JP5442367B2 - 薄膜形成方法及び薄膜形成装置 - Google Patents

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本発明は、スパッタリング法を用いて薄膜を形成する薄膜形成方法、特に酸化マグネシウムを表面に有するターゲットを用いて非晶質磁性膜上に酸化マグネシウム膜を形成する薄膜形成方法及びそれに用いられる薄膜形成装置に関するものである。
トンネル磁気抵抗素子の高出力化を実現させる技術の一つとしてトンネル絶縁膜を酸化マグネシウム(MgO)で構成することが挙げられる。そしてトンネル効果を発現させるような極めて薄い絶縁膜をMgOで形成する薄膜の形成方法には、MgOを表面に有したターゲットをスパッタして該ターゲットから放出される粒子を基板の主面に堆積させるというスパッタリング法が広く採用されている。このようなスパッタリング法のなかでも、例えば特許文献1に記載されるように、真空槽に収容された基板をそれの周方向に回転させながら、この基板の表面に対して傾斜するように配置されたターゲットの表面をスパッタする、いわゆる斜め入射スパッタリング法が広く採用されている。
スパッタリングによりターゲットの表面から放出される粒子の分布は、該ターゲットの表面の面内において必ずしも均一であるとは限らず、むしろターゲットの表面近傍に形成されるプラズマ密度の分布に合わせて偏るようになる。そのため、ターゲットの表面と基板の表面とが対向するかたちにターゲットが配置されたり、ターゲットの表面が基板の表面に対して静置されたりする方法では、ターゲットの表面から放出される粒子の該表面における面内分布がMgO膜の膜厚の面内分布に直接反映されてしまい、MgO膜の膜厚の均一性が十分に得られ難くなる。この点、上記斜め入射スパッタリング法によれば、ターゲットの表面から放出される粒子の面内分布が該表面で不均一であっても、ターゲットの表面が基板の表面に対して傾いていること、このターゲットの表面に対して回転軸を中心に基板が回転すること、それらによりMgO膜の膜厚を均一にすることが可能になる。
ところで、上記トンネル磁気抵抗素子が高い磁気抵抗比を発現するためには、上記MgO膜が磁性膜上に単に形成されることだけではなく、該MgO膜において(001)配向が必要とされている。そして上記スパッタリング法を利用してMgO膜にこの(001)配向を与えるためには、
・[条件1]MgO膜の下地となる磁性膜が非晶質であること、
・[条件2]非晶質磁性膜に到達したMgO粒子が、該非晶質磁性膜上において多結晶化するためのエネルギーと、多結晶化したなかにおいて(001)面を優先的に配向させるためのエネルギーとを保有すること、それらが必要とされる。
特開2009−151891号公報
一方、ターゲットの表面がスパッタガスによりスパッタされる過程では、
・[a]ターゲットの構成材料の粒子であるマグネシウム粒子や酸素粒子、
・[b]これら構成材料が電荷を帯びた荷電粒子、
・[c]ターゲットの表面で跳ね返されたスパッタガスからなる反跳粒子、それら各種粒子がターゲットの表面から放出されたり反跳されたりすることになる。上記非晶質磁性膜に到達する各種の粒子は、ターゲットから非晶質磁性膜に到達するまでに他の粒子との衝
突を繰り返しつつ、それのエネルギーを減少させる。そのため非晶質磁性膜に到達したときの各種粒子のエネルギーは、該粒子の飛行時間において該粒子が他の粒子と衝突した回数、すなわち平均衝突回数が多くなるほど低くなる一方、該粒子の平均衝突回数が少なくなるほど高くなる。上記MgO膜のスパッタリング技術では、MgO膜を構成する上記[a]の粒子が非晶質磁性膜の全体にわたり上記[条件2]を満たすことを目的として、上記[a]粒子の平均衝突回数が基板表面の全体にわたり所定の回数よりも低くなるように、10mPa〜20mPaという低い圧力下でスパッタ処理が実施されている。
しかしながら、MgO膜の形成される圧力が同じとしても、上記[a]〜[c]の各種粒子はそれの生成された過程が互いに異なるために、それの飛行する経路も互いに異なることが一般的である。そのため上記[a]〜[c]の各粒子が非晶質磁性膜に与えるエネルギーも各種粒子の飛行した経路および質量に合わせて互いに異なることになるため、相対的に短い経路を飛行した大きい質量の粒子が着弾する非晶質磁性膜の部位では常に過剰に高いエネルギーが供給されることになる。その結果、上記[a]〜[c]の各種粒子の高いエネルギーが、非晶質磁性膜の一部に結晶性を発現させて、このような部位における非晶質性を消失させてしまうこととなる。つまり、MgO膜の(001)配向を向上させるために上記[条件2]に従って各種粒子に高いエネルギーが与えられると、かえって非晶質磁性膜の一部、さらにはMgO膜自体がダメージを受けて上記[条件1]が満たされなくなってしまい、MgO膜の(001)配向そのものが失われてしまう。
ターゲットの表面と基板の表面とが対向するかたちにターゲットが配置されたり、ターゲットの表面が基板の表面に対して静置されたりする方法では、上記ダメージを受ける非晶質磁性膜の部位が常に固定され、このような部位においてトンネル磁気抵抗素子が形成不能となってしまう。上述するような斜め入射スパッタリング法によれば上記ダメージを受ける非晶質磁性膜の部位を基板の周方向に分散させることが可能ではあるが、結局のところ、基板の中心あるいは基板の周縁にダメージが偏ることとなって、これら基板の中心と基板の周縁との間では(001)配向の均一性が得られ難くなってしまう。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、スパッタリング法を用いて形成するMgO膜において(001)配向の均一性を向上させる薄膜形成方法及び薄膜形成装置を提供することである。
上記課題を解決するための手段及びその作用効果を以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、非晶質磁性膜を主面に有した円板状の基板を収容する真空槽の内部で該基板をそれの周方向に回転させながら該真空槽の内部へ希ガスを供給し、前記真空槽の内部に酸化マグネシウムからなるターゲット表面を露出して該ターゲット表面が前記基板の主面に対し傾斜するかたちに配置されたターゲットを前記希ガスでスパッタすることにより(001)配向の酸化マグネシウム膜を前記非晶質磁性膜上に形成する薄膜形成方法であって、前記基板の主面を含む平面を投影面として前記ターゲット表面をそれの法線方向に投影した領域である投影領域が前記基板の主面から離間するかたちに前記ターゲット表面を配置し且つ、前記基板の主面に対する法線と前記ターゲット表面に対する法線とのなす角度を8°以上で14°以下にすること、それを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、非晶質磁性膜を主面に有した円板状の基板をそれの周方向に回転させる基板ステージを収容して内部に希ガスが供給される真空槽と、前記真空槽の内部に酸化マグネシウムからなるターゲット表面を露出して該ターゲット表面が前記基板の主面に対し傾斜するかたちに配置されたターゲットとを備え、前記ターゲットに高周波電力を供給して前記ターゲット表面を前記希ガスでスパッタすることにより(001)配向の酸化マグネシウム膜を前記非晶質磁性膜上に形成する薄膜形成装置であって、前記基板の主面を含む平面を投影面として前記ターゲット表面をそれの法線方向に投影した領域である投影領域が前記基板の主面から離間するかたちに前記ターゲット表面が配置され且つ、前記基板の主面に対する法線と前記ターゲット表面に対する法線とのなす角度を8°以上で14°以下にすること、それを要旨とする。
MgOからなるターゲット表面が希ガスによりスパッタされる過程では、ターゲットの構成材料の粒子であるマグネシウム(Mg)粒子や酸素(O)粒子の他、これら構成材料が電荷を帯びた荷電粒子やターゲットの表面で跳ね返された希ガスからなる反跳粒子も、それら固有の放出角度や反跳角度でターゲット表面から放出されたり反跳されたりすることになる。上述するようにスパッタリング法を利用してMgO膜に(001)配向を与えるためには、非晶質磁性膜に到達したMgO粒子が、該非晶質磁性膜上において多結晶化するためのエネルギーと、多結晶化したなかにおいて(001)面を優先的に配向させるためのエネルギーとを保有すること、それが必要とされる。つまりMgO膜の(001)配向を向上させる上では、MgO膜を構成する各種粒子に対して非晶質磁性膜の全体にわたり上記エネルギーを保有させるために、該各種粒子と他の粒子との衝突回数が基板の主面の全体にわたり所定の回数よりも低くさせるような低い成膜圧力が必要とされる。ただし、成膜圧力の低下が進行すると、マグネシウム(Mg)粒子や酸素(O)粒子のみならず、上記荷電粒子や反跳粒子も高いエネルギーを保有して非晶質磁性膜に到達することになり、このような各種粒子の高いエネルギーが、非晶質磁性膜の一部に結晶性を発現させてMgO膜の(001)配向を阻害してしまう。
本願発明者は、このようなMgO膜の(001)配向を阻害する要因が、成膜圧力が低下するに連れて、基板の主面を含む平面を投影面としてターゲット表面をそれの法線方向に投影した領域である投影領域において顕著に現われること、それを見出した。請求項1及び請求項3に記載の発明によれば、上記投影領域を避けるかたちにMgO膜が形成されるため、該投影領域が基板と重畳するような薄膜形成の態様と比較して、基板の全体における非晶質磁性膜へのダメージを軽減させることが可能となる。それゆえに成膜圧力が低下するとしても、このようなダメージが軽減されている分、MgO膜の(001)配向分布の均一性を向上させること、それが可能になる。
またトンネル効果を発現させるような極めて薄い絶縁膜をMgOで形成する上では、上記(001)配向分布の均一性と同じく、該MgO膜の膜厚の均一性を担保することも重要になる。本願発明者は、上記投影領域を基板から離間させるというターゲットの配置を鋭利研究するなかで、ターゲットから放出されるMg粒子やO粒子の放出角度がターゲット表面に対する法線から大きく傾斜したものであってターゲット表面の略接線方向に近いこと、それを見出した。請求項1及び請求項3に記載の発明によれば、上記投影領域を基板の主面から離間させるターゲットの配置のうち、基板の主面に対する法線とターゲット表面に対する法線とのなす角度が14°以下であることから、回転する基板の全体にわたりMg粒子やO粒子を均一に到達させることが可能となる。また基板の主面に対する法線とターゲット表面に対する法線とのなす角度が8°以上であることから、Mg粒子やO粒子が基板に到達しないことを回避することも可能となる。それゆえにMgO膜の膜厚均一性を担保させた上で(001)配向分布の均一性を向上させること、それが可能になる。
請求項2に記載の発明は、前記ターゲット表面をそれの法線方向に投影する際に前記ターゲット表面に対する法線に沿って延びる円筒状の退避領域のうち、前記投影面上の前記投影領域とは異なる領域が前記基板の側面と接するかたちに前記ターゲット表面を配置すること、それを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、前記ターゲット表面をそれの法線方向に投影する際に前記ターゲット表面に対する法線に沿って延びる円筒状の退避領域のうち、前記投影面上の前記投影領域とは異なる領域が前記基板の側面と接するかたちに前記ターゲット表面が配置されること、それを要旨とする。
上記投影領域が基板の主面から離間すると、ターゲットから放出されるMg粒子やO粒子が基板の主面に到達し難くなるために、MgO膜の成膜速度も自ずと低くなってしまう。請求項2及び請求項4に記載の発明によれば、ターゲット表面をそれの法線方向に投影した領域のうち、投影領域とは異なる領域が基板の側面と接するかたちにターゲット表面が配置されることから、投影領域に起因した(001)配向の劣化が抑えられるなかで、MgO膜の成膜速度を最大にすることが可能となる。
本発明に係る薄膜形成装置の概略構成を該装置の側断面構造と共に示すブロック図。 (a)(b)ターゲットと基板との位置の関係を示す側断面図及び平面図。 (a)(b)ターゲットに対する基板の配置と基板上における酸化マグネシウムの配向の面内分布との関係を示す図。 (a)(b)(c)ターゲットと基板との位置の関係を斜入射角度ごとに示す側断面図及び平面図。 基板エッジからの距離と、(001)配向を示すピークの強度との関係を斜入射角度ごとに示すグラフ。 基板中心からの距離と面積抵抗率との関係を斜入射角度ごとに示すグラフ。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図1〜図6を参照して説明する。まず、本発明にかかる薄膜形成装置について以下に説明する。
図1に示されるように、薄膜形成装置10における真空槽11には、該真空槽11の内部空間を排気するクライオポンプ等からなる排気装置12が連結され、またこの排気装置12と真空槽11との間には真空槽11の内部圧力を検出する圧力検出装置VGが連結されている。そして排気装置12が排気動作を実行すると、真空槽11の内部が減圧されて、該内部の圧力が圧力検出装置VGにより検出される。このような真空槽11には、希ガスであるアルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、又はクリプトン(Kr)を所定の流量で供給するマスフローコントローラ等からなるガス供給装置13が連結されている。そして上記排気装置12が排気処理を定常的に実行する状態でガス供給装置13が真空槽11の内部に希ガスを供給すると、真空槽11における内部の圧力が該内部に供給される希ガスの流量に応じて1mPa〜300mPaの範囲で変わることになる。
真空槽11における内部空間の底部には、直径が8インチからなる円板状の基板Sを保持するための基板ステージ14が基板回転装置15の出力軸に連結されるかたちに収容されている。基板ステージ14に支持される基板Sは、非晶質のコバルト鉄ボロン(CoFeB)等、MgO膜の下地となる非晶質磁性膜を表面に有した円板状の各種の基板、例えば直径が8インチのSiウェハ、AlTiCウェハ、ガラスウェハ等である。そして基板回転装置15が基板ステージ14を回転させることにより、基板ステージ14は基板Sの温度を室温に維持しつつ、該基板Sに対する法線のうち、該基板Sの中心を通る基板回転軸線Asを回転中心にして該基板Sを基板Sの周方向に回転させる。こうした構成からなる基板ステージ14によれば、一つの方向から基板Sの表面に向けて飛行するスパッタ粒子が基板Sの周方向の全体にわたり均一に分散することになり、非晶質磁性膜上における堆積物の膜厚均一性を向上させること、それが可能になる。
真空槽11の内部空間には有底筒状の下側遮蔽板16Aが基板ステージ14の周囲を覆うかたちに配置され、基板ステージ14の周囲や真空槽11の底部に向けて飛行するスパッタ粒子がこの下側遮蔽板16Aの遮蔽効果により該基板ステージ14の周囲や真空槽11の底部に対して遮蔽される。また下側遮蔽板16Aの径方向の内側には基板Sの外周に沿う円環状のカバーリングCRが配置され、基板ステージ14の周囲に向けて飛行するスパッタ粒子がこのカバーリングCRにより遮蔽される。
真空槽11の天部には真空槽11の内部にプラズマを生成するためのカソード18が搭
載されている。カソード18のバッキングプレート19には13.56MHzの高周波電力を電力密度が2.85W/cmになるように出力する高周波電源GEが電気的に接続されている。このバッキングプレート19における基板Sの側には、MgOが主成分となるターゲット表面Taを真空槽11の内部空間に露出する直径が5インチからなる円板状のMgOターゲットTが電気的に接続されている。このMgOターゲットTは、それのターゲット表面Taが基板回転軸線Asから離間し、且つ基板Sの表面に対して傾斜するかたちに真空槽11に搭載されている。
上記バッキングプレート19を挟んでMgOターゲットTの反対側には磁気回路21が配設されており、高周波電源GEからの高周波電力がバッキングプレート19に供給される状態で磁気回路21が駆動することにより、MgOターゲットTのターゲット表面Taにマグネトロン磁場が形成される。そしてMgOターゲットTのターゲット表面Taの近傍に高密度のプラズマが生成されることよりMgOターゲットTのターゲット表面Taがカソードとして機能し、ターゲット表面Taが希ガスのイオンによりスパッタされる。
MgOターゲットTに対する基板Sの側には、基板Sの上方を覆うドーム状のシャッタ22がシャッタ回転装置23の出力軸に連結されるかたちに基板ステージ14の直上に配置されている。シャッタ22の一部には、上記MgOターゲットTのターゲット表面Taの略全体を基板Sに向けて露出可能にする貫通孔である開口22Hが設けられている。そしてシャッタ回転装置23がシャッタ22を回転させることにより、シャッタ22が基板回転軸線Asを中心にして回転し、上記バッキングプレート19に高周波電力が供給される場合には、MgOターゲットTのターゲット表面Taと開口22Hとが対向し、MgOターゲットTに対するスパッタリングが可能になる。またバッキングプレート19に高周波電力が供給されない場合には、MgOターゲットTのターゲット表面Taがシャッタ22により覆われ、MgOターゲットTに対するスパッタリングが不能になると伴に、ターゲット表面Taに対する汚染が抑制される。
以下、上記MgOターゲットTと基板Sとの位置の関係について図2を参照して詳細に説明する。図2(a)(b)は、それぞれ上記MgOターゲットTと基板Sとの位置の関係を示す側断面図及び平面図である。
図2に示されるように、ターゲット表面Taに対する法線であるターゲット法線Atと基板Sの主面に対する法線である基板回転軸線Asとのなす角度である斜入射角度θが8°以上且つ、14°以下となるかたちにターゲット表面Taは基板Sの主面に対して傾斜している。このターゲット表面Taは、それがターゲット法線Atに沿って延びる領域である円筒状の退避領域SPが基板Sの主面と重畳しないかたちに配置され且つ、該円筒状の退避領域SPが基板SにおけるMgOターゲットT側の側面と接するかたちに配置されている。つまり基板Sの主面を含む平面を投影面としてターゲット表面Taをターゲット法線Atの方向に投影した領域である投影領域が基板Sの主面から離間し且つ、退避領域SPが基板Sに最も近接するかたちにターゲット表面Taは配置されている。なお、基板回転軸線Asの方向においてターゲット表面Taの中心と基板Sの主面の中心との距離(ターゲット高さH)が190mmであり、基板Sの主面の接線方向においてターゲット表面Taの中心と基板Sの主面の中心との距離が175mmとなるかたちにターゲット表面Taが配置されている。
このような構成からなる薄膜形成装置10において成膜処理が開始されると、まず排気装置12が真空槽11の内部の圧力を基準値となる圧力値まで減圧されて、図示されない基板搬送装置により真空槽11の内部へ基板Sが搬入される。そして非晶質磁性膜を主面に有した基板Sが基板ステージ14にセットされると、シャッタ回転装置23がシャッタ22の開口22Hとターゲット表面Taとを対向させて、また基板回転装置15が基板回
転軸線Asを中心にして基板Sの回転を開始する。このようにして基板Sの回転が開始されると、ガス供給装置13が予め設定された流量の希ガスを真空槽11の内部へ供給して真空槽11の圧力を成膜圧力に昇圧し、次いで高周波電源GEが高周波電力をMgOターゲットTに供給してターゲット表面Taのスパッタリングを開始する。そして基板Sの主面を構成する非晶質磁性膜上に対し予め設定された期間だけMgOターゲットTがスパッタリングされ、所望とする膜厚のMgO膜が非晶質磁性膜上に形成される。
ここで、スパッタリング法を利用してMgO膜に(001)配向を与えるためには、上記[条件2]に記載のように、非晶質磁性膜に到達したMgO粒子が、非晶質磁性膜上において多結晶化するためのエネルギーと、多結晶化したなかにおいて(001)面を優先的に配向させるためのエネルギーとを保有すること、それが必要とされる。つまりMgO膜の(001)配向を向上させる上では、MgO膜を構成する各種粒子に対して非晶質磁性膜の全体にわたり上記エネルギーを保有させるために、各種粒子と他の粒子との衝突回数が基板Sの主面の全体にわたり所定の回数よりも低くさせるような低い成膜圧力が必要とされる。ただし、成膜圧力の低下が進行すると、Mg粒子やO粒子のみならず、これらの荷電粒子やターゲット表面Taからの反跳粒子も高いエネルギーを保有して非晶質磁性膜に到達することになるため、このような各種粒子の高いエネルギーが、非晶質磁性膜の一部に結晶性を発現させてMgO膜の(001)配向を阻害してしまう。
本願発明者は、このようなMgO膜の(001)配向を阻害する要因が、成膜圧力が低下するほど上記投影領域において顕著に現われること、それを見出した。図2に示されるように、このような投影領域を構成する退避領域SPとは、基板回転軸線Asから見て、基板Sの主面に対してMgOターゲットTの側に偏った領域である。そのため退避領域SPと基板Sの主面とが重なる状態でMgO膜が形成されると、回転する基板Sの外周部の全体にわたり投影領域が重畳することとなり、基板Sの外周部と基板Sの中央部との間でMgO膜の(001)配向の強度が大きく異なることとなる。この点、上記薄膜形成装置10によれば、上記投影領域を避けるかたちにMgO膜が形成されるため、該投影領域が基板Sと重畳するような薄膜形成の態様と比較して、基板Sの全体における非晶質磁性膜へのダメージを軽減させることが可能となる。それゆえに成膜圧力が低下するとしても、このようなダメージが軽減されている分、MgO膜の(001)配向分布の均一性を向上させること、それが可能になる。ただし、上記投影領域が基板Sから離れるほどMg粒子やO粒子が基板Sの主面に到達し難くなるため、MgO膜の成膜速度も自ずと低くなってしまう。この点、上記薄膜形成装置10によれば、基板SにおけるMgOターゲットT側の側面と退避領域SPとが接するかたちにターゲット表面Taが配置されることから、該投影領域に起因した(001)配向の劣化が抑えられるなかで、MgO膜の成膜速度を最大にすることが可能となる。
また本願発明者は、上記投影領域を基板Sから離間させるというMgOターゲットTの配置を鋭利研究するなかで、MgOターゲットTから放出されるMg粒子やO粒子の放出角度が一般に知られる余弦則に即したものと異なり、ターゲット法線Atに対して大きく傾斜したものであってターゲット表面Taの略接線方向に近いこと、それを見出した。トンネル効果を発現させるような極めて薄い絶縁膜をMgOで形成する上では、上記(001)配向分布の均一性と同じく、MgO膜の膜厚の均一性を担保することも重要になる。この点、上記薄膜形成装置10によれば、上記投影領域を基板Sから離間させるMgOターゲットTの配置のうち、基板回転軸線Asとターゲット法線Atとのなす角度が14°以下、すなわち基板Sの主面がターゲット表面Taの接線方向に近いかたちにMgOターゲットTが配置されることになる。それゆえ回転する基板Sの全体にわたりMg粒子やO粒子を均一に到達させることが可能となる。また基板回転軸線Asとターゲット法線Atとのなす角度が8°以上であることから、Mg粒子やO粒子が基板Sに到達しないことを回避することも可能となる。それゆえにMgO膜の膜厚均一性を担保させた上で(001
)配向の均一性を向上させること、それが可能になる。
(試験例)
上記投影領域に認められる結晶配向性の傾向と、各種の斜入射角度θのもとで形成されるMgO膜の(001)配向とについて、試験例等とともに以下に詳細に説明する。まず上記投影領域に認められる結晶配向性の傾向について図3を参照して説明する。
まず結晶配向性を測定する積層構造として、基板S/Ta(5nm)/CoFeB(3nm)/MgO(20nm)/CoFeB(3nm)/Ta(2nm)を用いた。そしてMgO膜の成膜に際して、成膜圧力が互いに異なる下記成膜条件のもと、基板Sの回転を停止させて試験例のMgO膜を形成し、(001)配向を示すMgO(200)ピーク(2θ=42.9°)の強度を各試験例についてX線回折法により計測した。図3は、試験例におけるMgO(200)ピークの強度の分布を例示する図であり、MgO(200)ピークの強度が等しくなる位置を等高線Larにより結んだ等高線図である。なお図3()には、成膜圧力が19mPaとなる条件で形成した試験例の強度分布を例示し、図3()には、成膜圧力が310mPaとなる条件で形成した試験例の強度分布を例示し、いずれでもMgO(200)ピークの強度が低い領域ほど濃いドットを付して示す。
(成膜条件)
・基板S:シリコン基板(直径:8インチ)
・ターゲット:MgOターゲット(直径:5インチ)
・斜入射角度θ:22°
・ターゲット高さH:190mm
・非晶質磁性膜:(CoFe)0.8B0.2
・基板温度:室温
・最短飛行距離dts:200mm
・成膜圧力:19mPa,310mPa
・スパッタガス:Ar
・MgO膜厚:20nm
図3に例示されるように、基板Sの回転が停止された状態、つまり基板Sの主面とターゲット表面Taとの相対位置が固定された状態でMgO膜が形成されると、基板Sの主面とターゲット表面Taとの相対距離に応じたかたちに(001)配向の強度分布が現われることが認められた。言い換えれば、MgOターゲットTの縁からの距離が等しくなる位置においてMgO(200)ピークの強度が等しくなるように、(001)配向の強度分布が現われること、それが認められた。
また各等高線Larにより区画された領域である投影領域Z1、第2領域Z2、第3領域Z3、第4領域Z4では、それの(001)配向の強度として、成膜圧力に応じた以下のような傾向が認められた。すなわち図3(a)に示されるように、成膜圧力が比較的に高い310mPaにおいては、第4領域Z4<第3領域Z3<投影領域Z1<第2領域Z2という高低関係が認められた。一方、成膜圧力が比較的に低い19mPaにおいては、投影領域Z1<第4領域Z4<第2領域Z2<第3領域Z3という高低関係が認められた。
上述するような(001)配向の強度分布の傾向は、
・[d]相対的にMgOターゲットTに近い領域である投影領域Z1において該領域に到達する粒子の高いエネルギーにより非晶質磁性膜の非晶質性が失われること、
・[e]相対的にMgOターゲットTから遠い領域である第4領域Z4において該領域に到達する粒子の低いエネルギーによりMgOの多結晶化、あるいは(001)面の優先的な配向が促進され難いこと、それらが要因であることを示唆するものである。
そして図3(a)と図3(b)とにおける強度分布の差異は、成膜圧力の下降に従って
上記[d]が顕著になること、すなわち投影領域Z1における非晶質性の消失が顕著になること、それを示唆するものである。詳述すると、上記非晶質磁性膜に到達する各種粒子は一般に、MgOターゲットTから放出された後に他の粒子との衝突を繰り返して自身のエネルギーを低下させる。つまり上記非晶質磁性膜に到達する各種粒子が高い成膜圧力のもとで飛行するほど該粒子のエネルギーが低下することになり、反対に各種粒子が低い成膜圧力のもとで飛行するほど該粒子のエネルギーの低下が抑えられることになる。よって比較的に低い成膜圧力においては、非晶質磁性膜に到達する粒子のエネルギーが比較的に高くなるため、上記[d]に起因した低強度が投影領域Z1に顕著に現われることになる。
ここで、上述するような比較的に低い成膜圧力で初期のMgO膜が成膜されると、上記[d]に記載されるように、高いエネルギーを保有した粒子が非晶質磁性膜に到達してしまい、このような粒子が着弾する非晶質磁性膜の部位において非晶質性が失われることとなる。そこで、このような投影領域Z1が基板Sの主面から離間するかたちにMgOターゲットTが配置されれば、上記[d]に起因した低強度が基板Sの主面から離間するため、比較的に低い成膜圧力でMgO膜が形成されるとしても、基板Sの外周において(001)配向を失うことが抑えられる。それゆえにMgO膜における(001)配向の均一性を向上させること、それが可能になる。
次いで、各種の斜入射角度θで形成されたMgO膜の結晶配向性について、試験例等とともに図4〜図6を参照して説明する。まず結晶配向性を測定する積層構造として、基板S/Ta(5nm)/CoFeB(3nm)/MgO(20nm)/CoFeB(3nm)/Ta(2nm)を用いた。そしてMgO膜を成膜するに際して、斜入射角度θが互いに異なる下記成膜条件のもと、基板Sの回転を停止させて試験例のMgO膜を形成し、MgO(200)ピークの強度を各試験例についてX線回折法により計測した。図4(a)(b)(c)は、それぞれ試験例における基板SとMgOターゲットTとの位置の関係を模式的に示す図である。また図5は、試験例におけるMgO(200)ピークの強度と基板Sの端部(エッジ)からの距離との関係を斜入射角度ごとに示す図である。なお図5における基板Sの端部とは基板SにおけるMgOターゲットT側の端部であり、該端部からの距離とは該端部から径方向への距離である。
(成膜条件)
・基板S:シリコン基板(直径:8インチ)
・ターゲット:MgOターゲット(直径:5インチ)
・斜入射角度θ:0°,11°,22°
・ターゲット高さH:190mm
・非晶質磁性膜:(CoFe)0.80.2
・基板温度:室温
・最短飛行距離dts:200mm
・成膜圧力:19mPa
・スパッタガス:Ar
・MgO膜厚:20nm
図4(a)〜(c)に示されるように、斜入射角度θが22°の場合、退避領域SPの一部が基板Sの外周部に重畳して基板Sの主面上に投影領域が形成されることになる。これに対して斜入射角度θが11°になると、退避領域SPの一部が基板Sの側面に接して基板Sの主面から投影領域が離間することになる。そして斜入射角度θが0°になると、退避領域SPそのものが基板Sから離間して基板Sの主面から投影領域がさらに離間することになる。
図5に示されるように、斜入射角度θが22°になると、基板SのMgOターゲットT側(基板エッジからの距離が0mm〜50mm)には投影領域Z1に合わせてピーク強度
が著しく低くなる領域が認められた。そして基板Sの端部から100mmの付近、すなわち基板Sの中央部においてピーク強度が最も高くなる領域が認められ、該中央部から基板Sの他端部へ移るにつれて再びピーク強度が低くなる傾向が認められた。一方、斜入射角度θが11°になると、斜入射角度θが22°の場合と比較して基板SのMgOターゲットT側におけるピーク強度に大幅な増大が認められ且つ、基板Sの中央部、及び基板Sの他端部においても斜入射角度θが22°の場合と略同程度のピーク強度が認められた。つまり投影領域Z1が基板Sの主面から離間することにより、該投影領域Z1に起因した(001)配向の強度の低下が抑えられ、基板Sの主面における強度分布の均一化が図れること、それが認められた。これに対して、斜入射角度θが0°の場合には、斜入射角度θが11°の場合と比較して基板SのMgOターゲットT側におけるピーク強度にさらなる増大が認められる一方、基板Sの他端部においては斜入射角度θが22°,11°の場合と略同程度のピーク強度が認められた。つまり投影領域Z1が基板Sの主面から離間することにより、該投影領域Z1に起因した(001)配向の強度の低下が抑えられるものの、基板Sの他端部と基板Sの中央部とのピーク強度の差も増大しているために、斜入射角度θが11°の場合と比較して、基板Sの主面における強度分布の均一性が図られないこと、それも認められた。
次いで、MgO膜を利用したトンネル磁気抵抗素子の比抵抗値に関する斜入射角度θの依存性について、実施例等とともに図6を参照して説明する。まずトンネル磁気抵抗素子の素子構造として、基板S/Ta(5nm)/PtMn(15nm)/Co90Fe10(2.5nm)/Ru(0.9nm)/CoFeB(3nm)/MgO(2.5nm)/CoFeB(3nm)/Ta(5nm)/Ru(7nm)を用いた。そしてMgOの形成に際して、下記成膜条件のもと、斜入射角度θを11°に設定して基板Sを回転させつつ実施例のトンネル磁気抵抗素子を形成し、該トンネル磁気抵抗素子の面積抵抗RAを計測した。また同成膜条件のもと、斜入射角度θのみを22°に変更して比較例のトンネル磁気抵抗素子を形成し、該トンネル磁気抵抗素子の面積抵抗RAを計測した。図6は、各測定点における面積抵抗RAを基板Sの中心における面積抵抗RACで規格化した値と、基板Sの中心からの距離との関係を斜入射角度ごとに示す図である。
(成膜条件)
・基板S:シリコン基板(直径:8インチ)
・ターゲット:MgOターゲット(直径:5インチ)
・斜入射角度θ:11°,22°
・ターゲット高さH:190mm
・非晶質磁性膜:(CoFe)0.80.2
・基板温度:室温
・最短飛行距離dts:200mm
・成膜圧力:19mPa
・スパッタガス:Ar
・MgO膜厚:2.5nm
図6に示されるように、斜入射角度θが11°である場合、基板Sの外周部が基板Sの中心部よりも若干に高い面積抵抗率RA/RACを有するものの、このような傾向は斜入射角度θが22°である場合と比較して非常に小さく、基板Sの全体における面積抵抗率RA/RACの均一性が大幅に向上していることが認められた。すなわち斜入射角度θが11°である場合には投影領域Z1を避けるかたちにMgO膜が形成されるため、該投影領域Z1が基板Sと重畳するような薄膜形成の態様と比較して、基板Sの全体における非晶質磁性膜へのダメージを軽減させること、つまりMgO膜の(001)配向分布の均一性を向上させることが可能になり、ひいてはトンネル磁気抵抗素子の面積抵抗RAの均一性を向上できることが認められた。
なおトンネル効果を発現させるような極めて薄い絶縁膜をMgOで形成する上では、上
記(001)配向分布の均一性と同じく、該MgO膜の膜厚の均一性を担保することも重要になる。本願発明者は、上記投影領域Z1を基板Sから離間させるというMgOターゲットTの配置を鋭利研究するなかで、MgOターゲットTから放出されるMg粒子やO粒子の放出角度がターゲット法線Atから大きく傾斜したものであってターゲット表面Taの略接線方向に近いこと、それを成膜速度と斜入射角度θとの関係から見出した。表1は、MgO膜の成膜速度及びそれの均一性と斜入射角度θとの関係を示す。
表1に示されるように、上記投影領域Z1を基板Sから離間させるMgOターゲットTの配置のうち、斜入射角度θが14°以下且つ、8°以上であれば、基板面内において±1%以下の膜厚均一性が得られること、つまり回転する基板Sの全体にわたりMg粒子やO粒子を均一に到達させることが可能であること、それが認められた。すなわちターゲット表面Taから放出される粒子の放出角度がターゲット表面Taの接線方向に近いため、ターゲット表面Taと基板Sの主面とのなす角度が8°未満であっては、ターゲット表面Taから放出される粒子が基板Sの主面においてMgOターゲットTに近い側に偏ってしまうことが認められた。これに対して、ターゲット表面Taと基板Sの主面とのなす角度が14°を超えると、ターゲット表面Taから放出される粒子が基板Sの主面においてMgOターゲットTから遠い側に偏ってしまうことが認められた。そしてターゲット表面Taと基板Sの主面とのなす角度が8°以上且つ、14°以下であれば、ターゲット表面Taから放出される粒子が基板Sの主面に対して偏ること、それが回避可能であることが認められた。また斜入射角度が8°以上であれば、0.40nm/min以上の高い成膜速度が得られること、つまりMg粒子やO粒子が基板Sに到達し難いために成膜速度が過剰に低下すること、それも回避できることが認められた。それゆえに斜入射角度θが8°以上且つ、14°以下に設定される上記薄膜形成装置10であれば、MgO膜の膜厚均一性を担保させた上で(001)配向分布の均一性を向上させること、それが可能になる。
以上説明したように、本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)基板Sの主面を含む平面を投影面としてターゲット表面Taをターゲット法線Atの方向に投影した領域である投影領域Z1が基板Sから離間するかたちにターゲット表面Taが配置される。それゆえに投影領域Z1を避けるかたちにMgO膜が形成されるため、該投影領域Z1が基板Sと重畳するような薄膜形成の態様と比較して、基板Sの全体における非晶質磁性膜へのダメージを軽減させることが可能となる。それゆえに成膜圧力が低下するとしても、このようなダメージが軽減されている分、MgO膜の(001)配向分布の均一性を向上させること、それが可能になる。
(2)また投影領域Z1を基板Sから離間させるMgOターゲットTの配置のうち、基板回転軸線Asとターゲット法線Atとのなす角度である斜入射角度θが14°以下であることから、回転する基板Sの全体にわたりMg粒子やO粒子を均一に到達させることが可能となる。また基板回転軸線Asとターゲット法線Atとのなす角度が8°以上であることから、Mg粒子やO粒子が基板Sに到達しないことを回避することも可能となる。それゆえにMgO膜の膜厚均一性を担保させた上で(001)配向分布の均一性を向上させ
ること、それが可能になる。
(3)退避領域SPが基板Sの側面と接するかたちにターゲット表面Taが配置されることから、投影領域Z1に起因した(001)配向の劣化が抑えられるなかで、MgO膜の成膜速度を最大にすることが可能となる。
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施の形態では、退避領域SPが基板SにおけるMgOターゲットT側の側面に接するかたちを前提としたが、これに換えて、退避領域SPが基板Sの側面から離間するかたちにターゲット表面Taが配置される構成であってもよい。このような構成であっても、基板Sの主面から投影領域Z1が離間する以上、上記(1)(2)に記載の効果を得ることができる。
θ…斜入射角度、As…基板回転軸、At…ターゲット法線、S…基板、SP…退避領域、T…ターゲット、Ta…ターゲット表面、Z1…投影領域、10…薄膜形成装置、11…真空槽、12…排気装置、13…ガス供給装置、14…基板ステージ、16A…下側遮蔽板、18…カソード、19…バッキングプレート、22…シャッタ、22H…開口、23…シャッタ回転装置。

Claims (4)

  1. 非晶質磁性膜を主面に有した円板状の基板を収容する真空槽の内部で該基板をそれの周方向に回転させながら該真空槽の内部へ希ガスを供給し、前記真空槽の内部に酸化マグネシウムからなるターゲット表面を露出して該ターゲット表面が前記基板の主面に対し傾斜するかたちに配置されたターゲットを前記希ガスでスパッタすることにより(001)配向の酸化マグネシウム膜を前記非晶質磁性膜上に形成する薄膜形成方法であって、
    前記基板の主面を含む平面を投影面として前記ターゲット表面をそれの法線方向に投影した領域である投影領域が前記基板の主面から離間するかたちに前記ターゲット表面を配置し且つ、前記基板の主面に対する法線と前記ターゲット表面に対する法線とのなす角度を8°以上で14°以下にする
    ことを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 前記ターゲット表面をそれの法線方向に投影する際に前記ターゲット表面に対する法線に沿って延びる円筒状の退避領域のうち、前記投影面上の前記投影領域とは異なる領域が前記基板の側面と接するかたちに前記ターゲット表面を配置する
    ことを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成方法。
  3. 非晶質磁性膜を主面に有した円板状の基板をそれの周方向に回転させる基板ステージを収容して内部に希ガスが供給される真空槽と、
    前記真空槽の内部に酸化マグネシウムからなるターゲット表面を露出して該ターゲット表面が前記基板の主面に対し傾斜するかたちに配置されたターゲットとを備え
    前記ターゲットに高周波電力を供給して前記ターゲット表面を前記希ガスでスパッタすることにより(001)配向の酸化マグネシウム膜を前記非晶質磁性膜上に形成する薄膜形成装置であって、
    前記基板の主面を含む平面を投影面として前記ターゲット表面をそれの法線方向に投影した領域である投影領域が前記基板の主面から離間するかたちに前記ターゲット表面が配置され且つ、前記基板の主面に対する法線と前記ターゲット表面に対する法線とのなす角度が8°以上で14°以下である
    ことを特徴とする薄膜形成装置。
  4. 前記ターゲット表面をそれの法線方向に投影する際に前記ターゲット表面に対する法線に沿って延びる円筒状の退避領域のうち、前記投影面上の前記投影領域とは異なる領域が前記基板の側面と接するかたちに前記ターゲット表面が配置される
    ことを特徴とする請求項3に記載の薄膜形成装置。
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