JP5438080B2 - スポットサイズ変換器 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン細線光導波路から出射する光のモードフィールド径を変換し、他の光導波路や光ファイバと整合させるスポットサイズ変換器に関するものである。
光導波路デバイスにおいて、モードフィールド径(Mode-field diameter:MFD)の異なる光導波路どうしや、あるいは光ファイバと光導波路などを低損失に接続するために、スポットサイズ変換器(Spot-size converter:SSC)が一般的に用いられている。
特に、シリコン細線光導波路は、MFDが光ファイバや石英系光導波路に比べて非常に小さいため、SSCが必須である(例えば、特許文献1参照)。
一方、上に例示したSSCと比べると損失性能に劣るものの、構造が単純で製造が容易な簡易型SSCが提案されており、この簡易型SSCは、レンズファイバなどを用いた光調芯系を用いたシリコン細線光導波路デバイスの特性評価を容易にすることから、重用されている。
例えば図5に示すようなSSCが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。図5において、100は第1のシリコン細線光導波路、101はテーパ構造部、102は第2のシリコン細線光導波路、103はシリコン支持基板、104はアンダークラッドとなる埋め込み酸化膜(Burried oxide:BOX)層、105は第1のシリコンコア、106はテーパ部、107は第2のシリコンコア、108は酸化シリコンからなるオーバークラッド、109は光ファイバである。BOX層104と第1のシリコンコア105とオーバークラッド108とは第1のシリコン細線光導波路100を構成し、BOX層104とテーパ部106とオーバークラッド108とはテーパ構造部101を構成し、BOX層104と第2のシリコンコア107とオーバークラッド108とは第2のシリコン細線光導波路102を構成している。
図5に示したSSCでは、第1のシリコンコア105と繋がるテーパ部106の位置でコアの幅が漸次細くなるように形成し、さらに幅を狭めた第2のシリコンコア107に沿って直線状に光を伝搬させた後、MFDの大きな光ファイバ109と接続するようにしている。つまり、このSSCは、第2のシリコンコア107において光の閉じ込めを弱くして、光がクラッドへと漏れ出る構造とすることでMFDを拡大し、接続先の光ファイバ109とのMFD整合が良好になるよう設計されている。また、このSSCでは、特許文献1に開示されたSSCのように第2のシリコンコアを覆うMFDの大きな導波路コアを作製する必要がないので、製造が容易である。
特開2004−133466号公報
Y.Shoji,et al.,"SIMPLE SPOT-SIZE CONVERTER WITH NARROW WAVEGUIDE FOR SILICON WIRE CIRCUITS",Proceedings of MOC'09,Tokyo,paperJ90,2009
一方、図5に示した簡易型SSCには、以下のような課題があった。第1のシリコンコア105および第2のシリコンコア107は、SOI(Silicon on Insulator)基板の薄いBOX層104の直上に作製される。このBOX層104の厚さは、電子回路用基板としては数十nmから1μm程度が一般的に用いられており、光導波路用に用いられる基板であっても、たかだか3μm程度である。また、非特許文献1においては、光のモードフィールドが上下対称であることから、アンダークラッドとオーバークラッドに同じ酸化シリコン(SiO2)を材料として用いており、アンダークラッドとオーバークラッドの屈折率がほぼ等しいことを想定している。
そのため、図5に示したSSCでは、第2のシリコンコア107からの光の漏れ出しを用いてMFDを拡大する際、一般的な導波路への光入出力に用いられる光ファイバのMFDである3〜4μm程度までMFDを拡大すると、BOX層104の下にあるシリコン支持基板103に光が吸収されるという問題点があった。
例えば、高さ0.22μm、幅0.16μmの第2のシリコンコア107が屈折率1.444のアンダークラッド(BOX層104)と同じく屈折率1.444のオーバークラッド108とで覆われた導波路端面と、MFD=4.3μmを有する光ファイバ端面とをバットカップルさせた際の結合損失を計算すると、約0.47dBである。一方、基板吸収は計算によると、12.4dB/cmとなり、チップ化マージン等で第2のシリコンコア107の長さが1mmであったとすると、1.2dB程度の大きな損失が生じることになる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、基板吸収損失を低減することができるスポットサイズ変換器を提供することを目的とする。
本発明は、シリコン細線光導波路と、結合対象となる光ファイバまたは光導波路とを結合するスポットサイズ変換器において、シリコン支持基板上に形成された平板状のアンダークラッドと、このアンダークラッド上に形成された第1のシリコンコアと、前記アンダークラッド上に前記第1のシリコンコアの端部と連結するように形成され、先端に向かって幅が漸次細くなるシリコンからなるテーパ部と、前記アンダークラッド上に前記テーパ部の端部と連結するように形成された第2のシリコンコアと、前記第1のシリコンコアと前記テーパ部と前記第2のシリコンコアとを覆うように形成された第1のオーバークラッドと、前記第1のオーバークラッドを覆うように形成された第2のオーバークラッドとを備え、前記アンダークラッドと前記第1のシリコンコアと前記第1、第2のオーバークラッドとは、第1のシリコン細線光導波路を構成し、前記アンダークラッドと前記テーパ部と前記第1、第2のオーバークラッドとは、テーパ構造部を構成し、前記アンダークラッドと前記第2のシリコンコアと前記第1、第2のオーバークラッドとは、第2のシリコン細線光導波路を構成し、前記第1のオーバークラッドの屈折率は、前記アンダークラッドの屈折率よりも大きく、且つ前記第2のシリコンコアと前記結合対象との結合損失と、伝搬光が前記シリコン支持基板に吸収されることによる基板吸収損失との和が最低となるように設定され、前記第2のオーバークラッドの屈折率は、前記アンダークラッドの屈折率よりも大きく、前記第1のオーバークラッドの屈折率よりも小さいことを特徴とするものである。
本発明によれば、第1のオーバークラッドの屈折率をアンダークラッドの屈折率よりも大きく設定することで、伝搬する光のモードフィールドをシリコン支持基板から遠ざけることができ、シリコン支持基板側への伝搬光の漏れ出しを抑制することができるので、従来のスポットサイズ変換器と比較して基板吸収損失を低減することができる。
また、本発明では、第1のオーバークラッドを第2のオーバークラッドで覆うことで、モードフィールドの上部への広がりを抑えることができ、さらに第1のオーバークラッド1の厚さおよび屈折率を適切に設定することで、結合対象のMFDとの良好な整合が得られるようにすることができる。
本発明の第1の実施の形態に係るスポットサイズ変換器の斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスポットサイズ変換器の結合損失、基板吸収損失、および結合損失と基板吸収損失との和の計算結果を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係るスポットサイズ変換器の斜視図である。 本発明の第2の実施の形態に係るスポットサイズ変換器の結合損失、基板吸収損失、および結合損失と基板吸収損失との和の計算結果を示す図である。 従来のスポットサイズ変換器の斜視図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るSSCの斜視図である。図1において、1は第1のシリコン細線光導波路、2はテーパ構造部、3は第2のシリコン細線光導波路、4は屈折率3.467のシリコン支持基板、5はシリコン支持基板4の上に形成された屈折率1.444のアンダークラッドとなるBOX層、6は光伝搬方向と垂直な断面が矩形で屈折率が3.467の第1のシリコンコア、7は第1のシリコンコア6の端部に、コア6の厚さを維持した状態で幅寸法が先端(第2のシリコンコア側)に向かって漸次細くなるように形成された屈折率3.467のテーパ部、8はテーパ部7の先端部と連結するように形成された屈折率3.467の第2のシリコンコア、9はアンダークラッドよりも屈折率が大きい材料からなるオーバークラッド、10は結合対象となる光ファイバである。なお、図1では、SSCの構造を分かり易くするため、オーバークラッド9と光ファイバ10とを透視して第1のシリコンコア6とテーパ部7と第2のシリコンコア8とを記載しており、オーバークラッド9と光ファイバ10については破線で記載している。
BOX層5と第1のシリコンコア6とオーバークラッド9とは第1のシリコン細線光導波路1を構成し、BOX層5とテーパ部7とオーバークラッド9とはテーパ構造部2を構成し、BOX層5と第2のシリコンコア8とオーバークラッド9とは第2のシリコン細線光導波路3を構成している。第1のシリコンコア6とテーパ部7と第2のシリコンコア8とは、いずれも高さHが0.22μmの場合を想定している。また、第1のシリコンコア6の幅W1は0.4μm程度、第2のシリコンコア8の幅W2は0.17〜0.19μm程度で各オーバークラッドの屈折率において損失が最も小さくなる幅、テーパ部7の長さL1は300μm程度、第2のシリコンコア8の長さL2は1cm程度、BOX層5の厚さは数十nm〜3μm程度、オーバークラッド9の厚さは数μm程度である。
図1に示した簡易型SSCの構造は以下のようにして製造される。まず、シリコン支持基板4とシリコン支持基板4の上に形成されたBOX層5とBOX層5の上に形成された上層シリコン層とからなるSOI基板を用意し、上層シリコン層を半導体リソグラフィとエッチング加工により加工して、第1のシリコンコア6とテーパ部7と第2のシリコンコア8とを作製する。次に、第1のシリコンコア6とテーパ部7と第2のシリコンコア8とを形成したSOI基板上に、アンダークラッドよりも屈折率が大きい酸化シリコンまたはポリマー系材料からなるオーバークラッド9をCVD(Chemical Vapor Deposition)法またはPVD(Physical Vapor Deposition)法などにより堆積する。こうして、本実施の形態のSSCが完成する。
本実施の形態では、第2のシリコンコア8でのMFDを調整し、接続先とのMFD整合をとるために、第2のシリコンコア8の幅W2、およびオーバークラッド9の屈折率を、適切に調整することが望ましい。
図1に示すように高NA(Numerical Aperture)の光ファイバ10(MFD=〜4.3μm)と第2のシリコンコア8とをバットカップルさせた際の結合損失および基板吸収損失を、シミュレーションを用いて計算により見積もった。
図2は、本実施の形態のSSCの結合損失、基板吸収損失、および結合損失と基板吸収損失との和が、オーバークラッド9の屈折率に依存する様子を示す図である。図2において20は結合損失を示し、21は基板吸収損失を示し、22は結合損失と基板吸収損失との和を示している。ここでは、SSCを伝搬する光がTE偏光の場合の計算結果を示している。第2のシリコンコア8を伝搬する光がシリコン支持基板4に吸収されることによる基板吸収損失は、第2のシリコンコア8の長さL2が1cmの場合の値を示している。オーバークラッド9の屈折率が1.47の場合、結合損失は1dB未満と十分に小さく、基板吸収損失も1dB/cmと十分に小さい。オーバークラッド9の屈折率をさらに大きくすると、結合損失は増大するが、基板吸収損失をさらに低減することができる。SSCの設計に際しては、結合損失と基板吸収損失との和が最低となるよう、オーバークラッド9の屈折率を選択すればよい。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図3は本発明の第2の実施の形態に係るSSCの斜視図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。図3において、1aは第1のシリコン細線光導波路、2aはテーパ構造部、3aは第2のシリコン細線光導波路、4は屈折率3.467のシリコン支持基板、5は屈折率1.444のアンダークラッドとなるBOX層、6は屈折率3.467の第1のシリコンコア、7は屈折率3.467のテーパ部、8は屈折率3.467の第2のシリコンコア、10は結合対象となる光ファイバ、11はアンダークラッドおよび後述するオーバークラッド12よりも屈折率が大きい材料からなるオーバークラッド、12はアンダークラッドよりも屈折率が大きく、オーバークラッド11よりも屈折率が小さい材料(本実施の形態では屈折率1.468)からなるオーバークラッドである。図1と同様に、図3では、オーバークラッド11,12と光ファイバ10とを透視して第1のシリコンコア6とテーパ部7と第2のシリコンコア8とを記載しており、オーバークラッド12と光ファイバ10については破線で記載している。
BOX層5と第1のシリコンコア6とオーバークラッド11,12とは第1のシリコン細線光導波路1aを構成し、BOX層5とテーパ部7とオーバークラッド11,12とはテーパ構造部2aを構成し、BOX層5と第2のシリコンコア8とオーバークラッド11,12とは第2のシリコン細線光導波路3aを構成している。第1のシリコンコア6、テーパ部7および第2のシリコンコア8のそれぞれの寸法は、第1の実施の形態と同じである。オーバークラッド11,12の厚さはそれぞれ数μm程度である。
図3に示した簡易型SSCの構造は以下のようにして製造される。まず、第1のシリコンコア6とテーパ部7と第2のシリコンコア8の製造方法は、第1の実施の形態で説明したとおりである。次に、第1のシリコンコア6とテーパ部7と第2のシリコンコア8とを形成したSOI基板上に、アンダークラッドおよびオーバークラッド12よりも屈折率が大きい酸化シリコンまたはポリマー系材料からなるオーバークラッド11をCVD法またはPVD法などにより堆積する。さらに、オーバークラッド11の上に、アンダークラッドよりも屈折率が大きく、オーバークラッド11よりも屈折率が小さい酸化シリコンまたはポリマー系材料からなるオーバークラッド11をCVD法またはPVD法などにより堆積する。こうして、本実施の形態のSSCが完成する。
本実施の形態では、第2のシリコンコア8でのMFDを調整し、接続先とのMFD整合をとるために、第2のシリコンコア8の幅、およびオーバークラッド11の屈折率や厚さを、適切に調整することが望ましい。
図3に示すように高NAの光ファイバ10(MFD=〜4.3μm)と第2のシリコンコア8とをバットカップルさせた際の結合損失および基板吸収損失を、シミュレーションを用いて計算により見積もった。
図4は、本実施の形態のSSCの結合損失、基板吸収損失、および結合損失と基板吸収損失との和が、オーバークラッド11の屈折率に依存する様子を示す図である。図4において40は結合損失を示し、41は基板吸収損失を示し、42は結合損失と基板吸収損失との和を示している。ここでは、SSCを伝搬する光がTE偏光の場合の計算結果を示している。基板吸収損失は第2のシリコンコア8の長さL2が1cmの場合の値を示している。オーバークラッド11の厚さは4μmとした。オーバークラッド11の屈折率が1.48の場合、結合損失は0.6dB程度と十分に小さく、基板吸収損失も0.5dB/cmと十分に小さい。オーバークラッド11の屈折率をさらに大きくすると、結合損失は増大するが、基板吸収損失をさらに低減することができる。SSCの設計に際しては、結合損失と基板吸収損失との和が最低となるよう、オーバークラッド11の屈折率を選択すればよい。
また、図2と図4の結合損失を比較すると、本実施の形態のようにオーバークラッド11の上にオーバークラッド12を追加することで、第1の実施の形態と比較して結合損失を低減できることが分かる。
さらに、オーバークラッド11の厚さや屈折率、また第2のシリコンコア8の幅を適当な値に設定することにより、結合損失を低減することができる。
なお、第1、第2の実施の形態では、光通信デバイスへの適用を念頭におき、伝搬光の波長を1.55μmとした場合を示しているが、異なる波長においても本発明が適用されうる。また、デバイスを構成する寸法についても一つの例であって、第1、第2の実施の形態で示した値に限定されるものではない。
本発明は、モードフィールド径の異なる光導波路デバイスを低損失に接続する技術に適用することができる。
1,1a…第1のシリコン細線光導波路、2,2a…テーパ構造部、3,3a…第2のシリコン細線光導波路、4…シリコン支持基板、5…BOX層、6…第1のシリコンコア、7…テーパ部、8…第2のシリコンコア、9,11,12…オーバークラッド、10…光ファイバ。

Claims (1)

  1. シリコン細線光導波路と、結合対象となる光ファイバまたは光導波路とを結合するスポットサイズ変換器において、
    シリコン支持基板上に形成された平板状のアンダークラッドと、
    このアンダークラッド上に形成された第1のシリコンコアと、
    前記アンダークラッド上に前記第1のシリコンコアの端部と連結するように形成され、先端に向かって幅が漸次細くなるシリコンからなるテーパ部と、
    前記アンダークラッド上に前記テーパ部の端部と連結するように形成された第2のシリコンコアと、
    前記第1のシリコンコアと前記テーパ部と前記第2のシリコンコアとを覆うように形成された第1のオーバークラッドと
    前記第1のオーバークラッドを覆うように形成された第2のオーバークラッドとを備え、
    前記アンダークラッドと前記第1のシリコンコアと前記第1、第2のオーバークラッドとは、第1のシリコン細線光導波路を構成し、
    前記アンダークラッドと前記テーパ部と前記第1、第2のオーバークラッドとは、テーパ構造部を構成し、
    前記アンダークラッドと前記第2のシリコンコアと前記第1、第2のオーバークラッドとは、第2のシリコン細線光導波路を構成し、
    前記第1のオーバークラッドの屈折率は、前記アンダークラッドの屈折率よりも大きく、且つ前記第2のシリコンコアと前記結合対象との結合損失と、伝搬光が前記シリコン支持基板に吸収されることによる基板吸収損失との和が最低となるように設定され、
    前記第2のオーバークラッドの屈折率は、前記アンダークラッドの屈折率よりも大きく、前記第1のオーバークラッドの屈折率よりも小さいことを特徴とするスポットサイズ変換器
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