JP6820244B2 - 自転車用変速機およびこれを備える自転車用アシストシステム - Google Patents

自転車用変速機およびこれを備える自転車用アシストシステム Download PDF

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本発明は、自転車用変速機およびこれを備える自転車用アシストシステムに関する。
特許文献1に開示される自転車用変速機は、自転車の変速比を段階的に変更する内装変速機を含む。内装変速機は、第1遊星歯車機構、第2遊星歯車機構、第3遊星歯車機構、および、第4遊星歯車機構を含む。自転車用変速機は、変速比を例えば第2変速段から第3変速段に上昇させる場合、第1遊星歯車機構の太陽ギアを用いて変速を行う状態から第2遊星歯車機構の太陽ギアを用いて変速を行う状態に移行する。変速比をさらに第3変速段から第4変速段に上昇させる場合、自転車用変速機は、第2遊星歯車機構の太陽ギアを用いて変速を行う状態から第1遊星歯車機構の太陽ギアを用いて変速を行う状態に移行する。同時に、回転が第1遊星歯車機構および第2遊星歯車機構から出力体に出力される状態と、回転が第3遊星歯車機構および第4遊星歯車機構から出力体に出力される状態とが切り替えられる。
特許第4564978号公報
本発明の目的は、好適に変速比を変更できる自転車用変速機およびこの変速機を備える自転車用アシストシステムを提供することである。
本発明の第1側面に従う自転車用変速機の一形態は、入力体の回転を変速して出力体に伝達する自転車用変速機であって、前記入力体からの回転を変速して前記出力体に出力可能な複数の変速機構を含み、前記入力体からの回転を3段階以上の変速比で前記出力体に伝達する伝達機構と、前記伝達機構における変速経路を設定する設定機構と、を備え、前記複数の変速機構は、少なくとも第1変速機構を含み、前記第1変速機構は、第1遊星機構および第2遊星機構を含み、前記伝達機構は、少なくとも前記第1変速機構での変速を経由して、前記入力体からの回転を前記3段階以上の変速比のうちの第1変速比および第2変速比の一方で前記出力体に伝達する第1変速経路、および、前記第1変速経路において経由される前記変速機構とは異なる前記変速機構での変速を経由して、前記入力体からの回転を前記第1変速比および前記第2変速比よりも大きい変速比で前記出力体に伝達する第2変速経路、を少なくとも形成し、前記第1変速経路は、前記第1遊星機構での変速を経由し前記第2遊星機構での変速を経由せず前記入力体からの回転を前記第1変速比で前記出力体に伝達する第1遊星変速経路、および、前記第1遊星機構での変速を経由せず前記第2遊星機構での変速を経由して前記入力体からの回転を前記第2変速比で前記出力体に伝達する第2遊星変速経路を含み、前記設定機構は、前記第2変速経路において前記第1遊星機構での変速を経由しないように前記伝達機構を設定する。
従来の自転車用変速機では、変速比を段階的に大きくする場合に、歯数の少ない太陽ギアから歯数の多い太陽ギアに変更する段階および歯数の多い太陽ギアから歯数の少ない太陽ギアに変更する段階の両方を含む。このため、変速経路の構成が複雑になる。
上記構成によれば、第2変速比よりも大きい変速比で出力体に伝達する第2変速経路では第1遊星機構での変速を経由しない。このため、第2変速比よりも大きい変速比を形成する経路で再び第1遊星機構での変速を経由する場合と比較して、変速経路の構成を簡単にできる。このため、好適に変速比を変更できる。
前記第1側面に従う第2側面の自転車用変速機において、前記第1遊星機構および前記第2遊星機構は、いずれも前記入力体からの回転を増速して出力するように構成される。
上記構成によれば、第1遊星機構および第2遊星機構の一方によって入力体からの回転を増速して出力できる。
前記第1または第2側面に従う第3側面の自転車用変速機において、前記複数の変速機構は、少なくとも前記第2変速経路において経由される第2変速機構をさらに含み、前記第2変速機構は、第3遊星機構および第4遊星機構を含み、前記第2変速経路は、前記第3遊星機構での変速を経由し前記第4遊星機構での変速を経由せず前記入力体からの回転を前記第2変速比よりも大きい第3変速比で前記出力体に伝達する第3遊星変速経路、および、前記第3遊星機構での変速を経由せず前記第4遊星機構での変速を経由して前記入力体からの回転を前記第3変速比よりも大きい第4変速比で前記出力体に伝達する第4遊星変速経路を含み、前記設定機構は、前記第4変速比よりも大きい変速比と対応する前記変速経路において前記第3遊星機構での変速を経由しないように前記変速経路を設定する。
上記構成によれば、第4変速比よりも大きい変速比で出力体に伝達する変速経路では第3遊星機構での変速を経由しない。このため、第4変速比よりも大きい変速比を形成する経路で再び第3遊星機構での変速を経由する場合と比較して、変速経路の構成を簡単にできる。
前記第3側面に従う第4側面の自転車用変速機において、前記第3遊星機構は、前記入力体からの回転を増速して出力するように構成される。
上記構成によれば、第3遊星機構によって入力体からの回転を増速して出力できる。
前記第3または第4側面に従う第5側面の自転車用変速機において、前記第4遊星機構は、前記入力体からの回転を増速して出力するように構成される。
上記構成によれば、第4遊星機構によって入力体からの回転を増速して出力できる。
本発明の第6側面に従う自転車用変速機の一形態は、入力体の回転を変速して出力体に伝達する自転車用変速機であって、前記入力体からの回転を変速して前記出力体に出力可能な複数の変速機構を含み、前記入力体からの回転を3段階以上の変速比で前記出力体に伝達する伝達機構と、前記入力体の回転の前記伝達機構における変速経路を設定する設定機構と、を備え、前記複数の変速機構は、それぞれ少なくとも1つの遊星機構を含み、前記伝達機構は、少なくとも1つの前記変速機構での変速を経由して、前記入力体からの回転を前記3段階以上の変速比のうちの第1所定変速比で前記出力体に伝達する第1変速経路、および、前記第1変速経路において経由される前記変速機構とは異なる前記変速機構での変速を経由して、前記入力体からの回転を前記第1所定変速比よりも大きい第2所定変速比で前記出力体に伝達する第2変速経路、を少なくとも形成し、前記設定機構は、前記第2変速経路において前記第1変速経路において経由される前記変速機構での変速を経由する場合、前記第2所定変速比よりも大きい変速比と対応する前記変速経路において前記第1変速経路において経由される前記変速機構での変速を経由するように前記伝達機構を設定する。
上記構成によれば、第2所定変速比よりも大きい変速比で出力体に伝達する変速経路では第1変速経路において経由される変速機構での変速を経由する。このため、第2所定変速比よりも大きい変速比を形成する経路で第1変速経路において経由される変速機構での変速を経由しない変速経路に変更されない。このため、変速経路の構成を簡単にできる。このため、好適に変速比を変更できる。
前記第6側面に従う第7側面の自転車用変速機において、前記第1変速経路において経由される前記変速機構は、第1遊星機構および第2遊星機構を含む。
上記構成によれば、第1変速経路において2つの遊星機構を含むため、第1変速経路において実現できる変速比の数を増加させることができる。
前記第7側面に従う第8側面の自転車用変速機において、前記第1遊星機構および前記第2遊星機構は、いずれも前記入力体からの回転を増速して出力するように構成される。
上記構成によれば、第1遊星機構および第2遊星機構の一方によって入力体からの回転を増速して出力できる。
前記第1〜第5、第7、および、第8側面のいずれか一つに従う第9側面の自転車用変速機において、支持部材をさらに備え、前記第1遊星機構は、前記支持部材に回転可能に支持される第1太陽ギア、前記第1太陽ギアまわりに配置される第1リングギア、および、前記第1太陽ギアと係合し前記第1太陽ギアおよび前記第1リングギアに対して公転可能な第1遊星ギアを含み、前記第2遊星機構は、前記支持部材に回転可能に支持される第2太陽ギア、前記第2太陽ギアまわりに配置される第2リングギア、および、前記第2太陽ギアと係合し前記第2太陽ギアおよび前記第2リングギアに対して公転可能な第2遊星ギアを含み、前記設定機構は、前記支持部材に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に前記第1太陽ギアを設定する第1設定部材、および前記支持部材に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に前記第2太陽ギアを設定する第2設定部材を含み、前記第1太陽ギアおよび前記第2太陽ギアの一方が規制状態であれば、前記第1太陽ギアおよび前記第2太陽ギアの他方が回転状態であるように前記第1設定部材と前記第2設定部材とを制御する。
上記構成によれば、第1設定部材と第2設定部材とによって第1遊星機構および第2遊星機構の一方のみが規制状態となるため、第1遊星機構および第2遊星機構の一方のみを経由する変速経路が形成される。
前記第9側面に従う第10側面の自転車用変速機において、前記第1遊星ギアおよび前記第2遊星ギアは、第1遊星ギア部材に形成され、前記第1リングギアおよび前記第2リングギアは、第1リングギア部材に形成される。
上記構成によれば、第1遊星ギアおよび第2遊星ギアが1つの第1遊星ギア部材に形成され、第1リングギアおよび第2リングギアが1つの第1リングギア部材に形成されるため、部品点数の削減に貢献できる。
前記第10側面に従う第11側面の自転車用変速機において、前記第1リングギア部材は、第1ギア部を含み、前記第1ギア部は、前記第1リングギアおよび前記第2リングギアとして共用される。
上記構成によれば、第1ギア部が第1リングギアおよび第2リングギアとして共用されるため、第1リングギア部材の構成を簡単にすることができる。
前記第9〜第11側面のいずれか一つに従う第12側面の自転車用変速機において、前記設定機構は、前記第1設定部材によって前記第1太陽ギアを前記規制状態から前記回転状態に設定し、かつ、前記第2設定部材によって前記第2太陽ギアを前記回転状態から前記規制状態に設定する動作において、前記第2設定部材によって前記第2太陽ギアを前記回転状態から前記規制状態に設定した後に、前記第1設定部材によって前記第1太陽ギアを前記規制状態から前記回転状態に設定する。
従来の自転車用変速機では、変速比を段階的に大きくする場合に、歯数の少ない太陽ギアを用いて変速する状態から歯数の多い太陽ギアを用いて変速する状態に変更するときに、歯数の少ない太陽ギアに伝達されるトルクによって太陽ギアの状態を変更しにくい場合がある。
上記構成によれば、第1設定部材によって第1太陽ギアが規制状態から回転状態に設定されるときには、第2設定部材によって第2太陽ギアが規制状態に設定されているため、第1設定部材と第1太陽ギアとの間に働く力を小さくした状態で変速比を変更できる。このため、好適に変速比を変更できる。
前記第3〜第5側面のいずれか一つに従う第13側面の自転車用変速機において、支持部材をさらに備え、前記第3遊星機構は、前記支持部材に回転可能に支持される第3太陽ギア、前記第3太陽ギアまわりに配置される第3リングギア、および、前記第3太陽ギアと係合し前記第3太陽ギアおよび前記第3リングギアに対して公転可能な第3遊星ギアを含み、前記第4遊星機構は、前記支持部材に回転可能に支持される第4太陽ギア、前記第4太陽ギアまわりに配置される第4リングギア、および、前記第4太陽ギアと係合し前記第4太陽ギアおよび前記第4リングギアに対して公転可能な第4遊星ギアを含み、前記設定機構は、前記支持部材に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に前記第3太陽ギアを設定する第3設定部材、および前記支持部材に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に前記第4太陽ギアを設定する第4設定部材を含み、前記第3太陽ギアおよび前記第4太陽ギアの一方が規制状態であれば、前記第3太陽ギアおよび前記第4太陽ギアの他方が回転状態であるように前記第3設定部材と前記第4設定部材とを制御する。
上記構成によれば、第3設定部材と第4設定部材とによって第3遊星機構および第4遊星機構の一方のみが規制状態となるため、第3遊星機構および第4遊星機構の一方のみを経由する変速経路が形成される。
前記第13側面に従う第14側面の自転車用変速機において、前記第3遊星ギアおよび前記第4遊星ギアは、第2遊星ギア部材に形成され、前記第3リングギアおよび前記第4リングギアは、第2リングギア部材に形成される。
上記構成によれば、第3遊星ギアおよび第4遊星ギアが1つの第2遊星ギア部材に形成され、第3リングギアおよび第4リングギアが1つの第2リングギア部材に形成されるため、部品点数の削減に貢献できる。
前記第14側面に従う第15側面の自転車用変速機において、前記第2リングギア部材は、第2ギア部を含み、前記第2ギア部は、前記第3リングギアおよび前記第4リングギアとして共用される。
上記構成によれば、第2ギア部が第3リングギアおよび第4リングギアとして共用されるため、第2リングギア部材の構成を簡単にすることができる。
前記第13〜第15側面のいずれか一つに従う第16側面の自転車用変速機において、前記第3設定部材によって前記第3太陽ギアを前記規制状態から前記回転状態に設定し、かつ、前記第4設定部材によって前記第4太陽ギアを前記回転状態から前記規制状態に設定する動作において、前記第4設定部材によって前記第4太陽ギアを前記回転状態から前記規制状態に設定した後に、前記第3設定部材によって前記第3太陽ギアを前記規制状態から前記回転状態に設定する。
上記構成によれば、第3設定部材によって第3太陽ギアが規制状態から回転状態に設定されるときには、第4設定部材によって第4太陽ギアが規制状態に設定されているため、第3設定部材と第3太陽ギアとの間に働く力を小さくした状態で変速比を変更できる。このため、好適に変速比を変更できる。
本発明の第17側面に従う自転車用変速機の一形態は、入力体の回転を変速して出力体に伝達する自転車用変速機であって、前記入力体からの回転を変速して前記出力体に出力可能な変速機構を含み、前記入力体からの回転を2段階以上の変速比で前記出力体に伝達する伝達機構と、前記伝達機構における変速経路を設定する設定機構と、支持部材と、を備え、前記変速機構は、回転可能な回転状態と回転が規制される規制状態とのいずれか一方に設定可能に前記支持部材に支持される複数の伝達体を備え、前記複数の伝達体は、第1伝達体および第2伝達体を含み、前記伝達機構における前記変速経路は、前記入力体からの回転を前記第1伝達体を介して変速して前記出力体に伝達する第1経路、および、前記入力体からの回転を前記第2伝達体を介して前記第1経路よりも1段階大きい前記変速比で変速して前記出力体に伝達する第2経路を含み、前記設定機構は、前記変速経路を前記第1経路から前記第2経路に設定する動作において、前記第2伝達体を前記回転状態から前記規制状態に設定した後に、前記第1伝達体を前記規制状態から前記回転状態に設定する。
上記構成によれば、第1伝達体が規制状態から回転状態に設定されるときには、第2伝達体が規制状態に設定されているため、第2伝達体に働く力を小さくした状態で変速比を変更できる。このため、好適に変速比を変更できる。
前記第17側面に従う第18側面の自転車用変速機において、前記変速機構は、第1変速機構を含み、前記第1変速機構は、第1遊星機構および第2遊星機構を含み、前記第1遊星機構は、前記第1伝達体である第1太陽ギアを含み、前記第2遊星機構は、前記第2伝達体である第2太陽ギアを含み、前記設定機構は、前記回転状態と前記規制状態とのいずれか一方に前記第1太陽ギアを設定する第1設定部材、および、前記回転状態と前記規制状態とのいずれか一方に前記第2太陽ギアを設定する第2設定部材を含み、前記第1太陽ギアおよび前記第2太陽ギアの一方が前記規制状態であれば、前記第1太陽ギアおよび前記第2太陽ギアの他方が前記回転状態であるように前記第1設定部材と前記第2設定部材とを制御する。
上記構成によれば、第1設定部材と第2設定部材とによって第1遊星機構および第2遊星機構の一方のみが規制状態となるため、第1遊星機構および第2遊星機構の一方のみを経由する変速経路が形成される。また、第1設定部材によって第1太陽ギアが規制状態から回転状態に設定されるときに、第2設定部材によって第2太陽ギアを規制状態に設定できるため、第1設定部材と第1太陽ギアとの間に働く力を適切に小さくできる。
前記第17または第18側面に従う第19側面の自転車用変速機において、前記変速機構は、第2変速機構を含み、前記第2変速機構は、第3遊星機構および第4遊星機構を含み、前記第3遊星機構は、前記第1伝達体である第3太陽ギアを含み、前記第4遊星機構は、前記第2伝達体である第4太陽ギアを含み、前記設定機構は、前記回転状態と前記規制状態とのいずれか一方に前記第3太陽ギアを設定する第3設定部材、および、前記回転状態と前記規制状態とのいずれか一方に前記第4太陽ギアを設定する第4設定部材を含み、前記第3太陽ギアおよび前記第4太陽ギアの一方が前記規制状態であれば、前記第3太陽ギアおよび前記第4太陽ギアの他方が前記回転状態であるように前記第3設定部材と前記第4設定部材とを制御する。
上記構成によれば、第3設定部材と第4設定部材とによって第3遊星機構および第4遊星機構の一方のみが規制状態となるため、第3遊星機構および第4遊星機構の一方のみを経由する変速経路が形成される。また、第3設定部材によって第3太陽ギアが規制状態から回転状態に設定されるときに、第4設定部材によって第4太陽ギアを規制状態に設定できるため、第3設定部材と第3太陽ギアとの間に働く力を適切に小さくできる。
前記第17〜第19側面のいずれか一つに従う第20側面の自転車用変速機において、前記設定機構は、前記第1伝達体の内周部に係合可能に前記支持部材のまわりに配置される爪部材を含む。
上記構成によれば、第1伝達体と爪部材との係合によって好適に第1伝達体の規制状態を形成できる。
前記第20に従う第21側面の自転車用変速機において、前記第1伝達体の前記内周部には、前記爪部材が嵌入可能な溝が形成される。
上記構成によれば、第1伝達体の溝と爪部材との係合によってより好適に第1伝達体の規制状態を形成できる。
前記第17または第21側面に従う第22側面の自転車用変速機において、前記設定機構は、前記爪部材と前記第1伝達体との間に働くトルクが所定値以下の状態において、前記第1伝達体を前記規制状態から前記回転状態に設定するように構成される。
上記構成によれば、第1伝達体を規制状態から回転状態に設定する場合に、爪部材と第1伝達体との間に働くトルクを所定値以下にできるため、第1伝達体を規制状態から回転状態に適切に変更させることができる。
前記第22に従う第23側面の自転車用変速機において、前記所定値は、15Nmである。
上記構成によれば、第1伝達体を規制状態から回転状態に設定する場合に、爪部材と第1伝達体との間に働くトルクを15Nm以下にできるため、第1伝達体を規制状態から回転状態に適切に変更させることができる。
前記第1〜第23側面のいずれか一つに従う第24側面の自転車用変速機において、前記伝達機構は、前記入力体の回転を変速せずに前記出力体に出力する無変速経路をさらに形成する。
上記構成によれば、無変速経路を形成することで、自転車用変速機が実現できる変速比を増加させることができる。
前記第1〜第24側面のいずれか一つに従う第25側面の自転車用変速機において、前記自転車用変速機は、前記伝達機構および前記設定機構を収容するハブをさらに備える。
上記構成によれば、ハブを備える自転車用変速機においても、すなわち内装変速ハブにおいても、変速経路の構成を簡単にできる。
本発明の第26側面に従う自転車用アシストシステムの一形態は、前記第1〜第25側面のいずれか一つの自転車用変速機と、人力駆動力をアシストするモータと、を備える。
上記構成によれば、モータによって人力駆動力がアシストされる自転車に搭載される自転車用変速機においても変速経路の構成を簡単にできる。
前記第26側面に従う第27側面の自転車用変速機において、前記自転車用変速機を操作するために人手によって操作される操作部をさらに備え、前記自転車用変速機は、前記操作部への操作に応じて自転車の変速比を変更する。
上記構成によれば、操作部への操作に応じて自転車の変速比を変更する自転車に搭載される自転車用変速機においても変速経路の構成を簡単にできる。
本自転車用変速機およびこれを備える自転車用アシストシステムは、好適に変速比を変更できる。
第1実施形態の自転車用アシストシステムが搭載された自転車の側面図。 図1の自転車用アシストシステムの自転車用変速機の正面図。 図2の自転車用変速機の部分断面図。 図3の自転車用変速機のスリーブの斜視図。 のスリーブと第1設定部材との関係を示す模式図。 の第1設定部材が第1太陽ギアの溝と係合している状態を示す断面図。 のスリーブおよび第1設定部材の正面図。 図7の爪部材の斜視図。 図3の自転車用変速機のスケルトン図。 図3の自転車用変速機の第1変速段における変速経路を示す模式図。 図3の自転車用変速機の第2変速段における変速経路を示す模式図。 図3の自転車用変速機の第3変速段における変速経路を示す模式図。 図3の自転車用変速機の第4変速段における変速経路を示す模式図。 図3の自転車用変速機の第5変速段における変速経路を示す模式図。 図3の自転車用変速機の各変速段の変速経路を示すテーブル。 図3の自転車用変速機の変速比が第4変速段から第5変速段に変更されるときの各部材のタイミングチャート。 図3の自転車用変速機の変速比が第3変速段から第4変速段に変更されるときの各部材のタイミングチャート。 第2設定部材が第2状態から第1状態への変化が図16よりも遅い場合の各部材のタイミングチャート。 第2設定部材が第2状態から第1状態への変化が図18よりも遅い場合の各部材のタイミングチャート。 第2実施形態の自転車用変速機のスケルトン図。 図20の自転車用変速機に用いられるスリーブの斜視図。 図20の自転車用変速機の第1変速段における変速経路を示す模式図。 図20の自転車用変速機の第2変速段における変速経路を示す模式図。 図20の自転車用変速機の第3変速段における変速経路を示す模式図。 図20の自転車用変速機の第4変速段における変速経路を示す模式図。 図20の自転車用変速機の第5変速段における変速経路を示す模式図。 図20の自転車用変速機の各変速段の変速経路を示すテーブル。 図20の自転車用変速機の変速比が第2変速段から第3変速段に変更されるときの各部材のタイミングチャート。 図20の自転車用変速機の変速比が第4変速段から第5変速段に変更されるときの各部材のタイミングチャート。 変形例の第1設定部材の爪部材と溝とを示す断面図。 変形例の第2設定部材の爪部材と溝とを示す断面図。
(第1実施形態)
図1〜図19を参照して、第1実施形態の自転車用アシストシステム40を搭載する自転車10について説明する。
図1に示されるとおり、自転車10は、車体12、駆動機構14、前輪16、後輪18、および、自転車用アシストシステム40を備える。車体12は、フレーム12Aおよびフレーム12Aに取り付けられるハンドルバー12Bを備える。
駆動機構14は、クランク20、ペダル22、フロント回転体24、伝達部材26、リア回転体28を備える。クランク20は、クランク軸20Aおよびクランクアーム20Bを含む。駆動機構14は、ペダル22に加えられた人力駆動力を後輪18に伝達する。フロント回転体24は、スプロケット、プーリーまたはベベルギアを含む。リア回転体28は、スプロケット、プーリーまたはベベルギアを含む。伝達部材26は、例えば、チェーン、ベルト、またはシャフトを介して、クランク20の回転を後輪18に伝達するように構成される。フロント回転体24は、クランク軸20Aにワンウェイクラッチ(図示略)を介して結合される。ワンウェイクラッチは、クランク20が前転した場合に、フロント回転体24を前転させ、クランク20が後転した場合に、フロント回転体24を後転させないように構成される。フロント回転体24は、クランク軸20Aにワンウェイクラッチを介さずに結合してもよい。
自転車用アシストシステム40は、自転車用変速機50と、モータ42と、を備える。自転車用アシストシステム40は、操作部44およびバッテリユニット46をさらに備える。自転車用アシストシステム40は、自転車10に搭載される。
モータ42は、人力駆動力をアシストする。モータ42は、フレーム12Aに支持される。一例では、モータ42は、クランク軸20Aまわりに設けられて、クランク軸20Aにモータ42のトルクを伝達する。別の例では、モータ42は、前輪16の車軸16Aまたは後輪18の車軸18Aのまわりに設けられて前輪16または後輪18にモータ42のトルクを伝達する。
操作部44は、自転車用変速機50を操作するために人の手によって操作される。一例では、操作部44は、ハンドルバー12Bに設けられる。操作部44には、ボーデンケーブル(図示略)の一端が取り付けられる。操作部44をユーザが操作することによって、ボーデンケーブルのインナケーブルC1(図2参照)が移動する。ボーデンケーブルの他端は、自転車用変速機50に取り付けられる。
バッテリユニット46は、モータ42に電力を供給する。バッテリユニット46は、バッテリセル46Aおよびバッテリユニット46をフレーム12Aに取り付けるためのホルダ46Bを備える。
自転車用変速機50は、操作部44への操作に応じて自転車10の変速比を変更する。自転車用変速機50は、変速機構62を備える。変速機構62は、内装変速機である。自転車用変速機50は、ハブ18Cを備える。すなわち、図2に示されるとおり、自転車用変速機50は、ハブ18Cに一体的に設けられる内装ハブである。
図3に示されるとおり、内装変速ハブである自転車用変速機50は、伝達機構52および設定機構54を備える。ハブ18Cは、伝達機構52および設定機構54を収容する。自転車用変速機50は、支持部材56、入力体58、および、出力体60をさらに備える。支持部材56は、後輪18の車軸18Aと一体化されている。入力体58は、リア回転体28と一体的に回転可能に支持部材56まわりに設けられる。出力体60は、ハブシェルである。出力体60は、後輪18のスポーク18Bを取り付けるためのフランジ60Aを備える。自転車用変速機50は、入力体58の回転を変速して出力体60に伝達する。
伝達機構52は、複数の変速機構62を含む。複数の変速機構62は、少なくとも第1変速機構62Aを含む。複数の変速機構62は、第2変速機構62Bをさらに含む。伝達機構52は、入力体58からの回転を3段階以上の変速比で出力体60に伝達する。変速機構62は、入力体58からの回転を変速して出力体60に出力可能である。変速機構62は、段階的に変速比が大きくなるように構成される4つ以上の変速段を含む。変速機構62は、段階的に変速比が大きくなるように構成される5つ以上の変速段を含む。図3に示す変速機構62は、5つの変速段を含む。
複数の変速機構62は、それぞれ少なくとも1つの遊星機構64,66,68,70を含む。複数の変速機構62は、第1遊星機構64および第2遊星機構66を含む。複数の変速機構62は、第3遊星機構68および第4遊星機構70をさらに含む。具体的には、第1変速機構62Aは、第1遊星機構64および第2遊星機構66を含む。第2変速機構62Bは、第3遊星機構68および第4遊星機構70を含む。第1遊星機構64は、自転車用変速機50の軸方向において入力体58の隣に配置される。第2遊星機構66は、自転車用変速機50の軸方向において第1遊星機構64の隣かつ、入力体58とは反対側に配置される。第4遊星機構70は、自転車用変速機50の軸方向において第2遊星機構66の隣かつ、第1遊星機構64とは反対側に配置される。第3遊星機構68は、自転車用変速機50の軸方向において第遊星機構70の隣かつ、第2遊星機構66とは反対側に配置される。
第1遊星機構64は、第1太陽ギア72、第1リングギア74、第1遊星ギア76、および、第1キャリア78を含む。第1太陽ギア72は、支持部材56の軸まわりに支持部材56に回転可能に支持される。第1リングギア74は、第1太陽ギア72まわりに配置される。第1遊星ギア76は、第1太陽ギア72と係合し第1太陽ギア72および第1リングギア74に対して公転可能である。第1遊星機構64は、複数の第1遊星ギア76を含む。第1キャリア78は、複数の第1遊星ギア76をそれぞれ回転可能に支持する。第1キャリア78は、支持部材56の軸まわりに回転可能に設けられる。複数の第1遊星ギア76はそれぞれ、第1キャリア78の回転に伴って第1太陽ギア72まわりで公転する。第1キャリア78は、入力体58に接続されて、入力体58からの回転が伝達される。第1遊星機構64は、入力体58からの回転を増速して出力するように構成される。
第2遊星機構66は、第2太陽ギア80、第2リングギア82、第2遊星ギア84、および、第2キャリア86を含む。第2太陽ギア80は、支持部材56の軸まわりに支持部材56に回転可能に支持される。第2リングギア82は、第2太陽ギア80まわりに配置される。第2遊星ギア84は、第2太陽ギア80と係合し第2太陽ギア80および第2リングギア82に対して公転可能である。第2遊星機構66は、複数の第2遊星ギア84を含む。第2キャリア86は、複数の第2遊星ギア84をそれぞれ回転可能に支持する。第2キャリア86は、支持部材56の軸まわりに回転可能に設けられる。複数の第2遊星ギア84はそれぞれ、第2キャリア86の回転に伴って第2太陽ギア80まわりで公転する。第2遊星機構66は、入力体58からの回転を増速して出力するように構成される。第2キャリア86は、入力体58に接続されて、入力体58からの回転が伝達される。
第1遊星機構64および第2遊星機構66は、いずれも入力体58からの回転を増速して出力するように構成される。第1太陽ギア72の歯数は、第2太陽ギア80の歯数よりも少ない。第1遊星ギア76の歯数は、第2遊星ギア84の歯数よりも多い。第1リングギア74の歯数および第2リングギア82の歯数は等しい。第1リングギア74および第2リングギア82は、第1リングギア部材88に形成される。第1リングギア部材88は、第1ギア部88Aを含む。第1ギア部88Aは、第1リングギア74および第2リングギア82として共用される。第1遊星ギア76および第2遊星ギア84は、第1遊星ギア部材90に形成される。第1遊星ギア部材90は、いわゆる段付きの遊星ギアを構成する。第1キャリア78および第2キャリア86は、一体に形成される。
第3遊星機構68は、第3太陽ギア92、第3リングギア94、第3遊星ギア96、および、第3キャリア98を含む。第3太陽ギア92は、支持部材56の軸まわりに支持部材56に回転可能に支持される。第3リングギア94は、第3太陽ギア92まわりに配置される。第3遊星ギア96は、第3太陽ギア92と係合し第3太陽ギア92および第3リングギア94に対して公転可能である。第3遊星機構68は、複数の第3遊星ギア96を含む。第3キャリア98は、複数の第3遊星ギア96をそれぞれ回転可能に支持する。第3キャリア98は、支持部材56の軸まわりに回転可能に設けられる。複数の第3遊星ギア96はそれぞれ、第3キャリア98の回転に伴って第3太陽ギア92まわりで公転する。第3キャリア98は、第1リングギア部材88に接続されて、第1リングギア部材88からの回転が伝達される。
第4遊星機構70は、第4太陽ギア100、第4リングギア102、第4遊星ギア104、および、第4キャリア106を含む。第4太陽ギア100は、支持部材56の軸まわりに支持部材56に回転可能に支持される。第4リングギア102は、第4太陽ギア100まわりに配置される。第4遊星ギア104は、第4太陽ギア100と係合し第4太陽ギア100および第4リングギア102に対して公転可能である。第4遊星機構70は、複数の第4遊星ギア104を含む。第4キャリア106は、複数の第4遊星ギア104をそれぞれ回転可能に支持する。第4キャリア106は、支持部材56の軸まわりに回転可能に設けられる。複数の第4遊星ギア104はそれぞれ、第4キャリア106の回転に伴って第4太陽ギア100まわりで公転する。第4キャリア106は、第1リングギア部材88に接続されて、第1リングギア部材88からの回転が伝達される。
第3遊星機構68は、入力体58からの回転を増速して出力するように構成される。第4遊星機構70は、入力体58からの回転を増速して出力するように構成される。第3太陽ギア92の歯数は、第4太陽ギア100の歯数よりも少ない。第3遊星ギア96の歯数は、第4遊星ギア104の歯数よりも多い。第3リングギア94の歯数および第4リングギア102の歯数は等しい。第3リングギア94および第4リングギア102は、第2リングギア部材108に形成される。第2リングギア部材108は、第2ギア部108Aを含む。第2ギア部108Aは、第3リングギア94および第4リングギア102として共用される。第3遊星ギア96および第4遊星ギア104は、第2遊星ギア部材110に形成される。第2遊星ギア部材110は、いわゆる段付きの遊星ギアを構成する。第3キャリア98および第4キャリア106は、一体に形成される。
変速機構62は、支持部材56に支持される複数の伝達体(ここでは太陽ギア)を備える。伝達体は、回転可能な回転状態と回転が規制される規制状態とのいずれか一方に設定可能である。複数の伝達体は、第1伝達体および第2伝達体を含む。第1変速機構62Aの第1伝達体は、第1太陽ギア72であり、第2伝達体は、第2太陽ギア80である。第2変速機構62Bの第1伝達体は、第3太陽ギア92であり、第2伝達体は、第4太陽ギア100である。
設定機構54は、入力体58の回転の伝達機構52における変速経路Sを設定する。設定機構54は、複数の変速経路Sのうちの1つを設定する。複数の変速経路Sは、第1変速経路S10(図11)を含む。複数の変速経路Sは、第2変速経路S20(図12)をさらに含む。伝達機構52は、入力体58の回転を変速せずに出力体60に出力する無変速経路S0(図10)をさらに形成する。
図3に示されるとおり、設定機構54は、第1設定部材112、第2設定部材114、第3設定部材116、第4設定部材118、制御部材120、スリーブ122、第1切替部124、および、第2切替部126を含む。この実施形態では、第1設定部材112、第2設定部材114、第3設定部材116、および、第4設定部材118はそれぞれ、伝達体である太陽ギアの内周部に係合可能に支持部材56のまわりに配置される爪部材である。つまり、設定機構54は、伝達体の内周部に係合可能に支持部材56のまわりに配置される爪部材を含む。
第1設定部材112は、支持部材56に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に第1太陽ギア72を設定する。第2設定部材114は、支持部材56に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に第2太陽ギア80を設定する。第3設定部材116は、支持部材56に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に第3太陽ギア92を設定する。第4設定部材118は、支持部材56に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に第4太陽ギア100を設定する。
制御部材120は、支持部材56まわりに支持部材56に対して回転可能に設けられる。制御部材120は、インナケーブルC1の端部が接続される回転体C2(図2参照)に接続されて、回転体C2と一体に回転する。回転体C2は、操作部44(図1参照)の操作によってインナケーブルC1が移動すると回転する。このため、制御部材120も回転体C2の回転に伴って支持部材56まわりで回転する。
図4に示されるとおり、スリーブ122は、第1アーム部122A、第2アーム部122B、第3アーム部122C、第4アーム部122D、および、ベース部122Eを備える。各アーム部122A〜122Dは、支持部材56の周方向に沿うように湾曲する。ベース部122Eは、支持部材56の軸方向に延びて各アーム部122A〜122Dを接続する。アーム部122A〜122Dの数は、設定部材112,114,116,118の数と等しい。各アーム部122A〜122Dには、各アーム部122A〜122Dの延びる方向における端部または中間部に傾斜面が形成される。スリーブ122は、制御部材120に嵌め込まれ、支持部材56まわりで制御部材120と一体に回転する。
図5〜図8に示されるとおり、第1設定部材112は、第1伝達体である第1太陽ギア72と支持部材56との間に配置される。第1伝達体である第1太陽ギア72の内周部には、爪部材である第1設定部材112が嵌入可能な溝72Sが形成される。爪部材である第1設定部材112は、第1太陽ギア72の内周部に係合可能に支持部材56のまわりに配置される。爪部材である第1設定部材112は、爪部112Aおよび第1アーム部122Aの内周面に係合する係合部112Bを備える。第1アーム部122Aが支持部材56まわりで回転すると、係合部112Bが第1アーム部122Aの傾斜面に沿って移動して、第1設定部材112が回転する。爪部112Aが第1太陽ギア72の溝72S(内周部の凹部)に向かって突出した状態(図5の実線)は、第1太陽ギア72の支持部材56に対して回転不能な規制状態を形成する。以下では、爪部112Aが溝72Sに向かって突出した状態を、第1設定部材112の第1状態とする。爪部112Aが第1太陽ギア72の溝72S(内周部の凹部)から抜け出した状態(図5の二点鎖線)は、第1太陽ギア72の支持部材56に対して回転可能な回転状態を形成する。以下では、爪部112Aが溝72Sの内部から抜け出した状態を、第1設定部材112の第2状態とする。以下では、第1設定部材112が第1状態を形成可能な第1アーム部122Aの位置を、突出可能位置とする。以下では、第1設定部材112が第2状態に維持される第2アーム部122Bの位置を、突出不能位置とする。第1アーム部122Aが突出可能位置にあるとき、第1設定部材112は、第1状態および第2状態の両方を取り得る。第1アーム部122Aが突出不能位置にあるとき、第1設定部材112は、第2状態のみを取り得る。図6に示されるとおり、第1設定部材112が第1状態かつ爪部112Aが溝72Sと係合した状態において、爪部材である第1設定部材112は、第1伝達体である第1太陽ギア72の第1方向Aの移動を規制する。図5〜図8では、第1設定部材112と第1太陽ギア72と第1アーム部122Aとの関係について説明したが、他の部材についても同様の構成によって太陽ギア80,92,100回転状態と規制状態とを形成する。第2太陽ギア80は、第2設定部材114および第2アーム部122Bによって回転状態と規制状態とが形成される。第3太陽ギア92は、第3設定部材116および第3アーム部122Cによって回転状態と規制状態とが形成される。第4太陽ギア100は、第4設定部材118および第4アーム部122Dによって回転状態と規制状態とが形成される。第2アーム部122Bは、爪部材である第2設定部材114が第1状態を形成可能な突出可能位置と、爪部材である第2設定部材114が第2状態に維持される突出不能位置との間において移動する。第3アーム部122Cは、爪部材である第3設定部材116が第1状態を形成可能な突出可能位置と、爪部材である第3設定部材116が第2状態に維持される突出不能位置との間において移動する。第4アーム部122Dは、爪部材である第4設定部材118が第1状態を形成可能な突出可能位置と、爪部材である第4設定部材118が第2状態に維持される突出不能位置との間において移動する。なお、図5、図6、および、図8には第1設定部材112以外の設定部材の符号、および、第1太陽ギア72以外の太陽ギアの符号が括弧内に示されているが、実際のこれら他の設定部材および太陽ギアの大きさ、形状などは、第1設定部材112、および、第1太陽ギア72とは異なっていてもよい。
図7に示されるとおり、設定機構54は、付勢部材119をさらに含む。付勢部材119は、それぞれ、第1設定部材112、第2設定部材114、第3設定部材116、および、第4設定部材118を付勢するように、第1設定部材112、第2設定部材114、第3設定部材116、および、第4設定部材118に設けられる。各付勢部材119は、伝達体である各太陽ギア72,80,92,100に向かって突出する方向の力を爪部材である各設定部材112,114,116,118に付与する。付勢部材119は、一例では、コイルばねである。図8に示されるとおり、付勢部材119は、第1設定部材112の周方向に延びる凹部112Cに嵌め込まれ、かつ、支持部材56に巻き掛けられる。他の設定部材においても同様に付勢部材119が設けられる。
図4に示す設定機構54は、第1太陽ギア72および第2太陽ギア80の一方が規制状態であれば、第1太陽ギア72および第2太陽ギア80の他方が回転状態であるように第1設定部材112と第2設定部材114とを制御する。設定機構54は、第3太陽ギア92および第4太陽ギア100の一方が規制状態であれば、第3太陽ギア92および第4太陽ギア100の他方が回転状態であるように第3設定部材116と第4設定部材118とを制御する。設定機構54は、スリーブ122の各アーム部122A〜122Dの傾斜面を周方向において異なる位置に設けることによって、各太陽ギア72,80,92,100の回転状態と規制状態とが切り替えられる制御部材120の回転位相を異ならせる。
第1切替部124および第2切替部126は、入力体58の回転が第2変速機構62Bによる変速を経由して出力体60に出力される第1状態と、入力体58の回転が第2変速機構62Bによる変速を経由せずに出力体60に出力される第2状態とを形成する。
第1切替部124は、第1ワンウェイクラッチ124Aを含む。第1ワンウェイクラッチ124Aは、例えばローラクラッチである。第1ワンウェイクラッチ124Aは、第2リングギア部材108と出力体60との間に配置される。具体的には、第2リングギア部材108が第1ワンウェイクラッチ124Aのインナレースと一体化され、出力体60の内周部が第1ワンウェイクラッチ124Aのアウタレースと一体化される。第1ワンウェイクラッチ124Aは、第2リングギア部材108の回転速度が出力体60の回転速度よりも遅い場合、第2リングギア部材108と出力体60との相対回転を許容する。第1ワンウェイクラッチ124Aは、第2リングギア部材108の回転速度が出力体60の回転速度以上の場合、第1リングギア部材88と出力体60とを一体に回転させる。
第2切替部126は、第2ワンウェイクラッチ126Aを含む。第2ワンウェイクラッチ126Aは、例えば爪を有するワンウェイクラッチである。第2ワンウェイクラッチ126Aは、第3キャリア98および第4キャリア106と、出力体60との間に配置される。第2ワンウェイクラッチ126Aは、第3キャリア98および第4キャリア106の回転を出力体60に伝達し、出力体60の回転を第3キャリア98および第4キャリア106に伝達しない。
第1太陽ギア72および第2太陽ギア80の両方が回転状態にあり、第3太陽ギア92および第4太陽ギア100の両方が回転状態にある場合、第1遊星機構64、第2遊星機構66、第3遊星機構68、および、第4遊星機構70に入力された回転は増速されない。このため、入力体58の回転は、第1遊星機構64、第2遊星機構66、第3遊星機構68、および、第4遊星機構70による変速を経由せずに第1切替部124を介して出力体60に出力される。第3キャリア98および第4キャリア106と出力体60との相対回転は、第2切替部126によって許容される。
第1太陽ギア72および第2太陽ギア80の一方が規制状態にあり、第3太陽ギア92および第4太陽ギア100の両方が回転状態にある場合、第3遊星機構68および第4遊星機構70に入力された回転は増速されない。このため、入力体58の回転は、第3遊星機構68および第4遊星機構70による変速を経由せずに第1切替部124を介して出力体60に出力される。第3キャリア98および第4キャリア106と出力体60との相対回転は、第2切替部126によって許容される。
第1太陽ギア72および第2太陽ギア80の一方が規制状態にあり、第3太陽ギア92および第4太陽ギア100の一方が規制状態にある場合、第3遊星機構68または第4遊星機構70に入力された回転は増速される。このため、入力体58の回転は、第3遊星機構68または第4遊星機構70による変速を経由して第2切替部126を介して出力体60に出力される。
伝達機構52は、第1変速経路S10および第2変速経路S20を少なくとも形成する。第1変速経路S10は、少なくとも第1変速機構62Aでの変速を経由して、入力体58からの回転を3段階以上の変速比のうちの第1変速比および第2変速比の一方で出力体60に伝達する。第2変速経路S20は、第1変速経路S10において経由される変速機構62とは異なる第2変速機構62Bでの変速を経由して、入力体58からの回転を第1変速比および第2変速比よりも大きい変速比で出力体60に伝達する。
第1変速経路S10は、第1遊星変速経路S11および第2遊星変速経路S12を含む。第1遊星変速経路S11は、第1遊星機構64での変速を経由し第2遊星機構66での変速を経由せず入力体58からの回転を第1変速比で出力体60に伝達する。第2遊星変速経路S12は、第1遊星機構64での変速を経由せず第2遊星機構66での変速を経由して入力体58からの回転を第2変速比で出力体60に伝達する。
設定機構54は、第2変速経路S20において第1遊星機構64での変速を経由しないように伝達機構52を設定する。第2変速経路S20は、第3遊星変速経路S21および第4遊星変速経路S22を含む。第3遊星変速経路S21は、第3遊星機構68での変速を経由し第4遊星機構70での変速を経由せず入力体58からの回転を第2変速比よりも大きい第3変速比で出力体60に伝達する。第4遊星変速経路S22は、第3遊星機構68での変速を経由せず第4遊星機構70での変速を経由して入力体58からの回転を第3変速比よりも大きい第4変速比で出力体60に伝達する。
第1変速経路S10は、少なくとも1つの変速機構62での変速を経由して、入力体58からの回転を3段階以上の変速比のうちの第1所定変速比で出力体60に伝達する。第2変速経路S20は、第1変速経路S10において経由される変速機構62とは異なる変速機構62での変速を経由して、入力体58からの回転を第1所定変速比よりも大きい第2所定変速比で出力体60に伝達する。設定機構54は、第2変速経路S20において第1変速経路S10において経由される変速機構62での変速を経由する場合、第2所定変速比よりも大きい変速比と対応する変速経路Sにおいて第1変速経路S10において経由される変速機構62での変速を経由するように伝達機構52を設定する。
伝達機構52における変速経路Sは、第1経路SAおよび第2経路SBを含む。第1経路SAは、入力体58からの回転を第1伝達体(第1変速機構62Aにおいては第1太陽ギア72、第2変速機構62Bにおいては第3太陽ギア92)を介して変速して出力体60に伝達する。第2経路SBは、入力体58からの回転を第2伝達体(第1変速機構62Aにおいては第2太陽ギア80、第2変速機構62Bにおいては第4太陽ギア100)を介して第1経路SAよりも1段階大きい変速比で変速して出力体60に伝達する。第1変速機構62Aに関して、第1経路SAは、第1遊星変速経路S11に相当し、第2経路SBは、第2遊星変速経路S12に相当する。第2変速機構62Bに関して、第1経路SAは、第3遊星変速経路S21に相当し、第2経路SBは、第4遊星変速経路S22に相当する。
設定機構54は、変速経路Sを第1経路SAから第2経路SBに設定する設定動作を行う。設定動作において、設定機構54は、第1伝達体を規制状態から回転状態に設定し、かつ、第2伝達体を回転状態から規制状態に設定する。設定動作において、設定機構54は、第2伝達体を回転状態から規制状態に設定した後に、第1伝達体を規制状態から回転状態に設定する。設定動作は、第1変速機構62Aに対して行われる第1設定動作、および、第2変速機構62Bに対して行われる第2設定動作を含む。
第1設定動作において、設定機構54は、第1設定部材112によって第1伝達体である第1太陽ギア72を規制状態から回転状態に設定し、かつ、第2設定部材114によって第2伝達体である第2太陽ギア80を回転状態から規制状態に設定する。第1設定動作において、設定機構54は、第2設定部材114によって第2伝達体である第2太陽ギア80を回転状態から規制状態に設定した後に、第1設定部材112によって第1伝達体である第1太陽ギア72を規制状態から回転状態に設定する。具体的には、設定機構54は、第2アーム部122Bを回転可能位置から回転不能位置に移動させることによって第2設定部材114に第2太陽ギア80を回転状態から規制状態に設定させる。設定機構54は、第1アーム部122Aを回転不能位置から回転可能位置に移動させることによって、第1設定部材112に第1太陽ギア72を規制状態から回転状態に設定させる。
第2設定動作において、設定機構54は、第3設定部材116によって第1伝達体である第3太陽ギア92を規制状態から回転状態に設定し、かつ、第4設定部材118によって第2伝達体である第4太陽ギア100を回転状態から規制状態に設定する。第2設定動作において、設定機構54は、第4設定部材118によって第2伝達体である第4太陽ギア100を回転状態から規制状態に設定した後に、第3設定部材116によって第1伝達体である第3太陽ギア92を規制状態から回転状態に設定する。具体的には、設定機構54は、第4アーム部122Dを回転可能位置から回転不能位置に移動させることによって第4設定部材118に第4太陽ギア100を回転状態から規制状態に設定させる。設定機構54は、第3アーム部122Cを回転不能位置から回転可能位置に移動させることによって、第3設定部材116に第3太陽ギア92を規制状態から回転状態に設定させる。
設定機構54は、爪部材である第1設定部材112と第1伝達体である第1太陽ギア72との間に働くトルクが所定値M以下の状態において、第1伝達体を規制状態から回転状態に設定するように構成される。好ましくは、所定値Mは、15Nmである。所定値Mは、第1設定部材112の爪部112Aの形状、第1太陽ギア72の溝72Sの形状、および、付勢部材119の付勢力によって設定される。設定機構54は、爪部材である第3設定部材116と第1伝達体である第3太陽ギア92との間に働くトルクが所定値M以下の状態において、第1伝達体を規制状態から回転状態に設定するように構成される。所定値Mは、第3設定部材116の爪部116Aの形状、第3太陽ギア92の溝92Sの形状、および、付勢部材119の付勢力によって設定される。
図9〜図14および表1を参照して、各変速段と伝達機構52の構成要素との関係を説明する。
図9および表1に示されるとおり、第1変速段では、第1太陽ギア72が回転状態にあり、第2太陽ギア80が回転状態にあり、第3太陽ギア92が回転状態にあり、かつ、第4太陽ギア100が回転状態にある。図10に示されるとおり、第1変速段では、変速経路Sは無変速経路S0を形成する。この場合、変速比は、最小変速比0である。最小変速比0は、「1」である。
図9および表1に示されるとおり、第2変速段では、第1太陽ギア72が規制状態にあり、第2太陽ギア80が回転状態にあり、第3太陽ギア92が回転状態にあり、かつ、第4太陽ギア100が回転状態にある。図11に示されるとおり、第2変速段では、変速経路Sは、第1増速経路S1を形成する。第1増速経路S1は、第1変速経路S10を経由し、第2変速経路S20を経由しない。変速経路Sは、第1変速経路S10のうちの第1遊星変速経路S11のみを経由する第1増速経路S1を形成する。この場合、変速比は最小変速比0よりも大きい第1増速比1になる。第1増速比1は、「第1所定変速比」に相当する。
図9および表1に示されるとおり、第3変速段では、第1太陽ギア72が規制状態にあり、第2太陽ギア80が回転状態にあり、第3太陽ギア92が規制状態にあり、かつ、第4太陽ギア100が回転状態にある。図12に示されるとおり、第3変速段では、変速経路Sは、第2増速経路S2を形成する。第2増速経路S2は、第1変速経路S10および第2変速経路S20を経由する。変速経路Sは、第1変速経路S10のうちの第1遊星変速経路S11、および、第2変速経路S20のうちの第3遊星変速経路S21を経由する第2増速経路S2を形成する。この場合、変速比は第1増速比1よりも大きい第2増速比2になる。第2増速比2は、「第1変速比」および「第2所定変速比」に相当する。
図9および表1に示されるとおり、第4変速段では、第1太陽ギア72が規制状態にあり、第2太陽ギア80が回転状態にあり、第3太陽ギア92が回転状態にあり、かつ、第4太陽ギア100が規制状態にある。図13に示されるとおり、第変速段では、変速経路Sは、第3増速経路S3を形成する。第3増速経路S3は、第1変速経路S10および第2変速経路S20を経由する。変速経路Sは、第1変速経路S10のうちの第1遊星変速経路S11、および、第2変速経路S20のうちの第4遊星変速経路S22を経由する第3増速経路S3を形成する。この場合、変速比は第2増速比2よりも大きい第3増速比3になる。第3増速比3は、「第2変速比」および「第2所定変速比よりも大きい変速比」に相当する。
図9および表1に示されるとおり、第5変速段では、第1太陽ギア72が回転状態にあり、第2太陽ギア80が規制状態にあり、第3太陽ギア92が回転状態にあり、かつ、第4太陽ギア100が規制状態にある。図14に示されるとおり、第5変速段では、変速経路Sは、第4増速経路S4を形成する。第4増速経路S4は、第1変速経路S10および第2変速経路S20を経由する。変速経路Sは、第1変速経路S10のうちの第2遊星変速経路S12、および、第2変速経路S20のうちの第4遊星変速経路S22を経由する第4増速経路S4を形成する。この場合、変速比は第3増速比3よりも大きい第4増速比4になる。第4増速比4は、「第3変速比」および「第2所定変速比よりも大きい変速比」に相当する。
表2は、本実施形態の各遊星機構64,66,68,70のギアの歯数の一例を示す。
図9、図15、および、表1を参照して、第1実施形態の自転車用変速機50の第1作用について説明する。
図15の実線の矢印は、伝達機構52の変速段を上昇する場合に変速経路Sが経由する第1変速経路S10および第2変速経路S20の変化を示す。伝達機構52は、第4変速段から第5変速段に変更する場合、第1遊星変速経路S11から第2遊星変速経路S12に変更する。伝達機構52は、第1遊星変速経路S11から第2遊星変速経路S12に変更した後は、それよりも大きい変速段で再び第1遊星変速経路S11を用いることはない。伝達機構52は、第3変速段から第4変速段に変更する場合、第3遊星変速経路S21から第4遊星変速経路S22に変更する。伝達機構52は、第3遊星変速経路S21から第4遊星変速経路S22に変更した後は、それよりも大きい変速段で再び第3遊星変速経路S21を用いることはない。
従来の自転車用変速機では、インナケーブルC1の移動にともなって第1変速機構と第2変速機構とを連結して第2変速機構から出力体に回転を伝達する状態切り替える切替部を備える。従来の自転車用変速機では、変速比を第3段階から第4段階に上昇させる場合、第2遊星歯車機構の太陽ギアを用いて変速を行う状態から第1遊星歯車機構の太陽ギアを用いて変速を行う状態に移行する。従来の自転車用変速機では、これと同時に、第1変速機構と第2変速機構とを連結して第2変速機構から出力体に回転を伝達する状態から第1変速機構から出力体に回転を伝達する状態に切り替える。すなわち、変速比を第3段階から第4段階に上昇させる場合に、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構との切り替えと、第1変速機構と第2変速機構との接続状態との切り替えの両方が行われる。これは例えば図15において、実線の矢印で示す第2変速段の後に二点鎖線の矢印で示される順で仮想の第3変速段および仮想の第4変速段を形成する。仮想の第3変速段は、第2遊星変速経路S12を用いかつ第2変速経路S20を経由しない。仮想の第4変速段は、第1遊星変速経路S11を経由し、第3遊星変速経路S21を経由する。このため、仮想の第3変速段から仮想の第4変速段に切り替わる際に、第2遊星変速経路S12から第1遊星変速経路S11への切り替えが行われる。このように、変速経路の構成が複雑化する。
自転車用変速機50は、第1変速機構62Aから出力体60に回転を伝達する状態と、第1変速機構62Aから第2変速機構62Bを介して第2変速機構62Bから出力体60に回転を伝達する状態の切り替えは、第1ワンウェイクラッチ124Aによって行われる。すなわち、インナケーブルC1等の外部からの力を用いずにこの切り替えを行うことができる。このため、従来の自転車用変速機と比較して、自転車用変速機50に入力されるトルクが大きい場合でも変速性能が低下しにくい。
表1に示されるとおり、自転車用変速機50では、変速段を変更する場合には、第1太陽ギア72、第2太陽ギア80、第3太陽ギア92、および、第4太陽ギア100のいずれか一つのみが回転状態から規制状態に変更される。このため、複数の太陽ギア72,80,92,100を回転状態から規制状態に変更する構成と比較して、規制状態に変更する際の変速性能の低下を抑制できる。
自転車用変速機50では、人力駆動力をアシストするモータ42の駆動によって自転車用変速機50に入力されるトルクが大きくなる場合であっても、変速性能の低下を好適に抑制できる。
図16〜図19、および、表1を参照して、第1実施形態の自転車用変速機50の第2作用について説明する。
図16は、第3増速比T3(第4変速段)から第4増速比T4(第5変速段)に変更する設定動作が行われる場合の各部材の状態の変化の一例を示す。
時刻t11は、第3増速比T3が形成されているときに、制御部材120が変速比の大きくなる方向に移動した時刻を示す。時刻t11までの期間においては、第1アーム部122Aは、突出可能位置に位置し、第2アーム部122Bは、突出不能位置に位置する。このため、第1設定部材112が第1状態、第1太陽ギア72が規制状態、第2設定部材114が第2状態、かつ、第2太陽ギア80が回転状態に維持されている。時刻t11において、第2アーム部122Bは、突出不能位置から突出可能位置に移動する。このため、第2設定部材114が第2状態から第1状態に向かって変化しようとする移行状態になる。第2設定部材114は、回転している第2太陽ギア80の溝80Sに爪部114Aが嵌まり込むと、移行状態から第1状態に変化する。
時刻t12は、第2設定部材114の爪部114Aが第2太陽ギア80の溝80Sに嵌まり込んで第2設定部材114が第1状態に変化し、爪部114Aが第2太陽ギア80の溝80Sと係合した時刻を示す。このとき、第2太陽ギア80が回転状態から規制状態に変化する。第2太陽ギア80が回転状態から規制状態に変化したことによって、変速比は第3増速比T3から第4増速比T4に変化する。このとき、第1設定部材112は、第1状態になっているが、第1設定部材112の爪部112Aと第1太陽ギア72との間では、トルク(駆動トルク)が作用していない無負荷の状態である。
時刻t13は、第1アーム部122Aが突出可能位置から突出不能位置に移動した時刻を示す。時刻t13において、第1設定部材112は、第2状態に変化する。このとき、第1設定部材112の爪部112Aと第1太陽ギア72との間では、トルクが作用していないため、第1アーム部122Aは、第1設定部材112を滑らかに第2状態に変化させることができる。
図17は、第2増速比T2(第3変速段)から第3増速比T3(第4変速段)に変更する設定動作が行われる場合の各部材の状態の変化の一例を示す。
時刻t21は、第2増速比T2が形成されているときに、制御部材120が変速比の大きくなる方向に移動した時刻を示す。時刻t21までの期間においては、第3アーム部122Cは、突出可能位置に位置し、第4アーム部122Dは、突出不能位置に位置する。このため、第3設定部材116が第1状態、第3太陽ギア92が規制状態、第4設定部材118が第2状態、かつ、第4太陽ギア100が回転状態に維持されている。時刻t21において、第4アーム部122Dは、突出不能位置から突出可能位置に移動する。このため、第4設定部材118が第2状態から第1状態に向かって変化しようとする移行状態になる。第4設定部材118は、回転している第4太陽ギア100の溝100Sに爪部118Aが嵌まり込むと、移行状態から第1状態に変化する。
時刻t22は、第4設定部材118の爪部118Aが第4太陽ギア100の溝100Sに嵌まり込んで第4設定部材118が第1状態に変化し、爪部118Aが第4太陽ギア100の溝100Sと係合した時刻を示す。このとき、第4太陽ギア100が回転状態から規制状態に変化する。第4太陽ギア100が回転状態から規制状態に変化したことによって、変速比は第2増速比T2から第3増速比T3に変化する。このとき、第3設定部材116は、第1状態になっているが、第3設定部材116の爪部116Aと第3太陽ギア92との間では、トルク(駆動トルク)が作用していない無負荷の状態である。
時刻t23は、第3アーム部122Cが突出可能位置から突出不能位置に移動した時刻を示す。時刻t23において、第3設定部材116は、第2状態に変化する。このとき、第3設定部材116の爪部116Aと第3太陽ギア92との間では、トルクが作用していないため、第3アーム部122Cは、第3設定部材116を滑らかに第2状態に変化させることができる。
図18は、第設定部材11の突出可能状態が形成されてから、第設定部材11が第状態になるまでの期間が図16よりも長い場合の第3増速比T3から第4増速比T4に変更する設定動作が行われる場合の各部材の状態の変化の一例を示す。
時刻t31は、図16の時刻t11と同じ状態を示す。
時刻t32は、第1設定部材112が第1状態、かつ、第2設定部材114が移行状態のまま、第1アーム部122Aが突出可能位置から突出不能位置まで移動した時刻を示す。第1設定部材112の爪部112Aと第1太陽ギア72との間に働くトルクは、所定値M以下であるため、第1設定部材112の爪部112Aと第1太陽ギア72との間に働くトルクが所定値Mよりも大きい場合と比較して、第1設定部材112が滑らかに第2状態に移動する。時刻t32において、第2設定部材114の爪部114Aが第2太陽ギア80の溝80Sに嵌まり込んで第2設定部材114が第1状態に変化すると、第2太陽ギア80が回転状態から規制状態に変化したことによって、変速比は第3増速比T3から第4増速比T4に変化する。第1アーム部122Aが突出可能位置から突出不能位置まで移動したため、第1太陽ギア72は、規制状態から回転状態に変化する。
図19は、第設定部材114の突出可能状態が形成されてから、第設定部材11が第状態になるまでの期間が図18よりも長い場合の第3増速比T3から第4増速比T4に変更する設定動作が行われる場合の各部材の状態の変化の一例を示す。
時刻t41は、図16の時刻t11と同じ状態を示す。
時刻t42は、第1設定部材112が第1状態、かつ、第2設定部材114が移行状態のまま、第1アーム部122Aが突出可能位置のうちの突出不能位置の直前の位置まで移動した時刻を示す。第1アーム部122Aから第1設定部材112にかかる力が、第1設定部材112の爪部112Aと第1太陽ギア72との間に働くトルクを上回るまで、第1アーム部122Aは、突出不能位置に移動しない。
時刻t43は、第2設定部材114の爪部114Aが第2太陽ギア80の溝80Sに嵌まり込んで第2設定部材114が第1状態に変化した時刻を示す。このとき、第2太陽ギア80が回転状態から規制状態に変化する。第2太陽ギア80が規制状態に変化したことによって、変速比は第3増速比T3から第4増速比T4に変化する。このとき、第1設定部材112は、第1状態になっているが、第1設定部材112の爪部112Aと第1太陽ギア72との間では、トルク(駆動トルク)が作用していない無負荷の状態である。
時刻t44は、第1アーム部122Aから第1設定部材112にかかる力が、第1設定部材112の爪部112Aと第1太陽ギア72との間に働くトルクを上回り、第1アーム部122Aが突出不能位置に移動した時刻を示す。時刻t43において、第1設定部材112の爪部112Aと第1太陽ギア72との間においてトルクが作用していない状態が形成されているため、第1アーム部122Aは、滑らかに突出不能位置に移動することができる。
第2増速比T2から第3増速比T3に変更する設定動作が行われる場合、時刻t21の後、第設定部材11が第状態になるまでの期間が図17よりも長い場合であっても図18および図19と同様に好適に変速比が変更される。
(第2実施形態)
図20〜図29を参照して、第2実施形態の自転車用変速機50の伝達機構52Aについて説明する。第2実施形態の伝達機構52Aは、第1実施形態の伝達機構52のギアの歯数とスリーブ128の形状が異なる以外は第1実施形態の伝達機構52と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図20に示されるとおり、伝達機構52Aは、複数の変速機構162を含む。複数の変速機構162は、少なくとも第1変速機構162Aを含む。複数の変速機構162は、第2変速機構162Bをさらに含む。伝達機構52Aは、入力体58からの回転を3段階以上の変速比で出力体60に伝達する。
複数の変速機構162は、それぞれ少なくとも1つの遊星機構64A,66A,68A,70Aを含む。複数の変速機構162は、第1遊星機構64Aおよび第2遊星機構66Aを含む。複数の変速機構162は、第3遊星機構68Aおよび第4遊星機構70Aをさらに含む。具体的には、第1変速機構162Aは、第1遊星機構64Aおよび第2遊星機構66Aを含む。第2変速機構162Bは、第3遊星機構68Aおよび第4遊星機構70Aを含む。第1遊星機構64Aは、自転車用変速機50の軸方向において入力体58と隣り合う位置に配置される。第2遊星機構66Aは、自転車用変速機50の軸方向において第1遊星機構64の隣かつ、入力体58とは反対側に配置される。第4遊星機構70Aは、自転車用変速機50の軸方向において第2遊星機構66Aの隣かつ、第1遊星機構64Aとは反対側に配置される。第3遊星機構68Aは、自転車用変速機50の軸方向において第遊星機構70Aの隣かつ、第2遊星機構66Aとは反対側に配置される。
第1遊星機構64Aは、第1太陽ギア72、第1リングギア74、第1遊星ギア76、および、第1キャリア78を含む。第2遊星機構66Aは、第2太陽ギア80、第2リングギア82、第2遊星ギア84、および、第2キャリア86を含む。第1遊星機構64Aおよび第2遊星機構66Aは、いずれも入力体58からの回転を増速して出力するように構成される。
第3遊星機構68Aは、第3太陽ギア92、第3リングギア94、第3遊星ギア96、および、第3キャリア98を含む。第4遊星機構70Aは、第4太陽ギア100、第4リングギア102、第4遊星ギア104、および、第4キャリア106を含む。第3遊星機構68Aは、入力体58からの回転を増速して出力するように構成される。第4遊星機構70Aは、入力体58からの回転を増速して出力するように構成される。
設定機構54は、第1設定部材112、第2設定部材114、第3設定部材116、第4設定部材118、制御部材120、スリーブ128、第1切替部124、および、第2切替部126を含む。
図21に示されるとおり、スリーブ128は、第1アーム部128A、第2アーム部128B、第3アーム部128C、第4アーム部128D、および、ベース部128Eを備える。各アーム部128A〜128Dは、支持部材56の周方向に沿うように湾曲する。ベース部128Eは、支持部材56の軸方向に延びて各アーム部128A〜128Dを接続する。アーム部128A〜128Dの数は、設定部材112,114,116,118の数と等しい。各アーム部128A〜128Dには、各アーム部128A〜128Dの延びる方向における端部または中間部に傾斜面が形成される。スリーブ128は、制御部材120に嵌め込まれ、支持部材56まわりで制御部材120と一体に回転する。
第1設定部材112(図5参照)は、第1太陽ギア72と支持部材56との間に配置される。第1設定部材112は、爪部112Aおよび第1アーム部128Aの内周面に係合する係合部112Bを備える。第1アーム部128Aが支持部材56まわりで回転すると、係合部112Bが第1アーム部128Aの傾斜面に沿って移動して、第1設定部材112が回転する。第2太陽ギア80は、第2設定部材114および第2アーム部128Bによって回転状態と規制状態とが形成される。第3太陽ギア92は、第3設定部材116および第3アーム部128Cによって回転状態と規制状態とが形成される。第4太陽ギア100は、第4設定部材118および第4アーム部128Dによって回転状態と規制状態とが形成される。設定機構54は、スリーブ128の各アーム部128A〜128Dの傾斜面を周方向において異なる位置に設けることによって、各太陽ギア72,80,92,100の回転状態と規制状態とが切り替えられる制御部材120の回転位相を異ならせる。
伝達機構52Aは、第1変速経路S10および第2変速経路S20を少なくとも形成する。第1変速経路S10は、少なくとも第1変速機構162Aでの変速を経由して、入力体58からの回転を3段階以上の変速比のうちの第1変速比および第2変速比の一方で出力体60に伝達する。第2変速経路S20は、第1変速経路S10において経由される変速機構162とは異なる第2変速機構162Bでの変速を経由して、入力体58からの回転を第1変速比および第2変速比よりも大きい変速比で出力体60に伝達する。第4遊星変速経路S22は、第3遊星機構68Aでの変速を経由せず第4遊星機構70Aでの変速を経由して入力体58からの回転を第3変速比よりも大きい第4変速比で出力体60に伝達する。設定機構54は、第4変速比よりも大きい変速比と対応する変速経路Sにおいて第3遊星機構68Aでの変速を経由しないように変速経路Sを設定する。
第1変速経路S10は、第1遊星変速経路S11および第2遊星変速経路S12を含む。第1遊星変速経路S11は、第1遊星機構64Aでの変速を経由し第2遊星機構66Aでの変速を経由せず入力体58からの回転を第1変速比で出力体60に伝達する。第2遊星変速経路S12は、第1遊星機構64Aでの変速を経由せず第2遊星機構66での変速を経由して入力体58からの回転を第2変速比で出力体60に伝達する。
設定機構54は、第2変速経路S20において第1遊星機構64Aでの変速を経由しないように伝達機構52Aを設定する。第2変速経路S20は、第3遊星変速経路S21および第4遊星変速経路S22を含む。第3遊星変速経路S21は、第3遊星機構68Aでの変速を経由し第4遊星機構70Aでの変速を経由せず入力体58からの回転を第2変速比よりも大きい第3変速比で出力体60に伝達する。第4遊星変速経路S22は、第3遊星機構68Aでの変速を経由せず第4遊星機構70Aでの変速を経由して入力体58からの回転を第3変速比よりも大きい第4変速比で出力体60に伝達する。
第1変速経路S10は、少なくとも1つの変速機構162での変速を経由して、入力体58からの回転を3段階以上の変速比のうちの第1所定変速比で出力体60に伝達する。第2変速経路S20は、第1変速経路S10において経由される変速機構162とは異なる変速機構162での変速を経由して、入力体58からの回転を第1所定変速比よりも大きい第2所定変速比で出力体60に伝達する。設定機構54は、第2変速経路S20において第1変速経路S10において経由される変速機構162での変速を経由する場合、第2所定変速比よりも大きい変速比と対応する変速経路Sにおいて第1変速経路S10において経由される変速機構162での変速を経由するように伝達機構52を設定する。
図20、図22〜図26、および、表3を参照して、各変速段と伝達機構52の構成要素との関係を説明する。
図20および表3に示されるとおり、第1変速段では、第1太陽ギア72が回転状態にあり、第2太陽ギア80が回転状態にあり、第3太陽ギア92が回転状態にあり、かつ、第4太陽ギア100が回転状態にある。図22に示されるとおり、第1変速段では、変速経路Sは無変速経路SX0を形成する。この場合、変速比は、最小変速比0である。最小変速比0は、「1」である。
図20および表3に示されるとおり、第2変速段では、第1太陽ギア72が規制状態にあり、第2太陽ギア80が回転状態にあり、第3太陽ギア92が回転状態にあり、かつ、第4太陽ギア100が回転状態にある。図23に示されるとおり、第2変速段では、変速経路Sは、第1増速経路SX1を形成する。第1増速経路SX1は、第1変速経路S10を経由し、第2変速経路S20を経由しない。変速経路Sは、第1変速経路S10のうちの第1遊星変速経路S11のみを経由する第1増速経路SX1を形成する。この場合、変速比は「1」よりも大きい第1増速比1になる。第1増速比1は、「第1変速比」に相当する。
図20および表3に示されるとおり、第3変速段では、第1太陽ギア72が回転状態にあり、第2太陽ギア80が規制状態にあり、第3太陽ギア92が回転状態にあり、かつ、第4太陽ギア100が回転状態にある。図24に示されるとおり、第3変速段では、変速経路Sは、第2増速経路SX2を形成する。第2増速経路SX2は、第1変速経路S10を経由し、第2変速経路S20を経由しない。変速経路Sは、第1変速経路S10のうちの第2遊星変速経路S12を経由する第2増速経路SX2を形成する。この場合、変速比は第1増速比1よりも大きい第2増速比2になる。第2増速比2は、「第2変速比」および「第1所定変速比」に相当する。
図20および表3に示されるとおり、第4変速段では、第1太陽ギア72が回転状態にあり、第2太陽ギア80が規制状態にあり、第3太陽ギア92が規制状態にあり、かつ、第4太陽ギア100が回転状態にある。図25に示されるとおり、第4変速段では、変速経路Sは、第3増速経路SX3を形成する。第3増速経路SX3は、第1変速経路S10および第2変速経路S20を経由する。変速経路Sは、第1変速経路S10のうちの第2遊星変速経路S12、および、第2変速経路S20のうちの第3遊星変速経路S21を経由する第3増速経路SX3を形成する。この場合、変速比は第2増速比2よりも大きい第3増速比3になる。第3増速比3は、「第3変速比」および「第2所定変速比」に相当する。
図20および表3に示されるとおり、第5変速段では、第1太陽ギア72が回転状態にあり、第2太陽ギア80が規制状態にあり、第3太陽ギア92が回転状態にあり、かつ、第4太陽ギア100が規制状態にある。図26に示されるとおり、第5変速段では、変速経路Sは、第4増速経路SX4を形成する。第4増速経路SX4は、第1変速経路S10および第2変速経路S20を経由する。変速経路Sは、第1変速経路S10のうちの第2遊星変速経路S12、および、第2変速経路S20のうちの第4遊星変速経路S22を経由する第4増速経路SX4を形成する。この場合、変速比は第3増速比3よりも大きい第4増速比4になる。第4増速比4は、「第4変速比」および「第2所定変速比よりも大きい変速比」に相当する。
表4は、本実施形態の各遊星機構64A,66A,68A,70Aのギアの歯数の一例を示す。
図27を参照して、第2実施形態の自転車用変速機50の第1作用について説明する。
図27の実線の矢印は、伝達機構52Aの変速段を上昇する場合に変速経路Sが経由する第1変速経路S10および第2変速経路S20の変化を示す。伝達機構52Aは、第2変速段から第3変速段に変更する場合、第1遊星変速経路S11から第2遊星変速経路S12に変更する。伝達機構52Aは、第1遊星変速経路S11から第2遊星変速経路S12に変更した後は、それよりも大きい変速段で再び第1遊星変速経路S11を用いることはない。伝達機構52は、第4変速段から第5変速段に変更する場合、第3遊星変速経路S21から第4遊星変速経路S22に変更する。伝達機構52は、第3遊星変速経路S21から第4遊星変速経路S22に変更した後は、それよりも大きい変速段で再び第3遊星変速経路S21を用いることはない。第2実施形態の自転車用変速機50によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
図28、図29、および、表3を参照して、第2実施形態の自転車用変速機50の第2作用について説明する。
図28は、第1増速比R1(第2変速段)から第2増速比R2(第3変速段)に変更する設定動作が行われる場合の各部材の状態の変化の一例を示す。
時刻t51は、第1増速比R1が形成されているときに、制御部材120が変速比の大きくなる方向に移動した時刻を示す。時刻t51までの期間においては、第1アーム部122Aは、突出可能位置に位置し、第2アーム部122Bは、突出不能位置に位置する。このため、第1設定部材112が第1状態、第1太陽ギア72が規制状態、第2設定部材114が第2状態、かつ、第2太陽ギア80が回転状態に維持されている。時刻t51において、第2アーム部122Bは、突出不能位置から突出可能位置に移動する。このため、第2設定部材114が第2状態から第1状態に向かって変化しようとする移行状態になる。第2設定部材114は、回転している第2太陽ギア80の溝80Sに爪部114Aが嵌まり込むと、移行状態から第1状態に変化する。
時刻t52は、第2設定部材114の爪部114Aが第2太陽ギア80の溝80Sに嵌まり込んで第2設定部材114が第1状態に変化し、爪部114Aが第2太陽ギア80の溝80Sと係合した時刻を示す。このとき、第2太陽ギア80が回転状態から規制状態に変化する。第2太陽ギア80が回転状態から規制状態に変化したことによって、変速比は第1増速比R1から第2増速比R2に変化する。このとき、第1設定部材112は、第1状態になっているが、第1設定部材112の爪部112Aと第1太陽ギア72との間では、トルク(駆動トルク)が作用していない無負荷の状態である。
時刻t53は、第1アーム部122Aが突出可能位置から突出不能位置に移動した時刻を示す。時刻t53において、第1設定部材112は、第2状態に変化する。このとき、第1設定部材112の爪部112Aと第1太陽ギア72との間では、トルクが作用していないため、第1アーム部122Aは、第1設定部材112を滑らかに第2状態に変化させることができる。
図29は、第3増速比R3(第4変速段)から第4増速比R4(第5変速段)に変更する設定動作が行われる場合の各部材の状態の変化の一例を示す。
時刻t61は、第3増速比R3が形成されているときに、制御部材120が変速比の大きくなる方向に移動した時刻を示す。時刻t61までの期間においては、第3アーム部122Cは、突出可能位置に位置し、第4アーム部122Dは、突出不能位置に位置する。このため、第3設定部材116が第1状態、第3太陽ギア92が規制状態、第4設定部材118が第2状態、かつ、第4太陽ギア100が回転状態に維持されている。時刻t61において、第4アーム部122Dは、突出不能位置から突出可能位置に移動する。このため、第4設定部材118が第2状態から第1状態に向かって変化しようとする移行状態になる。第4設定部材118は、回転している第4太陽ギア100の溝100Sに爪部118Aが嵌まり込むと、移行状態から第1状態に変化する。
時刻t62は、第4設定部材118の爪部118Aが第4太陽ギア100の溝100Sに嵌まり込んで第4設定部材118が第1状態に変化し、爪部118Aが第4太陽ギア100の溝100Sと係合した時刻を示す。このとき、第4太陽ギア100が回転状態から規制状態に変化する。第4太陽ギア100が回転状態から規制状態に変化したことによって、変速比は第3増速比R3から第4増速比R4に変化する。このとき、第3設定部材116は、第1状態になっているが、第3設定部材116の爪部116Aと第3太陽ギア92との間では、トルク(駆動トルク)が作用していない無負荷の状態である。
時刻t63は、第3アーム部122Cが突出可能位置から突出不能位置に移動した時刻を示す。時刻t63において、第3設定部材116は、第2状態に変化する。このとき、第3設定部材116の爪部116Aと第3太陽ギア92との間では、トルクが作用していないため、第3アーム部122Cは、第3設定部材116を滑らかに第2状態に変化させることができる。
第1増速比R1から第2増速比R2に変更する設定動作が行われる場合、時刻t51の後、第設定部材11が第状態になるまでの期間が図28よりも長い場合であっても第1実施形態の図18および図19と同様に好適に変速比が変更される。第3増速比R3から第4増速比R4に変更する設定動作が行われる場合、時刻t61の後、第設定部材11が第状態になるまでの期間が図29よりも長い場合であっても第1実施形態の図18および図19と同様に好適に変速比が変更される。
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う自転車用変速機およびこれを備える自転車用アシストシステムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自転車用変速機およびこれを備える自転車用アシストシステムは、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、各実施形態の形態と共通する部分については、各実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
・第1設定部材112の爪部112Aの形状、第3設定部材116の爪部116Aの形状、第1太陽ギア72の溝72Sの形状、および、第3太陽ギア92の溝92Sの形状を、図30のように変更してもよい。また、第2設定部材114の爪部114Aの形状、第4設定部材118の爪部118Aの形状、第2太陽ギア80の溝80Sの形状、および、第4太陽ギア100の溝100Sの形状を、図31のように変更してもよい。図30および図31に示すように、第1太陽ギア72の溝72Sの数を、第2太陽ギア80の溝80Sの数、および、第4太陽ギア100の溝100Sの数よりも多くしてもよい。図30および図31に示すように、第3太陽ギア92の溝92Sの数を、第4太陽ギア100の溝100Sの数よりも多くしてもよい。
・各実施形態の伝達機構52,52Aを入力体58からの回転を2段階の変速比で出力体60に伝達する伝達機構に変更してもよい。この場合も、設定動作において、第2伝達体を回転状態から規制状態に設定した後に、第1伝達体を規制状態から回転状態に設定することによって、好適に変速比を変更できる。この変形例では、第1変速機構62Aおよび第2変速機構62Bの一方を省略することができる。
・各変速機構62A、62Bが、3つ以上の遊星歯車機構を含むようにしてもよい。この場合、所定の太陽ギアは、歯数が1段階少ない太陽ギアに対する第1伝達体、歯数が1段階少ない太陽ギアは所定の太陽ギアに対する第2伝達体である。
・第2変速機構62B,162Bから第3遊星機構68,68Aおよび第4遊星機構70,70Aの一方を省略することもできる。
・遊星機構64,64A,66,66A,68,68A,70,70Aの少なくとも1つを遊星ローラ機構に変更することもできる。
・遊星機構64,64A,66,66A,68,68A,70,70Aの少なくとも1つを入力体58からの回転を減速して出力する減速機構に変更することもできる。
・モータ42を含まない自転車10に自転車用変速機50を搭載することもできる。
・自転車用変速機50をクランク軸20Aまわりに設けることもできる。この場合、自転車用変速機50は、クランク軸20Aに入力された回転を変速してフロント回転体24に出力する。
・自転車10に、自転車用変速機50を制御する制御部を設けることもできる。例えば、制御部はケイデンスが所定の範囲になるように自転車用変速機50を制御して変速段を変更する。
10…自転車、18C…ハブ、40…自転車用アシストシステム、42…モータ、44…操作部、50…自転車用変速機、52,52A…伝達機構、54…設定機構、56…支持部材、58…入力体、60…出力体、62…変速機構、62A…第1変速機構、62B…第2変速機構、64,64A…第1遊星機構、66,66A…第2遊星機構、68,68A…第3遊星機構、70,70A…第4遊星機構、72…第1太陽ギア(第1伝達体)、72S,80S,92S,100S…溝、74…第1リングギア、76…第1遊星ギア、80…第2太陽ギア(第2伝達体)、82…第2リングギア、84…第2遊星ギア、88…第1リングギア部材、88A…第1ギア部、90…第1遊星ギア部材、92…第3太陽ギア(第1伝達体)、94…第3リングギア、96…第3遊星ギア、100…第4太陽ギア(第2伝達体)、102…第4リングギア、104…第4遊星ギア、108…第2リングギア部材、108A…第2ギア部、110…第2遊星ギア部材、112…第1設定部材(爪部材)、114…第2設定部材(爪部材)、116…第3設定部材(爪部材)、118…第4設定部材(爪部材)、119…付勢部材。

Claims (27)

  1. 入力体の回転を変速して出力体に伝達する自転車用変速機であって、
    前記入力体からの回転を変速して前記出力体に出力可能な複数の変速機構を含み、前記入力体からの回転を3段階以上の変速比で前記出力体に伝達する伝達機構と、
    前記伝達機構における変速経路を設定する設定機構と、を備え、
    前記複数の変速機構は、少なくとも第1変速機構を含み、
    前記第1変速機構は、第1遊星機構および第2遊星機構を含み、
    前記伝達機構は、
    少なくとも前記第1変速機構での変速を経由して、前記入力体からの回転を前記3段階以上の変速比のうちの第1変速比および第2変速比の一方で前記出力体に伝達する第1変速経路、および、
    前記第1変速経路において経由される前記変速機構とは異なる前記変速機構での変速を経由して、前記入力体からの回転を前記第1変速比および前記第2変速比よりも大きい変速比で前記出力体に伝達する第2変速経路、を少なくとも形成し、
    前記第1変速経路は、前記第1遊星機構での変速を経由し前記第2遊星機構での変速を経由せず前記入力体からの回転を前記第1変速比で前記出力体に伝達する第1遊星変速経路、および、前記第1遊星機構での変速を経由せず前記第2遊星機構での変速を経由して前記入力体からの回転を前記第2変速比で前記出力体に伝達する第2遊星変速経路を含み、
    前記設定機構は、前記第2変速経路において前記第1遊星機構での変速を経由しないように前記伝達機構を設定する、自転車用変速機。
  2. 前記第1遊星機構および前記第2遊星機構は、いずれも前記入力体からの回転を増速して出力するように構成される、請求項1に記載の自転車用変速機。
  3. 前記複数の変速機構は、少なくとも前記第2変速経路において経由される第2変速機構をさらに含み、
    前記第2変速機構は、第3遊星機構および第4遊星機構を含み、
    前記第2変速経路は、前記第3遊星機構での変速を経由し前記第4遊星機構での変速を経由せず前記入力体からの回転を前記第2変速比よりも大きい第3変速比で前記出力体に伝達する第3遊星変速経路、および、前記第3遊星機構での変速を経由せず前記第4遊星機構での変速を経由して前記入力体からの回転を前記第3変速比よりも大きい第4変速比で前記出力体に伝達する第4遊星変速経路を含み、
    前記設定機構は、前記第4変速比よりも大きい変速比と対応する前記変速経路において前記第3遊星機構での変速を経由しないように前記変速経路を設定する、請求項1または2に記載の自転車用変速機。
  4. 前記第3遊星機構は、前記入力体からの回転を増速して出力するように構成される、請求項3に記載の自転車用変速機。
  5. 前記第4遊星機構は、前記入力体からの回転を増速して出力するように構成される、請求項3または4に記載の自転車用変速機。
  6. 入力体の回転を変速して出力体に伝達する自転車用変速機であって、
    前記入力体からの回転を変速して前記出力体に出力可能な複数の変速機構を含み、前記入力体からの回転を3段階以上の変速比で前記出力体に伝達する伝達機構と、
    前記入力体の回転の前記伝達機構における変速経路を設定する設定機構と、を備え、
    前記複数の変速機構は、それぞれ少なくとも1つの遊星機構を含み、
    前記伝達機構は、
    少なくとも1つの前記変速機構での変速を経由して、前記入力体からの回転を前記3段階以上の変速比のうちの第1所定変速比で前記出力体に伝達する第1変速経路、および、
    前記第1変速経路において経由される前記変速機構とは異なる前記変速機構での変速を経由して、前記入力体からの回転を前記第1所定変速比よりも大きい第2所定変速比で前記出力体に伝達する第2変速経路、を少なくとも形成し、
    前記設定機構は、前記第2変速経路において前記第1変速経路において経由される前記変速機構での変速を経由する場合、前記第2所定変速比よりも大きい変速比と対応する前記変速経路において前記第1変速経路において経由される前記変速機構での変速を経由するように前記伝達機構を設定する、自転車用変速機。
  7. 前記第1変速経路において経由される前記変速機構は、第1遊星機構および第2遊星機構を含む、請求項6に記載の自転車用変速機。
  8. 前記第1遊星機構および前記第2遊星機構は、いずれも前記入力体からの回転を増速して出力するように構成される、請求項7に記載の自転車用変速機。
  9. 支持部材をさらに備え、
    前記第1遊星機構は、前記支持部材に回転可能に支持される第1太陽ギア、前記第1太陽ギアまわりに配置される第1リングギア、および、前記第1太陽ギアと係合し前記第1太陽ギアおよび前記第1リングギアに対して公転可能な第1遊星ギアを含み、
    前記第2遊星機構は、前記支持部材に回転可能に支持される第2太陽ギア、前記第2太陽ギアまわりに配置される第2リングギア、および、前記第2太陽ギアと係合し前記第2太陽ギアおよび前記第2リングギアに対して公転可能な第2遊星ギアを含み、
    前記設定機構は、前記支持部材に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に前記第1太陽ギアを設定する第1設定部材、および前記支持部材に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に前記第2太陽ギアを設定する第2設定部材を含み、前記第1太陽ギアおよび前記第2太陽ギアの一方が規制状態であれば、前記第1太陽ギアおよび前記第2太陽ギアの他方が回転状態であるように前記第1設定部材と前記第2設定部材とを制御する、請求項1〜5、7、および、8のいずれか一項に記載の自転車用変速機。
  10. 前記第1遊星ギアおよび前記第2遊星ギアは、第1遊星ギア部材に形成され、
    前記第1リングギアおよび前記第2リングギアは、第1リングギア部材に形成される、請求項9に記載の自転車用変速機。
  11. 前記第1リングギア部材は、第1ギア部を含み、
    前記第1ギア部は、前記第1リングギアおよび前記第2リングギアとして共用される、請求項10に記載の自転車用変速機。
  12. 前記設定機構は、前記第1設定部材によって前記第1太陽ギアを前記規制状態から前記回転状態に設定し、かつ、前記第2設定部材によって前記第2太陽ギアを前記回転状態から前記規制状態に設定する動作において、前記第2設定部材によって前記第2太陽ギアを前記回転状態から前記規制状態に設定した後に、前記第1設定部材によって前記第1太陽ギアを前記規制状態から前記回転状態に設定する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の自転車用変速機。
  13. 支持部材をさらに備え、
    前記第3遊星機構は、前記支持部材に回転可能に支持される第3太陽ギア、前記第3太陽ギアまわりに配置される第3リングギア、および、前記第3太陽ギアと係合し前記第3太陽ギアおよび前記第3リングギアに対して公転可能な第3遊星ギアを含み、
    前記第4遊星機構は、前記支持部材に回転可能に支持される第4太陽ギア、前記第4太陽ギアまわりに配置される第4リングギア、および、前記第4太陽ギアと係合し前記第4太陽ギアおよび前記第4リングギアに対して公転可能な第4遊星ギアを含み、
    前記設定機構は、前記支持部材に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に前記第3太陽ギアを設定する第3設定部材、および前記支持部材に対して回転可能な回転状態と回転不能な規制状態とのいずれか一方に前記第4太陽ギアを設定する第4設定部材を含み、前記第3太陽ギアおよび前記第4太陽ギアの一方が規制状態であれば、前記第3太陽ギアおよび前記第4太陽ギアの他方が回転状態であるように前記第3設定部材と前記第4設定部材とを制御する、請求項3〜5のいずれか一項に記載の自転車用変速機。
  14. 前記第3遊星ギアおよび前記第4遊星ギアは、第2遊星ギア部材に形成され、
    前記第3リングギアおよび前記第4リングギアは、第2リングギア部材に形成される、請求項13に記載の自転車用変速機。
  15. 前記第2リングギア部材は、第2ギア部を含み、
    前記第2ギア部は、前記第3リングギアおよび前記第4リングギアとして共用される、請求項14に記載の自転車用変速機。
  16. 前記設定機構は、前記第3設定部材によって前記第3太陽ギアを前記規制状態から前記回転状態に設定し、かつ、前記第4設定部材によって前記第4太陽ギアを前記回転状態から前記規制状態に設定する動作において、前記第4設定部材によって前記第4太陽ギアを前記回転状態から前記規制状態に設定した後に、前記第3設定部材によって前記第3太陽ギアを前記規制状態から前記回転状態に設定する、請求項13〜15のいずれか一項に記載の自転車用変速機。
  17. 入力体の回転を変速して出力体に伝達する自転車用変速機であって、
    前記入力体からの回転を変速して前記出力体に出力可能な変速機構を含み、前記入力体からの回転を2段階以上の変速比で前記出力体に伝達する伝達機構と、
    前記伝達機構における変速経路を設定する設定機構と、
    支持部材と、を備え、
    前記変速機構は、回転可能な回転状態と回転が規制される規制状態とのいずれか一方に設定可能に前記支持部材に支持される複数の伝達体を備え、
    前記複数の伝達体は、第1伝達体および第2伝達体を含み、
    前記伝達機構における前記変速経路は、前記入力体からの回転を前記第1伝達体を介して変速して前記出力体に伝達する第1経路、および、前記入力体からの回転を前記第2伝達体を介して前記第1経路よりも1段階大きい前記変速比で変速して前記出力体に伝達する第2経路を含み、
    前記設定機構は、前記変速経路を前記第1経路から前記第2経路に設定する動作において、前記第2伝達体を前記回転状態から前記規制状態に設定した後に、前記第1伝達体を前記規制状態から前記回転状態に設定する、自転車用変速機。
  18. 前記変速機構は、第1変速機構を含み、
    前記第1変速機構は、第1遊星機構および第2遊星機構を含み、
    前記第1遊星機構は、前記第1伝達体である第1太陽ギアを含み、
    前記第2遊星機構は、前記第2伝達体である第2太陽ギアを含み、
    前記設定機構は、
    前記回転状態と前記規制状態とのいずれか一方に前記第1太陽ギアを設定する第1設定部材、および、前記回転状態と前記規制状態とのいずれか一方に前記第2太陽ギアを設定する第2設定部材を含み、
    前記第1太陽ギアおよび前記第2太陽ギアの一方が前記規制状態であれば、前記第1太陽ギアおよび前記第2太陽ギアの他方が前記回転状態であるように前記第1設定部材と前記第2設定部材とを制御する、請求項17に記載の自転車用変速機。
  19. 前記変速機構は、第2変速機構を含み、
    前記第2変速機構は、第3遊星機構および第4遊星機構を含み、
    前記第3遊星機構は、前記第1伝達体である第3太陽ギアを含み、
    前記第4遊星機構は、前記第2伝達体である第4太陽ギアを含み、
    前記設定機構は、
    前記回転状態と前記規制状態とのいずれか一方に前記第3太陽ギアを設定する第3設定部材、および、前記回転状態と前記規制状態とのいずれか一方に前記第4太陽ギアを設定する第4設定部材を含み、
    前記第3太陽ギアおよび前記第4太陽ギアの一方が前記規制状態であれば、前記第3太陽ギアおよび前記第4太陽ギアの他方が前記回転状態であるように前記第3設定部材と前記第4設定部材とを制御する、請求項17または18に記載の自転車用変速機。
  20. 前記設定機構は、前記第1伝達体の内周部に係合可能に前記支持部材のまわりに配置される爪部材を含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載の自転車用変速機。
  21. 前記第1伝達体の前記内周部には、前記爪部材が嵌入可能な溝が形成される、請求項20に記載の自転車用変速機。
  22. 前記設定機構は、前記爪部材と前記第1伝達体との間に働くトルクが所定値以下の状態において、前記第1伝達体を前記規制状態から前記回転状態に設定するように構成される、請求項20または21に記載の自転車用変速機。
  23. 前記所定値は、15Nmである、請求項22に記載の自転車用変速機。
  24. 前記伝達機構は、前記入力体の回転を変速せずに前記出力体に出力する無変速経路をさらに形成する、請求項1〜23のいずれか一項に記載の自転車用変速機。
  25. 前記自転車用変速機は、前記伝達機構および前記設定機構を収容するハブをさらに備える、請求項1〜24のいずれか一項に記載の自転車用変速機。
  26. 請求項1〜25のいずれか一項に記載の自転車用変速機と、
    人力駆動力をアシストするモータと、を備える、自転車用アシストシステム。
  27. 前記自転車用変速機を操作するために人手によって操作される操作部をさらに備え、
    前記自転車用変速機は、前記操作部への操作に応じて自転車の変速比を変更する、請求項26に記載の自転車用アシストシステム。
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