を逃がすためのギャッシュ面と、前記切れ刃に沿うすくい面及び逃げ面とを有し、当該ボールエンドミルの工具先端から刃径Dの10%までの範囲であるボール刃先端部での、前記ボール刃のすくい面と前記ギャッシュ面との境界部分であるギャッシュ底部に直角な断面における前記ボール刃のすくい面から前記ボール刃のすくい面と前記逃げ面のうちの二番逃げ面との交差部に沿って引いた接線と当該ボールエンドミルの回転軸とのなす角度であるチゼル端部すくい角が−45〜−15°であり、前記ボール刃先端部での、前記ギャッシュ底部に直角な断面における前記ボール刃のすくい面と前記ギャッシュ面との間の接続部の曲率半径であるすくい面曲率半径が前記刃径Dの3%以下であり、及び前記交差部と前記ギャッシュ面との距離であるギャッシュ深さが前記刃径Dの0.5〜1%の範囲にあることを特徴とするものである。ここで、ボール刃先端部はチゼル近傍ともいう。特に限定しない限り、ボール刃先端部は当該ボールエンドミルの工具先端から刃径Dの10%までの範囲をいう。
本発明のボールエンドミルの構成を採用したことにより、特にボール刃先端部での切屑排出性が改善され、長寿命のボールエンドミルが得られる。
本発明のボールエンドミルにおいて、上記すくい面曲率半径とは、ボールエンドミルのボール刃すくい面とギャッシュ面境界部のギャッシュ溝に直角な断面での、すくい面とギャッシュ面の間の接続部の曲率半径をいう。
上記ギャッシュ深さとは、ギャッシュ溝直角断面における二番逃げ面とすくい面との交差部とギャッシュ面との距離をいう。
また、上記チゼル端部すくい角とは、ギャッシュ溝直角断面でのすくい面と回転軸とのなす角度をいう。
本発明のボールエンドミルを用いた切削加工方法は、略半球状のボール刃と外周刃とから構成される二枚の切れ刃と、前記二枚の切れ刃をつなぐチゼル刃と、前記切れ刃に沿って切屑を逃がすためのギャッシュ面と、前記切れ刃に沿うすくい面及び逃げ面とを有し、
当該ボールエンドミルの工具先端から刃径Dの10%までの範囲であるボール刃先端部での、前記ボール刃のすくい面と前記ギャッシュ面との境界部分であるギャッシュ底部に直角な断面における前記ボール刃のすくい面から前記ボール刃のすくい面と前記逃げ面のうちの二番逃げ面との交差部に沿って引いた接線と当該ボールエンドミルの回転軸とのなす角度であるチゼル端部すくい角が−45〜−15°であり、前記ボール刃先端部での、前記ギャッシュ底部に直角な断面における前記ボール刃のすくい面と前記ギャッシュ面との間の接続部の曲率半径であるすくい面曲率半径が前記刃径Dの3%以下であり、及び前記交差部と前記ギャッシュ面との距離であるギャッシュ深さが前記刃径Dの0.5〜1%の範囲にあるボールエンドミルを用いた切削加工方法であって、被削材を前記ボールエンドミルにより切削加工するにあたり、前記ボールエンドミルの刃先端部において切り屑排出性及び切削性を具備しつつ切削加工を行うことを特徴とする。
本発明の切削加工方法によれば、高効率かつ安定に高精度加工ができるとともにボール刃先端部での最大逃げ面磨耗幅を従来に比べて顕著に抑制することができる。
(1)本発明のボールエンドミルによれば、プラスチック金型材料等の難削性金属材料の高速切削時、高切り込み切削時、または高速切削時及び高切り込み切削時において、チゼル端部すくい角、上記のすくい面の曲率半径及びギャッシュ深さというボールエンドミルにおける3つの主要な構成要件を最適範囲に特定したことにより、ボール刃先端部に発生する切屑がチップポケットへ順次収容され、さらに収容後の切屑が円滑に排出されるため、切屑排出性が著しく向上するとともに、当該ボールエンドミルの摩耗の進行を抑制することができる。特にボール刃先端部の熱摩耗の進行を抑えられ、工具寿命を著しく向上することができる。
(2)本発明の切削加工方法によれば、高効率かつ高精度加工を安定に行うことができるとともに、使用したボールエンドミルが長寿命になり、トータルの切削加工コストを低減することができる。
本発明の一実施例であるボールエンドミルの概略構成を示す正面図である。 図1の左側面図であり、回転方向に90度回転させた場合の構成を説明する図である。 図2において、二枚の切れ刃2の最外周部10、11をむすんだ直線12に垂直であり、かつ回転軸Oに垂直な矢印Aの方向から見た場合の構成を説明する図である。 図3において、直線B−Bで示す位置での断面を矢印Cの方向から見た断面図である。 図4において、領域Eで示したボール刃先端部におけるギャッシュ底部を拡大して示した概略構成図である。 すくい面曲率半径が過大である比較例1の説明図である。 ギャッシュ深さを変化させた比較例の説明図であり、(a)はギャッシュ深さが過小である比較例2を表す図であり、(b)はギャッシュ深さが過大である比較例3を表す図である。 チゼル端部すくい角を変化させた比較例の説明図であり、(a)はチゼル端部すくい角が正側に過大である比較例4を表す図であり、(b)はチゼル端部すくい角が負側により大きな角度である比較例5を表す図である。
<ボールエンドミル>
特に限定されないが、本発明のボールエンドミルの基材は超硬合金製とするのが好ましい。またCBN製のボールエンドミルとした場合にも本発明の有利な効果を奏することができる。さらにその他の公知の基材製としてもよい。
特に限定されないが、本発明のボールエンドミルに被覆する硬質皮膜として、AlCrSiN系、CrSiN系、TiSiN系、TiBON系、TiC系、TiN系、TiCN系、TiAlN系及びAl系皮膜のうちの1種または2種以上から構成される単層皮膜若しくは積層皮膜が例示される。
本発明のボールエンドミルは略半球状のボール刃を有する。図2に例示するように、略半球状とは、半径方向に突出した最外周部10、11等の部分を含むことが許容されるものをいう。即ち、全体としてはボールエンドミルの軸方向にボール刃3が突出し、もって本発明に係る略半球状のボール刃が構成される。
本発明のボールエンドミルにおいて、チゼル端部すくい角(図5の19等)は−45〜−15°であり、−40〜−15°とするのが好ましい。チゼル端部すくい角が−45°より負側により大きな角度の場合、交差部(図5の16等)直下において切屑がスムーズに流れるための空間が確保できずに切屑排出性が低下し、欠損や損傷を起こす。逆にチゼル端部すくい角が−15°より正側に過大の場合、刃先が鋭角に近づくために切れ味はよくなるが、充分な刃先剛性が得られなくなり、容易に刃先の損傷を招く。したがって、本発明の目的を達成するために最適なチゼル端部すくい角の範囲は−45〜−15°である。このように構成することで、例えばプラスチック金型材料などを底面切削する際に、従来切屑詰まりを起こしやすかったチゼル近傍の切屑がギャッシュ面側へスムーズに流れるために、安定した加工が可能になり、高速切削や高送り加工時に切屑詰まりを起こすことなく加工することができる。
本発明のボールエンドミルにおいて、すくい面曲率半径(図5の18等)はエンドミル刃径Dの3%以下であり、0.8〜3%とするのが好ましい。すくい面曲率半径は、刃径Dの3%以下で形成される。ボール刃先端部でのすくい面曲率半径が3%を超えると、チゼル直下での切屑排出のための空間(チップポケット)が確保できなくなるため、結果的にチゼル近傍での切屑排出性が悪くなり欠損や折損を起こす。すくい面曲率半径が0.8%未満のものは工業生産性に乏しい。ボール刃先端部でのすくい面曲率半径が1〜2%の範囲の場合に切屑排出性が顕著に安定するのでさらに好ましい。このように、本発明のボールエンドミルは、特に底面切削時の切屑排出性を改良した点が特長であり、すくい面曲率半径をチゼル近傍において上記範囲に特定することが極めて重要である。
特に限定されないが、本発明による有利な効果を奏するために、刃径Dは1〜20mmであり、1.5〜16mmとするのが好ましい。刃径Dが1mm未満のものは工業生産性に乏しく、20mm超のものは被削材の加工仕様の小寸法化、複雑形状化に適合しない。
本発明のボールエンドミルにおいて、ギャッシュ深さ(図5の17等)は刃径Dの0.5〜1%であり、0.50〜1%とするのが好ましい。0.5%未満であれば、底面切削の際の切屑流れが悪くなり、チゼル部の欠損や折損を起こす原因となる。また、逆に1%を超える大きさであれば、切屑の流れは安定したスムーズな流れになるが、工具剛性が不足するために、工具が振動を起こしやすくなり、振動による欠損を起こしやすくなる。そのため、特にチゼル近傍における切屑流れをスムーズにして、工具剛性も確保するためには、ボール刃先端部でのギャッシュ深さを刃径に対して0.5〜1%とする必要がある。
<ボールエンドミルを用いた切削加工方法>
本発明のボールエンドミルを用いた切削加工方法において、被削材である金型材料等の難削性の金属材料としては、例えばJISG4051〜4053に規定されるS55C、SCM440及びSNCM439など、及びJISG4202等に規定されるSACM645など、インコネルまたはハステロイ等の鉄鋼材料、チタン合金、またはアルミニウム合金のうちのいずれかが挙げられる。
前記の難削性金属材料のロックウェル硬さ(HRC)として、25以上であり、好ましくは30〜60であり、より好ましくは32〜60のものが例示される。前記の難削性金属材料のシャルピー衝撃値として、10J/cm以上であり、好ましくは20〜80J/cmであり、より好ましくは30〜80J/cmのものが例示される。
前記特定範囲のロックウェル硬さ及びシャルピー衝撃値を有する被削材に対し、特に本発明の切削加工方法による有利な効果を奏することができる。
本発明のボールエンドミルを用いた切削加工方法に係る高速切削の条件として、乾式切削において、被削材の送り速度が2000mm/min以上であり、好ましくは3000〜80000mm/minであり、より好ましくは4000〜80000mm/minである場合が例示される。
また本発明のボールエンドミルを用いた切削加工方法に係る高切り込み切削の条件として、乾式切削において、軸方向切り込み量が0.2mm以上及びピッチ方向切り込み量が0.1mm以上であり、好ましくは軸方向切り込み量が0.3〜10mm及びピッチ方向切り込み量が0.15〜5mmであり、より好ましくは軸方向切り込み量が0.4〜10mm及びピッチ方向切り込み量が0.2〜5mmである場合が例示される。
本発明のボールエンドミルを用いた切削加工方法によれば、従来と同等以上の加工精度を保持しながら、加工効率を少なくとも1.2倍以上、好ましくは1.2〜10倍程度向上することができる。そして、本発明のボールエンドミルを用いた切削加工の加工長として、前記の切削条件下で、2000m以上、好ましくは2000〜10000mを例示することができる。
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例であるボールエンドミルの概略構成を示す正面図である。本発明によるボールエンドミル1は切れ刃2とシャンク部5からなり、切れ刃2はボール刃3と外周刃4から構成される。
図2は、図1のボールエンドミル1の左側面図であり、回転方向に90度回転させた図で切れ刃2は二枚の刃から構成されたボールエンドミルである。前記ボールエンドミル1は、二枚の切れ刃2をつなぐチゼル刃6、切れ刃2に沿って切屑を逃がすためのギャッシュ面7(説明の便宜上、図面には、二つのギャッシュ面をそれぞれ7a、7bとして示す。)、そして二番逃げ面8と三番逃げ面9とを有する。
図3は、図2において二枚の切れ刃2の最外周部10、11をむすんだ直線12に垂直であり、かつ回転軸Oに垂直な矢印Aの方向から見た構成の説明図である。図3に示すように、ギャッシュ面7aとすくい面13との境界部分がギャッシュ底部14となる。
図4は、図3において直線B−Bで示す位置での断面を矢印Cの方向から見た断面図である。断面部分を斜線で示す。なお、直線B−Bは以下の条件を満たす。(1)工具先端15を通る。(2)回転軸Oとなす角度αが45°である。
図5は、図4において、領域Eで示したボール刃先端部におけるギャッシュ底部14を拡大して示した概略構成図である。断面部分を斜線で示す。ボールエンドミル1による底面切削時には、ボール刃先端部(チゼル近傍ともいう。)におけるすくい面13と二番逃げ面8との交差部16で切屑が生成し、部分的ないし全体に曲率を持ったすくい面13に沿って流れ、ギャッシュ面7a側に排出される。ここで図5はギャッシュ溝直角断面を示す図である。したがって、本発明においては、図5における交差部16とギャッシュ面7aとの距離を、前述したように、ギャッシュ深さ17とする。
前述したように、本発明において、すくい面曲率半径は、ボールエンドミル1のボール刃3のすくい面13とギャッシュ面7の境界部分であるギャッシュ底部14のギャッシュ溝に直角な断面での、すくい面13、ギャッシュ面7の間の接続部の曲率半径のことであり、図5においてはすくい面曲率半径18として示してある。
また、本発明において、チゼル端部すくい角は、前述したように、ボールエンドミル1のボール刃3のすくい面13とギャッシュ面7の境界部分であるギャッシュ底部14のギャッシュ溝に直角な断面でのすくい面13と回転軸Oとのなす角度である。したがって、図5においては、すくい面13の交差部16での接線と回転軸Oとのなす角度がチゼル端部すくい角19として示される。
以下、本発明を下記の実施例により詳細に説明するが、それらにより本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
本発明例1〜5および比較例1として、超硬合金を基材とした二枚刃のボールエンドミルで、すくい面曲率半径をそれぞれ変化させた以外は、刃径D6mm、全長90mm、シャンク径6mm、ギャッシュ深さを刃径Dの0.75%(0.045mm)、チゼル端部すくい角が−30°であって、Al−Cr−Si系窒化物皮膜を施した状態に仕様を統一した工具を作製し、切削試験を行った。すくい面曲率半径は、本発明例1〜5において、刃径Dの0.8%(0.05mm)、刃径Dの1.0%(0.06mm)、刃径Dの1.5%(0.09mm)、刃径Dの2.0%(0.12mm)、刃径Dの3.0%(0.18mm)とし、比較例1においては、刃径Dの3.5%(0.21mm)とした。
被削材はプラスチック用金型材料(日立金属株式会社製、商品名:HPM−MAGIC、HRC=41、厚さ65mmにおける2mmUノッチシャルピー衝撃値=63J/cmのもの)を用いた。
切削条件としては、軸方向切り込み量0.4mm、ピック方向切り込み量0.2mm、回転数20000回転/min、軸方向切り込み深さでの切削速度は188m/minとなる。テーブル送り速度4000mm/min、冷却方法としてエアブローを用いた乾式切削で、底面切削加工を行った。
評価方法として、加工長2000m切削後に逃げ面摩耗幅を測定し、最大逃げ面摩耗幅が0.05mm以下のものを評価良(表内では○印)、0.05mmを超えるものまたは欠損したものを評価不良(表内では×印)とした。各試料の仕様および評価結果を表1に示す。
Figure 0005448241
表1より、本発明例1〜5は、最大逃げ面摩耗幅が0.05mm以下の範囲にあり、チッピングすることなく安定した状態で切削が可能で、工具摩耗が抑えられていた。一方、図6に示すようなすくい面曲率半径が刃径Dの3.5%(0.21mm)と過大である比較例1では、2000m切削時点で0.061mmの逃げ面摩耗幅が観察された。
上記結果から、すくい面曲率半径は刃径Dの3%以下であることが必要であり、すくい面曲率半径が上記範囲よりも大きい場合には逃げ面摩耗が大きくなることが分かる。これは、すくい面曲率半径が大きいとチゼル近傍での切屑排出性が低下し、切屑つまりによって摩耗が進行しやすくなるためである。尚、図6中の斜線は断面を示す。
(実施例2)
本発明例6〜8および比較例2、3として、超硬合金を基材とした二枚刃のボールエンドミルで、ギャッシュ深さをそれぞれ変化させた以外は、すくい面曲率半径を刃径Dの1.5%(0.09mm)として実施例1と同仕様の工具を作製し、切削試験を行った。ギャッシュ深さは、本発明例6〜8において、刃径Dの0.50%(0.030mm)、刃径Dの0.75%(0.045mm)、刃径Dの1.00%(0.060mm)とし、比較例2、3においてはそれぞれ刃径Dの0.30%(0.018mm)、刃径Dの1.50%(0.090mm)とした。切削条件、被削材および評価は実施例1と同様で行った。各試料の仕様および評価結果を表2に示す。
Figure 0005448241
表2より、本発明例6〜8は、最大逃げ面摩耗幅が0.05mm以下の範囲にあり、チッピングすることなく安定した状態で切削が可能で、工具摩耗が抑えられていた。一方、図7(a)に示すようなギャッシュ深さが刃径Dの0.30%(0.018mm)と過小である比較例2では、2000m切削時点で0.081mmの逃げ面摩耗幅が観察された。また図7(b)に示すようなギャッシュ深さが刃径Dの1.50%(0.090mm)と過大である比較例3は加工長2000mに達する前に欠損した。図7(a)、(b)において、断面部分を斜線で示す。
上記結果から、ギャッシュ深さは刃径Dの0.5〜1%の範囲にあることが必要であり、ギャッシュ深さが上記範囲よりも小さい場合には逃げ面摩耗が大きくなり、上記範囲よりも大きい場合には欠損が発生することが分かる。これは、ギャッシュ深さが小さいとチゼル近傍での切屑排出性が低下し、切屑つまりによって摩耗が進行しやすくなり、またギャッシュ深さが大きすぎると工具剛性が低下してしまうためである。
(実施例3)
本発明例9〜13および比較例4、5として、超硬合金を基材とした二枚刃のボールエンドミルで、チゼル端部すくい角をそれぞれ変化させた以外は、すくい面曲率半径を刃径Dの1.5%(0.09mm)として実施例1と同仕様の工具を作製し、切削試験を行った。チゼル端部すくい角は、本発明例9〜13において、−15°、−20°、−30°、−40°、−45°とし、比較例4、5においてはそれぞれ−13°、−47°とした。
切削評価は実施例1と同様の条件で行った。各試料の仕様および評価結果を表3に示す。
Figure 0005448241
表3より、本発明例9〜13は、最大逃げ面摩耗幅が0.05mm以下の範囲にあり、チッピングすることなく安定した状態で切削が可能で、工具摩耗が抑えられていた。一方、図8(a)に示すようなチゼル端部すくい角が−13°と正側に過大である比較例4では、加工長2000mに達する前に欠損した。また図8(b)に示すようなチゼル端部すくい角が−47°と負側により大きな角度である比較例5では、2000m切削時点で0.060mmの逃げ面摩耗幅が観察された。図8(a)、(b)において、断面部分を斜線で示す。
上記結果から、チゼル端部すくい角は−45〜−15°の範囲にあることが必要であり、チゼル端部すくい角が上記範囲よりも大きい場合には欠損が生じ、上記範囲よりも小さい場合には逃げ面摩耗が大きくなることが分かる。これは、チゼル端部すくい角が大きいと工具剛性が低下し、またチゼル端部すくい角が小さいとチゼル近傍での切屑排出性が低下し、切屑つまりによって摩耗が進行しやすくなるためである。
本発明のボールエンドミルの形状緒元として、上記のチゼル端部すくい角、すくい面の曲率半径、及びギャッシュ深さという3つの主要構成要件があるが、上記実施例の結果より、この3つの適正範囲を全て満足したときにプリハードン鋼の切削において、高速切削時及び高切り込み切削時における切れ刃への溶着が抑制でき、もって生成された切り屑もチゼル先端部のチップポケットへ収容され、収容された切り屑の停滞が低減されてうまく排出されることが分かった。その結果として、本発明の工具の切削・耐摩寿命を著しく延長させることができるのである。
本発明のボールエンドミルであれば、プラスチック金型材料などの切削で高速切削時及び高切り込み切削時において、ボール刃先端部の摩耗の進行が抑制され、切屑排出性が向上し、工具寿命を著しく向上させることができる。
具体的な適用分野は、例えば携帯電話及び自動車部品などのプラスチック金型材料の荒加工から仕上げ加工である。また、プラスチック金型に存在するような深リブ溝の加工においても適している。そして、本発明のボールエンドミルは、プラスチック金型材料に代表される高硬度でかつ高靭性な難削性の金属材料の底面切削加工に特に好適である。
1 ボールエンドミル
2 切れ刃
3 ボール刃
4 外周刃
5 シャンク部
6 チゼル刃
7 ギャッシュ面
8 二番逃げ面
9 三番逃げ面
10 最外周部
11 最外周部
12 直線
13 すくい面
14 ギャッシュ底部
15 工具先端
16 交差部
17 ギャッシュ深さ
18 すくい面曲率半径
19 チゼル端部すくい角
D 刃径
O 回転軸

Claims (2)

  1. 略半球状のボール刃と外周刃とから構成される二枚の切れ刃と、前記二枚の切れ刃をつなぐチゼル刃と、前記切れ刃に沿って切屑を逃がすためのギャッシュ面と、前記切れ刃に沿うすくい面及び逃げ面とを有するボールエンドミルであって、
    当該ボールエンドミルの工具先端から刃径Dの10%までの範囲であるボール刃先端部での、前記ボール刃のすくい面と前記ギャッシュ面との境界部分であるギャッシュ底部に直角な断面における前記ボール刃のすくい面から前記ボール刃のすくい面と前記逃げ面のうちの二番逃げ面との交差部に沿って引いた接線と当該ボールエンドミルの回転軸とのなす角度であるチゼル端部すくい角が−45〜−15°であり、
    前記ボール刃先端部での、前記ギャッシュ底部に直角な断面における前記ボール刃のすくい面と前記ギャッシュ面との間の接続部の曲率半径であるすくい面曲率半径が前記刃径Dの3%以下であり、
    及び前記交差部と前記ギャッシュ面との距離であるギャッシュ深さが前記刃径Dの0.5〜1%の範囲にあることを特徴とするボールエンドミル。
  2. 略半球状のボール刃と外周刃とから構成される二枚の切れ刃と、前記二枚の切れ刃をつなぐチゼル刃と、前記切れ刃に沿って切屑を逃がすためのギャッシュ面と、前記切れ刃に沿うすくい面及び逃げ面とを有し、
    当該ボールエンドミルの工具先端から刃径Dの10%までの範囲であるボール刃先端部での、前記ボール刃のすくい面と前記ギャッシュ面との境界部分であるギャッシュ底部に直角な断面における前記ボール刃のすくい面から前記ボール刃のすくい面と前記逃げ面のうちの二番逃げ面との交差部に沿って引いた接線と当該ボールエンドミルの回転軸とのなす角度であるチゼル端部すくい角が−45〜−15°であり、
    前記ボール刃先端部での、前記ギャッシュ底部に直角な断面における前記ボール刃のすくい面と前記ギャッシュ面との間の接続部の曲率半径であるすくい面曲率半径が前記刃径Dの3%以下であり、
    及び前記交差部と前記ギャッシュ面との距離であるギャッシュ深さが前記刃径Dの0.5〜1%の範囲にあるボールエンドミルを用いた切削加工方法であって、
    被削材を前記ボールエンドミルにより切削加工するにあたり、前記ボールエンドミルの刃先端部において切り屑排出性及び切削性を具備しつつ切削加工を行うことを特徴とするボールエンドミルを用いた切削加工方法。
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