以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[伝送フォーマット]
図1は、802.11ahにおいて使用される伝送フォーマット(信号の送信モード)を示す。図1において、横軸は時間領域を表し、縦軸は周波数領域を表す。
伝送フォーマットは、大きく分けて4つある。具体的には、1MHzフォーマット、1MHz Duplicateフォーマット(Duplicateモードとも呼ばれることもある)、2MHz shortフォーマット、2MHz longフォーマットである。
具体的には、1MHzフォーマットは、1MHz帯域幅を使用し、STF、LTF1、SIG、LTF2〜LTFN及びDATAから構成される。
1MHz Duplicateフォーマットは、1MHzの同じフレームパケットを2つ多重して、2MHz幅を使用する。
2MHz shortフォーマットは、2MHz帯域幅を使用する。2MHz shortフォーマットは、STF、LTF1、SIG、LTF2〜LTFN及びDATAから構成される。
2MHz longフォーマットは、2MHz帯域幅を使用する。2MHz longフォーマットは、STF、LTF1、SIG−A、D−STF、D−LTF1〜D−LTFN、SIG−B及びDATAから構成される。
また、図1に示すように、各伝送フォーマットは、先頭から、プリアンブル(STF及びLTF)と、データフィールドの制御情報(SIGNAL情報)が多重されたシグナルフィールド(SIG)と、データ(ペイロード)が多重されたデータフィールド(DATA)とが時分割多重されて構成される。
先頭のSTFには、周期TSの固定パターンのSTS(Short Training Symbol)が1MHzフォーマットでは20回、2MHzフォーマットでは10回繰り返して配置される。すなわち、2MHzフォーマットのSTS数は、1MHzフォーマットのSTS数の半分である。STFは、AGC、粗調整のAFC又はパケット検出に用いられる。
STFの後のLTFには、周期TLの固定パターンLTS(Long Training Symbol)が1MHzフォーマットでは4回、2MHzでは2回繰り返して配置される。すなわち、2MHzフォーマットのLTS数は、1MHzフォーマットのLTS数の半分である。また、LTFの先頭またはLTS間には、ロングプリアンブル部分のガードインターバルが付加される。
LTFの後には、ペイロード部分を復調するための情報(変調方式等)などを伝送するシグナルフィールド(SIG)が配置され、その後にペイロード(DATA)が配置される。
また、802.11ahでは、信号はOFDMにより変調されており、図2に示すように、周波数領域においてPSK(Phase Shift Keying)又はQAM(Quadrature Amplitude Modulation)を用いてマッピングされたサブキャリアが配置されている。
[実施の形態1]
[無線通信装置100の構成]
図3は、本実施の形態に係る無線通信装置100の構成を示したブロック図である。無線通信装置100は、例えば、802.11ahに準拠した通信を行う通信装置である。図3は無線通信装置100における物理層の受信処理を行う回路の構成を示す。
図3に示す無線通信装置100は、チューナ101、判定部102、同期部103、FFT(Fast Fourier Transform)部104、等化部105、誤り訂正部106から構成される。
チューナ101は、無線通信を行う周波数帯に同調を取る選局処理を行う。チューナ101は、選局処理の際、無線通信装置100と通信を行う相手側の通信機が1MHz又は2MHzの何れを用いて信号を送信しているのか不明である場合、チューナ101の受信帯域を2MHzに設定して受信処理を行う。
図4は、チューナ101が受信する受信信号における802.11ahに準拠した信号(OFDM信号)の周波数スペクトルの配置を示す。図4に示すように、802.11ahでは、4通りの周波数スペクトルの配置モードが想定される。具体的には、図4Aは、2MHz帯域内の下位1MHz帯域にOFDM信号11が配置されている場合(以下、「1L」と表すこともある)を示す。図4Bは、2MHz帯域内の上位1MHz帯域にOFDM信号12が配置されている場合(以下、「1U」と表すこともある)を示す。図4Cは、2MHz帯域内の下位1MHz帯域にOFDM信号11が配置され、上位1MHz帯域に、OFDM信号11と同一のOFDM信号12が配置されているDuplicateモードの場合(以下、「1D」と表すこともある)を示す。図4Dは、2MHz帯域内に2MHz帯域のOFDM信号13が配置されている場合(以下、「2C」と表すこともある)を示す。すなわち、図4A、図4Bは、2つの帯域の何れか1つを用いる1MHzフォーマットに対応し、図4Cは、2つの帯域を用いる1MHz Duplicateフォーマットに対応し、図4Dは、2つの帯域を用いる2MHz(short/long)フォーマットに対応する。受信信号は、上記伝送フォーマットの何れか1つを用いて送信されている。
判定部102は、チューナ101から受け取る受信信号内のプリアンブル(STF、LTF)に相当する区間を用いて、受信信号の送信モード(伝送フォーマット)を判定する。なお、判定部102における送信モードの判定処理の詳細な説明については後述する。
同期部103、FFT部104、等化部105及び誤り訂正部106は、判定部102によって判定された送信モード(伝送フォーマット)に従って、以下の各種処理を行う。
同期部103は、チューナ101から受け取る受信信号内の、802.11ahのフレーム内にあるプリアンブルを用いて、FFT処理行うタイミングを検出する。
FFT部104は、同期部103において検出されたタイミングで受信信号に対してFFT処理を行う。
等化部105は、FFT処理後の信号に対して等化処理を行う。
誤り訂正部106は、等化処理後の信号に対して、誤り訂正処理を行う。
[判定部102の動作]
次に、図3に示す無線通信装置100の判定部102における送信モードの判定方法の詳細について説明する。
図5は、判定部102の内部構成を表すブロック図である。
図5に示す判定部102は、パターンマッチング部201−1〜201−4、及び、送信モード判定部202から構成される。
パターンマッチング部201−1〜201−4は、図4に示す4通りの周波数スペクトルの配置モード(1L、1U、1D、2C)にそれぞれ対応する。パターンマッチング部201−1〜201−4は、対応する周波数スペクトルの配置モードにおけるプリアンブル(STF、LTF)の受信波形を表すパターン(プリアンブルパターン1〜4)を予め保持する。そして、パターンマッチング部201−1〜201−4は、チューナ101から受け取る受信信号と、保持しているプリアンブルパターンとのパターンマッチング処理を行い、パターンマッチングの結果(相関値)を送信モード判定部202へ出力する。
送信モード判定部202は、パターンマッチング部201−1〜201−4からそれぞれ受け取るパターンマッチング処理の結果を用いて、受信信号に用いられている周波数スペクトルの配置モードを判定する。すなわち、送信モード判定部202は、受信信号との相関値が最も高いプリアンブルパターンに対応する伝送フォーマット(周波数スペクトルの配置モード)が受信信号に用いられていると判定する。送信モード判定部202は、判定結果である送信モード(配置モード)を同期部103、FFT部104、等化部105、誤り訂正部106にそれぞれ出力する。
図6は、図4A〜図4Dに示す周波数スペクトルの配置モードにそれぞれ対応するプリアンブル(STF及びLTF)の受信波形の一例を示す。
図6に示すように、周波数スペクトルの配置モードによってプリアンブルのパターンには差異が生じることが分かる。これは、送信側がプリアンブルとして同一の信号を送信していたとしても、図4A〜図4Dに示す周波数スペクトルの配置によって、受信側におけるプリアンブルのパターンが異なることを意味する。
すなわち、判定部102では、受信信号のプリアンブルの波形が、互いに異なるプリアンブルパターンの何れに一致するかを特定することにより、送信モードを判定することができる。
こうすることで、無線通信装置100では、各種受信処理(同期部103、FFT部104、等化部105、誤り訂正部106の処理)を行う前に、送信モードを識別することができる。よって、本実施の形態によれば、送信モードの判定処理に要する処理時間が長くなってしまうことを防ぐことができる。
さらに、本実施の形態によれば、受信処理を行う前に送信モードを判定するので、特許文献1のように受信動作を再試行する場合に受信するデータを全て記憶する必要が無いので、大容量のメモリを必要としない。
よって、本実施の形態によれば、IEEE802.11ahに基づいて通信において、送信モードの検出を精度良く行い、通信効率を向上させることができる。
[実施の形態2]
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、無線通信装置100(図3)の判定部の動作が異なる。
図7は、本実施の形態に係る判定部102aの内部構成を示すブロック図である。なお、図7において、実施の形態1(図5)と同一処理を行う構成部には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7に示す判定部102aにおいて、下位抽出部301は、2MHz帯域の受信信号のうち、下位の1MHz帯域の成分のみを通過させる帯域制限を行うことにより、下位1MHzの信号を抽出する。下位抽出部301は、抽出した信号をパターンマッチング部201−1に出力する。
上位抽出部302は、2MHz帯域の受信信号のうち、上位の1MHz帯域の成分のみを通過させる帯域制限を行うことにより、上位1MHzの信号を抽出する。上位抽出部302は、抽出した信号をパターンマッチング部201−2に出力する。
本実施の形態では、パターンマッチング部201−1は、周波数スペクトルの配置モード1L(図4A参照)に対応し、パターンマッチング部201−2は、周波数スペクトルの配置モード1U(図4B参照)に対応する。また、パターンマッチング部201−3、201−4は、周波数スペクトルの配置モード1D,2Cの何れかにそれぞれ対応する。
パターンマッチング部201−1〜201−4は、実施の形態1と同様、入力される信号に対してパターンマッチング処理を行う。すなわち、パターンマッチング部201−1は、下位1MHz帯域の信号と、配置モード1Lに対応するプリアンブルパターンとのパターンマッチング処理を行う。また、パターンマッチング部201−2は、上位1MHz帯域の信号と、配置モード1Uに対応するプリアンブルパターンとのパターンマッチング処理を行う。
図8A〜図8Dは、本実施の形態に係る下位抽出部301及び上位抽出部302の動作を示す図である。
図8Aは、周波数スペクトルの配置モード1Lを用いた場合の受信信号の周波数スペクトルを示す。図8Aでは、下位1MHzの帯域(信号帯域)に所望のOFDM信号11が含まれ、上位1MHzの帯域に雑音成分21が含まれる。
これに対して、図8Bに示すように、下位抽出部301は、下位1MHzの帯域のみを通過させる帯域制限51を行う。これにより、図8Bに示すように、下位1MHzの信号帯域のOFDM信号11はそのまま通過し、上位1MHzの帯域では、雑音成分21が抑圧されて雑音成分22となる。
よって、パターンマッチング部201−1は、想定する信号帯域(1L)以外の帯域成分が抑圧された受信信号と、配置モード1Lのプリアンブルパターンとのパターンマッチング処理を行うことができる。これにより、パターンマッチング部201−1における配置モード1Lに関するパターンマッチングの精度を向上させることができる。
同様に、図8Cは、周波数スペクトルの配置モード1Uを用いた場合の受信信号の周波数スペクトルを示す。図8Cでは、上位1MHzの帯域(信号帯域)に所望のOFDM信号12が含まれ、下位1MHzの帯域に雑音成分23が含まれる。
これに対して、図8Dに示すように、上位抽出部302は、上位1MHzの帯域のみを通過させる帯域制限52を行う。これにより、図8Dに示すように、上位1MHzの信号帯域のOFDM信号12はそのまま通過し、下位1MHzの帯域では、雑音成分23が抑圧されて雑音成分24となる。
よって、パターンマッチング部201−2は、想定する信号帯域(1U)以外の帯域成分が抑圧された受信信号と、配置モード1Lのプリアンブルパターンとのパターンマッチング処理を行うことができる。これにより、パターンマッチング部201−2における配置モード1Uに関するパターンマッチングの精度を向上させることができる。
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様、IEEE802.11ahに基づいて通信において、送信モードの検出を精度良く行い、通信効率を向上させることができる。また、本実施の形態によれば、受信信号に雑音成分が含まれる場合でも、判定部102aは、パターンマッチング処理を精度良く行うことができる。よって、実施の形態1と比較して、送信モード(配置モード)の判定精度をより向上させることができる。
[実施の形態3]
本実施の形態は、実施の形態1又は2と比較して、無線通信装置100(図3)の判定部の動作が異なる。
図9は、本実施の形態に係る判定部102bの内部構成を示すブロック図である。なお、図9において、実施の形態2(図7)と同一処理を行う構成部には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図9に示す判定部102bにおいて、信号電力差算出部401は、下位抽出部301から受け取る受信信号(帯域制限後(下位1MHz帯域)の信号)と、チューナ101から受け取る受信信号(帯域制限前(2MHz帯域)の信号)との間の信号電力差を算出する。
信号電力差算出部402は、上位抽出部302から受け取る受信信号(帯域制限後(上位1MHz帯域)の信号)と、チューナ101から受け取る受信信号(帯域制限前(2MHz帯域)の信号)との間の信号電力差を算出する。
送信モード判定部403は、信号電力差算出部401から受け取る信号電力差と、信号電力算出部402から受け取る信号電力差との組み合わせに基づいて、受信信号に用いられている送信モード(周波数スペクトルの配置モード)の判定を行う。つまり、送信モード判定部403は、信号電力差算出部401から受け取る信号電力差と所定値との大小関係と、信号電力算出部402から受け取る信号電力差と所定値との大小関係とに基づいて、受信信号に用いられている送信モードを判定する。
以下、判定部102bにおける送信モード判定処理の動作について詳細に説明する。
<周波数スペクトルの配置モード1L>
図10A〜図10Cは、周波数スペクトルの配置モード1Lの信号を受信した場合の判定部102bにおける周波数スペクトルの変化の様子を示す。
図10Aは、周波数スペクトルの配置モード1Lの信号スペクトル(帯域制限前の信号)を示す。
図10Bは、下位抽出部301によって帯域制限51を行った後の信号スペクトル(帯域制限後の信号)を示す。図10Bに示すように、OFDM信号11は、下位1MHzの帯域内(帯域制限51の通過帯域内)に配置されているので、信号成分が抑圧されることなく通過する。このように、帯域制限前後の信号成分はほぼ同一であるので、信号電力差算出部401では、帯域制限前後の信号(図10Aと図10B)の電力差は小さくなる。
図10Cは、上位抽出部302によって帯域制限52を行った後の信号スペクトル(帯域制限後の信号)を示す。図10Cに示すように、OFDM信号11は、下位1MHzの帯域内(帯域制限52の通過帯域外)に配置されているので、信号成分が抑圧されて、信号11aとなる。このように、帯域制限後の信号成分の信号電力が減少するので、信号電力差算出部402では、帯域制限前後の信号(図10Aと図10C)の電力差は大きくなる。
<周波数スペクトルの配置モード1U>
図11A〜図11Cは、周波数スペクトルの配置モード1Uの信号を受信した場合の判定部102bにおける周波数スペクトルの変化の様子を示す。
図11Aは、周波数スペクトルの配置モード1Uの信号スペクトル(帯域制限前の信号)を示す。
図11Bは、下位抽出部301によって帯域制限51を行った後の信号スペクトル(帯域制限後の信号)を示す。図11Bに示すように、OFDM信号12は、上位1MHzの帯域内(帯域制限51の通過帯域外)に配置されているので、信号成分が抑圧されて、信号12aとなる。このように、帯域制限後の信号成分の信号電力が減少するので、信号電力差算出部401では、帯域制限前後の信号(図11Aと図11B)の電力差は大きくなる。
図11Cは、上位抽出部302によって帯域制限52を行った後の信号スペクトル(帯域制限後の信号)を示す。図11Cに示すように、OFDM信号12は、上位1MHzの帯域内(帯域制限52の通過帯域内)に配置されているので、信号成分が抑圧されることなく通過する。このように、帯域制限前後の信号成分はほぼ同一であるので、信号電力差算出部402では、帯域制限前後の信号(図11Aと図11C)の電力差は小さくなる。
<周波数スペクトルの配置モード1D>
図12A〜図12Cは、周波数スペクトルの配置モード1Dの信号を受信した場合の判定部102bにおける周波数スペクトルの変化の様子を示す。
図12Aは、周波数スペクトルの配置モード1Dの信号スペクトル(帯域制限前の信号)を示す。
図12Bは、下位抽出部301によって帯域制限51を行った後の信号スペクトル(帯域制限後の信号)を示す。図12Bに示すように、下位1MHz帯域に配置されたOFDM信号11は、帯域制限51の通過帯域内に配置されているので、信号成分が抑圧されることなく通過する。一方、上位1MHz帯域に配置されたOFDM信号12は、帯域制限51の通過帯域外に配置されているので、信号成分が抑圧されて、信号12bとなる。このように、帯域制限後の上位1MHzの帯域の信号成分の信号電力が減少するので、信号電力差算出部401では、帯域制限前後の信号(図12Aと図12B)の電力差は大きくなる。
図12Cは、上位抽出部302によって帯域制限52を行った後の信号スペクトル(帯域制限後の信号)を示す。図12Cに示すように、下位1MHz帯域に配置されたOFDM信号11は、帯域制限52の通過帯域外に配置されているので、信号成分が抑圧されて、信号11bとなる。一方、上位1MHz帯域に配置されたOFDM信号12は、帯域制限52の通過帯域内に配置されているので、信号成分が抑圧されることなく通過する。このように、帯域制限後の下位1MHzの帯域の信号成分の信号電力が減少するので、信号電力差算出部402では、帯域制限前後の信号(図12Aと図12C)の電力差は大きくなる。
<周波数スペクトルの配置モード2C>
図13A〜図13Cは、周波数スペクトルの配置モード2Cの信号を受信した場合の判定部102bにおける周波数スペクトルの変化の様子を示す。
図13Aは、周波数スペクトルの配置モード2Cの信号スペクトル(帯域制限前の信号)を示す。
図13Bは、下位抽出部301によって帯域制限51を行った後の信号スペクトル(帯域制限後の信号)を示す。図13Bに示すように、OFDM信号13の下位1MHz帯域に配置された信号成分13aは、帯域制限51の通過帯域内に配置されているので、信号成分が抑圧されることなく通過する。一方、OFDM信号13の上位1MHz帯域に配置された信号成分13bは、帯域制限51の通過帯域外に配置されているので、信号成分が抑圧される。このように、帯域制限後の上位1MHzの帯域の信号成分13bの信号電力が減少するので、信号電力差算出部401では、帯域制限前後の信号(図13Aと図13B)の電力差は大きくなる。
図13Cは、上位抽出部302によって帯域制限52を行った後の信号スペクトル(帯域制限後の信号)を示す。図13Cに示すように、OFDM信号13の下位1MHz帯域に配置された信号成分13dは、帯域制限52の通過帯域外に配置されているので、信号成分が抑圧される。一方、OFDM信号13の上位1MHz帯域に配置された信号成分13cは、帯域制限52の通過帯域内に配置されているので、信号成分が抑圧されることなく通過する。このように、帯域制限後の下位1MHzの帯域の信号成分13dの信号電力が減少するので、信号電力差算出部402では、帯域制限前後の信号(図13Aと図13C)の電力差は大きくなる。
以上のように説明した、周波数スペクトルの配置モード1L、1U、1D、2Cの各々の受信信号に対する、上位1MHz帯域及び下位1MHz帯域における帯域制限前後の信号の電力差(パワー差)の組み合わせをまとめると、図14に示すような対応関係が得られる。例えば、図14では、信号電力差が所定値未満の場合を「小」と表し、信号電力差が所定値以上の場合を「大」と表す。
送信モード判定部403は、信号電力差算出部401、402から受け取る信号電力差の組み合わせに基づいて、図14に示す対応関係に基づいて、受信信号の送信モード(周波数スペクトルの配置モード)を判定する。
例えば、送信モード判定部403は、下位1MHz帯域の帯域制限51前後の信号電力差が「小」であり、上位1MHz帯域の帯域制限52前後の信号電力差が「大」である場合、上位1MHz帯域を用いる伝送フォーマット(1U)が用いられていると判定する。同様に、送信モード判定部403は、下位1MHz帯域の帯域制限51前後の信号電力差が「大」であり、上位1MHz帯域の帯域制限52前後の信号電力差が「小」である場合、下位1MHz帯域を用いる伝送フォーマット(1L)が用いられていると判定する。
また、送信モード判定部403は、下位1MHz帯域の帯域制限51前後の信号電力差が「大」であり、上位1MHz帯域の帯域制限52前後の信号電力差が「大」である場合、2MHz帯域を用いる伝送フォーマット(1D又は2C)が用いられていると判定する。
すなわち、図14に示すように、送信モード判定部403は、伝送フォーマット(周波数スペクトルの配置モード)1Uと、1Lと、1D及び2Cと、を区別して、送信モードを判定することができる。すなわち、送信モード判定部403は、受信信号の帯域幅(1MHz又は2MHz)と、1MHz帯域の受信信号が配置される帯域(上位1MHz又は下位1MHz)、とを判定することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、判定部102bは、帯域制限前後の信号電力差を用いて、送信モード(配置モード)の検出を精度良く行い、通信効率を向上させることができる。
例えば、1MHzフォーマット(1U及び1L)のみに対応する端末装置は、本実施の形態に係る送信モード判定方法を適用することにより、2つの送信モードを精度良く判定することができる。
[実施の形態4]
本実施の形態は、実施の形態1〜3と比較して、無線通信装置100(図3)の判定部の動作が異なる。
図15は、本実施の形態に係る判定部102cの内部構成を示すブロック図である。なお、図15において、実施の形態2(図7)と同一処理を行う構成部には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図15に示す判定部102cにおいて、周波数シフト部501は、下位抽出部301から受け取る受信信号(下位1MHz帯域のみを通過させる帯域制限後の信号)を、+0.5MHzだけ周波数シフトさせる。すなわち、帯域制限後の信号は、下位1MHz帯域の半分(0.5MHz)だけ高周波数側に周波数シフトされる。
周波数シフト部502は、上位抽出部302から受け取る受信信号(上位1MHz帯域のみを通過させる帯域制限後の信号)を、−0.5MHzだけ周波数シフトさせる。すなわち、帯域制限後の信号は、上位1MHz帯域の半分(0.5MHz)だけ低周波数側に周波数シフトされる。
パターンマッチング部503は、周波数シフト部501から受け取る信号と、周波数シフト部502から受け取る信号とのパターンマッチング処理(相関処理)を行い、相関値を得る。
送信モード判定部504は、パターンマッチング部503から受け取るパターンマッチング結果(相関値)に基づいて、受信信号に用いられている送信モード(周波数スペクトルの配置モード)を判定する。
以下、判定部102cにおける送信モード判定処理の動作について詳細に説明する。
<周波数スペクトルの配置モード1D>
図16A〜図16Eは、周波数スペクトルの配置モード1Dの信号を受信した場合の判定部102cにおける周波数スペクトルの変化の様子を示す。
図16Aは、周波数スペクトルの配置モード1Dの信号スペクトルを示す。
図16Bは、下位抽出部301によって帯域制限51を行った後の信号スペクトルを示す。図16Bに示すように、下位1MHz帯域に配置されたOFDM信号11は、帯域制限51の通過帯域内に配置されているので、信号成分が抑圧されることなく通過する。一方、上位1MHz帯域に配置されたOFDM信号12は、帯域制限51の通過帯域外に配置されているので、信号成分が抑圧されて、信号12cとなる。図16Cは、周波数シフト部501によって、図16Bに示す信号が+0.5MHzだけ周波数シフトした様子を示す。図16Cに示すように、下位1MHz帯域の信号が+0.5MHzだけ周波数シフトして信号11cとなり、上位1MHz帯域の信号が+0.5MHzだけ周波数シフトして信号12dとなる。これにより、図16Bに示す下位1MHz帯域の信号は、図16Cでは、周波数0[MHz]を中心とする位置に存在することになる。
図16Dは、上位抽出部302によって帯域制限52を行った後の信号スペクトルを示す。図16Dに示すように、下位1MHz帯域に配置されたOFDM信号11は、帯域制限52の通過帯域外に配置されているので、信号成分が抑圧されて、信号11dとなる。一方、上位1MHz帯域に配置されたOFDM信号12は、帯域制限52の通過帯域内に配置されているので、信号成分が抑圧されることなく通過する。図16Eは、周波数シフト部502によって、図16Dに示す信号が−0.5MHzだけ周波数シフトした様子を示す。図16Eに示すように、下位1MHz帯域の信号が−0.5MHzだけ周波数シフトして信号11eとなり、上位1MHz帯域の信号が−0.5MHzだけ周波数シフトして信号12eとなる。これにより、図16Dに示す上位1MHz帯域の信号は、図16Eでは、周波数0[MHz]を中心とする位置に存在することになる。
ここで、図16Cに示す信号12d、及び、図16Eに示す信号11eは、帯域制限によって信号電力が極微小であって、受信帯域において無視することができる。また、図16Cに示す信号11c及び図16Eに示す信号12eは、周波数シフトによって同一周波数に配置されている。また、図16Cに示す信号11c、及び、図16Eに示す信号12eは、何れも帯域制限において信号成分が抑圧されることなく通過した成分であって、図16Aの信号11、12にそれぞれ対応し、これらの信号は同一のものである。
よって、図16Cに示す受信帯域内の信号と、図16Eに示す受信帯域内の信号とは、類似性(相関)の高い信号となる。
すなわち、パターンマッチング部503は、周波数シフト部501、502からそれぞれ受け取る信号のパターンマッチング処理によって、相関が高いと判定する。
<周波数スペクトルの配置モード2C>
図17A〜図17Eは、周波数スペクトルの配置モード2Cの信号を受信した場合の判定部102cにおける周波数スペクトルの変化の様子を示す。
図17Aは、周波数スペクトルの配置モード2Cの信号スペクトルを示す。図17に示すように、2MHzのOFDM信号13は、上位1MHz帯域に配置された信号成分14と、下位1MHz帯域に配置された信号成分15とから構成される。
図17Bは、下位抽出部301によって帯域制限51を行った後の信号スペクトルを示す。図17Bに示すように、下位1MHz帯域に配置された信号成分15は、帯域制限51の通過帯域内に配置されているので、信号成分が抑圧されることなく通過する。一方、上位1MHz帯域に配置された信号成分14は、帯域制限51の通過帯域外に配置されているので、信号成分が抑圧されて、信号14aとなる。図17Cは、周波数シフト部501によって、図17Bに示す信号が+0.5MHzだけ周波数シフトした様子を示す。図17Cに示すように、下位1MHz帯域の信号が+0.5MHzだけ周波数シフトして信号15aとなり、上位1MHz帯域の信号が+0.5MHzだけ周波数シフトして信号14bとなる。これにより、図17Bに示す下位1MHz帯域の信号は、図17Cでは、周波数0[MHz]を中心とする位置に存在することになる。
図17Dは、上位抽出部302によって帯域制限52を行った後の信号スペクトルを示す。図17Dに示すように、下位1MHz帯域に配置された信号成分15は、帯域制限52の通過帯域外に配置されているので、信号成分が抑圧されて、信号15bとなる。一方、上位1MHz帯域に配置された信号成分14は、帯域制限52の通過帯域内に配置されているので、信号成分が抑圧されることなく通過する。図17Eは、周波数シフト部502によって、図17Dに示す信号が−0.5MHzだけ周波数シフトした様子を示す。図17Eに示すように、下位1MHz帯域の信号が−0.5MHzだけ周波数シフトして信号15cとなり、上位1MHz帯域の信号が−0.5MHzだけ周波数シフトして信号14cとなる。これにより、図17Dに示す下位1MHz帯域の信号は、図17Eでは、周波数0[MHz]を中心とする位置に存在することになる。
ここで、図17Cに示す信号14b、及び、図17Eに示す信号15cは、帯域制限によって信号電力が極微小であって、受信帯域において無視することができる。また、図17Cに示す信号15a及び図17Eに示す信号14cは、周波数シフトによってほぼ同一周波数に配置されている。ただし、図17Cに示す信号15a、及び、図17Eに示す信号14cは、何れも帯域制限において信号成分が抑圧されることなく通過した成分であって、図17Aの信号成分15、14にそれぞれ対応し、これらの信号は異なるものである。
よって、図17Cに示す受信帯域内の信号と、図17Eに示す受信帯域内の信号とは、類似性(相関)の低い信号となる。
すなわち、パターンマッチング部503は、周波数シフト部501、502からそれぞれ受け取る信号のパターンマッチング処理によって、相関が低いと判定する。
なお、周波数スペクトルの配置モード1U、1Lについては、上位1MHz帯域及び下位1MHz帯域の何れか一方のみに信号成分が配置されるので、上記動作によって得られる受信信号に対する上位1MHz帯域と下位1MHz帯域とのパターンマッチングでは、類似性(相関性)の低い信号と判定される。
以上のように説明した、周波数スペクトルの配置モード1D、2Cの各々の受信信号に対する上位1MHz帯域と下位1MHz帯域とのパターンマッチングの結果(相関)をまとめると、図18に示すような対応関係が得られる。例えば、図18では、相関値が所定値未満の場合を「小」と表し、相関値が所定値以上の場合を「大」と表す。
送信モード判定部504は、パターンマッチング部503から受け取るパターンマッチング結果(図18に示す下位1MHz帯域のみの信号と上位1MHz帯域のみの信号との相関)を用いて、図18に示す対応関係に基づいて、受信信号に用いられている送信モード(周波数スペクトルの配置モード)を判定する。
すなわち、送信モード判定部504は、上記相関値が「大」である場合、上位1MHz帯域と下位1MHz帯域とに同一信号が配置される1MHz Duplicateフォーマット(1D)が用いられていると判定する。また、送信モード判定部504は、上記相関値が「小」である場合、上位1MHz帯域と下位1MHz帯域とに異なる信号が配置される2MHzフォーマット(2C)が用いられていると判定する。
図18に示すように、送信モード判定部504は、周波数スペクトルの配置モード1U及び1Lと、1Dと、2Cと、を区別して、送信モードを判定することができる。すなわち、送信モード判定部504は、受信信号の帯域幅と、2MHz帯域の受信信号が配置されるモードが1Dであるか2Cであるか、とを判定することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、判定部102cは、上位1MHz帯域と下位1MHz帯域との信号の相関を用いて、送信モード(配置モード)の検出を精度良く行い、通信効率を向上させることができる。
[実施の形態5]
本実施の形態は、実施の形態1〜4と比較して、無線通信装置100(図3)の判定部の動作が異なる。
図19は、本実施の形態に係る判定部102dの内部構成を示すブロック図である。
図19に示す判定部102dにおいて、遅延部601は、チューナ101から受け取る受信信号を所定時間遅延させる。例えば、遅延部601は、受信信号を、2MHz(short/long)フォーマットにおけるSTF(図1参照)に相当する時間だけ遅延させる。
パターンマッチング部602は、チューナ101から受け取る受信信号(遅延無し)と、遅延部601から受け取る受信信号(遅延有り)とのパターンマッチング処理(相関処理)を行う。
例えば、図1に示すように、2MHzフォーマットのSTFのシンボル数(10シンボル)は、1MHzフォーマットのSTFのシンボル数(20シンボル)の半数である。よって、例えば、パターンマッチング部602は、遅延前の受信信号の先頭から上記遅延の所定時間後の時刻から、1MHzフォーマットのSTFのシンボル数の半分に相当する時間が経過する時刻までの期間における遅延前の樹脂信号と遅延させた受信信号との相関値を算出する。換言すると、パターンマッチング部602は、遅延後の受信信号の先頭から、1MHzフォーマットのSTFのシンボル数の半分に相当する時間が経過する時刻までの期間における遅延前の樹脂信号と遅延させた受信信号との相関値を算出する。
送信モード判定部603は、パターンマッチング部602から受け取るパターンマッチング結果に基づいて、受信信号に用いられている送信モード(周波数スペクトルの配置モード)の判定を行う。具体的には、送信モード判定部603は、パターンマッチング処理の結果である相関値が高い場合、1MHzフォーマットが用いられていると判定し、上記相関値が低い場合、2MHzフォーマットが用いられていると判定する。
以下、判定部102dにおける送信モード判定処理の動作について詳細に説明する。
図20は、802.11ahの1MHz又は2MHzの通信帯域を用いるフレームと、それらを時間Txだけ遅延させたフレームとを示す。
図20に示すように、時間Txは、2MHzフォーマットにおけるSTFに相当する時間である。
図20において、フレームの先頭の時刻をTとし、時刻T+Tx〜時刻T+Tx+10×TSまでの時間に着目する。つまり、遅延前の受信信号の先頭(時刻T)から時間Tx後の時刻(時刻T+Tx)から、1MHzフォーマットのSTFのシンボル数の半数(又は2MHzフォーマットのSTFのシンボル数)に相当する時間10×Tsが経過する時刻(時刻T+Tx+10×Ts)までの期間に着目する。
1MHzの場合、上記着目した時間は、遅延前の受信信号及び遅延させた受信信号の双方ともにSTFの一部に相当する。STFには同一信号が繰り返し配置される区間である。よって、パターンマッチング部602によるこれらの信号のパターンマッチング処理では、相関性が高いという結果が得られる。
一方、2MHzの場合、上記着目した時間は、遅延前の受信信号ではLTF1に相当し、遅延させた受信信号ではSTFに相当する。すなわち、この着目した時間では、遅延前の受信信号と遅延させた受信信号とは異なる信号である。よって、パターンマッチング部602によるこれらの信号のパターンマッチング処理では、相関性が低いという結果が得られる。
そして、送信モード判定部603は、パターンマッチング部602におけるパターンマッチング処理の結果(相関)に基づいて、受信信号に用いられている送信モードを判定する。すなわち、送信モード判定部603は、パターンマッチング処理によって相関が高い結果が得られる場合、送信モードが1MHzフォーマットであると判定し、パターンマッチング処理によって相関が低い結果が得られる場合、送信モードが2MHzフォーマットであると判定する。
このように、本実施の形態では、STSの周期TS及びLTSの周期TLと、1MHz/2MHzにおけるSTS及びLTSの繰り返し回数の差異に応じて時刻Txの値を変えることにより、パターンマッチング処理の結果を1MHzフォーマットと2MHzフォーマットとで異ならせる。こうすることで、判定部102dは、パターンマッチングによる相関の結果の変化に基づいて、送信モードの検出を精度良く行い、通信効率を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、遅延時間Txを2MHzフォーマットのSTFのシンボルに相当する時間に設定する場合について説明した。しかし、遅延時間は、これに限らず、1MHzフォーマットと、2MHzフォーマットとの間でパターンマッチング処理の結果が異なるように設定されればよい。
[実施の形態6]
図21は、本実施の形態に係る無線通信装置700の構成を示すブロック図である。なお、図21において、実施の形態1(図3)と同一動作を行う構成部には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図21に示す無線通信装置700において、判定部701は、FFT部104から受け取る信号を用いて、受信信号に用いられている送信モードを判定する。具体的には、判定部701は、LTFとSIGとを含む、下位1MHz帯域又は上位1MHz帯域を用いる複数の伝送フォーマットの何れか1つを用いた受信信号のうち、LTFを構成するシンボル(LTS)及びSIGを構成するシンボルを含む複数のシンボルを用いて、複数の伝送フォーマットのうち、受信信号に用いられている伝送フォーマットを判定する。
図22は、判定部701の内部構成を示すブロック図である。判定部701は、シンボル間差動演算部711、2乗演算部712、累積加算部713、送信モード判定部714から構成される。
シンボル間差動演算部711は、LTF又はSIGにおけるシンボル間の差動演算を行う。シンボル間差動演算部711においてシンボル間差動演算を行うシンボルは、無線通信装置700に設定された伝送フォーマットに依らず同一である。例えば、シンボル間差動演算部711は、LTFの先頭から2シンボル目から4シンボル目までの3つのシンボル(LTF又はSIG)に対して、時間領域において隣接するシンボル間の差動演算を行う。
2乗演算部712は、各サブキャリアにおいて、シンボル間差動演算部711の演算結果に対して2乗演算を行う。
累積加算部713は、2乗演算部712のサブキャリア毎の演算結果を累積加算(ベクトル加算)する。
送信モード判定部714は、累積加算部713から受け取る累積加算値(2乗演算結果)の組み合わせに基づいて、受信信号に用いられている送信モードを判定する。つまり、送信モード判定部714は、累積加算部713から受け取る累積加算値(2乗演算結果)を示す値が実軸上の正の値であるか負の値であるかに基づいて、受信信号に用いられている送信モードを判定する。
[送信モード判定方法]
図23は、802.11ahの伝送フォーマット(1MHz short、2MHz short、2MHz long)の各フレームを、時刻T2においてLTFの先頭が揃うように示した図である。例えば、無線通信装置700は、STFを用いてLTFの先頭のタイミングを検出する。
シンボル間差動演算部711は、802.11ahの伝送フォーマット(図23参照)のLTFの先頭(時刻T2)から2、3、4番目のシンボルを抽出して、シンボル間差動演算を行う。
図24、図25、図26は、1MHz、2MHz short、2MHz longの各々のフレームの時刻T2から4シンボル分を示す図である。
図24、図25、図26に示すように、LTFの先頭(時刻T2)から2、3、4番目のシンボルは、LTF(LTF)又はSIG(SIG1)のシンボルである。ここで、LTFでは、サブキャリア毎のパイロットの位相は、0度又は180度に予め定められている。すなわち、LTFのパイロットの位相は、BPSK変調における信号のマッピングと同じ特徴を有する。一方、SIG(又はSIG−A)は、伝送フォーマット毎に異なる。図1に示すように、1MHzフォーマット(short及びDuplicate)では、6シンボル全てに対してBPSK変調が用いられる。一方、2MHz shortフォーマットでは、2シンボル全てに対して、QBPSK(quadrature BPSK)変調が用いられる。QBPSK変調は、90度、270度に位相変調される方式であって、つまり、BPSK変調と位相が90度異なる方式である。また、2MHz longフォーマットでは、2シンボルのうち、1シンボル目に対してQBPSK変調が用いられ、2シンボル目に対してBPSK変調が用いられる。
すなわち、SIGには、LTFにおいてパイロット信号が配置された位相と同相又は直交関係にある位相を用いた変調方式(BPSK又はQBPSK)によって変調された制御信号が多重されている。
以下、各伝送フォーマットの信号を受信した際の判定部701の動作について説明する。
具体的には、図24に示す1MHzの信号では、時刻T2から時間TYだけ経過した時刻T3から、LTS2、LTS3、LTS4の3シンボルが時間領域において連続して配置される。シンボル間差動演算部711は、当該3シンボルについて、時間領域において隣接するシンボル間に対してシンボル間差動演算を行う。これらのLTSは、何れも、複素平面の実軸上に信号点がマッピングされるBPSKを用いて変調されている。よって、図24に示すように、LTS2とLTS3との間のシンボル間差動の結果、及び、LTS3とLTS4との間のシンボル間差動の結果は、何れも複素平面の実軸上の正の値となる。次いで、2乗演算部712は、シンボル間差動の結果に対して2乗演算を行う。図24に示すように、LTS2とLTS3との間のシンボル間差動の2乗、及び、LTS3とLTS4との間のシンボル間差動の2乗は、何れも複素平面の実軸上の正の値となる。
図25に示す2MHz shortの信号では、時刻T2から時間TYだけ経過した時刻T3から、LTS2、SIG1、SIG2の3シンボルが時間領域において連続して配置される。シンボル間差動演算部711は、当該3シンボルについて、時間領域において隣接するシンボル間に対してシンボル間差動演算を行う。上述したようにLTSは、複素平面の実軸上に信号点がマッピングされるBPSKを用いて変調されている。一方、SIGは、複素平面の虚軸上に信号点がマッピングされるQBPSKを用いて変調されている。よって、図25に示すように、LTS2とSIG1との間のシンボル間差動の結果は、複素平面の虚軸上の値となる。また、SIG1とSIG2との間のシンボル間差動の結果は、複素平面の実軸上の値となる。次いで、2乗演算部712は、シンボル間差動の結果に対して2乗演算を行う。図25に示すように、LTS2とSIG1との間のシンボル間差動の2乗は、複素平面の実軸上の負の値となる。また、SIG1とSIG2との間のシンボル間差動の2乗は、複素平面の実軸上の正の値となる。
図26に示す2MHz longの信号では、時刻T2から時間TYだけ経過した時刻T3から、LTS2、SIGA1、SIGA2の3シンボルが時間領域において連続して配置される。シンボル間差動演算部711は、当該3シンボルについて、時間領域において隣接するシンボル間に対してシンボル間差動演算を行う。上述したようにLTSは、複素平面の実軸上に信号点がマッピングされるBPSKを用いて変調されている。一方、SIGA1は、複素平面の虚軸上に信号点がマッピングされるQBPSKを用いて変調され、SIGA2はBPSKを用いて変調されている。よって、図26に示すように、LTS2とSIGA1との間のシンボル間差動の結果、及び、SIGA1とSIGA2との間のシンボル間差動の結果は、何れも複素平面の虚軸上の値となる。次いで、2乗演算部712は、シンボル間差動の結果に対して2乗演算を行う。図26に示すように、LTS2とSIGA1との間のシンボル間差動の2乗、及び、SIGA1とSIGA2との間のシンボル間差動の2乗は、何れも複素平面の実軸上の負の値となる。
つまり、時刻T3からの3シンボルに用いられる変調方式の組み合わせは、伝送フォーマットに応じて異なる。これにより、時刻T3からの3シンボルに対するシンボル間差動演算、2乗演算の結果は、各伝送フォーマットに応じて異なる。そこで、送信モード判定部714は、シンボル間の差動演算及び2乗演算の結果に基づいて、送信モードを判定する。
具体的には、送信モード判定部714は、LTFの先頭から2シンボル目及び3シンボル目のシンボルに対する2乗演算結果、及び、LTFの先頭から3シンボル目及び4シンボル目のシンボルに対する2乗演算結果の双方が実軸上の正の値である場合(図24)、SIGの全ての制御信号がLTFのパイロット信号の位相と同相関係にある位相を用いた変調方式(BPSK)によって変調される1MHzフォーマットが用いられていると判定する。
また、送信モード判定部714は、LTFの先頭から2シンボル目及び3シンボル目のシンボルに対する2乗演算結果が実軸上の負の値であり、LTFの先頭から3シンボル目及び4シンボル目のシンボルに対する2乗演算結果が実軸上の正の値である場合、SIGの全ての制御信号がLTFのパイロット信号の位相と直交関係にある位相を用いた変調方式(QBPSK)によって変調される2MHz shortフォーマットが用いられていると判定する。
また、送信モード判定部714は、LTFの先頭から2シンボル目及び3シンボル目のシンボルに対する2乗演算結果及びLTFの先頭から3シンボル目及び4シンボル目のシンボルに対する2乗演算結果が実軸上の負の値である場合、SIGの一方の制御信号がLTFのパイロット信号の位相と直交関係にある位相を用いた変調方式(QBPSK)によって変調され、他方の制御信号がLTFのパイロット信号の位相と同相関係にある位相を用いた変調方式(BPSK)によって変調される、2MHz longフォーマットが用いられていると判定する。
また、累積加算部713は、図24〜図26に示すサブキャリア毎の演算によって得られた2乗演算結果について、全サブキャリアの値を累積加算する。こうすることで、サブキャリア毎に得られる演算結果を平均化することができ、送信モード判定部714において、演算結果が実軸及び虚軸の何れにマッピングされるかを精度良く判定することが可能となる。
図27、図28は、上述した送信モード判定方法の処理の流れを示すフロー図である。具体的には、図27は、1MHz、2MHz short、2MHz longの3種類の送信モードを判定する処理を示し、図28は、1MHzの送信モードのうち、1Lと1Uと1Dとを判定する処理を示す。
図27及び図28において用いるパラメータは以下の通りである。
A−diff1: 時刻T3から1シンボル目と2シンボル目とのシンボル間差動の2乗の結果
A−diff2: 時刻T3から2シンボル目と3シンボル目とのシンボル間差動の2乗の結果
AL−diff1: A−diff1の下位1MHz帯域に対応する値
AU−diff1: A−diff1の上位1MHz帯域に対応する値
AL−diff2: A−diff2の下位1MHz帯域に対応する値
AU−diff2: A−diff2の上位1MHz帯域に対応する値
図27において、ST101では、送信モード判定部714は、A−diff1の複素数実成分が0未満であるか否かを判定する。A−diff1の複素数実成分が0未満ではない場合(ST101:No)、ST102において、送信モード判定部714は、受信信号の送信モードを1MHzフォーマットと判定する。
A−diff1の複素数実成分が0未満である場合(ST101:Yes)、ST103において、送信モード判定部714は、A−diff2の複素数実成分が0未満であるか否かを判定する。A−diff2の複素数実成分が0未満ではない場合(ST103:No)、ST104において、送信モード判定部714は、受信信号の送信モードを2MHz shortフォーマットと判定する。
一方、A−diff2の複素数実成分が0未満である場合(ST103:Yes)、ST105において、送信モード判定部714は、受信信号の送信モードを2MHz longフォーマットと判定する。
また、図28において、ST201では、送信モード判定部714は、AU−diff1の複素数実成分が0以上であって、その振幅が閾値以上であり、かつ、AL−diff1の複素数実成分が0以上であって、その振幅が閾値以上であるか否かを判定する。
ST201の判定条件を満たす場合(ST201:Yes)、ST202において、送信モード判定部714は、受信信号の送信モードを1MHz Duplicateフォーマット(1D)と判定する。
一方、ST201の判定条件を満たさない場合(ST201:No)、ST203において、送信モード判定部714は、AU−diff1の複素数実成分が0以上であり、かつ、AU−diff1の値がAL−diff1の値よりも大きいか否かを判定する。
ST203の判定条件を満たす場合(ST203:Yes)、ST204において、送信モード判定部714は、受信信号の送信モードを1MHz 1Uと判定する。
一方、ST203の判定条件を満たさない場合(ST203:No)、ST205において、送信モード判定部714は、AL−diff1の複素数実成分が0以上であり、かつ、AL−diff1の値がAU−diff1の値よりも大きいか否かを判定する。
ST205の判定条件を満たす場合(ST205:Yes)、ST206において、送信モード判定部714は、受信信号の送信モードを1MHz 1Lと判定する。
一方、ST205の判定条件を満たさない場合(ST205:No)、送信モード判定部714は、送信モードの判定を行わず処理を終了する。
このように、本実施の形態によれば、LTFの先頭から2、3、4シンボル目の3シンボルについて、伝送フォーマットによって変調方式の組み合わせが異なることに着目し、無線通信装置700は、LTF及びSIGを含むシンボルの変調方式の差異に基づいて、送信モードを判定する。こうすることで、送信モードの検出を精度良く行い、通信効率を向上させることができる。
なお、本実施形態では、2乗演算により得られるI軸信号の正負により送信モードを判定した。ただし、2乗演算前では送信モードによりI軸とQ軸に信号が分布する大きさが異なることから、I軸信号の大きさの総和とQ軸信号の大きさの総和の大小比較により送信モード判定することが可能であることは言うまでもない。
[実施の形態7]
本実施の形態は、実施の形態6と比較して、図21の判定部の動作が異なる。図29は、本実施の形態に係る判定部701aの内部構成を示すブロック図である。判定部701aは、1MHz1L伝送路推定部720と、1MHz1U伝送路推定部730と、2MHz伝送路推定部740と、電力算出部725、735、745と、送信モード判定部750とから構成される。
判定部701aには、FFT部104の出力である周波数領域OFDM信号(受信信号)が入力され、周波数領域OFDM信号は、1MHz1L伝送路推定部720と、1MHz1U伝送路推定部730と、2MHz伝送路推定部740とに供給される。
1MHz1L伝送路推定部720は、1MHz1Lの信号が入力された場合は、伝送路推定値を出力する。一方、1MHz1L伝送路推定部720は、1MHz1L以外の信号が入力された場合は、エネルギー拡散され雑音を出力する。
1MHz1U伝送路推定部730は、1MHz1Uの信号が入力された場合は、伝送路推定値を出力する。一方、1MHz1U伝送路推定部730は、1MHz1U以外の信号が入力された場合は、エネルギー拡散され雑音を出力する。
2MHz伝送路推定部740は、2MHz(2C)の信号が入力された場合は、伝送路推定値を出力する。一方、2MHz伝送路推定部740は、2MHz(2C)以外の信号が入力された場合は、エネルギー拡散され雑音を出力する。
電力算出部725は、1MHz1L伝送路推定部720の出力の電力を算出し、電力算出部735は、1MHz1U伝送路推定部730の出力の電力を算出し、電力算出部745は、2MHz伝送路推定部740の出力の電力を算出し、送信モード判定部750へ供給する。
送信モード判定部750は、電力算出部725,735,745から受け取る各電力に基づいて、受信信号に用いられている送信モードが1MHz1Lと1MHz1Uと1MHz1Dと2MHz(2C)の何れであるかを判定し、出力する。
[送信モード判定方法]
本実施の形態では、実施の形態6と同様に、図23に示すように例えば、無線通信装置700は、STFを用いてLTFの先頭のタイミングを検出する。
2MHz shortのLTF1と2MHzlongのLTF1は、同一信号であるが、2MHzと1MHzのLTF1は互いに直交関係になるように、予め定められた周波数領域の各サブキャリアに多重されるパイロットの位相パターンを有する特徴がある。すなわち2MHzと1MHzのLTF1は異なるパイロット位相パターンである。
したがって、周波数領域OFDM信号の2MHzフォーマットのLTS信号に対して、サブキャリア毎に予め定められた2MHzのLTSパイロット位相によって複素除算するとパイロット信号多重されたキャリア位置の伝送路を推定することができる。この伝送路推定値はスペクトルとしては、エネルギーが集中した線スペクトルのような形態となる。
一方、周波数領域OFDM信号の2MHzフォーマットのLTS信号に対して、サブキャリア毎に予め定められた1MHzのLTSパイロット位相で複素除算すると、2MHzと1MHzのLTSは直交関係(無相関)であることから、帯域内にエネルギーが拡散され、スペクトルとしては、帯域内に一様に分布する雑音となる。
前者のエネルギーが集中した線スペクトルの全エネルギーと後者の帯域内に一様に分布する雑音の全エネルギーは、等しいがその分布状況が異なっている。ここで、伝送路のスペクトルが存在する範囲を通過させる帯域制限のフィルタリング処理を行うことにより、前者のフィルタ通過前後のエネルギーは変わらないが、後者のエネルギーは通過帯域幅が狭くなるほどフィルタ通過後のエネルギーが小さくなる。
すなわち、判定部701aは、各フォーマットのLTSパイロット位相パターンを用いて伝送路推定し、帯域制限フィルタリング処理した伝送路推定値の電力をそれぞれ算出し、それぞれのフォーマットの伝送路推定値の電力のうち、最も大きい電力を算出したものに対応する送信フォーマットが受信信号に用いられている送信フォーマットであると判定する。
具体的には、1MHz1L伝送路推定部720は、1MHz1Lパイロットパターン発生器721と複素除算部722と、シンボルフィルタ723とキャリアフィルタ724とから構成される。
1MHz1Lパイロットパターン発生器721は、周波数領域OFDM信号のLTF1の1シンボル目と2シンボル目のパイロット信号が挿入されているサブキャリアと同じタイミングにおいて、1MHz1Lのパイロット信号の既知の位相パターンを発生し、複素除算部722に出力する。
複素除算部722は、周波数領域OFDM信号が1MHz1Lフォーマットであるとして、1MHz1LフォーマットのLTF1の1シンボル目と2シンボル目のパイロット信号が多重されているサブキャリア位置の信号を周波数領域OFDM信号から抽出する。そして、複素除算部722は、その抽出したサブキャリア信号を、そのキャリア配置に対応した1MHz1Lパイロットパターン発生器721から発生された既知の位相パターン信号で複素除算することで伝送路推定をして、伝送路推定値をシンボルフィルタ723に出力する。
シンボルフィルタ723は、複素除算部722から伝送路推定値を入力し、シンボル方向にフィルタリング処理を行い、キャリアフィルタ724に出力する。例えば、シンボルフィルタ723は、LTF1の1シンボル目と2シンボル目の伝送路推定値を用いてサブキャリア毎に2シンボル間の平均を出力する。
キャリアフィルタ724は、シンボルフィルタ723が出力する伝送路推定値を入力し、キャリア方向にフィルタリング処理を行い、電力算出725へ出力する。例えば、キャリアフィルタ724は、通過帯域をOFDM信号のガードインターバル長とする時間振幅特性を有するフィルタとする。
1MHz1U伝送路推定部730は、1MHz1Uパイロットパターン発生器731と複素除算部732と、シンボルフィルタ733と、キャリアフィルタ734とから構成される。
1MHz1Uパイロットパターン発生器731は、周波数領域OFDM信号のLTF1の1シンボル目と2シンボル目のパイロット信号が挿入されているサブキャリアと同じタイミングにおいて1MHz1Uのパイロット信号の既知の位相パターンを発生し、複素除算部732に出力する。
複素除算部732は、周波数領域OFDM信号が1MHz1Uフォーマットであるとして、1MHz1UフォーマットのLTF1の1シンボル目と2シンボル目のパイロット信号が多重されているサブキャリア位置の信号を周波数領域OFDM信号から抽出する。そして、複素除算部732は、その抽出したサブキャリア信号を、そのキャリア配置に対応した1MHz1Uパイロットパターン発生器731から発生された既知の位相パターン信号で複素除算することで伝送路推定をして、伝送路推定値をシンボルフィルタ733へ出力する。
シンボルフィルタ733およびキャリアフィルタ734は、伝送路推定値に通過帯域を制限したフィルタリング処理を行い、電力算出735へ出力する。シンボルフィルタ733は先に説明したシンボルフィルタ723と同じ特性および機能を有するフィルタであり説明は省略する。また、キャリアフィルタ734は先に説明したシンボルフィルタ724と同じ特性および機能を有するフィルタであり説明は省略する。
2MHz伝送路推定部740は、2MHzパイロットパターン発生器741と、複素除算部742と、シンボルフィルタ743と、キャリアフィルタ744とから構成される。
2MHパイロットパターン発生器741は、周波数領域OFDM信号のLTF1の1シンボル目と2シンボル目のパイロット信号が挿入されているサブキャリアと同じタイミングにおいて2MHzのパイロット信号の既知の位相パターンを発生し、複素除算部742に出力する。
複素除算部742は、周波数領域OFDM信号が2MHzフォーマットであるとして、2MHzフォーマットのLTF1の1シンボル目と2シンボル目のパイロット信号が多重されているサブキャリア位置の信号を周波数領域OFDM信号から抽出する。そして、複素除算部742は、その抽出したサブキャリア信号を、そのキャリア配置に対応した2MHzパイロットパターン発生器741から発生された既知の位相パターン信号で複素除算することで伝送路推定をして、伝送路推定値をシンボルフィルタ743へ出力する。
シンボルフィルタ743およびキャリアフィルタ744は、伝送路推定値に通過帯域を制限したフィルタリング処理を行い、電力算出745へ出力する。シンボルフィルタ743は先に説明したシンボルフィルタ723と同じ特性および機能を有するフィルタであり説明は省略する。また、キャリアフィルタ744は先に説明したシンボルフィルタ724と同じ特性および機能を有するフィルタであり説明は省略する。
送信モード判定部750は、電力算出部725の出力を1MHz1Lの電力値とし、電力算出部735の出力を1MHz1Uの電力値とし、電力算出部745の出力を2MHzの電力値とし、電力算出部725の出力と電力算出部735の出力を加算した値を1MHz1Dの電力値として、各電力値に重みを付けた値を大小比較し、最も大きい値を示す電力値のフォーマットを、受信信号に用いられている送信モードとして出力する。
例えば、送信モード判定部750は、2MHzの電力値、1MHz1Lの電力値および1MHz1Uの電力値を比較し、2MHzの電力値が最も大きい場合は、受信信号に用いられている送信フォーマットが2MHzフォーマットであると判定する。それ以外の場合は、送信モード判定部750は、1MHz1Lの電力値および1MHz1Uの電力値に重み係数αをかけた値と、1MHz1Dの電力値とを比較する。1MHz1Dの電力値が最も大きい場合は、受信信号に用いられている送信フォーマットが1MHz1Dフォーマットであると判定する。それ以外の場合は、送信モード判定部750は、1MHz1Lの電力値と1MHz1Uの電力値とを比較し、大きい値を示す方を受信信号に用いられている送信フォーマットと判定する。
このように、本実施の形態によれば、LTF1の先頭から1シンボル目と2シンボル目においてパイロットの位相パターンが異なることに着目し、無線通信装置700は、各送信モード(送信フォーマット)のパイロットパターンと受信信号(周波数領域OFDM信号)とを用いた伝送路推定値の電力に基づいて、送信モードを判定する。こうすることで、送信モードの検出を精度良く行い、通信効率を向上させることができる。
[実施の形態8]
本実施の形態では、実施の形態1(図5)又は実施の形態2(図7)における無線通信装置100の送信モード判定部202において、パターンマッチングの結果として得られる相関値のピークの出現回数、又は、ピークが周期的に出現する期間の差異を用いて送信モードの判定を行う。
例えば、図30Aに示すように、伝送フォーマットが1MHzの場合、STFにはSTSが20シンボル配置されている。よって、図30Aに示すように、STFに対する、受信器(無線通信装置100)内部に保持されたパターンとのパターンマッチングの結果として得られる相関値のピークの出現回数は20回となり、ピークが周期的に出現する期間はTS×20となる。
一方、図30Bに示すように、伝送フォーマットが2MHzの場合、STFにはSTSが10シンボル配置されている。よって、図30Bに示すように、STFに対する、受信器(無線通信装置100)内部に保持されたパターンとのパターンマッチングの結果として得られる相関値のピークの出現回数は10回となり、ピークが周期的に出現する期間はTS×10となる。
LTFでも同様に、1MHzと2MHzとでは、相関値のピークの出現回数、及び、ピークが周期的に出現する期間に差異が生じる。
そこで、本実施の形態では、送信モード判定部202(図5又は図7)は、パターンマッチング部201−1〜201−4から受け取るパターンマッチングの結果(相関値)におけるピークの出現回数、又は、上記相関値のピークが周期的に出現する期間に基づいて、受信信号に用いられる伝送フォーマットを判定する。
例えば、送信モード判定部202は、上記相関値のピークの出現回数が20回(又は20回付近)である場合、又は、相関値のピークが周期的に出現する期間がTS×20(又はTS×20付近)である場合、1MHzフォーマットが受信信号に用いられていると判定する。同様に、送信モード判定部202は、上記相関値のピークの出現回数が10回(又は10回付近)である場合、又は、相関値のピークが周期的に出現する期間がTS×10(又はTS×10付近)である場合、2MHzフォーマットが受信信号に用いられていると判定する。
このように、本実施の形態によれば、STS又はLTFにおける伝送フォーマット毎のシンボル数が異なることに着目し、無線通信装置100は、受信信号と、保持しているプリアンブルパターンとのパターンマッチング処理の結果(相関値)におけるピークの出現回数又は周期的に出現する期間に基づいて、送信モードを判定する。こうすることで、送信モードの検出を精度良く行い、通信効率を向上させることができる。
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
なお、各実施の形態において説明した各送信モード判定方法を組み合わせてもよい。例えば、実施の形態3の送信モード判定方法と、実施の形態4の送信モード判定方法とを組み合わせてもよい。
また、上記各実施の形態の説明に用いた無線通信装置の各構成要素(機能ブロック)は、集積回路であるLSIとして実現してもよい。このとき、各構成要素は、個別に1チップ化されてもよいし、一部もしくは全てを含むように1チップ化されてもよい。また、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセサを利用してもよい。
さらに、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてあげられる。
また、上記各実施の形態で示した無線通信装置及び無線通信方法は、記載した処理の少なくとも一部を行う方法を用いて実現してもよい。
また、上記各実施の形態で示した無線通信装置の動作の手順の少なくとも一部をプログラムに記載し、例えばCPU(Central Processing Unit)がメモリに記憶された当該プログラムを読み出して実行するようにしてもよいし、上記プログラムを記録媒体に保存して頒布等するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態を実現する処理の一部を行ういかなる装置、方法、回路、又はプログラムを組み合わせて上記各実施の形態を実現してもよい。例えば、上記各実施の形態で説明した無線通信装置の構成の一部を無線通信装置又は集積回路で実現し、その一部を除く構成が行う動作の手順をプログラムに記載し、例えばCPUがメモリに記憶された当該プログラムを読み出して実行することによって実現してもよい。