JP5446809B2 - 自動変速機用油圧制御装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、エンジンにより駆動され油圧を供給するメカポンプと、エンジン停止時に油圧を補助供給するモータ駆動の電動ポンプとを備えた自動変速機用油圧制御装置が記載されている。
図6に、メカポンプ122の回転速度とエンジン120の回転速度との関係を示す。ここで、エンジン120はアイドル回転速度よりも遅い回転速度では回転を維持できないので、アイドル回転速度よりも遅い回転速度は想定されない。よって、メカポンプ122は、エンジン120のアイドリングストップ時から、エンジン120がアイドル回転速度となるまでの間は回転が想定されず、この間は、電動ポンプ130によって自動変速機に油圧が供給される。そして、エンジン120の回転速度がアイドル回転速度以上では、エンジンの回転速度に比例してメカポンプ122の回転速度が増加し、メカポンプ122から自動変速機に油圧が供給される。そして、メカポンプ122の回転速度に比例して、メカポンプ122によりオイルの吐出流量が増加し、メカポンプ122の回転速度に比例してメカポンプ122の駆動トルクが増大する。
まず、本発明の第1の発明は、エンジンにより駆動され自動変速機に油圧を供給するメカポンプを備えた自動変速機用油圧制御装置であって、
モータにより駆動される電動ポンプとエンジンからメカポンプへの伝動系の中途に設置された変速装置とを備え、該電動ポンプから該変速装置に油圧が供給される構成とされており、
前記変速装置は、前記電動ポンプから供給される油圧によって変速比が可変される自動変速機用油圧制御装置である。
前記電動ポンプはエンジン停止時に自動変速機に油圧を補助供給する電動ポンプであって、エンジン回転時に電動ポンプから変速装置に油圧を供給するように切り替える切替バルブを備えることを特徴とする。
この第2の発明によれば、従来はエンジンの回転が停止しているアイドリングストップ時のみ作動し、エンジン回転時には活用されることがなかった電動ポンプを、エンジン回転時に変速装置に油圧を供給する電動ポンプとして使用する。よって、変速装置に油圧を供給する電動ポンプは既設のものを利用できるので、実施コストを低減させることができる。
前記変速装置は、エンジン回転速度が一定以上になってもメカポンプの回転速度が一定以上に上昇しないように変速比が可変されることを特徴とする。
この第3の発明によれば、エンジン回転速度が一定以上になってもメカポンプの回転速度が一定以上に上昇しないように変速装置の変速比が可変されるので、メカポンプの駆動トルクを一定の限度に抑えることができ、更に燃費を低減させることできる。
前記電動ポンプから前記変速装置に供給される油圧は車速信号によって制御されることを特徴とする。
この第4の発明によれば、電動ポンプから変速装置に供給される油圧は車速信号によって制御されるので、車速に応じて変速装置による変速比を調節することにより、メカポンプから自動変速機に供給する油圧を適切な値に制御することができる。
まず、上述の第1の発明によれば、エンジンの高速回転時に電動ポンプから変速装置に供給される油圧を調節して変速装置の変速比を変更し、メカポンプのエンジンに対する相対回転速度をエンジンの低速回転時に比べて低下させることができる。よって、エンジンの高速回転時にメカポンプの回転速度を適正に制御して、メカポンプの駆動トルクの増大を防ぎ、燃費を低減させることができる。
次に上述の第2の発明によれば、変速装置に油圧を供給する電動ポンプは既設のものを利用できるので、実施コストを低減させることができる。
次に上述の第3の発明によれば、エンジン回転速度が一定以上になってもメカポンプの回転速度が一定以上に上昇しないように変速装置の変速比が可変されるので、メカポンプの駆動トルクを一定の限度に押さえることができ、更に燃費を低減させることができる。
次に上述の第4の発明によれば、車速に応じて変速装置による変速比を調節することにより、メカポンプから自動変速機に供給する油圧を適切な値に制御することができる。
本発明の実施例1の自動変速機用油圧制御装置10は、アイドリングストップ制御を適用する車両に使用される自動変速機用油圧制御装置である。
図1に、自動変速機用油圧制御装置10における車両のアイドリングストップ時の状態を示す。自動変速機用油圧制御装置10は、図1に示すように、エンジン20により駆動されるメカポンプ22と、モータ32によりポンプ34が駆動される電動ポンプ30とを備えている。
メカポンプ22はエンジン20の動力により回転し、メカポンプ油路40を経由して自動変速機の高圧回路の変速プーリ50およびクラッチ52と、低圧回路のトルコン54および潤滑油路56に油圧を供給する構成とされている。そして、エンジン20からメカポンプ22への動力の伝達系の中途には、変速装置24が設置されている。
電動ポンプ30は、エンジン20の停止時に電動ポンプ油路42により自動変速機のクラッチ52に油圧を補助供給する電動ポンプであって、ポンプ34と電動ポンプ油路42の間に切替バルブ36を備えている。そして、切替バルブ36と前述の変速装置24の間には油圧供給路38が配設されている。そして、電動ポンプ30はモータ32の回転を制御するECU12により、エンジン20の回転速度に基づいて制御される。
そして、エンジン20が停止したアイドリングストップ状態では、図1に示すとおり、切替バルブ36は、ポンプ34から電動ポンプ油路42に油圧を供給する状態に設定されており、油圧供給路38への出口は遮蔽されている。
図3に、自動変速機用油圧制御装置10における、エンジン20の回転速度とメカポンプ22の回転速度との関係を示す。
図3に符号aで示したエンジン20がアイドリングストップの状態では、エンジン20により駆動されるメカポンプ22は停止した状態であり、電動ポンプ30の切替バルブ36は、図1で示したポンプ34から電動ポンプ油路42に油圧が供給される状態に設定されている。そして、ECU12からの制御により電動ポンプ30のモータ32が、ポンプ34から電動ポンプ油路42を通じてクラッチ52に油圧を補助供給できる速度で回転する。この時のモータ32の回転速度を補助回転速度と呼ぶ。
なお、自動変速機用油圧制御装置10ではメカポンプ22の回転速度の上限とした最大回転速度は固定的なものではなく、ECU12の設定により、図3に実線と細線で記載した所定の範囲で変更させることができるものである。
まず、S10により、エンジン20が停止状態であるか否かを検査する。そして、エンジン20が停止状態でなければ、S12により、切替バルブ36が変速装置24側となっているか、すなわち、電動ポンプ30から変速装置24に油圧が供給できる状態となっているか否かを検査する。そして、切替バルブ36が変速装置24側となっていない時は、S14により切替バルブ36を変速装置24側に切り替える。
次に、S16によりエンジン20の回転速度が制御開始速度以下か否かを検査する。そして、エンジン20のエンジン20の回転速度が制御開始速度以下でない時は、S18により、メカポンプ22の回転速度を最大回転速度に保つための変速比を算出し、S20により、変速装置24の変速比をS18で算出した変速比にするために変速装置24に供給する油圧を算出する。そして、S22により、S20で算出した油圧をポンプ34から変速装置24に供給することができるようにモータ32の回転速度を設定する。
実施例1によれば、エンジン20の回転速度が一定以上になってもメカポンプ22の回転速度が一定に保たれて、それ以上に上昇しないように変速装置24の変速比が可変される。よって、メカポンプ22の回転が適正に制御され、必要以上のオイルの流量および駆動トルクを発生することがなくなるので、エンジン20の高速回転時におけるメカポンプ22の駆動トルクを一定の限度に抑えることができ、燃費を低減させることできる。
また、従来はエンジン20の回転が停止しているアイドリングストップ時のみ作動し、エンジン20回転時には活用されることがなかった電動ポンプ30を、エンジン20回転時に変速装置24に油圧を供給する電動ポンプとして使用する。よって、変速装置24に油圧を供給する電動ポンプは既設のものを利用できるので、実施コストを低く抑えることができる。
実施例1では、エンジン20の回転速度が一定以上になってもメカポンプ22の回転速度が一定に保たれてそれ以上は上昇しないように制御する構成としたが、メカポンプ22の回転速度は一定に保たなくても良い。例えば、図3に符号fにより想像線で示したように、エンジン20の回転速度が一定以上となったときに、エンジン20の回転速度に対してメカポンプ22の回転速度を可変に制御できるように変速装置24の変速比を制御してもよい。
また、実施例1では、ECU12によりエンジン20の回転速度に基づいて電動ポンプ30のモータ32の回転速度が制御され、モータ32の回転速度により電動ポンプ30から変速装置24に供給される油圧が決定される構成としているが、モータ32の回転速度はECU12により車両の車速信号に基づいて制御される構成としても良い。一定速度での走行時は自動変速の機会が少なくメカポンプ22から供給される油圧は低くてもよいので、モータ32の回転速度を低速とし、メカポンプ22が低速回転となるように変速装置24に供給する油圧を調節することができる。そして、加速時には自動変速の機会が多くメカポンプ22から供給される油圧は高いことが望ましいので、モータ32の回転速度を高速とし、メカポンプ22が高速回転となるように変速装置24に供給する油圧を調節することができる。
その他、本発明に係る自動変速機用油圧制御装置はその発明の思想の範囲で、各種の形態で実施できるものである。
12 ECU
20 エンジン
22 メカポンプ
24 変速装置
30 電動ポンプ
32 モータ
34 ポンプ
36 切替バルブ
38 油圧供給路
40 メカポンプ油路
42 電動ポンプ油路
50 変速プーリ
52 クラッチ
54 トルコン
56 潤滑油路
a アイドリングストップ
b アイドル回転速度
c 制御開始速度
f メカポンプ回転速度
Claims (3)
- エンジンにより駆動され自動変速機に油圧を供給するメカポンプを備えた自動変速機用油圧制御装置であって、
モータにより駆動される電動ポンプと、エンジンからメカポンプへの伝動系の中途に設置された変速装置とを備え、該電動ポンプから該変速装置に油圧が供給される構成とされており、
前記変速装置は前記電動ポンプから供給される油圧によって変速比が可変される構成であり、
前記電動ポンプはエンジン停止時に自動変速機に油圧を補助供給する電動ポンプであって、エンジン回転時に電動ポンプから変速装置に油圧を供給するように切り替える切替バルブを備えることを特徴とする自動変速機用油圧制御装置。 - 請求項1に記載の自動変速機用油圧制御装置であって、
前記変速装置は、エンジン回転速度が一定以上になってもメカポンプの回転速度が一定以上に上昇しないように変速比が可変されることを特徴とする自動変速機用油圧制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載の自動変速機用油圧制御装置であって、
前記電動ポンプから前記変速装置に供給される油圧は車速信号によって制御されることを特徴とする自動変速機用油圧制御装置。
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