JP5173925B2 - 光学素子 - Google Patents
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Description
従って、高速光通信で使用される光素子は、横モードが1つのみの単一モード光導波路を備えるように構成される。
つまり、光素子の有する単一モード光導波路のモードフィールドは、光ファイバーのコアの断面積に対して、およそ128分の1の大きさである。このため、光ファイバーと光素子の有する単一モード光導波路とを、ただ単に結合させた場合、光エネルギーは、結合部分において大きく減衰する。従って、光ファイバーと光素子の有する単一モード光導波路との光結合の効率を上げることは、複数の光素子が含まれる光通信システム全体の低損失化につながり、重要な課題となっている。
このような構造によって、光ファイバー等から取り込んだ光を、伝播方向に沿って、光ファイバー内の大きなモードフィールドから、高い屈折率をもつSiNからなる導波路内の小さなモードフィールドヘと変換することができ、光素子の有する単一モード光導波路と、光ファイバーとの光結合を低損失にすることができる。
また、特許文献4には、第1の光導波路とモードフィールドサイズ変換部と第2の光導波路から構成され、第1の光導波路のオーバークラッド層とモードフィールドサイズ変換部及び第2の光導波路のコアとを同時に作成し、オーバークラッド層とコアとを同時に作製し、コアの作製時にコアの光の進行方向に対して左右対称な2つの領域をエッチング領域としてコアの材料を除去し、それ以外の領域はコアの材料を削らずに残すようにした構造が開示されている。
特許文献3に記載されている構造にあっては、素子先端に向かって連続的に構造が変化しているため、切断する位置により断面構造が変化し、結合効率の変化が起こる。
特許文献4に記載されている構造にあっては、逆テーパーの先端に高精度の加工が要求され、製造時のばらつきにより、逆テーパー構造(素子の領域)と第一の領域の境界において、高次のモードが励起され、その干渉により光の伝搬方向に対してモードフィールド形状の変化が大きくなる。従って、特許文献4に記載の構造においても切断する位置のばらつきにより、結合効率のばらつきが発生する。
本発明の光学素子は、前記第二の領域において、前記トレンチ溝から上方に突出して形成された前記クラッドが、前記第一の領域において、前記トレンチ溝から上方に突出して形成された前記低屈折率光伝送部よりも、光の伝搬方向に対して略垂直な方向の断面において、幅が広いことが好ましい。
本発明の光学素子は、前記第二のコアについて、前記基板の底面に対して略垂直な方向の高さ、及び略平行な方向の幅の、少なくとも一方の値が、前記低屈折率光伝送部よりも小さいことが好ましい。
本発明の光学素子は、前記第二のコアが、前記第一の領域のクラッドと材質が同一であることが好ましい。
本発明の光学素子は、前記第二のコアが、前記第一の領域の第一のコア及びクラッドと材質が異なることが好ましい。
本発明の光学素子は、前記第二のコアが、前記基板の底面に略平行な方向の幅が、素子先端に向かって広がるように形成された部位を有することが好ましい。
本発明の光学素子は、前記第一の領域が、さらに第三のコア及び第四のコアを有し、前記第三のコアは、前記第一のコアより高い屈折率を有する材質からなり、光の伝搬方向に対して略垂直な方向の断面積が、素子先端方向に向けて連続的に減少するよう形成され、前記第四のコアは、光の伝搬方向に対して略垂直な方向の断面積が一定となるように、前記第一のコアと連続して形成され、前記第一のコア又は第四のコアが、前記第三のコアよりも、前記基板に対して上方に積層されていることが好ましい。
また、第二の領域において光は、光の進行方向に対して変化の少ないモードフィールドを有して伝播するので、仮に、光学素子の製造時に第二の領域が切断されて使用される領域であって、切断位置が光の伝搬方向前後にばらついた場合であっても、接続される光学素子との結合効率のばらつきの発生を低減することができ、安定的な結合効率を有する光学素子を提供することができる。
本発明において、第二のコアが、前記基板の底面に略平行な方向の幅が、素子先端に向かって広がるように形成された部位を有することにより、外部の光学素子のスポットサイズと本発明の光学素子のスポットサイズを合わせることができるようになり、その場合により高効率に、外部の光学素子に結合する光学素子を提供することができる。
以下に説明する実施形態は、フォトニック結晶層を含む光学素子に対して本願のスポットサイズ変換光導波路部を有する光学素子を適用した場合の実施形態である。
図1は、本実施形態に係る光学素子の説明図であって、図1に示す実施形態の光学素子1は、単一モード導波路部から外部の光学素子に光を伝搬させる際のインターフェースとして高効率な光結合を提供するものである。
図1に示すように、本実施形態における光学素子1は、素子の領域A、第一の領域B及び第二の領域Cを主体として構成されている。素子の領域Aは、光の伝搬方向において素子内部に位置する、シングルモード導波路部である。第一の領域Bは、光の伝搬方向において素子内部側に位置し、第二の領域に向かって幅が漸次減少する逆テーパー状のコアを有する。第二の領域Cは、光の伝搬方向において素子最先端部に位置し、素子を製造する際にこの位置で切断され、シングルモードであることを特徴とする。素子の領域A、第一の領域B及び第二の領域Cは、いずれも基板2を最下層として構成されている。
素子の領域Aは、素子内にて他の機能を有する部分から素子先端へ光を導波する役割を果たす。
他の機能とは、受発光器、干渉計等、光を用い、外部との接続を有する機能のことである。また、他の機能がこの素子の領域に含まれている場合も考えられる。本実施形態においては、他の機能として、分散補償機能が素子の領域に含まれている場合もある。また、特に本発明における素子の領域Aの導波路は低屈折率比である必要はなく、シリコンをはじめとする、高屈折率比の導波路においても、効果を発揮するものである。
また、クラッド22の、光の伝搬方向に対して略垂直な方向の断面積を、適度に広くとることにより、高次モードの影響を低減し、外部の光学素子との結合効率の変化を低減させる効果を有する。
例えば、本実施形態において、後述するように、図6に示す第一の領域のクラッド3A、3Bの各サイズ(図6に数値で示す寸法)に対し、図7に示す如く、例えば、クラッド22のトレンチ部22cの断面を幅28μmとし、トレンチ部22cを含めたクラッド22の全体の高さを36.95μm(21.25μm+15.7μm)とする設計例を示すことができるが、当該設計例に限られるものではなく、接続する外部の光学素子の構造や、各構成部材に用いる材料が有する屈折率に応じて最適な大きさに設定することができる。
図2は、本発明の素子の領域Aにおける単一モード導波路部の断面図である。
基板2は、例えば、屈折率が約3.4のシリコン等によって形成される。クラッド3(3A)は、本発明における第一の領域Bのクラッドと第2の領域Cのクラッドとして機能し、低屈折率光伝送部5より低い屈折率を有する材料、例えば、酸化シリコン(屈折率が約1.45)によって、基板2上に積層されて形成されている。
シリコン層4は、シリコン層4a及び4bとから成り、上記フォトニック結晶層7の母材であり、SiNなどからなる高屈折率光伝送部6より高い屈折率を有する材料、例えば、屈折率が約3.4のシリコン等によって形成される薄膜である。
図3(B)に示す如く、フォトニック結晶層7は、本発明における第一のクラッドとしてのクラッド3A上に積層されている。フォトニック結晶層7は、第二の物質としてのシリコンによって形成された母材に面状に複数の孔を形成し、当該孔に母材の屈折率(誘電率)と異なる屈折率(誘電率)を有する第一の物質としてのシリコン酸化膜(SiO2膜)等を充填することによって、シリコン酸化膜を所定のサイズと所定の配置間隔でシリコン中において面状に配して形成したものである。そして、当該シリコンによる母材が、上記シリコン層4a及び4bと連続してクラッド3A上に形成されている。なお、上記面状とは、フォトニック結晶層7内に二次元方向に配列されている平面状等の形状を意味し、光パルスに対して波長分散変動を付与するフォトニック結晶としての効果を発揮させる場合には、フォトニック結晶層7が製造工程において曲面や平面と曲面とが組み合わされた形状となった場合に当該形状に沿った配列も含むものとする。なお、シリコンを母材とするフォトニック結晶層にかかる分散補償素子に関して特許出願(特願2004−315167号:特許第3917170号公報)において公開されている。
また、高屈折率光伝送部6に対して垂直2方向(図1における±z方向)に突出する部分であるリッジ部5a及びトレンチ部5cは、それぞれ所定の幅を有して設けられており、これらが光の閉じ込めを行なうための光の閉じ込め部として機能するよう構成されている。
第二の領域Cの切断位置部クラッド22は、素子の領域A及び第一の領域Bと共通の基板2の上に形成され、例えば、酸化シリコンからなる。切断位置部クラッド22は、第二の領域Cにおける基板2Aの底面側に形成されたトレンチ溝2bを埋めるとともに、基板2Aの上方側に、先の第一の領域Bにおける低屈折率光伝送部5のリッジ部5aと同じ高さまで積層形成されている。本実施形態では、基板2Aのトレンチ溝2bは、前記断面においてその深さ及び幅が、ともに第一の領域Bにおける低屈折率光伝送部5のスラブ部5bよりも大きくなるように形成されている。従って、トレンチ溝2bに形成されたトレンチ部22cは、第一の領域Bにおけるトレンチ部5cよりも、前記断面において幅が大きくなるように形成されている。また、トレンチ溝2bから上方に突出しているトレンチ部22cの幅も、前記断面において、第一の領域Bにおける低屈折率光伝送部5のスラブ部5bよりも大きくなるように形成されている。
第二の領域Cの切断位置部コア21は、例えば、第一の領域Bの低屈折率光伝送部5に使用される酸窒化シリコンからなる。なお、切断位置部コア21の材質は、クラッド3と同一でも良いし、異なっていても良く、高屈折率光伝送部6と同一でも良いし、異なっていても良い。ただし、本発明においては、切断位置部コア21の材質は、クラッド3と同一であるか、クラッド3及び高屈折率光伝送部6と異なることが好ましい。このようにすることで、本発明の光学素子をより高効率に外部の光学素子と結合させることができる。
切断位置部コア21と切断位置部クラッド22は、シングルモード条件を満たすよう構成されている。そして、切断位置部コア21は、第二のコアと称することができる。
また、シングルモード導波路では、基本モードのモードフィールドの広がりは、光の伝搬方向に対して略垂直な方向のコアの断面積が大きい方が大きくなるが、その一方で、同方向のコアの断面積を漸次狭めることによって、その断面に対して大きくすることもできる。そこで、第二の領域Cの切断位置部コア(第二のコア)21について、基板2の底面に対して略垂直な方向(図1におけるz方向)の高さ、及び略平行な方向(図1におけるx方向)の幅の、少なくとも一方の値を、第一の領域Bの低屈折率光伝送部5よりも小さくすることでも、上記と同様の効果を奏する。
なお、図6及び7中に、外部に接続する光学素子としてコア径8μm、クラッド径125μm、比屈折率差0.34%のシングルモードファイバーを想定した場合の、高効率での光結合を可能とする各構成部材の設計例(寸法例)を示す。しかし、本発明における各構成部材のサイズ及び各構成部材間のサイズ比等は当該設計例に限られるものではなく、接続する外部の光学素子の構造や、各構成部材に用いる材料が有する屈折率に応じて最適な種類、大きさに設定することができるのは勿論である。
本発明によれば、切断位置の変化に対して、他の光学素子との結合効率の変化を低減させることができる。上記で説明した本発明の光学素子と、従来技術の光学素子における、切断位置のばらつきによる結合効率の変化の計算例を図8及び9に示す。
ここで従来技術の光学素子とは、本発明における素子の領域A及び、第一の領域Bと同じ領域を有し、更に第二の領域Cに代わり、図10に例示する断面(光の伝搬方向に対して略垂直な方向の断面)を有する第二の領域を有して構成された光学素子である。図10に示す断面は、図6に示す第一の領域Bの一部から、高屈折率光伝送部6を削除し、その部分に低屈折光伝送部5と同じ材質を満たした構造を有している。
即ち、本発明に係る光学素子の構造を採用すると、第二の領域Cにおける切断位置が仮にばらついたとしても、従来技術の光学素子と比較して、結合効率の変化率を低減できることが明かである。
第一の実施形態に係る光学素子1では、第二の領域Cにおいて、断面形状が光の伝搬方向に沿って一定となるように形成したが、本発明はこれに限定されず、第二の領域Cにおいて、シングルモード条件を満たすように断面形状を変化させても良い。
より具体的には、図11に示すように、第二の領域Cにおいて、切断位置部コア21Aが、基板の底面に略平行な方向の幅が、素子先端に向かって連続的に広がるように形成された切断位置部テーパーコア21aと、続いて素子先端に向かって、光の伝搬方向に対して略垂直な方向の断面形状が一定となるように形成された切断位置部定常コア21bとを有するように形成しても良い。その他の構造については、図1〜5に示した実施形態の構造と同じである。
ただし、第二の実施形態においては、切断位置部定常コア21bが存在する部位を切断位置とする。
Claims (7)
- 基板上方にスポットサイズ変換光導波路部を有する光学素子であって、
前記スポットサイズ変換光導波路部が、互いに隣接する第一の領域と第二の領域を少なくとも有し、
前記基板は、前記第一の領域と第二の領域において、底面側にトレンチ溝が形成され、
前記第一の領域は、光の伝搬方向において素子内部側に位置して、第一のコア、クラッド、及び低屈折率光伝送部を有し、前記低屈折率光伝送部は、前記第一のコアよりも屈折率が低くて、前記クラッドよりも屈折率が高く、前記トレンチ溝を埋めるように、前記クラッド及び低屈折率光伝送部がこの順に積層形成され、
前記第二の領域は、光の伝搬方向において素子先端側に位置して、第二のコア及びクラッドを有し、前記トレンチ溝を埋めるように、前記クラッドが形成され、
前記第一のコアは、前記第二の領域に向けて、前記基板の底面に対して略平行な方向の幅が減少する逆テーパー状であり、
前記第二のコアが、第一の領域と第二の領域との接続面において、前記基板の底面に対して略垂直な方向に、第一の領域の第一のコア及びクラッドの合計の高さよりも低い高さを有し、
前記第二の領域において、前記トレンチ溝を埋めるように形成された前記クラッドが、前記第一の領域において、前記トレンチ溝を埋めるように形成された前記低屈折率光伝送部よりも、光の伝搬方向に対して略垂直な方向の断面において、幅が広いことを特徴とする光学素子。 - 前記第二の領域において、前記トレンチ溝から上方に突出して形成された前記クラッドが、前記第一の領域において、前記トレンチ溝から上方に突出して形成された前記低屈折率光伝送部よりも、光の伝搬方向に対して略垂直な方向の断面において、幅が広いことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
- 前記第二のコアについて、前記基板の底面に対して略垂直な方向の高さ、及び略平行な方向の幅の、少なくとも一方の値が、前記低屈折率光伝送部よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子。
- 前記第二のコアが、前記第一の領域のクラッドと材質が同一であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子。
- 前記第二のコアが、前記第一の領域の第一のコア及びクラッドと材質が異なることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学素子。
- 前記第二のコアが、前記基板の底面に略平行な方向の幅が、素子先端に向かって広がるように形成された部位を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子。
- 前記第一の領域が、さらに第三のコア及び第四のコアを有し、
前記第三のコアは、前記第一のコアより高い屈折率を有する材質からなり、光の伝搬方向に対して略垂直な方向の断面積が、素子先端方向に向けて連続的に減少するよう形成され、
前記第四のコアは、光の伝搬方向に対して略垂直な方向の断面積が一定となるように、前記第一のコアと連続して形成され、
前記第一のコア又は第四のコアが、前記第三のコアよりも、前記基板に対して上方に積層されたことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
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