JP5444841B2 - 密封装置 - Google Patents

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Description

本発明は、密封装置に関し、詳しくは、油空圧機器の相対部材間からの漏洩を防止する密封装置に関する。
自動車の自動変速機の軸シール等のような、油空圧機器の相対部材間からの漏洩を防止する密封装置として、シールリングが使用されている。
従来、図10、図11に示されるようなシールリングが知られている(特許文献1)。
図10は従来技術に係るシールリングの斜視図、図11は従来技術に係るシールリングが装着された状態を示す断面図である。
図示のシールリング101は、軸孔141が設けられたハウジング104と、この軸孔141に挿入された軸105との間の環状隙間をシールするためのものであり、軸105に設けられた環状溝151に装着されて使用される。
シールリング101は樹脂材料から形成され、軸105に設けられた環状溝151の側壁面153をシールするための第1シール面113と、ハウジング104に設けられた軸孔141の内周面142をシールするための第2シール面121と、を備えている。
図12は従来技術に係るシールリング101のシール機構の説明図である。
図12(a)は、無圧および加圧直後のシールリング101を示している。図中4本の矢印は密封流体の流れを示している。無圧および加圧直後は、シールリング101と環状溝151の間に常時隙間が存在しているため、多少の密封流体の漏洩が起こる。
図12(b)は、加圧後の様子を示している。密封流体側Oから大気側Aに向けて、図中矢印P方向に圧力がかかると、シールリング101は大気側Aに押圧されるため、第1シール面113は環状溝151の側壁面153を押圧し、また、第2シール面121は軸孔141の内周面142を押圧し、それぞれの位置でシールする。
従来のシールリングは、使用時に油圧を保持することが重要であり、断面方向に常時隙間を残す設計としているため、密封流体の密封性が低い。特に、油圧負荷開始時においては、図12(a)に示すように、密封流体の流出を生じる欠点がある。
特に近年では、高燃費・高効率化の要求や地球環境問題への関心の高まりを受けて、シールリングに対しては、密封対象物の機械装置からの漏れを最小限に抑制する事が強く求められている。また、機械の高機能化と省スペース化により、シールの使用条件はより厳しいものとなっている。
更にまた、例えば、自動車自動変速機CVT用プーリーのピストンシールとして用いる場合、従来のシールリングは、油圧が発生しない状態でのシール機能を有していないため、油圧ポンプが停止した状態では、ミッション内の油がオイルパンに戻り、ミッション内の油が空になる構造となっている。
そのため、エンジン始動の直後等は、ミッション内に潤滑の無い状態で作動することとなり、応答性や作動性が悪化したり、最悪の場合は潤滑がないことによる破損等が発生する懸念があった。
この対策として、例えば特許文献2に示されるような、2つのリングを組み合わせて使用する組み合わせシールが適用されてきた。
図13は、従来技術に係る組み合わせシールを説明する斜視図であり、図14は、従来技術に係る組み合わせシールが装着された状態を示す断面図である(図14における組み合わせシール201の断面は、図13における組み合わせシール201のXIV−XIV線断面に相当する。)。
図13において、組み合わせシール201は、樹脂からなる摺動リング202と、弾性体からなる負荷リング203とからなる。摺動リング202には、ステップカット状の切断部212が設けられている。
組み合わせシール201のシール機構が、上述したシールリング101と異なる点は、摺動リング202を、該摺動リング202の内周に組み込んだ負荷リング203の外張力により、ハウジング204に設けられた軸孔241の内周面242に圧接して密封するように構成されることである。
組み合わせシールを用いることにより、密封性は向上するが、組み合わせシールは、組付け工数が多く、また、組付け時に変形した摺動リングを、組み付け後に矯正する工程を設ける必要があった。
また、摺動リングと負荷リングとの相対摺動により、特に弾性体からなる負荷リングが早期に摩耗損傷する問題があった。
特開2001−141065号公報 実開昭61−142960号公報
そこで、本発明の課題は、組付け性に優れ、摺動リングと負荷リングとの相対摺動による摩耗損傷を防止できる密封装置を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
軸孔を有するハウジングと、該軸孔に挿入されると共に該ハウジングと相対移動を行う軸との間の環状隙間を密封する密封装置において、
軸又はハウジングのうち一方の部材に設けられる環状溝に装着され、他方の部材と摺接する摺動リングと、前記摺動リングと前記環状溝の溝底との間に配置され、前記摺動リングの溝底側の面と一体に接合された負荷リングとを備え、
前記摺動リングは、前記他方の部材と密封摺接する環状摺動面を有し、
前記負荷リングは、前記環状溝の溝底と密接する環状面を有し、
前記摺動リングと前記負荷リングとに亘って貫通形成された、一つ以上の貫通切断部を有し、
少なくとも前記貫通切断部近傍の密封流体側側面及び/又は大気側側面に、点状又は環状の凸部が設けられ、該凸部を含めた密封装置の軸方向の幅は、前記環状溝の溝幅以上であり、
前記摺動リングのみを切断した、一つ以上の非貫通切断部を有することを特徴とする密封装置。
(請求項
軸孔を有するハウジングと、該軸孔に挿入されると共に該ハウジングと相対移動を行う軸との間の環状隙間を密封する密封装置において、
軸又はハウジングのうち一方の部材に設けられる環状溝に装着され、他方の部材と摺接する摺動リングと、前記摺動リングと前記環状溝の溝底との間に配置され、前記摺動リングの溝底側の面と一体に接合された負荷リングとを備え、
前記摺動リングは、前記他方の部材と密封摺接する環状摺動面を有し、
前記負荷リングは、前記環状溝の溝底と密接する環状面を有し、
前記摺動リングと前記負荷リングとに亘って貫通形成された、一つ以上の貫通切断部と、前記摺動リングのみを切断した、一つ以上の非貫通切断部とを有することを特徴とする密封装置。
(請求項
前記非貫通切断部の切断形状は、ステップカット状であることを特徴とする請求項1又は2記載の密封装置。
(請求項
少なくとも前記非貫通切断部近傍の密封流体側側面及び/又は大気側側面に、点状又は環状の凸部が設けられ、該凸部を含めた密封装置の軸方向の幅は、前記環状溝の溝幅以上であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の密封装置。
(請求項
前記貫通切断部の切断形状は、ステップカット状であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の密封装置。
本発明によれば、組付け性に優れ、摺動リングと負荷リングとの相対摺動による摩耗損傷を防止できる密封装置を提供することができる。
本発明に係る密封装置の斜視図 本発明に係る密封装置が装着された状態を示す断面図 2段ステップ状にカットされた特殊ステップカットを有する密封装置の斜視図 貫通切断部及び非貫通切断部を有する密封装置の斜視図 点状の凸部を有する密封装置の側面図 点状の凸部を有する密封装置が装着された状態を示す断面図 環状の凸部を有する密封装置の側面図 環状の凸部を有する密封装置が装着された状態を示す断面図 他の実施形態に係る密封装置の断面図 従来技術に係るシールリングの斜視図 従来技術に係るシールリングが装着された状態を示す断面図 従来技術に係るシールリングのシール機構の説明図 従来技術に係る組み合わせシールの斜視図 従来技術に係る組み合わせシールが装着された状態を示す断面図
以下に図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は本発明に係る密封装置の斜視図、図2は本発明に係る密封装置が装着された状態を示す断面図である(図2における密封装置1の断面は、図1における密封装置1のII−II線断面に相当する。)。
図1において、密封装置1は、摺動リング2と負荷リング3とからなる。
摺動リング2は樹脂により成形される。樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリアミド(ナイロン)等を好ましく例示でき、特にポリテトラフルオロエチレンが好ましい。
一方、負荷リング3は弾性体により成形される。弾性体としては、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、EPDM、ウレタンゴム、シリコーンゴム、弗素ゴム、アクリルゴム(ACM)等を好ましく例示できる。
図2において、4はハウジング、5は軸である。軸5は、ハウジング4が有する軸孔41に挿入されている。また、軸5は前記ハウジング4と、例えば往復移動のような相対移動を行えるように構成されている。
密封装置1は、ハウジングと軸との間の環状隙間を密封するものであって、軸又はハウジングのうち一方の部材に設けられた環状溝に装着されて用いられるものであるが、ここでは、軸に設けられた環状溝51に装着されている。
摺動リング2は、ハウジング4と摺接するように配置され、また、負荷リング3は、摺動リング2と前記環状溝51の溝底54との間に配置されている。
さらに、前記負荷リング3は、前記摺動リング2の溝底54側の面24と一体に接合されている。
上記接合としては、焼き付け接着、超音波溶着等が例示でき、特に、焼き付け接着が好適である。
環状溝への組込み時において、前記接合により一体化した摺動リングと負荷リングとを、同時に組込み可能となるため、摺動リングと負荷リングとを別々に組み込む従来の組み合わせシールに比べて、組付け工数が削減される。
更に、摺動リングと負荷リングとが接合により一体化されることで、密封装置1の密封部位への組込み後に、摺動リングに生じる変形を負荷リングの弾性で戻すことができる。そのため、摺動リングの矯正工程も不要となり、組付け(矯正)工程の更なる削減が可能となる。
更にまた、従来の組み合わせシールにおいて摩耗損傷の原因となった、摺動リングと負荷リングとの相対摺動についても、これらを接合により一体化することにより抑止される。
密封装置1において、前記摺動リング2は、前記ハウジング4が有する軸孔41の内周面42と密封摺接する環状摺動面21を有し、前記負荷リングは、前記環状溝51の溝底54と密接する環状面34を有している。そのため、密封流体側Oに充填された密封流体は、大気側Aに漏れることなく密封される。
また、環状摺動面21及び環状面34は、それぞれ未装着時において断面直線状に形成され、装着時においても、断面直線状が維持される。
環状摺動面21と環状面34とが、同時に密封性を発現できるように、未装着時における密封装置1の径方向の幅は、好ましくは、軸孔41の内周面42と環状溝51の溝底54との幅と等しく、より好ましくは、軸孔41の内周面42と環状溝51の溝底54との幅より僅かに大である。
径方向の幅を、上記のように形成することにより、流体圧や相対移動の有無に依らず、密封性が保たれる。また、常時隙間が存在しなくなるため、無圧および加圧直後においても、従来のシールリングにおいて見られたような密封流体の漏洩が起こらない。
本明細書では、軸孔41の内周面42から環状溝51の溝底54までの幅に対する、未装着時における密封装置1の径方向の幅の過剰分を、つぶし代と称する。本発明において、好ましいつぶし代の幅は、例えば、0.05mm〜0.70mm、より好ましくは0.10mm〜0.30mmである。
従来の組み合わせシールは、大きなつぶし代によって負荷リングを押圧し、負荷リングに発生する反発力を、密封装置1の環状摺動面21及び環状面34に伝搬させて密封性を得ていた。しかし、同時に、つぶし代を大きく設けることは、摺動時における摩擦を増加させる欠点に繋がる。
これに対して、本発明に係る密封装置は、つぶし代を有さないか、僅かに有するだけでよいため、摩擦の発生を抑えることができる。
従来の当業者の認識では、つぶし代を大きく設けなければ十分な密封性を得ることができないと考えるはずである。ところが、本発明に係る密封装置は、つぶし代を有さないか、僅かに有するだけで十分な密封性を示す。この理由について、以下に詳述する。
まず、本発明に係る密封装置は、図1〜図4に示されるように、前記摺動リングと前記負荷リングとに亘って貫通形成された貫通切断部11を1つ以上有する。
貫通切断部11の切断形状は、円周方向に平行な切断面を有する切断形状であることが好ましく、例えば、図1に示されるようなステップカットや、図3に示されるような2段ステップ状にカットされた特殊ステップカットのようなステップカット状であることがより好ましい。このような、円周方向に平行な切断面を有する切断形状を付与することにより、貫通切断部11における円周方向への伸縮が円滑に行えるようになる。
更に、円周方向への伸縮が起こっても、円周方向に平行な切断面同士が互いに接触面11Sを維持できる範囲内であれば、切断部においても密封性が維持される。
このように、本発明に係る密封装置が、貫通切断部を有するのは、密封装置の曲率を適宜設定し、これを密封性に寄与させることを考慮したためである。
つまり、本発明に係る密封装置は、貫通切断部を有するため、未装着時においてエンドレスな円形である必要がなく、密封装置をエンドレスな円に変形させた場合の曲率1/rよりも小さい曲率1/(r+α)又は大きい曲率1/(r−β)を有する密封装置を作成することが可能である。なお、rは、摺動リングの環状摺動面における周の長さを、エンドレスな円における円周の長さと見なした場合の半径とし、また、α及びβはそれぞれ正の値をとるものとする。
密封装置にこのような曲率を付与する効果について、まず、密封装置が、軸側に設けられた環状溝内に装着されて使用される場合について説明する。
密封装置が、該密封装置をエンドレスな円に変形させた場合の曲率1/rよりも小さい曲率1/(r+α)を有している場合、該密封装置は、エンドレスな円に近い形で環状溝に装着されると、自身の曲率よりも大きい曲率に湾曲された状態を形成する。
密封装置は、弾性体からなる負荷リングを有するため、このような状態においては、曲率を小とするように、弾性復元力が働く。
この弾性復元力は、摺動リングの環状摺動面21を、軸孔の内周面に押圧するように作用し、この結果として、密封性を発現させることができる。
上記の機構によって生じる密封性は、負荷リングを径方向や円周方向に押しつぶして得られる反発力をシール面に伝搬させる従来の組み合わせシールに比べて、摺動抵抗が小さく、密封性が安定している。
このように、密封装置が、軸側に設けられた環状溝内に装着されて使用される場合、密封装置は、該密封装置をエンドレスな円に変形させた場合の曲率1/rよりも小さい曲率1/(r+α)を有していることが好ましい。
上記の曲率を有する密封装置は、例えば、まず、半径がr+αの密封装置を作成し、次いで、該密封装置の周長2π(r+α)のうち、周長2πrを超える余剰分2παを切除することによって得られる。切除を行う際は、切除される部位の両末端に同じステップカット状の切断部を与えて切除し、得られた密封装置(周長2πr)の両末端が、ステップカットによって互いに噛み合うことができるように切断することが好ましい。その結果として、エンドレスな円に変形させた場合の曲率1/rよりも小さい曲率1/(r+α)を有し、1つの貫通切断部を有する密封装置が得られる。
一方、密封装置が、ハウジング側に設けられた環状溝内に装着されて使用される場合は、該密封装置をエンドレスな円に変形させた場合の曲率1/rよりも大きい曲率1/(r−β)を有していることが好ましい。
このような曲率を有する密封装置を、エンドレスな円に近い形で環状溝に装着した場合、該密封装置は自身の曲率よりも小さい曲率に湾曲された状態になり、曲率を大とするように弾性復元力が働く。
この弾性復元力は、摺動リングの環状摺動面21を、軸の外周面に押圧するように作用し、この結果として、密封性を発現させることができる。
上記の機構によって生じる密封性もまた、負荷リングを径方向や円周方向に押しつぶして得られる反発力をシール面に伝搬させる従来の組み合わせシールに比べて、摺動抵抗が小さく、密封性が安定している。
上記の曲率を有する密封装置は、例えば、まず、半径がr−βの密封装置を2つ作成し、次いで、各密封装置に同じステップカット状の切断部を1つずつ与え、各密封装置を該切断部おいて連結する。各密封装置は、必要であれば周長の一部を切除して、合計の周長が2πrとなるように調整される。その結果として、エンドレスな円に変形させた場合の曲率1/rよりも大きい曲率1/(r−β)を有し、2つの貫通切断部を有する密封装置が得られる。
本発明に係る密封装置は、上述した貫通切断部の他に、摺動リングのみを切断した非貫通切断部を、一つ以上有してもよい。
図4は、貫通切断部及び非貫通切断部を有する密封装置の斜視図である。
図4において、11に示される貫通切断部においては、摺動リング2と負荷リング3とに亘って貫通するように切断部が形成されているのに対し、12に示される非貫通切断部においては、摺動リング2のみが切断されている。
このような非貫通切断部12を設けることで、密封装置の可動性が向上するため、組込み時の力が、弾性体からなる負荷リングを変形させる力のみで済み、小さい力で組込みが可能となる。
しかし、貫通切断部を有さず、非貫通切断部のみを有する組み合わせシール(例えば、特許文献2に開示される密封装置が該当)に、本発明における摺動リングと負荷リングとの一体接着を適用した場合、負荷リングが貫通切断部を有さないため、依然として組付けは困難であり、更に、前述のように、密封装置をエンドレスな円に変形させた場合の曲率1/rよりも小さい曲率1/(r+α)又は大きい曲率1/(r−β)を有する密封装置を作成することも困難である。また、装着後においては、摺動リングの切断部に、負荷リングの歪みが集中し、外張力が均一でなくなる結果、シール性の低下や、異常摩耗が生じる懸念がある。
したがって、本発明においては、少なくとも一つ以上の貫通切断部を有した上で、適宜、非貫通切断部を設けるようにする。
非貫通切断部12の切断形状は、貫通切断部11の場合と同様に、円周方向に平行な切断面を有する切断形状であることが好ましく、例えば、ステップカット状がより好ましい。
ステップカット状のような、円周方向に平行な切断面を有する切断形状を付与することにより、円周方向への伸縮が起こっても、円周方向に平行な各切断面が互いに接触面12Sを維持できる範囲内であれば、シール性が維持される。そのため、切断部における密封流体の漏洩を防ぐことが可能である。
また、密封装置が、軸側に設けられた環状溝内に装着されて使用される場合において、密封装置の外周よりもハウジングの内周が僅かに大又は小であっても、前記切断部の伸縮により、密封装置の外周がハウジングの内周に密封摺接することが可能である。同様に、密封装置が、ハウジング側に設けられた環状溝内に装着されて使用される場合において、密封装置の内周よりも軸の外周が僅かに大又は小であっても、前記切断部の伸縮により、密封装置の内周が軸の外周に密封摺接することが可能である。
従来、例えば、密封装置が、軸側に設けられた環状溝内に装着されて使用される場合においては、シール性を向上させるために、密封装置の外周をハウジングの内周よりもわずかに長く形成して、装着時において密封装置がハウジングの内周面によって締めつけられた状態を形成し、密封性を高める方法が用いられていた。
しかし、この方法では、密封装置の外周面とハウジングの内周面との間に大きな摩擦が発生する問題があった。
これに対して、本発明では、密封装置の伸縮性と負荷リングの弾性復元力との相乗効果によって、上記のような密封装置の外周面とハウジングの内周面との締めつけ装着を行うことなく、密封装置の外周面をハウジングの内周面に密接させることができるため、高い密封性が得られる。
更に、本発明において、負荷リングの弾性復元力の大きさは、前述したように密封装置の曲率を適宜設定することで調整できるため、密封性を維持しながら、摩擦の発生を最小に抑えることが可能である。
本発明に係る密封装置において、貫通切断部及び/又は非貫通切断部近傍の側面には、点状又は環状の凸部が設けられることが好ましい。また、前記凸部は、密封流体側O側面及び/又は大気側A側面に設けることができる。
図5は、点状の凸部を有する密封装置の側面図であり、図6は、点状の凸部を有する密封装置が装着された状態を示す断面図である(図6における密封装置1の断面は、図5における密封装置1のVI−VI線断面に相当する。)。
図5及び図6において、凸部13は点状に形成され、ここでは、負荷リング3の密封流体側O側面及び大気側A側面の両面に設けられている。
また、図7は、環状の凸部を有する密封装置の側面図であり、図8は、環状の凸部を有する密封装置が装着された状態を示す断面図である(図8における密封装置1の断面は、図7における密封装置1のVIII−VIII線断面に相当する。)。
図7及び図8において、凸部13は環状に形成され、ここでは、負荷リング3の密封流体側O側面及び大気側A側面の両面に設けられている。
このように、密封流体側O側面に環状の凸部13を設けた場合は、凸部13よりも溝底54側に、密封流体側Oと隔離された領域55が生じ、流体圧印加時において、圧力負荷が不均一となり、装着安定性を損なう場合がある。
これを回避するために、密封流体側O側面に環状の凸部13を設ける場合は、環状の凸部13の少なくとも一部に切り欠き13’を与えて、領域55が密封流体側Oと隔離されないようにすることが好ましい。
あるいは、切り欠き13’を設けず、切断部の伸長により、環状の凸部13が分断されるように構成してもよい。
点状又は環状の凸部の断面形状は何れでもよく、図5〜図8に図示したような断面半円形状を好ましく例示できる。
本発明においては、前記凸部13を含めた密封装置の軸方向の幅は、環状溝の溝幅以上となるように形成されることが好ましい。
少なくとも貫通切断部11近傍にこのような凸部13を形成することによって、円周方向に平行な各切断面が、軸方向に分割されることなく互いに接触面11Sを維持できる効果がある。同様の効果は、非貫通切断部12近傍に凸部を設けた場合においても得られる。
また、本発明の密封装置は、流体圧負荷時において、密封装置の大気側A側面を、環状溝51の大気側側面53に密接させることによっても密封性を提供し得るが、このような密封性を得るためには、前記凸部は、密封流体側O側面のみに設けることが好ましい。
凸部13を設ける箇所は、負荷リングの側面に限定されるものではなく、摺動リング及び/又は負荷リングに設けることができる。
次に、図9を参照して、他の実施形態に係る密封装置について説明する。
図9は、他の実施形態に係る密封装置の断面図である。
密封装置1において、摺動リング2の環状摺動面21は、これまで説明したような断面直線状であってもよいが、その他の形状であってもよい。例えば、符号14が示すようなリップ部を有するものであってもよい。このようなリップ部14を与えることによって、密封性を更に向上させることができる。
なお、摺動リング2の環状摺動面21の全周に渡って、断面直線状以外の形状を与える場合は、切断部の伸長によって、密封性が失われる恐れがある。これを回避するために、少なくとも切断部においては、摺動リング21の環状摺動面21が断面直線状になるように構成することが好ましい。
また、負荷リング3の環状面34には、該環状面34を切り欠いて形成した溝部15を設けてもよい。このような溝部15を設けて、負荷リング3の充填率を低下させることによって、つぶし代を与えても摩擦の発生を抑えることができる。
なお、負荷リング3の環状面34の全周に渡って、前記溝部15を与える場合は、切断部の伸長によって、密封性が失われる恐れがある。これを回避するために、少なくとも切断部においては、負荷リング3の環状面34に前記溝部15を形成しないことが好ましい。
また、上述した接合において、摺動リング2及び負荷リング3の接合面は、それぞれ断面直線状に形成されてもよいが、広い接合面を形成する上で、断面直線状以外の形状であっても好ましい。断面直線状以外の形状としては、波形状等の曲線状が好ましく例示できる。
例えば、図9において、Bが示す接合面のように、摺動リング2及び負荷リング3の接合面Bを波形状とすることで、接合面積を増加させ、接合の安定化を図ることができる。
本明細書では、密封流体側とは反対の側を、便宜上、大気側と称したが、大気側は必ずしも大気である必要はない。
1:密封装置
11:貫通切断部
12:非貫通切断部
13:凸部
14:リップ部
2:摺動リング
21:環状摺動面
3:負荷リング
34:環状面
4:ハウジング
41:軸孔
42:内周面
5:軸
51:環状溝
54:溝底

Claims (5)

  1. 軸孔を有するハウジングと、該軸孔に挿入されると共に該ハウジングと相対移動を行う軸との間の環状隙間を密封する密封装置において、
    軸又はハウジングのうち一方の部材に設けられる環状溝に装着され、他方の部材と摺接する摺動リングと、前記摺動リングと前記環状溝の溝底との間に配置され、前記摺動リングの溝底側の面と一体に接合された負荷リングとを備え、
    前記摺動リングは、前記他方の部材と密封摺接する環状摺動面を有し、
    前記負荷リングは、前記環状溝の溝底と密接する環状面を有し、
    前記摺動リングと前記負荷リングとに亘って貫通形成された、一つ以上の貫通切断部を有し、
    少なくとも前記貫通切断部近傍の密封流体側側面及び/又は大気側側面に、点状又は環状の凸部が設けられ、該凸部を含めた密封装置の軸方向の幅は、前記環状溝の溝幅以上であり、
    前記摺動リングのみを切断した、一つ以上の非貫通切断部を有することを特徴とする密封装置。
  2. 軸孔を有するハウジングと、該軸孔に挿入されると共に該ハウジングと相対移動を行う軸との間の環状隙間を密封する密封装置において、
    軸又はハウジングのうち一方の部材に設けられる環状溝に装着され、他方の部材と摺接する摺動リングと、前記摺動リングと前記環状溝の溝底との間に配置され、前記摺動リングの溝底側の面と一体に接合された負荷リングとを備え、
    前記摺動リングは、前記他方の部材と密封摺接する環状摺動面を有し、
    前記負荷リングは、前記環状溝の溝底と密接する環状面を有し、
    前記摺動リングと前記負荷リングとに亘って貫通形成された、一つ以上の貫通切断部と、前記摺動リングのみを切断した、一つ以上の非貫通切断部とを有することを特徴とする密封装置。
  3. 前記非貫通切断部の切断形状は、ステップカット状であることを特徴とする請求項1又は2記載の密封装置。
  4. 少なくとも前記非貫通切断部近傍の密封流体側側面及び/又は大気側側面に、点状又は環状の凸部が設けられ、該凸部を含めた密封装置の軸方向の幅は、前記環状溝の溝幅以上であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の密封装置。
  5. 前記貫通切断部の切断形状は、ステップカット状であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の密封装置。
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