JP5442821B1 - 自転車用駆動ユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クランク軸とモータの出力軸とを同軸で構成し、複数のギア比を選択可能な変速機構の軸12をクランク軸と同一軸方向に加えて、2軸で電動補助自転車も駆動ユニットを構成する。ロータ121の径方向外側に配置されるモータのステータ123は、切欠き部121aを有し、その切欠き部に変速機構140の一部を配置されることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
図1は、本発明に係る駆動ユニットを組み込んだ電動補助自転車の一例を表す右側面図である。この電動補助自転車は、ペダル100に作用する踏力を、クランクアーム101→クランク軸102→駆動ユニット1→フロントスプロケット103→チェーン104→リアスプロケット105という経路を経て、後車輪の車軸106まわりに回転可能に設けられるハブ体に伝達する。この過程で、この電動補助自転車は、モータ出力を補助動力として合成し、走行をアシストする。通常は、トルク検出手段でクランク軸102に作用するトルクを検出し、その検出値が設定値を超えたところで、モータを起動して踏力に応じたトルクを補助動力として発生させている。トルク検出手段は、たとえばクランク軸102に磁歪素子と、検出コイルとを備え、クランク軸102の捩れを検出する。アシスト用のモータを含む駆動ユニット1は、一般にフレームのシートチューブの下端部とフレームのダウンチューブの後端部との連結部付近に配置され、図示しないボルトによってフレームに固定される。モータ駆動用のバッテリは、リアキャリア、ダウンチューブまたはシートチューブに沿って配置される。
モータ(電動機)120は、その回転軸がクランク軸102の回転軸と同軸になるように配置されている。モータ120のステータ121は、励磁用コイルを巻かれてクランク軸102の同心円上に配置され、取付部122によりケーシング111に固定されている。ロータ123は、クランク軸102を配置可能な孔123aを有する。孔123aはロータ123の回転軸線方向に、ロータ123を貫通し、クランク軸は孔123aを挿通する。ロータ123は、クランク軸102に回転自在に支持されている。モータ120は、DCブラシレスモータによって実現される。ロータ123は、たとえば周方向に複数の磁極を有する磁石123cと、磁石を保持する磁石保持部123bとを有している。ロータ123は、クランク軸方向に間隔を隔てて配置される第1軸受124a及び第2軸受124bによりクランク軸102に回転自在に支持されている。
減速機構125は、ロータ123の回転をトルク伝達部材130に伝達する。図2は、減速機構125の一例として太陽ギア126aと複数の遊星ギア126bとを備える遊星歯車機構を示しているが、減速機構125は、クランク軸方向に並べて配置される複数の遊星歯車機構によって形成されてもよい。本実施の形態では、トルク伝達部材130は遊星ギア126bを回転可能に保持する遊星歯車機構のキャリアである。遊星歯車機構の内歯ギア126cは、ケーシング111に固定されている。この減速機構125は、ケーシング111に対して太陽ギア126bが回転可能に支持されるため、太陽ギア126a、遊星ギア126bおよび内歯ギア126cの歯数比に基づいてモータ120の回転が減速されてトルク伝達部材130に伝達される。
連結機構は、第1歯車114および第2歯車141を備える。クランク軸102と変速機構本体140bとを連結する。第1歯車114は、クランク軸102の一端部側に設けられる。第1歯車114は、クランク軸102に固着して、クランク軸102と一体となって回転する。第1歯車114は、たとえばセレーションによって、着脱可能にクランク軸102に取り付けられてもよい。第2歯車141は、変速機構140にトルクを入力する部材であり、第1歯車114と噛み合っている。連結機構は、モータ120を挟んでトルク合成部材131およびフロントスプロケット103とは反対側に設けられる。
変速機構140は、変速機構用モータユニット140aと変速機構本体140bとから構成される。変速機構用モータユニット140aは、ハンドルに装着された変速操作部(図示せず)における乗り手の指示により、後述する変速機構本体140bの係止体88を所定の位相に回転させる。変速機構用モータユニット140aとして、例えば、特許第3529723号に開示されている公知のモータユニットを利用することができる。変速機構本体140bは、複数のギア比を選択可能な変速機である。変速機構本体140bは、本実施の形態では、複数の変速段を選択可能であって、少なくとも1つの遊星ギア及び太陽ギアを有する回転伝達機構と、それらのギアの一部を回動可能もしくは回動不能とする制御機構を有する。図2は、3段切り替えの変速機構を例に挙げて、変速機構本体140bを図示する詳細説明図である。
変速機構本体140bは、図4に示すように、軸12と、出力部14と、駆動体(入力部)16と、回転伝達機構18と、切換機構20と、を備えている。軸12は、ケーシング111に回転不能に装着可能である。なお、説明の便宜上、図4では、変速機構本体140bの向きが、図2の変速機構本体140bの向きと左右反対となっている。出力部14および駆動体16は筒状に形成される。出力部14は、駆動体16とともに、回転伝達機構18および切換機構20を覆う。出力部14の一端(図4左端)は、軸受22aを介して軸12に回転自在に支持されている。駆動体16は、軸12に軸受22bを介して回転自在に支持されている。出力部14の他端(図4右端)は、駆動体16に、軸受22cを介して回転自在に支持されている。
軸12は、図5に示すように、ケーシング111に形成された挿入口115(図2参照)にナット116(図2参照)により固定するための第1雄ねじ部24a,24bを両端部に有している。第1雌ねじ部24a,24bには、挿入口115に回り止めされる平行に形成された回り止め部25a,25bが形成されている。第1雌ねじ部24aの軸方向内側には、軸受22aを装着するための第2雄ねじ部26が形成されている。第1雌ねじ部24bの軸方内側には、軸受22b及び切換機構20の構成部材を回り止めするための幅が異なる2つの回り止め溝27a,27bが180度間隔で軸方向に沿って形成されている。軸12の軸方向の中央部には、切換機構20のワンウェイクラッチとして機能する第1突起部28と、回り止めとして機能する第2突起部29と、が180度間隔で径方向に突出して形成されている。第2突起部29の軸方向の中央部には、位置決め凹部29aが形成されている。
出力部14は、軸12回りに回転自在である。出力部14は、図4に示すように、一端(図4左端)から他端(図4右端)に向けて階段状に拡径する筒状の部材である。出力部14の外周部には、第3歯車142が回転不能に装着されている。出力部14は、第3歯車142と一体的に回転可能である。
駆動体16は、軸12と出力部14の間に両者に回転自在に装着された筒状の部材である。駆動体16は、一端(図4右端)に向けて階段状に縮径している。駆動体16の出力部14とは反対側の端部には、第2歯車141が装着されている。駆動体16は、第2歯車141と一体的に回転可能である。
回転伝達機構18は、駆動体16の回転を複数(例えば3つ)の変速段に変速して出力部14に伝達可能な遊星歯車機構32を有している。遊星歯車機構32は、リングギア34と、第1遊星ギア36と、第2遊星ギア38と、第1及び第2遊星ギア36,38を回転自在に支持するキャリア40と、第1遊星ギア36にかみ合う第1太陽ギア42と、第2遊星ギア38にかみ合う第2太陽ギア44と、を有している。リングギア34は、駆動体16の他端側(図4左側)の内周面に形成されている。第1遊星ギア36は、リングギア34に噛み合う少なくとも一つのギアである。第2遊星ギア38は、第1遊星ギア36と一体回転可能であり、第1遊星ギア36より歯数が多い少なくとも一つ(例えば、30)のギアである。この実施形態では、第1遊星ギア36と第2遊星ギア38は一体形成されているが別体で形成してもよい。キャリア40は、周方向に等間隔で配置されたそれぞれ3つの第1及び第2遊星ギア36,38を回転自在に支持し、かつ軸12回りに回転自在である。第1太陽ギア42は、軸12回りに回転し、第1遊星ギア36に噛み合うギアである。第2太陽ギア44は、軸12回りに回転し、第2遊星ギア38に噛み合うギアである。キャリア40は、軸12と平行に配置された複数本(例えば3本)の支持軸40aにより第1及び第2遊星ギア36,38を支持している。
切換機構20は、図4に示すように、例えば変速機構用モータユニット140aのモータの出力軸の回転により移動可能な移動部材63を有している。また、切換機構20は、移動部材63の移動に応じて駆動体16とキャリア40とを連結状態と連結解除状態とに切換可能な第1クラッチ機構64と、移動部材63の移動に応じて第2太陽ギア44を回転可能状態と回転不能状態とに切換可能な第2クラッチ機構66と、移動部材63の移動に応じて第1及び第2クラッチ機構64,66を切換操作可能な操作機構70と、をさらに有している。
移動部材63は、図4及び図9に示すように、変速機構用モータユニット140aと係合している係止体88(図4参照)と、係止体88と連動可能な第1操作筒90と、第1操作筒90に連動可能な第2操作筒92と、を有している。
第1クラッチ機構64は、図4、図8及び図9に示すように、駆動体16とキャリア40との間に配置された第3ワンウェイクラッチ72と、第3ワンウェイクラッチ72を連結状態と連結解除状態とに制御する第1制御部材73と、を有している。
第2クラッチ機構66は、図12及び図13に示すように、軸12と第2太陽ギア44との間に配置された第4ワンウェイクラッチ84と、第4ワンウェイクラッチ84を連結状態と連結解除状態とに制御する第2制御部材85と、を有している。
操作機構70は、図4及び図9に示すように、第2操作筒92に連動して回動する回動部材94と、第2操作筒92に連動して回動する復帰部材96と、を有している。また、操作機構70は、第1捩じりバネ97と、第2捩じりバネ98と、を有している。
次に、変速機構用モータユニット140aの動作による切換機構20の動作について説明する。
トルク合成部材131は、クランク軸102の他端部側に設けられる。環状に形成されており、クランク軸102に沿って延びる第1環状部分と、第1環状部分の端部からクランク軸102に関して径方向に延びる第2環状部分とを有する。第2環状部分は、第1環状部分のモータ側の端部に配置される。トルク合成部材131の外周部は歯車131aにより構成されている。歯車131aは、第2環状部分の外周部に形成されている。トルク合成部材131の外周部は、第3歯車142と噛み合っている。トルク合成部材131の内周部は、ワンウェイクラッチ132を介して、トルク伝達部材130に連結されている。第1環状部分の内周部に、ワンウェイクラッチ132のクラッチ溝が形成される。トルク合成部材131には、さらに、トルク伝達部材130の回転を支持する回転支持部133が設けられている。回転支持部133は、第2環状部分に設けられる。トルク合成部材131の内周部には、軸受113が設けられ、トルク合成部材131は、クランク軸102を回転可能に支持している。第1環状部分の内周部に軸受113が設けられる。トルク合成部材131の外周部には、軸受134が設けられ、トルク合成部材131は、ケーシング111によって回転可能に支持されている。第1環状部分の外周部に軸受134が設けられる。軸受113とワンウェイクラッチ132とは、第1環状部分を挟んで近接して設けられている。トルク合成部材131には、トルク合成部材131と一体となって回転可能なようにスプロケット103が取り付けられている。トルク合成部材131の端部(第1環状部分の端部)は、ケーシング111の孔111Aから外部に突出する。このトルク合成部材131の第1環状部分の端部に、たとえばボルトによってスプロケット103が着脱可能に取り付けられる。
次に、本駆動ユニットの動作について説明する。乗り手の踏力によるトルクは、クランク101→クランク軸102→第1歯車114→第2歯車141→変速機構本体140b→第3歯車142→トルク合成部材131へと変速機構を介して伝達される。一方、モータからの出力トルクは、減速機構125→トルク伝達部材130→ワンウェイクラッチ132→トルク合成部材131へと伝達される。トルク合成部材131は、これら2つのトルクを合成し、スプロケット103に合成したトルクを伝達する。これにより、モータによるアシストが実現される。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態の駆動ユニットは、モータのステータは切欠き部を有し、変速機構の一部が切欠き部に配置されるので、軽量化、コンパクト化された自転車の駆動ユニットを実現することができる。
14 出力部
32 遊星歯車機構
102 クランク軸
103 スプロケット
120 モータ
121 ステータ
121a 切欠き部
123 ロータ
125 減速機構
131 トルク合成部材
132 ワンウェイクラッチ
140 変速機構
Claims (17)
- クランク軸を配置可能な孔を有するロータと、前記ロータの径方向外側に配置されるステータとを有するモータと、
複数のギア比を選択可能な変速機構と、
を備え、
前記ステータは、切欠き部を有し、
前記変速機構の一部が、前記切欠き部に配置される自転車の駆動ユニット。 - 前記切欠き部は、前記モータの回転軸の軸方向において前記ステータの全体にわたって切欠かれて形成される請求項1に記載の自転車の駆動ユニット。
- 前記切欠き部は、前記モータの回転軸線まわりに90°を超えて120°以下である角度範囲で前記ステータを切欠いて形成される、請求項1または2に記載の自転車の駆動ユニット。
- 前記変速機構は、遊星歯車機構を有する、請求項1から3のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
- 前記クランク軸をさらに備える、請求項1から4のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
- 前記クランク軸の回転軸と、前記モータの回転軸とは、同軸に設けられる、請求項5に記載の自転車の駆動ユニット。
- 前記クランク軸は、前記変速機構の入力部に結合される、請求項5または6に記載の自転車の駆動ユニット。
- 前記クランク軸および前記モータが回転する第1回転軸と
前記変速機構が回転する第2回転軸とを有する、請求項5から7のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。 - 前記変速機構の出力と前記モータの出力が合算される合成部をさらに備え、
前記合成部には、スプロケットが接続される、請求項1から8のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。 - 前記モータの出力は、ワンウェイクラッチを介して、前記合成部に伝達される、請求項9に記載の自転車の駆動ユニット。
- 減速機構をさらに有し、
前記モータの出力は、前記減速機構を介して、前記合成部に伝達される、請求項10に記載の自転車の駆動ユニット。 - 前記モータの出力は、前記減速機構に入力され、
前記減速機構の出力は、前記ワンウェイクラッチを介して、前記合成部に伝達される、請求項11に記載の自転車の駆動ユニット。 - 前記モータの回転軸線方向の一方に前記合成部が配置され、前記モータの回転軸線方向の他方に、前記クランク軸および前記変速機構を連結する連結機構が配置される、請求項5に係る請求項9から12のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
- 前記減速機構は、遊星歯車機構を有し、
前記遊星歯車機構は、遊星歯車を有するキャリアを有し、
前記キャリアは、前記合成部に支持される請求項11または12に記載の自転車の駆動ユニット。 - 前記合成部の回転軸は、前記クランク軸の回転軸と同軸に設けられる、請求項5に係る請求項9から14のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
- 前記変速機構の入力部分および出力部分は、前記第2回転軸まわりに回転する、請求項8に係る請求項9から15のいずれか1つに記載の自転車の駆動ユニット。
- 前記合成部は、
前記変速機構の前記出力部分に結合される第1結合部と、
前記モータに結合される第2結合部とを有する、請求項9に係る請求項16に記載の自転車の駆動ユニット。
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