JP5445679B2 - 燃料電池セル - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池の発電要素として用いられる燃料電池セルに関し、とくに、複数積層して燃料電池スタックを構成する燃料電池セルに関するものである。
この種の燃料電池セルとしては、例えば、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に記載の燃料電池セルは、枠体を一体的に有する膜電極構造体と、この膜電極構造体を挟む一対のセパレータを備えている。そして、枠体の複数箇所に、先端が鍵状の突起を設けると共に、セパレータの複数箇所に、段差部分を設け、各突起を段差部分に夫々係止することにより、枠体一体型の膜電極構造体と一対のセパレータとを一体化したものとなっている。
WO2007−123191
しかしながら、上記したような従来の燃料電池セルでは、枠体一体型の膜電極構造体と一対のセパレータとを一体化する構成として、複数の突起及び段差部分を設けていたことから、これらを配置するためのスペースが必要であり、燃料電池の小型化を図る上で不利であった。
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、周囲にフレームを有する膜電極構造体と、フレーム及び膜電極構造体を挟持する二枚のセパレータを備えた燃料電池セルにおいて、燃料電池の小型化を実現することができる燃料電池セルを提供することを目的としている。
本発明の燃料電池セルは、周囲にフレームを有する膜電極構造体と、フレーム及び膜電極構造体を挟持する二枚のセパレータを備えると共に、フレームとセパレータとの間に反応用ガスを流通させる構造を有している。また、フレーム及び両セパレータは、表裏に開放されたマニホールド穴を有している。そして、燃料電池セルは、フレームにおけるマニホールド穴の周縁部が、セパレータのマニホールド穴の内側に延出すると共に、少なくとも一方のセパレータのマニホールド穴の内周面を覆っている構成とし、より好ましい実施形態として、フレームにおけるマニホールド穴の周縁部が、少なくとも一方のセパレータのマニホールド穴の内周面を覆う突起を有している構成としており、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。
本発明の燃料電池セルは、フレームにおけるマニホールド穴の周縁部により、フレーム及び膜電極構造体に対して二枚のセパレータを容易に且つ確実に位置決めすることができ、これらを一体化することも可能である。そして、当該燃料電池セルによれば、位置決め用の突起を配置するためのスペースをとくに必要としないので、燃料電池の小型化を実現することができる。
本発明の燃料電池セルの一実施形態を説明する分解状態の平面図である。 燃料電池セルの斜視図である。 図2中のA−A線に基づく断面図である。 燃料電池セルの突起を説明する断面図である。 突起の他の実施形態を示す各々断面図(A)(B)である。 突起のさらに他の実施形態を示す分解状態の断面図(A)及び組立状態の断面図(B)である。 図6に示す突起の配置を説明する斜視図である。 突起のさらに他の実施形態を示す分解状態の断面図である。 突起のさらに他の実施形態を示す分解状態の断面図である。 突起のさらに他の実施形態を示す断面図である。 突起のさらに他の実施形態を示す断面図である。 突起のさらに他の実施形態を示す断面図である。 突起のさらに他の実施形態を示す断面図である。 突起の先端部を示す図であって、浅い係合状態(A)及び深い係合状態(B)を示す各々断面図である。 突起の先端部の他の例を示す図であって、浅い係合状態(A)及び深い係合状態(B)を示す各々断面図である。 突起のさらに他の実施形態を示す断面図である。
以下、図面に基づいて、本発明の燃料電池セルの一実施形態を説明する。なお、説明の都合上、図面の上下方向を燃料電池セルの積層方向とし、膜電極構造体のアノード側を上側とし、カソード側を下側とする。実際には、アノード側及びカソード側が上下逆でも良いし、積層方向も上下方向に限らない。
図1〜図3に示す燃料電池セルFCは、周囲にフレーム1を有する膜電極構造体2と、フレーム1及び膜電極構造体2を挟持する二枚のセパレータ3,3を備えている。そして、フレーム1とセパレータ3,3との間に反応用ガスを流通させる構造を有している。
膜電極構造体2は、一般に、MEA(Membrane Electrode Assembly)と呼ばれるものであり、とくに図3に示すように、例えば固体高分子から成る電解質層4を燃料極層(アノード)5Aと空気極層(カソード)5Bとで挟持した構造を有している。さらに、図示の膜電極構造体2は、燃料極層5Aと空気極層5Bの表面に、カーボンペーパや多孔質体等から成るガス拡散層6A,6Bが夫々積層してある。
そして、膜電極構造体2は、燃料極層5Aに一方の反応用ガスである燃料ガス(水素)が供給されると共に、空気極層5Bに他方の反応用ガスである酸化剤ガス(空気)が供給されて、電気化学反応により発電をする。なお、膜電極構造体2としては、ガス拡散層を省いて、電解質層4と燃料極層5Aと空気極層5Bで構成されるものも含まれる。
フレーム1は、樹脂成形(例えば射出成形)によって膜電極構造体2と一体化してあって、この実施形態では、膜電極構造体2を中央にして長方形状を成している。また、フレーム1は、両端部に、表裏に開放された各々三個ずつのマニホールド穴H1〜H6が配列してあり、各マニホールド穴群から膜電極構造体2に至る領域が反応用ガスの流通領域となる。このフレーム1及び両セパレータ3,3は、いずれもほぼ同等の縦横寸法を有する長方形状である。
各セパレータ3は、ステンレス等の金属板をプレス成形したものであって、膜電極構造体2に対応する中央部分が、短辺方向の断面において波形状に形成してある。この波形状は長辺方向に連続している。これにより、各セパレータ3は、波形状における各凸部分が膜電極構造体2に接触し、波形状における各凹部分が反応用ガスの流路となる。
また、各セパレータ3は、両端部に、フレーム1の各マニホールド穴H1〜H6と同様に、表裏に開放されたマニホールド穴H1〜H6を有し、各マニホールド穴群から断面波形状の部分に至る領域が反応用ガスの流通領域となる。
上記のフレーム1及び膜電極構造体2と両セパレータ3,3は、重ね合わせて燃料電池セルFCを構成する。このとき、燃料電池セルFCは、中央に、膜電極構造体2の領域である発電部を備えている。そして、発電部の両側に、反応用ガスの供給及び排出を行うマニホールド部と、各マニホールド部から発電部に至る反応用ガスの流通領域であるディフューザ部を備えたものとなる。
図2の左側に示す一方のマニホールド穴群(H1〜H3)は、燃料ガス供給用(H1)と、冷却流体供給用(H2)と、酸化剤ガス供給用(H3)を有し、積層方向に互いに連通して流体用流路を形成する。図2の右側に示す他方のマニホールド穴群(H4〜H6)は、燃料ガス排出用(H4)と、冷却流体排出用(H5)と、酸化剤ガス排出用(H6)を有し、積層方向に互いに連通して流体用流路を形成する。なお、供給用と排出用は、一部または全部が逆の位置関係でも良い。
また、燃料電池セルFCは、フレーム1と両セパレータ3との間にガスシールが施してある。すなわち、燃料電池セルFCは、フレーム1及び両セパレータ3の縁部を接着剤Bで封止する。さらに、燃料電池セルFCは、複数積層して燃料電池スタックを構成することとなり、積層する際には、隣接するセパレータ3,3同士も接着剤Bで封止する。この実施形態では、隣接するセパレータ3,3間に冷却流体を流通させる構造になっている。
上記の接着剤によるガスシールは、個々の層間において、燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却流体の夫々の流通域を気密的に分離する。つまり、図1に示す例では、下側セパレータ3の上面(及びフレームの下面)には、酸化剤ガスを膜電極構造体2の空気極5Bに流通させるためのシールラインが設けてある。また、フレーム1の上面(及び上側セパレータの下面)には、燃料ガスを膜電極構造体2の燃料極5Aに流通させるためのシールラインが設けてある。さらに、上側セパレータ3の上面には、冷却流体を流通させるためのシールラインが設けてある。
ここで、上記の燃料電池セルFCは、フレーム1及び膜電極構造体2と両セパレータ3,3とを一体化するための構成として、フレーム1におけるマニホールド穴H2,H5の周縁部が、セパレータ3のマニホールド穴H2,H5の内側に延出すると共に、少なくとも一方のセパレータ3のマニホールド穴H2,H5の内周面を覆う構成になっている。具体的には、図1に示すように、フレーム1におけるマニホールド穴H2,H5の周縁部が、少なくともその一部に、セパレータ3の同位置のマニホールド穴H2,H5に係合する位置決め用の突起11を有している。
図1には、冷却流体の供給用及び排出用のマニホールド穴H2,H5において、その周縁部全体に前記突起11を設けた場合を例示した。この突起11は、各マニホールド穴H1〜H6に対して選択的に設けても良いし、全てのマニホールド穴H1〜H6に設けても良い。
前記突起11は、図4に示すように、両側のセパレータ3,3に向けて突出し、先端部が各セパレータ3のマニホールド穴H2,H5の周縁部(内周部)に係合する。これにより、フレーム1及び膜電極構造体2に対して、両セパレータ3,3を容易に且つ確実に位置決めすることができる。
また、フレーム1におけるマニホールド穴H2,H5の周縁部に前記突起11を設けたことから、突起11を配置するための余白のようなスペースが不要であり、しかも、セパレータ3側には位置決め専用の構成が一切不要である。これにより、燃料電池セルFCの小型化や工数の削減を実現し、燃料電池スタック並びに燃料電池全体の小型軽量化や生産効率の向上などを実現する。
さらに、この実施形態の燃料電池セルFCは、フレーム1を樹脂成形しているので、その樹脂成形の際に、突起11をフレーム1に一体化することができる。これにより、図4に示すように、両側のセパレータ3,3に係合する突起11を形成した構成では、突起11が絶縁体として機能し、両セパレータ3,3間の電気的短絡を防止する。つまり、膜電極構造体2の膨潤によりセル全体が伸び縮みしても、短絡が起こらないようにセパレータ3,3の端面を常にカバーすることができる。また、突起11によりマニホールド穴H1〜H6の内周面が保護されるので、同内周面の腐蝕速度の抑制が可能であり、燃料電池セルFC及び燃料電池スタックの耐久性や信頼性の向上に貢献することができる。
このように、上記の燃料電池セルFCは、フレーム1におけるマニホールド穴H1〜H6の周縁部、すなわちセパレータ3のマニホールド穴H2,H5の内側に延出して同マニホールド穴H2,H5の内周面を覆う周縁部、さらに具体的には、セパレータ3のマニホールド穴H2,H5の内周面を覆う突起11を有する周縁部の構成により、フレーム1及び膜電極構造体2に対するセパレータ3,3の位置決め機能と、セパレータ3の電気絶縁機能とを両立させることができる。そのため、燃料電池セルFCを数百段以上に積層する移動体用の小型燃料電池スタックにおいて、本構成は同スタックのさらなる小型化に大いに寄与するものである。故に、当該燃料電池セルFCを用いた燃料電池は、スペースが制限される自動車等の移動体への搭載に非常に好適なものとなる。
前記突起11は、図4中に仮想線で示すように、下側(又は上側)のセパレータ3に向けて長く突出したものも含まれる。この場合には、燃料電池スタックを構成した際に、突起11が、自己セパレータ3のマニホールド穴H2,H5の周縁部と、下側に隣接するセパレータ(仮想線で示す)3のマニホールド穴H2,H5の周縁部に係合する。
さらに、前記突起11は、マニホールド穴の周縁部の少なくとも一部に設けてあれば良いが、マニホールド穴の周縁部全体に設けることにより、燃料電池スタックを構成した際に、積層方向に連続させて流路を形成することができる。この場合、5(A)に示す如く上側の一部を省略したり、図5(B)に示す如く下側の一部を省略したりすることがある。
すなわち、マニホールド穴H1〜H6は、発電部Gに対する反応用ガスの供給・排出や冷却流体の供給・排出を行うものであるから、反応用ガス又は冷却流体が所定の層間に流通するように、該当部位の突起11を部分的に省略又は成形加工する。一例を挙げると、膜電極構造体2とその燃料極側に対向するセパレータ3との層間では、燃料ガス供給用及び排出用のマニホールド穴H1,H4における突起11に、燃料ガスを流通させるための切り欠きや通し孔などを設ける。
上記のように、突起11を積層方向に連続させて流路を形成すると共に、突起11の所定部位に切り欠きや通し孔を設けた構成においては、とくに、入口となる切り欠きや通し孔にディフューザ機能をもたせることができる。これにより、マニホールド部と発電部との間のディフューザ部を縮小又は廃止することが可能になり、燃料電池セルFCのさらなる小型軽量化を実現することができる。したがって、このような燃料電池セルFCの積層体である燃料電池スタックは、より小型化され、移動体用の小型燃料電池に極めて好適なものとなる。
さらに、上記の如く突起11を積層方向に連続させて流路を形成することにより、層間による流路内の凹凸を解消して、残水量を大幅に減少させることができる。また、とくに冷却流体の経路においては、積層方向に連続する流路、及び積層状態で隣接するセパレータ3,3同士の間に冷却流体が満たされる。このとき、冷却流体(冷媒)とセパレータ端面との間にフレーム1の一部である突起11が介在するので、液抵抗が増加してセパレータ端面と別のセパレータ3との間に流れる漏洩電流が小さくなり、その結果、セパレータ端面の漏洩電流による腐食速度を抑制することができる。
本発明の燃料電池セルFCは、より好ましい実施形態として、図6に示すように、フレーム1のマニホールド穴H1〜H6と同心状を成し且つ突起21に外接する輪郭線が、セパレータ3のマニホールド穴H1〜H6の輪郭線よりも外側に位置している構成とすることができる。つまり、突起21に外接する輪郭線の差し渡し寸法aが、セパレータ3のマニホールド穴H1〜H6の差し渡し寸法bよりも大きい(a>b)ものとなっている。
換言すれば、フレーム1におけるマニホールド穴H1〜H6の周縁部を構成する突起21は、少なくとも一部が、セパレータ3のマニホールド穴H1〜H6の周縁部よりも外側に位置している。また、図7に示すように、一部のマニホールド穴H1,H6に、分断された突起21を有する場合には、全ての突起21に外接する輪郭線の差し渡し寸法(a)を、マニホールド穴H1,H6の差し渡し寸法(b)よりも大きくしている。
また、図6に示す突起21は、上側及び下側の両方が、セパレータ3のマニホールド穴H1〜H6を貫通して係止する鉤状を成している。さらに、図8に示す突起31は、断面逆三角形状を成しており、この場合もセパレータ3のマニホールド穴H1〜H6を貫通して係止状態となる。さらに、図9に示す突起11は、図4及び図5に示すものと同等の形状である。
上記構成を備えた燃料電池セルFCでは、セパレータ3のマニホールド穴H1〜H6に対して、フレーム1の突起11〜31が弾性変形を伴って係合する。また、図6及び図8に示す突起21,31は、マニホールド穴H1〜H6に対し、弾性変形を伴って係合して止着される。これにより、フレーム1及び膜電極構造体2に対して、両セパレータ3,3を容易に且つ確実に位置決めすることができる上に、他の部品を用いることなく双方を容易に一体化することができる。
本発明の燃料電池セルFCは、より好ましい実施形態として、フレーム1におけるマニホールド穴H1〜H6の周縁部を構成する突起が、当該燃料電池セルFCを複数積層した際に隣接する燃料電池セル同士の間で互いに当接するアノード側及びカソード側の接合部を備えている構成とすることができる。すなわち、燃料電池スタックを構成した際に、各燃料電池セルFCの突起が連続して流路を形成する。その具体例を図10及び図11に示す。
図10に示す燃料電池セルFCにおいて、突起41は、アノード側に突出する上側突起41Aと、カソード側に突出する下側突起41Bを有している。上側突起41A及び下側突起41Bは、互いにマニホールド穴H1〜H6の内外方向へ段差状にずれている。そして、上側突起41は、セパレータ3のマニホールド穴H1〜H6の周縁部との間に隙間を形成して、その隙間を形成する先端部分を上側接合部SAとし、他方、上側突起41は、先端部分を下側接合部SBとしている。
上記の燃料電池セルFCは、積層して燃料電池スタックを構成した際に、上側の燃料電池セルFCにおける突起41の下側接合部SBを、下側の燃料電池セルFCにおける突起41の上側接合部SAに係合する。これにより、燃料電池スタックを構成する際、燃料電池セルFC同士の位置決めや一体化が非常に容易なものとなり、工数の削減や生産効率のさらなる向上を実現することができる。
図11に示す燃料電池セルFCにおいて、突起21は、アノード側に突出する鉤状の上側突起21Aと、カソード側に突出する同じく鉤状の下側突起21Bを有している。上側突起21Aは、その断面において、マニホールド穴H1〜H6に対して外向きとなる傾斜面を有し、この傾斜面を上側接合部SAとしている。他方、下側突起21Bは、その断面において、マニホールド穴H1〜H6に対して内向きとなる傾斜面を有し、この傾斜面を下側接合部SBとしている。
上記の燃料電池セルFCは、積層して燃料電池スタックを構成した際に、上側の燃料電池セルFCにおける突起21の下側接合部SBを、下側の燃料電池セルFCにおける突起21の上側接合部SAに当接させる。これにより、燃料電池スタックを構成する際の、燃料電池セルFC同士の位置決めや一体化が非常に容易なものとなり、工数の削減や生産効率のさらなる向上を実現することができる。
本発明の燃料電池セルFCは、より好ましい実施形態として、フレーム1におけるマニホールド穴H1〜H6の周縁部を構成する突起が、アノード側及びカソード側の接合部を備えた上で、これらの接合部が、互いに係合する凹凸形状を有している構成とすることができる。その具体例を図12及び図13に示す。
図12に示す燃料電池セルFCにおいて、突起51は、図10に示すものと同様に、アノード側に突出する上側突起51Aと、カソード側に突出する下側突起51Bを有している。上側突起41は、その先端部分に、マニホールド穴H1〜H6に対して外向きとなる凹凸状の上側接合部SAを有している。他方、上側突起41は、その先端部分に、マニホールド穴H1〜H6に対して内向きとなる凹凸状の下側接合部SBを有している。
上記の燃料電池セルFCは、積層して燃料電池スタックを構成した際に、上側の燃料電池セルFCにおける凹凸状の下側接合部SBを、下側の燃料電池セルFCにおける凹凸状の上側接合部SAに係合する。これにより、燃料電池スタックを構成する際の、燃料電池セルFC同士の位置決めや一体化が容易になる上に、突起51同士の係合状態がより強いものとなる。
図13に示す燃料電池セルFCにおいて、突起61は、図11に示すものと同様に、アノード側に突出する鉤状の上側突起61Aと、カソード側に突出する同じく鉤状の下側突起61Bを有している。上側突起21Aは、その断面において、マニホールド穴H1〜H6に対して外向きとなる傾斜面を有すると共に、傾斜面の一部を凹凸状に形成し、この凹凸を含む傾斜面を上側接合部SAとしている。他方、下側突起21Bは、その断面において、マニホールド穴H1〜H6に対して内向きとなる傾斜面を有すると共に、傾斜面の一部を凹凸状に形成し、この凹凸を含む傾斜面を下側接合部SBとしている。
上記の燃料電池セルFCは、積層して燃料電池スタックを構成した際に、上側の燃料電池セルFCにおける下側接合部SBを、下側の燃料電池セルFCにおける上側接合部SAに当接係合する。これにより、燃料電池スタックを構成する際、燃料電池セルFC同士の位置決めや一体化が容易になる上に、突起51同士の係合状態がより強いものとなる。
本発明の燃料電池セルFCは、より好ましい実施形態として、フレーム1におけるマニホールド穴H1〜H6の周縁部を構成する突起が、アノード側及びカソード側の接合部を備えている。そして、図13に示すように、一方の接合部が、マニホールド穴に対して内向きの傾斜面を有すると共に、他方の接合部が、マニホールド穴に対して外向きの傾斜面と、マニホールド穴に対して内外方向の可撓性とを有する構成にすることができる。図示例の場合、一方の接合部が上側接合部SAであって、他方の接合部が下側接合部SBである。
上記の燃料電池セルFCは、積層して燃料電池スタックを構成した際に、上側の燃料電池セルFCの下側接合部SBと、下側の燃料電池セルFCの上側接合部SAとが当接係合することとなるが、この際、図14及び図15に示すように、積層方向への押し込み量を適宜選択することができる。
図14(A)に示す突起61において、下側突起61Bは、下側接合部SBが凹凸を含む傾斜面になっていると共に、凸部の高さが上側から下側にかけて順次大きくなっている。これに対して、上側突起61Aは、上側接合部SAが凹凸を含む傾斜面になっていると共に、凹部の深さが上側から下側にかけて順次小さくなっている。
また、図15(A)に示す突起61において、上側突起61A及び下側突起61Bは、夫々の上側接合部SA,SBがいずれも凹凸を含む傾斜面になっていると共に、傾斜面の角度が所定量(θ)異なるものとなっている。
上記の突起61は、燃料電池スタックを構成する際に、積層方向への押し込み量を大きくすると、図14(B)及び図15(B)に示すように、可撓性を有する上側突起61Aの先端部分がマニホールド穴H1〜H6の内側へ変位する。
上記構成を有する燃料電池セルFCは、燃料電池スタックを構成する際に、先の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる上に、積層方向への押し込み量を調整することにより、マニホールド穴H1〜H6内への上側突起61Aの変位量(図14中のQ)が増減して、突起61の内側に形成する流路の大きさ(断面積)Dを変えることができる。
すなわち、燃料電池スタックでは、マニホールド部において、積層方向に反応用ガスを流しつつ、その反応用ガスを個々の燃料電池セルFCに供給するので、上段側と下段側とでは反応用ガスの流量や流速に差が生じる場合がある。そこで、上記の如く、上側突起61Aの変位量を部分的に変更して、流路の大きさDを部分的に変えることで、積層方向における反応用ガスの流量や流速の均一化を図ることが可能となり、ひいては燃料電池の性能向上にも貢献し得るものとなる。また、凹凸の凸部の高さや深さを異ならせることで、上側突起61Aの変位の範囲(変位量Q)をより大きくすることができる。
本発明の燃料電池セルFCは、より好ましい実施形態として、図16に示すように、突起21における各接合部SA,SBの表面及びセパレータ3との接触部分が、図中太線で示すシール材料SMで被覆してある構成とすることができる。なお、シール材料SMは、製造効率等を考慮して、突起21の表面全体に設けても構わない。
上記構成を備えた燃料電池セルFCは、フレーム1及び膜電極構造体2と両セパレータ3とを重ね合わせた際に、先の各実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる上に、セパレータ3との接触部分を被覆するシール材料SMにより、反応用ガスに対するシール機能をより一層高めることができる。
また、上記の燃料電池セルFCは、複数積層して燃料電池スタックを構成した際に、各接合部SA,SBの表面を被覆するシール材料SMにより、隣接する突起21同士の密着性をより高めることができ、反応用ガスや冷却流体に対するシール機能をより一層高めることができる。なお、上記のシール材料SMは、当然のことながら、図4〜図6、図8〜図15に示す各実施形態の突起にも設けることができる。
なお、本発明の燃料電池セルは、その構成が上記の各実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各構成部位の形状や個数、材料などを適宜変更することが可能である。
1 フレーム
2 膜電極構造体
3 セパレータ
11 21 突起
31 41 突起
51 61 突起
FC 燃料電池セル
H1〜H6 マニホールド穴
SA 上側接合部
SB 下側接合部
SM シール材料

Claims (11)

  1. 周囲にフレームを有する膜電極構造体と、フレーム及び膜電極構造体を挟持する二枚のセパレータを備えると共に、フレームとセパレータとの間に反応用ガスを流通させる構造を有する燃料電池セルであって、
    フレーム及び両セパレータが、表裏に開放された夫々のマニホールド穴を有し、
    フレームのマニホールド穴の周縁部が、セパレータのマニホールド穴の内側に延出すると共に、少なくとも一方のセパレータのマニホールド穴の内周面を覆っていることを特徴とする燃料電池セル。
  2. フレームのマニホールド穴の周縁部が、少なくとも一方のセパレータのマニホールド穴の内周面を覆う突起を有していることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. フレームのマニホールド穴と同心状を成し且つ前記突起に外接する輪郭線が、セパレータのマニホールド穴の輪郭線よりも外側に位置していることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記突起が、セパレータのマニホールド穴を貫通して係止する鉤状を成していることを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池セル。
  5. 前記突起が、当該燃料電池セルを複数積層した際に隣接する燃料電池セル同士の間で互いに当接するアノード側及びカソード側の接合部を備えていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の燃料電池セル。
  6. 前記突起のアノード及びカソード側の接合部が、互いに係合する凹凸形状を有していることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池セル。
  7. アノード側及びカソード側の接合部のうちの一方の接合部が、マニホールド穴に対して内向きの傾斜面を有すると共に、他方の接合部が、マニホールド穴に対して外向きの傾斜面とマニホールド穴に対して内外方向の可撓性を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の燃料電池セル。
  8. 前記突起における各接合部の表面が、シール材料で被覆してあることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の燃料電池セル。
  9. 前記突起におけるセパレータとの接触部分が、シール材料で被覆してあることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の燃料電池セル。
  10. 前記突起が、樹脂成形によりフレームと一体化してあることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の燃料電池セル。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の燃料電池セルを複数枚積層して成ることを特徴とする燃料電池スタック。
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