以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は本発明の第1の実施例に係る光ピックアップ装置の光学系を示したものである。ここではBD(Blu−ray Disc)について説明するが、DVD(Digital Versatile Disc)や他の記録方式であってもなんら構わない。なお、以下の説明において、光ディスクの層には、記録型光ディスクにおける記録層や、再生専用の光ディスクの再生層が含まれる。
半導体レーザ50からは、波長略405nmのP偏光の光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射したP偏光の光ビームは1/2波長板35によりS偏光の光ビームに変換される。S偏光の光ビームは、偏光ビームスプリッタ52を反射する。偏光ビームスプリッタ52を反射した光ビームはコリメートレンズ51により略平行な光ビームに変換される。コリメートレンズ51を透過した光ビームはビームエキスパンダ54に入射する。ビームエキスパンダ54は、光ビームの発散・収束状態を変えることで、光ディスクのカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。ビームエキスパンダ54を出射した光ビームは立ち上げミラー55を反射、アクチュエータ5に搭載された偏光回折格子25、1/4波長板56、対物レンズ2を経て光ディスク上に集光される。このとき、偏光回折格子25はP偏光の光ビームに対して回折作用が起こる特性となっており、S偏光の光ビームに対しては、回折作用は起こらない。また、1/4波長板56によってS偏光の光ビームが円偏光の光ビームとして出射されるため、ディスク上には円偏光の1つのスポットが形成される。
光ディスクを反射した円偏光の光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56に入射する。このとき、1/4波長板56によって円偏光の光ビームがP偏光の光ビームに変換される。P偏光の光ビームは、偏光回折格子25に入射する。図2は偏光回折格子25のパターンを示したものである。ここで、図2の点GCは、偏光回折格子に入射する光ビームの中心で、点線RO1は偏光回折格子25上の光ビームの外形を示している。また斜線部領域は、光ディスクによって回折した光ビームとの干渉領域を示している。偏光回折格子25は領域DXと領域DYに分かれており、領域DXに入射したP偏光の光ビームは、±1次回折光として回折される。ここで例えば領域DXの回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1であるとする。また、領域DYに入射したP偏光の光ビームは、透過または0次回折光として出射する。
偏光回折格子25を出射した光ビームは、立ち上げミラー55、ビームエキスパンダ54、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52を経て、回折格子11に入射する。図3は回折格子11のパターンを示したものである。ここで、図3の点線は偏光回折格子25の領域DYを透過または0次回折光として出射した光ビームを示し、点GC1はその光ビームの中心を示し、一点鎖線は、偏光回折格子25の領域DXの+1次回折光、二点鎖線は、偏光回折格子領域DXの−1次回折光を示している。回折格子11は、大きく領域D1、D2、D3に分けられる。そして、領域D2は、領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhに分けられる。各領域は、ディスクの回折光に応じて分けられており、ディスクの±1次回折光が入射するDa、Db、Dc、Dd(回折格子領域B)とディスクの0次回折光が入射するDe、Dh(回折格子領域A)とディスクの0次回折光が入射するDf、Dg(回折格子領域C)に分けられる。
ここで、領域D1と領域D3に入射した光ビームは、透過または0次回折光として出射する。これより、偏光回折格子25の領域DXを回折した光ビームは、回折格子11をそのまま透過することがわかる。また、領域D2に入射した光ビームは、領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhの格子溝ピッチおよび溝方向に応じて回折する。ここで、例えば領域D2の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=7:0:3であるとする。
回折格子11を出射した光ビームは、光検出器10の受光部に入射する。図4に光検出器10の受光部配置と信号光を示す。光検出器10上には、複数の受光部が配置されており、それぞれの受光部には回折格子11によって分割された光ビームが照射される。偏光回折格子25の領域DXの+1次回折光、−1次回折光は、受光部i1、i2に入射する。また、偏光回折格子25の領域DYに入射し、回折格子11領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhを回折した+1次回折光は、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1に入射する。また、領域Da、Db、Dc、Ddを回折した−1次回折光は、フォーカス誤差信号検出用の受光部r、s、t、u、vの暗線部に入射し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した−1次回折光はそれぞれ受光部e2、f2、g2、h2に入射する。
受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、e2、f2、g2、h2、r、s、t、u、v、i1、i2から得られた信号A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、E2、F2、G2、H2、R、S、T、U、V、I1、I2に対し、以下の演算を行うことでフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
また、トラッキング検出方法に関しては以下の演算でも良い。
なお、kは対物レンズが変位した際にトラッキング誤差信号でDC成分を発生させないようにする係数である。ここで、フォーカス誤差検出方式はナイフエッジ検出方式である。
ここで、特許文献1および特許文献2の課題について詳細に説明する。まず、特許文献1の課題について説明する。特許文献1では、トラッキング誤差信号検出方式としてDPP方式を用いており、ディスク上に3つのスポットを照射し、それらの反射光を検出している。また、フォーカス誤差検出方式に非点収差方式を用いている。そして従来のDPP方式と異なる構成として、対物レンズの直下に偏光回折格子を配置していることが特徴となっている。この偏光回折格子は、多層ディスクを記録/再生するときに光検出器の受光部上に他層からの迷光が入射しないように格子の領域が配置されている。ここで、従来のDPP方式の信号光と迷光の関係について説明する。図5、図6に従来の非点収差方式を用いた場合の検出器上での信号光と迷光の幾何光学計算結果を示す。以下の条件を用いて計算を行った。
計算条件
波長;405nm
NA;0.85
検出倍率;22倍
ここで、図5はディスク表面から75μm位置、100μm位置に層がある層間隔25μmの場合を示している。図5Aは75μm位置を再生しているときの信号光と100μmの迷光を示しており、図5Bは100μm位置を再生しているときの信号光と75μmの迷光を示している。なお、説明を簡単化するため信号光に関しては、3つのビームを示し、迷光に関しては、光量の大きいメインビームのみの迷光を示した。
図5の結果は、特許文献1と同じような結果となっている。このため、特許文献1のような構成であっても迷光を回避することが可能である。
次に、図6はディスク表面から90μm位置、85μm位置に層がある層間隔5μmの場合を示している。図6Aは85μm位置を再生しているときの信号光と90μmの迷光を示しており、図6Bは90μm位置を再生しているときの信号光と85μmの迷光を示している。図5と図6の結果より、検出器面上の迷光の大きさはディスクの層間隔に依存することがわかる。このため、ディスク層間隔が小さくなった場合に特許文献1のような構成で受光部に迷光を入射させないようにするには回折格子の中央領域を大きくする必要となる。さらに、特許文献1には「対象層により反射された0次光と隣接層により反射された0次光とは光量差が大きいために、DPP方式によるトラッキングエラー信号を検出するのに使われる差信号、すなわち、(B+C)−(A+D)信号に、隣接層による0次光が大きく影響を及ぼさない。」と記載されているが実際には、多層ディスクとなると0次光の受光部に複数の層の反射光が入射し、層間隔が小さくなることで0次光に対して光量が大きくなるため、光量の大きい0次光でさえ、大きく影響してしまう。このため、層間隔の小さい多層ディスクで安定したDPP信号を得るためには3ビームの受光部全てに迷光が入射しない構成とする必要がある。また、特許文献1の構成の非点収差方式についても課題がある。非点収差方式は、非点収差を意図的に付加することでフォーカス誤差信号を検出している。しかし、層間隔が小さい場合には、非点収差方式の迷光は、非点収差の影響により、光検出器上のスポットが円形にならず、歪んでしまう。このため、信号光と迷光を分離するためには、偏光回折格子の領域をさらに広げる必要があるのである。
以上の内容を考慮した結果が図7である。図7は、図6と同条件において特許文献1の構成で迷光を回避した場合について示したものである。図7Aは85μm位置を再生しているときの信号光と90μmの迷光を示しており、図7Bは90μm位置を再生しているときの信号光と85μmの迷光を示している。なお、このときの図2に示す偏光回折格子の中央領域の大きさは、有効径に対して(XH、XV)=(1.00、0.67)となっており、信号光のほとんどの光ビームを回折する必要があることがわかる。
図7に示した通り、受光部上には他層の迷光が入射していないが、それと同時に信号光のディスク接線(Tan)方向に伸びる中央領域も受光部に入射していないことがわかる。このように受光部に信号光のTan方向に伸びる中央領域が入射しなければ、安定した非点収差方式のフォーカス誤差信号は得られない。ここで、その対策として例えば単純に偏光回折格子の中央領域から回折した光ビームを用いてフォーカス誤差信号検出することを考えるが、以下の理由により安定したフォーカス誤差信号を検出できない。
BDのような高NAのシステムの場合、保護層厚さ誤差に伴う球面収差補正が必須となる。このため、一般的に対物レンズに入射する光ビームの収束・発散状態を変化させることで保護層厚さ誤差を相殺するような球面収差を対物レンズにより発生させ、安定した再生信号を検出している。ところが、回折格子を対物レンズと同じ位置に配置すると記録/再生している層に応じて回折格子に入射する光ビームの収束・発散状態が変化してしまう。回折格子に入射する光ビームの収束・発散状態が変化すると回折格子出射後の回折方向が異なってしまうため、光検出器上での信号光の位置が変化する。これにより、ディスク再生層に応じてフォーカス誤差信号が変化してしまい、それぞれの層で安定したフォーカス誤差信号を検出することができないのである。
以上のように層間隔が小さい場合には特許文献1の構成はフォーカス誤差信号検出とトラッキング誤差信号検出(他層からの迷光回避)は両立しないのである。これについては特許文献1には記載されていない。
次に、1ビーム方式の課題を説明する。非特許文献1や特許文献2のような1ビーム方式は、ディスク上に1つの光ビームを照射し、その反射光を回折格子で複数の領域に分割し、分割した光ビームをそれぞれの受光部で検出することで信号を生成している。課題としては層間隔が小さくなると回折格子の中央領域を大きくしなければならないことや対物レンズがトラックに追従するために半径方向に変位するとそれに伴って迷光成分が移動することが挙げられる。中央領域に関しては、特許文献1と同じ内容であるが、迷光成分の移動については特許文献1にはない。それは、特許文献1の偏光回折格子が対物レンズと一緒に変位する可動部配置となっているのに対し、非特許文献1及び特許文献2の回折格子は固定部配置となっていることが大きな違いである。可動部配置の場合には、対物レンズが変位しても対物レンズ有効径に対する回折格子の配置位置が変化しないため、迷光の位置も変化しない。一方、固定部配置の場合には、対物レンズが変位すると対物レンズ有効径に対する回折格子位置が変化するため迷光の位置が変化したように見えるのである。このとき、1ビーム方式用の回折格子を可動部配置とすれば良いと考えるが以下に挙げる問題のため実現できない。
球面収差補正を行うため、光ビームの収束・発散状態を変化させるとそれに伴って回折格子に入射する光ビームの収束・発散状態が変化してしまう。回折格子に入射する光ビームの収束・発散状態が変化すると回折格子出射後の回折方向が変わってしまうため、光検出器上での集光位置が変化する。このため、回折方向に対し、受光部を大きくしなければ安定した再生信号およびサーボ信号が得られない。さらに、特許文献1のように光ビームの収束・発散状態の変化の小さい中央部のみを回折するのに対し、1ビーム方式のように光ビームの全ての領域の光ビームを回折するのでは回折格子への収束・発散状態が大きく異なるため、その影響も大きくなる。ところが、受光部を大きくしてしまうと、必然的に多層の迷光が入射することになる。このため、特許文献1のような構成の回折格子を対物レンズと一緒に変位することが困難となっている。これについては、非特許文献1のような非点収差方式の検出方法や特開2009−170060(特許文献3)のようなナイフエッジ検出方式の検出方法であっても同様である。このため、1ビーム方式用の回折格子を可動部配置することは非常に難しい課題となっている。
それに対して、本実施例の構成は、2つの回折格子を用いることで層間隔の小さい多層ディスクであっても安定したフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が得られる。以下それについて説明を行う。
本発明では、偏光回折格子25と回折格子11の2つの回折格子を用いている。光ディスクで反射した光ビームは、偏光回折格子25の領域DXに入射した光ビームのみ回折される。その後、光ビームは回折格子11に入射する。このとき、回折格子領域DXを回折した光ビームは、回折格子11の領域D1、D3に入射する。ここで、回折格子領域D1、D3では光ビームは、透過または0次回折光として出射するため、回折格子11を透過して光検出器10の受光部に入射する。また、偏光回折格子25の領域DYに入射した光ビームは、透過または0次回折光として偏光回折格子25を出射し、回折格子11の領域D2に入射する。回折格子11の領域D2に、入射した光ビームは領域D2の領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhを回折し、光検出器10の受光部に入射する。
このように偏光回折格子25の領域DXに入射した光ビームのみを回折することで、1ビーム方式の課題であった対物レンズの変位に伴った迷光の位置変化を解決することが可能となる。ただし、偏光回折格子25の領域DXを回折した光ビームは、回折格子11にも入射することが課題となるが、これについて本実施例では回折格子11の領域D1、D3を透過または0次回折光として出射するようすることで課題を解決している。また、偏光回折格子25は光ビームの収束・発散状態の変化の小さい中央部の領域DXのみを回折することで、回折角の変化を低減すると同時に、領域DXを回折した光ビームを検出する受光部i1、i2を光ビームの回折方向に大きくすることで、どの層を記録/再生しても信号光が入射する構成となっている。そして、領域DXを回折した光ビームを検出する受光部i1、i2には、多層からの迷光が入射するが、影響のあるトラッキング誤差信号として検出しないことから実用上問題とならない。
また、偏光回折格子25の領域DYを出射した光ビームは、図4に示すように、回折格子11により領域Da、Db、Dc、Ddを回折した光ビームをTan方向に並んだ検出部で検出し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した光ビームをRad方向に並んだ検出部で検出している。これにより効率良く迷光を回避することが可能となる。詳細は、特許文献3に記載されている。このとき、フォーカス誤差信号に関しては特許文献1のような3つの光ビームからなる非点収差方式ではなく、1つのビームを分割するナイフエッジ検出方式を用いることで安定したフォーカス誤差信号を検出することが可能である。また、本実施例は1つのビームを分離していることから、特許文献1のように3つのビームに対して迷光を回避する必要がないため、回折格子の中央領域を大きくする必要もないのである。
図8に本実施例の構成で層間隔5μmのディスクを記録・再生した場合の光検出器上の信号光と迷光の関係を示す。図8Aは85μm位置を再生しているときの信号光と90μmの迷光を示しており、図8Bは90μm位置を再生しているときの信号光と85μmの迷光を示している。なお、以下の条件を用いて計算を行った。
計算条件
波長;405nm
NA;0.85
検出倍率;20倍
このときの図2に示す偏光回折格子の中央領域の大きさは、有効径に対して(XH、XV)=(0.40、0.55)となり、特許文献1に対し、非常に小さい領域で迷光を回避することが可能となる。
図8より層間隔が小さくなっても迷光を分離が可能であることがわかる。また、対物レンズが変位しても迷光の位置が変化しないため、迷光は受光部には入射しない。このような構成とすることで、信号光と迷光を分離することが可能となっている。なお、トラッキング誤差信号に関しては特許文献3と同様であることから、迷光を回避した構成である本実施例の構成は層間隔の小さい多層ディスクであっても安定したトラッキング誤差信号が得られる。
次に、対物レンズが変位に伴う迷光移動について説明する。図9は、図3の状態から対物レンズが変位した場合の回折格子11と光ビームの位置関係を示す。実線は回折格子11の分割線、点線は回折格子11上の光ビーム(信号光、迷光)の外形を示している。この図から、対物レンズの変位に伴って、信号光および迷光が半径方向に移動することがわかる。ここで、信号光は回折格子上で信号光の外形が移動しても光検出器面上で収束しているので検出器面上の光ビームの位置移動はない。また、迷光に関しては、回折格子11の領域D1、D3およびD2の領域Da、Db、Dc、Ddに入射した迷光の光ビームは、対物レンズが変位しても回折格子の領域が変化していない。このため、回折格子11の領域D1、D3およびD2の領域Da、Db、Dc、Ddに入射した迷光の光ビームは、検出器面上でも迷光は変化しない。それに対し、回折格子11の領域D2の領域De、Df、Dg、Dhに入射した迷光の光ビームは、対物レンズの変位に伴って領域間の変化があることがわかる。このため、回折格子11の領域D2の領域De、Df、Dg、Dhに入射した迷光の光ビームは、検出器面上で迷光が変化する。本実施例では、この特性を利用し迷光を回避している。
上記したように本実施例では、回折格子11の領域Da、Db、Dc、Ddを回折した光ビームをTan方向に並んだ検出部で検出し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した光ビームをRad方向に並んだ検出部で検出している。このとき、対物レンズの変位に伴って迷光が変化する回折格子11の領域D2の領域De、Df、Dg、Dhに入射した迷光の光ビームは、対物レンズ変位に伴って変化する。しかし本発明の場合、回折格子11の領域D2の領域De、Df、Dg、Dhに入射した光ビームをRad方向に並べて配置し、Tan方向に迷光を避けたため対物レンズがRad方向に変位しても受光部には入射しない。また、それ以外の領域に入射した迷光は、対物レンズが変位しても迷光が変化しないことから受光部には迷光が入射しない。そして、例えば非特許文献1、特許文献2や特許文献3のような構成(回折格子固定部配置)の場合、対物レンズ変位に対して回折格子11の領域D2の領域De、Df、Dg、Dhに入射した信号光の光ビームの領域が変化してしまうことから、迷光を回避するには偏光回折格子25の領域DXの幅XHを大きくする必要がある。しかし、偏光回折格子25の領域DXの幅XHを大きくしてしまうと対物レンズ変位に伴って安定したフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が得られにくくなる。それに対し、本実施例の場合には対物レンズ変位に対して、迷光が移動しないため、偏光回折格子25の領域DXの幅XHを大きくする必要がない。
このとき、迷光回避の観点から偏光回折格子25上での有効径に対する領域DXの幅XVは、回折格子11上での有効径に対する領域D2の幅GVより大きい方が望ましい。それは、偏光回折格子25上での有効径に対する領域DXの幅XVが、回折格子11上での有効径に対する領域D2の幅GVより小さい場合、回折格子11の領域Da、Db、Dc、Ddに入射した光ビームの一部が対物レンズ変位に伴って領域間の変化が発生するためである。ただし、Tan方向に並べた受光部の間隔を広げることでも対応することも可能である。
以上、本実施例のように2つの回折格子を用いる構成とすることで、多層光ディスクであっても安定したフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が検出可能となる。
なお、本実施例では回折格子11の領域1、3はRad方向としたが、図10のようにTan方向であってもよく、それに応じて受光部を配置すればよい。また、本実施例では回折格子11はビームスプリッタ透過後に配置したが、回折格子11を偏光回折格子とし、ビームスプリッタ透過前に配置しても同様の効果が得られる。
本実施例の偏光回折格子25および回折格子11の回折効率は一例であり、例えば、偏光回折格子25の領域DXの回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=0:0:1としても良い。この場合、回折格子11はD1、D2の2領域であっても良い。また、回折格子11の領域D2の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1としても良い。さらに本実施例では、回折格子11の領域D1、D3を透過または0次回折光として検出していたがそれだけに限らず、例えば検出器を小さくする観点から、回折格子11の領域D1の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:0、D3の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=0:0:1とすることで偏光回折格子25の領域DXを回折した±1次光の受光部同士を近づけても良い。
また、本実施例の受光部配置は一例であり、例えば図11のような受光部配置であっても同様の効果が得られる。さらに受光部の形状は、正方形でなくても良く長方形や円、楕円であっても良い。そして、出力ピン数やS/Nの観点から、受光部同士を結線しても良い。本実施例では、回折格子11の領域D2の回折光を検出する受光部をHの字の形に配置したが、Iの字やTの字などの形に配置しても良い。
図12、図13は本発明の第2の実施例に係る光ピックアップ装置の回折格子11および光検出器10の受光部を示したものである。実施例1との違いは回折格子11のパターンと光検出器10の受光部配置が異なっていることであり、それ以外は実施例1と同様の構成である。
実施例1の図1同様、半導体レーザ50からは波長略405nmのP偏光の光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射したP偏光の光ビームは1/2波長板によりS偏光の光ビームに変換される。S偏光の光ビームは、偏光ビームスプリッタ52を反射する。偏光ビームスプリッタ52を反射した光ビームはコリメートレンズ51により略平行な光ビームに変換される。コリメートレンズ51を透過した光ビームはビームエキスパンダ54に入射する。ビームエキスパンダ54は、光ビームの発散・収束状態を変えることで、光ディスクのカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。ビームエキスパンダ54を出射した光ビームは立ち上げミラー55を反射、アクチュエータ5に搭載された偏光回折格子25、1/4波長板56、対物レンズ2を経て光ディスク上に集光される。このとき、偏光回折格子25はP偏光の光ビームに対して回折作用が起こる構成となっており、S偏光の光ビームに対しては、回折作用は起こらない。また、1/4波長板56によってS偏光の光ビームが円偏光の光ビームとして出射されるため、ディスク上には円偏光の1つのスポットが形成される。
光ディスクを反射した円偏光の光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56に入射する。このとき、1/4波長板56によって円偏光の光ビームがP偏光の光ビームに変換される。P偏光の光ビームは、偏光回折格子25に入射する。図2は偏光回折格子25のパターンを示したものである。ここで、図2の点GCは、偏光回折格子に入射する光ビームの中心で、点線RO1は偏光回折格子25上の光ビームの外形を示している。また斜線部領域は、光ディスクによって回折した光ビームとの干渉領域を示している。偏光回折格子25は領域DXと領域DYに分かれており、領域DXに入射したP偏光の光ビームは、±1次回折光として回折される。ここで例えば領域DXの回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1であるとする。また、領域DYに入射したP偏光の光ビームは、透過または0次回折光として出射する。
偏光回折格子25を出射した光ビームは、立ち上げミラー55、ビームエキスパンダ54、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52を経て、回折格子11に入射する。図12は回折格子11のパターンを示したものである。ここで、例えば領域D2の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=7:0:3であるとする。ここで、図12の点線は偏光回折格子25の領域DYを透過または0次回折光として出射した光ビームを示し、点GC1はその光ビームの中心を示し、一点鎖線は、偏光回折格子25の領域DXの+1次回折光、二点鎖線は、偏光回折格子領域DXの−1次回折光を示している。回折格子11は、大きく領域D1、D2、D3に分けられる。そして、領域D2は、領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dhに分けられる。各領域は、ディスクの回折光に応じて分けられており、ディスクの±1次回折光が入射するDab、Dcd(回折格子領域B)とディスクの0次回折光が入射するDe、Dh(回折格子領域A)とディスクの0次回折光が入射するDf、Dg(回折格子領域C)に分けられる。
ここで、領域D1と領域D3に入射した光ビームは、透過または0次回折光として出射する。これより、偏光回折格子25の領域DXを回折した光ビームは、回折格子11をそのまま透過することがわかる。また、領域D2に入射した光ビームは、領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dhの格子溝ピッチおよび溝方向に応じて回折する。
回折格子11を出射した光ビームは、光検出器10の受光部に入射する。図13に光検出器10の受光部配置と信号光を示す。光検出器10上には、複数の受光部が配置されており、それぞれの受光部には回折格子11によって分割された光ビームが照射される。偏光回折格子25の領域DXの+1次回折光、−1次回折光は、受光部i1、i2に入射する。また、偏光回折格子25の領域DYを出射し、回折格子11領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dhを回折した+1次回折光は、受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1に入射する。また、領域Dab、Dcdを回折した−1次回折光は、受光部ab2、cd2に入射し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した−1次回折光はフォーカス誤差信号検出用の受光部r1、r2、s1、s2、t1、t2、u1、u2の暗線部に入射する。
受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1、ab2、cd2、r1、r2、s1、s2、t1、t2、u1、u2、i1、i2から得られた信号AB1、CD1、E1、F1、G1、H1、AB2、CD2、R1、R2、S1、S2、T1、T2、U1、U2、I1、I2に対し、以下の演算を行うことでフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
なお、kは対物レンズが変位した際にトラッキング誤差信号でDC成分を発生させないようにする係数である。ここで、フォーカス誤差検出方式はナイフエッジ検出方式である。
本実施例は実施例1と同様、可動部と固定部にそれぞれ回折格子を配置することを特徴としている。実施例1との違いは、回折格子11の領域Dab、Dcdの分割領域の違いであり、実施例1では、領域Da、Dbと領域Dc、Ddとしていたが本実施例では領域Dabと領域Dcdとしている。さらに、領域DabとDcdから回折した光ビームをそれぞれ2つの受光部で検出することで、受光部数を減らすことで実施例1よりも検出器の小型化が可能となる。
実施例1同様、偏光回折格子25の領域DXに入射した光ビームのみを回折することで、1ビーム方式の課題であった対物レンズの変位に伴った迷光の位置変化を解決することが可能となる。ただし、偏光回折格子25の領域DXを回折した光ビームは、回折格子11にも入射することが課題となるが、これについて本実施例では回折格子11の領域D1、D3を透過または0次回折光として出射するようすることで課題を解決している。また、偏光回折格子25は光ビームの収束・発散状態の変化の小さい中央部の領域DXのみを回折することで、回折角の変化を低減すると同時に、領域DXを回折した光ビームを検出する受光部i1、i2を光ビームの回折方向に大きくすることで、どの層を記録/再生しても信号光が入射する構成となっている。そして、領域DXを回折した光ビームを検出する受光部i1、i2には、他層からの迷光が入射するが、影響のあるトラッキング誤差信号として検出しないことから実用上問題とならない。
また、偏光回折格子25の領域DYを出射した光ビームは、図12に示すように、回折格子11により領域Dab、Dcdを回折した光ビームをTan方向に並んだ検出部で検出し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した光ビームをRad方向に並んだ検出部で検出している。これにより効率良く迷光を回避することが可能となる。それについては、実施例1の図8とほとんど同様の受光部配置であることから、効率良く迷光を回避できることがわかる。
以上、本実施例のように回折格子を2つ用いる構成とすることで、多層光ディスクであっても安定したフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が検出可能となる。
なお、本実施例では回折格子11はビームスプリッタ透過後に配置したが、回折格子11を偏光回折格子とし、ビームスプリッタ透過前に配置しても同様の効果が得られる。また、本実施例の偏光回折格子25および回折格子11の回折効率は一例であり、例えば、偏光回折格子25の領域DXの回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=0:0:1としても良い。この場合、回折格子11はD1、D2の2領域であっても良い。また、回折格子11の領域D2の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1としても良い。さらに本実施例では、回折格子11の領域D1、D3を透過または0次回折光として検出していたがそれだけに限らず、例えば検出器を小さくする観点から、回折格子11の領域D1の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:0、D3の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=0:0:1とすることで偏光回折格子25の領域DXを回折した±1次光の受光部同士を近づけても良い。
また、本実施例の受光部配置は一例であり、例えば図11のような受光部配置であっても同様の効果が得られる。さらに受光部の形状は、正方形でなくても良く長方形や円、楕円であっても良い。そして、出力ピン数やS/Nの観点から、受光部同士を結線しても良い。
図14は本発明の第3の実施例に係る光ピックアップ装置の光検出器10の受光部を示したものである。実施例1との違いは回折格子11と光検出器10の受光部が異なっていることであり、それ以外は実施例1と同様の構成である。
実施例1の図1同様、半導体レーザ50からは波長略405nmのP偏光の光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射したP偏光の光ビームは1/2波長板によりS偏光の光ビームに変換される。S偏光の光ビームは、偏光ビームスプリッタ52を反射する。偏光ビームスプリッタ52を反射した光ビームはコリメートレンズ51により略平行な光ビームに変換される。コリメートレンズ51を透過した光ビームはビームエキスパンダ54に入射する。ビームエキスパンダ54は、光ビームの発散・収束状態を変えることで、光ディスクのカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。ビームエキスパンダ54を出射した光ビームは立ち上げミラー55を反射、アクチュエータ5に搭載された偏光回折格子25、1/4波長板56、対物レンズ2を経て光ディスク上に集光される。このとき、偏光回折格子25はP偏光の光ビームに対して回折作用が起こる構成となっており、S偏光の光ビームに対しては、回折作用は起こらない。また、1/4波長板56によってS偏光の光ビームが円偏光の光ビームとして出射されるため、ディスク上には円偏光の1つのスポットが形成される。
光ディスクを反射した円偏光の光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56に入射する。このとき、1/4波長板56によって円偏光の光ビームがP偏光の光ビームに変換される。P偏光の光ビームは、偏光回折格子25に入射する。図2は偏光回折格子25のパターンを示したものである。ここで、図20の点GCは、偏光回折格子に入射する光ビームの中心で、点線RO1は偏光回折格子25上の光ビームの外形を示している。また斜線部領域は、光ディスクによって回折した光ビームとの干渉領域を示している。偏光回折格子25は領域DXと領域DYに分かれており、領域DXに入射したP偏光の光ビームは、±1次回折光として回折される。ここで例えば領域DXの回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1であるとする。さらに、領域DXを回折した+1次回折光と−1次回折光に対し、それぞれ反対方向のデフォーカス収差が付加される。また、領域DYに入射したP偏光の光ビームは、透過または0次回折光として出射する。
偏光回折格子25を出射した光ビームは、立ち上げミラー55、ビームエキスパンダ54、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52を経て、回折格子11に入射する。図3は回折格子11のパターンを示したものである。ここで、図3の点線は偏光回折格子25の領域DYを透過または0次回折光として出射した光ビームを示し、点GC1はその光ビームの中心を示し、一点鎖線は、偏光回折格子25の領域DXの+1次回折光、二点鎖線は、偏光回折格子領域DXの−1次回折光を示している。
回折格子11は、大きく領域D1、D2、D3に分けられる。そして、領域D2は、領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhに分けられる。各領域は、ディスクの回折光に応じて分けられており、ディスクの±1次回折光が入射する領域Da、Db、Dc、Dd(回折格子領域B)とディスクの0次回折光が入射する領域De、Dh(回折格子領域A)とディスクの0次回折光が入射するDf、Dg(回折格子領域C)に分けられる。
ここで、領域D1と領域D3に入射した光ビームは、透過または0次回折光として出射する。これより、偏光回折格子25の領域DXを回折した光ビームは、回折格子11をそのまま透過することがわかる。また、領域D2に入射した光ビームは、領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhの格子溝ピッチおよび溝方向に応じて回折する。ここで、例えば領域D2の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1であるとする。
回折格子11を出射した光ビームは、光検出器10の受光部に入射する。図14に光検出器10の受光部配置と信号光を示す。光検出器10上には、複数の受光部が配置されており、それぞれの受光部には回折格子11によって分割された光ビームが照射される。偏光回折格子25の領域DXの+1次回折光と−1次回折光は、フォーカス誤差信号検出用の受光部ia1、ib1、ic1とia2、ib2、ic2に入射する。また、偏光回折格子25の領域DYを出射し、回折格子11領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhを回折した+1次回折光は、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1に入射する。また、領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhを回折した−1次回折光は、受光部a2、b2、c2、d2、e2、f2、g2、h2に入射する。
受光部a1、d1、e1、f1、g1、h1、a2、b2、c2、d2、e2、f2、g2、h2、ia1、ib1、ic1、ia2、ib2、ic2から得られた信号A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、A2、B2、C2、D2、E2、F2、G2、H2、IA1、IB1、IC1、IA2、IB2、IC2に対し、以下の演算を行うことでフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
なお、kは対物レンズが変位した際にトラッキング誤差信号でDC成分を発生させないようにする係数である。ここで、フォーカス誤差検出方式はスポットサイズ検出方式である。
本実施例は実施例1と同様、可動部と固定部にそれぞれ回折格子を配置することを特徴としている。実施例1との違いは、偏光回折格子25の領域DXに入射した光ビームにデフォーカス収差を付加することで、領域DXを回折した光ビームでフォーカス誤差信号を検出している。
実施例1同様、偏光回折格子25の領域DXに入射した光ビームのみを回折することで、1ビーム方式の課題であった対物レンズの変位に伴った迷光の位置変化を解決することが可能となる。ただし、偏光回折格子25の領域DXを回折した光ビームは、回折格子11にも入射することが課題となるが、これについて本実施例では回折格子11の領域D1、D3を透過または0次回折光として出射するようすることで課題を解決している。また、偏光回折格子25は光ビームの収束・発散状態の変化の小さい中央部の領域DXのみを回折することで、回折角の変化を低減すると同時に、領域DXを回折した光ビームを検出する受光部ia1、ia2、ia3、ib1、ib2、ib3を光ビームの回折方向に大きくし、分割線を光ビームの回折方向とすることで、どの層を記録/再生しても安定したフォーカス誤差信号が生成可能となる。そして、領域DXを回折した光ビームを検出する受光部ia1、ia2、ia3、ib1、ib2、ib3には、他層からの迷光が入射するが、影響のあるトラッキング誤差信号として検出しないことから実用上問題とならない。
また、偏光回折格子25の領域DYを出射した光ビームは、図14に示すように、回折格子11により領域Da、Db、Dc、Ddを回折した光ビームをTan方向に並んだ検出部で検出し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した光ビームをRad方向に並んだ検出部で検出している。これにより効率良く迷光を回避することが可能となる。それについては、実施例1の図8とほとんど同様の受光部配置であることから、効率良く迷光を回避できることがわかる。
以上、本実施例のように回折格子を2つ用いる構成とすることで、多層光ディスクであっても安定したフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が検出可能となる。
なお、本実施例では回折格子11はビームスプリッタ透過後に配置したが、回折格子11を偏光回折格子とし、ビームスプリッタ透過前に配置しても同様の効果が得られる。また、本実施例の受光部配置は一例であり、例えば図15のような受光部配置であっても同様の効果が得られる。また、例えば、回折格子11の領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhの回折光からフォーカス誤差信号を検出し、受光部ia1、ia2、ia3、ib1、ib2、ib3から検出したフォーカス誤差信号と比較することで球面収差信号を検出しても良い。さらに、例えば回折格子11の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:0とし、図16、17のように受光部を配置することで光検出器を小型化しても良い。さらに本実施例では、回折格子11の領域D1、D3を透過または0次回折光として検出していたがそれだけに限らず、例えば検出器を小さくする観点から、回折格子11の領域D1の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:0、D3の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=0:0:1とすることで偏光回折格子25の領域DXを回折した±1次光の受光部同士を近づけても良い。
さらに受光部の形状は、正方形でなくても良く長方形や円、楕円であっても良い。そして、出力ピン数やS/Nの観点から、受光部同士を結線しても良い。
図18は本発明の第4の実施例に係る光ピックアップ装置の光検出器10の受光部を示したものである。実施例1との違いは回折格子11のパターンと光検出器10の受光部が異なっていることであり、それ以外は実施例1と同様の構成である。
実施例1の図1同様、半導体レーザ50からは波長略405nmのP偏光の光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射したP偏光の光ビームは1/2波長板によりS偏光の光ビームに変換される。S偏光の光ビームは、偏光ビームスプリッタ52を反射する。偏光ビームスプリッタ52を反射した光ビームはコリメートレンズ51により略平行な光ビームに変換される。コリメートレンズ51を透過した光ビームはビームエキスパンダ54に入射する。ビームエキスパンダ54は、光ビームの発散・収束状態を変えることで、光ディスクのカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。ビームエキスパンダ54を出射した光ビームは立ち上げミラー55を反射、アクチュエータ5に搭載された偏光回折格子25、1/4波長板56、対物レンズ2を経て光ディスク上に集光される。このとき、偏光回折格子25はP偏光の光ビームに対して回折作用が起こる構成となっており、S偏光の光ビームに対しては、回折作用は起こらない。また、1/4波長板56によってS偏光の光ビームが円偏光の光ビームとして出射されるため、ディスク上には円偏光の1つのスポットが形成される。
光ディスクを反射した円偏光の光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56に入射する。このとき、1/4波長板56によって円偏光の光ビームがP偏光の光ビームに変換される。P偏光の光ビームは、偏光回折格子25に入射する。図2は偏光回折格子25のパターンを示したものである。ここで、図20の点GCは、偏光回折格子に入射する光ビームの中心で、点線RO1は偏光回折格子25上の光ビームの外形を示している。また斜線部領域は、光ディスクによって回折した光ビームとの干渉領域を示している。偏光回折格子25は領域DXと領域DYに分かれており、領域DXに入射したP偏光の光ビームは、±1次回折光として回折される。ここで例えば領域DXの回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1であるとする。さらに、領域DXを回折した+1次回折光と−1次回折光に対し、それぞれ反対方向のデフォーカス収差が付加される。また、領域DYに入射したP偏光の光ビームは、透過または0次回折光として出射する。
偏光回折格子25を出射した光ビームは、立ち上げミラー55、ビームエキスパンダ54、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52を経て、回折格子11に入射する。図12は回折格子11のパターンを示したものである。ここで、図12の点線は偏光回折格子25の領域DYを透過または0次回折光として出射した光ビームを示し、点GC1はその光ビームの中心を示し、一点鎖線は、偏光回折格子25の領域DXの+1次回折光、二点鎖線は、偏光回折格子領域DXの−1次回折光を示している。回折格子11は、大きく領域D1、D2、D3に分けられる。そして、領域D2は、領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dhに分けられる。各領域は、ディスクの回折光に応じて分けられており、ディスクの±1次回折光が入射する領域Dab、Dcd(回折格子領域B)とディスクの0次回折光が入射する領域De、Dh(回折格子領域A)とディスクの0次回折光が入射する領域Df、Dg(回折格子領域C)に分けられる。
ここで、領域D1と領域D3に入射した光ビームは、透過または0次回折光として出射する。これより、偏光回折格子25の領域DXを回折した光ビームは、回折格子11をそのまま透過することがわかる。また、領域D2に入射した光ビームは、領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhの格子溝ピッチおよび溝方向に応じて回折する。ここで、例えば領域D2の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1であるとする。
回折格子11を出射した光ビームは、光検出器10の受光部に入射する。図18に光検出器10の受光部配置と信号光を示す。光検出器10上には、複数の受光部が配置されており、それぞれの受光部には回折格子11によって分割された光ビームが照射される。偏光回折格子25の領域DXの+1次回折光と−1次回折光は、フォーカス誤差信号検出用の受光部ia1、ib1、ic1とia2、ib2、ic2に入射する。また、偏光回折格子25の領域DYを出射し、回折格子11領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dhを回折した+1次回折光は、受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1に入射する。また、領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dhを回折した−1次回折光は、受光部ab2、cd2、e2、f2、g2、h2に入射する。
受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1、ab2、cd2、e2、f2、g2、h2、ia1、ib1、ic1、ia2、ib2、ic2から得られた信号AB1、CD1、E1、F1、G1、H1、AB2、CD2、E2、F2、G2、H2、IA1、IB1、IC1、IA2、IB2、IC2に対し、以下の演算を行うことでフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
なお、kは対物レンズが変位した際にトラッキング誤差信号でDC成分を発生させないようにする係数である。ここで、フォーカス誤差検出方式はスポットサイズ検出方式である。
本実施例は実施例1と同様、可動部と固定部にそれぞれ回折格子を配置することを特徴としている。実施例1との違いは、偏光回折格子25の領域DXに入射した光ビームにデフォーカス収差を付加することで、領域DXを回折した光ビームでフォーカス誤差信号を検出している。
実施例1同様、偏光回折格子25の領域DXに入射した光ビームのみを回折することで、1ビーム方式の課題であった対物レンズの変位に伴った迷光の位置変化を解決することが可能となる。ただし、偏光回折格子25の領域DXを回折した光ビームは、回折格子11にも入射することが課題となるが、これについて本実施例では回折格子11の領域D1、D3を透過または0次回折光として出射するようすることで課題を解決している。また、偏光回折格子25は光ビームの収束・発散状態の変化の小さい中央部の領域DXのみを回折することで、回折角の変化を低減すると同時に、領域DXを回折した光ビームを検出する受光部ia1、ia2、ia3、ib1、ib2、ib3を光ビームの回折方向に大きくし、分割線を光ビームの回折方向とすることで、どの層を記録/再生しても安定したフォーカス誤差信号が生成可能となる。そして、領域DXを回折した光ビームを検出する受光部ia1、ia2、ia3、ib1、ib2、ib3には、他層からの迷光が入射するが、影響のあるトラッキング誤差信号として検出しないことから実用上問題とならない。
また、偏光回折格子25の領域DYを出射した光ビームは、図18に示すように、回折格子11により領域Dab、Dcdを回折した光ビームをTan方向に並んだ検出部で検出し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した光ビームをRad方向に並んだ検出部で検出している。これにより効率良く迷光を回避することが可能となる。それについては、実施例1の図8とほとんど同様の受光部配置であることから、効率良く迷光を回避できることがわかる。
以上、本実施例のように2つの回折格子を用いる構成とすることで、多層光ディスクであっても安定したフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が検出可能となる。
なお、本実施例では回折格子11はビームスプリッタ透過後に配置したが、回折格子11を偏光回折格子とし、ビームスプリッタ透過前に配置しても同様の効果が得られる。また、例えば、回折格子11の領域De、Df、Dg、Dhの回折光からフォーカス誤差信号を検出し、受光部ia1、ia2、ia3、ib1、ib2、ib3から検出したフォーカス誤差信号と比較することで球面収差信号を検出しても良い。さらに、例えば回折格子11の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:0とし、図19のように受光部を配置することで光検出器を小型化しても良い。さらに本実施例では、回折格子11の領域D1、D3を透過または0次回折光として検出していたがそれだけに限らず、例えば検出器を小さくする観点から、回折格子11の領域D1の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:0、D3の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=0:0:1とすることで偏光回折格子25の領域DXを回折した±1次光の受光部同士を近づけても良い。
さらに受光部の形状は、正方形でなくても良く長方形や円、楕円であっても良い。そして、出力ピン数やS/Nの観点から、受光部同士を結線しても良い。
図20、図21、図22は本発明の第5の実施例に係る光ピックアップ装置の偏光回折格子25、回折格子11、光検出器10の受光部を示したものである。実施例1との違いは偏光回折格子25および回折格子11のパターンと光検出器10の受光部が異なっていることであり、それ以外は実施例1と同様の構成である。
実施例1の図1同様、半導体レーザ50からは波長略405nmのP偏光の光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射したP偏光の光ビームは1/2波長板によりS偏光の光ビームに変換される。S偏光の光ビームは、偏光ビームスプリッタ52を反射する。偏光ビームスプリッタ52を反射した光ビームはコリメートレンズ51により略平行な光ビームに変換される。コリメートレンズ51を透過した光ビームはビームエキスパンダ54に入射する。ビームエキスパンダ54は、光ビームの発散・収束状態を変えることで、光ディスクのカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。ビームエキスパンダ54を出射した光ビームは立ち上げミラー55を反射、アクチュエータ5に搭載された偏光回折格子25、1/4波長板56、対物レンズ2を経て光ディスク上に集光される。このとき、偏光回折格子25はP偏光の光ビームに対して回折作用が起こる構成となっており、S偏光の光ビームに対しては、回折作用は起こらない。また、1/4波長板56によってS偏光の光ビームが円偏光の光ビームとして出射されるため、ディスク上には円偏光の1つのスポットが形成される。
光ディスクを反射した円偏光の光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56に入射する。このとき、1/4波長板56によって円偏光の光ビームがP偏光の光ビームに変換される。P偏光の光ビームは、偏光回折格子25に入射する。図20は偏光回折格子25のパターンを示したものである。ここで、図20の点GCは、偏光回折格子に入射する光ビームの中心で、点線RO1は偏光回折格子25上の光ビームの外形を示している。また斜線部領域は、光ディスクによって回折した光ビームとの干渉領域を示している。偏光回折格子25は領域DXと領域DYに分かれている。また、領域DXは領域DX1、DX2、DX3、DX4に分けられており、対角の領域同士で同じ格子溝ピッチ、格子溝方向となっている。ここで、領域DXに入射したP偏光の光ビームは、±1次回折光として回折される。ここで例えば領域DXの回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1であるとする。また、領域DYに入射したP偏光の光ビームは、透過または0次回折光として出射する。
偏光回折格子25を出射した光ビームは、立ち上げミラー55、ビームエキスパンダ54、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52を経て、回折格子11に入射する。図21は回折格子11のパターンを示したものである。ここで、図21の点線は偏光回折格子25の領域DYを透過または0次回折光として出射した光ビームを示し、点GC1はその光ビームの中心を示し、一点鎖線は、偏光回折格子25の領域DXの+1次回折光、二点鎖線は、偏光回折格子領域DXの−1次回折光を示している。回折格子11は、大きく領域D1、D2、D3に分けられる。そして、領域D2は、領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhに分けられる。各領域は、ディスクの回折光に応じて分けられており、ディスクの±1次回折光が入射する領域Da、Db、Dc、Dd(回折格子領域B)とディスクの0次回折光が入射する領域De、Dh(回折格子領域A)とディスクの0次回折光が入射する領域Df、Dg(回折格子領域C)に分けられる。
ここで、領域D1と領域D3に入射した光ビームは、透過または0次回折光として出射する。これより、偏光回折格子25の領域DXを回折した光ビームは、回折格子11をそのまま透過することがわかる。また、領域D2に入射した光ビームは、領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhの格子溝ピッチおよび溝方向に応じて回折する。ここで、例えば領域D2の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=7:0:3であるとする。
回折格子11を出射した光ビームは、光検出器10の受光部に入射する。図22に光検出器10の受光部配置と信号光を示す。光検出器10上には、複数の受光部が配置されており、それぞれの受光部には回折格子11によって分割された光ビームが照射される。偏光回折格子25の領域DXの領域DX1と領域DX3の+1次回折光は受光部i1に入射し、−1次回折光は、受光部i3に入射する。そして、領域DX2と領域DX4の+1次回折光は受光部i2に入射し、−1次回折光は、受光部i4に入射する。また、偏光回折格子25の領域DYを出射し、回折格子11領域Da、Db、Dc、Dd、De、Df、Dg、Dhを回折した+1次回折光は、受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1に入射する。
また、領域Da、Db、Dc、Ddを回折した−1次回折光は、フォーカス誤差信号検出用の受光部r、s、t、u、vの暗線部に入射し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した−1次回折光はそれぞれ受光部e2、f2、g2、h2に入射する。
受光部a1、b1、c1、d1、e1、f1、g1、h1、e2、f2、g2、h2、r、s、t、u、v、i1、i2、i3、i4から得られた信号A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1、H1、E2、F2、G2、H2、R、S、T、U、V、I1、I2、I3、I4に対し、以下の演算を行うことでフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
また、トラッキング検出方法に関しては以下の演算でも良い。
なお、kは対物レンズが変位した際にトラッキング誤差信号でDC成分を発生させないようにする係数である。ここで、フォーカス誤差検出方式はナイフエッジ検出方式である。
本実施例は実施例1と同様、可動部と固定部にそれぞれ回折格子を配置することを特徴としている。実施例1との違いは、偏光回折格子25の分割方法の違いである。ここで、偏光回折格子領域25の領域DXを分割した理由について説明する。実施例1の構成の場合、ディスク層間隔が小さい場合には非常に有利となるが、それに対して表面から最も遠い層と最も近い層の層間隔が大きいと受光部間隔を大きくする必要がある。それは、表面から最も遠い層と最も近い層の層間隔が大きいと、検出器面上での迷光の大きさが大きくなってしまう。このため、迷光回避の観点からは領域DXで回折した光ビームの受光部を遠くに配置する必要がある。それに対し、本実施例では、偏光回折格子25の領域DXを4分割し、対角の領域同士を同じ受光部で検出することで、迷光が対角の方向にしか発生しない構成となっているため、層間隔が小さくても大きくても同じように迷光を回避することが可能となっている。図23に本実施例の構成で層間隔5μmのディスクを記録・再生した場合の光検出器上の信号光と迷光の関係を示す。図23Aは85μm位置を再生しているときの信号光と90μmの迷光を示しており、図23Bは90μm位置を再生しているときの信号光と85μmの迷光を示している。なお、以下の条件を用いて計算を行った。
計算条件
波長;405nm
NA;0.85
検出倍率;20倍
この結果より、偏光回折格子25の領域DXを4分割し、対角の領域同士で同じ格子溝ピッチ、格子溝方向とすることで、迷光を回避できていることがわかる。また、この構成で表面から最も遠い層と最も近い層の層間隔が大きくなった場合には、迷光の大きさが大きくなるだけなので他の受光部には迷光が入射しないこともわかる。そして、偏光回折格子25が対物レンズと一緒に変位することで、対物レンズ変位が変位しても迷光の移動は起こらないため、対物レンズ変位に関係なく迷光を回避することが可能となる。また、偏光回折格子25の領域DYを出射した光ビームは、図23に示すように、回折格子11により領域Da、Db、Dc、Ddを回折した光ビームをTan方向に並んだ検出部で検出し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した光ビームをRad方向に並んだ検出部で検出している。これにより効率良く迷光を回避することが可能となる。
このため、本実施例の構成とすることで迷光を回避しつつ、光検出器10の小型化が可能となる。ここで、受光部i1、i2、i3、i4には、他層からの迷光が入射するが、影響のあるトラッキング誤差信号として検出しないことから実用上問題とならない。
以上、本実施例のように2つの回折格子を用いる構成とすることで、多層光ディスクであっても安定したフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が検出可能となる。
なお、本実施例では回折格子11はビームスプリッタ透過後に配置したが、回折格子11を偏光回折格子とし、ビームスプリッタ透過前に配置しても同様の効果が得られる。また、本実施例の偏光回折格子25および回折格子11の回折効率は一例であり、例えば、偏光回折格子25の領域DXの領域DX1、DX2、DX3、DX4の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=0:0:1としても良い。この場合、回折格子11はD1、D2の2領域であっても良い。また、回折格子11の領域D2の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1としても良い。さらに本実施例では、回折格子11の領域D1、D3を透過または0次回折光として検出していたがそれだけに限らず、例えば検出器を小さくする観点から、回折格子11の領域D1の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:0、D3の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=0:0:1とすることで偏光回折格子25の領域DXを回折した±1次光の受光部同士を近づけても良い。
また、本実施例の受光部配置は一例であり、例えば図24のような受光部配置であっても同様の効果が得られる。また、実施例3や実施例4のように偏光回折格子の領域DXを回折した光ビームにデフォーカス収差を加えスポットサイズ検出方式によるフォーカス誤差信号を検出しても良い。また、偏光回折格子25の領域DX1とDX3、DX2とDX4は、必ずしも同じ格子溝ピッチ、格子溝方向でなくても良く、例えば回折方向に1つずつ分離しても良い。さらに、偏光回折格子25の領域DXは、4分割に限定されない。例えばディスク表面からの迷光などのように限定され層からの迷光の場合、迷光の方向が限定されるため、その迷光を回避する目的から2分割としても良い。
さらに受光部の形状は、正方形でなくても良く長方形や円、楕円であっても良い。そして、出力ピン数やS/Nの観点から、受光部同士を結線しても良い。
図25、図26は本発明の第6の実施例に係る光ピックアップ装置の回折格子11、光検出器10の受光部を示したものである。実施例1との違いは偏光回折格子25および回折格子11のパターンと光検出器10の受光部が異なっていることであり、それ以外は実施例1と同様の構成である。
実施例1の図1同様、半導体レーザ50からは波長略405nmのP偏光の光ビームが発散光として出射される。半導体レーザ50から出射したP偏光の光ビームは1/2波長板によりS偏光の光ビームに変換される。S偏光の光ビームは、偏光ビームスプリッタ52を反射する。偏光ビームスプリッタ52を反射した光ビームはコリメートレンズ51により略平行な光ビームに変換される。コリメートレンズ51を透過した光ビームはビームエキスパンダ54に入射する。ビームエキスパンダ54は、光ビームの発散・収束状態を変えることで、光ディスクのカバー層の厚み誤差による球面収差を補償することに使用される。ビームエキスパンダ54を出射した光ビームは立ち上げミラー55を反射、アクチュエータ5に搭載された偏光回折格子25、1/4波長板56、対物レンズ2を経て光ディスク上に集光される。このとき、偏光回折格子25はP偏光の光ビームに対して回折作用が起こる構成となっており、S偏光の光ビームに対しては、回折作用は起こらない。また、1/4波長板56によってS偏光の光ビームが円偏光の光ビームとして出射されるため、ディスク上には円偏光の1つのスポットが形成される。
光ディスクを反射した円偏光の光ビームは、対物レンズ2、1/4波長板56に入射する。このとき、1/4波長板56によって円偏光の光ビームがP偏光の光ビームに変換される。P偏光の光ビームは、偏光回折格子25に入射する。図20は偏光回折格子25のパターンを示したものである。ここで、図20の点GCは、偏光回折格子に入射する光ビームの中心で、点線RO1は偏光回折格子25上の光ビームの外形を示している。また斜線部領域は、光ディスクによって回折した光ビームとの干渉領域を示している。偏光回折格子25は領域DXと領域DYに分かれている。また、領域DXは領域DX1、DX2、DX3、DX4に分けられており、対角の領域同士で同じ格子溝ピッチ、格子溝方向となっている。ここで、領域DXに入射したP偏光の光ビームは、±1次回折光として回折される。ここで例えば領域DXの回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1であるとする。また、領域DYに入射したP偏光の光ビームは、透過または0次回折光として出射する。
偏光回折格子25を出射した光ビームは、立ち上げミラー55、ビームエキスパンダ54、コリメートレンズ51、ビームスプリッタ52を経て、回折格子11に入射する。図25は回折格子11のパターンを示したものである。ここで、図25の点線は偏光回折格子25の領域DYを透過または0次回折光として出射した光ビームを示し、点GC1はその光ビームの中心を示し、一点鎖線は、偏光回折格子25の領域DXの+1次回折光、二点鎖線は、偏光回折格子領域DXの−1次回折光を示している。
回折格子11は、大きく領域D1、D2、D3に分けられる。そして、領域D2は、領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dhに分けられる。各領域は、ディスクの回折光に応じて分けられており、ディスクの±1次回折光が入射する領域Dab、Dcd(回折格子領域B)とディスクの0次回折光が入射する領域De、Dh(回折格子領域A)とディスクの0次回折光が入射する領域Df、Dg(回折格子領域C)に分けられる。
ここで、領域D1と領域D3に入射した光ビームは、透過または0次回折光として出射する。これより、偏光回折格子25の領域DXを回折した光ビームは、回折格子11をそのまま透過することがわかる。また、領域D2に入射した光ビームは、領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dhの格子溝ピッチおよび溝方向に応じて回折する。ここで、例えば領域D2の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=7:0:3であるとする。
回折格子11を出射した光ビームは、光検出器10の受光部に入射する。図26に光検出器10の受光部配置と信号光を示す。光検出器10上には、複数の受光部が配置されており、それぞれの受光部には回折格子11によって分割された光ビームが照射される。偏光回折格子25の領域DXの領域DX1と領域DX3の+1次回折光は受光部i1に入射し、−1次回折光は、受光部i3に入射する。そして、領域DX2と領域DX4の+1次回折光は受光部i2に入射し、−1次回折光は、受光部i4に入射する。また、偏光回折格子25の領域DYを出射し、回折格子11領域Dab、Dcd、De、Df、Dg、Dhを回折した+1次回折光は、受光部ab1、cd1、e1、f1、g1、h1に入射する。
また、領域Dab、Dcdを回折した−1次回折光は、受光部ab2、cd2に入射し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した−1次回折光はフォーカス誤差信号検出用の受光部r1、r2、s1、s2、t1、t2、u1、u2の暗線部に入射する。
受光部a1、d1、e1、f1、g1、h1、ab2、cd2、r1、r2、s1、s2、t1、t2、u1、u2、i1、i2、i3、i4から得られた信号AB1、CD1、E1、F1、G1、H1、AB2、CD2、R1、R2、S1、S2、T1、T2、U1、U2、I1、I2、I3、I4に対し、以下の演算を行うことでフォーカス誤差信号(FES)、トラッキング誤差信号(TES)、RF信号(RF)を生成する。
なお、kは対物レンズが変位した際にトラッキング誤差信号でDC成分を発生させないようにする係数である。ここで、フォーカス誤差検出方式はナイフエッジ検出方式である。
本実施例は実施例1と同様、可動部と固定部にそれぞれ回折格子を配置することを特徴としている。実施例1との違いは、回折格子11の領域Dab、Dcdの分割領域の違いおよび偏光回折格子25の分割方法の違いである。
実施例1では、領域Da、Dbと領域Dc、Ddとしていたが本実施例では領域Dabと領域Dcdとしている。さらに、領域DabとDcdから回折した光ビームをそれぞれ2つの受光部で検出することで、受光部数を減らすことで実施例1よりも検出器の小型化が可能となる。そして、実施例8と同様に偏光回折格子25の領域DXを4分割し、対角の領域同士を同じ受光部で検出することで、迷光が対角の方向にしか発生しない構成となっているため、層間隔が小さくても大きくても同じように迷光を回避することが可能となっている。また、偏光回折格子25が対物レンズと一緒に変位することで、対物レンズ変位が変位しても迷光の移動は起こらないため、対物レンズ変位に関係なく迷光を回避することが可能となる。そして、偏光回折格子25の領域DYを出射した光ビームは、図26に示すように、回折格子11により領域Da、Db、Dc、Ddを回折した光ビームをTan方向に並んだ検出部で検出し、領域De、Df、Dg、Dhを回折した光ビームをRad方向に並んだ検出部で検出している。これにより効率良く迷光を回避することが可能となる。
このため、本実施例の構成とすることで迷光を回避しつつ、光検出器10の小型化が可能となる。ここで、受光部i1、i2、i3、i4には、他層からの迷光が入射するが、影響のあるトラッキング誤差信号として検出しないことから実用上問題とならない。
以上、本実施例のように2つの回折格子を用いる構成とすることで、多層光ディスクであっても安定したフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号が検出可能となる。
なお、本実施例では回折格子11はビームスプリッタ透過後に配置したが、回折格子11を偏光回折格子とし、ビームスプリッタ透過前に配置しても同様の効果が得られる。また、本実施例の偏光回折格子25および回折格子11の回折効率は一例であり、例えば、偏光回折格子25の領域DXの領域DX1、DX2、DX3、DX4の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=0:0:1としても良い。この場合、回折格子11はD1、D2の2領域であっても良い。また、回折格子11の領域D2の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:1としても良い。さらに本実施例では、回折格子11の領域D1、D3を透過または0次回折光として検出していたがそれだけに限らず、例えば検出器を小さくする観点から、回折格子11の領域D1の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=1:0:0、D3の回折効率を+1次回折光:0次回折光:−1次回折光=0:0:1とすることで偏光回折格子25の領域DXを回折した±1次光の受光部同士を近づけても良い。
また、実施例3や実施例4のように偏光回折格子の領域DXを回折した光ビームにデフォーカス収差を加えスポットサイズ検出方式によるフォーカス誤差信号を検出しても良い。また、偏光回折格子25の領域DX1とDX3、DX2とDX4は、必ずしも同じ格子溝ピッチ、格子溝方向でなくても良く、例えば回折方向に1つずつ分離しても良い。さらに、偏光回折格子25の領域DXは、4分割に限定されない。例えばディスク表面からの迷光などのように限定され層からの迷光の場合、迷光の方向が限定されるため、その迷光を回避する目的から2分割としても良い。
さらに受光部の形状は、正方形でなくても良く長方形や円、楕円であっても良い。そして、出力ピン数やS/Nの観点から、受光部同士を結線しても良い。
実施例7では、光ピックアップ装置170を搭載した、光学的再生装置について説明する。図27は光学的再生装置の概略構成である。光ピックアップ装置170は、光ディスク100のRad方向に沿って駆動できる機構が設けられており、アクセス制御回路172からのアクセス制御信号に応じて位置制御される。
レーザ点灯回路177からは所定のレーザ駆動電流が光ピックアップ装置170内の半導体レーザに供給され、半導体レーザからは再生に応じて所定の光量でレーザ光が出射される。なお、レーザ点灯回路177は光ピックアップ装置170内に組み込むこともできる。
光ピックアップ装置170内の光検出器10から出力された信号は、サーボ信号生成回路174および情報信号再生回路175に送られる。サーボ信号生成回路174では前記光検出器10からの信号に基づいてフォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号ならびにチルト制御信号などのサーボ信号が生成され、これを基にアクチュエータ駆動回路173を経て光ピックアップ装置170内のアクチュエータを駆動して、対物レンズの位置制御がなされる。
前記情報信号再生回路175では、前記光検出器10からの信号に基づいて光ディスク100に記録されている情報信号が再生される。
前記サーボ信号生成回路174および情報信号再生回路175で得られた信号の一部はコントロール回路176に送られる。このコントロール回路176にはスピンドルモータ駆動回路171、アクセス制御回路172、サーボ信号生成回路174、レーザ点灯回路177、球面収差補正素子駆動回路179などが接続され、光ディスク100を回転させるスピンドルモータ180の回転制御、アクセス方向およびアクセス位置の制御、対物レンズのサーボ制御、光ピックアップ装置170内の半導体レーザ発光光量の制御、ディスク基板厚さの違いによる球面収差の補正などが行われる。
実施例8では、光ピックアップ装置170を搭載した、光学的記録再生装置について説明する。図28は光学的記録再生装置の概略構成である。この装置で前記図27に説明した光学的情報記録再生装置と相違する点は、コントロール回路176とレーザ点灯回路177の間に情報信号記録回路178を設け、情報信号記録回路178からの記録制御信号に基づいてレーザ点灯回路177の点灯制御を行って、光ディスク100へ所望の情報を書き込む機能が付加されている点である。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。