ところで、MOSトランジスタ(MOSスイッチ)のスイッチング条件は、MOSトランジスタのソース電圧とゲート電圧の差と、閾値電圧Vthとの大小関係で決定される。閾値電圧VthはMOSトランジスタのデバイスパラメータであり、一般的にVth≒0.6Vである。また、電源電圧をVddとすると、一般的にはVth<Vddである。ここで、上述した電圧変換回路の入力電圧Vinと出力電圧Voutとの関係式は、Vout=2n・Vinである。従って、多段接続した昇圧回路のn段目では、コントロール信号φ1のコントロール電圧Vφ1は「Low電圧≦Vth、High電圧≦2n・Vin−Vth」を必要とし、コントロール信号φ2のコントロール電圧Vφ2は「Low電圧≦2n・Vin−Vth、High電圧≦2n・Vin−Vth」を必要とする。一般的に、昇圧回路の入力電圧Vinは電源電圧Vddに等しい。従って、上述した電圧変換回路(昇圧回路)では、コントロール電圧Vφ1,Vφ2として、電源電圧Vdd以上の電圧が必要となる。特に、後段になるほど、より高い電圧が必要となる。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、ダブラ型のチャージポンプを用いた昇圧回路において、電源電圧を超える入力電圧に対して、電源電圧以下の制御電圧で昇圧動作させることが可能な昇圧回路を提供することを目的とする。
本発明に係る昇圧回路は、一端が、第1電荷輸送手段を介して入力端子に接続されるとともに、第2電荷輸送手段を介して出力端子に接続されている昇圧用コンデンサと、第1端子が昇圧用コンデンサの他端に接続されるとともに、第2端子が接地され、制御端子に入力される第1制御信号によってスイッチング制御され、オンしたときに昇圧用コンデンサが入力電圧まで充電される第1スイッチ素子と、第1端子が入力端子に接続され、第2端子が昇圧用コンデンサの他端に接続され、制御端子に入力される第2制御信号によって第1スイッチ素子と相反動作するようにスイッチング制御され、オンしたときに、昇圧用コンデンサに充電された電圧が入力電圧に重畳されて第2電荷輸送手段を介して出力端子へ出力される第2スイッチ素子と、一端が第2スイッチ素子の制御端子に接続され、他端に第2制御信号が入力される制御用コンデンサと、一端が第2スイッチ素子の第1端子に接続され、他端が第2スイッチ素子の制御端子及び制御用コンデンサの一端に接続され、制御用コンデンサを介して入力される第2制御信号に応じて、第2スイッチ素子の第1端子の端子電圧を基準として、第2スイッチ素子の第1端子と制御端子との間に、閾値電圧を超える電圧を生成する電圧生成素子とを備えることを特徴とする。
本発明に係る昇圧回路によれば、第1スイッチ素子がオンしたときに昇圧用コンデンサが入力電圧まで充電され、第2スイッチ素子がオンしたときに昇圧用コンデンサに充電された電圧が入力電圧に重畳されて出力される。よって、第1スイッチ素子と第2スイッチ素子とが繰り返して互いに相反動作されることにより、入力電圧の2倍の出力電圧を得ることができる。ここで、第2スイッチ素子には、制御用コンデンサと、該制御用コンデンサを介して入力される第2制御信号に応じて、第1端子の端子電圧(すなわち入力電圧)を基準として、第1端子と制御端子との間に、閾値電圧を超える電圧(電位差)を生成する電圧生成素子が接続されている。そのため、入力電圧が電源電圧を超える場合であっても、第2制御信号の制御電圧は電源電圧と同じか又はそれ以下の電圧で第2スイッチ素子をスイッチング動作させることができる。よって、電源電圧を超える入力電圧に対して、電源電圧以下の制御電圧で昇圧動作させることが可能となる。
本発明に係る昇圧回路では、電圧生成素子が、第2スイッチ素子の第1端子から制御端子に順方向接続される、直列接続された1以上のダイオード、又は1以上のダイオード接続されたトランジスタを有することが好ましい。この場合、ダイオード又はダイオード接続されたトランジスタの順方向電圧(又は閾値電圧)により、第2スイッチ素子の第1端子と制御端子との間に、閾値電圧を超える電圧を生成することが可能となる。
また、上記電圧生成素子は、前記第2スイッチ素子の第1端子から制御端子に逆方向接続される、ダイオード、又はダイオード接続されたトランジスタをさらに有することが好ましい。このようにすれば、第2スイッチ素子がオンされるときに制御用コンデンサに充電された電荷を、第2スイッチ素子がオフされるときに放電することができる。よって、第2スイッチ素子を繰り返してスイッチング動作させることが可能となる。
本発明に係る昇圧回路では、上記第1スイッチ素子、及び第2スイッチ素子が、トランジスタであることが好ましい。この場合、第1スイッチ素子及び第2スイッチ素子としてトランジスタを用いることにより、適切なスイッチング動作を行うことができる。また、トランジスタを採用することにより、高集積化(IC化)が容易になる。
本発明に係る昇圧回路では、上記第1電荷輸送手段、及び第2電荷輸送手段が、ダイオード、又はダイオード接続されたトランジスタであることが好ましい。この場合、第1電荷輸送手段及び第2電荷輸送手段として、ダイオード、又はダイオード接続されたトランジスタを用いることにより昇圧回路の部品点数を少なくすることができる。よって、昇圧回路の小型化、高集積化が可能となる。
本発明に係る昇圧回路は、上記いずれかの昇圧回路が、複数段、縦続接続されていることを特徴とする。
本発明に係る昇圧回路によれば、上記いずれかの昇圧回路が複数段、縦続接続されているため、段数に応じた高電圧を得ることができる。ここで、上述したように、各段の昇圧回路は、入力電圧が電源電圧を超える場合であっても、電源電圧以下の制御電圧で昇圧動作を行うことができる。そのため、縦続接続された昇圧回路においても電源電圧以下の制御電圧でより高電圧への昇圧動作を行うことが可能となる。
本発明に係る昇圧回路では、上記第1電荷輸送手段が、第1端子が入力端子に接続され、第2端子が昇圧用コンデンサの一端に接続され、制御端子に入力される第1制御信号によって第1スイッチ素子と同期して動作するようにスイッチング制御され、オンしたときに、入力端子から昇圧用コンデンサに電荷が輸送される第3スイッチ素子と、一端が第3スイッチ素子の制御端子に接続され、他端に第1制御信号が入力される第2制御用コンデンサと、一端が第3スイッチ素子の第1端子に接続され、他端が第3スイッチ素子の制御端子及び第2制御用コンデンサの一端に接続され、第2制御用コンデンサを介して入力される第1制御信号に応じて、第3スイッチ素子の第1端子の端子電圧を基準として、第3スイッチ素子の第1端子と制御端子との間に、閾値電圧を超える電圧を生成する第2電圧生成素子とを有し、上記第2電荷輸送手段が、第1端子が昇圧用コンデンサの一端に接続され、第2端子が出力端子に接続され、制御端子に入力される第2制御信号によって第3スイッチ素子と相反して動作するようにスイッチング制御され、オンしたときに、昇圧用コンデンサから出力端子に電荷が輸送される第4スイッチ素子と、一端が第4スイッチ素子の制御端子に接続され、他端に第2制御信号が入力される第3制御用コンデンサと、一端が第4スイッチ素子の第2端子に接続され、他端が第4スイッチ素子の制御端子及び第3制御用コンデンサの一端に接続され、第3制御用コンデンサを介して入力される第2制御信号に応じて、第4スイッチ素子の第2端子の端子電圧を基準として、第4スイッチ素子の第2端子と制御端子との間に、閾値電圧を超える電圧を生成する第3電圧生成素子とを有することが好ましい。
このようにすれば、第1電荷輸送手段及び第2電荷輸送手段にダイオードを用いた場合と比較して、ダイオードの順方向電圧分の電圧損失が生じないため昇圧効率を向上することが可能となる。ここで、第3スイッチ素子には、第2制御用コンデンサと、該第2制御用コンデンサを介して入力される第1制御信号に応じて、第1端子の端子電圧(すなわち入力電圧)を基準として、第1端子と制御端子との間に、閾値電圧を超える電圧(電位差)を生成する第2電圧生成素子が接続されている。そのため、入力電圧が電源電圧を超える場合であっても、第1制御信号の制御電圧は電源電圧と同じか又はそれ以下の電圧で第3スイッチ素子をスイッチング動作させることができる。同様に、第4スイッチ素子には、第3制御用コンデンサと、該第3制御用コンデンサを介して入力される第2制御信号に応じて、第2端子の端子電圧を基準として、第2端子と制御端子との間に、閾値電圧を超える電圧を生成する第3電圧生成素子が接続されている。そのため、第2端子電圧が電源電圧を超える場合であっても、第2制御信号の制御電圧は電源電圧と同じか又はそれ以下の電圧で第4スイッチ素子をスイッチング動作させることができる。
本発明に係る昇圧回路では、第2電圧生成素子が、第3スイッチ素子の第1端子から制御端子に逆方向接続される、直列接続された1以上のダイオード、又は1以上のダイオード接続されたトランジスタを有し、第3電圧生成素子が、第4スイッチ素子の第2端子から制御端子に順方向接続される、直列接続された1以上のダイオード、又は1以上のダイオード接続されたトランジスタを有することが好ましい。この場合、ダイオード又はダイオード接続されたトランジスタによる電圧降下により、第3スイッチ素子の第1端子と制御端子との間に、閾値電圧を超える電圧(電位差)を生成することができる。同様に、第4スイッチ素子の第2端子と制御端子との間に、閾値電圧を超える電圧を生成することが可能となる。
また、上記第2電圧生成素子は、第3スイッチ素子の第1端子から制御端子に順方向接続される、ダイオード、又はダイオード接続されたトランジスタをさらに有し、第3電圧生成素子は、第4スイッチ素子の第2端子から制御端子に逆方向接続される、ダイオード、又はダイオード接続されたトランジスタをさらに有することが好ましい。このようにすれば、第3スイッチ素子がオンされるときに第2制御用コンデンサに充電された電荷を、第3スイッチ素子がオフされるときに放電することができる。よって、第3スイッチ素子を繰り返してスイッチング動作させることが可能となる。同様に、第4スイッチ素子がオンされるときに第3制御用コンデンサに充電された電荷を、第4スイッチ素子がオフされるときに放電することができる。よって、第4スイッチ素子を繰り返してスイッチング動作させることが可能となる。
本発明に係る昇圧回路では、上記第3スイッチ素子、及び第4スイッチ素子が、トランジスタであることが好ましい。このようにすれば、第3スイッチ素子及び第4スイッチ素子としてトランジスタを用いることにより、適切なスイッチング動作を行うことができる。また、トランジスタを採用することにより、高集積化(IC化)が容易になる。
本発明に係る昇圧回路は、段落[0017]〜[0021]に記載のいずれかの昇圧回路が、複数段、縦続接続されていることを特徴とする。
この場合、段落[0017]〜[0022]に記載のいずれかの昇圧回路を複数段、縦続接続することにより、段数に応じた高電圧を得ることができる。ここで、上述したように、各段の昇圧回路は、入力電圧が電源電圧を超える場合であっても、電源電圧以下の制御電圧で昇圧動作を行うことができる。そのため、縦続接続された昇圧回路においても電源電圧以下の制御電圧でより高電圧への昇圧動作を行うことが可能となる。さらに、第1電荷輸送手段及び第2電荷輸送手段にダイオードを用いた場合と比較して、ダイオードの順方向電圧分の電圧損失が生じないため昇圧効率をより向上することが可能となる。
本発明によれば、ダブラ型のチャージポンプを用いた昇圧回路において、電源電圧を超える入力電圧に対して、電源電圧以下の制御電圧で昇圧動作させることが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、図1、図2を併せて用いて、第1実施形態に係る昇圧回路1の構成について説明する。図1は、昇圧回路1の構成を示すブロック図である。また、図2は、昇圧回路1の回路図の一例を示す図である。
昇圧回路1は、入力端子(入力ノード)8に入力される入力電圧Vinを略2倍に昇圧して出力電圧Voutとして出力端子(出力ノード)9へ出力するダブラ型のチャージポンプを用いた昇圧回路である。昇圧回路1は、入力端子8側から出力端子9側へ一方向に電荷を輸送する第1電荷輸送素子300,第2電荷輸送素子310と、第1制御信号clk1によりスイッチング動作される第1スイッチ素子400と、該第1スイッチ素子400と相反するように第2制御信号clk2によりスイッチング動作される第1スイッチ回路10と、第1スイッチ素子400がオンしたときに、入力端子8から入力電圧Vinが充電され、第1スイッチ回路10がオンしたときに、充電されている電荷を入力電圧Vinに重畳させて出力端子9へ放電する昇圧用コンデンサC2と、出力電圧Voutを平滑化する平滑化コンデンサC1とを備えている。
上記第1スイッチ回路10は、第2スイッチ素子410と、該第2スイッチ素子410を第2制御信号clk2に従って電源電圧で駆動する制御電圧変換回路100とを有している。制御電圧変換回路100は、第2制御信号clk2が入力される制御用コンデンサC3と、該制御用コンデンサC3を介して入力される第2制御信号clk2に応じて、第2スイッチ素子410の第1端子の端子電圧を基準として、第2スイッチ素子410の第1端子と制御端子との間に閾値電圧を超える電圧(電位差)を生成する電圧生成素子200とを含んでいる。なお、第1電荷輸送素子300、第2電荷輸送素子310それぞれは特許請求の範囲に記載の第1電荷輸送手段、第2電荷輸送手段に相当する。
続いて、図2の回路図を用いて、昇圧回路1の各構成要素をより具体的に説明する。第1電荷輸送素子300及び第2電荷輸送素子310には、ダイオード接続された(すなわちゲートとソースとが接続された)NMOSトランジスタ(N型MOS FET)を使用した。ダイオード接続されたNMOSトランジスタMA(以下、単に「NMOSトランジスタMA」ともいう)のソース端子、ゲート端子は入力端子8に接続されており、NMOSトランジスタMAのドレイン端子は昇圧用コンデンサC2の一端(正電極)に接続されている。一方、ダイオード接続されたNMOSトランジスタMB(以下、単に「NMOSトランジスタMB」ともいう)のソース端子、ゲート端子は昇圧用コンデンサC2の一端に接続されており、NMOSトランジスタMBのドレイン端子は出力端子9に接続されている。なお、電荷輸送素子としては、ダイオード接続されたNMOSトランジスタに代えてダイオードを用いてもよい。
第1スイッチ素子400には、NMOSトランジスタMC(MOSスイッチ)を使用した。NMOSトランジスタMCのドレイン端子(特許請求の範囲に記載の第1端子に相当)は、昇圧用コンデンサC2の他端(負電極)に接続されており、ソース端子(第2端子に相当)は接地されている。また、NMOSトランジスタMCのゲート端子には、スイッチング動作を制御する第1制御信号clk1が入力されるように構成されている。
第1スイッチ回路10を構成する第2スイッチ素子410には、PMOSトランジスタMD(MOSスイッチ)を使用した。PMOSトランジスタMDのソース端子(第1端子に相当)は入力端子8に接続されており、ドレイン端子(第2端子に相当)は、昇圧用コンデンサC2の他端(負電極)に接続されている。また、PMOSトランジスタMDのゲート端子(制御端子に相当)は、後述する制御用コンデンサC3の一端と接続されており、該制御用コンデンサC3を介して第2制御信号clk2が入力されるように構成されている。
一方、第1スイッチ回路10を構成する制御電圧変換回路100は、一端(正電極)がPMOSトランジスタMDのゲート端子に接続され、他端(負電極)に第2制御信号clk2が入力される微小容量の制御用コンデンサC3を有している。なお、制御用コンデンサC3の容量は、例えば、寄生容量に対する昇圧効率や流す電流値などを考慮して設定され、昇圧用コンデンサC2の容量の約1/10程度に設定される。また、制御電圧変換回路100は、PMOSトランジスタMDのソース端子(及び入力端子)からゲート端子(及び制御用コンデンサC3の正電極)に、順方向に直列接続された、3つのダイオード接続されたNMOSトランジスタD1〜D3(以下、単に「NMOSトランジスタD1〜D3」ということもある)と、逆方向に接続された1つのダイオード接続されたPMOSトランジスタD0(以下、単に「PMOSトランジスタD0」ということもある)とを有している。なお、ダイオード接続されたNMOSトランジスタの段数は、3段に限られない。
また、昇圧回路1は、NMOSトランジスタMAのドレイン端子とNMOSトランジスタMBのソース・ゲート端子との間に一端(正電極)が接続され、NMOSトランジスタMCのドレイン端子とPMOSトランジスタMDのドレイン端子との間に他端(負電極)が接続された昇圧用コンデンサC2を備えている。さらに、一端(正電極)がNMOSトランジスタMBのドレイン端子(すなわち出力端子9)に接続され、他端(負電極)が接地され、リップルを低減し出力電圧を平滑化する平滑化コンデンサC1を備えている。ここで、昇圧用コンデンサC2の容量は昇圧回路1に流す電流値に応じて設定されるパラメータである。また、平滑化コンデンサC1の容量は出力のリップルに応じて設定されるパラメータである。
次に、図3〜図8を併せて用いて、昇圧回路1の動作について説明する。まず、図3〜図5を参照しつつ、昇圧回路1の全体動作について説明する。ここで、図3,4は、第1実施形態に係る昇圧回路1の動作を説明するための図であり、図3は、第1制御信号clk1がHigh(ON)、第2制御信号clk2がHigh(OFF)のときの昇圧回路の状態を示し、図4は、第1制御信号clk1がLow(OFF)、第2制御信号clk2がLow(ON)のときの昇圧回路の状態を示す。また、図5は第1制御信号clk1、及び第2制御信号clk2のタイムチャートを示す図である。なお、図3,4においては、ダイオード接続されたMOSトランジスタをダイオードの回路記号で示すとともに、NMOSトランジスタMC、PMOSトランジスタMDをスイッチの回路記号で示すなど、理解を容易にするために適宜図面を簡略化した(図6,7も同様)。
第1制御信号clk1がHigh(例えば電源電圧)、かつ第2制御信号clk2がHigh(例えば電源電圧)の場合(図5のタイムチャートに示される状態1の場合)、NMOSトランジスタMCがオンするとともに、PMOSトランジスタMDがオフする。なお、PMOSトランジスタMDの動作の詳細については後述する。この状態1では、NMOSトランジスタMAを通して、昇圧用コンデンサC2が充電される。この時、図3に示されるノード1の電位はVin−Vdとなる。なお、ここで、Vdはダイオード接続されたNMOSトランジスタMAの順方向電圧である。
続いて、第1制御信号clk1がLow(例えば0V)、かつ第2制御信号clk2がLow(例えば0V)の場合(図5のタイムチャートに示される状態2の場合)、NMOSトランジスタMCがオフするとともに、PMOSトランジスタMDがオンする。なお、このときのPMOSトランジスタMDの動作の詳細についても後述する。この状態2においては、ノード1の電位が入力電圧Vinだけ昇圧され、2Vin−Vdとなる。この電圧がNMOSトランジスタMBを通して、平滑化コンデンサC1に充電される。上述した状態1と状態2とが所定周期で繰り返されることで、出力端子9には入力電圧Vinの略2倍の出力電圧Vout(正確には出力電圧Vout=2Vin−2Vd)が出力される。なお、図5のタイムチャートに示されるように、NMOSトランジスタMC、PMOSトランジスタMD双方が同時にONしないように(貫通電流を防止するために)、第1制御信号clk1と第2制御信号clk2とには、ノンオーバーラップ時間ΔTが設けられている。
次に、図6〜図8を併せて参照しつつ、PMOSトランジスタMDの制御電圧変換回路100の動作について説明する。ここで、図6は第2制御信号clk2がHighのときの制御電圧変換回路100の状態を説明するための図であり、図7は第2制御信号clk2がLowのときの制御電圧変換回路100の状態を説明するための図である。また、図8は第2制御信号clk2、PMOSトランジスタMDのゲート電位、及びゲート・ソース間電位差のタイムチャートを示す図である。
ここで、昇圧回路1がn段目に接続されたと仮定し、入力電圧をVin_nとする。また、第2制御信号clk2のLow電圧をVlow、High電圧をVhighとする。図6に示されるように、第2制御信号clk2の電圧Vclk2がVhighのとき(図8のタイムチャートに示される状態1の場合)、PMOSトランジスタMDのゲート端子電位は、ソース端子電位よりダイオード接続されたPMOSトランジスタD0の閾値電圧Vdだけ高くなり、Vin_n+Vdとなる(図8の中段参照)。この場合、直列接続されているNMOSトランジスタD1〜Dmは逆方向となり動作しない。従って、ゲート・ソース間電圧Vs−Vg=−Vdとなり(図8の下段参照)、PMOSトランジスタMDはオフ状態となる。
一方、図7に示されるように、第2制御信号clk2の電圧Vclk2がVlowのとき(図8のタイムチャートに示される状態2の場合)、順方向のNMOSトランジスタD1〜Dmそれぞれの端子間に閾値電圧Vdの電位差が発生し、PMOSトランジスタMDのゲート端子電位は、Vin_n−mVdとなる(図8の中段参照)。従って、ゲート・ソース間電圧Vs−Vg=mVdとなる(図8の下段参照)。ここで、MOSトランジスタの閾値電圧VthとVdの関係式が、Vth<mVdとなるようにmの値を選定(本実施形態ではm=3に設定)しておくことで、PMOSトランジスタMDはオン状態となる。スイッチのON抵抗を決定する要因として、ゲート・ソース間電圧(Vs−Vg)がある。順方向に直列接続されるMOSトランジスタの数mを増減させることで任意の電圧に設計することができる。第2制御信号clk2には、「Vhigh−Vlow>(m+1)Vd」の条件がある。よって、「(m+1)Vd<電源電圧Vdd」を満足する場合、スイッチ回路10は電源電圧Vdd以下でスイッチング動作が可能となる。
本実施形態によれば、NMOSトランジスタMCがオンしたときに昇圧用コンデンサC2が入力電圧Vinまで充電され、PMOSトランジスタMDがオンしたときに昇圧用コンデンサC2に充電された電圧が入力電圧に重畳されて出力される。よって、NMOSトランジスタMCとPMOSトランジスタMDとが繰り返して互いに相反動作されることにより、入力電圧の略2倍の出力電圧「Vout=2Vin−2Vth(但し、VthはNMOSトランジスタMA、MBの閾値電圧)」を得ることができる。ここで、NMOSトランジスタMCには、制御用コンデンサC3と、該制御用コンデンサC3を介して入力される第2制御信号clk2に応じて、ソース端子の端子電圧(すなわち入力電圧)を基準として、ソース端子とゲート端子との間に、閾値電圧を超える電圧(電位差)を生成する電圧生成素子200(ダイオード接続されたNMOSトランジスタD1,D2,D3)が接続されている。そのため、入力電圧が電源電圧を超える場合であっても、第2制御信号clk2の制御電圧は電源電圧と同じか又はそれ以下の電圧でPMOSトランジスタMDをスイッチング動作させることができる。よって、電源電圧を超える入力電圧に対して、電源電圧以下の制御電圧で昇圧動作させることが可能となる。
より詳細には、本実施形態によれば、電圧生成素子200として、PMOSトランジスタMDのソース端子からゲート端子に順方向接続される、直列接続された3つのNMOSトランジスタD1,D2,D3が使用されている。そのため、3つのダイオード接続されたNMOSトランジスタD1,D2,D3の順方向電圧Vdにより、PMOSトランジスタMDのソース端子とゲート端子との間に、閾値電圧を超える電圧(電位差)を生成することが可能となる。また、電圧生成素子200は、PMOSトランジスタMDのソース端子からゲート端子に、逆方向接続されるPMOSトランジスタD0を有している。そのため、PMOSトランジスタMDがオンされるときに制御用コンデンサC3に充電された電荷を、PMOSトランジスタMDがオフされるときに放電することができる。よって、PMOSトランジスタMDを繰り返してスイッチング動作させることが可能となる。
本実施形態によれば、第1スイッチ素子MC、及び第2スイッチ素子MDとして、MOSトランジスタが使用されている。そのため、適切なスイッチング動作を行うことができる。また、MOSトランジスタを採用することにより、高集積化(IC化)が容易になる。
本実施形態によれば、第1電荷輸送素子300、及び第2電荷輸送素子310として、ダイオード接続されたMOSトランジスタが使用されている。そのため、昇圧回路1の部品点数を少なくすることができる。また、昇圧回路1の小型化、高集積化が可能となる。
[第2実施形態]
次に、図9、図10を併せて用いて、第2実施形態に係る昇圧回路2の構成について説明する。図9は、昇圧回路2の構成を示すブロック図である。また、図10は、昇圧回路2の回路図の一例を示す図である。なお、図9、図10において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
上述した昇圧回路1では、入力端子8側から出力端子9側へ電荷を輸送する第1電荷輸送素子300、第2電荷輸送素子310を備えていた。一方、昇圧回路2は、第1電荷輸送素子300に代えて、第3スイッチ素子420と制御電圧変換回路110とを有して構成され、第1制御信号clk1によりスイッチング動作される第2スイッチ回路20を備えている。また、昇圧回路2は、第2電荷輸送素子310に代えて、第4スイッチ素子430と制御電圧変換回路120とを有して構成され、第2制御信号clk2によりスイッチング動作される第3スイッチ回路30を備えている。これらの点で昇圧回路2は、上述した昇圧回路1と異なっている。第2スイッチ回路20、第3スイッチ回路30それぞれも特許請求の範囲に記載の第1電荷輸送手段、第2電荷輸送手段に相当する。なお、その他の構成は、上述した昇圧回路1と同一または同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
第2スイッチ回路20は、第3スイッチ素子420と、該第3スイッチ素子420を第1制御信号clk1に従って電源電圧で駆動する制御電圧変換回路110とを有している。制御電圧変換回路110は、第1制御信号clk1が入力される制御用コンデンサCa3と、該制御用コンデンサCa3を介して入力される第1制御信号clk1に応じて、第3スイッチ素子420の第1端子の端子電圧を基準として、第3スイッチ素子420の第1端子と制御端子との間に閾値電圧を超える電圧(電位差)を生成する電圧生成素子210とを含んでいる。
続いて、図10の回路図を参照しつつ、第2スイッチ回路20の構成をより具体的に説明する。第2スイッチ回路20を構成する第3スイッチ素子420には、NMOSトランジスタMA(MOSスイッチ)を使用した。NMOSトランジスタMAのソース端子(特許請求の範囲に記載の第1端子に相当)は入力端子8に接続されており、ドレイン端子(第2端子に相当)は、昇圧用コンデンサC2の一端(正電極)に接続されている。また、NMOSトランジスタMAのゲート端子(制御端子に相当)は、制御用コンデンサCa3の一端と接続されており、該制御用コンデンサCa3を介して第1制御信号clk1が入力されるように構成されている。
また、第2スイッチ回路20を構成する制御電圧変換回路110は、一端(正電極)がNMOSトランジスタMAのゲート端子に接続され、他端(負電極)に第1制御信号clk1が入力される微小容量の制御用コンデンサCa3を有している。制御電圧変換回路110は、NMOSトランジスタMAのソース端子(及び入力端子)からゲート端子(及び制御用コンデンサCa3の正電極)に、逆方向に直列接続された、3つのダイオード接続されたNMOSトランジスタDa1〜Da3(以下、単に「NMOSトランジスタDa1〜Da3」ともいう)と、順方向に接続された1つのダイオード接続されたPMOSトランジスタDa0(以下、単に「PMOSトランジスタDa0」ともいう)とを有している。なお、ダイオード接続されたNMOSトランジスタの段数は、3段に限られない。
一方、第3スイッチ回路30は、上述した第1スイッチ回路10と同一又は同様であるので、ここでは説明を省略する。
次に、昇圧回路2の動作について説明する。第1制御信号clk1がHigh(例えば電源電圧)、かつ第2制御信号clk2がHigh(例えば電源電圧)の場合、NMOSトランジスタMA及びNMOSトランジスタMCがオンするとともに、PMOSトランジスタMB及びPMOSトランジスタMDがオフする。この状態では、NMOSトランジスタMAを通して、昇圧用コンデンサC2が充電される。この時、図10に示されるノード1の電位はVinとなる。
続いて、第1制御信号clk1がLow(例えば0V)、かつ第2制御信号clk2がLow(例えば0V)の場合、NMOSトランジスタMA及びNMOSトランジスタMCがオフするとともに、PMOSトランジスタMB及びPMOSトランジスタMDがオンする。この状態においては、ノード1の電位が入力電圧Vinだけ昇圧され、2Vinとなる。この電圧がPMOSトランジスタMBを通して、平滑化コンデンサC1に充電される。上述した状態1と状態2とが所定周期で繰り返されることで、出力端子9には入力電圧Vinの2倍の出力電圧Voutが出力される。
次に、第2スイッチ回路20(制御電圧変換回路110)の動作について説明する。なお、第3スイッチ回路30(制御電圧変換回路120)の動作は、上述した第1スイッチ回路10の動作と同一であるので、ここでは詳細な説明を省略する。ここで、昇圧回路2がn段目に接続されたと仮定し、入力電圧をVin_nとする。また、第1制御信号clk1のLow電圧をVlow、High電圧をVhighとする。第1制御信号clk1の電圧Vclk1がVhighのとき、NMOSトランジスタDa1〜Da3それぞれの端子間に閾値電圧Vdの電位差が発生し、NMOSトランジスタMAのゲート端子電位は、Vin_n+mVd(本実施形態ではm=3)となる。従って、ゲート・ソース間電圧Vg−Vs=mVdとなる。ここで、MOSトランジスタの閾値電圧VthとVdの関係式が、Vth<mVdとなるようにmの値を選定しておくことで、NMOSトランジスタMAはオン状態となる。スイッチのON抵抗を決定する要因として、ゲート・ソース間電圧(Vg−Vs)がある。順方向に直列接続されるダイオード接続されたMOSトランジスタの数mを増減させることで任意の電圧に設計することができる。第1制御信号clk1には、「Vhigh−Vlow>(m+1)Vd」の条件がある。よって、「(m+1)Vd<電源電圧Vdd」を満足する場合、スイッチ回路20は電源電圧Vdd以下でスイッチング動作が可能となる。
一方、第1制御信号clk1の電圧Vclk1がVlowのとき、NMOSトランジスタMAのゲート端子電位は、ソース端子電位よりダイオード接続されたPMOSトランジスタDa0の閾値電圧Vdだけ低くなり、Vin_n−Vdとなる。この場合、直列接続されているNMOSトランジスタDa1〜Da3は逆方向となり動作しない。従って、ゲート・ソース間電圧Vg−Vs=−Vdとなり、NMOSトランジスタMAはオフ状態となる。
本実施形態によれば、入力電圧の2倍の出力電圧「Vout=2Vin」を得ることができる。また、第1電荷輸送素子300及び第2電荷輸送素子310にダイオード接続されたMOSトランジスタを用いた場合と比較して、MOSトランジスタの閾値電圧分の電圧損失が生じないため昇圧効率を向上することが可能となる。ここで、NMOSトランジスタMAには、第2制御用コンデンサCa3と、該第2制御用コンデンサCa3を介して入力される第1制御信号clk1に応じて、ソース端子の端子電圧(すなわち入力電圧)を基準として、ソース端子とゲート端子との間に、閾値電圧を超える電圧(電位差)を生成する第2電圧生成素子110(ダイオード接続されたNMOSトランジスタDa1,Da2,Da3)が接続されている。そのため、入力電圧が電源電圧を超える場合であっても、第1制御信号clk1の制御電圧は電源電圧と同じか又はそれ以下の電圧でNMOSトランジスタMAをスイッチング動作させることができる。同様に、PMOSトランジスタMBには、第3制御用コンデンサCb3と、該第3制御用コンデンサCb3を介して入力される第2制御信号clk2に応じて、ソース端子の端子電圧を基準として、ソース端子とゲート端子との間に、閾値電圧を超える電圧(電位差)を生成する第3電圧生成素子120(ダイオード接続されたNMOSトランジスタDb1,Db2,Db3)が接続されている。そのため、ソース端子電圧が電源電圧を超える場合であっても、第2制御信号clk2の制御電圧は電源電圧と同じか又はそれ以下の電圧でPMOSトランジスタMBをスイッチング動作させることができる。
より詳細には、本実施形態によれば、第2電圧生成素子210として、NMOSトランジスタMAのソース端子からゲート端子に、逆方向接続される、直列接続された3つのNMOSトランジスタDa1,Da2,Da3が使用されている。また、第3電圧生成素子220として、PMOSトランジスタMBのソース端子からゲート端子に、順方向接続される、直列接続された3つのNMOSトランジスタDb1,Db2,Db3が使用されている。そのため、3つのダイオード接続されたNMOSトランジスタDa1,Da2,Da3の順方向電圧により、MOSトランジスタMAのソース端子とゲート端子との間に、閾値電圧を超える電圧を生成することができる。同様に、3つのダイオード接続されたNMOSトランジスタDb1,Db2,Db3の順方向電圧により、PMOSトランジスタMBのソース端子とゲート端子との間に、閾値電圧を超える電圧を生成することが可能となる。また、第2電圧生成素子210は、NMOSトランジスタMAのソース端子からゲート端子に、順方向接続されるダイオード接続されたPMOSトランジスタDa0をさらに有し、第3電圧生成素子220は、PMOSトランジスタMBのソース端子からゲート端子に、逆方向接続されるPMOSトランジスタDb0をさらに有している。そのため、NMOSトランジスタMAがオンされるときに第2制御用コンデンサCa3に充電された電荷を、NMOSトランジスタMAがオフされるときに放電することができる。よって、NMOSトランジスタMAを繰り返してスイッチング動作させることが可能となる。同様に、PMOSトランジスタMBがオンされるときに第3制御用コンデンサCb3に充電された電荷を、PMOSトランジスタMBがオフされるときに放電することができる。よって、PMOSトランジスタMBを繰り返してスイッチング動作させることが可能となる。
本実施形態によれば、第1スイッチ素子400、第2スイッチ素子410に加え、第3スイッチ素子420、及び第4スイッチ素子430として、MOSトランジスタが使用されている。そのため、適切なスイッチング動作を行うことができる。また、MOSトランジスタを採用することにより、高集積化(IC化)が容易になる。
[第3実施形態]
次に、図11、図12を用いて、第3実施形態に係る昇圧回路3の構成について説明する。図11は昇圧回路3の構成を示すブロック図である。また、図12は昇圧回路3の回路図の一例を示す図である。なお、図11、図12において第1実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
図11,12に示されるように、昇圧回路3は、上述した第1実施形態に係る昇圧回路1を多段(n段)縦続接続、すなわち前段(n−1段目)の出力端子(出力ノード)9を次段(n段目)の入力端子(入力ノード)8に順次接続(カスケード接続)したものである。なお、段数nは、所望する出力電圧値に応じて任意に設定される。
昇圧回路3を構成する昇圧回路1(1段)は、上述したように、入力電圧Vinに対して、(2Vin−2Vd)の出力電圧Voutを得ることができる。そのため、昇圧回路3を構成する各段の出力電圧Voutは次のようになる。
1段目:Vout_1=2Vin−2Vd
2段目:Vout_2=2Vout_1−2Vd=4Vin−6Vd
3段目:Vout_3=2Vout_2−2Vd=8Vin−14Vd
:
n段目:Vout_n=2Vout_(n−1)−2Vd=2nVin−(2n+1−2)Vd
すなわち、入力電圧Vin、昇圧出力電圧Vout、段数n、電荷輸送素子(MA、MB)の電圧ロスをVthとすると、昇圧出力電圧は「Vout=2n・Vin−(2n+1−2)Vth」となる。なお、Vthは、ダイオード接続されたMOSトランジスタの電圧ロスである。なお、昇圧回路3を構成する昇圧回路1の動作については上述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施形態によれば、昇圧回路1が、複数段(n段)、縦続接続されている。そのため、段数に応じた高電圧「Vout=2n・Vin−(2n+1−2)・Vd」を得ることができる。ここで、上述したように、各段の昇圧回路1は、入力電圧が電源電圧を超える場合であっても、電源電圧以下の制御電圧で昇圧動作を行うことができる。そのため、縦続接続された昇圧回路3においても電源電圧以下の制御電圧でより高電圧への昇圧動作を行うことが可能となる。
[第4実施形態]
次に、図13を用いて、第4実施形態に係る昇圧回路4の構成について説明する。図13は、昇圧回路4の回路図の一例を示す図である。なお、図13において第2実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号が付されている。
図13に示されるように、昇圧回路4は、上述した第2実施形態に係る昇圧回路2を多段(n段)縦続接続、すなわち前段(n−1段目)の出力端子(出力ノード)9を次段(n段目)の入力端子(入力ノード)8に順次接続(カスケード接続)したものである。なお、段数nは、所望する出力電圧値に応じて任意に設定される。
昇圧回路4を構成する昇圧回路2(1段)は、上述したように、入力電圧Vinに対して、2Vinの出力電圧Voutを得ることができる。そのため、昇圧回路4を構成する各段の出力電圧Voutは次のようになる。
1段目:Vout_1=2Vin
2段目:Vout_2=2Vout_1=4Vin
3段目:Vout_3=2Vout_2=8Vin
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n段目:Vout_n=2Vout_(n−1)=2nVin
すなわち、入力電圧Vin、昇圧出力電圧Vout、段数nとすると、昇圧出力電圧Vout=2n・Vinとなる。なお、昇圧回路4を構成する昇圧回路2の動作については上述した通りであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
本実施形態によれば、昇圧回路2が、複数段(n段)、縦続接続されている。そのため、段数に応じてより高電圧「Vout=2n・Vin」を得ることができる。ここで、上述したように、各段の昇圧回路2は、入力電圧が電源電圧を超える場合であっても、電源電圧以下の制御電圧で昇圧動作を行うことができる。そのため、縦続接続された昇圧回路4においても電源電圧以下の制御電圧でより高電圧への昇圧動作を行うことが可能となる。また、第1電荷輸送素子300及び第2電荷輸送素子310にダイオード又はダイオード接続されたMOSトランジスタを用いた場合と比較して、ダイオードの順方向電圧分の電圧損失が生じないため昇圧効率をより向上することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ダイオード接続されたMOSトランジスタを用いて電圧生成素子200,210,220を構成したが、MOSトランジスタに代えて、ダイオード、バイポーラトランジスタ、又は抵抗などを用いてもよい。
また、上記実施形態3,4では、昇圧回路1,2を複数、縦続接続したが、昇圧回路1,2を例えばディクソン型のチャージポンプの後段に縦続接続する構成としてもよい。