JP5444763B2 - 半導体装置の製造方法、それにより製造される半導体装置、及びダイシングテープ一体型接着シート - Google Patents

半導体装置の製造方法、それにより製造される半導体装置、及びダイシングテープ一体型接着シート Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置の製造方法、それにより製造される半導体装置、及びダイシングテープ一体型接着シートに関する。
現在、半導体製造の製造方法として、半導体ウエハの裏面に接着フィルムとダイシングテープを貼付け、その後、半導体ウエハ、接着フィルム及びダイシングテープの一部を、ダイシング工程で切断する半導体ウエハ裏面貼付け方式が、一般的に用いられている。この例として、接着フィルムをダイシングテープ上に付設し、これを半導体ウエハに貼り付ける方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
この半導体ウエハ裏面貼付け方式の製造方法では、半導体ウエハのダイシング時に、接着フィルムも同時に切断することが必要である。しかし、ダイヤモンドブレードを用いた一般的なダイシング方法においては、半導体ウエハと接着フィルムとを同時に切断するために、切断速度を遅くする必要があり、コストの上昇を招いていた。
1パッケージあたりの記憶容量を増大させる目的で、近年、パッケージ中のチップの積層枚数は増加している。それに従い、チップ又は半導体ウエハの厚さは、バックグラインド工程等で薄くすることが行われており、厚さ100μm以下、より薄くは厚さ70μm以下、さらに薄くは厚さ55μm以下、最も薄くは35μm以下の半導体ウエハが製造されている。
半導体ウエハが薄くなると、ダイシング時に半導体ウエハが割れやすくなるため、製造効率が大幅に悪化し、上記の問題はさらに深刻になってきている。このような薄いウエハは反りやすく、割れやすいため、これに使用する接着フィルムは、従来のものより柔らかいことが必要になっている。
一方、半導体ウエハの区分方法として、半導体ウエハを完全に切断する従来のブレードダイシングに代わって、折り目となる溝を加工する方法や、破断予定ライン上の半導体ウエハ内部に、レーザー光を照射して改質領域を形成する方法等、半導体ウエハを容易に区分する工程を施し、その後に外力を加える等して切断する方法が、近年提案されている。
前者の方法は、ハーフカットダイシング、後者の方法は、ステルスダイシング(例えば、特許文献5、6参照)と呼ばれる。これらの方法は、特に、半導体ウエハの厚さが薄い場合にチッピング等の不良を低減する効果があり、カーフ幅を必要としないことから収率向上効果等を期待することができる。
特開2002−226796号公報 特開2002−158276号公報 特開平02−032181号公報 国際公開第04/109786号パンフレット 特開2002−192370号公報 特開2003−338467号公報
従来のブレードダイシングにおいて、半導体ウエハを区分する際、切断クズが個片化したチップに付着している場合もある。切断クズが付着している場合や、個片化が完全でない場合、切断条件等を変更するか、その部分を避けて使用するか又は、レーザー光照射等により、接着フィルムを焼き切る等の後処理が必要である。その場合にも、簡易的に切断箇所と切断不良箇所とをCCDを用いた画像処理等の手法で光学的に検出、区分化することが必要である。
従来のブレードダイシングでは、切断深さ等を設定することで、ウエハと接着フィルムとを同時に切断することが可能である。一方、ハーフカットダイシングやステルスダイシングのような、エキスパンド等の外部応力による破断では、接着フィルムの物性に応じて、温度や、エキスパンド量、速度、プロファイルを調整する必要があるほか、その条件設定の過程では、破断性を評価する必要がある。
切断条件、破断条件が全く不適当であると、ウエハが切断しているが、接着フィルムが切れない場合が起こりうるため、その確認が必要である。しかし、極めて微細な領域を調査する必要があるため、短時間に調べることは困難である。
本発明は、通常に行われる接着フィルム及び半導体ウエハの切断・破断条件において、接着フィルムが切断・破断されているか簡易に調べられる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。また、それにより得られた半導体装置及び、それに用いるダイシングテープ一体型接着シートを提供する。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、半導体装置の製造方法において、ダイシングテープと接着フィルムとが外観を異なるようにすることで、接着フィルムが切断・破断されているか簡易に調べられることを見出した。
すなわち本発明は下記に関する。
<1>(I)半導体ウエハに、接着フィルムとダイシングテープとを貼り付ける工程と、
(II)半導体ウエハを区分する工程とを、(工程I)−(工程II)又は(工程II)−(工程I)の順で備え、
(III)前記半導体ウエハ及び前記接着フィルムを切断・破断することにより、複数の個片化された接着フィルム付き半導体チップを得る工程と、
(IV)前記接着フィルム付き半導体チップを、半導体チップ搭載用支持部材に接着する工程、を有する半導体装置の製造方法であって、
前記接着フィルムと前記ダイシングテープとの外観が異なることを特徴とする半導体装置の製造方法。
<2>(I)半導体ウエハに、接着フィルムとダイシングテープとを貼り付ける工程と、
(II)半導体ウエハを区分する工程とを、(工程I)−(工程II)又は(工程II)−(工程I)の順で備え、
(III)前記半導体ウエハ及び前記接着フィルムを切断・破断することにより、複数の個片化された接着フィルム付き半導体チップを得る工程と、
(IV)前記接着フィルム付き半導体チップを、半導体チップ搭載用支持部材に接着する工程、を有する半導体装置の製造方法であって、
前記接着フィルムと前記ダイシングテープとが、紫外線照射時に蛍光発光が異なることを特徴とする半導体装置の製造方法。
<3>前記工程(III)において、必要があるときに、切断・破断後、完全に個片化されたか否か確認する工程をさらに有する上記<1>または<2>に記載の半導体装置の製造方法。
<4>前記接着フィルムが、波長400nmでの光線透過率が20%以下であり、前記ダイシングテープが、波長400nmでの光線透過率が30%以上である、上記<1>〜<3>のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
<5>前記半導体ウエハを区分する工程が、ハーフカットダイシング又はステルスダイシングである、上記<1>〜<4>のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
<6>上記<1>〜<5>のいずれか一つに記載の製造方法で製造された半導体装置。
<7>(I)半導体ウエハに、接着フィルムとダイシングテープとが積層されたダイシングテープ一体型接着シートを貼り付ける工程と、
(II)半導体ウエハを区分する工程とを、(工程I)−(工程II)又は(工程II)−(工程I)の順で備え、
(III)前記半導体ウエハ及び前記接着フィルムを切断・破断することにより、複数の個片化された接着フィルム付き半導体チップを得る工程と、
(IV)前記接着フィルム付き半導体チップを、半導体チップ搭載用支持部材に接着する工程を有する半導体装置の製造方法に使用するダイシングテープ一体型接着シートであって、
前記接着フィルムとダイシングテープとの外観が異なるダイシングテープ一体型接着シート。
<8>(I)半導体ウエハに、接着フィルムとダイシングテープとを貼り付ける工程と、
(II)半導体ウエハを区分する工程とを、(工程I)−(工程II)又は(工程II)−(工程I)の順で備え、
(III)前記半導体ウエハ及び前記接着フィルムを切断・破断することにより、複数の個片化された接着フィルム付き半導体チップを得る工程と、
(IV)前記接着フィルム付き半導体チップを、半導体チップ搭載用支持部材に接着する工程を有する半導体装置の製造方法に使用するダイシングテープ一体型接着シートであって、
前記接着フィルムとダイシングテープとの紫外線照射時に蛍光発光が異なるダイシングテープ一体型接着シート。
<9>前記接着フィルムが、波長400nmでの光線透過率が20%以下であり、前記ダイシングテープが、波長400nmでの光線透過率が30%以上である上記<7>又は<8>に記載のダイシングテープ一体型接着シート。
本発明によれば、通常に行われる接着フィルム及び半導体ウエハの切断・破断後に接着フィルムが切断・破断されているか簡易に調べられる半導体装置の製造方法を提供することができる。また、その方法で製造された半導体装置、また、接着フィルムが切断・破断されているか簡易に調べられるダイシングテープ一体型接着シートを提供できる。
本発明における(工程Iの一部:Ia)の好適な一実施形態を示す概念図である。 本発明における(工程II)の好適な一実施形態を示す概念図である。 本発明における(工程Iの一部:Ib)の好適な一実施形態を示す概念図である。 本発明における(工程III)の好適な一実施形態を示す概念図である。 本発明における(工程IV)の好適な一実施形態を示す概念図である。 本発明における(工程I)の他の好適な実施形態を示す概念図である。 本発明における(工程II)の好適な一実施形態を示す概念図である。 本発明における(工程III)後の半導体ウエハ及び接着シートが切断された状態を示す概念図である。 本発明における(工程IV)の他の好適な実施形態を示す概念図である。 本発明における(工程I)、(工程II)及び(工程III)の一実施形態を示す概念図である。
本発明の半導体装置の製造方法は、下記(I)〜(IV)工程を有し、
(I)半導体ウエハに、接着フィルムとダイシングテープとを貼り付ける工程と、
(II)半導体ウエハを区分する工程とを、(工程I)−(工程II)又は(工程II)−(工程I)の順で備え、
(III)前記半導体ウエハ及び前記接着フィルムを切断・破断することにより、複数の個片化された接着フィルム付き半導体チップを得る工程と、
(IV)前記接着フィルム付き半導体チップを、半導体チップ搭載用支持部材に接着する工程、
前記接着フィルムと前記ダイシングテープとの外観が異なる、又は紫外線照射時に蛍光発光が異なることを特徴とする。
本発明の半導体装置の製造方法において、チップ端部に露出した接着フィルムと、ウエハ、ダイシングテープとの外観が区別可能なものであることが必要である。
本発明の半導体装置の製造方法は、前記工程(III)において、必要があるときに、切断・破断後、完全に個片化されたか否か確認する工程をさらに有することが好ましいが、接着フィルムとダイシングテープとの外観が区別可能であることにより、接着フィルムが、同時に切断・破断されたか否かを簡便に確認することができる。さらには、半導体ウエハもダイシングテープと外観が異なることが好ましい。それにより、接着フィルムだけでなく、半導体ウエハと接着フィルムとが、同時に切断・破断されたか否かを確認できる。
接着フィルムは、ダイシングテープと判別が可能であるならば、より好ましくは、ウエハとダイシングテープと判別が可能であるならば、どのような外観でもよく、例えば、透明性、色調、光の反射の仕方等が異なればよい。接着フィルムの具体的な色調は、白色、水色、黄色、赤等の外観でも良いが、チップとの区別を行うためには、接着フィルムは白濁又はやや黄色味がかった白濁色が好ましい。また、反射光が少ないことが望ましい。
また、外観は、可視光に対して異なるものでなくとも、紫外光、赤外光に対して異なるものであっても良い。例えば、接着フィルムが、ベンゼン環を含む等し、紫外線照射時に蛍光色を発する一方、ダイシングテープは、蛍光発光しないものが挙げられる。特に、接着フィルムが蛍光発光し、且つダイシングテープが蛍光発光しない構成であることにより、チップ端部から僅かにはみ出した接着フィルムの樹脂等や、糸引き状になった接着フィルムの樹脂等を感度良く検出可能である。
なお、完全に個片化されたか否か確認する工程は、必要なときに行えばよい。「必要なとき」とは具体的に、(1)半導体装置を量産化する場合に、切断・破断条件を決定するための予備的段階や、(2)毎回、等挙げられる。そして、完全に個片化されていない場合は、半導体ウエハの切断・破断条件を適宜変更する。
ダイシングテープは、透明か、若干の白濁を有するものが好ましく、光線透過率が、接着フィルムに比べて高いことが好ましい。ダイシングテープの光線透過率は、好ましくは、接着フィルムの光線透過率より10%以上、さらに好ましくは、20%以上高いことである。
具体的には、接着フィルムの波長400nmでの光線透過率が20%以下であり、ダイシングテープの波長400nmでの光線透過率が30%以上であることが好ましい。
ダイシングテープは、光線透過率が、30%以上であると、ダイシングテープ側から剥離を観察することで、ウエハ下部の接着フィルムとダイシングテープとの間の剥離を、検出することができるため好ましい。
光線透過率は、以下のようにして測定する。
なお、光線透過率を上記範囲とするには、接着フィルムの場合は、フィルムの厚み、樹脂の白色度(相溶性)、染料、顔料、フィラー等の添加により調整できる。また、ダイシングテープの場合も、接着フィルムの場合と同様に調整できる。
なお、光線透過率の測定は以下のように行う。接着フィルムについては、離型PETフィルム上に厚さ20μmの接着フィルムを作製した後、離型PETフィルムを剥離し、接着フィルムのみとする。その接着フィルムを分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−5700)を用いて波長400nmにおける光線透過率を測定する。
ダイシングテープについては、厚み100μmのダイシングテープの保護フィルムを剥離した後、分光光度計(日本分光(株)製、商品名:V−5700)を用いて波長400nmにおける光線透過率を測定する。
本発明におけるダイシングテープは、ダイシングテープの引っ張り変形時に降伏点を示さず、且つ、上記(工程III)において、ダイシングテープと接着フィルムとの接着力が、20N/m以上、100N/m以下であることが好ましい。
ここで、接着力とは、「90°はく離試験による接着力」のことであり、詳細は後述する。
なお、一般的に、荷重−伸び線図、応力−ひずみ線図等で見られるように、物体に働く応力が弾性限度を超えると、荷重又は応力の増大がないのに、変形が徐々に進行する現象を「降伏」と呼び、弾性挙動の最大荷重、最大応力値における点を「降伏点」と呼ぶ。
降伏点を有するダイシングテープとは、短冊形状のダイシングテープについて、25℃で引っ張り試験を行い、ひずみをX軸、伸びをY軸にそれぞれプロットした場合に、傾きdX/dYが、正の値から0又は負の値に変化する応力値をとるものである。
このような降伏点を有するテープでは、ダイシングテープに外力を加えて半導体ウエハ及び接着フィルムを切断する工程、上記(工程III)において、半導体ウエハに応力がかからず、周辺のダイシングテープばかりが伸び変形を起こすため、半導体ウエハが割れない又は割れ残りが生じる等の問題がある。降伏点がない場合、外力が、半導体ウエハ及び接着フィルムにかかりやすく、ハーフカットダイシングやステルスダイシングを行う場合、破断性が良いため好ましい。
このようなダイシングテープとしては、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリ酢酸ビニルポリエチレン共重合体からなるフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルム及び、これらを積層したフィルム等を用いた基材層と、アクリルゴム、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を主成分とする粘着剤を用いた粘着剤層とが、積層されたテープが挙げられる。
特に、上記基材層の材料としては、降伏点がない上、低温での伸びが優れ、フィルムの伸びの異方性が小さい点で、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルポリエチレン共重合体が好ましい。基材層のフィルムは、押し出し成型時に縦方向に配向しやすく、上記のフィルムについても、フィルムの伸びが完全に均一でない場合があるが、ウエハラミネート時に張力を適宜調整することが好ましい。
また、必要に応じてプライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理等の表面処理を行っても良い。粘着剤層は、特に液状成分の比率、高分子量成分のTgを調整することによって得られる適度なタック強度を有する樹脂組成物を、基材層上に塗布乾燥することで形成可能である。
また、ダイシングテープの膜厚は、特に制限はなく、接着フィルムの膜厚やダイシングテープ一体型接着シートの用途によって適宜定められるものであるが、経済性がよく、ダイシングテープの取扱い性が良い点で、60〜150μm、好ましくは、70〜130μmである。
なお、ダイシングテープの厚さAと、接着フィルムの厚さBとの比、A/Bは、2〜30であることが好ましい。より好ましくは、10〜25である。さらに好ましくは、15〜25である。なお、接着フィルムの厚みは50μm以下であることが好ましい。
接着フィルム、ダイシングテープの膜厚の組合せとしては、例えば、ダイシングテープ:110μm、接着フィルム:10μm、この場合のA/Bは、11、ダイシングテープ:110μm、接着フィルム:5μm、この場合のA/Bは、22である。
A/Bが2未満であると、ダイシングテープに比べて接着フィルムが厚いため、ダイシングテープ部に比べて接着フィルムが有る部分が伸びにくく、結果として接着フィルムが、徐々に割れにくくなるため好ましくない。特に、ハーフカットダイシングやステルスダイシングを行う場合、ウエハの端部にはみ出した接着フィルムが破断しにくくなる。
また、A/Bが30を超えると、ダイシングテープに比べて、接着フィルムが薄いため、ダイシングテープ部に張力が掛かった場合に、早い段階でウエハの端部にはみ出した接着フィルムが割れてしまい、ウエハに十分に張力が掛かる前に、接着フィルムが割れた部分のみに張力が不均一に掛かり、結果として接着フィルムが部分的に破断しにくくなるため、好ましくない。
上記ダイシングテープは、ダイシングテープの粘着剤層面で接着フィルムと貼り合わされ、ダイシングテープと接着フィルムとの90°はく離試験による接着力は、通常、20N/m以上、100N/m以下である。接着力が、20N/m以上、100N/m以下であることにより、ハーフカットダイシングやステルスダイシングを行う場合、エキスパンド時に、ダイシングテープと接着フィルムとがはく離せず、結果として接着フィルムが破断しやすく、さらには、後のチップのピックアップが可能である点で好ましい。
接着力が、20N/m未満の場合、ダイシングテープを延伸したときに、半導体ウエハが破断し、チップになる際に内部応力が開放されて、チップとダイシングテープとの界面がはく離し、反りが生じるため、徐々にピックアップが困難になる。接着力が、100N/m超であると、ピックアップが困難で、チップの割れ等が生じる。
本発明において、ダイシングテープと接着フィルムとの90°はく離試験による接着力の測定は、以下のように行う。
ホットロールラミネータ(80℃、0.3m/分、0.3MPa)でウエハに貼り合わせた接着フィルムにさらにロールラミネータ(25℃、0.3m/分、0.3MPa)でダイシングテープを貼り合わせ、その後、ダイシングテープを接着シートからTOYOBALWIN製UTM−4−100型テンシロンを用いて、25℃の雰囲気中で、90°の角度で、50mm/分の引張り速度で剥がしたときの90°ピール強度を求める。
また、接着力を20〜100N/mとするには、例えば、接着フィルムの成分である液状エポキシ樹脂等の含有量を調整すればよい。
本発明に使用される接着フィルムとしては、接着フィルムの均一性や柔軟性が優れる点から高分子量成分を少なくとも含有することが好ましく、市販のものとして、例えば、日立化成工業株式会社製、商品名:HS−230、HS−270、HS−260等を用いることができる。
本発明における接着シートは、半導体ウエハの反りを小さくし、室温(25℃)での取扱い性を良くするため、本発明における接着フィルムと半導体ウエハとを40〜100℃の間でウエハラミネートすることが好ましい。
また、接着フィルムは、Bステージ状態、60℃で、10Hzにおける動的粘弾性測定による弾性率が、0.1〜20MPaであることが好ましく、0.1〜10MPaであることがより好ましく、0.1〜5MPaであることが特に好ましい。0.1MPa未満であると、貼付後に接着フィルムが半導体ウエハから剥離したり、ずれたりする傾向がある。20MPaを超えると、ウエハへのラミネート性が悪化する傾向があるため好ましくない。
動的粘弾性測定による弾性率は、下記のように測定する。Bステージ状態の接着フィルムの貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置(レオロジー社製、商品名:DVE−V4)を用いて測定する。このとき、接着フィルムのサンプルサイズは長さ:20mm、幅:4mm、膜厚:80μmである。測定条件は昇温速度:5℃/min、測定モード:引張り法、自動静荷重、測定周波数:10Hzである。
また、弾性率を下げるには、添加するフィラー量を低減する、液状エポキシ樹脂の添加量を多くする、ガラス転移温度の低い高分子量成分を添加する等により調整できる。一方、弾性率を上げるには、添加するフィラー量を増大する、液状エポキシ樹脂の添加量を減らす、固形のエポキシ樹脂を加える、ガラス転移温度の高い高分子量成分を添加する等して調整できる。
なお、接着フィルムは、上記各特性に加えて、半導体素子搭載用支持部材に、半導体素子を実装する場合に要求される、耐熱性及び耐湿性を有するものであることが好ましい。
また、接着フィルムは、上記特性を満足するものであれば特に制限はないが、適当なタック強度を有し、シート状での取扱い性が良好であることから、高分子量成分の他に、熱硬化性成分及びフィラーを含むことが好ましく、さらに、これらの他に、硬化促進剤、触媒、添加剤、カップリング剤等を含んでも良い。
次に、接着フィルムを構成する成分についてより詳細に説明する。
接着フィルムは、高分子量成分、さらに必要に応じて熱硬化性成分、フィラー等を含むことが好ましい。以下、詳細に説明する。
接着フィルムは、粘着性やフィルムの強度を改善するために、高分子量成分を含むことが好ましい。高分子量成分は、ガラス転移温度(以下、「Tg」と言う。)が、−30℃〜50℃で、重量平均分子量が、50,000〜1,000,000であることが好ましい。
Tgが、50℃を超えると、接着フィルムの柔軟性が低い点で不都合であり、Tgが、−30℃未満であると、接着フィルムの柔軟性が高すぎるため、ハーフカットダイシングやステルスダイシングを行う場合、半導体ウエハ破断時に、接着フィルムが破断し難い点で都合が悪い。
また、重量平均分子量が50,000未満であると、接着フィルムの耐熱性が、徐々に低下する点で不都合であり、分子量が1,000,000を超えると、接着フィルムの流動性が、徐々に低下する点で不都合である。
ハーフカットダイシングやステルスダイシングを行う場合の接着フィルムの破断性や耐熱性の観点から、Tgが、−20℃〜40℃で、重量平均分子量が、100,000〜900,000の高分子量成分がより好ましく、Tgが、−10℃〜30℃で、重量平均分子量が、500,000〜900,000の高分子量成分が特に好ましい。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値であり、ポンプとして株式会社日立製作所製の商品名「L−6000」を使用し、カラムとして日立化成工業株式会社製の商品名「ゲルパック」(Gelpack)GL−R440、ゲルパックGL−R450及びゲルパックGL−R400M〔各10.7mm(直径)×300mm〕をこの順に連結したカラムを使用し、溶離液としてテトラヒドロフラン(以下、「THF」と言う。)を使用し、試料120mgを、THF:5mlに溶解させたサンプルについて、流速1.75mL/分で測定することができる。
高分子量成分として、具体的には、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ブタジエンゴム、アクリルゴム、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート及び、これらの混合物等が挙げられる。
高分子量成分として、特に、官能性モノマを含む重量平均分子量が100,000以上である高分子量成分、例えば、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマを含有し、かつ重量平均分子量が、100,000以上であるエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体等が好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、エポキシ基含有(メタ)アクリルエステル共重合体、エポキシ基含有アクリルゴム等を使用することができ、エポキシ基含有アクリルゴムがより好ましい。アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体等からなるゴムである。
また、接着フィルムは、熱硬化性成分を含むことが好ましく、このようなものとしては、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂及びその硬化剤等があるが、耐熱性が高い点で、エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定はない。
エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ等の二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂等、一般に知られているものを適用することができる。
さらに、接着フィルムには、Bステージ状態の接着フィルムの破断強度、破断伸びの低減、接着フィルムの取扱い性の向上、熱伝導性の向上、溶融粘度の調整、チクソトロピック性の付与等を目的としてフィラー、例えば、無機フィラーを配合することが好ましい。
無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、アンチモン酸化物等が挙げられる。
熱伝導性向上のためには、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。
また、溶融粘度の調整や、チクソトロピック性の付与のためには、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。
また、耐湿性を向上させるためには、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、アンチモン酸化物が好ましい。
上記フィラーの量は、接着フィルムの全質量に対して、5質量%以上、70質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは、35質量%以上、60質量%以下である。
配合量が多くなると、接着フィルムの貯蔵弾性率の上昇、接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題が起きやすくなるので、50質量%以下とするのが特に好ましい。
また、フィラーの比重は、1〜10g/cmであることが好ましい。
接着フィルムは、高分子量成分、さらに必要に応じて熱硬化性成分、フィラー及び他の成分を、有機溶媒中で混合、混練してワニスを調製した後、基材フィルム上に上記ワニスの層を形成させ、加熱乾燥した後、基材を除去して得ることができる。
また、切断・破断可能である範囲で、接着フィルムを複数重ね合わせ、複層の接着フィルムにしてもよい。
また、接着フィルムと、例えば、熱可塑フィルム、粘着剤、熱硬化樹脂等を用いたフィルムを組合せ、該フィルムの両面に接着フィルムを重ね合わせる等し、複層型の接着フィルムにしても良い。
なお、切断・破断可能である範囲とは、複層にした接着フィルムの弾性率が、上記数値範囲内にあることをいう。熱可塑フィルム、粘着剤、熱硬化樹脂等を用いたフィルムとしては、例えば、ポリイミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの混合物等を用いたフィルムを挙げることができる。これらのフィルムは、各種フィラーを含んでいてもよい。
接着フィルムの膜厚は、50μm以下が好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。1μm未満であると、応力緩和効果や接着性が、徐々に乏しくなる傾向があり、50μmを超えると経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えられず、ハーフカットダイシングやステルスダイシングを行う場合、破断が困難になる傾向がある。
なお、接着性が高く、また半導体装置を薄型化できる点で、3〜40μmが好ましく、パッケージが薄くなり、ダイシングテープの厚さが、100μm程度の場合に、破断性が向上することから、5〜20μmが好ましい。
また、ウエハの厚さCに対して、接着フィルムの厚さBの比、C/Bは、2〜20であることが好ましい。ウエハに対して、接着フィルムが薄いと、ウエハの破断の衝撃で割れやすくなる点で好ましく、厚いと接着フィルムが割れずにチップ間に残り、チップのピックアップ性が悪化する傾向がある。
本発明の半導体装置の製造方法において、接着フィルムとダイシングテープとの外観が異なれば、特に制限はないが、取扱い性の点から、接着フィルムとダイシングテープとが一体になったダイシングテープ一体型接着シートが好ましく、本発明はこれも範囲内である。
本発明のダイシングテープ一体型接着シートは、接着フィルムを、上述のダイシングテープの粘着剤層面に積層することで得ることができる。このダイシングテープ一体型接着シートを用いることで、半導体ウエハへのラミネート工程が一回で済み、作業の効率化が可能である。
ダイシングテープ上に接着フィルムを積層する方法としては、印刷のほか、予め作製した接着フィルムをダイシングテープ上にプレス、ホットロールラミネートする方法が挙げられるが、連続的に製造でき、効率が良い点で、ホットロールラミネート方法が好ましい。
本発明の半導体装置を製造する方法は、用いる接着フィルムとダイシングテープとの外観が異なることを特徴とする。または、上述した本発明のダイシングテープ一体型接着シートを用いることを特徴とする。本発明の半導体装置の製造方法は、例えば、下記工程を有する。
(I)半導体ウエハに、接着フィルムとダイシングテープとを貼り付ける工程と、
(II)半導体ウエハを区分する工程とを、(工程I)−(工程II)又は(工程II)−(工程I)の順で備え、
(III)前記半導体ウエハ及び前記接着フィルムを切断・破断することにより、複数の個片化された接着フィルム付き半導体チップを得る工程と、
(IV)前記接着フィルム付き半導体チップを、半導体チップ搭載用支持部材に接着する工程。
なお、本発明における接着シートとダイシングテープとは、外観が異なり、半導体装置を製造する前に上記ダイシングテープと接着フィルムが一体化されている構成が好ましい。場合によっては、接着フィルムのみを用い、上記の半導体装置の製造方法の工程途中にダイシングテープと張り合わせて用いることも可能である。この場合も、接着フィルムとダイシングテープとの外観が異なる、あるいは紫外線照射時に蛍光発光が異なることが重要である。
以下、図1〜図5に基づいて半導体装置の製造方法の好適な一実施形態を説明する。
図1には、半導体ウエハAに接着フィルム1を貼り付ける工程(工程Iの一部の工程:工程Ia)を、図2には、半導体ウエハAの切断予定ライン4上に、レーザー光を照射して、ウエハ内部に改質領域(切断予定部)5を形成して、半導体ウエハAを区分する工程(工程II)を、図3には、接着フィルム1に、粘着剤層2aと、基材層2bとからなるダイシングテープ2を貼り付ける工程(工程Iの一部の工程:工程Ib)を、図4には、ダイシングテープ2を、エキスパンドすることで半導体ウエハA及び接着フィルム1を、切断する工程(工程III)を、図5には、接着フィルム付き半導体チップ6を、半導体チップ搭載用支持部材7に接着する工程(工程IV)をそれぞれ示す。
上記半導体ウエハとしては、単結晶シリコンの他、多結晶シリコン、各種セラミック、ガリウム砒素等の化合物半導体等が使用される。
上記(工程Ia)における、接着フィルム1を、半導体ウエハAに貼り付ける温度、即ち、ラミネート温度は、0℃〜170℃の範囲であることが好ましく、半導体ウエハAの反りを少なくするためには、20℃〜130℃の範囲であることがより好ましく、20℃〜80℃の範囲であることが、特に好ましい。
また、(工程II)の後に(工程Ia)を行う場合、ラミネート工程での応力や変形により半導体ウエハAが、破断することを防止するため、半導体ウエハAが、変形しないように支持してラミネートを行うことが好ましい。
上記(工程II)における、半導体ウエハAを区分する加工方法としては、ダイシングカッター等により、半導体ウエハAを完全に切断せずに、折り目となる溝を加工する方法や、切断予定ライン上の半導体ウエハA内部に、レーザー光を照射して改質領域を形成する方法等、その後に外力等を加えることで、容易に半導体ウエハAを切断することができる方法が挙げられる。
なお、半導体ウエハAのレーザー加工の方法については、特開2002−192370号公報及び特開2003−338467号公報に記載の方法を使用することができる。装置については、例えば、株式会社東京精密製のMAHOHDICING MACHINEを使用することができる。
なお、これらの方法を用いて半導体ウエハを区分するとは、外力により切断できるように、予め破断のきっかけを作った状態又はこの状態の後、さらに外力を加え半導体ウエハがほぼ切断され、一部のみつながっている状態、さらに外力を加え半導体ウエハが切断されているが互いに接触するか、数μm以下の僅かな間隙を挟んで隣り合う状態又は、さらに外力を加え半導体ウエハが切断されて、数μm以上、1mm以下の間隙を挟んで隣り合う状態までを指す。
また、半導体ウエハ及び接着フィルムを「破断」するとは、半導体ウエハ、接着フィルムが完全に切断されていない場合には、両者を同時に個片化するよう外力をかけること、既に半導体ウエハが切断されている場合には、最終的に接着フィルムも切断されている状態にするよう、外力をかけることを示す。
なお、「切断」とは、ブレードと呼ばれる丸刃やのこぎり状刃、カッター等で切削することにより分断することをいう。
半導体ウエハAへのレーザー光は、半導体ウエハAの表面、即ち、回路が形成されている面から照射してもよく、また半導体ウエハAの裏面、即ち、回路が形成されていない、接着シートを貼り付ける側の面から照射してもよい。
図2に示す区分工程(工程II)を、(工程Ia)や、後述する(工程I)又は(工程Ib)の後に行う場合には、接着フィルム1や、ダイシングテープ2側からも、半導体ウエハAにレーザー光を照射することが可能になる点で、接着フィルム1や、ダイシングテープ2として、レーザー光を透過するものを用いることが好ましい。
また、破断、つまり切断できなかった部分を認識しやすい点で、接着フィルム1は、ダイシングテープ2と外観が異なるもの、つまり、透明性や色調が異なるものを用いる。
図2に示す(工程II)においては、例えば、下記の条件で、上記のレーザー加工装置を用いて、半導体ウエハAの内部に集光点を合わせ、切断予定ライン4に沿って半導体ウエハAの表面側からレーザー光を照射し、半導体ウエハAの内部に改質領域5を形成する。
この改質領域5により、切断予定ラインに沿って半導体ウエハAを切断することができる。改質領域5は、多光子吸収により、半導体ウエハ内部が、局所的に加熱溶融することにより形成された溶融処理領域であることが好ましい。
(レーザー加工条件)
(A)半導体基板(半導体ウエハ):シリコンウエハ(厚さ350μm、外径6インチ)
(B)レーザー光源:半導体レーザー励起Nd:YAGレーザー
波長:1064nm
レーザー光スポット断面積:3.14×10−8cm
発振形態:Qスイッチパルス
繰り返し周波数:100kHz
パルス幅:30ns
出力:20μJ/パルス
レーザー光品質:TEM00
偏光特性:直線偏光
(C)集光用レンズ
倍率:50倍
NA:0.55
レーザー光波長に対する透過率:60パーセント
(D)半導体基板が載置される載置台の移動速度:100mm/秒
半導体ウエハが貼り付けられている接着フィルム1に、ダイシングテープ2とを貼り付ける工程(工程Ib)においては、従来公知の方法により、ダイシングテープ2を、半導体ウエハAが貼り付けられている面とは反対の面で接着フィルム1に貼り付ければよい。貼り付ける温度、即ち、ラミネート温度は、0℃〜60℃の範囲で行われることが好ましく、10℃〜40℃の範囲で行われることがより好ましく、15℃〜30℃の範囲で行われることがさらに好ましい。
(工程II)の後に(工程Ib)を行う場合、ラミネート工程での応力や変形により半導体ウエハAが破断することを防止するため、半導体ウエハAが、変形しないように支持してラミネートを行うことが好ましい。
本発明において、半導体装置の製造方法は、上記ダイシングテープに代えてダイシングテープ一体型接着シートを用い、(工程Ia)及び(工程Ib)に代え、後述する(工程I)を備えるものであってもよい。
即ち、半導体装置の製造方法は、上述した本発明のダイシングテープ一体型接着シートを用いるものであり、(I)半導体ウエハに、接着フィルムとダイシングテープとが積層されたダイシングテープ一体型接着シートを貼り付ける工程(工程I)と、(II)半導体ウエハを区分する工程(工程II)とを(工程I)−(工程II)又は(工程II)−(工程I)の順で備え、さらに、(III)半導体ウエハ及び接着シートを切断することにより、複数の個片化された接着フィルム付き半導体チップを得る工程(工程III)と、(IV)接着フィルム付き半導体チップを半導体チップ搭載用支持部材に接着する工程(工程IV)と、を備えるものであってもよい。
以下、図6〜図10に基づいて、半導体装置の製造方法の他の好適な実施形態を説明する。
図6には、半導体ウエハAに、ダイシングテープ一体型接着シート3を貼り付ける工程(工程I)を、図7には、半導体ウエハAを、ダイシングソー23によりハーフカットして区分する工程(工程II)を、図8には、ダイシングテープ一体型接着シート3に外力を加える工程(工程III)を経て、半導体ウエハA及び接着フィルム1が切断された状態を、図9には、接着フィルム付き半導体チップ6を半導体チップ搭載用支持部材7に接着する工程(工程IV)をそれぞれ示す。
また、図10には、半導体ウエハAに、ダイシングテープ一体型接着シート3を貼り付ける工程(工程I)、半導体ウエハAの切断予定ライン上にレーザー光を照射して、半導体ウエハ内部に改質領域(切断予定部)5を形成して、半導体ウエハを区分する工程(工程II)、ダイシングテープ2又はダイシングテープ一体型接着シート3に外力を加えて半導体ウエハA及び接着フィルム1を切断する工程(工程III)をまとめて示す。
なお、半導体装置の製造方法において、半導体ウエハAに接着フィルム1及びダイシングテープ2を貼り付ける方法と、ダイシング方法の組合せは、特に制限はない。作業性や効率性の観点からは、半導体ウエハAにダイシングテープ一体型接着シート3を貼り付け、ステルスダイシングを行う組合せであることが最も好ましい。
上記(工程I)において、半導体ウエハAに、ダイシングテープ一体型接着シート3を貼り付ける際には、半導体ウエハAとダイシングテープ一体型接着シート3とにおける接着フィルムの1面が接するように貼り付ける。貼り付ける温度、即ち、ラミネート温度は、20℃〜170℃の範囲であることが好ましく、半導体ウエハAの反りを少なくするためには、20℃〜130℃の範囲であることがより好ましく、20℃〜60℃の範囲であることが特に好ましい。
上記(工程Ia)、(工程II)及び(工程Ib)又は(工程I)及び(工程II)の後、(工程III)を行うが、当該工程において半導体ウエハA及び接着フィルム1の切断は、ダイシングテープ2又はダイシングテープ一体型接着シート3に外力を加えることで行うことができる。
この外力は、例えば、ハーフカットダイシングの場合には、曲げ方向やねじれ方向に加えることが好ましく、ステルスダイシングの場合には、引っ張り(エキスパンド)方向に加えることが好ましい。
例えば、ステルスダイシングにおいて、ダイシングテープ2の両端を引っ張り、外力を加えることで半導体ウエハA及び接着フィルム1の切断を行う場合には、市販のウエハ拡張装置によって行うことができる。より具体的には、図4に示すように、ステージ13上に配置されたダイシングテープ2周辺部にリング11を貼り付け、固定し、ついで突き上げ部12を上昇させることで、ダイシングテープ2に両端から張力をかける。
このときの突き上げ部が上昇する速度を、エキスパンド速度とし、突き上げ部が上昇した高さ14を、エキスパンド量とすると、本発明では、エキスパンド速度は、10〜1000mm/秒であることが好ましく、10〜200mm/秒であることがより好ましく、50〜150mm/秒であることが特に好ましい。
また、エキスパンド量は、5〜30mmであることが好ましく、10〜30mmであることがより好ましく、15〜20mmであることが特に好ましい。
エキスパンド速度が10mm/秒未満であると、半導体ウエハ及び接着フィルムの切断が、徐々に困難となる傾向があり、1000mm/秒を超えると、ダイシングテープが、徐々に破断しやすくなる傾向がある。
また、エキスパンド量が、5mm未満であると、半導体ウエハ及び接着フィルムの切断が、徐々に困難となる傾向があり、30mmを超えると、徐々にダイシングテープが破断しやすくなる傾向がある。
このようにダイシングテープ2を引っ張り、外力を加えることで、半導体ウエハA内部の改質領域を起点として、半導体ウエハAの厚さ方向に割れが発生し、この割れが半導体ウエハA表面と裏面、さらには、半導体ウエハAと密着する接着フィルム1の裏面まで到達し、半導体ウエハA及び接着フィルム1が破断、即ち、切断される。これにより接着フィルム付き半導体チップを得ることができる。
なお、エキスパンド量が、30mmを超す場合には、ダイシングテープ2の基材層として、塩化ビニル基材を使用することが好ましいが、引っ張り量が少ない場合は、各種ポリオン基材を使用することが好ましい。
また、エキスパンドは、室温(25℃)で行ってもよいが、必要に応じて−50℃〜100℃の間で調整しても良い。
10℃以下でエキスパンドすると、接着フィルムの破断伸びが小さくなり、切断しやすいため、接着フィルムの切断不良による歩留低下を防ぐ点で好ましい。
一方、−50℃未満になると結露が著しい点、ダイシングテープ2の伸びが低下する点、さらに、ダイシングテープ2の粘着剤が硬くなり、エキスパンド時に割れを生じ、のびが不均一になる等といった不具合が生じる傾向にある
なお、エキスパンド装置のウエハ破断部とサンプルを、乾燥空気や窒素雰囲気に置く等して、結露が生じないようにした環境で、冷却後にエキスパンドを行うことが好ましい。
ダイシングテープ2の粘着剤層にUV硬化粘着剤を使用している場合は、エキスパンドの前又は後に、ダイシングテープ2に半導体ウエハAが貼り付けられている面の反対面側から紫外線を照射し、UV硬化粘着剤を硬化させる。これにより、UV硬化粘着剤と接着シートとの密着力が低下することになり、後の(工程IV)におけるピックアップがし易くなる。
続いて、(工程IV)では、ピックアップ手段として、図5や図9に示すような吸着コレット21、針扞22(図5参照)等を用いて、複数の個片化された接着フィルム付き半導体チップをピックアップし、これを半導体チップ搭載用支持部材の半導体チップ搭載部に載せ、接着フィルムを加熱硬化する。加熱硬化は、通常、100〜220℃の間で行われる。
本発明における半導体装置の製造方法は、上記工程に制限するものではなく、任意の工程を含み得る。例えば、(工程Ia)又は(工程I)を行った後、(工程III)を行う前のいずれかの段階において、接着フィルムに紫外線、赤外線若しくはマイクロ波を照射する工程又は、接着フィルムを加熱若しくは冷却する工程を含んでいてもよい。それにより、シートの発泡抑制、埋込性の調整ができる。(工程IV)を行った後には、必要に応じ、ワイヤボンディング工程、封止工程等が含まれるものとする。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに制限するものではない。
[ダイシングテープ一体型接着シート]
(実施例1)
接着フィルムに日立化成工業株式会社製、商品名「HS−270」(厚さ10μm)を用いた。この接着フィルムを、ポリエチレン酢酸ビニル共重合体の基材層にアクリル系粘着剤層を塗布したダイシングテープ(基材層厚さ:100μm、粘着剤層厚さ:10μm)の粘着剤層面に積層し、実施例1のダイシングテープ一体型接着シートを得た。
この接着フィルム、日立化成工業株式会社製、商品名:「HS−270」(厚さ10μm)の光線透過率は、波長400nmで、15%であり白濁色であった。
また、ダイシングテープの光線透過率は、波長400nmで、56%であり、外観はほぼ無色透明であった。
(比較例1)
接着フィルムに日立化成工業株式会社製、商品名:「HS−270」(厚さ5μm)を用いた。この接着フィルムを、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム基材層にアクリル系粘着剤層を塗布したダイシングテープ(基材層厚さ:120μm、粘着剤層厚さ:10μm)の粘着剤層面に積層し、比較例1のダイシングテープ一体型接着シートを得た。
この接着フィルム、日立化成工業株式会社製、商品名:「HS−270」(厚さ5μm)の光線透過率は、波長400nmで、25%であり若干の白濁色であった。
また、ダイシングテープの光線透過率は、波長400nmで、26%であり、外観はほぼ無色透明であった。
[ステルスダイシングによる接着フィルム付き半導体チップの作製]
実施例1及び比較例1で得られたダイシングテープ一体型接着シートを用い、下記(工程1)に示す方法で、接着フィルム付き半導体チップを製造し、その破断性を評価した。
(工程1)
ダイシングテープ一体型接着シートを貼り付けた付き半導体ウエハ(厚さ50μm)に、図2に示すようにレーザー光を照射し、半導体ウエハ内部に改質領域を形成した。
なお、ダイシングテープの外周部にはステンレス製のリングを貼付けた。
続いて、エキスパンド装置により、リングを固定し、さらにダイシングテープをエキスパンドし、5mm角のチップを作製した。このエキスパンド条件は、エキスパンド速度が30mm/、エキスパンド量が15mmであった。その際、半導体ウエハと接着フィルムが同時に切断されたか否かを、反射型光学顕微鏡を用いて観察した。
その際、接着フィルムの破断性を、1ウエハの全チップに関して確認するに要した時間を計測した。その計測結果を表1に示す。
Figure 0005444763
本発明によれば、接着フィルムが完全に個片化されているか簡易に調べることができる半導体装置の製造方法を提供できる。また、接着フィルムが切断・破断されているか簡易に調べられるダイシングテープ一体型接着シートを提供できる。
1 接着フィルム、
2 ダイシングテープ、
2a 粘着剤層、
2b 基材層、
3 ダイシングテープ一体型接着シート、
4 切断予定ライン、
5 改質領域、
6 接着フィルム付き半導体チップ、
7 半導体チップ搭載用支持部材、
11 リンク、
12 突き上げ部、
13 ステージ、
14 突き上げ部が上昇した高さ(エキスパンド量)、
21 吸着コレット、
22 針扞、
23 ダイシングソー、
A 半導体ウエハ

Claims (6)

  1. (I)半導体ウエハに、接着フィルムとダイシングテープとを貼り付ける工程と、
    (II)半導体ウエハを区分する工程とを、(工程I)−(工程II)又は(工程II)−(工程I)の順で備え、
    (III)前記半導体ウエハ及び前記接着フィルムを切断・破断することにより、複数の個片化された接着フィルム付き半導体チップを得る工程と、
    (IV)前記接着フィルム付き半導体チップを、半導体チップ搭載用支持部材に接着する工程、を有する半導体装置の製造方法であって、
    前記接着フィルムは紫外線照射時に蛍光発光し、前記ダイシングテープは紫外線照射時に蛍光発光しないものであり、
    前記工程(III)において、切断・破断後、完全に個片化されたか否か、前記接着フィルムの蛍光発光によって確認する工程をさらに有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記接着フィルムが、波長400nmでの光線透過率が20%以下であり、前記ダイシングテープが、波長400nmでの光線透過率が30%以上である、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記半導体ウエハを区分する工程が、ハーフカットダイシング又は破断予定ライン上の半導体ウエハ内部にレーザー光を照射して改質領域を形成するダイシングである、請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法で製造された半導体装置。
  5. (I)半導体ウエハに、接着フィルムとダイシングテープとが積層されたダイシングテープ一体型接着シートを貼り付ける工程と、
    (II)半導体ウエハを区分する工程とを、(工程I)−(工程II)又は(工程II)−(工程I)の順で備え、
    (III)前記半導体ウエハ及び前記接着フィルムを切断・破断することにより、複数の個片化された接着フィルム付き半導体チップを得る工程と、
    (IV)前記接着フィルム付き半導体チップを、半導体チップ搭載用支持部材に接着する工程、を有する半導体装置の製造方法に使用するダイシングテープ一体型接着シートであって、
    前記接着フィルムは紫外線照射時に蛍光発光し、前記ダイシングテープは紫外線照射時に蛍光発光しないものであり、
    前記工程(III)において、切断・破断後、完全に個片化されたか否か、前記接着フィルムの蛍光発光によって確認する工程をさらに有することを特徴とするダイシングテープ一体型接着シート。
  6. 前記接着フィルムが、波長400nmでの光線透過率が20%以下であり、前記ダイシングテープが、波長400nmでの光線透過率が30%以上である請求項に記載のダイシングテープ一体型接着シート。
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