JP2015004235A - 水害避難用構造体およびこれを備える建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 洪水や津波などのように強大な威力をもって襲いかかる水の影響を軽減しつつ、高所へ避難することができる構造物を提供すること、およびその構造物を備えた建物を提供する。
【解決手段】 水害避難用構造体は、浮力体122を有し、水面に浮上可能な浮上120部と、浮上部の周囲を包囲して外部から遮蔽された空間を形成するとともに、水位の変動に伴って昇降する浮上部の昇降方向を案内する案内部110と、案内部の下端付近を開口し、水の流入を許容する入水部111と、案内部の側面の適宜位置に開閉可能に設けられた出入口112とを備える。建物は、建物本体の側面に水害避難用構造体を併設し、案内部の出入口は、複数の案内部ごとに異なる階において開閉可能に設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、洪水や津波などの水害発生時に避難するための構造体、および当該構造体を備える建物に関するものである。
従来から、津波が発生した際に、避難するための構造物が提案されている。例えば、下記特許文献1には、支柱を地中に打ち込み、この支柱に支持される避難台にフロートを設けることにより、そのフロートの浮力によって避難台を上昇させる構成とした津波避難所が開示されている。また、下記特許文献2には、土中に固定した一対の支柱ユニットによって避難用コンテナを支持するとともに、この避難用コンテナの昇降を支柱ユニットによってガイドさせる構成とした津波シェルターが開示されている。
特開2006−112089号公報 特開2011−106142号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された津波避難所においては、避難所がフロートによって浮上するものであり、その浮力は津波の発生により押し寄せられる海水によって得られる構成であることから、押し寄せてくる海水の水位の変動が直接避難所を昇降することとなり、津波の威力によって急激な昇降を繰り返すことが容易に想定されるところである。また、海水面が大きく波打つ場合には、避難所が浮上している位置を超える高さの津波が押し寄せた場合には、避難所そのものが津波に飲み込まれる事態をも招来し得るものであった。さらに、津波が直接避難所に押し寄せることから、当該避難所の強度を十分なものとしなければならなかった。
他方、上記特許文献2に記載された津波シェルターにおいては、第一義的にはコンテナ内に移動することによって、津波の衝撃等から避難し、第二義的に、津波によって押し寄せられた海水中に沈下しないようにコンテナを浮上させるものであることから、コンテナの強度を十分なものに構成しなければならず、しかも、これを支持する支柱ユニットは、コンテナの浮上を確実にしつつコンテナが漂流しないように、確実にコンテナを支持させなければならないものであった。
さらに、上記両技術は、設備コストを安価にするための構造であるとされているが、避難所およびコンテナは、津波の衝撃等に耐え得る構造にしなければならず、また、支柱または支柱ユニットは、上記避難所またはコンテナを支持するために強固に設置されなければならず、その設置費用は予想されたほどに安価なものではないものとなっていた。
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、洪水や津波などのように強大な威力をもって襲いかかる水の影響を軽減しつつ、高所へ避難することができる構造物を提供すること、およびその構造物を備えた建物を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、浸水時に高所へ避難するための水害避難用構造体であって、浮力体を有し、水面に浮上可能な浮上部と、前記浮上部の周囲を包囲して外部から遮蔽された空間を形成するとともに、水位の変動に伴って昇降する該浮上部の昇降方向を案内する案内部と、前記案内部の下端付近を開口し、水の流入を許容する入水部と、前記案内部の側面の適宜位置に開閉可能に設けられた出入口とを備えることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、浮上部が案内部によって包囲されていることから、洪水や津波等の発生により押し寄せる水は、案内部に対してのみ作用し、浮上部に直接作用することはなく、案内部の入水部から流入する水によって浮上部が浮上できるものである。したがって、案内部に流入する水の威力は軽減されるとともに、流入した水量に応じて水位が上昇し、その水位の変化により浮上部が浮上することとなるから、洪水または津波により激しく変動する水面とは異なり、徐々に上昇する水位に従って浮上部を緩やかに浮上させることができる。また、浸水時において案内部に水が流入することから、案内部の内外における水圧の差を解消させることができることとなり、案内部が水圧によって破壊されることをも回避し得ることとなる。すなわち、本発明における水害避難用構造体においては、津波等の強大な水の威力を軽減しつつ容易に高所へ移動することが可能となる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記案内部は、適宜な高さに構成され、前記浮上部を上方へ案内するとともに、上端付近に開閉可能な脱出口を備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、案内部を適宜な高さに構成し、浮上部を上方へ案内するものである。これにより、例えば、津波の被害から避難する場合には、想定される津波の高さ以上に案内部を高く構成することにより、浮上部は津波の高さ以上に上昇し得ることとなり、津波の高さよりも高い位置から脱出することが可能となる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記浮上部は、適宜面積を有するステージを備え、該ステージの下部に前記浮力体を一体に設けていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、浮上部は浮力体の上部にステージを備える構成となっている。これにより、避難すべき者がステージに乗ることによって、当該避難すべき者は浮力体よりも上位となり、案内部に流入する水を避けながら浮上部とともに浮上することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記案内部は、前記ステージが前記入水部の開口位置よりも上位において下降を停止するストッパ部を備えていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、ステージと浮力体とで構成される浮上部は、案内部に水が流入していない状態において、ステージが入水部よりも上位となる位置で停止することとなる。これにより、第1に、入水部から水が流入する前の状態において、ステージが所定の位置に停止させることができ、避難すべき者がステージに乗る際の高さを一定にすることができる。したがって、ステージの高さを気にすることなく、避難する者が容易にステージに移動することができる。また、当該停止した状態におけるステージの高さを出入口の位置に一致させ、段差を無くすことにより、出入口を開放させれば、幼児や高齢者または車椅子を使用する場合であっても容易にステージに移動できる。第2に、入水部から水の流入が開始する場合には、流入した水は、まず浮力体に浮力を与えることとなり、流入した水によってステージが浸水する前に、浮上部による浮上が開始されることとなる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記案内部は、上端付近において開口し、内部の空気を排出する排気部を備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、案内部の内部に存在する空気を上端付近の排気部から排気することができるように構成されている。これにより、案内部の下端付近に設けられる入水部から流入する水の量が増加するとき、案内部内の水位が上昇することとなるが、この水位の上昇は、排気部から排出される空気の量によって調整されることとなり、その水位の極端な変化を緩和させることが可能となる。したがって、洪水または津波等によって著しく増水する場合においても、浮上部の浮上の速度を緩和させることとなり、避難する者が安心して移動することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記浮上部は、外縁形状を円形とし、前記案内部は、断面形状を円形としたことにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、案内部の円形断面の内部を浮上部が移動することとなる。これにより、案内部に流入する水がある程度の流速を有する場合、その流速に伴って浮上部を揺らし、または回転させることとなるとしても、浮上部が案内部の内部で自在に変化することが可能となり、浮上部の浮上が制限されることを回避し得る。また、案内部の断面を円形とすることは、すなわち、外部断面形状も円形となることから、洪水または津波等による水の移動方向に対して、抵抗となる平面を有しないこととなり、案内部が受ける水の抵抗を軽減させることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記浮上部は、下部を開口した箱形に形成され、該箱形の内部に浮力体が収納されていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、浮上部は、下部を開口した箱形であることから、当該浮上部の側面の肉厚(高さ寸法)を大きく構成することができる。これにより、浮上部は、その側面の広い範囲で案内部の内壁によって案内されることとなり、浮上する際の浮上部の姿勢を安定させることができる。また、箱形の内部に浮力体が収納されていることから、浮力体が浮上部によって保護されることとなり、当該浮力体の破損などの事態を招来させないようにすることができる。すなわち、例えば、浮力体が空気を封入する浮き袋のような構成である場合には、その浮力体を破裂させるような外力の作用を排除し、また、発泡プラスチックによって構成される浮力体の場合には、その発泡プラスチックを変形させるような外力の作用を排除することができる。特に、案内部にストッパ部を設けず、浮上部が案内部の最下部に設置される場合には、浮力体そのものの重量により、または、避難時における避難すべき者の重量により、その下部に備えられる浮力体に対して、圧縮力が作用することを回避し得ることとなる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記案内部は、内壁面にレールが設けられ、前記浮上部は、前記レールに沿って転動する車輪部材が設けられていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、浮上部に設けられる車輪部材は、案内部の内壁面に設けられるレールに沿って移動するように構成されている。これにより、案内部の内壁面に設けられるレールの方向に従って浮上部が浮上することとなり、案内部に流入する水がある程度の流速を有する場合であっても、当該流速によって浮上部が傾き、または向きが変化することなく、浮上部の姿勢を安定させつつ浮上を案内することができる。このように、浮上するときの浮上部の向き等が変化しないことにより、浮上部に乗っている者の不安が惹起することを抑えることができる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記浮上部は、周縁の複数個所において上端を支点としつつ制限された範囲内で回動可能に設けられた複数の係止突起と、複数の該係止突起の各下端部を該周縁の外方へ付勢する付勢手段とを備え、前記案内部は、前記係止突起の下端部が周縁よりも外方に突出するとき、該下端部によって係止される被係止部を備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、浮上部は、その周縁から複数の係止突起が突出する状態において、係止突起の下端部が、案内部の被係止部を係止することとなるように構成されている。これにより、係止突起が被係止部を係止することによって、浮上部の下降が制限されることとなり、案内部に流入した水の量が減少し、または内部の水面が波立つことにより、浮力が減殺されて浮上部が下降する事態を回避するものである。したがって、多量の水が案内部内に流入することによって、浮上部は高所まで上昇することとなるが、その後、その水が減少したとしても浮上部の下降は停止されることとなる。すなわち、津波等の襲来時に浮上部が高所まで移動した後、海水が逆流する等によって水位が低下したとしても、その水位に連動して浮上部を下降させないようにすることができる。これにより、浮上部に乗っている者が激しく昇降することを回避することができる。なお、係止突起は制限された範囲内で回動可能であり、付勢手段が下端部を突出する方向へ付勢していることから、浮上部が上昇する過程において、下端部が被係止部を通過するときには、付勢手段による付勢に抗して下端部を後退させることができ、被係止部を通過した後は、付勢手段の付勢力により下端部を突出させることができるものである。また、被係止部は、浮上部が案内される方向に沿って複数設けられることにより、いずれかの被係止部に係止突起を係止させることが可能となる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記案内部は、前記浮上部が案内される方向に連続するステップを内壁面に備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、案内部の内壁面には浮上部が案内される方向にステップが設けられる構成となっている。これにより、避難する者は、浮上部からステップを使用して、さらに案内される方向へ移動することが可能となる。したがって、浮上部が案内部の途中に停止した場合、ステップから自力で上方へ移動することができる。特に、浮上部に係止突起を有し、この係止突起によって下降を停止する構成する場合には、案内部内の水量が減少し、それ以上に上昇する可能性がない場合には、所定位置に設けられる脱出部まで移動することが可能となる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記案内部は、壁面の適宜位置に外向きに開放可能なハッチを備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、案内部の適宜位置に設けられるハッチを開放して外部に脱出できる構成となっている。したがって、浮上部が案内部内において停止した状態において、当該停止位置から近いハッチを開放することによって、外方へ出ることが可能となる。特に、浮上部に係止突起を有し、この係止突起によって下降を停止する構成する場合には、案内部内の水量が減少し、それ以上に上昇する可能性がない場合には、その位置に近いハッチを開放して外方に脱出することが可能となる。なお、ハッチは、外向きに開放可能としていることから、洪水または津波の襲来によって、当該ハッチの高さまで浸水している場合には、その水圧によってハッチは開放できないものであり、誤ってハッチを開放することにより、外部の水が流入するような事態の招来を回避している。また、浸水時の水圧によって当該ハッチが開放されることをも回避し得るものである。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記案内部は、外側面に階段または梯子を備えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、案内部の外部に階段または梯子が設けられていることから、案内部の内部に避難できなかった事態が発生しても、案内部の外部の階段または梯子を使用して案内部の上方へ移動することができる。案内部は、予想される津波等の高さ以上に設けられることから、当該階段または梯子によって上方へ移動できれば、津波等から避難することが可能となる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体において、前記案内部は、上端に屋根部材を備えていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、案内部の上端が大きく開口している場合において、案内部内への雨水の浸入を防止できる。また、この屋根部材を透明な材料で構成する場合には、昼間時においては案内部内に外部の明かりを取り入れることができる。さらに、比較的容易に破壊可能な材質で構成する場合には、想定以上に浮上部が上昇する事態において、当該屋根部材を破壊して案内部の上方に脱出することも可能になる。
さらに、本発明は水害避難用構造体の発明として実施できるばかりでなく、この水害避難用構造体を備えた建物の発明としても実施できるものである。具体的には、建物である本発明の特徴は、前記水害避難用構造体を備える建物であって、前記案内部は、建物本体の側壁に沿って併設され、該案内部の出入口は、前記建物本体の特定の階において開閉可能に設けられるとともに、該出入口に連通する連通部が前記建物本体の壁面に設けられ、前記案内部に包囲される前記浮上部は、その上部表面の高さが前記連通部を設けた特定の階の床面に連続する高さとなる位置を最下位として設置され、前記案内部の入水部は、前記建物本体の外方において開口していることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、前記水害避難用構造体が側面に併設されて、特定の階において出入口を開閉可能に構成していることから、その特定の階よりも高所へ避難する際に前記水害避難用構造物を利用することができる。したがって、洪水または津波等の発生時に特定階に残っている者は、他の階に移動することなく、当該特定階から水害避難用構造物によって避難することが可能となる。そして、案内部により包囲されて浮上する浮上部は、当該特定の階の床面の高さを最下位として設置されていることから、浮上部への移動に際し障害となるべきものはなく、車椅子等を使用する者においても容易に移動可能となる。さらに、案内部は、建物本体の壁面に併設されることから、建物本体によって強度が担保されこととなる。また、建物を洪水または津波等の流入方向に対して上流側に建物本体を設けることにより、建物本体を盾として水害避難用構造体を保護することも可能となる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体を備える建物であって、前記案内部は、前記建物本体の側壁に複数併設され、前記案内部の出入口は、複数の案内部ごとに異なる階において開閉可能に設けられるとともに、該出入口に連通する連通部が各階ごとに前記建物本体の壁面に設けられ、前記案内部に包囲される浮上部は、複数の案内部ごとに、上部表面の高さが前記連通部を設けた階の床面に連続する高さとなる位置を最下位として設置され、前記案内部の入水部は、前記建物本体の外方において開口していることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、二階建て以上の建物において、複数の案内部が建物本体の壁面に沿って併設され、個別の案内部ごとに異なる階において開閉可能な出入口を有する構成となっていることから、各階ごとに異なる水害避難用構造体を利用することが可能となる。したがって、各階に残っている者が避難する場合には、他の階へ移動することなく、当該階から速やかに水害避難用構造体を使用して高所へ避難することが可能となる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体を備える建物であって、前記案内部は、建物本体の内部に形成される吹き抜け部分に立設され、前記案内部の出入口は、前記建物本体の特定の階において開口可能に設けられるとともに、該特定の階の床面との境界に設置され、前記案内部に包囲される浮上部は、その上部表面の高さが前記出入口を設けた階の床面に連続する高さとなる位置を最下位として設置されていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、水害避難用構造体が建物本体に内部に設置された構成となることから、避難時における移動が容易となる。また、水害避難用構造体が、建物本体を構成する壁面によって包囲される構成となるため、洪水または津波等の衝撃を直接受けることを回避し、その強度を担保し得ることとなる。
また、本発明の他の特徴は、前記水害避難用構造体を備える建物であって、前記案内部は、建物本体の内部に形成される吹き抜け部分に複数立設され、前記案内部の出入口は、複数の案内部ごとに異なる階において開口可能に設けられるとともに、該各階の床面との境界に設置され、前記案内部に包囲される浮上部は、複数の案内部ごとに、上部表面の高さが前記出入口を設けた階の床面に連続する高さとなる位置を最下位として設置されていることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、建物本体の吹き抜け部分に複数の水害避難用構造体を設置する構成となることから、複数の階に跨がって形成される吹き抜け部分の空間を利用しつつ、各階において個別の水害避難用構造体を使用して避難することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記建物において、前記水害避難用構造体の前記案内部は、避難すべき高さにある所定の階または前記建物の屋上に到達する高さを有するものであることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、案内部が避難に必要となる十分な高さを有するものであることから、案内部の上端付近から外部に脱出することによって、建物本体の高層階または屋上に移動することが可能となる。したがって、当該高層階または屋上などの広いスペースを利用して援護を待つこと、または一時的な避難生活を送ることが可能となる。
水害避難用構造体に係る発明の第1の実施形態を示す斜視部分断面図である。 図1におけるA−A線による断面図である。 水害避難用構造体に係る発明の第1の実施形態の作動態様を示す説明図である。 水害避難用構造体に係る発明の第2の実施形態を示す部分的な拡大図である。 水害避難用構造体に係る発明の第2の実施形態を示す部分的な拡大図である。 水害避難用構造体に係る発明の第3の実施形態を示す部分的な拡大図である。 水害避難用構造体に係る発明の第3の実施形態を示す部分的な拡大図である。 建物に係る発明の第1の実施形態の概略を示す斜視図である。 図8のB−B線による断面図である。 図8のC−C線による断面図である。 図8のD−D線による断面図である。 建物に係る発明の第2の実施形態の概略を示す斜視図である。 水害避難用構造体に係る実施形態の第1の変形例を示す斜視図である。 水害避難用構造体に係る実施形態の第2の変形例を示す斜視図である。 水害避難用構造体に係る実施形態の第3の変形例を示す斜視図である。 水害避難用構造体に係る実施形態の第4の変形例を示す斜視図である。 水害避難用構造体に係る実施形態の第5の変形例を示す斜視図である。 水害避難用構造体に係る実施形態の第6の変形例を示す斜視図である。
(水害避難用構造体に係る第1の実施形態)
以下、本発明に係る水害避難用構造体の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、水害避難用構造体100の第1実施形態の概略を示す斜視部分断面図である。また、図2は、図1におけるA−A線から見た断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表すなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この水害避難用構造体100は、屋外に設置され、洪水や津波などによる水害から避難するためのものである。
(水害避難用構造体100の構成)
図1および図2に示されているように、水害避難用構造体100は、案内部110と浮上部120とを備えている。案内部110は、浮上部120の移動方向を案内するためのものであり、想定される津波の高さ以上の十分な高さを有するとともに、内部を中空構造としている。本実施形態の案内部110の内部は、概略円筒状に構成されており、その内部断面形状を円形に形成されている。案内部110の下端付近には開口する入水部111が設けられており、洪水や津波によって周囲を浸水する水の流入を許容するものである。また、案内部110には、下方に出入口112と、上方に脱出口113とを備えている。
出入口112は、避難する者が案内部110の内部に入ることができるためのものである。この出入口112には開閉扉が設けられており、閉鎖時に外部から水の浸入を防止している。そして、開閉扉は、左右方向にスライドする引き戸となっており、当該扉が外部の水圧等によって容易に開放しない構造としている。なお、この開閉扉は、案内部110に対して外開き構造とすることもできる。また、出入口112は、基本的には避難経路と同じ高さに設けられ、屋外に設置する場合には、地表面と同じ高さに設けられるものである。なお、案内部110の構成上、地表面よりも高く設置する場合は、階段Sまたはスロープを出入口112の近傍に設置することとなるものである。また、出入口112は、専ら避難時において避難する者が入るためのものであるが、案内部110の内側から外部に出ることもできるものとしている。
一方、脱出口113は、浮上部120が高所に浮上した後、案内部110から外部に脱出できるためのものである。そのため、案内部110の内部において開閉操作が可能となっている。避難する者は、前記脱出口113から外部に出ることができるため、後述のように、例えば、案内部110の階部に階段などを設置することによって、脱出後に地表面まで降りることも可能にしている。
浮上部120は、案内部110の内部に設置されるものであり、この浮上部120は、板状のステージ121と、その下部に設けられる浮力体122とで構成されている。ステージ121は、前記案内部110の内部断面形状と同様に円形であり、避難する者が上部表面に乗ることができるものである。このステージ121に乗って避難するため、相当程度の人数を搭載可能にするため、その面積は適宜な大きさを有している。例えば、直径5.3mの円形の場合、上部表面の面積は約22mとなり、一人当たりの専有面積を0.379mとして計算すれば、58人を載せることが可能となる。ただし、上記は一例であって、避難対象者の数に応じて面積を変更させ得ることは当然である。
また、浮上部120は、案内部110の内部に設置されることによって、浮上部120の周囲を案内部110によって包囲させることができるものである。この案内部110による浮上部120の包囲によって、浮上部120が外部から遮断される状態となるものである。また、ステージ121の外径は、前記案内部110の内径よりも僅かに小さく構成されている。これにより、浮上部120は案内部110に沿って移動できるとともに、その移動の際、ステージ121の周縁が案内部110の内部壁面に案内されることとなる。
また、ステージ121の上部表面には、周縁に沿って柵体123が設けられている。この柵体123は、ステージ121の上部表面に乗った者が、ステージ121の移動時に生じる揺れ等によって、姿勢を崩さないためのものであり、その上端縁を手摺として使用できるものである。
一方、浮力体122は、発泡プラスチックを成形してなる成形品で構成され、発泡によって形成される気泡の存在により浮力を得ることができるものである。したがって、発泡ビーズを成型する際の発泡率を変化させることにより、得られる浮力を調整することができるものである。例えば、高発泡率とした発泡プラスチック(一般的には漁業用で使用される)の場合、直径が67cmで高さが115cmの円柱状としたものは、水中における浮力が400kgとなり、これを例えば、15個設置することによって、6000kgの浮力をえることが可能となる。なお、この浮力体122の発泡率および大きさ等は、避難対象者の数等に応じて適宜変更することができることは当然である。
ところで、浮上部120は、浮力体122を有する構成であることから、案内部110の内部に水が流入することにより、その水によって浮力を得ることとなり、案内部110の水位が増加するにつれて上方へ移動するものである。そこで、図2に示しているように、浮上部120は、下位に設置されるのである。このとき、浮上部120の上部表面(ステージ121の表面)の高さが出入口112を開放したときの外部表面(地表面等)と同じ高さとなるように、案内部110の内部にはストッパ部114が形成されているのである。
このストッパ部114は、案内部110の内径をステージ121の外径よりも極端に小さく形成してなる小径部115によって構成されている。すなわち、この小径部115によって案内部110の内部壁面に段差が形成され、その段差部分の端縁がストッパ部114として、ステージ121の周縁の下部表面に当接してステージ121の下降が停止されるのである。なお、ストッパ部114が浮力体122に当接することを回避するため、ステージ121の下部に設置される浮力体122は、ストッパ部114を構成する小径部115の径よりも小径の範囲内に設置されるものである。
また、本実施形態のステージ121は、周縁を適当な肉厚に構成している。適当な肉厚とは、案内部110の内径からステージ121の外径を差し引いて得た寸法よりも大きいことを意味するものである。このように周縁を所定の肉厚とすることにより、ステージ121に揺れが生じる場合であっても、周囲表面(側面)が案内部110の内部壁面に当接することによって、大きく傾斜することを回避するのである。そして、ステージ121の材質は、特に限定されるものではなく、金属製(アルミニウム製)で構成するもの、または、プラスチック製で構成するものであってもよい。さらに、平面が平滑な板状であってもよいが、網目状としてもよい。網目状とする場合には、車椅子等を使用する場合の車輪止めとして機能させることができる。
上記のような構成の案内部110は、その上端を開口させた開口部116が形成されており、さらにその上部に屋根部材130を設けている。この屋根部材130と上部開口部116との間には、僅かに間隙を有する間隙部140が構成されており、この間隙部140から、案内部110の内部の空気を排出させるようになっている。間隙部140を形成させているのは、案内部110の下部に設けた入水部111から水が浸入すると同時に、内部空気を排出させることによって、案内部110の内部に流入した水の水位を上昇させるためであるが、間隙部140を比較的狭い状態とすることにより、水位の急激な変化を抑えるためである。すなわち、洪水や津波によって浸水する場合には、流入する水には勢いがあり、また、周辺の水位が急激に上昇する場合には、その水圧の差によって、案内部110の内部にも勢いよく水が流入することとなることから、外部環境の変化に対応させるため、案内部110の内部の水位を徐々に増加させることを可能にしているのである。
なお、屋根部材140は、上向きに開口した上部開口部116から雨水等の侵入を防止するためのものでもあり、また、透明もしくは半透明のように、光透過性を有する材質を使用することにより、昼間時の明かり取りを可能にし、また、容易に破壊できるように薄肉のプラスチック等で構成することにより、浮上部120が上部開口部116まで浮上した際には、これを破壊して、上部開口端116から外方に脱出することを可能にするものである。
また、案内部110は、鉄筋コンクリート製によって構築することができるほか、断面弧状の曲面を有する金属性板材を継ぎ足して円筒状に構成することができる。いずれの場合においても、屋外に自立させて設置する場合は、基礎構造(例えば、地中に埋設した杭基礎など)にアンカーを使用して倒壊を防止するように構築されるものである。そして、案内部110の底面部117には、下水管に連結される排水パイプ等を設置して、通常の降雨によって流入する雨水を排出させるように構成してもよい。さらに、入水部111は、地表面よりも下位に設置することにより、出入口112を地表面と同じ高さに設ける構成としてもよい。さらに、津波対策として使用する場合には、案内部110は、想定される津波の高さよりも高く設けられ、その内部において移動する浮上部120が想定される高さの津波以上の高所まで移動されるようにすることが好ましい。さらに、入水部111は、津波の襲来する方向とは逆向きに開口することにより、津波によって勢いよく流入することを回避させることができる。
(水害避難用構造体100の作動)
次に、このように構成した水害避難用構造体100の作動について説明する。この水害避難用構造体100は、洪水または津波等による浸水発生時に避難するためのものであり、津波等の襲来時に機能するものである。当初、浮上部120は、最下位まで下降した状態となっている。すなわち、未だ津波等による水が案内部110に到達しておらず、案内部110に水が流入されない状態では、浮力体122の浮力が発揮されることはなく、浮上部120は、その全体の重量により下降した状態となっているのである。このとき、上述したように、案内部110の下位にはストッパ部114が形成されていることから、このストッパ部114によって下降位置が停止され、所定の最下位に下降した(所定位置に設置された)状態となっているのである。
津波等が襲来することによって、入水部111から案内部110の内部に水が流入することにより、浮上部120は、浮力体122の浮力によって流入した水(流入水)の上部に浮上することができる。入水部111の開口位置が最下位に停止する浮上部120に設置される浮力体122に近傍となっていることから、入水部111から水の流入が開始した直後から、浮力体122は流入水によって浮力を得ることができる。
さらに、多量の水が案内部110に流入することにより、浮上部120は当該流入水の水面に浮上するため、さらに上方に移動することとなる。ここで、前述のとおり、浮上部120は案内部110によって包囲されていることから、案内部110の外部環境が直接浮上部120に作用することはない。すなわち、襲来する津波等が有する水圧や流速または波動などの影響を直受けることがないため、浮力体110が大きく揺り動かされることがないようになっている。つまり、浮上部120が水面上に浮上する際の姿勢は比較的安定した状態となるのである。また、案内部110の内部断面形状が円形であり、浮上部120が円形板状であることから、浮上部120が浮上する際、案内部110に流入した水の流れによって、浮上部120に対し周方向へ回転するように作用することがあっても、その方向を自在に(流入水の作用に従って)回転することができる。これにより、浮上部120は案内部110の内部において、流入水の量(水位)によって浮上する高さが変化するものとなっており、浮上を阻害する原因を排除しているのである。なお、案内部110を概略円筒状とすることにより、外部断面形状を円形とすることとなるから、襲来する津波等の流速が大きい場合であっても、抵抗面となるべき範囲が限られることとなるため、案内部110が受ける抵抗を小さくすることができ、その結果、案内部110が受ける外力の影響を軽減させることができる。
津波等の襲来後、案内部110の外部の水が減少した場合には、再び、浮上部120は下降することとなる。案内部110に流入した水の水位も低下するからである。また、場合によっては、案内部110の外部周辺の水の水位が低下せず、浸水した状態が継続する場合には、浮上部120は高所に浮上した状態が維持される。この場合、案内部110の上方に設けられている脱出口113を内側から開放することができる。
水害避難用構造体100は、上記のように作動することから、洪水または津波等の発生の連絡を受け、避難する者は、出入口112を開放し、案内部110の内部に移動するのである。津波等の襲来前であれば、浮上部120は最下位に停止した状態となっているため、浮上部120の上部表面(ステージ121の上面)に容易に乗り込むことができる。そして、避難すべき者がステージ121に乗り込んだ後、出入口112を閉鎖し、洪水または津波等の襲来を待つこととなる。
予想どおり津波等が襲来した場合には浮上部120は浮上し、津波等による周辺水位の上昇を避けて高所に移動することができる。これに対し、津波が襲来しなかった場合には、浮上部120は浮上しないことから、出入口112から外部に出ることができる。なお、浮上部120が浮上する際、案内部110には多量の水が流入する状態となっているが、ステージ121の下部に設けられた浮力体122の浮力によって水面上に浮上しているため、ステージ121の上面に乗り込んだ者は、案内部110に流入した水面よりも常に上位に存在することができることとなる。
津波等によって一旦上昇した案内部110の外部の水位が、その後、低下した場合には
浮上部120は再び下降することから、最下位まで下降した後に、出入口112を開放して避難する者は外部に出ることが可能となる。
案内部110の外部の水位が低下しない場合には、浮上部120は高所に浮上した状態が継続することとなるため、上方の脱出口113から外部に脱出することも可能となっている。この脱出口113は、近隣の高層建築物等との間で連絡通路を設けることにより、当該高層建築物への避難を可能にするものである。なお、浮上部120が出入口112と脱出口113との中間辺りで停止する場合には、避難する者が自力で脱出口113まで登ることにより、脱出口113を利用することができる。脱出口113まで登るための方法としては、予め縄梯子を案内部110の上端116からステージ121に垂れ下げておくことにより、当該縄梯子を使用する方法などが考えられる。
(水害避難用構造体に係る第2の実施形態)
次に、水害避難用構造体に係る第2の実施形態について説明する。図4は、水害避難用構造体200の一部を拡大した図である。図5(a)および(b)は、一部を拡大した図である。図4に示すように、水害避難用構造体200は、案内部210の内部壁面にレール250を備えている。また、浮上部220の周縁には、前記レール250に沿って転動する車輪部260を備えている。
レール250は、案内部210の長手方向(案内方向)に沿って連続して設けられ、浮上部220が移動する範囲に配置されるように長尺に構成されている。また、案内部210の周方向に複数設けられ、浮上部220の周縁の数ヶ所を同時に案内するものである。また、このレール250は、断面矩形に構成され、案内部210の内壁面から内側に突出させている。
一方、車輪部260は、浮上部220の周縁に配置されるものである。本実施形態の浮上部220は、周縁部分に適度な高さを有するように構成されることによって側面部224が形成されている。この側面部224は、適度な肉厚を有しており、車輪部260を支持するように構成されている。そして、浮上部220の側面部224に設置された車輪部260は、当該側面部224から車輪部260の一部が露出し、前記レール250の表面を転動するように構成されている。
ところで、図5(a)に示されているように、車輪部260は、二つのフランジ部261,262を備えており、両フランジ部261,262の中間に転動領域263が設けられている。そして、二つのフランジ部261,262が、突出するレール250の両側面251,252に当接可能に配置されることによって、車輪部260がレール250から逸脱することを防止しているのである。さらに、上記のような相対的な関係により、車輪部260の転動領域263は、レール250の表面部253に当接し、浮上部220が案内部210の内部を移動する際、レール250に沿って転動することができるものである。
また、図5(b)に示されているように、車輪部260は、浮上部220の側面部224の高さ方向に分かれて複数(図は2個)配置されており、同一のレール250に対して複数の車輪部260が同時に案内されることにより、浮上部220の姿勢を安定させているのである。また、車輪部260のほぼ全体が、側面部224の内部に埋没されており、車輪部260の一部分を露出させている。すなわち、レール250の表面部253に転動領域263が当接できる程度に側面部224から突出させているのである。
なお、水害避難用構造体200の浮上部220は、図4に示すように、下部を開口した箱形とし、その内部に浮力体222を内蔵させる構成としている。このような構成によって、浮上部220の周縁224に適当な面積の側面部分を構成することができるとともに、浮力体222との一体化を強固にすることができる。
(水害避難用構造体200の作動)
次に、このように構成した水害避難用構造体200の作動について説明する。水害避難用構造体200の作動は、基本的には、前述の水害避難用構造体100と同様であり、浮上部220が移動する際の作動において異なるものである。そこで、ここでは相違する部分のみを説明する。水害避難用構造体200は、前述のように、レール250および車輪部260を備え、車輪部260のフランジ部261,262がレール250の側面251,251に当接可能に配置されていることから、浮上部220はレール250の長手方向にのみ案内されることとなる。したがって、案内部210の内部断面形状が円形で、かつ浮上部220が円形板状に形成されているとしても、浮上部220は周方向へ回転することができず、周方向の姿勢を維持しつつ移動することとなる。
また、レール250は案内部210の周方向に複数設置され、これら複数のレール250の全てに対して車輪部260が転動可能に配置されることにより、案内部210の内壁面と浮上部220の周縁との間隙を一定に維持することができる。特に、同一のレール250に対して車輪部260を同時に案内させる場合、浮上部220が傾くことを防止できることから、浮上部220の上部表面を同じ状態(水平状態)に維持させることができるとともに、浮上部220の傾斜による前記間隙の拡大をも防止できることとなる。
(水害避難用構造体に係る第3の実施形態)
次に、水害避難用構造体に係る第3の実施形態について説明する。図6は、水害避難用構造体300の一部を拡大した図である。図7(a)および(b)は、一部を拡大した図である。図6に示すように、水害避難用構造体300は、浮上部320に係止突起370を備え、案内部310の内部壁面には被係止部380を備えている。
係止突起370は、浮上部320の周縁部に数ヶ所設けられ、被係止部380は、案内部310の内壁面のうち、係止突起370に対向する位置に設けられている。係止突起370および被係止部380は、係止突起370による係止によって、浮上部320の下降を停止させるためのものである。また、この被係止部380は、適当な位置にのみ設置する場合のほか、図示のように、当該浮上部320の移動方向に複数の被係止部380を直線状に配置する場合がある。要するに、係止突起370による係止によって、浮上部320を停止させるべき位置に設けられるのである。
ところで、係止突起370は、いわゆるラチェット機構によって係脱可能な構成とされている。すなわち、図7(a)に示すように、浮上部320の周縁(側面)324に収納領域325が設けられ、この収納領域325の内部において、係止突起370の一端(上端)371が枢372によって回動可能に軸支されるとともに、当該回動に伴って自由端(下端)373が周縁(側面)324から外方に突出可能になっている。係止突起370の回動が許容される範囲は、収納領域325の開口の範囲内とされており、特に、収納領域325の上部端縁に当接する状態において回動が制限されている。そして、前記回動軸372にはトーションバネ374が設けられ、係止突起370の自由端(下端)373を外方に向けて突出させる方向に付勢させている。したがって、トーションバネ374の付勢力が作用するときは、係止可能であるのに対し、トーションバネ374の付勢に抗して回動する場合には、自由端(下端)373が後退するため、係止が解除されることとなるのである。
係止突起370の自由端(下端)373には、被係止部380の上部表面に当接する係止面部375が形成されており、当該自由端(下端)373が十分に突出した状態において、当該係止面部375が被係止部380の上部表面に当接して係止されるようになっている。なお、この係止は、浮上部320が下降しようとするとき、その下降方向に対する係止を意味するものである。
上記のような構成であるから、浮上部320が上昇する場合には、図7(b)に示されるように、係止突起370の自由端(下端)373が被係止部380によって内向きに押されることとなり、トーションバネ374の付勢に抗して強制的に後退することとなる。これに対し、浮上部320の上昇が停止し、下降方向へ移動するときには、係止突起370に対して内向きの外力が作用しないこととなり、トーションバネ374の付勢力により、係止突起370の自由端(下端)373を突出させ、被係止部380を係止することとなる。これにより、浮上部320の移動が制限され、当該掛止された位置において浮上部320は停止することとなる。
(水害避難用構造体300の作動)
次に、このように構成した水害避難用構造体300の作動について説明する。水害避難用構造体300の作動は、基本的には、前述の水害避難用構造体100と同様であり、浮上部320が下降を制限される点において異なるものである。そこで、ここでは相違する部分のみを説明する。水害避難用構造体300は、前述のように、係止突起370と被係止部380を備え、さらに、係止突起370にはラチェット機構を備えていることから、浮上部320は上昇することのみ許容され、下降する際には係止突起370が被係止部380を係止して、その移動が停止されることとなる。
そこで、案内部310の内部に水が流入することによって、その水位の上昇に伴って、浮上部320も上昇することとなる。その後、案内部310の内部の水位が低下した場合には、浮上部320は下降せず、最も上位に移動した位置に停止することとなる。したがって、案内部310の外部に襲来した水が急激に減少するような場合において、案内部310の内部の水位も同様に急激に変化したとしても、その水位の変化に応じて浮上部320が下降することを回避している。また、外部の水位が頻繁に変動する場合、例えば、津波のように第一波の後に襲来する第二波、第三波の襲来のように、水位の増減が繰り返される場合においても、浮上部320が昇降を繰り返すことがないようになっている。
なお、この水害避難用構造体300を説明する図では、第2の実施形態において示したレールおよび車輪部材を備えていないが、被係止部380を直線状に配置する場合は、係止突起370と被係止部380の相対的な位置関係を安定させるため、第2の実施形態とともに構成することが好ましい。ただし、被係止部380を、案内部310の内壁面の全周に形成する場合には、浮上部320が周方向に回転した場合でも、全周のいずれかの被係止部を係止することが可能となるから、レールおよび車輪部材の設置は不要となる場合がある。
(水害避難用構造体を備える建物に係る第1の実施形態)
次に、本発明に係る建物の第1実施形態について説明する。図8は、水害避難用構造体を備える建物500の第1実施形態の概略を示す斜視図である。また、図9〜図11は、図8におけるB−B線、C−C線およびD−D線から見た断面の一部を拡大した図である。
(水害避難用構造体100を備える建物500構成)
図8に示されているように、建物500は、建物本体501の側面に前記水害避難用構造体100が設置されたものである。この建物500は、例示として、三階建ての建物としており、水害避難用構造体100は、各階ごとに個別に設置されるものである。一階の避難用構造体100(以下、一階用構造体100aと記載する)は、一階部分から屋上よりも上方まで移動できるものであり、一階に出入口を有し、二階および三階には出入口を有していない。また、同様に、二階の避難用構造体100(以下、二階用構造体100bと記載する)および三階の避難用構造体100(以下、三階用構造体100cと記載する)は、それぞれ二階部分および三階部分から屋上よりも上方まで移動できるものとなっている。なお、図9に記載の502は、一階部分の床面を、503は二階部分の床面を、504は三階部分の床面をそれぞれ示し、505は屋上の表面を示している。
一階用構造体100aは、図9に示すように、案内部110aの壁面の一部が建物本体501の側面と共用されており、当該建物本体501と一体に構成されるものである。そこで、案内部110aは、建物本体501の建築構造に合わせて、例えば、鉄筋コンクリート製とすることができる。また、建物本体501の周辺部分のみを鉄筋コンクリート製とし、残りの部分を金属材料で構築してもよい。
案内部110aの下位に設けられる出入口112aは、建物本体501の壁面部分が開放され、一階部分と案内部110aとが連通するようになっており、両者の境界において開閉扉が設けられている。案内部110aの内部に設置される浮上部120aは、そのステージ121aの表面の高さが建物本体501の一階部分の床面502と同じ高さとなっており、当該床面502に連続する面として設置されている。そのため、案内部110aの底面部117aは、建物本体501の一階部分の床面502よりも下位に設けられ、当該底面部117aと床面502の高さの中間部分に浮力体122aが配置されるように構成されている。また、入水部111aは、ステージ121aよりも下位に設けられるため、建物本体501の床面502よりも下位において、建物本体501の壁面とは反対の側に開口されている。そして、津波対策用とする場合には、津波の襲来が予想される方向の反対側が選択される。
この一階用構造体110aの上端付近には、脱出口113aが設けられており、この脱出口113aは屋上の表面505よりも高い位置に設置されている。屋上には周辺に柵506が設置されているが、脱出口113aの位置を開閉可能にしておくことによって、当該脱出口113aから屋上の表面505に移動することも可能となる。なお、屋上周辺が高くなっている場合には、図示のように、階段507などを設置することによって、屋上の表面505への移動を容易にすることができる。
また、この一階用構造体100aは、二階部分および三階部分には出入口を設けておらず、屋上部分に脱出口113aが設けられている。二階部分および三階部分に出入口を設けないのは、浮上部120aが上昇する際に、各階に停止させることができないためであり、また、一階用構造体100aの作動に影響を与える可能性があるためである。すなわち、既に高所まで浮上部120aが上昇した状態で、不用意に二階または三階の出入口が開放されることによって、案内部110aに流入した水が排出されることが予想されるため、敢えて出入口を設けない構造としている。これに代えて、二階用構造体100bは二階部分においてのみ開閉可能な出入口112bが、三階用構造体100cでは、三階部分においてのみ開閉可能な出入口112cが、それぞれ設けられ、各階から個別に避難できるようにしているのである。
二階用構造体100bは、図10に示すように、二階部分から屋上よりも上方までの範囲において浮上部120bが移動できるように、案内部110bが設けられている。この二階用構造体100bでは、案内部110bの下位に設けられる出入口112bが、二階部分と案内部110bとが連通するように設けられている。案内部110bの内部に設置される浮上部120bは、ステージ121bの上部表面が二階部分の床面503と同じ高さで停止するように設置されている。当該位置で浮上部120bを停止させるために、案内部110bの下位にはストッパ部114cが形成されている。
案内部110bの入水部111bは、案内部110bの下端が開口した状態で形成されており、当該開口部を超える高さまで水位が上昇したときに、案内部110bに流入されるようになっている。
なお、この案内部110bは、上記のように、二階部分よりも下方を除去した構成となっているが、図中に一点鎖線で示すように、一階部分から形成してもよく、その下端付近に入水部111bを形成してもよい。
三階用構造体100cは、図11に示すように、三階部分から上方に案内部110cを設けたものである。この案内部110cの上端は、やはり屋上よりも上方に到達させており、浮上部120cを屋上よりも上位に移動させることができるものである。この三階用構造体100cにおいても、出入口112cは、三階部分と案内部110bとが連通する位置に設けられ、また、ステージ121cの上部表面が三階部分の床面504と同じ高さとなるように、浮上部120cが案内部110cの下位に停止されている。つまり、浮上部120cが当該位置に停止できるように、案内部110cの下位にはストッパ部114cが設けられているのである。
なお、三階用構造体110cにおいても、案内部110cは、一階部分に達する構造となっていないものであるが、図中に一点鎖線で示すように、案内部110cを一階部分から構築したものとすることができる。そして、水の流入についても、案内部110cの下端を開放する構成としているが、一階部分から案内部110cを構築する場合は、その下端付近に入水部111cを設ける構成としてもよい。
(水害避難用構造物100を備える建物500の作動)
建物500の構成は、上記のとおりであることから、洪水または津波等が発生し、建物の周辺の水位が増加した場合には、まず、一階用構造体110aが作動することとなる。この一階用構造体110aの作動の態様は前述のとおりである。そして、さらに周辺の周囲が上昇すると、二階用構造体110bが作動し、一層水位が増加した場合に、三階用構造体110cが作動することとなるのである。
したがって、各階から避難する者は、それぞれの階のために設置された水害避難用構造体100a,100b,100cを個別に使用することとなる。すなわち、各階から避難する者は、各水害避難用構造体100a,100b,100cのうち、当該階に設置される出入口112a,112b,112cから個別に浮上部120a,120b,120cに乗り込むこととなるのである。このように、各階に専用の水害避難用構造体100a,100b,100cが設置されていることにより、避難のために他の階へ移動する必要がなく、逃げ遅れるような事態の発生をできる限り少なくすることができる。また、各床面502,503,504から各浮上部120a,120b,120cのステージ121a,121b,121cへの移動には、段差が生じないことから、車椅子を使用する者であっても容易に移動することができる。そして、病院等においては、患者を乗せたベッドをそのまま移動することも可能となるのである。
(水害避難用構造体を備える建物に係る第2の実施形態)
次に、水害避難用構造体を備える建物に係る第2の実施形態について説明する。図12は、水害避難用構造体を備える建物600の外観を示す斜視図である。この建物600は、建物本体601の側面ではなく、建物本体601の内部に水害避難用構造体100を備えるものである。水害避難用構造体100を設置する場所は、建物本体601の吹き抜け部分である。一般的に、ホテルや公共施設等では、一階ロビーから上層階までの範囲に広い空間を有する領域(吹き抜け部分)を設ける構造とする場合がある。この吹き抜け部分は、一階ロビーに設置される大型の展示品等を各階から観覧できる程度に広く、場合によってはエレベータを設置することもある。
そこで、建物600では、この吹き抜け部分に水害避難用構造体100を設置するのである。吹き抜け部分に設置される水害避難用構造体100は、基本的には、第1の実施形態である建物500と同様であり、各階ごとに出入口112が設けられるものである。図は、案内部110の上端を屋上から上方に突出させているが、高層階を有する建物構造である場合には、四階以上の適宜階の高さとし、いずれかの階に通じるように脱出口113を設けることができる。
なお、建物本体601の内部に水害避難用構造体100を設置する場合は、入水部111は、屋内に設けられることとなる。このとき、出入口112と区別するために、入水部111は、出入口112の反対側に設けられることが好ましい。
このように構成する建物600では、建物本体601のほぼ中央に水害避難用構造体100を設置することができることから、避難する者が短い距離の移動により、水害避難用構造体100を利用することができることとなる。したがって、避難に要する時間を短縮することができる。また、当該建物本体601を構築する際に、同時に水害避難用構造体100を構築することができるため、設置のための工期を短縮することも可能となる。
(水害避難用構造体を備える建物に係る実施形態の変形例)
上述のように、二つの実施形態として建物500および建物600について説明したが、これらは本発明の実施形態として一例を示すものであり、他の構成とすることができるものである。例えば、各階ごとに水害避難用構造体100を個別に設置したが、いずれかの一つの階から避難できる単一の水害避難用構造体100を設置する構造としてもよい。この場合には、建物から避難する者は、当該階に移動する必要があるが、建物の外部に避難できない一部の者のみを避難させる目的で使用することができる。
また、建物500,600に備えられる水害避難用構造体100に代えて、第2または第3の実施形態として説明した水害避難用構造体200,300を使用することも可能である。このような水害避難用構造体200,300を設置する場合には、当該水害避難用構造体200,300を使用することにより、浮上部220,320の姿勢の安定性を向上させ、または係止による下降停止の機能を発揮させることが可能となる。
(水害避難用構造体に係る実施形態の変形例)
上記に示した水害避難用構造体100,200,300は、本発明の実施形態の一例であり、他の構成を追加し、または変更することができることは当然である。そこで、これらの変形例について説明する。なお、後述する変形例は、水害避難用構造体100を変形したものとして説明するが、他の水害避難用構造体200,300についても同様に変形が可能である。また、これらの変形例は、そのまま建物に係る実施形態の変形例としても用いることができるものである。
(第1の変形例)
第1の変形例は、図13に示すように、浮上部120を変形したものである。図13(a)は、浮上部120の表面に平行線による断面を示し、図13(b)は、垂直な線による断面を示している。この浮上部120は、ステージ121が密閉された箱形となっており、しかも、その内部空間が多数に分割されており、その各空間に浮力体122が内蔵されている。浮力体122は、前記空間の容積に応じて多数に分割されており、全体として所定の浮力を発揮するように構成されている。このように、浮力体122をステージ121の内部に設けることにより、外力の作用によって浮力体122が変形または破壊されることを防止している。また、底部(下部)にも壁面が構成されていることか、案内部110の内部において、ストッパ114(図1)を設けずに、浮上部120を、案内部110の底面部117に直接置いた状態で設置することも可能となる。
(第2の変形例)
第2の変形例は、図14に示すように、第2の実施形態として示した水害避難用構造体200におけるレール250および車輪部260を変形したものである。この変形例は、レール250を凹状に設け、その内部を転動する車輪部260によって、浮上部220の移動方向を案内するものである。このような変形例によっても、車輪部260が、レール250に沿って転動することが可能となり、浮上部220の移動方向を案内することが可能となるものである。
(第3の変形例)
第3の変形例は、図15に示すように、案内部110の外部側面に梯子170を設置したものである。このように、案内部110の外部側面に梯子170を設置することによって、例えば、避難が遅れた者が自力で高所へ移動する際に使用することができることとなる。また、案内部110の側壁にハッチ171を設けることにより、例えば、案内部110の中で避難する者が、ハッチ171から外方へ脱出することも可能となる。この脱出の際に梯子170を使用することができるのである。ハッチ171から梯子170に移動した後は、上方へ避難することもでき、また、周辺の水位が低下している場合には、地上に避難することも可能となる。なお、ハッチ171を設ける場合には、津波等の規模によっては、当該ハッチ171の高さまで周辺の水位が上昇することが想定されることか、外開き扉(外向きにのみ開放可能な開き扉)とすることが好ましい。
(第4の変形例)
さらに、第4の変形例としては、図16に示すように、前記第3の変形例における梯子170に代えて螺旋階段170を設置したものである。この場合、梯子に比べて上り下りが容易となる。なお。この構成においてもハッチ171の設置は可能であり、その場合のハッチ171は外開き扉とすることが好ましい。
(第5の変形例)
第5の変形例としては、図17に示すように、案内部110の内部壁面にステップ180を設けたものである。このステップ180は、梯子状に連続するものであり、案内部110の内部を上り下りすることを可能にしている。このようなステップ180を備えることにより、浮上部120の上昇が不十分な場合(脱出口まで上昇しない場合)、脱出口まで自力で登ることができるものである。案内部110の外部壁面を移動するよりも安全な場合があり得る。
なお、このようなステップ180を設ける場合には、浮上部120が、周方向へ自在に回転することは難しいことから、第2の実施形態として示した水害避難用構造体200または変形例2に示した構成のように、レール250および車輪部260によって、案内方向が一定に維持される構成とともに使用することが好ましい。
(第6の変形例)
第6の変形例は、案内部110の上端に形成される間隙に代えて、所定面積で開口する排気口140とするものである。上述したように、水害避難用構造体100の上端において、屋根部材130との間に間隙を形成することにより、案内部110の内部空気を排気するものであるが、その排気量を調整することにより、浮上部120が上昇する速度(流入する水の量)を減ずることができるものであった。そこで、この変形例では、その排気量を間隙の程度で調整するのではなく、排気口140の口径によって調整することを目的とするものである。なお、内部空気の排気は、当該排気口140によって行われるため、図示のように、案内部110の上端縁は、屋根部材130によって密閉された状態としている。
また、この変形例では、入水部を単なる開口とするものではなく、入水路111として形成している。これは、流入する水の方向を変化させることによって、流速を減ずることと、流路の断面を調整することにより、流入量を調整するためのものである。すなわち、勢いよく流入する場合には、案内部110の内部の水が渦となり、または波立たせることがあり得ることから、その流速を減ずることによって、浮上部120の上昇時の状態を少なからず安定させることを目的としている。なお、流路は、開口部190を小さくして流入量を抑えるほか、開口部190から徐々に断面積を大きくすることにより、流速を減ずる方法が考えられる。
変形例については、以上のとおりであるが、これらは一例であって、その他の構成を付加することは可能である。例えば、ステージ121の表面は、スリップを防止するため、滑り初め用の凹凸を形成させてもよく、また、摩擦抵抗の大きい材質で構成してもよい。さらに、金網状として、ステージ121の表面に流れ込んだ水を下位へ流下させるようにしてもよい。
100,200,300 水害避難用構造体
110,210,310 案内部
111 入水部,112 出入口,113 脱出口,114 ストッパ,115 小径部
120,220,320 浮上部
121 ステージ,122 浮力体,
130 屋根部材
140 間隙(排気口)
170 梯子(螺旋階段),171 ハッチ
180 ステップ
250 レール
260 車輪部
370 係止突起
380 被係止部
500,600 建物
501,601 建物本体
502 一階部分の床面
503 二階部分の床面
504 三階部分の床面
505 屋上の表面

Claims (18)

  1. 浸水時に高所へ避難するための水害避難用構造体であって、
    浮力体を有し、水面に浮上可能な浮上部と、
    前記浮上部の周囲を包囲して外部から遮蔽された空間を形成するとともに、水位の変動に伴って昇降する該浮上部の昇降方向を案内する案内部と、
    前記案内部の下端付近を開口し、水の流入を許容する入水部と、
    前記案内部の側面の適宜位置に開閉可能に設けられた出入口とを備える
    ことを特徴とする水害避難用構造体。
  2. 請求項1に記載した水害避難用構造体において、
    前記案内部は、適宜な高さに構成され、前記浮上部を上方へ案内するとともに、上端付近に開閉可能な脱出口を備えることを特徴とする水害避難用構造体。
  3. 請求項1または請求項2に記載した水害避難用構造体において、
    前記浮上部は、適宜面積を有するステージを備え、該ステージの下部に前記浮力体を一体に設けていることを特徴とする水害避難用構造体。
  4. 請求項3に記載の水害避難用構造体において、
    前記案内部は、前記ステージが前記入水部の開口位置よりも上位において下降を停止するストッパ部を備えていることを特徴とする水害避難用構造体。
  5. 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載した水害避難用構造体において、
    前記案内部は、上端付近において開口し、内部の空気を排出する排気部を備えることを特徴とする水害避難用構造体。
  6. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体において、
    前記浮上部は、外縁形状を円形とし、前記案内部は、断面形状を円形としたことを特徴とする水害避難用構造体。
  7. 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体において、
    前記浮上部は、下部を開口した箱形に形成され、該箱形の内部に浮力体が収納されていることを特徴とする水害避難用構造体。
  8. 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体において、
    前記案内部は、内壁面にレールが設けられ、前記浮上部は、前記レールに沿って転動する車輪部材が設けられていることを特徴とする水害避難用構造体。
  9. 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体において、
    前記浮上部は、周縁の複数個所において上端を支点としつつ制限された範囲内で回動可能に設けられた複数の係止突起と、複数の該係止突起の各下端部を該周縁の外方へ付勢する付勢手段とを備え、
    前記案内部は、前記係止突起の下端部が周縁よりも外方に突出するとき、該下端部によって係止される被係止部を備えることを特徴する水害避難用構造体。
  10. 請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体において、
    前記案内部は、前記浮上部が案内される方向に連続するステップを内壁面に備えることを特徴とする水害避難用構造体。
  11. 請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体において、
    前記案内部は、壁面の適宜位置に外向きに開放可能なハッチを備えることを特徴とする水害避難用構造体。
  12. 請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体において、
    前記案内部は、外側面に階段または梯子を備えることを特徴とする水害避難用構造体。
  13. 請求項1ないし請求項12のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体において、
    前記案内部は、上端に屋根部材を備えていることを特徴とする水害避難用構造体。
  14. 請求項1ないし13のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体を備える建物であって、
    前記案内部は、建物本体の側壁に沿って併設され、
    該案内部の出入口は、前記建物本体の特定の階において開閉可能に設けられるとともに、該出入口に連通する連通部が前記建物本体の壁面に設けられ、
    前記案内部に包囲される前記浮上部は、その上部表面の高さが前記連通部を設けた特定の階の床面に連続する高さとなる位置を最下位として設置され、
    前記案内部の入水部は、前記建物本体の外方において開口している
    ことを特徴とする建物。
  15. 請求項1ないし13のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体を備える建物であって、
    前記案内部は、前記建物本体の側壁に複数併設され、
    前記案内部の出入口は、複数の案内部ごとに異なる階において開閉可能に設けられるとともに、該出入口に連通する連通部が各階ごとに前記建物本体の壁面に設けられ、
    前記案内部に包囲される浮上部は、複数の案内部ごとに、上部表面の高さが前記連通部を設けた階の床面に連続する高さとなる位置を最下位として設置され、
    前記案内部の入水部は、前記建物本体の外方において開口している
    ことを特徴とする建物。
  16. 請求項1ないし13のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体を備える建物であって、
    前記案内部は、建物本体の内部に形成される吹き抜け部分に立設され、
    前記案内部の出入口は、前記建物本体の特定の階において開口可能に設けられるとともに、該特定の階の床面との境界に設置され、
    前記案内部に包囲される浮上部は、その上部表面の高さが前記出入口を設けた階の床面に連続する高さとなる位置を最下位として設置されている
    ことを特徴とする建物。
  17. 請求項1ないし13のうちのいずれか1つに記載の水害避難用構造体を備える建物であって、
    前記案内部は、建物本体の内部に形成される吹き抜け部分に複数立設され、
    前記案内部の出入口は、複数の案内部ごとに異なる階において開口可能に設けられるとともに、該各階の床面との境界に設置され、
    前記案内部に包囲される浮上部は、複数の案内部ごとに、上部表面の高さが前記出入口を設けた階の床面に連続する高さとなる位置を最下位として設置されている
    ことを特徴とする建物。
  18. 請求項14ないし17のうちのいずれか1つに記載の建物において、
    前記水害避難用構造体の前記案内部は、避難すべき高さにある所定の階または前記建物の屋上に到達する高さを有するものであることを特徴とする建物。
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