以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るワーク作業システムの全体構成を示す概略平面図である。
<ワーク作業システムの全体構成>
図1に示すように、本実施形態に係るワーク作業システムは、ワークW,W′を載置し得るパレット201と、パレット201上に載置されたワークW,W′を倉庫250から出庫する出庫装置200,200′と、出庫装置200,200′により出庫されパレット201上に載置されたワークW,W′の姿勢及び位置を検知する検知装置260(図6参照)と、パレット201上のワークW,W′を把持して移送する多関節ロボット(以下、単に「ロボット」という)100,100′と、ロボット100,100′により移送されるワークW,W′を受けるワーク受け部300,300′と、ワーク受け部300,300′に受容されたワークW,W′に対して作業を施す作業装置310,310′と、作業装置310,310′からワークW,W′を搬出するワーク搬出装置320,320′と、を備えている。
また、ワーク作業システムは、当該ワーク作業システムにおける各部を統括して制御する制御装置270を備えている。なお、図1におけるパレット201上には、説明の便宜上、ワークWが1個のみ描かれており、他のワークW,W′は図示省略してある(図2も同様)。
本実施形態では、複数のロボット100,100′が設けられている。ロボット100はワークWを把持して移送可能となっており、ロボット100′はワークW′を把持して移送可能となっている。ここでは、ワークWとワークW′とは異なるものであり、異なるワークとは物品として異なる機能を有する場合を指している。例えば、ワークWおよびワークW′は、相互に組み立てられるトランスミッションケース、およびトルクコンバータケースであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種のワークを把持する場合に適用可能である。
さらに、ここでは、例えばトランスミッションケースは、製品のバリエーションに応じて被把持部Wa(図4参照)となる凹部の位置が変わるものであり、トルクコンバータケースも同様である。この意味において、ワークWの種類は複数存在し、ワークW′の種類も複数存在する。
ロボット100は、ワークWを把持機構(把持部)11(図4参照)で把持するワーク把持装置1を備えており、ロボット100′は、ワークWとは異なるワークW′を把持機構11で把持するワーク把持装置1′を備えている。ここでは、ワーク把持装置1とワーク把持装置1′とは異なるものである。そして、ワーク把持装置1は、把持機構11を種々のワークに適合させるために、把持機構11をワークWの種類に応じて移動させて位置決めするための把持部位置決め装置500をロボット100の近傍に別途備えている。また、ワーク把持装置1′は、把持機構11を種々のワークに適合させるために、把持機構11をワークW′の種類に応じて移動させて位置決めするための把持部位置決め装置500′をロボット100′の近傍に別途備えている。
ワーク受け部300は、ワークWが載置されるワーク載置部であって、載置されたワークWを作業装置310に向けて搬送する。また、ワーク受け部300′は、ワークW′が載置されるワーク載置部であって、載置されたワークW′を作業装置310′に向けて搬送する。具体的には、ワーク受け部300,300′はローラコンベア等のコンベアで構成されている。ここでは、作業装置310は、ワークWをエアや液体により洗浄し乾燥する装置であり、作業装置310′は、ワークW′をエアや液体により洗浄し乾燥する装置である。ワーク搬出装置320とワーク搬出装置320′とは、ワークWとワークW′とをそれぞれ作業装置310と作業装置310′とから同期して搬出できるように構成されている。
ロボット100を利用したワークWの把持、移送等に関する構成は、ロボット100′を利用したワークW′の把持、移送等に関する構成と形状や大きさが異なるだけで同様の機能を備えた構造となっているため、以下、ロボット100を利用したワークWの把持、移送等に関する構成を中心に説明する。
図2は、図1に示すワーク作業システムのロボット100周辺の拡大平面図である。図3は、図2のVから見た図である。
図2に示すように、ワーク把持装置1は、ロボット100のロボットアーム101の先端部102に装着して種々のバリエーションを有するワークWを把持する把持装置(ロボットハンド)として好適に使用することができる。
本実施形態では、ワーク把持装置1を後記する姿勢制御装置2に搭載してロボット100に装着する場合について説明する。
ロボット100は、出庫装置200によって取出し位置202まで搬送されてきたパレット201に載置されたワークWをロボットアーム101の先端部102に装着されたワーク把持装置1(図4を併せて参照)によりワークWの被把持部Wa(図4参照)を3箇所で把持し、ロボットアーム101を旋回させ把持状態を解除してワーク受け部300まで移送する工程を担っている。
図2および図3に示すように、出庫装置200は、ワークWが載置されたパレット201を当該ワークWの取出し位置202で停留させるパレット停留機構203と、ワークWが移送されて空となったパレット201を回収して倉庫250(図1参照、以下同様)に戻すパレット回収機構204と、を備えている。
パレット停留機構203は、ワークWが載置されたパレット201を載せた移動プレート209(図3参照)を、倉庫250から取出し位置202まで搬送するコンベア206と、ワークWが載置されたパレット201を取出し位置202で停留させるために、コンベア206により搬送される移動プレート209に当接して取出し位置202で停止させるストッパ203aと、を備えている。パレット201、移動プレート209は、例えば合成樹脂製であり、移動プレート209の方がパレット201よりも、厚みが大きくなるように設定されており、剛性が高くなっている。
コンベア206は、床F(図18参照、以下同様)上に配置された基台208に設置されている。ストッパ203aは、コンベア206による移動プレート209の搬送経路に出没可能に配置されてもよい。ただし、ストッパ203aは、これに限定されるものではなく、例えば移動プレート209の移動を止めるブレーキ機構であってもよく、あるいはコンベア206の動作を停止制御する機構であってもよい。
出庫装置200は、複数のワークWが載置されたパレット201を一段として鉛直方向に複数段積み重ねた状態で、ワークWを倉庫250から出庫する。積み重ね段数は、例えば5〜10段である。このように構成すれば、複数のワークWが載置されたパレット201を複数段積み重ねた状態でワークWを倉庫250に保管できるため、倉庫250内におけるワークWの占有スペースを縮減することができる。また、倉庫250から複数段積み重ねた状態のままワークWを出庫できるため、効率がより良好となる。
パレット回収機構204は、使用済みの空となったパレット201を貯留するパレット貯留部210と、空となったパレット201を載せた移動プレート209を倉庫250に搬送するコンベア207と、を備えている。コンベア207は、床F上に配置された基台208に設置されている。パレット貯留部210は、床F上に配置された基台211と、基台211に立設されるコラム212と、コラム212の側面に設けられ当該側面に沿って鉛直方向に移動可能な水平方向に延伸する一対のアーム部213,213と、一対のアーム部213,213の上面に設けられ当該上面に沿って水平方向(図3では左右方向)に近接離間移動可能な一対のパレット支持部214,214とを備えている。
パレット201は、相互に近接する位置にある一対のパレット支持部214,214の上に載せられて支持される。また、パレット201は、一対のパレット支持部214,214が相互に離間移動することにより、一対のパレット支持部214,214による支持状態から外れ、一対のアーム部213,213の間を通過して、移動プレート209上に落下して載置されるようになっている。
パレット201のワークWが載置されるワーク載置面201bには、複数のワークWが載置された場合にこれら複数のワークWを個々に区切る突起201aが形成されている。このように構成すれば、例えばパレット201のワーク載置面201bが傾斜した場合等であっても、ワークWが突起201aに当接して規制されるため、ワークWがパレット201のワーク載置面201b上で大きく位置ずれすることを抑制することができる。これにより、ロボット100は、ワーク把持装置1でワークWをより確実に把持することが可能となる。
本実施形態においては、ワーク把持装置1を姿勢制御装置2に搭載してロボット100に装着する場合について説明するが、これに限定されるものではなく、姿勢制御装置2を介さずにワーク把持装置1をロボットアーム101の先端部102に装着してもよい。
図4に示すように、ワーク把持装置1は、ロボットアーム101に連結される支持プレート22と、この支持プレート22に配設されワークWの被把持部Waを把持する把持機構(把持部)11と、この把持機構11を自在移動可能に支持する自在移動機構である3軸移動機構12と、把持機構11の移動を規制する移動規制装置13と、を備えている。すなわち、把持機構11は、ワーク把持装置1における移動が許容された状態と規制された状態とに切り替えられ得る。
なお、本実施形態において、ワーク把持装置1は、同様の把持機構11を3箇所に配設して、ワークWに形成された貫通穴等の凹部からなる被把持部Waを3箇所の把持機構11で把持しているが(図2参照)、3箇所に限定されるものではなく、ワークWの形状に応じて適宜1箇所でもよく、2箇所以上でもよい。3箇所に配設された把持機構11は同様の構成である。
図5は、パレット吸着装置を示す図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
図5(a)(b)に示すように、ワーク把持装置1(図4参照)の支持プレート22には、パレット吸着装置230が取り付けられている。パレット吸着装置230は、支持プレート22に取付けブラケット233を介して接続される接続部231と、当該接続部231の先端に設けられた吸着部232と、を備えている。吸着部232は、パレット201の表面に接触してエアの吸引によりパレット201(図3参照)を吸着することが可能となっている。支持プレート22に対するパレット吸着装置230の設置個数は任意であるが、安定してパレット201を吸着するためには複数設置されることが好ましい。
本実施形態では、パレット吸着装置230の接続部231は、接続部231における吸着部232の設置部位が変位可能に構成されている。ここでは、接続部231は、支持プレート22に対して取付けブラケット233を介して、ピン234のまわりで揺動可能に連結されるシャフトである。パレット吸着装置230は、接続部231を支持プレート22に接近する方向に折り畳んだ位置(図5において二点差線で示す)と離間する方向に伸張した位置(図5において実線で示す)との間で揺動させる折畳み装置235をさらに備えている。
折畳み装置235は、接続部231にピン236のまわりで揺動可能に連結される連結部237と、連結部237に固定される進退移動可能なロッド238を備えたシリンダ装置239とを有している。シリンダ装置239としては、例えばエアシリンダが使用される。シリンダ装置239の後端側(ロッド238と反対側)は、支持プレート22に対して取付けブラケット240を介して、ピン241のまわりで揺動可能に連結されている。
また、取付けブラケット233には、接続部231が支持プレート22から離間する方向に伸張した位置にあるときに接続部231を検出する第1検知部242と、接続部231が支持プレート22に接近する方向に折り畳んだ位置にあるときに接続部231を検出する第2検知部243とが設けられている。第1検知部242および第2検知部243としては、例えば近接センサが使用され得る。
図6は、検知装置を示す正面図である。
図6に示すように、検知装置260は、パレット201上に載置されたワークW(図3参照)に基づく画像を得る画像取得部261を備えている。画像取得部261は、より安定した画像を得るために、固定プレート21(図4参照)に、接続部材263を介して、ねじ締結等により取り付けられている。
ここでは、画像取得部261は、三次元カメラである。また、検知装置260は、ワークWに光を照射する光照射部262を備えている。光照射部262としては、例えばLED照明が使用される。接続部材263には、画像取得部261および光照射部262を覆うフード264がねじ締結等により取り付けられており、不要な光の入力がカットされるようになっている。
画像取得部261は、光照射部262により光が照射されたワークWをその陰影と共に撮影し、画像を得る。
検知装置260は、画像取得部261により得られた画像に対して所定の画像処理を施すことにより、当該ワークWの姿勢及び位置を検知できるように構成されている。検知装置260により検知されたワークWの姿勢及び位置の情報は、制御装置270に入力されるようになっている。光照射部262による光の照射は、必ずしも必要ではないが、より正確な安定した画像処理が可能となる点から好ましい。
ただし、検知装置260は、前記した構成に限定されるものではない。例えば、光を対象物に照射し反射して戻ってくるまでの時間を計測して対象物までの距離を得る三次元距離画像カメラを利用する方式、2台以上のカメラで二次元画像を取得して視差を測定して三次元画像を得る方式、三次元レーザスキャナにより三次元モデルを作成する方式、磁気センサによる磁界測定を行って空間磁界分布を得る方式、電磁波による透過・反射測定を行って三次元画像を得る方式など、各種の方式が利用され得る。
図7は、ワーク把持装置における把持機構の動作を示す図であり、(a)は断面図であり、(b)は先端部の側面図である。図8は、ワーク把持装置における把持機構を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は把持する前の状態、(c)は従動部材の分解図、(d)は把持した状態を示す。図9は、ワーク把持装置における把持機構の位置決めを把持部位置決め装置を使用して行う様子を示す概略断面図である。
図7に示すように、把持機構11は、くさび形状部111aが形成された駆動部材111と、駆動部材111により拡径方向に移動する従動部材112と、駆動部材111および従動部材112を収容するホルダ113と、駆動部材111を往復移動して従動部材112を駆動させる駆動手段114(図4参照)と、を備えている。
駆動部材111は、図8(b)に示すように、円柱形状をなし、先端部には円周方向に3箇所形成された平坦面からなるくさび形状部111aを備えている。
従動部材112は、図8(c)に示すように、ほぼ矩形形状をなし、円周方向に並べて3箇所に配設されている。従動部材112は、外側の一方の面にくさび形状部111aに適合する勾配部112aが形成され、内側の他方の面に被把持部Waに接合する接合部112bが形成されている。
接合部112bは、被把持部Waの穴形状に適合するように断面視で円弧状に形成されているが、これに限定されるものではなく、摩擦係数の高いゴム部材やローレット等の滑り止め加工を施してもよい。
なお、勾配部112aは、平坦面からなるくさび形状部111aに適合するように平坦面で形成され、接合部112bはワークWの被把持部Waに適合するように断面視で円弧状に形成されているが、これに限定されるものではなく、ワークWの重量や摺動部の耐摩耗性、加工性の難易度等を考慮して適宜定めればよく、例えば勾配部112aとくさび形状部111aを断面視で円弧状に形成してもよい。
ホルダ113は、図7に示すように、駆動部材111を図7(a)の上下方向に往復移動自在に支持する本体部113aと、この本体部113aの先端に螺合して接合された先端部113b(図8(a)参照)と、を備えている。
そして、ホルダ113は、本体部113aの内周面113cで駆動部材111を往復移動自在に支持し、先端部113bの支持部113d,113e(図7(b)参照)で従動部材112を図7(a)の左右方向(水平方向)に往復移動自在に支持している。
駆動手段114は、図4に示すように、エアシリンダ等の往復駆動手段を駆動部材111に連結し、駆動部材111を往復移動できるように構成している。
把持機構11は、駆動手段114により、駆動部材111を図7(a)の上下方向に往復移動することで、従動部材112を図7(a)の左右方向に移動して(図8(b)参照)、ワークWの被把持部Waに従動部材112の接合部112bを押し付けるようにして(図8(d)参照)、ワークWを把持する機構である(図4参照)。
3軸移動機構12は、図4に示すように、支持プレート22に配設されたX軸方向移動機構121と、このX軸方向移動機構121に支持されたY軸方向移動機構122と、このY軸方向移動機構122にブラケット124を介して支持されたZ軸方向移動機構123と、を備えている。
3軸移動機構12は、3軸とも同様に構成され、例えば、X軸方向移動機構121では、X軸方向に配設されたガイドレール121aと、このガイドレール121aに沿って移動自在に配設されたホルダ121bと、を備えている。
かかる構成により、ワーク把持装置1は、3軸移動機構12により、把持機構11を前後(X軸)、左右(Y軸)、上下(Z軸)方向の3軸方向に自在に移動できるように支持している。
なお、本実施形態においては3軸移動機構12を採用したが、これに限定されるものではなく、ワークWの被把持部Waの位置関係を考慮して適宜自由度を設定するものであり、1軸や2軸でもよいし、さらに回転軸を備えた移動機構を採用することもできる。
移動規制装置13は、3軸とも同様に構成され、それぞれX軸方向移動機構121、Y軸方向移動機構122、およびZ軸方向移動機構123に設けられている。例えば、X軸方向移動機構121では、ガイドレール121aをクランプしてホルダ121bの移動を規制するロック機構を採用している。ただし、移動規制装置13におけるロック方式は、特に限定されるものではなく、エア式、電磁式等の種々の形態を採用することができる。
かかる構成により、ワーク把持装置1は、移動規制装置13より、把持機構11をワークWの被把持部Waに位置合わせした状態でロックして移動しないように保持することができる。
このため、ワーク把持装置1は、後記する把持部位置決め装置500により(図9参照)、把持機構11を自在な位置に調整して被把持部Waの位置が異なる種々のワークに柔軟に対応することができる。
<姿勢制御装置>
姿勢制御装置2は、図4に示すように、ロボットアーム101の先端部102に固定する固定プレート21と、固定プレート21に対してワーク把持装置1の支持プレート22を弾性支持する弾性機構3と、支持プレート22の変位検知手段4と、ワーク把持装置1の姿勢を検知する姿勢検知装置6と、を備えている。
なお、本実施形態においては、姿勢検知装置6を備えた場合について説明するが、これに限定されるものではなく、ワークWがパレット201(図2参照)に正規の状態で位置決めされている場合には姿勢検知装置6を備えなくともよい。
固定プレート21は、支持プレート22を支持するベースとなる部材であり、平面視で矩形形状をなしている(図2参照)。
支持プレート22は、固定プレート21に四隅に配設された弾性機構3(図2を併せて参照)を介して弾性支持されている。支持プレート22には、把持機構11がワークWの所定の箇所(本実施形態では3箇所)を確実に把持できるように、姿勢検知装置6が所定の箇所(本実施形態では3箇所)に配設されている。
弾性機構3は、図4に示すように、固定プレート21と支持プレート22の間に配設されたコイルスプリング31により、支持プレート22を固定プレート21から離れる方向(図4の下方向)に付勢して、支持プレート22を固定プレート21に対して弾性支持している。
なお、本実施形態においては、弾性機構3のばね部材としてコイルスプリング31を採用したが、これに限定されるものではなく、姿勢制御に必要な荷重および撓み量が確保できるものであれば、ねじりコイルばね、板ばね、皿ばね等の種々のばね部材を採用することができる。また、ばね部材に限定されるものではなく、ガススプリングを採用することもできる。
すなわち、ワーク把持装置1の動作内容に応じて、その姿勢制御に必要な荷重や撓み量(ストローク)を考慮して、適宜適切なばね部材またはガスプリングを選択して好適な姿勢制御を実現する。ばね部材は、たわみ量に応じて荷重が比例するので、姿勢制御力を徐々に増大させる用途に適し、ガススプリングは、たわみ量が変化しても一定の荷重を発生することができるので、当初から安定した一定の姿勢制御力を確保する用途に適する。
変位検知手段4は、支持プレート22の固定プレート21に対する変位を検知する検知装置であり、近接センサ等の検知装置が使用される。
変位検知手段4は、支持プレート22の原位置を検知する第1検知器41および第1被検知部41aと、ワーク把持装置1による把持位置を検知する第2検知器42および第2被検知部42aと、支持プレート22の過剰変位を検知する第3検知器43および第3被検知部43aと、を備えている。
かかる構成により、支持プレート22が図12に示す原位置から固定プレート21に近づく方向に移動し、第2被検知部42aが第2検知器42の位置までくるとワーク把持装置1による把持位置にあることを検知し(図13参照)、支持プレート22が把持位置を行き過ぎて第3被検知部43aが第3検知器43の位置までくると支持プレート22の過剰変位を検知することができる(図16(c)参照)。
姿勢検知装置6は、図4に示すように、ワークWに当接させるサポートシャフト5と、サポートシャフト5の先端に設けられた可撓性部材5aと、サポートシャフト5を出没自在に内装する外筒61と、サポートシャフト5をワークWに押し付ける方向に付勢する付勢手段62と、サポートシャフト5がワークWに当接していることを検知する当接検知手段63と、外筒61を図7の上下方向に移動するエアシリンダ64と、を備えている。
ここで、可撓性部材5aは、例えば、ゴム、発泡スチロール、スポンジ等を使用して、サポートシャフト5をワークWに当接させたときの衝撃力を緩和しワークWの損傷を防止することができる。
また、エアシリンダ64は、ワーク把持装置1における把持機構11の位置決めの際に姿勢検知装置6がワークWに干渉しないように外筒61およびサポートシャフト5を上方に逃がすための装置であり、外筒61およびサポートシャフト5を下方に下げた状態でサポートシャフト5がワークWと当接可能になる。
当接検知手段63は、近接センサ等からなり、サポートシャフト5がワークWに当接してから所定の移動量S(図13(a)参照)だけ移動し、外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となった状態で(図14(a)参照)、対面する位置に移動してきた被検知部63aにより、サポートシャフト5がワークWに当接してから所定の移動量だけ移動したことを検知する。
付勢手段62は、特に限定されず、コイルスプリング等を採用することができるが、付勢手段62の弾性係数は、弾性機構3のコイルスプリング31の弾性係数よりも小さく(弾性機構3の弾性係数が付勢手段62の弾性係数よりも大きく)なるように設定されている。
かかる構成により、図13に示すように、サポートシャフト5がワークWに当接してから移動する移動量S(図13(a)参照)よりも、その間にコイルスプリング31(図9参照)が撓む移動量S′(図13(b)参照)の方が小さくなる。
姿勢検知装置6は、ブラケット124に支持されて、ワーク把持装置1の把持機構11の近傍に配設されている。
姿勢検知装置6は、当接検知手段63により、ワークWを把持する従動部材112がワークWの被把持部Waに適正に挿入された状態であることを検知することができる。
つまり、ロボットアーム101(図2参照)の先端部102を近づけてサポートシャフト5がワークWに当接した状態で、さらに先端部102をワークWに近づける方向に移動させると、ワーク把持装置1とともに外筒61が図7の下方に移動してサポートシャフト5が付勢手段62の付勢力に抗して外筒61内に収容され、外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となってワークWに当接する。
このとき、同時に把持機構11の先端部では、ワークWを把持する従動部材112がワークWの被把持部Waに適正に挿入された状態となるように把持機構11に対して姿勢検知装置6が適正な位置および高さに配設されている。
このため、姿勢検知装置6は、サポートシャフト5がワークWに当接してから所定の移動量だけ移動し外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となった状態を当接検知手段63によって検知することで、ワークWを把持する従動部材112がワークWの被把持部Waに適正に挿入された状態となっていることを確認することができる。
次に、ワーク把持装置1を姿勢制御装置2に搭載してロボット100に装着して適用する場合の動作について図10から図16を参照しながら説明する。
<弾性機構3の動作>
まず、弾性機構3の動作について、主として図10と図11を参照しながら説明する。参照する図10はワークを載置するパレットの剛性が高い場合の弾性機構3の動作を示す模式的正面図であり、(a)は把持機構11の先端部を被把持部に挿入する前の状態、(b)は把持機構11の先端部を被把持部に挿入した後の状態を示す。図11はワークを載置するパレットの剛性が低い場合の弾性機構3の動作を示す模式的正面図である。
なお、図10と図11では、説明の便宜上、ワークWの傾き等を誇張して表現するが、実際には微小な変形量である。
ここで、パレット201(図2参照)は、目的や用途に応じて種々の形態が採用されるが、例えば、金属製のアングル材等で構成する場合には一般的に剛性が高く、合成樹脂等で構成する場合には剛性が低くなるため、弾性機構3の付勢力(弾性支持力)とパレット201の剛性との関係により以下のように弾性機構3は異なる機能を奏する。
<パレットの剛性が高い場合>
ワークを載置するパレットの剛性が高い場合には、弾性機構3は、ワークWの姿勢に合わせてワーク把持装置1の姿勢を制御するように動作する傾向を示す。
すなわち、弾性機構3は、図2に示すように、例えば、パレット201に載置されたワークWを把持機構11で把持しようとする際に、パレット201に載置されたワークWが所定の位置からずれていたり傾いていたりしている場合には、このずれ等によるずれ量に応じてワークWに対するワーク把持装置1の姿勢を制御する。
具体的には、図10(a)に示すように、ワークWに角度αの傾きがある場合には、ロボットアーム101(図2参照)によりワーク把持装置1をワークWに対して所定の位置に配置し、把持機構11の先端部をワークWの被把持部Waに挿入する際に、ワークWの傾き角度αに応じてワークWの被把持部Waから支持プレート22を時計回りに回転させようとするモーメントMが反作用的に加えられる。
そして、図10(b)に示すように、このようにして加えられたモーメントMがワークWに対するワーク把持装置1の角度αの傾きを適宜柔軟に吸収し、傾き角度αに応じて支持プレート22の位置や傾斜角度を補正することで、姿勢制御装置2は、ワークWに対するワーク把持装置1の姿勢を好適に制御することができる。
<パレットの剛性が低い場合>
ワークを載置するパレットの剛性が低い場合には、弾性機構3は、ワークWの姿勢をワーク把持装置1に合わせるように動作する傾向を示す。
すなわち、弾性機構3は、図2に示すように、例えば、パレット201に載置されたワークWを把持機構11で把持しようとする際に、パレット201に載置されたワークWが所定の位置からずれていたり傾いていたりしている場合には、このずれ等を補正して、ワークWの姿勢をワーク把持装置1に合わせるように機能する。
具体的には、図11(a)に示すように、把持機構11の先端部をワークWの被把持部Waに挿入する際に、弾性機構3はその付勢力(弾性支持力)により、傾き角度αでパレット201(図2参照)に載置されているワークWに付勢力(押圧力)を付与するため、パレット201のしなりや変形等によりワークWを反時計回りに回転させようとするモーメントM′が加えられる。
そして、図11(b)に示すように、このようにして加えられたモーメントM′は、ワークWの姿勢が傾き角度αよりも小さいα′になるように作用するため、ワーク把持装置1とワークWとのずれを好適に補正してワークWの姿勢をワーク把持装置1に合わせることができる。
なお、この例ではパレットのしなりや変形を小さくする方向でワークWにワーク把持装置1が正対するように機能する場合を説明したが、姿勢制御装置2が、パレットのしなりや変形を大きくする方向でワークWにワーク把持装置1が正対するように機能する場合もあり得る。
また、本実施形態においては、便宜上、パレット201の剛性が高い場合と低い場合に分けて説明したが、実際には厳格に区別されるものではなく、弾性機構3による付勢力(弾性支持力)とパレット201の剛性との関係等により複合的に動作するが、弾性機構3による付勢力を適宜調整することで好適にワークWにワーク把持装置1が正対するように制御することができる。
<ワーク把持装置の動作>
ワーク把持装置1の動作について、図12から図15を参照しながら説明する。参照する図において、図12は把持装置でワークを把持する前の状態、図13はサポートシャフトがワークに当接した状態、図14はサポートシャフトの外筒がワークに当接した状態、図15はクランプが完了した状態を示す部分正面断面図である。
ワーク把持装置1がワークWに当接しない状態から(図12(a))、ロボットアーム101の先端部102をサポートシャフト5がワークWに当接するまで近づけた状態で(図13(a))、さらに先端部102をワークWに近づける方向にSだけ移動させると、図14(a)に示すように、ワーク把持装置1とともに外筒61が図7の下方に移動してサポートシャフト5が付勢手段62の付勢力に抗して外筒61内に収容され、外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となってワークWに当接する。
そして、このようにして外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となった状態を当接検知手段63によって検知する。つまり、当接検知手段63は、サポートシャフト5がワークWに当接してから所定の移動量だけ移動したことを対面する位置に移動してきた被検知部63aにより検知する。
一方、変位検知手段4は、図14(b)に示すように、ワーク把持装置1による把持位置を検知する第2検知器42が対面する位置に移動してきた第2被検知部42aの存在を検知する。このようにして、姿勢制御装置2は、ワーク把持装置1が正規の把持位置に位置決めされたことを確認する。
このとき、ワーク把持装置1が正規の把持位置に位置決めされた状態であれば、同時に把持機構11の先端部では、ワークWを把持する従動部材112が所定の隙間δ(図14(a)参照)を形成してワークWの被把持部Waに適正に挿入された状態となっている。
このようにして、姿勢検知装置6は、サポートシャフト5がワークWに当接してから所定の移動量だけ移動し外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となった状態を当接検知手段63によって検知することで、ワークWを把持する従動部材112がワークWの被把持部Waに適正に挿入された状態となっていることを確認することができる。
そして、図15に示すように、ワークWに対してワーク把持装置1が所定の姿勢で位置決めされた状態で、把持機構11は、駆動手段114により、駆動部材111を従動部材112に押し込むように移動して(図15(a)参照)、ワークWの被把持部Waに従動部材112を押し付けるようにしてワークWを把持する。
<ワークが過剰にずれている場合の動作>
図2におけるパレット201に載置されたワークWが振動や外的要因により過剰な位置ずれを生じている場合におけるワーク把持装置1の姿勢制御装置2の動作について図16を参照しながら説明する。
姿勢制御装置2は、弾性機構3によっても姿勢制御しきれないようなワークWが過剰な位置ずれを生じている場合には、その状態を姿勢検知装置6および変位検知手段4によって検知する。
ワークWが所定の載置状態から過剰にずれている場合には、図16(a)に示すように、把持機構11の先端部がワークWの被把持部Waに接近しようとすると、ワークWが過剰にずれているため把持機構11の先端部をワークWの被把持部Waに挿入することができずに把持機構11の先端部がワークWに当接する。
把持機構11の先端部がワークWに当接した状態では、ロボットアーム101の先端部102を移動させて、サポートシャフト5がワークWに当接するまで近づけようとしても、図16(b)に示すように、サポートシャフト5をワークWに当接させることができない。
このため、当接検知手段63は、サポートシャフト5が所定の移動量Sだけ移動して、外筒61の先端面とサポートシャフト5の先端面が面一となった状態を検知することができない。
そして、サポートシャフト5がワークWに当接していることを検知しない状態のままで、変位検知手段4により第2検知器42が対面する位置に移動してきた第2被検知部42aにより支持プレート22がワーク把持位置まで変位したことを検知する。
しかしながら、変位検知手段4は、第2検知器42により支持プレート22がワーク把持位置まで変位したことを検知しても、当接検知手段63によりサポートシャフト5がワークWに当接していることを検知しないので、ワーク把持装置1がワークWに対して正規の位置に位置決めされたと判定することができない。
このため、ロボットアーム101の先端部102をさらに移動させると、図16(c)に示すように、姿勢制御装置2は、変位検知手段4により第3検知器43が対面する位置に移動してきた第3被検知部43aにより支持プレート22の過剰変位を検知する。
このようにして、姿勢制御装置2は、当接検知手段63によりサポートシャフト5がワークWに当接していることを検知しない状態で、変位検知手段4により支持プレート22の過剰変位を検知することで、ワークWが過剰にずれていると判断し、ワーク把持装置1によりワークWを把持しようとする際に生じる過度な負荷を未然に検知して回避することができる。
次に、把持部位置決め装置500について説明する。
<把持部位置決め装置>
図17は、把持部位置決め装置の平面図である。図18は、把持部位置決め装置の側面図である。図19は、図17および図18に示される係合凹部を有する係合部材の周辺を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図9、図17および図18に示すように、把持部位置決め装置500は、床Fに設置されるベースユニット(基台)510を有しており、ベースユニット510には、ワーク把持装置1における移動が許容された状態と規制された状態とに切り替えられ得る把持機構11を備えた前記ワーク把持装置1をベースユニット510に位置決めするワーク把持装置位置決め部520が設けられている。
ワーク把持装置位置決め部520は、ベースユニット510の上板511に立設された支柱521,521を有しており、支柱521,521には、ワーク把持装置1の支持プレート22に設けられた略円筒形状のガイド部材221にセット可能なガイドポスト522,522が設けられている。ここでは、例えばAをBにセットするとは、AとBが特定の関係(位置関係)を満たした場合にAおよびBの両要素が一体化され、挙動を一にする関係にすることをいう。
かかる構成により、ワーク把持装置位置決め部520のガイドポスト522に支持プレート22に設けられたガイド部材221を嵌合させることで、ロボットアーム101(図2参照)の先端部102に装着されたワーク把持装置1を、把持部位置決め装置500に対して位置決めできるようになっている。
ここで、ワーク把持装置1とベースユニット510とを支柱521,521を介してコンパクトな構成で位置決めすることができる。また、ワーク把持装置1とベースユニット510との間において把持機構11を移動させるための空間を広く確保することができ、基台上における後記する把持部位置決め機構530のレイアウトの自由度が大きくなる。
ベースユニット510には、把持機構11と係合可能な係合凹部(係合部)531を備えた把持部位置決め機構530が設けられている。把持部位置決め機構530は、ワーク把持装置1における移動が許容された状態にある把持機構11と係合した係合凹部531を3次元移動させることにより把持機構11をワークW(図4参照)の種類に応じて当該ワークWの被把持部Wa(図4参照)に対応した位置に移動させて位置決めする機能を有している。
図17および図18に示すように、把持部位置決め機構530は、X軸の方向に係合凹部531を移動自在に支持する第1支持機構541と、X軸の方向に係合凹部531を移動させるための第1駆動装置542とを有するX軸ユニット540を備えている。第1支持機構541は、X軸の方向に延在する第1レール543と当該第1レール543に沿って転がり軸受(図示せず)を介して移動可能に係合された第1ブロック544とを備えた第1直動ガイド機構545を有している。第1レール543は、ベースユニット510の上板511上に固定されている。また、第1ブロック544には、第1支持部546が固定されている。第1駆動装置542は、第1支持部546の下面に固定された第1ナット部547(図17参照)と、第1ナット部547に螺合されるボールねじ548(図17参照)と、ボールねじ548を回転駆動するモータ549とを有しており、回転するボールねじ548のねじ送り作用により、第1ナット部547、ひいては第1支持部546をX軸の方向に移動させることが可能となっている。
また、把持部位置決め機構530は、Y軸の方向に係合凹部531を移動自在に支持する第2支持機構551と、Y軸の方向に係合凹部531を移動させるための第2駆動装置552とを有するY軸ユニット550を備えている。第2支持機構551は、Y軸の方向に延在する第2レール553と当該第2レール553に沿って転がり軸受(図示せず)を介して移動可能に係合された第2ブロック554とを備えた第2直動ガイド機構555を有している。第2レール553は、第1支持部546上に固定されている。また、第2ブロック554には、第2支持部556が固定されている。第2駆動装置552は、第2支持部556の下面に固定された第2ナット部(図示せず)と、第2ナット部に螺合されるボールねじ558(図17参照)と、ボールねじ558を回転駆動するモータ559(図18参照)とを有しており、回転するボールねじ558のねじ送り作用により、第2ナット部、ひいては第2支持部556をY軸の方向に移動させることが可能となっている。
また、把持部位置決め機構530は、Z軸の方向に係合凹部531を移動自在に支持する第3支持機構561と、Z軸の方向に係合凹部531を移動させるための第3駆動装置562とを有するZ軸ユニット560を備えている。第3支持機構561は、Z軸の方向に延在する第3レール563と当該第3レール563に沿って転がり軸受(図示せず)を介して移動可能に係合された第3ブロック564とを備えた第3直動ガイド機構565を有している。第3レール563は、第2支持部556の側面に鉛直方向に沿って固定されている。また、第3ブロック564には、第3支持部566が固定されている。第3駆動装置562は、第3支持部566の側面に固定された第3ナット部567と、第3ナット部567に螺合されるボールねじ568(図18参照)と、ボールねじ568を回転駆動するモータ569(図18参照)とを有しており、回転するボールねじ568のねじ送り作用により、第3ナット部567、ひいては第3支持部566をZ軸の方向(上下方向)に移動させることが可能となっている。
ここで、第1支持機構541、第2支持機構551、および第3支持機構561は、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸の3軸の方向に係合凹部531を移動自在に支持する支持機構を構成している。また、第1直動ガイド機構545、第2直動ガイド機構555、および第3直動ガイド機構565は、直動ガイド機構を構成している。このように、支持機構は、直動ガイド機構を有しているため、3軸の方向に延在するレールに沿って係合凹部531を滑らかにガタ無く移動させることができる。
また、第1駆動装置542、第2駆動装置552、および第3駆動装置562は、3軸の方向に係合凹部531を移動させるための駆動装置を構成している。駆動装置は、モータ549,559,569の回転軸(図示せず)、ひいてはボールねじ548,558,568の回転角度位置を制御することにより、係合凹部531の移動制御を行うことができる。このような構成によれば、バリエーションを有するワークの種類ごとに異なる種々の位置に被把持部Wa(図4参照)が形成されたワークWに確実に対応することができる。また、3次元直交座標系は、極座標系よりも空間位置が把握し易く、ロボットティーチング等の作業もやり易くなるため、作業性が向上する。
把持部位置決め機構530は、第1ブロック544、第2ブロック554、および第3ブロック564、ひいては係合凹部531の過可動を防止するストッパ571,572,573をそれぞれ有している。このような構成によれば、万一、各ブロック544,554,564、ひいては係合凹部531の走行異常が発生したとしても、各ブロック544,554,564、ひいては係合凹部531の移動がストッパ571,572,573で制限されるため、ワーク把持装置1(図9参照)や把持部位置決め装置500の保護を図ることができる。
また、把持部位置決め機構530は、係合凹部531のX軸、Y軸、およびZ軸の3軸の方向の基準位置をそれぞれ検出する基準位置検出部581,582,583を有している。ここでは、基準位置検出部581,582,583は、リミットスイッチであり、第1支持部546、第2支持部556、および第3支持部566に設けられた被検出部と当接することにより、予め決められた係合部基準位置を検出する。さらに、把持部位置決め機構530は、係合凹部531のX軸、Y軸、およびZ軸の3軸の方向の移動限界位置を検出するオーバーラン検出部を有している。符号584,585は、Y軸の方向の限界位置を検出するオーバーラン検出部を例示しており、X軸、およびZ軸の方向の限界位置を検出するオーバーラン検出部も同様に設けられている。また、把持部位置決め機構530は、ガイドポスト522にセットされるワーク把持装置1のガイド部材221を検出するガイド部材検出部586を有している。
図19に示すように、第3支持部566の上端に設けられた取付板535には、係合凹部531を有する係合部材532が取り付けられている。ここでは、係合凹部531は、複数種類のワークW(図4参照)に応じて、異なる径の円形断面を有する複数の凹部531a,531b,531cから構成されており、係合部材532は、凹部531a,531b,531cをそれぞれ有する複数の部材532a,532b,532cから構成されている。部材532a,532b,532cは、ねじ部材536により取付板535に固定されるフランジ部533a,533b,533cと、フランジ部533a,533b,533cの上面にそれぞれ形成される円柱部534a,534b,534cとをそれぞれ備えており、円柱部534a,534b,534cの上面中央に、所定深さの凹部531a,531b,531cがそれぞれ形成されている。
このような構成によれば、サイズの異なる複数の把持機構11に適合するように、異なる径を有する複数の凹部531a,531b,531cを事前に用意しておくことができる。これにより、把持機構11(図9参照)のサイズがワークWの種類によって異なる場合であっても対応可能となる。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、第3支持部566の取付板535に一種類のワークWに対応する一つの凹部を備えた係合凹部が配設されるように構成されていてもよい。
次に、把持部位置決め装置500を用いて、ワーク把持装置1における把持機構11をワークWの種類に応じて移動させて位置決めする把持部位置決め方法について説明する。
<把持部位置決め方法>
まず、ロボット100を駆動させることにより、ロボットアーム101の先端部102に装着されたワーク把持装置1を移動させて、ワーク把持装置1のガイド部材221を、把持部位置決め装置500のワーク把持装置位置決め部520のガイドポスト522に嵌合させる。これにより、ワーク把持装置1を把持部位置決め装置500に対して位置決めする。ガイド部材検出部586がガイド部材221を検出することにより、ワーク把持装置1の把持部位置決め装置500へのセットが完了したものと判断される。
続いて、ベースユニット510に設けられた把持部位置決め機構530が、当該把持部位置決め機構530に備えられ把持機構11と係合可能な係合凹部531を3次元移動させて、把持機構11の先端が係合凹部531に挿入されるようにして係合凹部531を把持機構11と係合させる。ここで、把持機構11は、係合凹部531を内側から外側に向けて押圧して把持する。
そして、把持機構11をワーク把持装置1における3次元移動が許容された状態に設定する。続いて、把持部位置決め機構530が、把持機構11と係合した係合凹部531をワークWの種類に応じて当該ワークWの被把持部Waに対応した位置に移動させる。
続いて、移動規制装置13により3軸移動機構12の移動を規制することで、把持機構11をワーク把持装置1における3次元移動が規制された状態に設定する(ロックする)。ここで、把持機構11は、係合凹部531の把持を解除する。ワーク把持装置1が複数の把持機構11を備える場合、前記工程を繰り返す。これにより、ワーク把持装置1における把持機構11が、ワークWの種類に応じて移動させられて位置決めされる。
次に、把持部位置決め機構530が、把持機構11から係合凹部531を離間させ、係合凹部531を基準位置検出部581,582,583による検出位置まで移動させることにより予め決められた係合部基準位置に復帰移動させる。続いて、ロボット100を駆動させることにより、ロボットアーム101の先端部102に装着されたワーク把持装置1を移動させて、把持部位置決め装置500のワーク把持装置位置決め部520からワーク把持装置1を離間させ、ワーク把持装置1を予め決められた把持装置基準位置に復帰移動させる。
このような構成によれば、ロボットアーム101に装着されたワーク把持装置1に備えられた把持機構11を、ロボットやワーク把持装置1に把持機構11を移動させるための駆動装置を設けることなく、ワークWの種類の変更に応じて、移動させて位置決めすることにより、ワーク把持装置1における把持機構11の位置を自動的に変更することが可能となる。したがって、ロボットアーム101の先端側を軽量化しながらバリエーションを有する種々のワークに対応することが可能となる。
次に、前記のように構成されたワーク作業システムの全体的な動作について説明する。
<ワーク作業システムの全体的な動作>
前提として、複数のワークWが載置されたパレット201を移動プレート209上に複数段積み重ねた状態で(図3参照)、ワークWが倉庫250に保管されている。
出庫装置200は、ワークWが載置されたパレット201を載せた移動プレート209をコンベア206により搬送することにより、倉庫250からワークWを出庫する。コンベア206により搬送される移動プレート209は、パレット停留機構203により取出し位置202で停留させられる。
このように移動プレート209が停留させられた状態で、ロボット100は、ロボットアーム101に装着されたワーク把持装置1をワークWの撮影位置に移動させ、検知装置260は、光照射部262により光が照射されたワークWを、画像取得部261によりその陰影と共に撮影し、得られた画像からパレット201上に載置されたワークWの姿勢及び位置を検知する。
このとき、ワーク把持装置1に取り付けられているパレット吸着装置230の接続部231は、シリンダ装置239のロッド238を後退させることにより、支持プレート22に接近する方向に折り畳んだ位置にあり、接続部231が折畳み状態であることが第2検知部243により検知される。
したがって、ワークWの把持時やワークWの姿勢及び位置の検知時等に、吸着部232がワークWと干渉することを回避することが可能となる。しかも、簡易な折畳み構造により吸着部232を大きく変位させることができ、吸着部232とワークWとの干渉を容易かつ確実に回避することが可能となる。
続いて、検知装置260により得られた情報に基づいて、ロボット100がワーク把持装置1の姿勢及び位置を変化させることにより、ワーク把持装置1をワークWに正対させてワークを把持する。
したがって、特に合成樹脂製のパレット201を使用する場合にはワークWの載置によってパレット201が撓んだり傷が付いたりし易いが、ワークWが載置されたパレット201がたとえ傾いていたり僅かに凹凸を有していたりした場合でも、迅速かつ正確にワークWの姿勢及び位置を検知できるため、ワーク把持装置1でワークWをより確実に把持することが可能となる。
しかも、ワークWが載置されたパレット201が取出し位置202で停留させられるため、ロボット100は、ワーク把持装置1でワークWをより容易かつ確実に把持することが可能となる。
続いて、ロボット100は、ワーク把持装置1でワークWを把持した状態でロボットアーム101をワーク受け部300の方に旋回させて把持状態を解除することにより、ワークWをワーク受け部300まで移送する。
パレット201上の複数のワークWがすべてワーク受け部300に移送されるまで、前記した動作が繰り返される。
そして、パレット201上にワークWが無くなった場合、次の段にある複数のワークWを移送するために、ロボット100は、ロボットアーム101に装着されたワーク把持装置1を移動させて、ワーク把持装置1の支持プレート22に接続された接続部231の先端に設けられた吸着部232により使用済みの空となったパレット201を吸着する。
したがって、ワーク把持装置1に取り付けられた吸着部232により、使用済みの空となったパレット201を、安価な構成で確実に保持して移送することが可能となる。
このとき、ワーク把持装置1に取り付けられているパレット吸着装置230の接続部231は、シリンダ装置239のロッド238を進出させることにより、支持プレート22に離間する方向に伸張した位置にあり、接続部231が伸張状態であることが第1検知部242により検知される。
したがって、パレット201の吸着時に、吸着部232がワークWに近接する方向に変位するため、パレット201の吸着が容易となる。
続いて、ロボット100は、吸着部232でパレット201を吸着した状態でロボットアーム101をパレット回収機構204のパレット貯留部210の方に旋回させて把持状態を解除することにより、パレット201をパレット貯留部210の一対のパレット支持部214,214上まで移送する。続いて、ロボット100は、次の段にある複数のワークWの把持・移送と、その段にある複数のワークWの把持・移送後におけるパレット201の吸着・移送とを繰り返す。
そして、移動プレート209上のすべてのワークWおよびパレット201が移送されると、例えば図示しないプッシャ等の移動手段により、空となった移動プレート209が、コンベア206上の取出し位置202から、一対のパレット支持部214,214の直下に対応するコンベア207上に移動させられる。続いて、一対のパレット支持部214,214が相互に離間移動されることにより、一対のパレット支持部214,214上に支持されていた複数のパレット201が移動プレート209上に落下して載置される。続いて、複数のパレット201が載置された移動プレート209がコンベア207により倉庫250に向けて搬送されることにより、パレット201の回収が行われる。
このように、空となったパレット201が回収されて倉庫250に戻されるため、パレット201が滞留することなく迅速に再使用に供され、効率がより良好となる。
一方、ワーク受け部300に移送されたワークWは作業装置310に搬送され、作業装置310においてワークWの洗浄、乾燥が行われる。また、ワークW′の出庫、把持、および移送についてもワークWと同様に行われる。ワーク受け部300′に移送されたワークW′は作業装置310′に搬送され、作業装置310′においてワークW′の洗浄、乾燥が行われる。
洗浄、乾燥が行われたワークWとワークW′とは、ワーク搬出装置320,320′により、作業装置310,310′から同期して搬出される。
したがって、ワーク搬出装置320,320′から搬出後の工程で複数のワークW,W′が必要な場合、これらが同期して搬出されると便利であり、効率がより良好となる。例えば、トランスミッションの組立工程では、トランスミッション1個の組立にトルクコンバータケースとトランスミッションケースとが各々1個必要なため、ばらばらに搬出されるよりもトルクコンバータケースとトランスミッションケースとが同期して搬出される方が、後工程での組立作業に便利である。
前記したように、本実施形態のワーク作業システムは、ワークW,W′を載置し得るパレット201と、パレット201上に載置されたワークW,W′を倉庫250から出庫する出庫装置200,200′と、出庫装置200,200′により出庫されパレット201上に載置されたワークW,W′の姿勢及び位置を検知する検知装置260と、ロボットアーム101、及び当該ロボットアーム101に装着されてワークW,W′を把持機構11で把持するワーク把持装置1,1′を備え、検知装置260により検知されたワークW,W′の姿勢及び位置に基づいてワーク把持装置1,1′の姿勢及び位置を変化させ、パレット201上のワークW,W′を把持機構11で把持して移送するロボット100,100′と、ロボット100,100′により移送されるワークW,W′を受けるワーク受け部300,300′と、ワーク受け部300,300′に受容されたワークに対して作業を施す作業装置310,310′と、を備えている。
本実施形態によれば、倉庫250からパレット201上に載置された状態で出庫されるワークW,W′の姿勢及び位置を検知装置260が検知し、検知された情報に基づいてロボット100,100′がワーク把持装置1,1′の姿勢及び位置を変化させることにより、ワーク把持装置1,1′をワークW,W′に正対させてワークW,W′を確実に把持し、ワーク受け部300,300′に向けて移送して、作業装置310,310′が当該ワークW,W′に作業を施す。
したがって、倉庫250からワークW,W′を出庫し、出庫したワークW,W′を移送して当該ワークW,W′に作業を施す一連の工程を、効率良く確実に自動で行うワーク作業システムを提供できる。
また、本実施形態では、ロボットが複数設けられており、ロボット100はワークWを把持し、ロボット100′はワークW′を把持する。
このような構成によれば、複数のロボット100,100′が用意され、各ロボットは、各ワーク把持装置でワークをそれぞれ把持してワーク受け部に移送することができる。結果的に、複数のワークを同時に作業装置に送り込むことが可能であり、効率がより良好となる。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、単一のロボットが単一のワークを把持する場合にも適用可能である。
また、本実施形態では、ロボット100はワークWを把持するワーク把持装置1を備え、ロボット100′はワークWとは異なるワークW′を把持するワーク把持装置1′を備えており、ワーク把持装置1とワーク把持装置1′とは異なるものである。
このような構成によれば、複数のロボット100,100′が用意され、各ロボットは、異なるワーク把持装置で異なるワークをそれぞれ把持してワーク受け部に移送することができる。結果的に、複数の異なるワークを同時に作業装置に送り込むことが可能であり、例えば或る製品が複数の異なるワークを構成要素として有している場合、複数の異なるワークに同時に作業を施すことができ、効率がより良好となる。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、複数のロボットが同一のワークを把持する場合にも適用可能である。
次に、前記した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成(変形例)に関して説明する。前述した実施形態と同様の構成および作用は、以下の実施形態に取り込まれるものとして詳細な説明を適宜省略し、相違する点について主に説明する。
<変形例>
例えば、前記した実施形態においては、被把持部WaがワークWに形成された貫通穴等の凹部であり、凹部を内側から外側に向けて押圧して把持するインナータイプの把持機構を採用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、被把持部がボス等の凸部である場合には、凸部を外側から内側に向けて押圧して把持するコレットチャック方式のアウタータイプの把持機構を採用することもできる。
図20は、ワークの被把持部がボス等の凸部である場合に使用される把持部位置決め装置の係合凸部を有する係合部材の周辺を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図20(a)(b)に示すように、第3支持部566の上端に設けられた取付板535には、係合凸部591を有する係合部材592が取り付けられている。ここでは、係合凸部591は、複数種類のワークに応じて、異なる径の円形断面を有する複数の凸部591a,591b,591cから構成されており、係合部材592は、凸部591a,591b,591cをそれぞれ有する複数の部材592a,592b,592cから構成されている。部材592a,592b,592cは、ねじ部材536により取付板535に固定されるフランジ部593a,593b,593cをそれぞれ備えており、フランジ部593a,593b,593cの上面に、所定高さの凸部591a,591b,591cがそれぞれ形成されている。
このような構成によれば、サイズの異なる複数の把持機構に適合するように、異なる径を有する複数の凸部591a,591b,591cを事前に用意しておくことができる。これにより、把持機構のサイズがワークの種類によって異なる場合であっても対応可能となる。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、第3支持部566の取付板535に一種類のワークに対応する一つの凸部を備えた係合凸部が配設されるように構成されていてもよい。
前記したように、把持機構と係合可能な係合部は、把持機構がワークの被把持部を外側から内側に向けて押圧して把持するアウタータイプの場合には係合凸部591とし、把持機構がワークの被把持部を内側から外側に向けて押圧して把持するインナータイプの場合には係合凹部531とすることができる。
このように構成すれば、把持機構がアウタータイプ、インナータイプ、あるいはこれらの両タイプが混在する場合にも対応することができる。また、複雑な構造のワークの把持にも対応することができる。
なお、ワークの被把持部が凸部である場合に、当該凸部は、前記したボス等の円柱形状に限定されるものではなく、リブ等の直方体形状(衝立形状)であってもよい。この場合、把持機構は、リブ等の直方体形状の凸部の相対する2面を挟むように外側から内側に向けて押圧してワークを把持するものであり、この把持機構と係合可能な把持部位置決め機構の係合凸部は、ワークの被把持部であるリブ等の直方体形状の凸部に対応した形状に形成される。
また、前記した実施形態では、把持機構11をワークWの被把持部Waに位置合わせしておくことで、被把持部Waの位置が異なる種々のワークWに柔軟に対応可能なワーク把持装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば把持機構11の位置が固定され同一種類のワークWにのみ対応可能なワーク把持装置がロボットアーム101に装着される場合にも適応可能である。この場合、作業対象のワークWの種類が変更になるときには、ロボットアーム101に装着されるワーク把持装置が交換される。
図21は、変形例に係るパレット吸着装置を示す正面図である。
図21に示すように、変形例に係るパレット吸着装置244は、支持プレート22に接続される接続部245と、当該接続部245の先端に設けられた吸着部232と、を備えている。パレット吸着装置244の接続部245は、接続部245における吸着部232の設置部位が変位可能に構成されている。具体的には、接続部245は、支持プレート22に固定されるシリンダ装置247と、シリンダ装置247に備えられる進退移動可能なロッド246の先端に固定される取付け部248とを有している。シリンダ装置247としては、例えばエアシリンダが使用される。
このような構成によれば、パレット吸着装置244は、より簡易な構成により、接続部245を伸張した位置(図21において二点差線で示す)と収縮した位置(図21において実線で示す)との間で変位させることができる。
図22は、変形例に係るワーク把持装置でワークを挟持する様子を示す要部拡大平面図である。図23は、図22に示されるワーク把持装置の全体構成を示す断面図である。
図22および図23に示すように、ワーク把持装置601は、ロボット100のロボットアーム101の先端部102に装着して種々のバリエーションを有するワークWのリブRを挟持して保持する保持装置として好適に使用することができる。
具体的には、例えば、2種類のワークW,W′に形成されたリブR,R′の位置や形状がそれぞれ異なり、第1の被挟持部W1,W1′では位置と形状(リブの向き)が一致するが、第2の被挟持部W2,W2′では位置と形状(リブの向き)が一致しない場合について以下説明する。なお、図22および図23においては、ワークW,W′は、物品としては同一の機能を有する例えばトランスミッションケースであるが、製品のバリエーションに応じて種類(型式)が異なるものを想定している。
ワーク把持装置601は、支持プレート22に配設されワークWの第1の被挟持部W1(図2を併せて参照)を挟持する固定フィンガー611およびワークWの第2の被挟持部W2を挟持する可動フィンガー612を有する把持部と、可動フィンガー612を回動自在に支持する回動装置7と、この回動装置7を移動自在に支持する移動装置である直線移動装置8と、この直線移動装置8による移動を規制する移動規制装置81と、を備えている。
固定フィンガー611は、支持プレート22に固定された取付ブラケット611aと、フィンガー駆動機構611bと、被挟持部W1,W1′を挟持する一対の挟持フィンガー611c,611cと、挟持フィンガー611cに装着された緩衝部材611dと、を備えている。フィンガー駆動機構611bは、挟持フィンガー611cを駆動するための機構であり、汎用的な機構であるため図示は省略するが、挟持フィンガー611cを開閉自在に支持する支持機構や挟持フィンガー611cを開閉するエアシリンダ等の駆動機構を備えて構成されている。
一対の挟持フィンガー611c,611cは、互いに向かい合わせに対峙して配設され、それぞれが水平方向に移動して進退することで開閉し、被挟持部W1を開放(アンクランプ)したり、挟持(クランプ)したりすることができるようになっている。緩衝部材611dは、可撓性を有するウレタンゴム等からなり、被挟持部W1を挟持した際に、被挟持部W1の損傷を防止しながら摩擦抵抗を増大させて強固に挟持することができるようになっている。
可動フィンガー612は、回動装置7に固定する取付ブラケット612aと、フィンガー駆動機構612bと、被挟持部W2,W2′を挟持する一対の挟持フィンガー612c,612cと、挟持フィンガー612cに装着された緩衝部材612dと、を備え、挟持フィンガー612c,612cが回動装置7により水平方向で回動したり、直線移動装置8により水平方向(図23の左右方向)で移動したりすることができるようになっている。取付ブラケット612a、フィンガー駆動機構612b、挟持フィンガー612c、および緩衝部材612dの構成については、固定フィンガー611のものと同様である。
回動装置7は、直線移動装置8に支持された状態で支持プレート22に配設され、可動フィンガー612を回動自在に支持する装置である。可動フィンガー612は、平面視において、回動装置7に備えられた第1のばね部材(図示せず)により回動方向の反時計回りに付勢され、第2のばね部材(図示せず)により時計回りに付勢されている。かかる構成により、可動フィンガー612は、ワークW′の被挟持部W2′を挟持しようとして被挟持部W2′に挟持力を付与する際に、被挟持部W2′から反作用的に回動力を受けて、挟持フィンガー612c,612cの挟持方向がワークW′の被挟持部W2′の形状に適合するように回動する機能を奏する。
直線移動装置8は、支持プレート22に配設され、回動装置7に支持された可動フィンガー612を被挟持部W2から被挟持部W2′まで直線移動自在に支持する装置である。直線移動装置8は、支持プレート22に配設されたガイドレール82と、ガイドレール82に支持されたホルダ83と、ホルダ83の移動を規制する移動規制手段である移動規制装置81と、ホルダ83に固定され回動装置7を支持する支持部材84と、支持部材84を直線移動させる駆動源であるエアシリンダ85と、支持部材84の移動端を規制する前進端ストッパ86aおよび後退端ストッパ86bと、を備えている。
このような構成によれば、ワークにおける例えばリブ等の被挟持部を2箇所で挟持するため、バリエーションを有する種々のワークを確実に保持して搬送することができる。また、フィンガーの位置をワークの被挟持部に合わせて移動させるとともに、フィンガーを回動させて挟持する方向を適宜調整することができるため、ワークの被挟持部の位置や形状の向きが異なる種々のワークに柔軟に対応して、確実にワークの被挟持部を挟持することができる。
また、前記した実施形態では、作業装置310がワークWをエアや液体により洗浄し乾燥する装置であるため、ワーク受け部300はワークWが載置されるワーク載置部であってローラコンベアで構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。ワーク受け部は、例えば、ワークWを位置決めする位置決め部が固定して設けられた専用受け治具(図示せず)、あるいはワークWを位置決めする位置決め部が移動可能に設けられた共用受け治具(図示せず)であってもよい。なお、共用受け治具は、ワークWの種類が多い場合に適用されるのが好ましい。この場合、専用受け治具や共用受け治具にセットされたワークWは、精密な位置決めが必要とされる例えば加工装置等の作業装置に向けて搬送される。
以上、本発明について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記実施形態(変形例を含む)に記載した構成に限定されるものではなく、前記した構成を適宜組み合わせ乃至選択することを含め、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。