本発明における実施例1について図を用いて詳細に説明する。ここでは、BDの規格に基づいた3層ディスクを想定し、その3層ディスクを記録または再生できる光ピックアップについて説明する。もちろん3層以上のBDや、DVDの規格に基づいた多層ディスク、またはその他の規格の多層ディスクであってもなんら構わない。
図1は、本発明の実施例1における光ピックアップの構成を示す図である。本図を用い最初に本発明の光ピックアップの構成について説明する。
図1は、本発明の実施例1における光ピックアップの構成を示す図である。なお、半導体レーザパッケージ1から対物レンズ8までの光路を往路、対物レンズ8から、光検出器10までの光路を復路と記す。
まず、往路について説明する。半導体レーザパッケージ1は、1本の主光ビームと2本の副光ビームである3本の光ビームを各々発散光ビームにて独立に出射するレーザ光源である。通常BDの記録再生には波長405nm帯(405nm±10nm)の光ビームを用いる。このため3本の光ビームは、405nm±10nmであることを想定している。半導体レーザパッケージ1の構成については後述する。
一点鎖線11は3本の光ビームの光路を図示したものである。主光ビームと2本の副光ビームは同様の光路を通る。
以後、簡単のため、主光ビームを用いて、光ピックアップの構成について説明する。
半導体レーザパッケージ1から発散光で出射した主光ビームは、ビームスプリッタ2に入射する。ビームスプリッタ2は、透過と反射によって入射した光ビームを分岐させる機能を持つ。ここでは、往路は反射、復路は透過に用いている。ビームスプリッタ2に到達した主光ビームは反射してコリメートレンズ3へ進行する。コリメートレンズ3にて主光ビームは略平行な光ビームに変換される。
多層ディスクは、表面からの各情報記録面までの基板厚が異なり各情報記録面に照射される光ビームには異なる量の球面収差が発生する。このため多層ディスクに対応するためには球面収差を補正する機能が必要である。球面収差を補正する手段としては、光ビームの発散、集束状態を利用することが一般的である。このため主光ビームを発散、集束状態を変化させることができるように、コリメートレンズ3は光軸方向に可動する構成とすると良い。なお、コリメートレンズによる球面収差補正については詳細な説明は省略する。
コリメートレンズ3を通過した主光ビームは、次に立ち上げミラー7で反射して紙面垂直方向に立ち上げられ、対物レンズ8により。ディスク(図示せず)へ集光照射される。
一般的に対物レンズで集光された光ビームにはディスクのカバーガラスで球面収差が発生する。このため対物レンズは、その球面収差をキャンセルするような球面収差を発生させることでディスク上に集光された光ビームが球面収差最小になるように設計されている。
そこで、3層以上の多層ディスクに対応するためには、ディスクの表面側に近い情報記録面と最奥の情報記録面の中間位置に光ビームが集光された時に球面収差最小となるように対物レンズを設計すると良い。表面側に近い情報記録面と最奥の情報記録面で発生する球面収差量を均等化でき、どの情報記録面も前述のコリメートレンズ3の駆動により球面収差を補正できるようになる。このため対物レンズ8は、ディスクの表面側に近い情報記録面と最奥の情報記録面の中間位置に光ビームが集光された時に球面収差最小となるように設計されているものを想定している。
記録再生時には、ディスクの面振れにより対物レンズ8とディスクの間隔が光軸方向に変動する。この変動に対して対物レンズ8で集光された主光ビームの合焦点位置がディスクの所定情報記録面上に追従させるためには、対物レンズ8をフォーカス制御する必要がある。
また、ディスクの偏芯により対物レンズ8とディスクがディスクの半径方向に変動する。ディスク内の所定トラックに対物レンズ8で集光された主光ビームを追従させるためには、対物レンズ8をトラッキング制御する必要がある。
上記フォーカス制御およびトラッキング制御のため、対物レンズ8はアクチュエータ(図示せず)に搭載されトラッキング方向およびフォーカス方向に可動できる構成となっている。
次に、復路について説明する。ディスクで反射した主光ビームは、往路とは逆の光路である対物レンズ8、立ち上げミラー7を、コリメータレンズ3を進行し、再びビームスプリッタ2に到達する。復路では、主光ビームはビームスプリッタ2を透過し、検出レンズ9へ進行する。
検出レンズ9を透過すると、主光ビームには所定の非点収差が与えられ、差動非点収差方式(以下、DAD方式と記す)によるフォーカスエラー信号の検出に使用される。
最後に、主光ビームは光検出器10に進行する。検出レンズ10は、主光ビームと前述の2本の副光ビームを所定の光検出面で受光する。光検出器10は、主光ビームと2本の副光ビームを独立に受光できるものであり、光検出器10については後述する。光検出器10は、受光した光ビームの光量に応じて光電変換された信号を出力し、DAD方式に基づいたフォーカスエラー信号、DPP方式に基づいたトラッキングエラー信号(以下、TE信号と記す)、および記録再生信号などを生成する。なお、DPPは公知の技術のため詳細な説明を省略する。
以上説明したように、本発明の光ピックアップは、少なくとも1本の主光ビームと2本の副光ビームを独立に出射することのできる半導体レーザパッケージ1と、ビームスプリッタ2と、コリメートレンズ3と、対物レンズと8と、3本の光ビームを受光できる光検出器10によって構成されている。
続いて、図2を用いて半導体レーザパッケージ1の構成について説明する。
図2は、半導体レーザパッケージ1をビームスプリッタ2から見た概略図である。半導体レーザパッケージ1内には、ヒートシンク12を配置させ、そのヒートシンク12の上に主光ビーム用半導体レーザチップ14と2個の副光ビーム用半導体レーザチップ13、15を搭載させる。
また、図示はないが、主光ビーム用半導体レーザチップ14と2個の副光ビーム用半導体レーザチップ13、15から出射する光ビームの光量は独立に変えられるような回路構成を取ることを想定している。
ヒートシンク12は、半導体レーザチップから発生する熱を放熱する機能がある。
主光ビーム用半導体レーザチップ14は副光ビーム用半導体レーザチップ13、15の略中心に配置させている。これは、上記したようにDPPを想定しているためである。また、DPPにおいて、主光ビーム用半導体レーザチップ14に対する副光ビーム用半導体レーザチップの13、15のチップ間隔hが各々異なるとTE信号にオフセットが発生する。このためチップ間隔hは略一致するように設置させると良い。また、副光ビーム用半導体レーザチップ13、15から出射される2本の副光ビームの出射パワーは主光ビーム用半導体レーザチップ14から出射される主光ビームの出射パワーより弱い出射パワーとする。これは、副光ビームによる誤記録を回避するためである。副光ビーム用半導体レーザチップ13、15から出射される2本の副光ビームの出射パワーは略一致させると良い。これはディスクの偏芯によって発生するTE信号オフセットを防止することを目的としている。このため、例えば副光ビーム用半導体レーザチップ13、15を駆動する駆動回路(図示なし)を共通化してもなんら構わない。
主光ビーム用半導体レーザチップ14から出射した主光ビームと、副光ビーム用半導体レーザチップ13、15から出射した2本の副光ビームは、互いに可干渉性がないものを用いる。可干渉性がない、すなわちインコヒーレントな光というのは、互いの光ビームが重なったとき干渉を生じさせないことを意味している。可干渉性が無い光ビームとするには、例えば、半導体レーザチップから出射する光ビームの波長を僅かに変える、または出射する光ビームの位相を変えるなどの手段で実現できる。
また、インコヒーレントな光を実現するには、主光ビームに半導体レーザを用い、副光ビームにはLED(Light Emitting Diode)などを用いても良い。LEDは半導体レーザと比べ安価で作製できるため、半導体レーザパッケージ1を安価に作製できると期待できる。副光ビーム用光源にLEDを用いた例については、後で詳しく説明する。
例えば、可干渉性のある光ビームを出射させる半導体レーザチップを搭載した光ピックアップを想定するとCPレンズ3から出射した光ビームには干渉縞が発生するが、本実施例の光ピックアップではCPレンズ3から出射した光ビームには干渉縞が発生しないことになる。
上述の半導体レーザパッケージ1を用いることで、3層以上の多層ディスクから安定したサーボ信号が得られるようになる。詳細については後述する。
続いて、図3を用いて情報記録面上の光スポット配置について説明する。
図3は、情報記録面を対物レンズ8から見た概略図である。情報記録面には、一定の間隔Tで情報トラック16が配置している。本実施例では、記録又は再生する光ディスクとしてBDを想定しているため、情報トラックの間隔Tは0.32μmである。
情報記録面上には、3個の光スポット17、18、19がある。光スポット18は主光ビームの集光スポット、光スポット17、19は副光ビームの集光スポットである。上記したように主光ビーム用半導体レーザチップ14に対する副光ビーム用半導体レーザチップ13、15のチップ間隔hが略一致しているため、光スポット18と光スポット17、19の光スポット間隔dは略一致する。DPPを実現するには、副光ビームの光スポット17、19は主光ビームの光スポット18に対してディスク半径方向に1/2トラックずらして配置させる必要がある。このため、図3のように副光ビームの光スポット17、19は主光ビームの光スポット18に対してディスク半径方向に丁度1/2トラックずらして配置させている。通常DPPでは、図3のような光スポット配置とした時にTE信号は最大の振幅が得られるものである。このように情報記録面上のスポットを配置するには、半導体レーザパッケージ1を回転調整することで実現できる。このため、半導体レーザパッケージ1は、回転調整可能な機構にすべきである。例えば、半導体レーザパッケージ1をホルダで固定し、そのホルダが回転できるように光ピックアップの外形を工夫すると良い。
続いて、多層ディスクで発生する迷光について説明する。
図4は、3層ディスクに対物レンズ8で集光される主光ビームを図示したものである。図4(a)は信号光の光路、図4(b)、(c)は迷光の光路を示している。
3層ディスク20内には、3個の情報記録面21、22、23がある。図4では、情報記録面22を記録再生対象層、情報記録面21、23を隣接層と想定している。
実線24は信号光である主光ビームの外側の光線を示している。破線25、26は迷光となる主光ビームの外側の光線を示している。
まず、信号光の光路について図4(a)を用いて説明する。主光ビームは実線24で示したように平行な光ビームで対物レンズ8に入射した後、3層ディスク20に集光される。主光ビームは情報記録面23を透過し、情報記録面22で集光する。この集光点をP点とする。P点は、対物レンズ8の焦点位置に相当する。主光ビームは情報記録面22で反射し、対物レンズ8に戻り、再び平行な光ビームに変換される。すなわち、信号光とは記録再生対象層を反射する前後で略同一の光路(実線24)を進行する光ビームのことを指す。
次に迷光の光路について図4(b)、(c)を用いて説明する。情報記録面22に進行した主光ビームは前述のように反射だけでなく透過する光路が存在する。ゆえに、主光ビームの一部は情報記録面22を透過し、情報記録面21まで到達する。図4(b)は、その情報記録面21まで到達する主光ビームの光路を示したものである。主光ビームは、情報記録面21で反射した後、再び対物レンズ8に戻る。このとき、対物レンズ8に再び進行した主光ビームは焦点位置P点とは異なる位置にある記録情報面21で反射したため記録情報面21よりもさらに奥にあるQ点が仮想発光点のように見える。それゆえ、情報記録面21で反射した主光ビームは対物レンズ8を透過すると集束光に変換される。この情報記録面21で反射した主光ビームを破線25で示している。
また、情報記録面23に進行した主光ビームは前述のように透過だけでなく反射する光路が存在する。ゆえに、主光ビームの一部は情報記録面23反射し、情報記録面22へ到達したい。図4(c)は、その情報記録面22で反射する主光ビームの光路を示したものである。主光ビームは、情報記録面23で反射した後、再び対物レンズ8に戻る。このとき、対物レンズ8に再び進行した主光ビームは焦点位置P点とは異なる位置にある記録情報面23で反射したため記録情報面23よりもさらに手前にあるR点が仮想発光点のように見える。それゆえ、情報記録面23で反射した主光ビームは対物レンズ8を透過すると発散光に変換される。この情報記録面23で反射した主光ビームを破線26で示している。すなわち、迷光とは、記録再生対象層と異なる隣接層を反射するため信号光の光路(実線24)とは異なる光路(破線25、26)を進行する光ビームのことを指す。多層ディスクでは上記のように迷光が発生してしまう。本発明はこの迷光による信号光の外乱を除去する技術を提供することを目的のひとつとしており、その技術について次に説明する。
信号光と迷光の光検出器上の関係から外乱を除去する技術について説明する。図5は、光検出器10内の受光面と、主光ビームおよび副光ビームの信号光と主光ビームの迷光の集光スポットを図示したものである。
光検出器10は、主光ビーム用受光面28と、2個の副光ビーム用受光面27、29が配置されている。光検出器10はDAD方式およびDPPを前提とした一般的な12分割受光面を想定している。光検出器10は、受光面で受光した光ビームの強度を電気信号に変換し、記録再生信号およびサーボ信号を生成することができる。
主光ビームの信号光は、主光ビーム用受光面28上に集光され、信号光スポット31を形成する。同様に、2本の副光ビームの信号光は、副光ビーム用受光面27、29上に集光され、信号光スポット30、32を形成する。
一方、主光ビームの迷光は、前述したように光検出器10上で大きくぼやけた迷光スポット33、34を形成する。この迷光スポット33、34は大きくぼやけているため、主光ビーム用受光面28と、副光ビーム用受光面27、29に入光する。また、信号光スポット30、32と迷光スポット33、34は光検出器10上で重なる領域が発生する。
迷光スポット33、34は大きくぼやけているため、光検出器上の主光ビーム用受光面28と、副光ビーム用受光面27、29に入光する光量は十分小さい。このため、大きな外乱とはならない。また、主光ビームと2本の副光ビームは互いに可干渉性がないため、迷光スポット33、34と信号光スポット30、32が光検出器10上で重なる領域が発生しても干渉することはない。ゆえに、品質の良いサーボ信号が安定して得ることができる。
さて、一般的な光ピックアップでは、1個の半導体レーザチップから出射した光ビームを、回折格子によって1本の主光ビームと2本の副光ビームに分岐していた。しかし、このように回折格子で分岐した副光ビームと主光ビームが互いに可干渉性がある。図5のように信号光スポット30、32と迷光スポット33、34が光検出器10上で重なると光の干渉が生じてしまう。この干渉によって副光ビームの光スポット33、34の強度はディスクの回転と共に予測できない程に変動する。この干渉による外乱が従来の光ピックアップにおけるサーボ信号を著しく劣化させる原因であった。
本実施例では、上記したように1本の主光ビームと2本の副光ビームを可干渉性のない3個の半導体レーザチップからなる半導体パッケージを用いることで、主光ビームの迷光と2本の副光ビームが同じ受光面上で干渉するという課題を解決している。従って、本実施例に従えば品質の良いサーボ信号を安定して得ることができる。
続いて、偏芯が大きいディスク、すなわち偏芯ディスクを再生するときのTE信号の課題について説明する。なお、偏芯ディスクとは、回転中心とディスクの中心が偏芯したディスクのことを指す。
このような偏芯ディスクを再生すると、図3における光スポット18を中心としてあたかも情報トラック16が回転しているかのように変化する。これに対し、偏芯ディスクを再生している時に光スポット17、18、19は一定位置に照射される。言い換えると、情報トラックに対して光スポット17、18、19が、光スポット18を中心に回転しているかのようにみえる。
さて、前述したように、DPPを用いたTE信号は光スポット18に対し光スポット17、19が半径方向に1/2トラックずれたとき最大の振幅が得られる。逆に最適な1/2トラックから光スポット17、19がディスク半径方向にずれるとTE信号は振幅が小さくなる。すなわち、偏芯ディスクを再生するときのTE信号の課題とは、TE信号の振幅減少である。このTE信号の振幅は、偏芯ディスクの偏芯量が一定の場合、光スポット間隔dに略反比例して小さくなる。これは、光スポット間隔dが大きいと、情報トラックの角度変化量が一定であっても、光スポット18に対する光スポット18、19のディスク半径方向のずれ量が大きくなるためである。
BDを再生する光ディスク装置において、一般的に想定される100μmの偏芯ディスクを再生するときに、TE信号は90%以上の振幅が確保されていれば安定したサーボ性能が得られる。本実施例においても同様に、100μmの偏芯ディスクを再生するとき、TE信号は90%以上の振幅を確保する必要がある。
図6に100μmの偏芯ディスクの再生を想定し、光スポット間隔dとTE信号の振幅の関係を計算した結果を示す。横軸は光スポット間隔dを、縦軸は、TE信号振幅を示す。縦軸のTE信号振幅は偏芯が無いディスクの再生を想定したときを100%として算出している。BDを想定しているため計算におけるトラックピッチは、0.32μmを用いた。
上述したように光スポット間隔dが大きくなるにつれて、TE信号振幅が減少すること再現されている。グラフから90%以上のTE信号の振幅を確保するためには、光スポット間隔を8μm以下に設定すればよいことが分かる。一般的に往路倍率Mと半導体レーザパッケージ1のチップ間隔hと情報記録面上の光スポット間隔dは数式1のように表わされる関係がある。なお、往路倍率Mとは、コリメートレンズ3と対物レンズ8の焦点距離の比である。
h/M=d 〔数式1〕
本実施例の光ピックアップでは、光スポット間隔dが8μm以下になるように、数式1の往路倍率Mとチップ間隔hを決定すれば良い。
さて、光ピックアップの設計項目の一つにRIM強度が挙げられる。RIM強度とは、対物レンズの入射瞳中の最大光強度に対する瞳端部における光強度の比のことである。BDの規格では、ディスク半径方向および回転方向のRIM強度は65%および60%と定められている。RIM強度は、半導体レーザチップの出射光分布と往路倍率Fに依存する。前記RIM強度を実現するためには、通常の半導体レーザチップを用いると、往路倍率Mを10倍程度に設定することが一般的である。本実施例も同様に、往路倍率Mを10倍以上に設定すればよい。
さて、往路倍率Mを決定すると、上記数式1より半導体レーザチップ間隔hが求められる。例えば、光スポット間隔dを8μm以下にするためには、往路倍率Mを10倍とすると、チップ間隔hは80μm以下とすればよい。通常往路倍率Mが大きくなると、対物レンズ8から出射される光量が小さくなる。このため、往路倍率Mは15倍より大きく設定することは無い。往路倍率Mを15倍とした場合、光スポット間隔dは8μm以下にするためには数式1に従ってチップ間隔は120μm以下とすれば良い。すなわち、実際に使用する往路倍率Mの範囲10倍から15倍の範囲においては、本発明を用いた半導体レーザパッケージ1のチップ間隔hは80μm以下に設定すれば良いことがわかる。
上記説明したように本実施例では可干渉性のない主光ビームと副光ビームを出射する半導体レーザパッケージを用いることで、3層以上の多層ディスクから品質のよいサーボ信号を安定して得ることができる。また、半導体レーザパッケージ1のチップ間隔を大きくとも80μm以下にすることで偏芯ディスクを安定して再生することが出来る。また、本実施例の光ピックアップでは、従来の光ピックアップのように3ビーム生成用の回折格子が無いため、部品点数が少なく、光ピックアップの製造が容易になるという効果も得られる。
本発明における実施例2について図を用いて詳細に説明する。ここでは、実施例1の半導体レーザパッケージ1の変形例について説明する。
図2は、半導体レーザパッケージ50をビームスプリッタ2から見た概略図である。半導体レーザパッケージ50内には、ヒートシンク12を配置させ、そのヒートシンク12に半導体レーザチップ51を搭載させる。半導体レーザチップ51には、主発光点36、副発光点35、37の3個の発光点を設けている。発光点は光ビームを出射する点のことを指す。主発光点36は、半導体レーザパッケージ1の主光ビーム用半導体レーザチップ14に相当する。また、副発光点35、37は、半導体レーザパッケージ1の副光ビーム用半導体レーザチップ13、15に各々相当するものである。また、図示はないが、主発光点36と2個の副発光点15、37から出射する光ビームの光量は独立に変えられるような回路構成を取ることを想定している。
近年1個の半導体レーザチップから複数の光ビームを出射できるマルチ半導体レーザチップがされており、半導体レーザパッケージ50は、そのマルチ半導体レーザチップを搭載したものを想定している。このようなマルチ半導体レーザチップでは、活性層に平行な方向に発光点が並んでいる。このため半導体レーザチップ51の主発光点36、副発光点35、37はヒートシンク12との接触面に平行な方向に並んで配置させている。
これに対して、主発光点36、副発光点35、37から出射される光ビームは図3のように情報トラックに平行な方向に配置させなければならない。そこで、ヒートシンク12は半導体レーザパッケージ1に対して90度回転させ配置させている。なお、ヒートシンク12は、半導体レーザチップから発生する熱を放熱する機能がある。
半導体レーザパッケージ1と同様に半導体レーザパッケージ50においても副発光点35、37から出射される2本の副光ビームの出射パワーは主発光点36から出射される主光ビームの出射パワーより弱い出射パワーとする。また副発光点35、37から出射される2本の副光ビームの出射パワーは略一致させると良い。さらに、例えば副発光点35、37を駆動する駆動回路(図示なし)を共通化してもなんら構わない。
また、半導体レーザパッケージ50においても、主発光点36と副発光点35、37の間隔、言い換えると半導体レーザパッケージ1のチップ間隔は大きくとも80μm以下にすることで実施例1同様に偏芯ディスクを安定して再生することが出来る。もちろん半導体レーザパッケージ1と同様に主発光点36から出射した主光ビームと、副発光点35、37から出射した2本の副光ビームは、互いに可干渉性がないものを用いる。このため半導体レーザパッケージ50を用いても、実施例1同様に3層以上の多層ディスクから品質のよいサーボ信号を安定して得ることができる。
半導体レーザパッケージ1では3個の半導体レーザチップを搭載するため、搭載の位置精度が課題となる。しかし半導体レーザパッケージ50では発光点の間隔は半導体プロセスで決まる。このため、半導体レーザパッケージ50では半導体レーザパッケージ1に比べ搭載精度が向上するという効果が得られると期待できる。
本発明における実施例3について図を用いて詳細に説明する。ここでも、実施例1の半導体レーザパッケージ1の変形例について説明する。
図8は、半導体レーザパッケージ60をビームスプリッタ2から見た概略図である。半導体レーザパッケージ60内には、ヒートシンク12を配置させ、そのヒートシンク12の上に主光ビーム用半導体レーザチップ61と副光ビーム用半導体レーザチップ62を搭載させる。
また、図示はないが、主光ビーム用半導体レーザチップ61と副光ビーム用半導体レーザチップ62から出射する光ビームの光量は独立に変えられるような回路構成を取ることを想定している。
ヒートシンク12は、半導体レーザチップから発生する熱を放熱する機能がある。
主光ビーム用半導体レーザチップ61の上に副光ビーム用半導体レーザチップ62を配置させている。これは、上記したようにDPPを想定しているためである。この主光ビーム用半導体レーザチップ61と副光ビーム用半導体レーザチップ62はチップ間隔h隔てて配置させる。
3個の光ビームを使用するDPPと比べ2個の光ビームを使用するDPPでは、チップ間隔hが広くなると偏芯ディスク再生時にTE信号が大きくオフセットする。このためチップ間隔hは80μm以下になるように設置させると良い。このチップ間隔については後述する。また、副光ビーム用半導体レーザチップ62から出射される副光ビームの出射パワーは主光ビーム用半導体レーザチップ61から出射される主光ビームの出射パワーより弱い出射パワーとする。これは、副光ビームによる誤記録を回避するためである。
主光ビーム用半導体レーザチップ61から出射した主光ビームと、副光ビーム用半導体レーザチップ62から出射した副光ビームは互いに可干渉性がないものを用いる。
続いて、半導体レーザパッケージ60を用いた場合に実施例1と異なる点について説明する。
図9は、情報記録面を対物レンズ8から見た概略図である。情報記録面には、一定の間隔Tで情報トラック16が配置している。本図もBDを想定しているため、情報トラックの間隔Tは0.32μmである。情報記録面上には、2個の光スポット40、41がある。光スポット40は主光ビームの集光スポット、光スポット41は副光ビームの集光スポットであり、光スポット間隔dだけ隔てて配置される。光スポット間隔dと、チップ間隔hの関係は上述のように数式1で表すことができる。
さて、DPPを実現するには、副光ビームの光スポット41は主光ビームの光スポット40に対してディスク半径方向に1/2トラックずらして配置させる必要がある。このため、図9においても光スポット40に対して光スポット41はディスク半径方向に丁度1/2トラックずらして配置させている。
2個の光ビームを使用するDPPにおいて、光スポット41は光スポット40に対してディスク半径方向に丁度1/2トラックずらして配置させた時にTE信号とトラック位置との位相のずれが最小となる。逆に1/2トラックからずれると、TE信号とトラック位置との位相のずれ、いわゆるオフトラックが発生する。
図9ように情報記録面上の光スポットを配置するには、半導体レーザパッケージ60を回転調整することで実現できる。このため、半導体レーザパッケージ60は、回転調整可能な機構にすべきである。例えば、半導体レーザパッケージ60をホルダで固定し、そのホルダが回転できるように光ピックアップの外形を工夫すると良い。
図10は、光検出器65内の受光面と、主光ビームおよび副光ビームの信号光と主光ビームの迷光の集光スポットを図示したものである。光検出器65は、主光ビーム用受光面43と、副光ビーム用受光面42が配置されている。光検出器65はDAD方式およびDPPを前提とした8分割受光面を想定している。光検出器65は、受光面で受光した光ビームの強度を電気信号に変換し、記録再生信号およびサーボ信号を生成することができる。
主光ビームの信号光は、主光ビーム用受光面43上に集光され、信号光スポット45を形成する。同様に、副光ビームの信号光は、副光ビーム用受光面42上に集光され、信号光スポット44を形成する。
一方、主光ビームの迷光は、光検出器65上で大きくぼやけた迷光スポット33、34を形成する。この迷光スポット33、34は大きくぼやけているため、主光ビーム用受光面43と、副光ビーム用受光面42に入光する。また、信号光スポット44、45と迷光スポット46、47は光検出器65上で重なる領域が発生する。迷光スポット33、34は大きくぼやけているため、光検出器上の主光ビーム用受光面43と、副光ビーム用受光面42に入光する光量は十分小さい。このため、大きな外乱とはならない。また、主光ビームと2本の副光ビームは互いに可干渉性がないため、迷光スポット33、34と信号光スポット42、43が光検出器10上で重なる領域が発生しても干渉することはない。ゆえに、品質の良いサーボ信号が安定して得ることができる。
本実施例では、上記したように1本の主光ビームと副光ビームを可干渉性のない2個の半導体レーザチップからなる半導体パッケージを用いることで、主光ビームの迷光と2本の副光ビームが同じ受光面上で干渉するという課題を解決している。従って、本実施例に従えば品質の良いサーボ信号を安定して得ることができる。
また、偏芯ディスクを再生すると、図9における光スポット40を中心としてあたかも情報トラック16が回転しているかのように変化する。これに対し、偏芯ディスクを再生している時に光スポット40、41は一定位置に照射される。言い換えると、情報トラックに対して光スポット40、41が、光スポット40を中心に回転しているかのようにみえる。
このため、前述したように、2個の光ビームを使用するDPPにおいて、光スポット41は光スポット40に対してディスク半径方向に丁度1/2トラックずらして配置させた時にTE信号とトラック位置との位相のずれが最小となる。逆に1/2トラックからずれると、TE信号とトラック位置との位相のずれ、いわゆるオフトラックが発生する。すなわち、2個の光ビームを使用するDPPにおいて偏芯ディスクを再生するときのTE信号は、TE信号がオフトラックするという課題がある。 このオフトラックは、偏芯ディスクの偏芯量が一定の場合、光スポット間隔dに略反比例して大きくなる。これは、光スポット間隔dが大きいと、情報トラックの角度変化量が一定であっても、光スポット40に対する光スポット41のディスク半径方向のずれ量が大きくなるためである。
BDを再生する光ディスク装置において、一般的に想定される100μmの偏芯ディスクを再生するときに、TE信号のオフトラック量は10分の1トラック以下に抑えれば安定したサーボ性能が得られる。本実施例においても同様に、100μmの偏芯ディスクを再生するとき、TE信号のオフトラック量は10分の1トラック以下に抑える必要がある。
図11に100μmの偏芯ディスクの再生を想定し、光スポット間隔dとTE信号のオフトラック量の関係を計算した結果を示す。横軸は光スポット間隔dを、縦軸は、オフトラック量を示す。縦軸のオフトラック量はトラックピッチで規格化したもので、オフトラック量が0.32μmの時100%として算出している。BDを想定しているため計算におけるトラックピッチも、0.32μmである。
上述したように光スポット間隔dが大きくなるにつれて、オフトラック量が増加していくこと再現されている。グラフから10分の1トラック、すなわち10%以下にオフトラック量を抑えるためには、光スポット間隔を8μm以下に設定すればよいことが分かる。つまり、2個の光ビームを使用するDPPでは、3個の光ビームを使用するDPP同様に光スポット間隔dを8μm以下とすれば良いので、チップ間隔hは実施例1同様に80μm以下にすることで、偏芯ディスクを安定して再生することが出来る。
本発明における実施例4について図を用いて詳細に説明する。ここでは、実施例3の半導体レーザパッケージ60の変形例について説明する。
図12は、半導体レーザパッケージ70をビームスプリッタ2から見た概略図である。半導体レーザパッケージ70内には、ヒートシンク12を配置させ、そのヒートシンク12に半導体レーザチップ71を搭載させている。
半導体レーザチップ71には、主発光点72、副発光点73の2個の発光点を設けている。主発光点72は、半導体レーザパッケージ60の主光ビーム用半導体レーザチップ61に相当する。また、副発光点73は、半導体レーザパッケージ70の副光ビーム用半導体レーザチップ62に各々相当するものである。
また、図示はないが、主発光点72と副発光点73から出射する光ビームの光量は独立に変えられるような回路構成を取ることを想定している。
半導体レーザパッケージ70は、マルチ半導体レーザチップを搭載したものを想定している。このため半導体レーザチップ71の主発光点72、副発光点73はヒートシンク12との接触面に平行な方向に並んで配置させている。
これに対して、主発光点72、副発光点73から出射される光ビームは図8のように情報トラックに平行な方向に配置させなければならない。そこで、ヒートシンク12は半導体レーザパッケージ70に対して90度回転させ配置させている。
半導体レーザパッケージ70は実施例2の半導体レーザパッケージ50の発光点を3個から2個に変形したものでもある。
なお、ヒートシンク12は、半導体レーザチップから発生する熱を放熱する機能がある。
半導体レーザパッケージ60と同様に半導体レーザパッケージ70においても副発光点73から出射される副光ビームの出射パワーは主発光点72から出射される主光ビームの出射パワーより弱い出射パワーとする。
また、半導体レーザパッケージ70においても、主発光点72と副発光点73の間隔、すなわちチップ間隔は大きくとも80μm以下にすることで実施例3同様に偏芯ディスクを安定して再生することが出来る。
もちろん半導体レーザパッケージ1などと同様に主発光点72から出射した主光ビームと、副発光点73から出射した副光ビームは、互いに可干渉性がないものを用いる。このため半導体レーザパッケージ70を用いても、実施例1同様に3層以上の多層ディスクから品質のよいサーボ信号を安定して得ることができる。
半導体レーザパッケージ60では2個の半導体レーザチップを搭載するため、搭載の位置精度が課題となる。しかし半導体レーザパッケージ70では発光点の間隔は半導体プロセスで決まる。このため、半導体レーザパッケージ70では半導体レーザパッケージ60に比べ搭載精度が向上するという効果が得られると期待できる。
本発明における実施例5について図を用いて詳細に説明する。ここでも、実施例3の半導体レーザパッケージ60の変形例について説明する。
図13は、半導体レーザパッケージ80をビームスプリッタ2から見た概略図である。半導体レーザパッケージ80内には、2個のヒートシンク48、49を図のように対向して配置させる。ヒートシンク48には、主光ビーム用半導体レーザチップ81を、ヒートシンク49には副光ビーム用半導体レーザチップ82を搭載させる。
また、主光ビーム用半導体レーザチップ81と副光ビーム用半導体レーザチップ82はチップ間隔h隔てて配置させる。すなわち、主光ビーム用半導体レーザチップ81は主光ビーム用半導体レーザチップ61、副光ビーム用半導体レーザチップ82は副光ビーム用半導体レーザチップ62に相当するものである。また、図示はないが、主光ビーム用半導体レーザチップ81と副光ビーム用半導体レーザチップ82から出射する光ビームの光量は独立に変えられるような回路構成を取ることを想定している。
半導体レーザパッケージ80は半導体レーザパッケージ60と同様に半導体レーザパッケージ50の発光点を3個から2個に変形したものでもある。
ヒートシンク48、49は、半導体レーザチップから発生する熱を放熱する機能がある。半導体レーザパッケージ60と比べヒートシンクを2個にしたことで、約2倍の放熱性能が得られる効果が期待できる。
半導体レーザパッケージ60と同様に半導体レーザパッケージ80においても副光ビーム用半導体レーザチップ82から出射される副光ビームの出射パワーは主光ビーム用半導体レーザチップ81から出射される主光ビームの出射パワーより弱い出射パワーとする。
また、半導体レーザパッケージ80においても、チップ間隔hは大きくとも80μm以下にすることで実施例3同様に偏芯ディスクを安定して再生することが出来る。
もちろん半導体レーザパッケージ1などと同様に主光ビーム用半導体レーザチップ81出射した主光ビームと、ヒートシンク49には副光ビーム用半導体レーザチップ82から出射した副光ビームは、互いに可干渉性がないものを用いる。このため半導体レーザパッケージ80を用いても、実施例1同様に3層以上の多層ディスクから品質のよいサーボ信号を安定して得ることができる。
本実施例の光ピックアップは、少なくとも1本の主光ビームと1本の副光ビームを独立に出射することのできる半導体レーザパッケージと、ビームスプリッタと、コリメートレンズと、対物レンズと、光検出器によって構成されていれば良く、図1とは異なり、ミラー等で変形した光学系であってもなんら構わない。
実施例6では、実施例1で説明した光ピックアップを搭載した、光ディスク装置400について説明する。
図14に光ピックアップ403を搭載した光ディスク装置400と光ディスク装置400の概略回路構成のブロック図を示す。
光ディスク装置400内には、3層の光ディスク405がスピンドル401に固定されており、スピンドル401は光ディスク405を回転させる機能を有する。
また光ディスク装置400内には、ガイドバー402があり、光ピックアップ403はそのガイドバー402に沿って、光ディスク400の所定半径位置にアクセスすることができる。
ホスト425は例えばパソコンなどの光ディスク装置を用いる情報家電装置のことを意味している。ホスト425から光ディスク405の情報を再生するという指示が光ディスク装置400内のコントロール回路412へ入力されると、コントロール回路は、スピンドルモータ駆動回路419を駆動し、スピンドル401を駆動することで光ディスク405の回転を開始する。
次にコントロール回路412は半導体レーザチップ駆動回路418を駆動し、光ピックアップ402内の半導体レーザパッケージ1を駆動させ、主光ビーム用半導体レーザチップ14と2個の副光ビーム用半導体レーザチップ13、15を点灯させる。前述のように主光ビーム用半導体レーザチップ14の出射パワーよりも2個の副光ビーム用半導体レーザチップ13、15を弱い出射パワーとする。従来の回折格子を用いた光ピックアップでは、主ビームのパワーを1としたとき副ビームを0.05から0.1の範囲に設定している。このため、主光ビーム用半導体レーザチップ14の出射パワーに対して2個の副光ビーム用半導体レーザチップ13、15の出射パワーは0.05から0.1の範囲で使用すると良い。
次にコントロール回路412はアクチュエータ駆動回路415を駆動させ、光ピックアップ403内のアクチュエータを高さ方向に駆動させる。光ピックアップ403の光検出器10から検出された信号はサーボ信号生成回路410に送られ、その検出信号からFES、TESを生成する。コントロール回路412は情報記録面選択回路413を駆動し、得られたFESから光ディスク405のどの情報記録面を再生するか判断する。多層の光ディスクでは情報記録面毎にカバー層の厚みが異なる。このため、FESから光ディスク405の情報記録面毎の間隔つまりカバー層の厚みを検知させることで、どの情報記録面にアクセスするか判別できる。
コントロール回路412から情報記録面選択回路413から選択された情報記録面にサーボするという指令がアクチュエータ駆動回路415へ送られ光ピックアップ403内のアクチュエータを駆動し、対物レンズの位置制御を行い、所定の情報記録面へ光ビームを集光照射させる。なお、コントロール回路412はアクセス制御回路414を駆動し所定の半径位置に光ピックアップ403をガイドバー402に沿って移動させる機能も有する。
さて、光ディスク405の所定の情報記録面へ集光照射された後、光ピックアップ403内の光検出器10からは検出される検出信号は、情報信号再生回路435へ送られる。その情報信号再生回路435では前記検出信号から光ディスク405に記録された情報信号が再生され、その情報信号はホスト425に出力される。
なお、上記情報信号再生回路435から生成された情報信号の再生性能(例えば、ジッタや検出信号の振幅)が最良になるようにコントロール回路412はコリメートレンズ駆動回路416を駆動し、光ピックアップ403内のコリメートレンズ3を移動させ球面収差補正を行う機能も有する。
上記のように光ディスク装置400の回路を駆動させることで、ホスト425は所望の再生情報を獲ることができる。
さて、ホスト425から光ディスク405へ情報を記録するという指示がコントロール回路412へ入力されると、上記再生のときと同様の動作を行い、光ディスク405のメディアに合ったレーザ光源を点灯させ光ビームを光ディスク405へ集光照射させる。
次にホスト425から記録する記録情報が記録情報信号変換回路420へ入力され、記録情報信号変換回路420では所定のメディアに合った記録信号に変換される。この記録信号はコントロール回路412に送られる。コントロール回路412は、半導体レーザチップ駆動回路418を駆動させ、主光ビーム用半導体レーザチップ14と2個の副光ビーム用半導体レーザチップ13、15の光量を制御し、光ディスク405に記録信号を記録する。主光ビーム用半導体レーザチップ14の光量は記録信号に応じたものとし、2個の副光ビーム用半導体レーザチップ13、15の光量は、前述の主光ビーム用半導体レーザチップ14の光量の比率に応じて変化させると、従来の回折格子を用いた光ピックアップと同様の動作となる。
なお、この際、コントロール回路412はアクセス制御回路414とスピンドルモータ駆動回路419を駆動し、記録信号に応じ光ピックアップ402のアクセス制御や、光ディスク401の回転制御なども行われる。
上記のように光ディスク装置400の回路を駆動させることで、ホストから受けた記録情報を光ディスク405へ記録することができる。
上述したように光ディスク装置400の実施例を説明したが、少なくとも半導体レーザチップ駆動回路418と情報記録面選択回路413を搭載されていれば、これに限定されるものではない。
以上のように、本発明によれば、3層以上の多層ディスクを記録再生可能な光ピックアップ及び光ディスク装置を提供できる。
本発明における実施例7について詳細に説明する。ここでは、実施例5の半導体レーザパッケージ80の変形例について説明する。
図15は、半導体レーザパッケージ90をビームスプリッタ2から見た概略図である。同図に示すように、半導体レーザパッケージ90内には、2個のヒートシンク48、49を対向して配置させている。ヒートシンク48には、主光ビーム用半導体レーザチップ91が搭載され、ヒートシンク49には副光ビーム用LEDチップ92が搭載されている。
図15に示す主光ビーム用半導体レーザチップ91は、図13における主光ビーム用半導体レーザチップ81に相当し、図15に示す副光ビーム用LEDチップ92は図13における副光ビーム用半導体レーザチップ82に相当する。
また、図示はないが、主光ビーム用半導体レーザチップ91と副光ビーム用LEDチップ92から出射する光ビームの光量は独立に変えられるような回路構成を取ることを想定している。また、本実施例では、副光ビーム用LEDチップから出射する光ビームの波長は、主光ビーム用半導体レーザチップから出射する光ビームの波長と略同じとし、波長約405nm±10nmとしている。ここでは副光ビーム用LEDチップから出射する光ビームと、主光ビーム用半導体レーザチップから出射する光ビームの波長を同じとしたが、異なっていても良い。
本実施例では、副光ビームによる誤記録を防ぐために、副光ビーム用LEDチップ92から出射する副光ビームの出射パワーは主光ビーム用半導体レーザチップ92から出射する主光ビームの出射パワーより弱い出射パワーとする。
ヒートシンク48、49は、半導体レーザチップおよびLEDチップから発生する熱を放熱する機能がある。すなわち、半導体レーザパッケージ90は、半導体レーザパッケージ80の副光ビーム用半導体レーザチップ82を副光ビーム用LEDチップ92に置き換えたものである。本実施例7の光ピックアップは、半導体レーザパッケージ90を使用し、光学系は実施例1と同じものを用いる。
LEDチップの特徴は、出射する光ビームの位相が揃っていないことと、波面が無秩序に歪んでいることなどである。位相が揃っていない光ビームは、他の光ビームと重なっても干渉が生じない。つまり、可干渉性がない。このように、副光ビーム用の光源にLEDチップを用いることで、主光ビームと副光ビームに可干渉性がなくなるので、光検出器の副光ビーム用受光面に、目的の記録層以外の記録層で反射した主光ビームの迷光スポットが入射しても、この迷光の影響を受けることなく良好なサーボ信号を検出することができる。そのため、特に3層以上の多層ディスクの記録再生において、品質の良いサーボ信号が安定して得られる。
また、波面が無秩序に歪んだ光ビームを副光ビームに用いているので、改良DPP方式と同等のTE信号が得られる。
上述したように、改良DPP方式は、副光ビームの波面を無秩序に歪ませることで、副光ビームのスポット位置を任意の位置に配置できる効果がある。そのため、光スポット位置調整が不要になるだけでなく、偏芯ディスクの再生にも強くなる。
さて、2個の光ビームによるDPP方式は、偏芯ディスクの再生においてTE信号のオフトラックが発生する課題があった。それゆえ、光スポット間隔dを小さくする必要があった。
しかし、本実施例で示す半導体レーザパッケージ90を用いると、改良DPP方式と同等のTE信号が得られるので、光スポットを自由に配置できる。また、偏芯ディスクの再生においてTE信号のオフトラックが発生しない効果も得られる。従って、光スポット間隔dと、光スポット間隔dから算出されるチップ間隔hを自由に設計することができる。
光スポット間隔dおよびチップ間隔dを限定する必要がないので、設計の自由度が上がる効果が得られる。また、半導体レーザパッケージの回転調整が不要で、チップ間隔dを高精度に管理する必要もないので、非常に製造しやすいという効果が得られる。
本実施例の光ピックアップは、副光ビーム用の光源にLEDチップを用いているので、3層以上の多層ディスクから品質の良いサーボ信号を安定して得ることができる。さらに、偏芯ディスクの再生に強いので、半導体レーザパッケージ90の回転調整が不要で、チップ間隔を高精度に管理する必要もなく、非常に製造しやすい効果が得られる。
また、LEDは半導体レーザと比べ安価で作成できるため、半導体レーザパッケージ90を安価に作成できると期待でき、その結果、光ピックアップのコストを低減することができる。
以上説明してきたように、本実施例の半導体レーザパッケージ90は、2個の光ビームによる改良DPPを想定し、1個の主光ビーム用半導体レーザチップと1個の副光ビーム用LEDチップを搭載した構成とした。しかし、もちろん3個の光ビームによる改良DPPを想定し、1個の主光ビーム用半導体レーザチップと2個の副光ビーム用LEDチップを搭載した構成であってもなんら構わない。この場合、例えば、また、主光ビーム用半導体レーザチップと、副光ビーム用LEDチップを単一の半導体レーザパッケージ内に搭載せずに、それらを別々の光源として配置することも可能である。
本発明における実施例8について詳細に説明する。ここでは、実施例7の半導体レーザパッケージ90の変形例について説明する。
図16は、半導体レーザパッケージ100をビームスプリッタ2から見た概略図である。同図に示すように、半導体レーザパッケージ100内には、1個のヒートシンク12に、1個の主光ビーム用半導体レーザチップ102と、2個の副光ビーム用LEDチップ101及び103が搭載されている。
主光ビーム用半導体レーザチップ102は、2個の副光ビーム用LEDチップ101と103の間に設置する。2個の副光ビーム用LEDチップから出射する光ビームの波長は、主光ビーム用半導体レーザチップから出射する光ビームの波長と略同じとし、波長約405nm±10nmとしている。
また、図示はないが、主光ビーム用半導体レーザチップ102と副光ビーム用LEDチップ101及び103から出射する光ビームの光量は独立に変えられるような回路構成を取ることを想定している。
本実施例でも、副光ビームによる誤記録を防ぐために、副光ビーム用LEDチップ101と103から出射する2本の副光ビームの出射パワーは、主光ビーム用半導体レーザチップ102から出射する主光ビームの出射パワーより弱いパワーとする。また、例えば副光ビーム用LEDチップ101と103を駆動する駆動回路(図示なし)を共通化させてもなんら構わない。
前述したように、LEDチップの特徴は出射する光ビームの位相が揃っていないことと、波面が無秩序に歪んでいることなどである。半導体レーザパッケージ100においても、副光ビーム用の光源にLEDチップを用いることで、主光ビームと2本の副光ビームの可干渉がなくなり、特に3層以上の多層ディスクの記録再生において品質のよいサーボ信号を安定して得ることができる。さらに、改良DPP方式と同等のTE信号が得られ、光スポット位置調整が不要になるだけでなく、偏芯ディスクの再生にも強くなる。
また、光スポット間隔d及びチップ間隔hを限定する必要がないので、設計の自由度が上がる効果が得られる。また、半導体レーザパッケージの回転調整が不要で、チップ間隔hを高精度に管理する必要もないので、非常に製造しやすいという効果が得られる。
また、LEDチップは半導体レーザチップと比べて安価で作成できるため、半導体レーザチップを3個用いる半導体レーザパッケージ1に比べて半導体レーザパッケージ100を安価に作製できると期待でき、その結果、光ピックアップのコストを低減することができる。
以上説明したように、LEDチップを2個用いる構成でも、3層以上の多層ディスクの再生において安定したサーボ信号を得ることができる。
なお、図16では、1個の主光ビーム用半導体レーザチップ102と、2個の副光ビーム用LEDチップ101及び103の各チップ幅(図中、紙面横方向の各チップの長さ)がヒートシンク12に近い副光ビーム用LEDチップ101から順に狭くなっているが、任意であってもなんら構わない。例えば、3個のチップ幅が全て一致している構成であってもよい。
また、ここでは、2個の副光ビーム用LEDチップから出射する光ビームと、主光ビーム用半導体レーザチップから出射する光ビームの波長を略同じとしたが、ディスクの反射光から安定してTE信号が得られれば、2個の副光ビーム用LEDチップから出射する光ビームと、主光ビーム用半導体レーザチップから出射する光ビームの波長は異なる波長であってもなんら構わない。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、上記の各構成は、それらの一部又は全部が、ハードウェアで構成されても、プロセッサでプログラムが実行されることにより実現されるように構成されてもよい。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。