JP5222791B2 - 光導波路 - Google Patents
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Description
通常、光導波路(光配線)は、単にデータを送るだけではなく、さまざまな機能が求められる。その一つが、コアの大きさが異なる光導波路を接続する場合のスポットサイズ変換である。
幅方向のスポットサイズ変換を行なうために、導波路コアの幅をテーパ状にすることが考えられる。また、高さ方向のスポットサイズ変換を行なうために、導波路コアの厚さをテーパ状にすることが考えられる。さらに、幅と高さの両方向のスポットサイズ変換を行なうために、導波路コアの幅及び厚さをテーパ状にした複合構造にすることが考えられる。
また、上述の放物線テーパ導波路や指数関数テーパ導波路を用いる場合、特にスポットサイズ変換の変換比が大きくなると、直線テーパ導波路を用いる場合と同様に、テーパ導波路の長さを長くすることが必要である。
[第1実施形態]
第1実施形態にかかる光導波路について、図1〜図12を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる光導波路は、コアの大きさが幅方向で異なる2つの光導波路(細い光配線と太い光配線)を有し、幅方向のスポットサイズ変換機能(スポットサイズ変換構造;スポットサイズ変換器)を有するものである。
本光導波路は、図1、図2に示すように、第1の幅W1を有する第1導波路コア部1と、第1の幅W1よりも広い第2の幅W2(W1<W2)を有する第2導波路コア部2と、第1導波路コア部1と第2導波路コア部2とを接続するテーパ状導波路コア部3(スポットサイズ変換器)とを備える。
一方、スポットサイズ変換を行なう場合、第1光導波路部を伝搬する光の基本モードと第2光導波路部を伝搬する光の基本モードとを高効率に変換することが必要になる。例えば、第1光導波路部がシングルモードであり、第2光導波路部がマルチモードである場合、第2光導波路部から第1光導波路部へ光が伝搬するときに、マルチモードの中に含まれる基本モードが第1光導波路部に結合するように、スポットサイズ変換を行なう必要がある。
このため、幅方向のスポットサイズ変換において、変換比が大きい場合であっても、基本モード間の変換が高効率に行なわれ、短い距離で変換を行なえるようにしたい。
そこで、本実施形態では、図1、図2に示すように、テーパ状導波路コア部3を、第1導波路コア部1から第2導波路コア部2へ向けて幅が広くなるテーパ形状を有するものとし、第1導波路コア部1に接続される側の幅W3を第1導波路コア部1の幅W1と同一にし(W3=W1)、第2導波路コア部2に接続される側の幅W4を第2導波路コア部2の幅W2よりも狭くしている(W4<W2)。
一方、第1導波路コア部1に接続される側の部分(前側部分)は、第1導波路コア部1と第2導波路コア部2とを直線で結んだ直線テーパ導波路(図19参照)の広がり角よりも大きい広がり角を持つテーパ形状になっている。
具体的には、テーパ状導波路コア部3は、長さ(テーパ長)をLとし、第1導波路コア部1に接続される側の幅をW3とし、第2導波路コア部2に接続される側の幅をW4として、長さ方向位置zと幅xとの関係が、次式(1)で定義される放物線(二次曲線)テーパ形状を有する。
ここでは、等価屈折率法を用いた2次元ビーム伝搬法(BPM:Beam Propagation Method)を用いた。クラッドの屈折率は石英と同じ1.45とし、比屈折率差Δが0.5%〜10.0%となるようにコアの屈折率を設定した。波長は1.31μmである。第1導波路コア部1はシングルモードとなる正方形コアとし、第2導波路コア部2はこれの幅を拡大したものとした。シミュレーションにおける第2導波路コア部2の出力光と第2導波路コア部2の基本モードとの間の重なり積分を求め、これを変換効率とした。
図3に示すように、変換効率0.5dBを得るのに、従来の直線テーパと従来の放物線テーパとはほぼ同じテーパ長が必要であることが分かる。
次に、図4〜図8は、本実施形態のテーパ状導波路コア部3を用いた場合の変換効率0.5dBとなるテーパ長及び縮小率W4/W2のシミュレーション結果を示したものである。なお、図4〜図8は、比屈折率差Δを0.5%〜10.0%の範囲で変化させた場合のシミュレーション結果をそれぞれ示している。つまり、図4は比屈折率差Δ0.5%の場合、図5は比屈折率差Δ1.0%の場合、図6は比屈折率差Δ2.0%の場合、図7は比屈折率差Δ5.0%の場合、図8は比屈折率差Δ10.0%の場合のそれぞれのシミュレーション結果を示している。また、第2導波路コア部2の幅W2を固定し、第1導波路コア部1の幅W1を変化させた場合のシミュレーション結果を示している。
また、図4〜図8に示すように、それぞれの場合の縮小率W4/W2は、約0.55〜約0.70の範囲(約55%〜約70%の範囲)となっていることが分かる。
次に、図9は、図4中、符号Xで示す範囲に含まれるデータ(シミュレーション結果)における縮小率と変換効率との関係を示したものである。
ここで、図4中、符号Xで示す範囲に含まれるデータは、変換効率0.5dBとなるテーパ長及び縮小率のうち、縮小率(最適値)が約72%の場合、即ち、同一変換比W2/W1、同一テーパ長で、最も変換効率が良くなる縮小率が約72%の場合のシミュレーション結果を示している。
次に、本実施形態にかかる光導波路の製造方法について、図10を参照しながら説明する。
また、光導波路の材料は、特に制限はなく、例えば、石英、ガラス、シリコン、樹脂(例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリシラン、シリコーン樹脂など)を使うことができる。ここでは、例えばポリイミド樹脂(OPI、日立化成工業)を用いている。
次いで、図10(B)に示すように、コア用樹脂(コア層)6(例えばOPI−N3305又はOPI−N3405)を同様にして塗布・硬化させる。
次いで、図11(A)に示すように、例えばウェットエッチングによってレジストパターン8を金属膜7に転写する。
最後に、図11(C)に示すように、金属膜7を除去した後、図11(D)に示すように、コア層6の上方に、再び、クラッド用樹脂(上部クラッド層)8を塗布・硬化させて、光導波路が完成する。
特に、本実施形態にかかる光導波路によれば、従来の直線テーパや放物線テーパを用いた場合と比較して、ほぼ半分の長さで幅の異なる光導波路を接続することができる。また、同じ長さであれば、より高品質な接続が可能となる。
図12(A),(B),(C)に示すように、本実施形態における放物線テーパ形状によれば、従来の直線テーパや放物線テーパと比較して、短い距離で幅の異なる光導波路を低損失で接続することが可能であることが分かる。
なお、上述の実施形態では、テーパ状導波路コア部3を、放物線テーパ形状(曲線テーパ形状)を有するものとして説明しているが、これに限られるものではない。例えば、上述の実施形態の放物線テーパ形状に近似する形状、例えば折れ線テーパ形状を有するものとしても良く、この場合も同様の作用・効果が得られる。
[第2実施形態]
第2実施形態にかかる光導波路について、図13、図14を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる光導波路は、図13に示すように、第1の幅W1を有する第1導波路コア部1と、第1の幅W1よりも広い第2の幅W2(W1<W2)を有する第2導波路コア部2と、第1導波路コア部1と第2導波路コア部2とを接続するテーパ状導波路コア部3A(スポットサイズ変換器)とを備える。なお、図13では、上述の第1実施形態のもの(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
本実施形態では、テーパ状導波路コア部3Aは、曲線テーパ形状を有する。つまり、第1導波路コア部1と第2導波路コア部2とが、曲線テーパ形状を有するテーパ状導波路コア部3Aによって接続されている。
図14は、本実施形態のテーパ状導波路コア部3Aを用いた場合の変換効率0.5dB(=89%)となるテーパ長及び縮小率W4/W2のシミュレーション結果を示したものである。なお、図14は、比屈折率差Δ1.0%、変換比14.3の場合のシミュレーション結果を示している。
また、図14に示すように、それぞれの場合の縮小率W4/W2は、約0.60〜約0.80の範囲(約60〜約80%の範囲)となっていることが分かる。
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
特に、本実施形態にかかる光導波路によれば、従来の直線テーパや放物線テーパを用いた場合と比較して、ほぼ半分の長さで幅の異なる光導波路を接続することができる。また、同じ長さであれば、より高品質な接続が可能となる。
これにより、光回路の小型化や高品質化(低損失化)に寄与することができる。また、設計(シミュレーション)や製造についても、従来の直線テーパや放物線テーパに関する技術で十分対応できる形状である。
[第3実施形態]
第3実施形態にかかる光導波路について、図15〜図18を参照しながら説明する。
本実施形態にかかる光導波路は、図15に示すように、第1の幅W1を有する第1導波路コア部1と、第1の幅W1よりも広い第2の幅W2(W1<W2)を有する第2導波路コア部2と、第1導波路コア部1と第2導波路コア部2とを接続するテーパ状導波路コア部3B(スポットサイズ変換器)とを備える。なお、図15では、上述の第1実施形態のもの(図1参照)と同一のものには同一の符号を付している。
具体的には、テーパ状導波路コア部3Bは、第1導波路コア部1の側から第2導波路コア部2の側へ向けて幅が広くなる第1直線テーパ形状部3Baと、第1直線テーパ形状部3Baに連なり、第1導波路コア部1の側から第2導波路コア部2の側へ向けて幅が狭くなる第2直線テーパ形状部3Bbとを有する。なお、第1直線テーパ形状部3Baを、順テーパ形状部、あるいは、前段テーパ形状部ともいう。また、第2直線テーパ形状部3Bbを、逆テーパ形状部、あるいは、後段テーパ形状部ともいう。これにより、後半の逆テーパ形状が一種のプリズム的な効果を示すことで、高効率な変換が可能となる。
また、第2直線テーパ形状部3Bbは、第2導波路コア部2に接続される側の幅W4が第2導波路コア部2の幅W2よりも狭くなっている(W4<W2)。
ここでは、第2直線テーパ形状部3Bbは、第2導波路コア部2に接続される側の幅W4が第2導波路コア部2の幅W2に対して約0%〜約40%の幅になっている。つまり、テーパ状導波路コア部3Bの第2導波路コア部2に接続される側の幅W4を、W2×約0〜約0.4としたテーパ形状を有する第2直線テーパ形状部3Bbを備える。ここで、第2導波路コア部2の幅W2に対する、第2導波路コア部2に接続される側の幅W4の割合W4/W2を、W4の縮小率とすると、縮小率を約0%〜約40%の範囲としていることになる。なお、縮小率0%の場合、第2直線テーパ形状部3Bbの第2導波路コア部2に接続される側の幅W4がない、即ち、第2直線テーパ形状部3Bbと第2導波路コア部2とが接続されていないことになる。
ここでは、図16に示すように、第1直線テーパ形状部3Ba及び第2直線テーパ形状部3Bbを含むテーパ状導波路コア部3Bの長さ(テーパ長)をLとし、第1導波路コア部1の側から折れ線テーパの屈曲部までの長さ、即ち、第1導波路コア部1と第1直線テーパ形状部3Baとの接続部から第1直線テーパ形状部3Baと第2直線テーパ形状部3Bbとの接続部までの長さをL1とし、第1導波路コア部1の幅をW1とし、第2導波路コア部2の幅をW2(W1<W2)とし、第1直線テーパ形状部3Baの第1導波路コア部1に接続される側の幅をW3とし、第2直線テーパ形状部3Bbの第2導波路コア部2に接続される側の幅をW4とし、屈曲部の幅、即ち、屈曲部における第1直線テーパ形状部3Ba及び第2直線テーパ形状部3Bbの幅をW11とし、第1導波路コア部1と第2導波路コア部2とを直線テーパで接続した場合の屈曲部における幅をW10としている。
図17に示すように、比屈折率差Δ0.5%の場合、変換効率0.5dBを得るためには、変換比W2/W1を9.8にし、テーパ長Lを355μmにし、屈曲部の位置、即ち、テーパ長Lに対する屈曲点までの長さL1の割合L1/Lを69%にし、第2直線テーパ形状部3Bbの終端幅、即ち、第2直線テーパ形状部3Bbの第2導波路コア部2に接続される側の幅W4の縮小率W4/W2を19%にし、屈曲部の幅、即ち、直線テーパで接続した場合の屈曲部における幅W10に対する、屈曲部における第1直線テーパ形状部3Ba及び第2直線テーパ形状部3Bbの幅W11の割合(屈曲部における幅W11の縮小率)W11/W10を67%にすれば良い。
また、比屈折率差Δ2.0%の場合、変換効率0.5dBを得るためには、W2/W1を20.8にし、Lを224μmにし、L1/Lを79%にし、W4/W2を25%にし、W11/W10を71%にすれば良い。
また、比屈折率差Δ10.0%の場合、変換効率0.5dBを得るためには、W2/W1を62.5にし、Lを183μmにし、L1/Lを90%にし、W4/W2を26%にし、W11/W10を92%にすれば良い。
W2/W1、L、L1/L、W11/W10を同一にし、縮小率W4/W2(%)(ここではW4)を変化させると、変換効率(dB)は、図18中、実線Aで示すように変化する。つまり、図18中、実線Aで示すように、縮小率約19%で変換効率が最も良くなり、変換効率0.5dBが得られている。また、縮小率約0%〜約40%の範囲で、最適変換効率0.5dBから0.5dBの範囲内の変換効率が得られている。つまり、最適変換効率0.5dBから0.5dBの範囲内の変換効率、即ち、変換効率1.0dBが得られるのは、縮小率約0%〜約40%の範囲となっている。そして、この範囲内では、変換効率が比較的フラットであるものの、この範囲から外れると、急に変換効率が低下することが分かる。なお、他の条件においても同様の範囲に含まれる。
また、W2/W1、L、W4/W2、W11/W10を同一にし、L1/L(%)(ここではL1)を変化させると、変換効率(dB)は、図18中、実線Bで示すように変化する。つまり、図18中、実線Bで示すように、L1/L約69%で変換効率が最も良くなり、変換効率0.5dBが得られている。また、L1/L約45%〜約90%の範囲で、最適変換効率0.5dBから0.5dBの範囲内の変換効率が得られている。つまり、最適変換効率0.5dBから0.5dBの範囲内の変換効率、即ち、変換効率1.0dBが得られるのは、L1/L約45%〜約90%の範囲となっている。そして、この範囲内では、変換効率が比較的フラットであるものの、この範囲から外れると、急に変換効率が低下することが分かる。なお、他の条件においても同様の範囲に含まれる。
なお、その他の詳細は、上述の第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
特に、本実施形態にかかる光導波路によれば、従来の直線テーパや放物線テーパを用いた場合と比較して、ほぼ半分の長さで幅の異なる光導波路を接続することができる。また、同じ長さであれば、より高品質な接続が可能となる。
これにより、光回路の小型化や高品質化(低損失化)に寄与することができる。また、設計(シミュレーション)や製造についても、従来の直線テーパや放物線テーパに関する技術で十分対応できる形状である。
[その他]
なお、本発明は、上述した各実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
2 第2導波路コア部
3,3A,3B テーパ状導波路コア部
3Ba 第1直線テーパ形状部
3Bb 第2直線テーパ形状部
4 基板
5 クラッド層
6 コア層
7 金属膜
8 クラッド層
Claims (1)
- 第1の幅を有する第1導波路コア部と、
前記第1の幅よりも広い第2の幅を有し、かつ、一定の幅を有する第2導波路コア部と、
前記第1導波路コア部と前記第2導波路コア部とを接続するテーパ状導波路コア部とを備え、
前記テーパ状導波路コア部は、前記第1導波路コア部から前記第2導波路コア部へ向けて幅が広くなる曲線テーパ形状、放物線テーパ形状、指数関数テーパ形状、又は、これらに近似する折れ線テーパ形状を有し、前記第1導波路コア部に接続される側の幅が前記第1の幅と同一になっており、前記第2導波路コア部に接続される側の幅が前記第2の幅に対して50%〜85%の幅になっていることを特徴とする光導波路。
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