地上デジタル放送等では、データの変調方式としてOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)(直交周波数分割多重)が採用されている。
OFDMでは、伝送帯域内に多数の直交するサブキャリアが設けられ、それぞれのサブキャリアの振幅や位相にデータを割り当てるPSK(Phase Shift Keying)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)等のデジタル変調が行われる。
OFDMにおいては、複数のサブキャリアに対してデータの割り当てが行われることから、変調は、逆フーリエ変換を行うIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)演算によって行うことができる。また、変調の結果得られるOFDM信号の復調は、フーリエ変換を行うFFT(Fast Fourier Transform)演算によって行うことができる。
従って、OFDM信号を送信する送信装置は、IFFT演算を行う回路を用いて構成することができ、OFDM信号を受信する受信装置は、FFT演算を行う回路を用いて構成することができる。
また、OFDMでは、データは、OFDMシンボルと呼ばれる単位で送信(伝送)される。
OFDMシンボルは、一般に、変調時にIFFTが行われる信号期間である有効シンボルと、その有効シンボルの後半の一部の波形が、そのまま、有効シンボルの先頭にコピーされたガードインターバルとから構成される。このように、OFDMシンボルの先頭に、ガードインターバルを設けることで、マルチパスに対する耐性を向上させることができる。
さらに、OFDMでは、既知の信号(受信装置側で分かっている信号)であるパイロットが、時間方向や周波数方向に離散的に挿入され、受信装置では、そのパイロットが、同期や、伝送路特性の推定等に利用される。
なお、OFDMを採用した地上デジタル放送の規格では、複数のOFDMシンボルによって構成されるフレーム(OFDM伝送フレーム)と呼ばれる単位が定義され、データの送信は、フレーム単位で行われる。
以上のような、OFDM信号を受信する受信装置では、OFDM信号のキャリアを用いて、OFDM信号のデジタル直交復調が行われる。
ただし、受信装置でデジタル直交復調に用いられるOFDM信号のキャリアは、一般に、OFDM信号を送信してくる送信装置で用いられるOFDM信号のキャリアと一致しておらず、誤差を含む。すなわち、デジタル直交復調に用いられるOFDM信号のキャリアの周波数は、受信装置で受信されたOFDM信号(のIF(Intermidiate Frequency)信号)の中心周波数からずれている。
そのため、受信装置では、デジタル直交復調に用いられるOFDM信号のキャリアの誤差であるキャリアずれ量を検出するキャリアずれ量検出処理、及び、キャリアずれ量に従い、そのキャリアずれ量をなくすように、OFDM信号を補正する補正(オフセット補正)処理が行われる。
このような特徴を有するOFDMを採用した地上デジタル放送の規格にDVB-T2規格(第2世代欧州地上デジタル放送規格)がある。DVB-T2規格については、いわゆるブルーブック(DVB BlueBook A122)に記載されている(非特許文献1)。
DVB-T2においては、T2フレーム(T2 frame)と称される伝送フレーム単位にデータが伝送されるようになされている。また、DVB-T2においては、そのT2フレームに、T2フレームとは別の異なる構造を有するFEF(Future Extension Frame)と呼ばれる信号が多重化されて伝送されるようになされている。
図1は、DVB‐T2におけるフレーム構成を示す図である。
DVB‐T2においては、図1に示されるように、T2フレームとFEF部(FEF part)とが多重化されて送信可能になされている。ただし、必要がない限り、FEF部は挿入されない。
FEF部がどのように挿入されているかは、FEF intervalとFEF lengthの値で一意に定められる。これらの値は、後述する図2のT2フレームにおけるL1プレシグナリングに含まれている。例えば、FEF intervalの値をnとし、FEF lengthの値をmとした場合、n個のT2フレームの間に1つのFEF部が挿入され、そのFEF部の長さは、mサンプルとなる。すなわち、A=B=C=FEF interval(n)である。
図2は、T2フレームのフォーマットを示す図である。
図2に示すように、T2フレームには、P1シンボル、P2シンボル、並びに、Normalと称されるシンボルおよびFC(Flame Closing)と称されるシンボル(共にデータシンボル)が、その順に配置される。
なお、図2においてGIと記述された部分がOFDMシンボルにおけるガードインターバルを表しており、P1シンボルは、GIを有していない。
P1シンボルは、P1シグナリング(P1 signalling)を送信するためのシンボルである。P1シンボルには、S1とS2の伝送パラメータが含まれる。S1とS2は、P2シンボルが、SISO(Single Input Single Output (meaning one transmitting and one receiving antenna))、又は、MISO(Multiple Input, Single Output (meaning multiple transmitting antennas but one receiving antenna))のいずれの方式で送信されてくるのかや、P2シンボルのFFT演算を行うときのFFTサイズ(1回のFFT演算の対象とするサンプル(シンボル)の数)等を表す。
P2シンボルは、L1プレシグナリング(L1 pre-signalling)とL1ポストシグナリング(L1 post-signalling)を送信するためのシンボルである。また、P2シンボルには、通常のシンボルよりも数多くのパイロットが含まれるため、P2シンボルを利用することにより、パイロットを利用した各種の誤差検出において、通常のシンボルよりも精度を高くすることができる。
L1プレシグナリングは、L1ポストシグナリングの復号を行うのに必要な情報を含む。L1ポストシグナリングは、各受信装置が、物理レイヤ(のlayer pipes)にアクセスするのに必要な情報を含む。
ここで、L1プレシグナリングには、GI長、どのシンボル(サブキャリア)に、既知の信号であるパイロット信号が含まれるかのパイロット信号の配置を表すパイロットパターン(PP)、OFDM信号を伝送する伝送帯域の拡張の有無(BWT_EXT)、1つのT2フレームに含まれるOFDMシンボルの数(NDSYM)等が含まれる。L1プレシグナリングに含まれるこれらの情報は、データ(FCを含む)のシンボルを復調するのに必要な情報となっている。
また、L1プレシグナリングには、上述したように、図1に示されるFEF length、FEF intervalといったFEF区間をより正確に示した情報や、FEF_TypeといったFEFのタイプを示す関連情報も含まれている。
図3は、FEF部のフォーマットを示す図である。図3に示すように、FEF部は、最大の長さがT2フレームと同じ250msであることと、先頭にP1シンボルがあること以外、全くの未定義である。例えば、平均信号電力もT2フレームの区間とは異なるかもしれないし、無信号かもしれない。すなわち、フレーム構成であるかも不明であるので、DVB‐T2においては、FEF部(FEF-Part)と称されている。なお、以下、FEF部は、単にFEFとも称する。
したがって、現在の受信装置は、P1シンボルを除く、FEFに含まれる情報を取得する必要がないが、FEFが挿入されていることを検出し、FEFによって、T2フレームの受信が影響を受けないように動作しなければならない。
すなわち、受信装置は、受信開始後から、L1プレシグナリングが取得できるまでの間、P1検出と、P1に含まれる情報に基づいてFEFが挿入されている区間を推定し、その区間の信号が通常のT2フレームの受信に影響がないように動作する必要がある。
図4は、P1シンボルの構成を示す図である。
DVB-T2規格で意図されたP1シンボルの目的には次のようなものがある。
a.受信装置が、受信中の信号がDVB-T2規格の信号であることを早期に判定すること。
b.受信装置が、プリアンブル信号そのものをDVB-T2規格のフレームのプリアンブル信号と特定すること。
c.復調の開始に必要な伝送パラメータを伝達すること。
d.受信装置が、フレームの位置検出とキャリアの誤差の補正ができること。
図4に示すように、P1シンボルは、1K(=1024)個のシンボルを有効シンボルとして有する。P1シンボルは、有効シンボルAの先頭側の一部分を周波数fSHだけ周波数シフトした信号Cを有効シンボルの前側にコピーし、かつ、有効シンボルAの残りの部分を周波数fSHだけ周波数シフトした信号Bを有効シンボルの後ろ側にコピーした構造になっている。周波数シフトを行うことによって、規格上、妨害信号をP1シンボルとして誤検出しにくい仕組みになっている。
受信装置においては、P1シンボルがその一部のデータのコピーを含んでいることを利用し、区間毎の相関値を求めることによって、P1シンボルを検出するようになされている。例えば、どのチャンネルによってDVB-T2規格の信号が伝送されているのかを調査する初期スキャンの際にP1シンボルの検出が行われる。
このように検出されたP1シンボルに対して、さらに、周波数補正、FFT演算、CDS(Carrier Distribution Sequence)相関演算、デスクランブル処理、DBPSK復調、などの一定の処理を行うことにより、P1シンボルに含まれるS1とS2が復号される。
図5は、P1シンボルに含まれるS1とS2の伝送パラメータを説明する図である。なお、図5において、Xは0または1を表している。S1は、図5Aに示されるように3ビットの値で表わされ、S2は、図5Bに示されるように4ビットの値で表わされる。
S1が000を示すときは、受信したP1シンボルが、SISOのT2フレームであることを表している。S1が001を示すときは、受信したP1シンボルが、MISOのT2フレームであることを表している。S1が010を示すときは、受信したP1シンボルが、T2フレームのプリアンブルではないことを表している。S1が011,100,101,110,111のいずれかを示すときは、Reservedであることを表している。すなわち、S1が000および001以外を示すときは、T2フレームしか受信しない現在の受信装置が対応していない信号(FEF)であることを表している。
S2のLSBが0のときは、受信している信号が「Not Mixed」であることを表し、S2のLSBが1のときは、受信している信号が「Mixed」であることを表している。ここで、Not Mixedとは、現在受信中の信号のP1は、継続的に同じものであることを表し、Mixedとは、現在受信中の信号のP1は、フレーム毎に異なるものが送信されており、その中にT2フレームのプリアンブルも含まれていることを表している。
したがって、ある時点で受信したP1シンボルのS1,S2を見ることにより、受信信号は、以下の4つのパターンのいずれかに必ず該当する。
A.T2フレームを受信中(S1:T2,S2:Not Mixed)
B.T2フレームとFEFの多重化信号のうち、T2フレームを受信中(S1:T2,S2:Mixed)
C.T2フレーム以外を受信中(S1:Not T2,S2:Not Mixed)
D.T2フレームとFEFの多重化信号のうち、FEFを受信中(S1:Not T2,S2:Mixed)
すなわち、P1シンボルのS1,S2を見ることにより、T2/FEFの判別を行うことができる。
[受信装置の構成例]
図6は、従来の受信装置の構成例を示すブロック図である。
受信装置1は、リサンプラ11、キャリア周波数補正部12、P1処理部13、GI相関演算部14、FFT演算部15、fine誤差検出部16、coarse誤差検出部17、サンプリング誤差検出部18、補正制御部19、補正制御部20、等化処理部21、誤り訂正部22、およびP2処理部23を含むように構成されている。
受信装置1の図示せぬ直交復調部には、送信装置から送信されたOFDM信号(のIF(Intermidiate Frequency)信号)が入力される。直交復調部は、所定の周波数(キャリア周波数)のキャリア(理想的には、送信装置で用いられるのと同一のキャリア)と、そのキャリアと直交する信号とを用いて、そこに入力される OFDM信号をデジタル直交復調し、その結果得られるベースバンドのOFDM信号を復調結果として出力する。
ここで、復調結果として出力された信号は、後述するFFT演算部15によるFFT演算が施される前(送信装置側で、IQコンスタレーション上のシンボル(1個のサブキャリアで伝送されるデータ)がIFFT演算された直後)の時間領域の信号であり、以下、OFDM時間領域信号ともいう。
復調結果として出力されたOFDM時間領域信号は、図示せぬA/D変換部に供給されてデジタル信号に変換された後、リサンプラ11に出力される。OFDM時間領域信号は、実軸成分(I(In Phase)成分)と虚軸成分(Q(Quadrature Phase)成分)とを含む、複素数で表される複素信号である。よって、リサンプラ11以降の信号が入力される各部には、2本の矢印が示されている。リサンプラ11は、デジタル信号とされた復調結果を、サンプリングレートを送信装置のクロックと同期させるために微調整する。
キャリア周波数補正部12は、リサンプラ11から出力される信号に対してキャリア周波数補正を行う。キャリア周波数補正部12から出力される信号は、P1処理部13、GI相関演算部14、およびFFT演算部15に出力される。
P1処理部13は、キャリア周波数補正部12から出力される信号であって、P1のOFDMシンボルに対応する信号を取得し、トリガ位置、 fineオフセット、およびcoarseオフセットを検出などする機能ブロックである。また、P1処理部13において、受信中の信号がT2フレームであるか否かを判別することが可能である。検出されたトリガ位置を表す信号は、FFT演算部15に出力され、fineオフセットの検出値(fine検出値とも称する)とcoarseオフセットの検出値(coarse検出値とも称する)は、補正制御部19に出力される。
ここで、fineオフセットとは、OFDMサブキャリア間隔内(fine)のオフセットを表し、coarseオフセットとは、OFDMサブキャリア間隔毎(coarse)のオフセットを表す。すなわち、fineオフセットによる補正は、coarseオフセットによる補正より「細かい」補正であり、coarseオフセットによる補正は、fineオフセットによる補正より「粗い」補正である。
GI相関演算部14は、キャリア周波数補正部12から出力される信号から、ガードインターバルを取得し、ガードインターバルの相関を用いて、トリガ位置、およびfineオフセットを検出する。トリガ位置を表す信号は、FFT演算部15に出力され、fine検出値は、補正制御部19に出力される。
FFT演算部15は、P1処理部13およびGI相関演算部14から供給されるトリガ位置を表す信号に基づいて、各OFDMシンボルに対するFFT演算を行う機能ブロックである。FFT演算部15は、トリガ位置に従って、OFDM時間領域信号から、FFTサイズ分のOFDM時間領域信号(のサンプル値)を抽出し、FFT演算を行う。
これにより、理想的には、OFDM時間領域信号に含まれる1個のOFDMシンボルを構成するシンボルから、ガードインターバル(のシンボル)を除いた、有効シンボル長のシンボルが、FFT区間のOFDM時間領域信号として抽出されFFT演算される。
FFT演算部15でのOFDM時間領域信号のFFT演算により、サブキャリアで送信されてきた情報、すなわち、IQコンスタレーション上のシンボルを表すOFDM信号が得られる。
なお、OFDM時間領域信号のFFT演算により得られるOFDM信号は、周波数領域の信号であり、以下、OFDM周波数領域信号ともいう。
FFT演算部15の演算結果は、等化処理部21、fine誤差検出部16、coarse誤差検出部17、およびサンプリング誤差検出部18に出力される。
fine誤差検出部16は、FFT演算により得られたOFDM周波数領域信号のOFDMパイロットのシンボル間位相差を用いて、あらためてfineオフセットを検出し、fine検出値を、補正制御部19に出力する。
coarse誤差検出部17は、FFT演算により得られたOFDM周波数領域信号のOFDMパイロットの変調パターンが既知であることを用いて、あらためてcoarseオフセットを検出し、coarse検出値を、補正制御部19に出力する。
なお、以下、P1処理部13により検出されたfine検出値は、P1-fine検出値と称し、P1処理部13により検出されたcoarse検出値は、P1-coarse検出値と称する。GI相関演算部14により検出されたfine検出値は、GI-fine検出値と称する。また、fine誤差検出部16により検出されたfine検出値は、pilot-fine検出値と称し、coarse誤差検出部17により検出されたcoarse検出値は、pilot-coarse検出値と称する。
サンプリング誤差検出部18は、FFT演算により得られたOFDM周波数領域信号に基づいて、サンプリング誤差を検出し、誤差検出値を補正制御部20に出力する。
補正制御部19は、GI相関演算部14からのGI-fine検出値とfine誤差検出部16からのpilot-fine検出値に基づいて、P1処理部13からのP1-fine検出値による誤差を補正する。また、補正制御部19は、coarse誤差検出部17からのpilot-coarse検出値に基づいて、P1処理部13からのP1-coarse検出値による誤差を補正する。そして、補正制御部19は、これらの検出値の補正によりキャリア周波数補正値を生成し、キャリア周波数補正部12に出力する。
補正制御部20は、サンプリング誤差検出部18からの誤差検出値に基づいて、リサンプラ11の動作を制御する。
等化処理部21は、OFDM周波数領域信号の各OFDMシンボルに含まれるパイロットシンボルに基づいて、伝送チャネルの特性に応じた等化処理を行う。例えば、等化処理部21は、FFT演算後の信号を、推定された伝送路特性で複素除算することにより、送信されてきた信号の等化を行うことができる。等化処理部21により等化処理された信号は、誤り訂正部22に出力される。
誤り訂正部22は、送信側でインターリーブされている信号に対してデインターリーブ処理を施し、P2処理部23および図示せぬ後段に出力する。
P2処理部23は、P2のOFDMシンボルに対応する信号を取得し、L1プレシグナリングおよびL1ポストシグナリングの復号を行う。これにより、得られたL1プレシグナリングおよびL1ポストシグナリングの情報は、データのシンボルを復調するなどに用いられる。
[受信装置の構成例]
図7は、本発明の一実施の形態に係る受信装置51の構成例を示すブロック図である。図7に示す構成のうち、図6の受信装置1に示す構成に対応する構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
図7の受信装置51は、リサンプラ11、キャリア周波数補正部12、GI相関演算部14、FFT演算部15、fine誤差検出部16、coarse誤差検出部17、サンプリング誤差検出部18、等化処理部21、誤り訂正部22、およびP2処理部23を含むように構成されている点が、図6の受信装置1と共通している。
また、図7の受信装置51は、P1処理部13、補正制御部19、および補正制御部20に代わって、P1処理部61、補正制御部62、補正制御部63がそれぞれ備えられている点と、フラグ生成部64が追加されている点が、図6の受信装置1と異なっている。
すなわち、P1処理部61は、P1シンボルに含まれるS1,S2を用いて、現在の受信中の信号が、T2フレームであるか、FEF(Future Extension Frame)であるかを判別する。そして、P1処理部61は、それらが判別された結果である、T2/FEF判別結果を示す信号を、補正制御部62および補正制御部63にそれぞれ出力する。
補正制御部62には、補正をするための値として、P1処理部13からのP1-fine検出値およびP1-coarse検出値、GI相関演算部14からのGI-fine検出値、fine誤差検出部16からのpilot-fine検出値、並びにcoarse誤差検出部17からのpilot-coarse検出値が入力される。
補正制御部62は、入力される検出値のうち、P1処理部13からのP1-fine検出値およびP1-coarse検出値については、すぐに適用する。これに対して、補正制御部62は、それら以外の検出値については、一旦保持しておき、P1処理部61からのT2/FEF判別結果がT2フレームであることを示す場合のみ適用し、T2/FEF判別結果がT2フレームであることを示さない場合は、それらの検出値を破棄する。
すなわち、補正制御部62は、入力される検出値のうち、実線で示されるP1処理部13からのP1-fine検出値およびP1-coarse検出値に基づいて、キャリア周波数の誤差を補正するためのキャリア周波数補正値を生成して、キャリア周波数補正部12に出力する。
これに対して、補正制御部62は、一点鎖線で示される、GI相関演算部14からのGI-fine検出値、fine誤差検出部16からのpilot-fine検出値、並びにcoarse誤差検出部17からのpilot-coarse検出値が入力されても、一旦保持している。補正制御部62は、太線で示されるP1処理部61からT2/FEF判別結果を示す信号が入力されると、T2/FEF判別を行う。そして、補正制御部62は、T2/FEF判別結果がT2フレームであることを示す場合、保持しているGI-fine検出値、pilot-fine検出値、およびpilot-coarse検出値なども用いてキャリア周波数補正値を生成する。また、補正制御部62は、T2/FEF判別結果がT2フレームではないことを示す場合、保持しているGI-fine検出値、pilot-fine検出値、およびpilot-coarse検出値を、キャリア周波数補正値の生成に用いず、例えば、破棄する。これらの動作は、次のP1シンボルが検出されるまで続けられる。
補正制御部63には、補正をするための値として、サンプリング誤差検出部18からの誤差検出値が入力される。
補正制御部63も、一点鎖線で示される誤差検出値を一旦保持している。補正制御部63は、太線で示されるP1処理部61からT2/FEF判別結果を示す信号が入力されると、T2/FEF判別を行う。そして、補正制御部63は、P1処理部61からのT2/FEF判別結果がT2フレームであることを示す場合のみ保持した誤差検出値を、サンプリング誤差補正値の生成に適用する。また、補正制御部63は、T2/FEF判別結果がT2フレームであることを示さない場合は、保持していた誤差検出値をサンプリング誤差補正値の生成に用いず、例えば、破棄する。これらの動作は、次のP1シンボルが検出されるまで続けられる。
ここで、図7の例において、各部に入力される点線は、各部の動作する、しないを制御するenableまたはdisableを示すフラグの信号を表しており、各部においては、OFDM時間領域信号のI成分とQ成分とともに前段から入力されて後段に出力される。図示せぬ前段より入力されるこの信号により、受信装置51の各部が、入力される信号のうちのどの信号を処理するかが制御される。
フラグ生成部64は、キャリア周波数補正部12とFFT演算部15の間に備えられ、P2処理部23からの入力がなければ、OFDM時間領域信号とともに、前段からのenableまたはdisableを示すフラグの信号をそのまま後段に出力している。フラグ生成部64は、P2処理部23からのFEF intervalとFEF lengthの値が入力されると、入力されるOFDM時間領域信号が、Mixedであるとし、その信号のうち、どの範囲がFEFであるかを判定する。フラグ生成部64は、FEFの範囲である場合には、disableを示すフラグを生成し、OFDM時間領域信号とともに、生成したフラグの信号をフラグ生成部64より後段の各部に出力する。
したがって、フラグ生成部64によりdisable信号が、フラグ生成部64より後段の各部に出力された場合、補正制御部62および63には、フラグ生成部64より後段の各部からの検出値は入力されない。すなわち、この場合、補正制御部62および63において、フラグ生成部64より後段の各部からの検出値を用いての処理は行われない。
図7のP2処理部23は、P2のOFDMシンボルに対応する信号を取得し、L1プレシグナリングおよびL1ポストシグナリングの復号を行うことにより、得られたL1プレシグナリングのうち、FEF intervalとFEF lengthの値を、フラグ生成部64に出力する。
[P1処理部の構成例]
図8は、P1処理部の構成例を示すブロック図である。
P1処理部61は、P1検出部71、遅延部72、周波数補正部73、FFT演算部74、CDS(Carrier Distribution Sequence)相関演算部75、デコード部76、および制御部77から構成される。P1検出部71には相関値演算部71Aが設けられ、デコード部76は、coarse補正/デスクランブル処理部81、DBPSK復調部82、S1復号部83、およびS2復号部84から構成され、制御部77には、T2/FEF判別部77Aが設けられる。
キャリア周波数補正部12からのOFDM信号が入力信号としてP1検出部71と遅延部72に供給される。入力信号は、実軸成分(I成分)と虚軸成分(Q成分)を含む複素信号であり、FFT演算がされる前の、時間領域のOFDM信号である。
P1検出部71は、相関値演算部71Aにおいて入力信号の区間毎の相関値を算出し、P1シンボルを検出する。相関値演算部71Aにより行われる相関値の算出についての詳細は図9を参照して後述する。
P1検出部71は、区間毎の相関値に基づいてP1シンボルを検出した場合、P1シンボルの位置を基準としてFFT演算の開始位置を設定し、設定した位置(トリガ位置)を表す信号をFFT演算部74に出力する。このトリガ位置を表す信号は、図7のFFT演算部15にも出力される。
また、P1検出部71は、キャリア間隔内の周波数誤差(fine carrier frequency offset)を検出し、周波数誤差を表す情報であるP1-fine検出値を周波数補正部73に出力する。DVB-T2規格のインプリメンテーションガイドライン(Implementation Guidelines(ETSI TR 102 831 : IG))によれば、P1シンボルによって、±0.5×サブキャリア間隔の精度の「細かい」周波数誤差の検出が可能である。このP1-fine検出値は、図7の補正制御部62にも出力される。
遅延部72は、入力信号として供給されたOFDM信号を、P1検出部71によるP1シンボルの検出等にかかる時間だけ遅延させ、周波数補正部73に出力する。
周波数補正部73は、P1検出部71から供給されたP1-fine検出値に基づいて、遅延部72から供給されたOFDM信号の周波数誤差を補正し、補正後のOFDM信号をFFT演算部74に出力する。
FFT演算部74は、P1検出部71により設定されたトリガ位置を開始位置として、周波数補正部73から供給されたOFDM信号(有効シンボル長のシンボル)のFFT演算を行う。FFT演算により、サブキャリアで送信されてきたデータ、すなわち、IQコンスタレーション上のシンボルを表すOFDM信号が得られる。FFT演算が施されることによって得られた周波数領域のOFDM信号はCDS相関演算部75に供給される。
CDS相関演算部75は、FFT演算部74から供給されたOFDM信号の電力を持つサブキャリアの系列と既知系列(CDS)との相関値を算出する。P1シンボルの信号にFFT演算を施して得られた周波数領域のOFDM信号においては、電力を持つサブキャリアが、既知系列で定められた周波数のみに振り分けられている。既知系列についての詳細は図12を参照して後述する。
CDS相関演算部75は、算出した相関値に基づいてP1シンボルを検出する。例えば、既知系列との相関値が最大となる、電力を持つサブキャリアの系列の区間がP1シンボルの区間として検出される。
以下、適宜、P1検出部71の相関値演算部71Aにより算出された時間領域のOFDM信号の区間毎の相関値を信号区間相関値といい、CDS相関演算部75により算出された相関値をCDS相関値という。また、信号区間相関値の最大値を信号区間相関ピーク値といい、CDS相関値の最大値をCDS相関ピーク値という。
また、CDS相関演算部75は、FFT演算部74から供給されたOFDM信号がP1シンボルの信号である場合、キャリアごとの周波数誤差(coarse carrier frequency offset)を検出する。DVB-T2規格のImplementation Guidelines(ETSI TR 102 831:IG)によれば、P1シンボルの既知系列との相関性を利用して、サブキャリア間隔の単位での「粗い」周波数誤差の検出が可能である。
CDS相関演算部75は、FFT演算後のOFDM信号と、検出した周波数誤差を表す情報であるP1-coarse補正値をcoarse補正/デスクランブル処理部81に出力する。このP1-coarse検出値は、図7の補正制御部62にも出力される。
coarse補正/デスクランブル処理部81は、CDS相関演算部75から供給されたOFDM信号の周波数誤差をcoarse補正値に基づいて補正し、デスクランブル等の処理を施して得られたOFDM信号をDBPSK復調部82に出力する。
DBPSK復調部82は、coarse補正/デスクランブル処理部81から供給されたOFDM信号にDBPSK復調を施す。DBPSK復調部82は、DBPSK復調によって得られた信号点の系列のうち、P1シンボルに含まれるS1の部分の系列をS1復号部83に出力し、S2の部分の系列をS2復号部84に出力する。なお、DBPSK復調の結果を硬判定して得られた1,0のビット列がDBPSK復調部82から出力され、S1とS2の復号に用いられるようにしてもよい。
S1復号部83は、DBPSK復調部82から供給された信号点の系列と、DVB-T2規格で規定されている、3ビットのS1に対応する8種類の既知シーケンスのそれぞれとの相関値を算出する。S1復号部83は、8種類のうちの、最大の相関値が求められた既知シーケンスに対応する3ビットの値をS1として選択し、出力する。
S2復号部84は、DBPSK復調部82から供給された信号点の系列と、DVB-T2規格で規定されている、4ビットのS2に対応する16種類の既知シーケンスのそれぞれとの相関値を算出する。S2復号部84は、16種類のうちの、最大の相関値が求められた既知シーケンスに対応する4ビットの値をS2として選択し、出力する。
S1復号部83から出力されたS1とS2復号部84から出力されたS2に基づいて、後段の回路において各種の処理が行われる。S1復号部83から出力されたS1とS2復号部84から出力されたS2は、制御部77のT2/FEF判別部77Aにも出力される。
制御部77は、図8に示す構成を含む受信装置1の全体の動作を制御する。例えば、受信するチャンネルが制御部77により制御される。制御部77は、T2/FEF判別部77Aにおいて、S1復号部83から出力されたS1とS2復号部84から出力されたS2を用いて、現在受信中の信号が、T2フレームであるか、FEFであるかを判別し、そのT2/FEF判別結果を表す信号を、図7の補正制御部62および63に出力する。
[相関値演算部の構成例]
図9は、P1検出部71の相関値演算部71Aの構成を示すブロック図である。
図9には、相関値演算部71Aの構成のうちのI成分の相関値を求める構成を示している。Q成分の相関値を求める構成も、図9に示す構成と同様の構成を有している。
相関値演算部71Aは、周波数シフト部91、遅延部92、乗算部93、移動平均算出部94、遅延部95、遅延部96、乗算部97、移動平均算出部98、および乗算部99から構成される。相関値演算部71Aの各部においては、入力されたOFDM信号の所定の区間毎に、対象とする区間を順次切り替えて処理が行われる。
周波数シフト部91は、入力信号と信号e-j2πfSHtを乗算することにより、周波数fSHだけ低くなるように入力信号の周波数変換を行う。処理対象になっている区間がP1シンボルの区間である場合、図4の信号Cと信号Bの周波数が、コピー元の信号の周波数と同一の周波数になる。図4を参照して説明したように、P1シンボルを構成する有効シンボルの前側にコピーされた信号Cは、コピー元の信号を周波数fSHだけ高くした信号である。また、有効シンボルの後ろ側にコピーされた信号Bは、コピー元の信号を周波数fSHだけ高くした信号である。
周波数シフト部91は、周波数変換を施した入力信号を遅延部92と乗算部97に出力する。
遅延部92は、周波数シフト部91から供給された入力信号を、P1シンボルの信号Cの時間(長さ)と同じ時間Tcだけ遅延させ、遅延させた信号を乗算部93に出力する。
乗算部93は、入力信号s1と、遅延部92から供給された信号s2を乗算し、乗算結果を表す信号を移動平均算出部94に出力する。
移動平均算出部94は、乗算部93による乗算結果の移動平均値を求め、求めた移動平均値を表す信号を、相関値を表す信号s4として遅延部95に出力する。
遅延部95は、自身が出力する信号s6が、移動平均算出部98が出力する信号s5と同時に乗算部99に入力されるように、移動平均算出部94から供給された信号s4を遅延させる。遅延部95は、遅延後の信号s6を乗算部99に出力する。
遅延部96は、入力信号を、P1シンボルの信号Bの時間と同じ時間Tbだけ遅延させ、遅延させた信号s3を乗算部97に出力する。
乗算部97は、周波数シフト部91から供給された信号と、遅延部96から供給された信号s3を乗算し、乗算結果を表す信号を移動平均算出部98に出力する。
移動平均算出部98は、乗算部97による乗算結果の移動平均値を求め、求めた移動平均値を表す信号を、相関値を表す信号s5として乗算部99に出力する。
乗算部99は、遅延部95から供給された信号s6と移動平均算出部98から供給された信号s5を乗算し、乗算結果を表す信号s7を出力する。乗算部99から出力された信号に基づいて、P1検出部71の図示せぬ他の構成において、相関値のピーク値である信号区間相関ピーク値、FFTのトリガ位置、およびP1-fine補正値がそれぞれ求められ、各部に供給される。
図10は、図9の各部において得られる信号の例を示す図である。
図10の最上段に示す信号s1は、入力信号として図9の相関値演算部71Aに入力されたP1シンボルの信号である。信号Cの開始位置を先頭とする信号s1が入力された場合、2段目に示す信号s2が遅延部92から出力される。また、3段目に示す信号s3が遅延部96から出力される。信号s2は、信号s1を時間Tcだけ遅延させた信号であり、信号s3は、信号s1を時間Tbだけ遅延させた信号である。
最上段に示す信号s1と2段目に示す信号s2の乗算が乗算部93により行われ、その乗算結果の移動平均値が移動平均算出部94により算出されることによって、信号s3の下に示すような波形を有する信号s4が得られる。
図10に示すように、信号s4は、入力信号の有効シンボルAの開始位置(信号Cの終了位置)からTcの区間で増加し、その後、Tr-Tcの区間で一定となり、その後、Tcの区間で減少する波形の信号になる。Trは、図11の右側に示すように有効シンボルAの長さである。
また、最上段に示す信号s1と3段目に示す信号s3の乗算が乗算部97により行われ、その乗算結果の移動平均値が移動平均算出部98により算出されることによって、信号s4の下に示すような波形を有する信号s5が得られる。
信号s5は、入力信号の有効シンボルAの終了位置(信号Bの開始位置)からTbの区間で増加し、その後、Tr-Tbの区間で一定となり、その後、Tbの区間で減少する波形の信号になる。
図11は、入力信号とTcだけ遅延させた入力信号との相関値を表す信号、入力信号とTbだけ遅延させた入力信号との相関値を表す信号、および、その2つの信号を乗算することによって求められた相関値(信号区間相関値)を表す信号の波形を示す図である。
図10の信号s4が遅延部95においてTaだけ遅延されることにより、図11の上段に波形を示す信号s6が得られる。信号s6と信号s5の乗算が乗算部99により行われることによって、下段に示す信号s7が得られる。なお、図11においては、Kの値を30サンプルとして、信号Cの時間Tcと信号Bの時間Tbの差は2Kで表される。
すなわち、図8のP1検出部71においては、相関値演算部71Aにより求めた図11の信号s7に基づいて、信号区間相関ピーク値が検出された位置が、T2フレームの先頭として設定される。
図12は、P1シンボルのOFDM信号のパワーを示す図である。
図12の横軸は、周波数としてのキャリアインデクスを表し、縦軸は、サブキャリアのパワーを表す。サブキャリアを示す上向きの矢印のうち、長い矢印はデータが割り当てられている、電力を持つサブキャリア(Active Carrier)を表し、短い矢印はデータが割り当てられていない、電力を持たないサブキャリア(Unused Carrier)を表す。
図12に示すように、P1シンボルのOFDM信号は、853本のサブキャリアを有効なサブキャリアとして有し、DVB-T2規格では、その853本のサブキャリアのうちの、384本のサブキャリアにデータが割り当てられている。
CDS相関演算部75においては、このような既知系列を用いてCDS相関値が算出され、例えば、既知系列との相関値が最大となる、電力を持つサブキャリアの系列の区間がP1シンボルの区間として検出される。
DBPSK復調部82は、coarse補正/デスクランブル処理部81から供給されたOFDM信号にDBPSK復調を施すことによって得られた信号点の系列のうち、P1シンボルに含まれるS1の部分の系列をS1復号部83に出力し、S2の部分の系列をS2復号部84に出力する。なお、DBPSK復調の結果を硬判定して得られた1,0のビット列がDBPSK復調部82から出力され、S1とS2の復号に用いられるようにしてもよい。
[初期スキャンの流れ]
ここで、図13および図14のフローチャートを参照して、受信装置51により行われる初期スキャン時の処理について説明する。
図13および図14は、DVB-T2規格のImplementation Guidelines(ETSI TR 102 831:IG)のindex Figure 74に記載されている初期スキャン(Initial Scan)時の一部の処理を示す。初期スキャンは、例えば初めて電源が投入されたときやチャンネルが変更されたちきなどに、T2/FEFを判別するためなどに行われる。
ステップS1において、制御部77は、図示せぬチューナを制御し、6MHz、7MHz、8MHzなどの複数の帯域幅の中から、受信するチャンネルの帯域幅を選択する。
ステップS2において、制御部77は、受信するチャンネルの中心周波数を設定する。チャンネルの帯域幅が選択され、その帯域幅のチャンネルの中心周波数が設定されたとき、OFDM信号がP1検出部71と遅延部72に入力される。
ステップS3において、P1検出部71は、相関値演算部71Aにおいて入力信号の区間毎の信号区間相関値を算出し、P1シンボルの検出を行う。
ステップS4において、P1検出部71は、P1シンボルが検出されたか否かを判定する。例えば、P1検出部71は、閾値以上の信号区間相関ピーク値が所定の区間において検出された場合、P1シンボルが検出されたものとして判定する。
P1シンボルが検出されたとステップS4において判定された場合、P1検出部71は、ステップS5において、信号区間相関ピーク値を検出し、検出された位置をT2フレームの先頭とする。P1検出部71は、P1シンボルの位置(T2フレームの先頭)を基準としてFFT演算の開始位置を設定し、FFT演算の開始位置を表すトリガ位置の信号を、FFT演算部74およびFFT演算部15に出力する。また、P1検出部71は、キャリア間隔内の周波数誤差を検出し、P1-fine検出値を周波数補正部73および補正制御部62に出力する。
遅延部72において遅延され、P1-fine検出値に基づいて周波数補正部73により周波数誤差が補正されたOFDM信号はFFT演算部74に供給される。
ステップS6において、FFT演算部74は、P1検出部71からのトリガ位置に基づいて、周波数補正部73から供給されたP1シンボルのOFDM信号を対象としてFFT演算を行う。FFT演算によって得られた周波数領域のOFDM信号はCDS相関演算部75に供給される。
ステップS7において、CDS相関演算部75は、FFT演算後のOFDM信号と既知系列に基づいてCDS相関値を算出し、P1シンボルを検出する。
ステップS8において、CDS相関演算部75は、CDS相関ピーク値が閾値以上であり、P1シンボルが検出されたか否かを判定する。
CDS相関ピーク値が閾値未満であるとステップS8において判定された場合、または、P1シンボルが検出されていないとステップS4において判定された場合、ステップS9において、制御部77はタイムアウトであるか否かを判定する。
タイムアウトではないとステップS9において判定された場合、ステップS3に戻り、信号区間相関値に基づくP1シンボルの検出が繰り返される。1つのT2フレームの時間は最大で250msであり、受信中のチャンネルによってT2信号が伝送されている場合、250msに1回はP1シンボルが検出されることになる。従って、ここでは、P1シンボルの検出をステップS3において開始してからの時間が250msにマージンを加えた所定の時間を経過した場合、タイムアウトであると判定され、その所定の時間を経過していない場合、タイムアウトではないと判定される。
タイムアウトであるとステップS9において判定された場合、ステップS10において、制御部77は、設定していない中心周波数が残っているか否かを判定する。
設定していない中心周波数が残っているとステップS10において判定した場合、ステップS2に戻り、制御部77は、新たな周波数を中心周波数として設定し、以上の処理を繰り返す。
一方、設定していない中心周波数が残っていないとステップS10において判定した場合、ステップS11において、制御部77は、選択していない帯域幅が残っているか否かを判定する。
選択していない帯域幅が残っているとステップS11において判定した場合、ステップS1に戻り、制御部77は、新たな帯域幅を選択し、以上の処理を繰り返す。
一方、選択していない帯域幅が残っていないとステップS11において判定した場合、制御部77は初期スキャンを終了する。
CDS相関ピーク値が閾値以上であり、P1シンボルが検出されたとステップS8において判定された場合、ステップS12において、CDS相関演算部75は、CDS相関値に基づいてキャリアごとの周波数誤差を検出する。また、CDS相関演算部75は、FFT演算後のOFDM信号とP1-coarse補正値をcoarse補正/デスクランブル処理部81に出力する。このP1-coarse補正値は、補正制御部62にも出力される。
ステップS13において、coarse補正/デスクランブル処理部81は、P1-coarse補正値に基づいてOFDM信号の周波数誤差を補正し、デスクランブル等の処理を施す。
ステップS14において、デコード部76はS1,S2の復号を行う。すなわち、DBPSK復調部82は、周波数誤差の補正等がcoarse補正/デスクランブル処理部81により施されたOFDM信号を対象としてDBPSK復調を行う。S1復号部83とS2復号部84は、それぞれ、DBPSK復調部82から供給された信号点の系列と、既知シーケンスのそれぞれとの相関値を算出する。
ステップS15において、S1復号部83は、算出した相関値に基づいてS1を選択し、S2復号部84は、算出した相関値に基づいてS2を選択する。S1復号部83により選択されたS1と、S2復号部84により選択されたS2は、制御部77のT2/FEF判別部77Aにも供給される。
ステップS16において、制御部77は、T2/FEF判別部77Aにおいて、S1復号部83により選択されたS1が「00X」(Xは0または1)であるか否かを判定する。
図5Aを参照して上述したように、DVB-T2規格において、S1の3ビットが「00X」であることは、そのS1を含むフレームがT2フレームであることを表す。S1の3ビットが「00X」以外であることは、そのS1を含むフレームがT2フレームではなく、FEFであることを表す。
S1復号部83により選択されたS1が「00X」ではないとステップS16において判定された場合、ステップS17において、制御部77は、T2/FEF判別部77Aにおいて、S2復号部84により選択されたS2が「XXX1」であるか否かを判定する。
図5Bを参照して上述したように、DVB-T2規格において、S2の4ビットが「XXX1」であることは、いま受信しているチャンネルにはT2フレームとFEFが混在している(「Mixed」である)ことを表す。すなわち、いま、受信中の信号が、T2フレームとFEFが混在している信号のうちのFEFの部分であると判定される。
S1復号部83により選択されたS1が「00X」であるとステップS16において判定された場合、または、S2復号部84により選択されたS2が「XXX1」であるとステップS17において判定された場合、さらに処理が続けられる。
例えば、S1復号部83により選択されたS1が「00X」であるとステップS16において判定された場合、S2が「XXX1」であるか否かが判定される(図示せず)。この判定において、S2が「XXX1」ではないと判定された場合、受信中のチャンネルがT2信号のみを伝送しているチャンネルであると判断される。また、S2が「XXX1」であると判定された場合、受信中のチャンネルがT2信号とFEFが混在しているチャンネルであると判断される。すなわち、いま、受信中の信号が、T2フレームとFEFが混在している信号のうちのT2フレームの部分であると判定される。
その後、どちらの場合も、P2シンボルのL1プレシグナリングおよびL1ポストシグナリングを取得するための、SISO/MISOの情報やFFTサイズの情報の検出、ガードインターバルの検出取得などのセットアップ処理が行われ、P2シンボルが取得される。P2シンボルの取得がなされた後に、図13のステップS10に戻り、以上の処理が繰り返される。
例えば、S2復号部84により選択されたS2が「XXX1」であるとステップS17において判定された場合、さらに、次のP1シンボルが検出されて、検出された場合には、上述したS5乃至S15の処理が行われ、再度、S1が「00X」であるかが判定される。S1が「00X」である場合には、受信中のチャンネルがT2信号とFEFが混在しているチャンネルであると判定され、上述したP2シンボル取得のためのセットアップ処理が行われる。また、S1が「00X」ではない場合には、図13のステップS10に戻り、以上の処理が繰り返される。
一方、ステップS17において、S2が「XXX1」ではないと判定された場合、図13のステップS10に戻り、以上の処理が繰り返される。
図15は、図13および図14を参照して説明した初期スキャン時の処理のうち、T2/FEF判別部77Aの処理に注目したフローチャートである。
ステップS51において、T2/FEF判別部77Aは、S1復号部83により選択されたS1が「00X」であるか否かを判定する。S1復号部83により選択されたS1が「00X」であるとステップS51において判定された場合、T2/FEF判別部77Aは、ステップS52において、T2フレームであることを示す判別結果を生成し、その信号を、補正制御部62および63に出力する。
S1復号部83により選択されたS1が「00X」ではないとステップS51において判定された場合、ステップS53において、T2/FEF判別部77Aは、S2復号部84により選択されたS2が「XXX1」であるか否かを判定する。
S2復号部84により選択されたS2が「XXX1」であるとステップS53において判定された場合、T2/FEF判別部77Aは、ステップS54において、FEFであることを示す判別結果を生成し、その信号を、補正制御部62および63に出力する。
S2復号部84により選択されたS2が「XXX1」ではないとステップS53において判定された場合、T2/FEF判別部77Aは、ステップS55において、T2フレームでも、FEFでもないことを示す判別結果を生成し、その信号を、補正制御部62および63に出力する。
なお、図15の例においては、ステップS53において、S2が「XXX1」であるか否かを判定した後に、その判定結果に応じて、FEFであるか、T2フレームでもFEFでもないかを示す判別結果を出力する例を説明した。ただし、補正制御部62および63においては、少なくとも、T2フレームであるか否かがわかればよいので、ステップS51において、S1が「00X」ではないと判定された場合に、T2フレームではないことを示す判別結果を出力するようにしてもよい。
これらの判別結果を示す信号を受けた補正制御部62および63は、それぞれ次のように処理を行う。
図16は、補正制御部62における補正制御処理を説明するフローチャートである。なお、補正の内容と、入力される検出値は異なるが、補正制御部63においても基本的に同様な処理が行われる。
この処理は、補正制御部62がP1処理部61からP1-fine検出値を受けることにより、P1シンボルが検出されたとして開始される処理である。また、P1処理部61からP1-fine検出値およびP1-coarse検出値を受けて、補正制御部62は、それらを用いてキャリア周波数補正値も並行して生成している。なお、図7において図示はされないが、P1処理部61からのP1-fine検出値およびP1-coarse検出値に代わる、P1シンボルが検出されたことを示す何らかの信号が、補正制御部63にも入力されているものとする。
フラグ生成部64によりFEFであると判定されていない限り、GI相関演算部14からのGI-fine検出値、fine誤差検出部16からのpilot-fine検出値、coarse誤差検出部17からのpilot-coarse検出値は、入力される。すなわち、P2シンボルが取得され、FEF intervalとFEF lengthの値がフラグ生成部64に入力された後、それに基づいて、現在受信中の信号がFEFであるとされた場合には、それらの検出値が入力されないので、図16の補正制御処理は行われない。
ステップS71において、補正制御部62は、入力される検出値(GI相関演算部14からのGI-fine検出値、fine誤差検出部16からのpilot-fine検出値、coarse誤差検出部17からのpilot-coarse検出値)を保持する。すなわち、ステップS72において、補正制御部62は、T2フレームであるか否かが判定されるまで、入力される各検出値(P1-fine検出値およびP1-coarse検出値を除く)があれば、それを保持している。
その間に、P1処理部61において図13乃至図15を参照して説明した処理が行われて、T2/FEF判別部77AからT2/FEF判別結果の信号が入力される。補正制御部62は、ステップS72において、T2/FEF判別結果が、T2フレームであることを示しているか、すなわち、現在受信中の信号がT2フレームであるかを判定する。
ステップS72において、現在受信中の信号がT2フレームであると判定された場合、処理は、ステップS73に進み、補正制御部62は、キャリア周波数補正部12に対して、保持されている検出値を用いて、補正を行わせる。
すなわち、補正制御部62は、保持しているGI-fine検出値、pilot-fine検出値、およびpilot-coarse検出値を用いて、P1-fine検出値およびP1- coarse検出値による補正の誤差をさらに補正するキャリア周波数補正値を生成し、キャリア周波数補正部12に供給する。
その後、次のP1シンボルが受信され、次のこの処理(図16の処理)が開始されるまで、補正制御部62は、入力される各検出値を即時補正に適用することが可能である。
一方、ステップS72において、現在受信中の信号がT2フレームであると判定された場合、処理は、ステップS74に進み、補正制御部62は、保持しているGI-fine検出値、pilot-fine検出値、およびpilot-coarse検出値を破棄し、処理は終了される。すなわち、補正制御部62は、次のP1シンボルが受信され、次のこの処理が開始されるまで待機する。
図17は、T2/FEFの判別結果がでるまでの時間を説明する図であり、図18は、補正のタイミングを説明する図である。なお、図17および図18の例において、横軸は時間を表すものであり、図中の三角形は、所定のタイミングを示している。
三角形101は、P1検出部71において、P1(シンボル)を検出し、P1検出と同時に、P1-fine検出値が求められたタイミングであり、FFT演算が開始されるタイミングを示している。三角形102−1は、FFT演算部74によるFFT演算完了のタイミングであり、CDS相関演算部75により、P1-coarse検出値を求めるためのCDS相関演算が開始されるタイミングを示している。すなわち、三角形101と三角形102−1の間は、実装依存ではあるが、FFT処理時間を表している。
三角形102−2は、CDS相関演算部75によりP1-coarse検出値が求められたタイミングを示している。すなわち、三角形102−1と三角形102−2の間は、P1-coarse検出値の検出時間を表している。なお、この時間も、実装リソースや検出範囲によって変わるものである。
三角形103は、T2/FEF判別部77Aにより、S1,S2からT2/FEFの判別が完了したタイミングを示している。すなわち、三角形101と三角形103の間は、T2/FEF判別中である時間(T2/FEF未確定区間)を表している。
このように、三角形101と三角形102−1の間で表わされるFFT処理時間や、三角形102−1と三角形102−2の間で表わされるP1-coarse検出値の検出時間は、それぞれ実装によって変わるものではあるが、長い場合には、三角形103で示されるT2/FEFの判別完了タイミングが、P2シンボルの区間より後になってしまう。
そこで、図18に示されるように、三角形101に示されるP1-fine検出値が求められたタイミングでは、P1-fine検出値による補正が行われる。これに対して、三角形101と三角形103の間で表わされるT2/FEF判別中である時間では、P1処理部61以外の各部(GI相関演算部14、fine誤差検出部16、coarse誤差検出部17、およびサンプリング誤差検出部18)における誤差検出のみが行われる。そして、三角形103において、T2/FEFの判別完了したタイミングで、T2/FEF判別結果より、T2フレームであることがわかるので、補正制御部62および63は、三角形103で示されるタイミング以降に、それぞれ、三角形101と三角形103の間で誤差検出された検出値を適用する。
図19は、誤差の検出とその検出値を適用するタイミングを説明する図である。なお、図19の例において、図17および図18と対応する三角には対応する符号が付されている。
図19の例において、三角形111乃至114は、Gi-fine検出値、Pilot-fine検出値、pilot-coarse検出値、およびサンプリング誤差検出値の誤差検出タイミングをそれぞれ示しており、三角形121は、それらの各検出値を適用するタイミングをそれぞれ示している。また、三角形122は、P1-fine検出値を適用するタイミングを示している。
すなわち、P1処理部61からのP1-fine検出値は、三角形101が示すタイミングで検出され、その直後の三角形122が示すタイミングでキャリア周波数補正に適用される。
これに対して、GI相関演算部14からのGI-fine検出値は、三角形111−1および111−2に示されるように、三角形101と三角形103で表わされるT2/FEF判別中である時間で2度検出が行われ、補正制御部62に保持される。そして、三角形103において、T2/FEFの判別完了したタイミングで、T2/FEF判別結果よりT2フレームであることがわかるので、GI-fine検出値は、それ以降の三角形121−1に示されるタイミングで、補正制御部62によりキャリア周波数補正に適用される。なお、それ以降も、GI相関演算部14においては、三角形111−3、111−4、および111−5に示されるように、GI-fine検出値が検出されていくが、次のP1シンボルが検出されるまで、その適用は即時可能である。
fine誤差検出部16からのpilot-fine検出値は、三角形112−1に示されるように、三角形101と三角形103で表わされるT2/FEF判別中である時間で1度検出が行われ、補正制御部62に保持される。そして、三角形103において、T2/FEFの判別完了したタイミングで、T2/FEF判別結果よりT2フレームであることがわかるので、それ以降の三角形121−2に示されるタイミングで、pilot-fine検出値は、補正制御部62によりキャリア周波数補正に適用される。なお、それ以降も、fine誤差検出部16においては、三角形112−2、112−3、および112−4に示されるように、pilot-fine検出値が検出されていくが、次のP1シンボルが検出されるまで、その適用は即時可能である。
coarse誤差検出部17からのpilot-coarse検出値は、三角形113−1および113−2に示されるように、三角形101と三角形103で表わされるT2/FEF判別中である時間で2度検出が行われ、補正制御部62に保持される。そして、三角形103において、T2/FEFの判別完了したタイミングで、T2/FEF判別結果よりT2フレームであることがわかるので、pilot-coarse検出値は、それ以降の三角形121−3に示されるタイミングで、補正制御部62によりキャリア周波数補正に適用される。なお、それ以降も、coarse誤差検出部17においては、三角形113−3、113−4、および113−5に示されるように、pilot-coarse検出値が検出されていくが、次のP1シンボルが検出されるまで、その適用は即時可能である。
サンプリング誤差検出部18からの誤差検出値は、三角形114−1に示されるように、三角形101と三角形103で表わされるT2/FEF判別中である時間で1度検出が行われ、補正制御部63に保持される。そして、三角形103において、T2/FEFの判別完了したタイミングで、T2/FEF判別結果よりT2フレームであることがわかるので、それ以降の三角形121−4に示されるタイミングで、誤差検出値は、補正制御部63によりサンプリング誤差補正に適用される。なお、それ以降も、サンプリング誤差検出部18においては、三角形114−2、114−3、および114−4に示されるように、誤差検出値が検出されていくが、次のP1シンボルが検出されるまで、その適用は即時可能である。
なお、図19の例においては、GI-fine検出値とpilot-coarse検出値は、三角形101と三角形103で表わされるT2/FEF判別中である時間で2度検出が行われている。すなわち、1OFDMシンボルに1回検出値が取得でき、かつ、S1,S2の値が得られるまでに2 OFDMシンボル分以上遅延がある場合には、図19のGI-fine検出値とpilot-coarse検出値のように、複数回検出値が取得できる。
ここで、GI-fine検出値、pilot fine検出値、pilot-coarse検出値などによるキャリア周波数補正や、誤差検出値によるサンプリング周波数補正は、累算による検出値の平均化により雑音の影響を低減できるという特徴がある。
したがって、これらの検出値に累算による平均化処理を行うことにより、応分の誤差検出値の精度向上が可能になる。したがって、T2/FEF未確定区間における誤差検出のための検出機会の損失を回避することができる。
以上のように、本発明においては、T2/FEF未確定区間においては、誤差の検出だけを行い、T2フレームであると判定したときに、検出した検出値を、誤差の補正に用いるようにした。
従来、「Mixed」の信号を受信する場合、P1パイロットに含まれるS1およびS2の値を取得するまでの間は、現在受信中の信号がFEFである可能性があるため、キャリア周波数誤差の補正と、サンプリング周波数誤差の補正が制限されていた。
特に、P2シンボルには、通常のシンボルより多くのパイロットが含まれており、また、パイロットパターンによらず、一定の間隔でパイロットが挿入されているためパイロットを利用した誤差検出において、より精度の高い補正が本来可能ではある。しかしながら、フレームの先頭部分でT2かFEFかわからないために、これが利用できないことは、受信開始直後の耐雑音性能や安定した同期引き込みに影響を与えていた。
そこで、本発明によれば、T2/FEF未確定区間においても、T2フレーム受信中と同様に誤差の検出を行うことができ、T2フレームであると判定したときに適用することができるので、「Mixed」の信号受信中に起きる、上述した制限を回避、または軽減することができる。
以上により、T2フレーム以外の信号が含まれている信号を受信する場合にも、受信開始時における安定性と耐雑音性能の向上を実現することができる。
なお、上記説明においては、T2フレームとFEF部の少なくとも1つが含まれる信号が受信される例を説明したが、本発明は、T2フレームやFEF部に限定されず、また、含まれる信号は2つに限定されない。すなわち、本発明は、異なる構造を有する複数の信号が少なくとも1つ含まれる信号を受信し、各信号を取り出す装置に適用することができる。
[変形例]
図20は、本発明の受信装置を適用した受信システムの第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図20の受信システムは、取得部201、伝送路復号処理部202、および情報源復号処理部203から構成される。
取得部201は、地上デジタル放送、衛星デジタル放送、CATV網、インターネットその他のネットワーク等の図示せぬ伝送路を介して信号を取得し、伝送路復号処理部202に供給する。
伝送路復号処理部202は、取得部201が伝送路を介して取得した信号に対して、誤り訂正を含む伝送路復号処理を施し、その結果得られる信号を情報源復号処理部203に供給する。図7の受信装置51は伝送路復号処理部202に含まれる。
情報源復号処理部203は、伝送路復号処理が施された信号に対して、圧縮された情報を元の情報に伸張し、送信対象のデータを取得する処理を含む情報源復号処理を施す。
すなわち、取得部201が伝送路を介して取得した信号には、画像や音声等のデータ量を少なくするために、情報を圧縮する圧縮符号化が施されていることがある。その場合、情報源復号処理部203は、伝送路復号処理が施された信号に対して、圧縮された情報を元の情報に伸張する処理等の情報源復号処理を施す。
なお、取得部201が伝送路を介して取得した信号に圧縮符号化が施されていない場合、情報源復号処理部203では、圧縮された情報を元の情報に伸張する処理は行われない。ここで、伸張処理としては、例えば、MPEGデコード等がある。また、情報源復号処理には、伸張処理の他、デスクランブル等が含まれることがある。
図20の受信システムは、例えば、デジタルテレビジョン放送を受信するテレビチューナ等に適用することができる。なお、取得部201、伝送路復号処理部202、および情報源復号処理部203は、それぞれ、1つの独立した装置(ハードウェア(IC(Integrated Circuit)等))、又はソフトウェアモジュール)として構成することが可能である。
また、取得部201、伝送路復号処理部202、および、情報源復号処理部203については、それらの3つのセットを1つの独立した装置として構成することが可能である。取得部201と伝送路復号処理部202とのセットを1つの独立した装置として構成することも可能であるし、伝送路復号処理部202と情報源復号処理部203とのセットを1つの独立した装置として構成することも可能である。
図21は、本発明の受信装置を適用した受信システムの第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図21に示す構成のうち、図20に示す構成と対応する構成については、同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図21の受信システムの構成は、取得部201、伝送路復号処理部202、および情報源復号処理部203を有する点で図20の構成と共通し、出力部211が新たに設けられている点で図20の構成と相違する。
出力部211は、例えば、画像を表示する表示装置や音声を出力するスピーカであり、情報源復号処理部203から出力される信号としての画像や音声等を出力する。すなわち、出力部211は、画像を表示し、あるいは、音声を出力する。
図21の受信システムは、例えば、デジタル放送としてのテレビジョン放送を受信するTVや、ラジオ放送を受信するラジオ受信機等に適用することができる。
なお、取得部201において取得された信号に圧縮符号化が施されていない場合、伝送路復号処理部202が出力する信号が、直接、出力部211に供給される。
図22は、本発明の受信装置を適用した受信システムの第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図22に示す構成のうち、図20に示す構成と対応する構成については同一の符号を付してあり、その説明は適宜省略する。
図22の受信システムの構成は、取得部201、および伝送路復号処理部202を有する点で図20の構成と共通し、情報源復号処理部203が設けられておらず、記録部221が新たに設けられている点で図20の構成と相違する。
記録部221は、伝送路復号処理部202が出力する信号(例えば、MPEGのTSのTSパケット)を、光ディスクや、ハードディスク(磁気ディスク)、フラッシュメモリ等の記録(記憶)媒体に記録する(記憶させる)。
以上のような図22の受信システムは、テレビジョン放送を録画するレコーダ機器等に適用することができる。
なお、情報源復号処理部203を設け、情報源復号処理部203で情報源復号処理が施された後の信号、すなわち、デコードによって得られる画像や音声を記録部221で記録するようにしてもよい。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
図23は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
CPU(Central Processing Unit)251、ROM(Read Only Memory)252、RAM(Random Access Memory)253は、バス254により相互に接続されている。
バス254には、さらに、入出力インタフェース255が接続されている。入出力インタフェース255には、キーボード、マウスなどよりなる入力部256、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部257が接続される。また、入出力インタフェース255には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部258、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部259、リムーバブルメディア261を駆動するドライブ260が接続される。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU251が、例えば、記憶部258に記憶されているプログラムを入出力インタフェース255及びバス254を介してRAM253にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
CPU251が実行するプログラムは、例えばリムーバブルメディア261に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供され、記憶部258にインストールされる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。