以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明を適用した駐車支援装置の構成を示す構成図である。この駐車支援装置は、自車を目標駐車位置へと誘導するための誘導経路を算出して、当該誘導経路に沿って自車が目標駐車位置へと移動するように自車の操舵を自動制御するものであり、図1に示すように、本装置の中核をなす駐車支援コントローラ10に対して、自車周囲の映像を撮影する4つの車載カメラ1a〜1dと、自車周囲の俯瞰映像を表示するディスプレイ2と、ガイド音声を出力するスピーカ3と、自車のステアリングを駆動するステアリングアクチュエータ4と、自車ドライバによる操作入力を受け付ける操作入力デバイス5と、自車の舵角を検出する舵角センサ6と、自車の車速を検出する車速センサ7とが接続されて構成される。
車載カメラ1a〜1dは、例えば180度程度の画角を有する広角のCCDカメラ或いはCMOSカメラよりなり、これら4つの車載カメラ1a〜1dで自車周囲を囲む全ての領域の映像を撮影できるように、自車の適所に搭載されている。具体的には、例えば図2に示すように、車載カメラ1aは自車のフロントグリル、車載カメラ1bは左ドアミラー、車載カメラ1cはリアフィニッシャ、車載カメラ1dは右ドアミラーに各々取り付けられ、それぞれ自車周囲の所定範囲の領域の映像を路面に対して斜めに見下ろす方向で撮影する。
ディスプレイ2は、自車の車室内に設置された液晶表示器などの表示装置であり、駐車支援コントローラ10により生成された自車周囲の俯瞰映像や駐車支援のための各種情報を表示する。また、スピーカ3としては、車両に一般的に搭載されているオーディオ用のスピーカなどが用いられ、駐車支援のための各種ガイド音声を出力する。
ステアリングアクチュエータ4は、駐車支援コントローラ10により動作制御され、自車のステアリングを駆動する。このステアリングアクチュエータ4としては、例えば、ドライバによるステアリング操作を電気的にアシストする電動パワーステアリング装置(EPS)のステアリング駆動用モータなどが用いられる。
操作入力デバイス5は、自車のドライバによる各種操作入力を受け付けるものであり、例えば方向キーやタッチパネルなどからなる。この操作入力デバイス5は、ドライバによる操作がなされると、その操作入力に応じた操作信号を駐車支援コントローラ10に入力する。また、舵角センサ6及び車速センサ7は、自車の舵角及び車速の情報を駐車支援コントローラ10に随時入力する。
駐車支援コントローラ10は、例えば、所定の処理プログラムに従って動作するマイクロコンピュータを備えた電子制御ユニット(ECU)からなり、マイクロコンピュータのCPUで処理プログラムが実行されることによって、駐車支援のための各種機能を実現する。
具体的には、駐車支援コントローラ10は、4つの車載カメラ1a〜1dで撮影された映像を入力し、これらの映像を所定の座標変換アルゴリズムに従って自車上方の仮想視点から見た映像にそれぞれ視点変換するとともに繋ぎ合せて、自車周囲を自車上方から見下ろした俯瞰映像を生成し、生成した自車周囲の俯瞰映像をディスプレイ2に表示させる。
ディスプレイ2に表示される自車周囲の俯瞰映像の一例を図3に示す。この図3の映像例において、領域A1はフロントグリルに取り付けられた車載カメラ1aで撮影された映像を視点変換した映像であり、領域A2は左ドアミラーに取り付けられた車載カメラ1bで撮影された映像を視点変換した映像である。また、領域A3はリアフィニッシャに取り付けられた車載カメラ1cで撮影された映像を視点変換した映像であり、領域A4は右ドアミラーに取り付けられた車載カメラ1dで撮影された映像を視点変換した映像である。なお、俯瞰映像の中心は自車位置を表す自車位置マークであり、コンピュータグラフィックス画像が重畳されている。この図3の映像例のように、ディスプレイ2に表示される俯瞰映像は、自車を中心としてその周囲360度の状況を自車上方から見下ろすかたちで確認できる映像となっている。
また、駐車支援コントローラ10は、例えば、自車のドライバが操作入力デバイス5を用いてディスプレイ2に表示されている俯瞰映像上の任意の位置を目標駐車位置として指定する操作入力を行ったときに、その指定された位置を自車の目標駐車位置として設定する処理を行う。具体的には、駐車支援コントローラ10は、ディスプレイ2に表示される俯瞰映像上に自車に対応した大きさの枠図形(駐車枠)を移動可能に描画する。そして、ドライバが操作入力デバイス5を用いて俯瞰映像上の所望の位置に駐車枠を動かすことで、ドライバの意図する任意の位置に目標駐車位置を設定できるようにする。また、駐車支援コントローラ10は、ドライバが俯瞰映像上で目標駐車位置を指定する際に、駐車枠とともに例えばL字型の枠図形(L字枠)を俯瞰映像上に移動可能に描画する。そして、ドライバが操作入力デバイス5を用いて俯瞰映像上の所望の位置にL字枠を動かすことで、例えば目標駐車位置に隣接して駐車されている他の駐車車両の角など、駐車動作の過程で干渉を避けるべき位置である回避ポイントを設定できるようにする。
なお、本実施形態の駐車支援装置では、4つの車載カメラ1a〜1dの映像を用いて生成した自車周囲の俯瞰映像をディスプレイ2に表示する構成であるが、1つの車載カメラで自車後方の映像を撮影し、その映像をディスプレイ2に表示するようにしてもよい。この場合には、ディスプレイ2に表示される自車後方の映像に駐車枠やL字枠を移動可能に描画すればよい。また、目標駐車位置の設定は、自車ドライバの操作入力によらずに、例えば、ディスプレイ2に表示する俯瞰映像に対して白線認識などの映像解析処理を行うことで、自車の駐車が可能な駐車可能スペースを検出して当該駐車可能スペースを目標駐車位置として自動設定するといった手法で行うようにしてもよい。さらに、回避ポイントの設定は、ソナーなどの障害物検知装置を搭載して、その障害物検知装置により検知された障害物の目標駐車位置に近い角部を回避ポイントとして自動設定するといった手法で行うようにしてもよい。
また、駐車支援コントローラ10は、ドライバの操作によって目標駐車位置や回避ポイントが指定されると、回避ポイントを避けて自車を目標駐車位置へと誘導するための誘導経路を算出する。そして、自車を目標駐車位置へと誘導するための誘導経路を算出すると、この算出した誘導経路に沿って自車が目標駐車位置へと移動するように、自車の操舵を自動制御する。具体的には、駐車支援コントローラ10は、誘導経路を算出した後に自車が移動を開始すると、舵角センサ6及び車速センサ7の検出値を随時モニタリングして自車の位置及び姿勢をデッドレコニングしながら、算出した誘導経路に沿って自車を移動させるための目標舵角を随時算出する。そして、この目標舵角と舵角センサ6により検出される実舵角との偏差をゼロにするようにステアリングアクチュエータ4の動作を制御することで、自車を目標駐車位置へと誘導する。また、このような自動操舵制御を行う間、駐車支援コントローラ10は、ディスプレイ2には上述した俯瞰映像を表示させることで自車の動きをドライバに客観的に把握させ、また、スピーカ3からガイド音声を出力することでブレーキのタイミングなどをドライバに認識させる。
以下、具体的な駐車シーンを想定しながら、本実施形態の駐車支援コントローラ10における特徴的な処理内容について、さらに詳しく説明する。
図4は、車庫入れ駐車を行う場合の典型的な車両挙動を示している。車庫入れ駐車を行う場合、自車は駐車初期位置P1から後退開始位置P3まで前進し、後退開始位置P3にて停止してギアをリバースに入れた後に、ステアリング操作しながら後退して目標駐車位置P2に到達するのが一般的である。本実施形態の駐車支援装置は、以上のような一連の駐車動作の中で、特に後退開始位置P3から目標駐車位置P2まで自車が後退しながら駐車する駐車時の支援に特徴がある。
図5は、後退開始位置P3から目標駐車位置P2まで自車を自動操舵制御により誘導する場合の誘導経路の一例を示している。ここでは、後退開始位置P3及び目標駐車位置P2での自車の舵角はゼロ(ステアリング中立状態)であり、駐車動作の過程で自車の舵角が左側一杯の状態(以下、この状態を「左フル転舵状態」と呼ぶ。)で後退するように自車の操舵が自動制御されるものとする。なお、以下では、目標駐車位置P2における自車の後輪車軸中心を原点とし、車幅方向をX軸、全長方向をY軸と定義した座標軸を用いて説明する。
この図5に示す誘導経路は、ステアリング中立状態を維持して自車が後退する直進後退区間S1と、ステアリングを中立状態から左フル転舵状態へと変更しながら自車が後退する切り増し区間S2と、左フル転舵状態を維持して自車が後退する定常円旋回区間S3と、ステアリングを左フル転舵状態から中立状態へと戻しながら自車が後退する切り戻し区間S4と、ステアリング中立状態を維持して自車が後退する直進後退区間S5とからなる経路パターンの誘導経路である(以下、このような経路パターンを「標準パターン」と呼び、標準パターンの誘導経路を「標準経路」と呼ぶ。)。
この標準経路に沿って移動する自車の挙動は、以下のようになる。まず、後退開始位置P3からステアリング中立状態で直進後退区間S1を後退で移動した後、切り増し区間S2を後退で移動する間にステアリングが左に回されて、ステアリング中立状態から左フル転舵状態へと舵角が変更される。舵角が左フル転舵状態へと変更されると、左フル転舵状態を維持したまま定常円旋回区間S3を後退で移動する。その後、切り戻し区間S4を後退で移動する間にステアリングが右に回されて、左フル転舵状態からステアリング中立状態へと舵角が変更される。切り戻し区間S4が終了する位置では自車の後輪車軸中心のX座標が略ゼロとなっており、且つ、目標駐車位置P2に対して自車の向きが平行でステアリング中立状態となっているので、ステアリング中立状態のまま直進後退区間S5を後退で移動すれば、目標駐車位置P2に正確に駐車することができる。
図6は、図5に示した標準経路に沿って自車を目標駐車位置P2に誘導する際の自車のステアリング回転角(舵角)の変化を、横軸に自車の移動距離L、縦軸にステアリングの回転角ωをとってグラフ化したものである。(以下、このグラフを「L−ωグラフ」と呼ぶ。)。なお、ステアリング回転角ωは左転舵時が正、右転舵時が負の値になるものとする。
自車の移動距離Lに対するステアリングの状態は、以下の通りである。
L0〜L1:ステアリング中立状態を維持(図5の直進後退区間S1に相当)
L1〜L2:中立状態から左フル転舵状態へと変化(図5の切り増し区間S2に相当)
L2〜L3:左フル転舵状態を維持(図5の定常円旋回区間S3に相当)
L3〜L4:左フル転舵状態から中立状態へと変化(図5の切り戻し区間S4に相当)
L4〜L5:ステアリング中立状態を維持(図5の直進後退区間S5に相当)
この図6に示すL−ωグラフにおいて、自車がL1からL4まで移動する間のステアリング回転角ωの総和を表す台形の面積をSとすると、Sは後退開始位置P3から目標駐車位置P2までの自車の回転角(図5におけるθ1)に比例する。つまり、比例係数をkとすると、台形面積Sと自車回転角θ1との間には、下記式(1)の関係が成り立つ。
S=k・θ1 ・・・(1)
次に、目標駐車位置P2の周辺に設定された回避ポイントを避けて自車を目標駐車位置P2に誘導するための誘導経路について説明する。
目標駐車位置P2の周辺に回避ポイントAP1が設定されている場合には、図7に示すように、標準経路に沿って自車が目標駐車位置P2へと移動する過程で回避ポイントAP1に干渉する場合がある。このような場合には、回避ポイントAP1を避ける新たな誘導経路を再計算する必要がある。
上述した標準経路パターンを用いて回避ポイントAP1を回避することを考えた場合、図8に示すように、直進後退区間S1を延長することによって、回避ポイントAP1に干渉しないようにしながら自車を目標駐車位置P2に近づけることができる。また、定常円旋回区間S3のステアリング転舵角をフル転舵状態よりも小さい角度とすることによっても、回避ポイントAP1を避けることが可能となる。ここでは、図8に示すように直進後退区間S1を延長して新たな直進後退区間S1’とする方法で説明する。
図9は、図7に示した標準経路と図8に示した標準経路のそれぞれに対応するL−ωグラフを対比して示す図であり、図9(a)が図7に示した標準経路に対応するL−ωグラフ、図9(b)が図8に示した標準経路に対応するL−ωグラフである。
図9(a)のL−ωグラフは、図6に示したL−ωグラフと同じであり、L0〜L1が直進後退区間S1に相当し、L1〜L2が切り増し区間S2に相当し、L2〜L3が定常円旋回区間S3に相当し、L3〜L4が切り戻し区間S4に相当し、L4〜L5が直進後退区間S5に相当する。
これに対して、図9(b)のL−ωグラフでは、直進後退区間S1が延長されて新たな直進後退区間S1’となったことにより、各区間の切り替えポイントの移動距離が図中の右方向にシフトしており、L0〜L11が直進後退区間S1’、L11〜L12が切り増し区間S2、L12〜L13が定常円旋回区間S3、L13〜L14が切り戻し区間S4、L14〜L15が直進後退区間S5となっている。ここで、切り戻し区間S4と直進後退区間S5との切り替えポイントとなる移動距離L14の位置は、図8に示した標準経路上で自車の向きが目標駐車位置P2の向きと同じになる位置である。この位置を中間位置P4とすると、この中間位置P4のX座標は目標駐車位置P2と一致しておらず、目標駐車位置P2に対してX軸方向(車幅方向)にずれた位置となっている。したがって、この中間位置P4からステアリング中立状態のまま直進区間S5を後退で移動しても、目標駐車位置P2に正確に駐車することはできない。
そこで、以上のように中間位置P4が目標駐車位置P2に対してX軸方向にずれた位置となる場合には、誘導経路の経路パターンを変更し、中間位置P4から目標駐車位置P2に誘導するための経路を標準経路に追加した新たな誘導経路を再計算する。
具体的には、図10に示すように、自車の向きが目標駐車位置P2の向きと一致する中間位置P4から、自車の向きが目標駐車位置P2対してθ2だけ傾いた位置(以下、傾斜位置P5と呼ぶ。)、自車の向きが目標駐車位置P2の向きに再度一致する位置(以下、平行位置P6と呼ぶ。)を経て目標駐車位置P2に到達する経路を追加した新たな誘導経路を計算する(以下、このような中間位置P4から目標駐車位置P2までの経路を追加した経路パターンを「障害物回避パターン」と呼び、障害物回避パターンの誘導経路を「障害物回避経路」と呼ぶ。)。
この障害物回避経路では、中間位置P4でステアリングが中立状態とはならず、傾斜位置P5にてステアリングが中立状態となる。その後、ステアリングが右方向に所定量切り増しされて直ぐに切り戻しされることで自車の姿勢の立て直しが図られ、平行位置P6にて再度ステアリングが中立状態となる。この平行位置P6は自車の後輪車軸中心のX座標が略ゼロとなっており、且つ、目標駐車位置P2に対して自車の向きが平行でステアリング中立状態となっているので、平行位置P6からそのまま後退で移動すれば、目標駐車位置P2に正確に駐車することができる。
図11は、図10に示した中間位置P4から平行位置P6までの経路を追加した障害物回避経路に対応するL−ωグラフである。
障害物回避経路の場合、標準経路と比べて定常円旋回区間S3が延長されており、移動距離L21の位置で定常円旋回区間S3から切り戻し区間S4に切り替わる。そして、移動距離L23の位置でステアリングが中立状態となるが、この移動距離L23の位置が、目標駐車位置P2に対して自車の向きがθ2傾いた傾斜位置P5となる。その後、ステアリングを右側に切り増ししながら後退し、移動距離L24を境にステアリングを左側に切り戻して、移動距離L25の位置でステアリングが再度中立状態となる。この移動距離L25の位置が平行位置P6である。なお、移動距離L22の位置は、目標駐車位置P2の向きに自車の向きが最初に一致する中間位置P4である。
ここで、以上の障害物回避経路における定常円旋回区間S3の追加部分を自車が移動する間のステアリング回転角ωの総和を表す長方形の面積Saは、傾斜位置P5における自車回転角θ2に比例する(Sa=k・θ2)。したがって、定常円旋回区間S3の追加部分の長さ(L21−L13)は、下記式(2)で表される。
(L21−L13)・ωmax=k・θ2
→ (L21−L13)=k・θ2/ωmax ・・・(2)
また、自車の向きが目標駐車位置P2に一致する中間位置P4が移動距離L22の位置であり、自車が目標駐車位置P2に対してθ2傾いた傾斜位置P5が移動距離L23の位置であるから、自車が中間位置P4から傾斜位置P5に移動する間のステアリング回転角ωの総和を表す三角形の面積Sbは、傾斜位置P5における自車回転角θ2に比例し(Sb=k・θ2)、中間位置P4から傾斜位置P5までの長さ(L23−L21)は、ステアリング回転角の傾きをdとしたとき、下記式(3)で表される。
0.5・d・(L23−L22)2=k・θ2
→ (L23−L22)=((2・k・θ2)/d)1/2 ・・・(3)
ただし、d=ωmax/(L12−L11)であり、どの程度の移動距離でフル転舵にするかは予め決めておく。
また、ステアリング回転角ωが負の値となる区間、つまり傾斜位置P5から平行位置P6までの区間の長さ(L25−L23)は、自車が傾斜位置P5から平行位置P6に移動する間のステアリング回転角ωの総和を表す三角形の面積Scが傾斜位置P5における自車回転角θ2に比例する(Sc=k・θ2)ことから、下記式(4)で表される。
d・(L25−L23)2=k・θ2
→ (L25−L23)=(k・θ2/d)1/2 ・・・(4)
上記の式(2)乃至式(4)より、傾斜位置P5における自車回転角θ2を決めればそれぞれの移動距離が決まるので、θ2を決めることにより、上述した障害物回避経路を算出することができる。なお、θ2は中間位置P4から目標駐車位置P2までの間の制御規則で自車をどれだけX軸方向に移動できるかによって決めることができる。つまり、自車の回転角θに対するX軸方向の移動距離Δxを求めておき、中間位置P4におけるX座標のずれ量に応じた回転角θ2を求めるようにすればよい。
図12は、後退開始位置P3から目標駐車位置P2まで自車を誘導する際に駐車支援コントローラ10により実行される一連の処理の流れを示したフローチャートである。この図12のフローチャートで示す一連の処理は、自車が後退開始位置P3に停車した状態で駐車支援の開始を指示するドライバの操作入力がなされることによって開始される。
図12のフローが開始されると、駐車支援コントローラ10は、まずステップST101において、目標駐車位置P2及び回避ポイントAP1を設定する。この目標駐車位置P2及び回避ポイントAP1は、上述したように、ディスプレイ2に表示した俯瞰映像上でドライバが駐車枠及びL字枠を動かした位置に設定される。
次に、駐車支援コントローラ10は、ステップST102において、デフォルトの経路パターンとして標準パターンを選択し、自車の現在位置(後退開始位置P3)からステップST101で設定した回避ポイントAP1を避けて目標駐車位置P2に向かう標準経路を計算する。
次に、駐車支援コントローラ10は、ステップST103において、ステップST102で算出した標準経路上で自車の向きが目標駐車位置P2の向きと一致する中間位置P4を求めてそのX座標を調べ、中間位置P4のX座標が目標駐車位置P2と一致するか否かを判定する。その結果、中間位置P4のX座標が目標駐車位置P2と一致すればステップST104に進み、中間位置P4のX座標が目標駐車位置P2と一致しない、つまり中間位置P4が目標駐車位置P2に対してX軸方向(車幅方向)にずれた位置となっている場合にはステップST105に進む。
ステップST104では、駐車支援コントローラ10は、ステップST102で算出した標準経路に沿って自車が目標駐車位置Pに移動するように、自車のステアリングを自動制御する。
一方、ステップST105では、駐車支援コントローラ10は、経路パターンをデフォルトの標準パターンから障害物回避パターンに変更し、中間位置P4から傾斜位置P5及び平行位置P6を経て目標駐車位置P2に至る障害物回避経路を計算する。そして、ステップST106において、ステップST105で算出した障害物回避経路に沿って自車が目標駐車位置P2に移動するように、自車のステアリングを自動制御する。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援装置では、駐車支援コントローラ10が、自車を後退開始位置P3から目標駐車位置P2へと誘導するための誘導経路として、一般的な経路パターンである標準パターンの標準経路のほかに、回避ポイントAP1を回避しつつ目標駐車位置P2に正確に駐車させる障害物回避経路を計算する機能を持ち、回避ポイントAP1を避けて目標駐車位置P2に正確に駐車できる標準経路が算出できない場合には、誘導経路の経路パターンを標準パターンから障害物回避パターンに変更して障害物回避経路を算出し、この障害物回避経路に沿って自車を目標駐車位置P2へと誘導するようにしている。したがって、本実施形態の駐車支援装置によれば、これまで有効な誘導経路が算出できないとして駐車支援を行うことができなかった駐車シーンにおいても駐車支援が可能となり、駐車支援が可能なシーンを大幅に拡大することができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態の駐車支援装置は、第1の実施形態で説明した障害物回避経路に沿って自車を誘導すると、自車が他の回避ポイントに干渉する虞がある場合や、最終的に自車の向きが目標駐車位置P2と同じ向きとなる平行位置P6が目標駐車位置P2を超えた位置となってしまう場合に、経路の途中で一旦前進する切り返し経路を含む経路パターンの誘導経路を算出して、この誘導経路に沿って自車を目標駐車位置P2に誘導するようにしたものである。以下、第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
図13は、第1の実施形態で説明した障害物回避経路上の傾斜位置P5付近を拡大して示した図である。第1の実施形態では、回避ポイントとして定常円旋回区間S3の旋回内周側にのみ回避ポイントAP1が設定されていたが、ここでは、旋回外周側にも回避ポイントAP2が設定されているものとする。この場合、後退開始位置P3と回避ポイントAP1,AP2の位置関係によっては、自車が障害物回避経路に沿って中間位置P4から傾斜位置P5に移動する過程で、図13に示すように、自車の右前の角が回避ポイントAP2に干渉する可能性がある。このような場合には、後退開始位置P3から目標駐車位置P2まで後退で移動する過程で一旦前進して切り返しを行う経路パターンの誘導経路(以下、このような経路パターンを「切り返し駐車パターン」と呼び、切り返し駐車パターンの誘導経路を「切り返し駐車経路」と呼ぶ。)を算出して、この切り返し駐車経路に沿って自車を目標駐車位置P2に誘導する。
具体的には、自車が障害物回避経路に沿って中間位置P4から傾斜位置P5に移動する間の自車右前の角が通る軌跡のX座標をプロットして、その最大値Xcを回避ポイントAP2のX座標Xoと比較する。そして、Xc≧Xoが成立した場合に、自車が障害物回避経路に沿って移動する過程で回避ポイントAP2に干渉すると判断する。この場合には、誘導経路の経路パターンを障害物回避パターンから切り返し駐車パターンに変更し、前進切り返しの経路を含む切り返し駐車経路を算出して、算出した切り返し駐車経路に沿って自車を目標駐車位置P2へと誘導する。
図14は、障害物回避経路上で自車の向きが最終的に目標駐車位置P2と同じ向きとなる平行位置P6が目標駐車位置P2を超えた位置となる場合を説明する図である。障害物回避経路上の中間位置P4のY座標が目標駐車位置P2に近い場合、この中間位置P4から自車を回転させて傾斜位置P5に到達した後、自車の向きを立て直して平行位置P6に到達するまでの制御区間でY軸方向のスペースが不足し、図14に示すように、平行位置P6が目標駐車位置P2を超えた位置となって、例えば目標駐車位置P2の奥に存在する壁や他車両などの障害物に干渉する虞がある。そこで、このような場合にも、前進切り返しの経路を含む切り返し駐車経路を算出して、この切り返し駐車経路に沿って自車を目標駐車位置P2に誘導する。
具体的には障害物回避経路における平行位置P6のY座標Ycの値を求め、Yc<0が成立した場合に、平行位置P6が目標駐車位置P2を超えた位置となると判断して、誘導経路の経路パターンを障害物回避パターンから切り返し駐車パターンに変更し、前進切り返しの経路を含む切り返し駐車経路を算出して、算出した切り返し駐車経路に沿って自車を目標駐車位置P2へと誘導する。
図15は、切り返し駐車経路の一例を示す図である。切り返し駐車経路の場合、定常円旋回区間S3を短縮することによって、自車が中間位置P4の手前の途中位置P7に到達したときにステアリングが中立状態となるようにする。そして、この途中位置P7にて一旦停車してギアをドライブに変更することを促し、途中位置P7から切り返し位置P8まで自車を前進させる。その後、切り返し位置P8にて一旦停車してギアをリバースに戻すことを促し、切り返し位置P8から目標駐車位置P2まで標準パターンの経路で自車を後退させて目標駐車位置P2正しく到達させる。
図16は、本実施形態の駐車支援装置において、後退開始位置P3から目標駐車位置P2まで自車を誘導する際に駐車支援コントローラ10により実行される一連の処理の流れを示したフローチャートである。この図16のフローチャートにおけるステップST201〜ステップST205までの処理は、基本的には第1の実施形態で説明した図12のフローチャートにおけるステップST101〜ステップST105までの処理と同様である。ただし、図12のフローチャートにおけるステップST101では、回避ポイントとして定常円旋回区間S3の旋回内周側の回避ポイントAP1のみを設定していたが、図16のフローチャートにおけるステップST201では、旋回内周側の回避ポイントAP1と旋回外周側の回避ポイントAP2の2つの回避ポイントを設定している。
つまり、図16のフローチャートが開始されると、駐車支援コントローラ10は、まずステップST201において、目標駐車位置P2及び回避ポイントAP1,AP2を設定し、ステップST202において、ステップST201で設定した回避ポイントAP1を避けて目標駐車位置P2に向かう標準経路を計算する。
次に、駐車支援コントローラ10は、ステップST203において、ステップST202で算出した標準経路上における中間位置P4のX座標が目標駐車位置P2と一致するか否かを判定し、中間位置P4のX座標が目標駐車位置P2と一致すれば、ステップST204において、ステップST202で計算した標準経路に沿って自車が目標駐車位置Pに移動するように、自車のステアリングを自動制御する。
一方、ステップST202で算出した標準経路上における中間位置P4のX座標が目標駐車位置P2と一致しない、つまり中間位置P4が目標駐車位置P2に対してX軸方向(車幅方向)にずれた位置となっている場合には、ステップST205において、経路パターンをデフォルトの標準パターンから障害物回避パターンに変更し、中間位置P4から傾斜位置P5及び平行位置P6を経て目標駐車位置P2に至る障害物回避経路を計算する。
次に、駐車支援コントローラ10は、ステップST206において、ステップST205で算出した障害物回避経路に沿って自車が移動したときの自車右前の角が通る軌跡のX座標最大値Xcが回避ポイントAP2のX座標Xoよりも大きいか否かにより、自車が障害物回避経路に沿って移動する過程で回避ポイントAP2に干渉するか否かを判定する。その結果、回避ポイントAP2に干渉しないと判定した場合はステップST207に進み、回避ポイントAP2に干渉すると判定した場合にはステップST209に進む。
ステップST207では、駐車支援コントローラ10は、ステップST205で算出した障害物回避経路における平行位置P6のY座標Ycが負の値となるか否かにより、平行位置P6が目標駐車位置P2を超えた位置となるか否かを判定する。その結果、平行位置P6が目標駐車位置P2を超えないと判定した場合はステップST208に進み、平行位置P6が目標駐車位置P2を超えると判定した場合にはステップST209に進む。
ステップST208では、駐車支援コントローラ10は、ステップST205で算出した障害物回避経路に沿って自車が目標駐車位置P2に移動するように、自車のステアリングを自動制御する。
一方、ステップST209では、駐車支援コントローラ10は、経路パターンを障害物回避パターンから切り返し駐車パターンに変更し、後退開始位置P3から目標駐車位置P2まで後退で移動する過程で一旦前進して切り返しを行った後に再度後退して目標駐車位置P2に到達する切り返し駐車経路を計算する。そして、ステップST210において、ステップST209で算出した切り返し駐車経路に沿って自車が目標駐車位置P2に移動するように、自車のステアリングを自動制御する。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の駐車支援装置では、駐車支援コントローラ10が、自車を後退開始位置P3から目標駐車位置P2へと誘導するための誘導経路として、一般的な経路パターンである標準パターンの標準経路のほかに、回避ポイントAP1を回避しつつ目標駐車位置P2に正確に駐車させる障害物回避経路と、後退開始位置P3から目標駐車位置P2まで後退で移動する過程で一旦前進して切り返しを行った後に目標駐車位置P2に正確に駐車させる切り返し駐車経路とを計算する機能を有する。そして、回避ポイントAP1を避けて目標駐車位置P2に正確に駐車できる標準経路が算出できない場合には、障害物回避経路を算出してこの障害物回避経路に沿って自車を目標駐車位置P2へと誘導し、障害物回避経路では他の回避ポイントAP2に干渉する、若しくは平行位置P6が目標駐車位置P2を超えた位置となってしまう場合には、切り返し駐車経路を算出してこの切り返し駐車経路に沿って自車を目標駐車位置P2へと誘導するようにしている。したがって、本実施形態の駐車支援装置によれば、第1の実施形態の駐車支援装置よりも多くの駐車シーンでの駐車支援が可能となり、駐車支援が可能なシーンをさらに大幅に拡大することができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本実施形態の駐車支援装置は、駐車支援の方法が第1の実施形態とは異なるものである。すなわち、第1の実施形態の駐車支援装置では、自車の操舵を自動制御することにより自車を目標駐車位置P2へと誘導しているが、本実施形態の駐車支援装置では、ステアリング操作はドライバが行うことを前提とし、その操舵方法をドライバにガイドすることで自車を目標駐車位置P2へと誘導するようにしている。以下、第1の実施形態との相違点についてのみ説明する。
図17は、自車のステアリング操作をドライバが行うことを前提とした場合の後退開始位置P3から目標駐車位置P2までの標準経路を示している。ステアリング操作をドライバ自身が行う場合には、操舵速度の影響で経路が変動しないように自車が停車した状態で舵角変更を行うことが望ましい。このため、ステアリング操作をドライバが行うことを前提とした場合の経路は、図5に示した自動操舵制御の場合の標準経路から切り増し区間S2と切り戻し区間S4とを除いた経路となる。本実施形態では、このような経路パターンをデフォルトの標準パターンとし、直進後退区間S1と定常円旋回区間S3と直進後退区間S5とからなる誘導経路を標準経路としている。
図17に示す標準経路に沿った自車の挙動は、以下のようになる。まず、後退開始位置P3からステアリング中立状態で直進後退区間S1を後退で移動した後、舵角変更地点C1にて停車した状態でステアリングが左に回されて、ステアリング中立状態から左フル転舵状態へと舵角が変更される。舵角が左フル転舵状態へと変更されると、左フル転舵状態を維持したまま定常円旋回区間S3を後退で移動する。その後、舵角変更地点C2にて停車した状態でステアリングが右に回されて、左フル転舵状態からステアリング中立状態へと舵角が変更される。この状態では自車の後輪車軸中心のX座標が略ゼロとなっており、且つ、目標駐車位置P2に対して自車の向きが平行でステアリング中立状態となっているので、ステアリング中立状態のまま直進後退区間S5を後退で移動すれば、目標駐車位置P2に正確に駐車することができる。
なお、自車のドライバに対する操舵方法のガイドは、ディスプレイ2の表示及びスピーカ3からの音声出力が中心となる。例えば、自車周囲の俯瞰映像上に誘導経路を表す経路線を重畳してディスプレイ2に表示し、自車が舵角変更地点C1,C2に到達したタイミングでスピーカ3から、例えば「車を止めてステアリングを左一杯に回してください。」、「車を止めてステアリングを中立位置に戻してください。」といったガイド音声を出力することにより、ドライバに対して舵角変更地点C1,C2でのステアリング操作を促し、自車が誘導経路に沿って目標駐車位置P2に移動できるように誘導する。
図18は、図17に示した標準経路に沿って自車を目標駐車位置P2に誘導する際の自車のステアリング回転角(舵角)の変化を示すL−ωグラフである。この図18に示すL−ωグラフにおいて、L0からL1までの間が図17の直進後退区間S1に相当し、L1の地点が図17の舵角変更地点C1に相当する。また、L1からL31までの間が図17の定常円旋回区間S3に相当し、L31の地点が図17の舵角変更地点C2、L31からL33までの間が図17の直進後退区間S5に相当する。また、自車がL1からL31まで移動する間のステアリング回転角ωの総和を表す長方形の面積S’は、後退開始位置P3から目標駐車位置P2までの自車の回転角θ1に比例し、S’=k・θ1となる。
ここで、目標駐車位置P2の周辺に回避ポイントAP1が設定されている場合には、第1の実施形態と同様に、上述した標準経路の直進後退区間S1を延長することによって、回避ポイントAP1に干渉しないようにしながら自車を目標駐車位置P2に近づけることができる。なお、定常円旋回区間S3のステアリング転舵角をフル転舵状態よりも小さい角度とすることによっても回避ポイントAP1を避けることが可能となるが、ここでは直進後退区間S1を延長する方法で説明する。
以上のように標準経路の直進後退区間S1を延長することで回避ポイントAP1を避けることを考えた場合、標準経路上で自車の向きが目標駐車位置P2の向きと同じになる中間位置P4のX座標が目標駐車位置P2と一致せず、目標駐車位置P2に対してX軸方向(車幅方向)にずれた位置となる場合がある。このような場合には、第1の実施形態と同様に、誘導経路の経路パターンを標準パターンから障害物回避パターンに変更し、中間位置P4から目標駐車位置P2に誘導するための経路を含む障害物回避経路を計算する。
具体的には、図19に示すように、自車の向きが目標駐車位置P2の向きと一致する中間位置P4から、自車の向きが目標駐車位置P2対してθ2だけ傾いた傾斜位置P5、自車の向きが目標駐車位置P2の向きに再度一致する平行位置P6を経て目標駐車位置P2に到達する経路を標準経路に追加した障害物回避経路を計算する。
この障害物回避経路では、中間位置P4では舵角変更を行わずにステアリングは左フル転舵状態のままで後退を継続し、傾斜位置P5に到達した段階で自車を停車させて舵角変更を行う。この傾斜位置P5での舵角変更は、ステアリングを左フル転舵状態から中立状態に戻した後にさらに右側に所定量切り増しする操作となる。その後、ステアリングが右側に転舵された状態で傾斜位置P5から平行位置P6まで後退し、平行位置P6に到達した段階で自車を停車させてステアリングを中立状態に戻す。この平行位置P6では自車の後輪車軸中心のX座標が略ゼロとなっており、且つ、目標駐車位置P2に対して自車の向きが平行でステアリング中立状態となっているので、平行位置P6からそのまま後退で移動すれば、目標駐車位置P2に正確に駐車することができる。
図20は、図19に示した中間位置P4から平行位置P6までの経路を追加した障害物回避経路に対応するL−ωグラフである。
障害物回避経路の場合、標準経路と比べて直進後退区間S1が延長されており、移動距離L41の位置で直進後退区間S1から定常円旋回区間S3に切り替わる。また、中間位置P4では左フル転舵状態が維持されるため、定常円旋回区間S3もL43の位置まで延長されており、この移動距離L43の位置が、目標駐車位置P2に対して自車の向きがθ2傾いた傾斜位置P5となる。その後、ステアリングを右転舵状態としながら移動距離L44の位置まで後退し、ステアリングを中立状態に戻す。この移動距離L44の位置が平行位置P6である。なお、移動距離L42の位置は、目標駐車位置P2の向きに自車の向きが最初に一致する中間位置P4である。
ここで、以上の障害物回避経路における定常円旋回区間S3の追加部分を自車が移動する間のステアリング回転角ωの総和を表す長方形の面積Sa’は、傾斜位置P5における自車回転角θ2に比例する(Sa’=k・θ2)ので、定常円旋回区間S3の追加部分の長さ(L43−L42)は、下記式(5)で表される。
(L43−L42)=k・θ2/ωmax ・・・(5)
また、傾斜位置P5から平行位置P6まで自車が移動する間のステアリング回転角ωの総和を表す長方形の面積Sc’は、傾斜位置P5における自車回転角θ2に比例する(Sc’=k・θ2)ので、中間位置P4から傾斜位置P5までの長さ(L44−L43)は、この区間でのステアリング回転角ωの値をnとしたとき、下記式(6)で表される。
(L44−L43)=k・θ2/n ・・・(6)
なお、nの値は任意であり、予め決めておけばよい。
上記の式(5)及び式(6)より、傾斜位置P5における自車回転角θ2を決めればそれぞれの移動距離が決まるので、第1の実施形態と同様に、θ2を決めることにより上述した障害物回避経路を算出することができる。
以上のように、自車のステアリング操作をドライバが行うことを前提として、その操舵方法をドライバにガイドすることで自車を目標駐車位置P2へと誘導する場合であっても、回避ポイントAP1を避けて目標駐車位置P2に正確に駐車できる標準経路が算出できない場合には、障害物回避経路を算出してこの障害物回避経路に沿って自車を目標駐車位置P2へと誘導することで、自車を目標駐車位置P2に正しく駐車させることができる。したがって、本実施形態の駐車支援装置によれば、第1の実施形態と同様に、これまで有効な誘導経路が算出できないとして駐車支援を行うことができなかった駐車シーンにおいても駐車支援が可能となり、駐車支援が可能なシーンを大幅に拡大することができる。
なお、本実施形態では、自車のステアリング操作をドライバが行うことを前提とした駐車支援装置で、第1の実施形態と同様の標準経路から障害物回避経路への切り替えを行う点についてのみ説明したが、第2の実施形態と同様に、駐車支援コントローラ10に切り返し駐車経路を算出する機能も持たせて、障害物回避経路では他の回避ポイントAP2に干渉する、若しくは平行位置P6が目標駐車位置P2を超えた位置となってしまう場合に切り返し駐車経路を算出し、この切り返し駐車経路に沿って自車が目標駐車位置P2に到達するように、操舵方法をドライバにガイドすることも可能である。この場合には、駐車支援が可能なシーンをさらに大幅に拡大することができる。
以下、参考として、上述した各実施形態と特許請求の範囲の記載との対応関係を付記する。上述した第1乃至第3の実施形態の駐車支援装置において、後退開始位置P3から目標駐車位置P2までの誘導経路を算出する駐車支援コントローラ10の機能が、特許請求の範囲に記載の「経路算出手段」に相当する。また、自動操舵制御若しくは操舵方法のガイドにより自車を目標駐車位置P2へと誘導する駐車支援コントローラ10の機能が、特許請求の範囲に記載の「誘導手段」に相当する。また、デフォルトの経路パターンである標準パターンが、特許請求の範囲に記載の「第1の経路パターン」に相当し、標準パターンの誘導経路である標準経路が、特許請求の範囲に記載の「第1誘導経路」に相当する。また、中間位置P4から目標駐車位置P2までの経路を追加した経路パターンである障害物回避パターンが、特許請求の範囲に記載の「第2の経路パターン」に相当し、障害物回避パターンの誘導経路である障害物回避経路が、特許請求の範囲に記載の「第2誘導経路」に相当する。また、後退開始位置P3から目標駐車位置P2まで後退で移動する過程で一旦前進して切り返しを行う経路パターンである切り返し駐車パターンが、特許請求の範囲に記載の「第3の経路パターン」に相当し、切り返し駐車パターンの誘導経路である切り返し駐車経路が、特許請求の範囲に記載の「第3誘導経路」に相当する。
なお、上述した各実施形態は、本発明の一適用例を例示的に示したものであり、本発明の技術的範囲がこれらの実施形態として開示した内容に限定されることを意図するものではない。つまり、本発明の技術的範囲は、上述した各実施形態で開示した具体的な技術事項に限らず、この開示から容易に導きうる様々な変形、変更、代替技術なども含むものである。