JP5442900B1 - 緊急避難用装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、津波又は洪水が押し寄せても、人や物を収容できる浮体が、水流による大きな水圧を回避しながら浮上し、津波又は洪水が終息したときには、浮上していた浮体が元の設置場所に戻れるようにした緊急避難用装置を提供する。
【解決手段】緊急避難用装置は、水密構造の中空室を有し、本体外周部の断面が半円形に形成された浮体、及び、前記浮体の上面に取り付けられた支持部材に連結された誘導具と、該誘導具内を貫通して遊嵌し、該浮体を上下に誘導するワイヤとを有する誘導装置を備え、 前記ワイヤの一端は、ワイヤ固定支柱に接続され、他端は、前記浮体と離れて立設され、該ワイヤ固定支柱より高い支柱に接続されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、津波の襲来などの緊急時に、人身や、貴重な財産を避難させ、津波到来時などでは浮遊して、人命的被害、物的被害を最小限に留めるための緊急避難用装置に関する。
一般に、津波、洪水などの水害対策は、地方自治体を中心にして講じられてきた。津波に対しては、例えば、大堤防を築き、津波の襲来に備えるとか、或いは、津波予報が発令された時には、素早く高台に避難するといった行政指導が行われている。
ところで、東日本大震災の際に発生した予想外の大津波襲来においては、大堤防も破棄されて、津波の到来を阻止できず、多くの人命が失われた。このとき、高台に避難した人々が助かった。先ずは、高台に避難することが、最重要であり、基本的なことである。しかし、津波避難場所が指定されてあったとしても、それは、自然地形の高台であることが多い。自然地形なので、必ずしも、避難場所に到達するのに苦労し、利用しやすいように整備されている訳ではない。特に、車椅子利用者、老人、子供などを含む社会的弱者にとっては、容易なことではない。
そこで、緊急時に迷う事なく利用でき、高台に駆け上がらなくても高台に避難したのと同じ効果があり、上述の社会的弱者であっても安全に避難収容できる津波避難用の施設が種々提案されている。
例えば、日常には、ペットの飼育やガレージに使用し、津波、洪水時には、子供や老人でも確実に避難できる設備が提案されている(特許文献1を参照)この設備は、リンクによって地面と繋留することで漂流せず、水が引けば元の位置に戻るというものである。津波、洪水時は人間が逃げ込み、その周りを水が満たされた時に浮上し、被災者の安全性を高める防災シェルターとして機能する。
また、高潮水害時に建家が冠水しない水害回避免震建築物が提案されている(特許文献2を参照)。これは、上面が開口し側壁および底面を備えた基礎を備え、基礎内に浮体を収容すると共にその浮体上に建家を建造するというものである。浮体と建家の間に地震の揺動を緩衝伝達する伝達手段を設けると共に振幅巾を制限するダンパを設け、浮体と一体で浮体より下方に伸縮するアンカーポール及び基礎底面に基礎と一体に係止部材を備え、前記アンカーポールと係止部材が結合し一体となるように構成し、水害時には、浮体がアンカーポールを上下して、建屋が冠水しないようにする。
一方、津波や洪水の際の被災者の安全性を高め得る構造の防災シェルターが提案されている(特許文献3を参照)。この防災シェルターは、水密状の内部スペースを備えた略球殻形状の中空構造体を有し、開閉扉によって水密に閉塞可能な出入口を設ける一方、該中空構造体の底部にバランス用マスが設けられ、被災時には、内部スペースに人を収容した状態下で水上に浮遊する。
また、浮上するが、流失しない津波避難施設として、安全性を高め、逃げ遅れた被災者も多く助けられる津波シェルター装置が提案されている(特許文献4を参照)。この避難施設である津波シェルターの本体は、上部に半球形の避難室と下部に半球形の浮力室とからなり、浮力室の最底部が連結索で基礎地盤と連結されている。これにより、津波シェルター装置は、連結索で地盤と繋がれて浮上し、揺動が抑止される。
また、下端部が地中に固定された一本のポールと、前記ポールに挿通され上下方向及び回転方向に可動に取り付けられた避難者を収容する浮体と、からなり、水害時の水位変動につれて前記避難者を収容した前記浮体が前記ポールに沿って上昇又は下降出来、また水の流れに応じて前記浮体が前記ポールの外周面に沿って回転出来る水害避難タワーが提案されている(特許文献5を参照)。
特開2007−177600号公報 特開2010−150814号公報 特開2004−322939号公報 特開2008−074385号公報 特開2008−174919号公報
上述したように、津波などに対処できる緊急避難用の施設が種々提案されている。しかし、特許文献1、2で提案された施設による場合、津波や洪水の水位が想定される範囲内であれば、防災シェルターとしての機能を果たすことができるが、この水位が想定を上回るような大津波や大洪水が襲来したときには、その施設は、冠水し、しかも、その水圧に抗しきれずに破壊される危険性がある。
一方、特許文献3で提案された防災シェルターは、水密状の内部スペースを備えた略球殻形状の中空構造体であるため、津波や洪水が襲来したときには、安定して浮上し、水圧を回避することができるが、設置された場所から浮遊しながら流されてしまうという欠点がある。また、特許文献4で提案された津波シェルターでは、その本体が、連結索で基礎地盤と連結されているため、緩やかな津波の襲来時には、浮上して、揺動が抑止されるが、想定を上回るような大津波が襲来した場合には、連結索で連結されているが故に、その水流に抗しきれず、本体が揺動することとなり、場合によっては、連結索が破損して、流されてしまう危険性がある。さらに、連結索が破損しない場合でも、その本体を設置された元の場所に戻すのに、手間がかかり、煩わしいという問題がある。
また、特許文献5で提案された水害避難タワーでは、避難者を収容する浮体は、ポールに挿通され上下方向及び回転方向に可動に取り付けられており、水害時の水位変動につれて、浮体がポールに沿って上昇又は下降し、また、水の流れに応じて、浮体がポールの外周面に沿って回転できる。この水害避難タワーでは、浮体の重さの少なくとも一部をポールに保持させる浮体重量保持手段、又は、浮体を前記ポールにそって上下方向に駆動する浮体昇降手段が備えられており、浮体は、浮体重量保持手段又は浮体昇降手段と、吊下材によって結ばれています。
この様に、前記水害避難タワーでは、浮体が、ポールに挿通され、上下方向及び回転方向に可動なように構成されているが、浮体が、ポールに関連する吊下材によって結ばれており、上下方向及び回転方向に可動に取り付ける手段として、吊下材を必須要件としているため、浮体が水害時において回転した場合には、この吊下材がポールに巻きつき、浮体の回動を制限してしまう可能性があり、浮体がポールに固定化されてしまうという危険性がある。しかも、浮体は、内部に空間を有する中央にポールが挿通できる孔を有する円柱形状であり、大津波による激しい水流が押し寄せたときの水圧を回避することは困難である。
そこで、本発明は、上述した課題に鑑みて、想定を超える水位の洪水、津波が押し寄せても、人や物を収容できる浮体が、水流による大きな水圧を回避しながら浮上し、洪水、津波が終息したときには、浮上していた浮体が元の設置場所に戻れるようにした緊急避難用装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本出願の発明では、次に示す構成を採用した。
(1)本発明の緊急避難用装置は、水密構造の中空室を有し、本体外周部の断面が半円形に形成された浮体、及び、前記浮体の上面に取り付けられた支持部材に連結された誘導具と、該誘導具内を貫通して遊嵌し、該浮体を上下に誘導するワイヤとを有する誘導装置を備え、前記ワイヤの一端は、ワイヤ固定支柱に接続され、他端は、前記浮体と離れて立設され、該ワイヤ固定支柱より高い支柱に接続されていることを特徴とする。
(2)前記(1)の緊急避難用装置において、前記浮体は、前記中空室を有する本体と、該本体の下部を収容し、かつ、該本体と回転自在に係合した回転体とを有し、前記回転体の下面には、複数のフィンが設けられており、該フィンに水流が当たると、該回転体を回転させることを特徴とする。
(3)前記(1)又は(2)の緊急避難用装置において、前記浮体は、円盤状又は円環状に形成されることを特徴とする。
(4)前記(1)乃至(3)のいずれかの緊急避難用装置において、前記浮体は、人の出入り、或いは、物の搬出入が可能な水密構造の開閉口を備えていることを特徴とする。
以上の様に、本発明の緊急避難用装置によれば、水密構造の中空室を有し、本体外周部の断面が半円形に形成された浮体、及び、前記浮体の上面に取り付けられた支持部材に連結された誘導具と、該誘導具内を貫通して遊嵌し、該浮体を上下に誘導するワイヤとを有する誘導装置を備えているので、津波や洪水が襲来したときには、浮体が、台座から浮上し、水位の増減に応じて、誘導手段に沿って上下に誘導される。その浮体は、本体外周部の断面が半円形に形成されているため、水流の水圧を容易に回避することができ、水圧で破壊され難い構造になっている。しかも、津波や洪水が終息したときには、円環状浮体は、台座に載置されていた元の場所に戻り、後片付けが容易である。
誘導手段には、浮体の載置場所と離れて立設され、ワイヤ固定支柱より高い支柱から誘導ワイヤが斜めに張設されているので、到来した津波や洪水の水位の上下に応じて、浮体は、誘導ワイヤに沿って浮上しながら移動でき、その水位に応じて誘導される。そのため、浮体は、その水位が高い場合でも、水流の水圧を容易に回避することができ、水圧で破壊されることなく、津波や洪水が終息したときには、浮体は、載置されていた元の場所に戻ることができる。
さらに、前記浮体は、前記中空室を有する本体と、該本体の下部を収容し、かつ、該本体と回転自在に係合した回転体とを有しており、その回転体の下面には、複数のフィンが設けられているので、そのフィンに、津波又は洪水の到来時の水流が当たると、その回転体を前記本体とは別に回転させることができ、この回転体は、漂流物の衝突から浮体を保護し、水流による水圧を低減して、浮体の安定化を図ることができる。
以上の様に構成された緊急避難用装置における円環状浮体は、津波や洪水の激しい水流に対しても安定して浮いており、円環状浮体内に、緊急避難した人や、貴重な財産・資料などを安全に守ることができる。
既提案による緊急避難用装置の概要を説明する図である。 図1に示された緊急避難用装置を拡大して示した側面図である。 実施例1による緊急避難用装置の概要を説明する図である。 図3に示された緊急避難用装置における浮体を拡大して示した側面図である。 図3に示された緊急避難用装置における誘導装置を拡大して示した側面図である。 本発明による緊急避難用装置における浮体に係る他の変形例を説明する図である。 実施例1による緊急避難用装置の変形例を示す図である。 実施例2による緊急避難用装置における浮体を拡大して示した側面図である。 図8に示された浮体を下方から見た下面図である。 図8に示された浮体における外周部の断面の一部拡大図である。
つぎに、本発明による緊急避難用装置に関する実施形態を説明する前に、本出願人によって既に提案された緊急避難用装置(特許第5274699号)について、以下に、図1及び図2を参照しながら、具体的に説明する。
〔既提案の緊急避難用装置〕
図1には、既提案された緊急避難用装置に関する全体的な概要が示されている。図1に示されるように、洪水、津波の災害に対応した緊急避難用装置は、基本的には、円環状浮体1、台座2、誘導手段3から構成される。台座2は、地上に設置されており、そして、その台座2から離れた位置に設けられた支柱4の上端と、台座2との間には、誘導手段3が連結されている。その支柱4は、洪水、津波が押し寄せても倒れないように、ワイヤ等で補強されている。
次に、図2を参照して、緊急避難用装置の具体的構成について説明する。なお、これらの図において、共通する部分には、同じ符号を付してある。図2は、図1に示された緊急避難用装置を拡大して示したものであって、円環状浮体1が、台座2に載置されている様子を示している。
円環状浮体1の胴体部分は、例えば、鋼鉄で形成されており、その内部は、中空になっている。その内部の中空室に、洪水、津波の災害発生に備えて、貴重品を保管しておき、或いは、その発生時に、人が緊急避難できるように、開閉できるドアを設けておく。このドアは、中から閉める場合には、水密を確保できるようにするとよい。円環状浮体1は、洪水や、津波による水圧を最小限とし、激しい水流の抵抗に対して回避できるようにされ、しかも、洪水や、津波の水流に対しても、安定して浮いていることができる形状となっている。また、円環状浮体1の胴体部分の少なくとも下側を二重構造とすることにより、浮体自体の強度を高めることができ、さらに、洪水や、津波で流されてくる物体の衝突で破壊されることを防止できる。なお、円環状浮体の外周面に、衝突緩衝材を設けておいてもよい。
誘導手段3は、台座2の中央に立設された基部31と、支柱4の上端に固定されたワイヤ32とで構成され、ワイヤ32が、基部31の上端に固定されている。そこで、この基部31が、円環状浮体1の中央部空間に挿入されるような形で、貫通している。そして、基部31と円環状浮体1とは、固定されるのではなく、遊動自在な関係にされることが好ましい。例えば、基部31の外周に傾斜を持たせるようにして、基部31の下部における外径については、円環状浮体1の中央部の直径よりやや小さくし、円環状浮体1の位置決めを容易にし、また、その上部における外径については、その下部の外径より小さくして、基部31の全体として、円環状浮体1が上下に移動し易いように、遊嵌している。
なお、ここでは、ワイヤで構成した例を示したが、これに限られず、鎖など、円環状浮体1を、洪水、津波の水位に応じて、上方、又は、下方に誘導し、かつ、水流に抗して流されないようにすることができるものであれば、使用することができる。また、想定される水位が低く、これ以上の水位の津波や洪水が襲来しないと言える場合には、この誘導手段は、台座に設けられた基部だけでもよく、この基部の高さをその水位に合わせておくこともできる。
以上の様に、既提案の緊急避難用装置によれば、水密構造の中空室を有する円環状浮体の中央部空間を貫通して遊嵌する誘導手段には、円環状浮体の載置場所と離れて立設された支柱から延設されたワイヤ又は鎖が接続されているので、到来した津波や洪水の水位に応じて、円環状浮体は、ワイヤ又は鎖に沿って誘導される。そのため、円環状浮体は、その水位が高い場合でも、水流の水圧を容易に回避することができ、水圧で破壊されることなく、津波や洪水が終息したときには、円環状浮体は、載置されていた元の場所に戻ることができる。
〔実施例1の緊急避難用装置〕
次に、本発明による緊急避難用装置の実施例1について、図3乃至図7を参照しながら、以下に、具体的に説明する。
既提案の緊急避難用装置は、上述したように、水密構造の中空室を有する円環状浮体を有し、その円環状浮体の中央部空間を貫通して遊嵌し、その円環状浮体を上下に誘導する誘導手段が設けられた構造である。これに対して、実施例1の緊急避難用装置は、上述した既提案の緊急避難用装置の全体構造を基本としているが、誘導手段が、浮体自体を貫通して設けられるのではなく、誘導装置が浮体の上面に取り付けられている。即ち、既提案の緊急避難用装置では、津波又は洪水が到来してときには、浮体は、浮体の中央部を貫通するワイヤに沿って上下に誘導されるのに対して、実施例1の緊急避難用装置では、ワイヤは、誘導装置内を貫通して遊嵌されており、津波又は洪水が到来してときには、浮体は、この誘導装置によって水流に抗することができ、その水位に応じて上下し、この上下移動に伴って、誘導装置が浮体をワイヤに沿って誘導する。
図3には、実施例1の緊急避難用装置に関する全体的な概要が示されている。この実施例による洪水又は津波災害に対応した緊急避難用装置は、基本的には、浮体1、支柱4、ワイヤ固定支柱7、誘導ワイヤ8、誘導装置9から構成される。浮体1の近い位置に、ワイヤ固定支柱7が設けられ、浮体1から離れた位置に、ワイヤ固定支柱7より高く、且つ、予想される水位に対応した高さの支柱4が設けられている。支柱4の上端と、ワイヤ固定支柱7との間には、誘導ワイヤ8が取り付け張設されている。誘導ワイヤ8には、誘導装置9が、誘導ワイヤ8に沿って上下移動できるように、装着され、この誘導装置9は、浮体1の上面に取り付けられている。その支柱4は、洪水、津波が押し寄せても倒れないように、ワイヤ等で補強されている。なお、洪水、津波による水圧に抗するため、支柱自体を撓ませることも有効であるため、支柱4の下端を完全に固定するのではなく、ヒンジ等を用いて僅かな角度動くように設けることができる。また、想定される水位より高いビルなどの建築物がある場合には、それを支柱4の代わりとして用いることができる。
次に、図4を参照して、緊急避難用装置における浮体1の具体的構成について説明する。なお、これらの図において、共通する部分には、同じ符号を付してある。図4は、図3に示された緊急避難用装置の浮体部分を拡大して示したものであって、浮体1が、台座21に載置されている様子を示している。
浮体1は、円盤状の浮本体11からなり、例えば、鋼鉄、強化プラスチックなどで形成されており、その内部は、中空になっている。その内部の中空室に、洪水、津波の災害発生に備えて、貴重品を保管しておき、或いは、その発生時に、人が緊急避難できるように、開閉できるドアを設けておく。このドアは、中から閉める場合には、水密を確保できるものとし、このドアに対応して、階段を配置することもできる。浮本体11は、洪水や、津波による水圧を最小限とし、激しい水流の抵抗に対して回避できるようにされ、しかも、洪水や、津波の水流に対しても、安定して浮いていることができる形状となっている。なお、浮本体11の少なくとも下側を二重構造とすることにより、浮体自体の強度を高めることができ、さらに、洪水や、津波で流されてくる物体の衝突で破壊されることを防止できる。浮本体の外周面に、衝突緩衝材を設けておいてもよい。
また、浮本体11の上面には、誘導装置9の一部であって、誘導装置9に可動連結された支持部材91が取り付けられている。図4では、支持部材は1本のみであるが、これは、代表的に示したものであって、複数本取り付けても良い。さらに、災害のない通常時において、台座21上に載置できるように、浮本体11の下面にキャスター6を取り付けてもよい。
誘導装置9の具体的な構成が、図5に示されている。誘導装置9は、支持部材91、誘導具92、固定具93を主要素としており、支持部材91が、誘導具92に固着された固定具93に連結されている。誘導具92には、誘導ワイヤ8が遊びをもって挿通(遊嵌)され、浮本体11の上下動に応じて誘導ワイヤ8に沿って移動でき、かつ、浮本体11の揺動にも対応することができる。なお、支持部材91と固定具93とは可動連結されるが、支持部材91が支持部材軸を中心に回転できるようにしてもよい。
誘導装置9の誘導具92には、ワイヤ固定支柱7とこれより高い支柱4の先端との間に張設された誘導ワイヤ8が遊嵌して挿通されている。誘導具92と誘導ワイヤ8とは、固定されるのではなく、遊動自在な関係にされることが好ましい。なお、ここでは、誘導ワイヤで構成したが、これに限られず、鎖、鋼材など、浮本体11を、洪水、津波の水位に応じて、上方、又は、下方に誘導し、かつ、水流に抗して流されないようにすることができるものであれば、使用することができる。また、支柱4の高さは、想定される水位に応じて決めることができる。誘導具92については、誘導ワイヤ8が遊嵌して挿通されるものであればよく、所定長さの管体、リング体などを採用できる。
なお、実施例1の緊急避難用装置における浮本体11については、全体が円盤状の形状である場合を例にして説明したが、多角形の円盤状でも、また、球体状でもよい。つまり、本体外周部の断面が半円形に形成されることが重要である。この半円形断面の本体外周部が、激しい水流による水圧を回避するとともに、浮上しやすくする効果を奏し、しかも、浮上後においては、激しい水流が継続的に押し寄せる場合であっても、その激しい水流を容易に回避でき、浮本体が、誘導ワイヤに誘導されながら、安定して、上下動できればよい。また、図6の(A)に示されるように、この浮本体の中空室内に、床を設けて、上下2室とすることで、収容能力を増やすことが可能となる。さらに、床数を増やして、多階構造とすることもできる。
さらに、浮本体11の全体形状は、円盤状に限られず、図6の(B)に示されるように、円環状であってもよい。この場合には、複数本の支持部材91が必要である。また、図6の(C)に示されるように、円環状の浮本体11の胴体部分を、長円形状とすることもできる。この場合には、浮体自体が大きく扁平することになり、津波や洪水の襲来時の水流に対して、より一層の安定化を図ることができる。
緊急避難用装置における台座21は、図4に示されるように、例えば、平坦なコンクリート板とすることもでき、単に、固い地面であってもよい。緊急避難用装置の浮本体を、平時において、安定して載置できればよい。これに対して、図7に示した台座22には、凹部が形成されており、平時においては、浮本体11がこの凹部内に収納される。そして、この台座22は、津波が最初に到来すると考えられる方向の外周壁を高くしてある。この外周壁は、最初の津波到来による浮本体への衝撃を和らげ、或いは、漂流物を回避する役割を有する。図7に示されるように、外周壁の傾斜部分を階段として利用できる。
以上のように、実施例1の緊急避難用装置によれば、既提案の緊急避難用装置の場合と同様に、津波や洪水が到来した場合に、円盤状の浮本体は、水流に抗しながら浮上し、安定しており、転覆する危険性は低いので、中空室内に緊急避難した人、貴重な財産・資料は、無事に保護される。また、万が一、ワイヤなどが破損してしまった場合でも、浮本体は、設置場所から遠くに漂流することになるが、中空室内に緊急避難した人、貴重な財産・資料は、無事に保護される。
〔実施例2の緊急避難用装置〕
次に、本発明による緊急避難用装置の実施例2について、図8乃至図10を参照しながら、以下に、具体的に説明する。
実施例2の緊急避難用装置は、実施例1の緊急避難用装置の変形例であって、洪水又は津波災害に対応するため、基本的には、浮体1、支柱4、ワイヤ固定支柱7、誘導ワイヤ8、誘導装置9から構成される。実施例2の緊急避難用装置が、実施例1の場合と異なるところは、図8に示されるように、浮体1における浮本体11に、回転体12が設けられていることである。実施例2の緊急避難用装置におけるその他の構造は、実施例1の場合と同様である。
回転体12は、浮本体11の下側を収容し、図9にも示されているが、回転体底面には、複数のフィン14が取り付けられている。この回転体12が回転できるように、浮本体11と回転体12との間に空隙13を持たせて、浮本体11の底面と回転支持部材15によって回転自在に支持されている。図8では、津波等が襲来しない平時の状態が示され、台座21の上に、浮体1が載置されている。なお、図10に示されるように、浮本体11と回転体12との間に空隙13に、係合部材16を形成しておくこともできる。図10は、浮体における外周部断面の一部について、拡大して示した例であって、空隙13は、適宜調整される。
ここで、津波等が到来したときには、浮体1は、誘導装置9に連結されているため、水流に抗しつつ、その水位に応じて上下し、誘導装置9が浮体1を誘導ワイヤ8に沿って誘導する。この様子は、実施例1の場合と同様である。このとき、実施例2の場合には、フィン14を有する回転体12が備えられているので、水流がフィン14に作用し、回転体12が回転する。この回転体12は、漂流物の衝突から浮本体11を保護し、水流による水圧を低減して、浮体1の安定化に寄与する。
〔平常時の利用〕
以上では、本発明による実施例1及び2の緊急避難用装置の構造について、緊急避難時を中心に説明してきたが、次に、本発明の緊急避難用装置に関して、平常時の利用の仕方について説明する。
この緊急避難用装置における円盤状浮体には、その内部には中空室が設けられており、津波や洪水などの緊急避難時には、この中空室を、避難してきた人や、運びこまれた貴重な財産・資料などの収容場所として利用でき、さらに、浮本体の上面部にも、柵などを設けて、収容人員を増やすこともできる。しかし、津波や洪水が襲来しない平時においては、この中空室は、空のままである。そこで、この様な平時においても、設置コストや、利便性を考慮するならば、この浮本体を有効に利用することが得策である。
例えば、緊急避難用装置を海岸や港に設置するのであれば、倉庫、売店、レストラン、海の家などに利用することが可能である。津波襲来の緊急避難時に、高台に避難することが間に合わない、或いは、避難が困難である場合に、近くの緊急避難場所として大いに役立つ。また、浮本体の上面部に、太陽光発電システムを設けておけば、緊急時の非常用電源が得られ、緊急放送などに利用できる。さらに、浮本体を燃料タンクとして利用することも可能である。この場合には、津波が襲来しても、浮上して水流を回避するため、浮体自体が壊れ難いので、燃料の流出が防止され、この燃料による火災の発生を無くすことができる。
1 浮体
11 浮本体
12 回転体
13 空隙
14 フィン
15 回転支持部材
16 係合部材
2、21、22 台座
3 誘導手段
31 基部
32、8 誘導ワイヤ
4 支柱
5、6 キャスター
7 ワイヤ固定支柱
9 誘導装置
91 支持部材
92 誘導具
93 固定具



Claims (4)

  1. 水密構造の中空室を有し、本体外周部の断面が半円形に形成された浮体と、
    前記浮体の上面に取り付けられた支持部材に連結された誘導具と、該誘導具内を貫通して遊嵌し、該浮体を上下に誘導するワイヤとを有する誘導装置と、を備え、
    前記ワイヤの一端は、ワイヤ固定支柱に接続され、他端は、前記浮体と離れて立設され、該ワイヤ固定支柱より高い支柱に接続されていることを特徴とする緊急避難用装置。
  2. 前記浮体は、前記中空室を有する本体と、該本体の下部を収容し、かつ、該本体と回転自在に係合した回転体とを有し、
    前記回転体の下面には、複数のフィンが設けられており、該フィンに水流が当たると、該回転体を回転させることを特徴とする請求項1に記載の緊急避難用装置。
  3. 前記浮体は、円盤状又は円環状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の緊急避難用装置。
  4. 前記浮体は、人の出入り、或いは、物の搬出入が可能な水密構造の開閉口を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の緊急避難用装置。



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