図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明の実施形態では、鉄筋コンクリートによって形成されたプレキャスト部材(下部材、中間部材及び上部材)を接合する例を示すが、本発明の実施形態は、鉄骨鉄筋コンクリートやプレストレストコンクリート等のコンクリートによって形成されたさまざまなプレキャスト部材の接合に適用することができる。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1の斜視図に示すように、第1の実施形態の接合構造10は、下部材としての柱12と、中間部材としての柱梁接合部材14と、上部材としての柱16とを有している。また、柱梁接合部材14と、柱梁接合部材14の左右に一体に設けられた梁18、20とによって水平構造体22が構成されている。
柱12、16、及び水平構造体22は、鉄筋コンクリートによって形成されたプレキャストコンクリート部材である。また、柱12、16、及び柱梁接合部材14の上下端面は、全て同一形状となっており、梁18、20の梁長方向にある辺が長辺となる長方形状を形成している。
接合構造10は、柱12の上面に隙間をあけて水平構造体22(柱梁接合部材14)を載置し、柱梁接合部材14の上面に隙間をあけて柱16を載置した後に、後に説明するグラウト注入方法を用いて、柱12と水平構造体22(柱梁接合部材14)と柱16とを一体化することにより構築される。
柱16には、柱16の下面から下方に突出する8本の柱鉄筋24が鉄筋として設けられている。また、図2(b)の正面図に示すように、柱16には、柱16の下面から側面へ貫通する第1のグラウト排出通路としてのグラウト排出孔26がL字状に形成されている。
図2(a)の正面図に示すように、水平構造体22の柱梁接合部材14には、柱鉄筋24が上下に貫通する貫通孔28が略鉛直に8つ形成されている。
図1に示すように、梁18には、梁18の端面から突出する8本の梁鉄筋30が設けられ、梁20の端部には中空管32が8つ埋設されている。図3(a)の正面図に示すように、中空管32は、梁鉄筋30を捩じ込まずに挿入可能な差し込み式の機械式継手となっており、梁20に設けられた梁鉄筋30の右端部が挿入されている。
梁20の端部側面には、中空管32の一端からグラウトを注入するためのグラウト注入孔34と、中空管32の他端からグラウトを排出するグラウト排出孔36とが形成されている。また、図2(a)に示すように、水平構造体22には、梁20の上面から柱梁接合部材14の下面へ貫通するグラウト供給孔38が形成されている。
図2(a)に示すように、柱12の上端部には中空管40が8つ埋設され、この中空管40の中空部が挿入孔となっている。中空管40は、柱鉄筋24を捩じ込まずに挿入可能な差し込み式の機械式継手となっており、柱12に設けられた柱鉄筋24の上端部が挿入されている。また、柱12に設けられた柱鉄筋24及び中空管40は、柱12の上端面から突出していない。
柱16の上端部は、柱12の上端部と同様の構成になっている。すなわち、柱16の上端部には、柱16に設けられた柱鉄筋24の上端部が挿入された中空管40が埋設されている。
柱12の上端部には、中空管40の下端からグラウトを注入するためのグラウト注入孔42と、中空管40の上端からグラウトを排出するグラウト排出孔44とが形成されている。
そして、図2(b)に示すように、柱梁接合部材14の上面に柱16を載置すると共に、柱16の下面から突出する柱鉄筋24を柱梁接合部材14の貫通孔28へ貫通させて柱12の中空管40の挿入孔へ挿入する。
図4の拡大図に示すように、柱12、16、及び柱梁接合部材14の上面の四隅には雌ネジ46が形成されており、この雌ネジ46に捩じ込んだボルト48の捩じ込み量によって、水平構造体22(柱梁接合部材14)及び柱16の設置高さを調整することができる。
グラウト排出孔26は、柱16に埋設されたシース管によって形成され、貫通孔28は、柱梁接合部材14に埋設されたシース管によって形成され、グラウト供給孔38は、柱梁接合部材14及び梁20に埋設されたシース管によって形成されている。すなわち、シース管の中空部が、グラウト排出孔26、貫通孔28、グラウト供給孔38となっている。シース管は、部材の端面から突出させないようにして埋設する。
グラウト排出孔26、貫通孔28、グラウト供給孔38は、シース管の埋設以外の方法で形成してもよい。例えば、部材を形成するコンクリート中に埋設した円柱部材を、このコンクリートが硬化した後に取り除くことにより形成してもよいし、穿孔により形成してもよい。また、中空管32、40は、梁鉄筋30及び柱鉄筋24が挿入可能であり且つ梁鉄筋30同士及び柱鉄筋24同士を確実に接続できるものであればよい。
次に、接合構造10を用いた建物の構築方法について、図5、6の立面図を用いて説明する。なお、説明の都合上、図の左側に配置される柱12、水平構造体22(柱梁接合部材14、梁18、20)、柱16、接合構造10を、柱12A、水平構造体22A(柱梁接合部材14A、梁18A、20A)、柱16A、接合構造10Aとし、図の中央に配置される柱12、水平構造体22(柱梁接合部材14、梁18、20)、柱16、接合構造10を、柱12B、水平構造体22B(柱梁接合部材14B、梁18B、20B)、柱16B、接合構造10Bとし、図の右側に配置される柱12、水平構造体22(柱梁接合部材14、梁18、20)、柱16、接合構造10を、柱12C、水平構造体22C(柱梁接合部材14C、梁18C、20C)、柱16C、接合構造10Cとする。
まず、図5(a)に示すように、基礎スラブ50上に、柱12A〜12Cを設置する。
次に、柱12Aの上面と柱梁接合部材14Aの下面との間に隙間を有するようにして、柱12Aの上面に水平構造体22A(柱梁接合部材14A)を載置し、図7(a)の正面図に示すように、この隙間の周囲をシール部材としてのエアーチューブ52でシールして下目地空間54を形成する(下目地形成工程)。柱12Aの上面と柱梁接合部材14Aの下面との間の隙間の大きさは、柱12Aの上面に設けられたボルト48の捩じ込み量によって調整する(図4を参照のこと)。
次に、図5(b)に示すように、梁18Bの端面が梁20Aの端面と対向するように水平構造体22Bを横方向に移動させて梁20Aに梁18Bを接合すると共に、柱12Bの上面と柱梁接合部材14Bの下面との間に隙間を有するようにして柱12Bの上面に水平構造体22B(柱梁接合部材14B)を載置する。そして、柱12Aの上面に水平構造体22Aを載置したときと同様の方法で下目地形成工程を行う。
図3(a)には、梁20に梁18が接合される直前の状態が示され、図3(b)の正面図には、梁20に梁18が接合された状態が示されている。図3(b)に示すように、梁20に梁18が接合された状態において、梁18の梁鉄筋30は、梁20の中空管32に挿入され、中空管32内に充填されて硬化したグラウトにより定着される。また、梁20の端面と梁18の端面との間に小さな隙間58を有するようにして、梁20に対して梁18を配置し、隙間58に充填したグラウトを硬化させることにより梁18と梁20との一体化を図っている。
次に、図5(c)に示すように、図5(b)と同様の方法で、柱12Cの上面に水平構造体22C(柱梁接合部材14C)を載置し、下目地形成工程を行う。
次に、図6(d)、及び図2(a)、(b)に示すように、柱梁接合部材14Aの上面と柱16Aの下面との間に隙間を有するようにして、柱16Aを柱梁接合部材14Aの上面に載置し、図7(a)、及び図7(a)のA−A矢視図である図8(a)に示すように、この隙間の周囲をシール部材としてのエアーチューブ52でシールして上目地空間56を形成する(上目地形成工程)。図2(a)には、柱16を柱梁接合部材14の上面に載置する直前の状態が示され、図2(b)には、柱16を柱梁接合部材14の上面に載置した状態が示されている。
柱梁接合部材14の上面に柱16を載置するときに、柱16の下面から突出する柱鉄筋24は、柱梁接合部材14の貫通孔28を貫通して柱12に設けられた中空管40の挿入孔に挿入される。すなわち、中間部材としての柱梁接合部材14の上面に上部材としての柱16を載置すると共に、貫通孔28を貫通する鉄筋としての柱鉄筋24を介して柱12と柱梁接合部材14と柱16とを連結する。柱12と柱梁接合部材14と柱16とが連結された状態で、柱12、16、及び柱梁接合部材14の上下端面は、平面視にてほぼ一致している。
中空管40の挿入孔に挿入された柱鉄筋24は、グラウト注入孔42から中空管40の中空部に充填したグラウトを硬化させることによって中空管40に定着する。
図8(a)に示すように、エアーチューブ52により上目地空間56を形成する際に、柱16の下面に第2のグラウト排出通路としての3つの管材60A〜60Cを設ける。図9の拡大図に示すように、管材60A〜60Cは、柱16の下面に接触した状態でエアーチューブ52に挟み込まれることにより固定され、略水平に配置されている。
管材60A〜60Cのグラウト排出口66A〜66Cは、エアーチューブ52の外側に配置する。また、管材60A〜60Cのグラウト流入口68A〜68Cは、管材60A〜60Cが上目地空間56と連通するようにして、上目地空間56に面するエアーチューブ52の内側の面とほぼ面一となる位置(上目地空間56に面するエアーチューブ52の内側の面と平面視にてほぼ同じになる位置)に配置する。
図8(a)〜(e)には、平面視にて柱梁接合部材14の上面に投影したグラウト排出孔26のグラウト流入口64の位置と、グラウト供給孔38のグラウト供給口100の位置とが点線の円で示されている。
グラウト供給口100は、平面視にて、柱梁接合部材14の上面形状(長方形)の対称軸200の右側に位置している。また、グラウト流入口64は、平面視にて、対称軸200の左側に位置している。
すなわち、グラウト供給口100は、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)に位置し、下目地空間54とグラウト供給孔38とが連通するように配置され、グラウトは、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)から供給される。また、グラウト流入口64は、平面視にて下目地空間54の他方片側(対称軸200の左側)に位置し、上目地空間56とグラウト排出孔26とが連通するように配置され、グラウトは、グラウト排出孔26を通じて上目地空間56の外部へ排出される。
管材60A、60Cのグラウト流入口68A、68Cは、平面視にて、対称軸200の左側に位置する柱梁接合部材14の上面のコーナー部付近に配置され、管材60Bのグラウト流入口68Bは、平面視にてグラウト流入口68A、68Cの間に配置されている。これにより、管材60A〜60Cは、上目地空間56の外周部分からエアーチューブ52の外側へグラウトを排出する。すなわち、グラウト流入口68A〜68Cは、平面視にて下目地空間54の他方片側(対称軸200の左側)に位置する上目地空間56と管材60A〜60Cとが連通するように配置され、グラウトは、管材60A〜60Cを通じて上目地空間56の外部へ排出される。
次に、下目地空間54へグラウトを供給することによって、下目地空間54と貫通孔28と上目地空間56とにグラウトを充填すると共に、グラウト排出孔26及び管材60A〜60Cを通じて上目地空間56の外部へグラウトを排出する(グラウト充填工程)。
ここで、グラウト充填工程について詳しく説明する。まず、図7(a)の正面図に示すように、グラウト供給孔38から下目地空間54へグラウトWを注入する。そして、グラウト供給孔38からのグラウトWの注入を続けることによって下目地空間54にグラウトWが充填され、図7(b)の正面図に示すように、グラウトWが貫通孔28を上昇する。
ここで、グラウトWは、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)から供給されるので、下目時空間54へ供給したグラウトWが各貫通孔28を上昇し上目地空間56へ到達する際に、グラウトWの上目地空間56へ到達する時間(以下、「グラウト到達時間」とする)が貫通孔28毎に異なる。すなわち、下目地空間54へグラウトWを供給するグラウト供給口100から最も近い位置にある貫通孔28から、グラウト供給口100から最も遠い位置にある貫通孔28へ向かう順にグラウト到達時間が遅くなる。
これにより、図7(c)、及び図7(c)のB−B矢視図である図8(b)〜(e)に示すように、下目地空間54に供給され貫通孔28を介して上目地空間56へ送り込まれるグラウトWが上目地空間56において一方向(以下、「グラウト充填方向」とする)へ拡がるようにして充填される。図8(b)〜(e)では、柱梁接合部材14の上面の長辺と平行となって対称軸200の右側から左側へ向かう方向が、グラウト充填方向202となっている。
図8(b)〜(e)は、上目地空間56内で拡がるグラウトWの状態の一例を時間の経過順に模式的に描いたものである。図8(b)には初期の状態、図8(c)、(d)には中期の状態、図8(e)には後期の状態が描かれている。
図8(b)〜(e)に示すように、下目地空間54に供給され貫通孔28を介して上目地空間56へ送り込まれるグラウトWが上目地空間56においてグラウト充填方向202へ拡がるようにして充填される。そして、これに伴って、上目地空間56内の空気Qは、グラウトWによりグラウト充填方向202へ片押しされ、グラウト排出孔26又は管材60A〜60Cを通って上目地空間56の外部へ、グラウトWの排出と共に排気される。これにより、上目地空間56に形成される空気溜まりを低減する又は無くすことができる。
そして、さらに、グラウト供給孔38からのグラウトWの注入を続けることにより、図7(d)の正面図に示すように、上目地空間56の全域にグラウトWが充填されて管材60A〜60Cのグラウト排出口66A〜66C、及びグラウト排出孔26のグラウト排出口70からグラウトWのみが排出されるようになるので、グラウトWが排出され空気Qが排気されていないことを確認した後にグラウト供給孔38からのグラウトWの注入を停止する。
このようにして、第1の実施形態のグラウト注入方法では、下目地形成工程、上目地形成工程、及びグラウト充填工程を行うことにより、下目地空間54、貫通孔28及び上目地空間56にグラウトWを充填することができる。そして、充填されたグラウトWを硬化させることにより、柱12Aと水平構造体22Aと柱16Aとが一体化され、接合構造10Aが構築される。
次に、図6(e)、(f)に示すように、柱16B、16Cを、柱梁接合部材14B、14Cの上面に載置し、接合構造10Aと同様の方法で、接合構造10B、10Cを構築する。
後は、階を上げながら図5(a)〜(c)、図6(d)〜(f)と同様の作業を繰り返して接合構造10を最上階まで積み上げることにより建物を構築する。なお、図6(f)の柱16A〜16Cの上端部の構成と、図5(a)の柱12A〜12Cの上端部の構成とは同じなので、図5(a)〜(c)と同様の方法で図6(f)の柱16A〜16Cの上面に次の水平構造体22A〜22Cを設置すればよい。この場合、柱16A〜16Cが、下部材となる。
次に、本発明の第1の実施形態の作用及び効果について説明する。
第1の実施形態のグラウト注入方法では、図7(a)〜(d)に示すように、下目地形成工程、上目地形成工程、及びグラウト充填工程を行うことによって、下目地空間54、貫通孔28及び上目地空間56にグラウトWを充填することができる。
ここで、上目地空間56の平面形状が正方形であり且つ貫通孔28が上目地空間56の外周に沿って均等に配置されている場合においては、グラウトWが上目地空間56へ充填される際に、下目地空間54に供給され貫通孔28を介して上目地空間56へ送り込まれるグラウトWが貫通孔28からほぼ均等に拡がり上目地空間56の平面中央部に向かって流れる。これによって、上目地空間56の平面中央部に空気が集められるので、この平面中央部で連通するようにグラウト排出孔26を設けておけばグラウト排出孔26からグラウトWと共に空気が排出されるので、上目地空間56に空気溜まりが形成されない。
しかし、上目地空間56の平面形状が長方形等の扁平形状であったり、又は貫通孔28が上目地空間56の外周に沿って均等に配置されていなかったりする場合には、上目地空間56の平面中央部で連通するようにグラウト排出孔26を設けておいても、上目地空間56の平面中央部以外の場所に空気が集まって空気溜まりを形成してしまうことが考えられる。
これに対して第1の実施形態のグラウト注入方法では、グラウト充填工程において、平面視にて、下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)からグラウトWを供給することによって、下目地空間54と貫通孔28と上目地空間56とにグラウトWを充填すると共に、平面視にて、下目地空間54の他方片側(対称軸200の左側)に位置する上目地空間56と連通するグラウト排出孔26及び管材60A〜60Cを通じて、上目地空間56の外部へグラウトWを排出する。これにより、上目地空間56の内部の空気Qがグラウト充填方向202へ拡がるグラウトWによりグラウト充填方向202へ片押しされ、グラウト排出孔26及び管材60A〜60Cから上目地空間56の外部へ、グラウトWの排出と共に排気される。
よって、上目地空間56の平面形状や貫通孔28の配置に大きく影響されることなく、上目地空間56に形成される空気溜まりを低減する又は無くすことができる。そして、これにより、上目地空間56にグラウトWを密実に充填することが可能になるので、柱梁接合部材14と柱16とを確実に接合することができる。
また、管材60A〜60Cにより上目地空間56の外周部分からエアーチューブ52の外側へグラウトWを排出するので、上目地空間56の内部の空気Qは上目地空間56の外周部分へ向かって押し出される。これにより、上目地空間56へ充填されるグラウトWに押し出されずに上目地空間56に残ってしまう空気Qを低減する又は無くすことができる。
また、第2のグラウト排出通路を、エアーチューブ52によって柱16の下面に固定された管材60A〜60Cとすることにより、柱梁接合部材14や柱16等に特別な加工を施すことなくグラウト排出通路を設けることができる。
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
なお、第1の実施形態では、柱12をプレキャストコンクリート部材とした例を示したが、柱12は現場打ちコンクリートによって形成してもよい。すなわち、第1の実施形態の下部材は、コンクリートによって形成された部材であればよい。
また、第1の実施形態では、基礎スラブ50に3つの柱12A〜12Bを設置した例を示したが、建物の一層分を構築するのに必要なだけの柱12を設置し、それらの柱12に対して図5(a)〜(c)、図6(d)〜(f)の作業を行えばよい。
また、第1の実施形態では、上目地空間56と連通するグラウト排出孔26及び管材60A〜60Cをグラウト排出通路として設けた例を示したが、グラウト排出孔26及び管材60A〜60Cのどちらか一方だけを設けるようにしてもよい。
また、グラウト排出孔26及び管材60A〜60Cと、平面視にて下目地空間54の他方片側(対称軸200の左側)に位置する上目地空間56とが連通していれば、グラウト排出孔26のグラウト流入口64や管材60A〜60Cのグラウト流入口68A〜68Cはどこに配置してもよいし、グラウト排出孔26や管材60A〜60Cの数は適宜決めればよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
第2の実施形態では、図10の平面図、及び図11の拡大図に示すように、柱16の下面にグラウト排出通路としての溝78A〜78Cが形成されている。溝78A〜78Cは、上目地空間56の内部から外周部へ延び、溝78A〜78Cのグラウト排出口130A〜130Cが柱16の下面縁部に位置するように形成されている。図10には、平面視にて柱梁接合部材14の上面に投影した溝78A〜78Cの位置が点線の四角で示されている。
図10に示すように、溝78A、78Cのグラウト流入口132A、132Cは、平面視にて、対称軸200の左側に位置する柱梁接合部材14の上面のコーナー部付近に配置され、溝78Bのグラウト流入口132Bは、平面視にてグラウト流入口132A、132Cの間に配置されている。これにより、溝78A〜78Cは、上目地空間56の外周部分からエアーチューブ52の外側へグラウトWを排出する。すなわち、グラウト流入口132A〜132Cは、平面視にて下目地空間54の他方片側(対称軸200の左側)に位置し、上目地空間56と溝78A〜78Cとが連通するように配置され、グラウトは、溝78A〜78Cを通じて上目地空間56の外部へ排出される。
次に、本発明の第2の実施形態の作用及び効果について説明する。
第2の実施形態のグラウト注入方法では、図10、11に示すように、第1の実施形態の管材60A〜60Cと同様の原理で、上目地空間56の平面形状や貫通孔28の配置に大きく影響されることなく、溝78A〜78Cを通じ上目地空間56の内部の空気Qをエアーチューブ52の外側(上目地空間56の外部)へ、グラウトWの排出と共に排気して、上目地空間56に形成される空気溜まりを低減する又は無くすことができる。
また、上目地空間56の隙間の大きさ(高さ)に影響されずに、グラウト排出通路の断面の大きさを設定することができる。また、上目地空間56にグラウトWを充填する際に、グラウト排出通路の位置がずれてしまう心配がない。
以上、本発明の第1及び第2の実施形態について説明した。
なお、第1の実施形態では、グラウト供給孔38から下目地空間54へグラウトWを供給した例を示したが、他の方法を用いて下目地空間54へグラウトWを供給してもよい。例えば、図12〜18の正面図に示す方法によって、下目地空間54へグラウトWを供給してもよい。
図12には、柱梁接合部材14の側面から下面へ貫通するように柱梁接合部材14に形成されたグラウト供給孔80から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。グラウト供給孔80のグラウト供給口204は、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)に位置し、下目地空間54とグラウト供給孔80とが連通するように配置され、グラウトWは、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)から供給される。
このようにすれば、図7(a)で示したグラウト供給孔38よりもグラウト供給孔の長さを短くでき、配管抵抗を小さくすることができるので、グラウト供給孔80にグラウトWを良好に流すことができる。
図13には、柱16の側面から柱梁接合部材14の下面へ貫通するように、柱16と柱梁接合部材14とに設けられたグラウト供給管82によって形成されたグラウト供給孔208から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。グラウト供給孔208のグラウト供給口206は、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)に位置し、下目地空間54とグラウト供給孔208とが連通するように配置され、グラウトWは、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)から供給される。
このようにすれば、図7(a)で示したグラウト供給孔38のグラウト注入口102よりも高い位置のグラウト注入口104からグラウトWを供給することができ、重力によりグラウトWの注入圧を高くすることができるので、吐出圧の小さいグラウトポンプを用いることができる、又はグラウトポンプが不要になる。
図14には、柱16の上面から柱梁接合部材14の下面へ貫通するように、柱16と柱梁接合部材14とに設けられたグラウト供給管84によって形成されたグラウト供給孔210から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。グラウト供給管84は、直管となっている。グラウト供給孔210のグラウト供給口212は、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)に位置し、下目地空間54とグラウト供給孔210とが連通するように配置され、グラウトWは、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)から供給される。
このようにすれば、図7(a)で示したグラウト供給孔38の注入口102よりも高い位置のグラウト注入口106からグラウトWを供給することができ、重力によりグラウトWの注入圧を高くすることができるので、吐出圧の小さいグラウトポンプを用いることができる、又はグラウトポンプが不要になる。また、グラウト供給管84は直管なので、配管抵抗を小さくすることができ、グラウト供給孔210にグラウトWを良好に流すことができる。
図15には、柱12の側面から上面へ貫通するように、柱12に形成されたグラウト供給孔86から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。グラウト供給孔86のグラウト供給口214は、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)に位置し、下目地空間54とグラウト供給孔86とが連通するように配置され、グラウトWは、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)から供給される。このようにすれば、グラウトポンプを柱12の横に設置することができる。
図16には、中空管40のグラウト注入孔42(図1、2(b)を参照のこと)から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。下目地空間54へのグラウトWの供給は、下目地空間54の右側(対称軸200の右側)に配置された中空管40のグラウト注入孔42から行う。この場合には、下目地空間54へグラウトWを供給するグラウト注入孔42を有する中空管40に形成されているグラウト排出孔44を塞いでおく。
このようにすれば、グラウト供給孔を設ける手間を省くことができる。なお、1つの中空管40から下目地空間54へグラウトWを供給してもよいし、複数の中空管40から下目地空間54へグラウトWを供給してもよい。
図17には、下目地空間54の右側から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。下目地空間54へのグラウトWの供給は、下目地空間54の右側に配置されたグラウト供給管140から行う。
グラウト供給管140は、柱12の上面に接触した状態でエアーチューブ52に挟み込まれることによって固定され、略水平に配置されている。
グラウト供給管140のグラウト注入口142は、エアーチューブ52の外側に配置する。また、グラウト供給管140のグラウト供給口144は、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)に位置する下目地空間54とグラウト供給管140とが連通するようにして、下目地空間54に面するエアーチューブ52の内側の面とほぼ面一となる位置(下目地空間54に面するエアーチューブ52の内側の面と平面視にてほぼ同じになる位置)に配置する。
このようにすれば、柱梁接合部材14や柱12にグラウト供給孔を設ける必要はなく、また、グラウト供給通路を容易に設けることができる。なお、1つのグラウト供給管140から下目地空間54へグラウトWを供給してもよいし、複数のグラウト供給管140から下目地空間54へグラウトWを供給してもよい。また、平面視にて下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)に位置する下目地空間54とグラウト供給管140とが連通していれば、グラウト供給管140はどの位置に設けてもよい。
図18には、梁20の上面から、下目地空間54の右側(対称軸200の右側)に配置された貫通孔28の中間部へ貫通するように、水平構造体22に形成されたグラウト供給孔88から下目地空間54へグラウトWを供給する例が示されている。
このようにすれば、貫通孔28をグラウト供給孔の一部として利用することができるので、グラウト供給孔を設ける手間を低減することができる。この場合、図19(b)、(c)の平面図に示すように、グラウト供給孔として用いる貫通孔96、98(シース管92、94)の大きさを、図19(a)の平面図に示す一般的な大きさの貫通孔28(シース管90)よりも大きくするのが好ましい。なお、一般的な大きさの貫通孔28とは、貫通される柱鉄筋24の外径に近い大きさの内径を有する貫通孔28を意味する。また、柱鉄筋24が貫通されない、グラウト供給孔としてのみ用いる貫通孔28を柱梁接合部材14に形成してもよい。
また、第1の実施形態では、柱16の下面から突出する柱鉄筋24を柱12に設けられた中空管40の中空部に挿入した後に、中空管40の中空部にグラウトを充填して硬化させることによって中空管40に柱鉄筋24を定着した例を示したが、予め中空管40の中空部にグラウトWを充填しておき、このグラウトWが硬化する前に柱鉄筋24を中空管40の中空部に挿入するようにしてもよい。
また、第1の実施形態では、上部材(柱16)に設けられ下方に突出する柱鉄筋24を中間部材(柱梁接合部材14)の貫通孔28に貫通させて下部材(柱12)に設けられた中空管40に接続し、下部材と中間部材と上部材とを一体化する、所謂「逆挿し工法」に対するグラウト注入方法について説明したが、第1及び第2の実施形態のグラウト注入方法は、中間部材の上面に上部材を載置すると共に、中間部材の貫通孔を貫通する鉄筋を介して下部材と中間部材と上部材とを連結する工法に対して適用することができる。
例えば、図20の正面図に示す、所謂「順挿し工法」や、図22の工法に対して第1及び第2の実施形態のグラウト注入方法を適用することができる。図21の正面図に示す方法は、下目地空間54へグラウトを供給することにより上目地空間56にグラウトを充填するものではないが、図20の変形例として紹介する。
図20では、まず、下部材としての柱108の上面に中間部材としての柱梁接合部材14を載置すると共に、柱108に設けられて柱108の上面から上方へ突出する柱鉄筋24を柱梁接合部材14に形成された貫通孔28に貫通させる。
次に、柱梁接合部材14の上面に上部材としての柱110を載置すると共に、柱108に設けられた柱鉄筋24の上端部を柱110の下端部に埋設された中空管40の挿入孔に挿入し、グラウトにより中空管40に柱鉄筋24の上端部を定着する。
次に、第1の実施形態で示したのと同様の方法で、下目地空間54及び上目地空間56を形成し、上目地空間56に管材60A〜60C(不図示)を設けた後に、グラウト充填工程を行う。
図21では、まず、下部材としての柱108の上面に中間部材としての柱梁接合部材14を載置すると共に、柱108に設けられて柱108の上面から上方へ突出する柱鉄筋24を柱梁接合部材14に形成された貫通孔28に貫通させる。
次に、第1の実施形態で示したのと同様の方法で下目地空間54を形成した後に、グラウト供給孔38から下目地空間54にグラウトWを供給することによって、下目地空間54及び貫通孔28にグラウトWを充填する。
次に、柱梁接合部材14の上面に上部材としての柱110を載置すると共に、柱108に設けられた柱鉄筋24の上端部を柱110の下端部に埋設された中空管40の挿入孔に挿入し、グラウトによって中空管40に柱鉄筋24の上端部を定着する。
次に、第1の実施形態で示したのと同様の方法で上目地空間56を形成し、この上目地空間56に管材60A〜60C(不図示)を設けた後に、上目地空間56にグラウトWを供給する。
上目地空間56へのグラウトWの供給は、例えば、図21に示すように、上目地空間56の右側(対称軸200の右側)に配置された中空管40のグラウト排出孔44から行ってもよい。この場合、上目地空間56へグラウトWを供給するグラウト排出孔44を有する中空管40に形成されているグラウト注入孔42は塞いでおく。
図22では、まず、下部材としての柱134の上面に中間部材としての柱梁接合部材14を載置する。
次に、柱梁接合部材14の貫通孔28に中継筋136を貫通させ、この中継筋136の下端部を柱134の上端部に埋設された中空管40の挿入孔に挿入する。そして、グラウトにより中空管40に中継筋136の下端部を定着する。
次に、柱梁接合部材14の上面に上部材としての柱110を載置すると共に、中継筋136の上端部を柱110の下端部に埋設された中空管40の挿入孔に挿入し、グラウトにより中空管40に中継筋136の上端部を定着する。
次に、第1の実施形態で示したのと同様の方法で、下目地空間54及び上目地空間56を形成し、上目地空間56に管材60A〜60C(不図示)を設けた後に、グラウト充填工程を行う。
また、第1の実施形態では、図3(a)、(b)に示した方法によって、梁20に梁18を接合した例を示したが、梁20に梁18を確実に接合できる方法であればよい。例えば、図23(a)、(b)、及び図25(a)、(b)に示す方法を用いてもよい。
図23(a)及び図25(a)には、梁20に梁18が接合される直前の状態が示され、図23(b)及び図25(b)には、梁20に梁18が接合された状態が示されている。
図23(a)、(b)の接合方法は、まず、小さな隙間を有するように又は密着するようにして、梁18の端面を梁20の端面に対向させて梁18を配置する。
次に、梁18の端部に埋設されたシース管116により形成された収容孔120から中空管124を引き出して、梁20の端部に埋設されたシース管118により形成された収容孔122に挿入する。このとき、梁18に設けられた梁鉄筋30の端部が中空管124に挿入されている状態で、梁20に設けられた梁鉄筋30の端部が中空管124に挿入され、梁18に設けられた梁鉄筋30と梁20に設けられた梁鉄筋30とが接合される。なお、図23(a)の状態で、梁鉄筋30、中空管124、及びシース管116、118は、梁18、20の端面から突出していない。
次に、梁18の端面と梁20の端面との間に形成された隙間126、収容孔120、122、及び中空管124の中空部にグラウトを充填し硬化させて、梁20と梁18とを一体化する。
このように、図23(a)、(b)の接合方法は、小さな隙間を有するように又は密着するようにして、梁20の端面に梁18の端面を対向させているので、梁18と梁20との接合部(梁18の端面と梁20の端面との間の空間)にコンクリートを後打ちする作業や、コンクリートを後打ちする為の型枠設置作業等の煩雑な作業を無くすことが可能となり、施工性の向上を図ることができる。
また、この接合方法は、梁18(水平構造体22)の横方向への移動によって梁20に梁18を接合することができるし、梁18(水平構造体22)の上下方向への移動によっても梁20に梁18を接合することができる。
ここで、例えば、図24の平面図に示すように、地点Kから半時計回り(矢印112の順)に水平構造体22、128を設置する作業と、地点Kから時計回り(矢印114の順)に水平構造体22、128を設置する作業とを並行して行うことにより建物を構築する場合には、最後に設置する水平構造体22(図24に点線で示した水平構造体22)を上下方向への移動によって設置し、これ以外の水平構造体22、128を横方向への移動によって設置することができる。
図24の状況以外においても、既に設置された梁の間に水平構造体を設置しなければならない状況や、クレーンのブームの移動範囲が制約された状況等によって水平構造体を横方向に移動させることができない場合に有効である。
図25(a)、(b)の接合方法は、梁18、20の端面から突出して設けられた梁鉄筋30の端部同士を中空管124で接続し、梁18と梁20との接合部(梁18の端面と梁20の端面との間の空間)にコンクリートVを後打ちし硬化させて、梁18と梁20とを一体化する。
また、第1及び第2の実施形態では、下部材及び上部材を柱とし、中間部材を柱梁接合部材とした例を示したが、これに限らず、例えば、下部材及び上部材を壁とし、中間部材を梁又は床スラブとしてもよい。すなわち、下壁と上壁との間に梁が配置された接合構造や、下壁と上壁との間に床スラブが配置された接合構造に対して第1及び第2の実施形態を適用することができる。
また、第1及び第2の実施形態では、柱梁接合部材14の上面の平面形状を長方形とした例を示したが、柱梁接合部材14の上面の平面形状は、三角形、正方形、長方形、台形、多角形、円形、楕円形、扇形、輪形、L字形等のさまざまな形状とすることができ、特に、長方形、楕円形、台形等の扁平形状に対して有効である。
また、第1の実施形態では、下目地空間54へグラウトWを供給するグラウト供給口(グラウト供給口100)を下目地空間54の一方片側(対称軸200の右側)に位置させ、下目地空間54とグラウト供給孔38とが連通するように配置し、上目地空間56からグラウトWを排出するグラウト流入口(グラウト流入口64、68A〜68C)を、平面視にて下目地空間54の他方片側(対称軸200の左側)に位置する上目地空間56とグラウト排出孔26及び管材60A〜60Cとが連通するように配置した例を示したが、グラウト供給口とグラウト流入口とは、グラウト供給口から供給され貫通孔28を介して上目地空間56へ送り込まれるグラウトWが上目地空間56において一方向(グラウト充填方向202)へ充填され、このグラウトWによって片押しされた空気QがグラウトWと共にグラウト流入口から排出されるように配置されていればよい。
例えば、図26(a)〜(i)の平面図に示すように、柱12及び柱梁接合部材14の上面の形状が、対称軸216、218を有する線対称の図形である三角形、四角形、台形、六角形、円形、楕円形、扇形、輪形、L字形等の場合には、平面視にて下目地空間54における一方片側(対称軸216の右側又は左側)にグラウト供給口を位置させ、平面視にて下目地空間54における他方片側(対称軸216の左側又は右側の領域)にグラウト流入口を位置させればよい。
また、例えば、図27の平面図に示すように、柱12及び柱梁接合部材14の上面の形状が、四角形と半円とを組み合わせた形状であれば、この形状に近い四角形の対称軸と平行であり、且つこの対称軸よりも半円から遠ざかる側へ少しずらした境界軸220を設定し、平面視にて下目地空間54における一方片側(境界軸220の右側又は左側)にグラウト供給口を位置させ、平面視にて下目地空間54における他方片側(境界軸220の左側又は右側)にグラウト流入口を位置させればよい。
また、例えば、図28の平面図に示すように、柱梁接合部材14の上面の対角線上の点222に平面視にてグラウト供給口の中心を位置させ、柱梁接合部材14の上面の中心226に対して点222と点対称となる点224に、平面視にてグラウト流入口の中心を位置させてもよい。
また、例えば、図29の平面図に示すように、柱梁接合部材14の上面の中心226を通る線上の点228に平面視にてグラウト供給口の中心を位置させ、柱梁接合部材14の上面の中心226に対して点228と点対称となる点230に、平面視にてグラウト流入口の中心を位置させてもよい。
また、例えば、図30の平面図に示すように、柱梁接合部材14の上面の対称軸236の左右の図形の中心232、234に、平面視にてグラウト供給口の中心とグラウト流入口の中心とをそれぞれ位置させてもよい。
また、例えば、図31の平面図に示すように、柱梁接合部材14の上面の短辺の長さをLとし、この短辺を1つの辺とする一辺の長さがLの正方形を柱梁接合部材14の上面の左右両側に描いて、この正方形の中心146、148に平面視にてグラウト供給口の中心とグラウト流入口の中心とをそれぞれ位置させてもよい。
また、柱12及び柱梁接合部材14の上面の形状が複雑であったり、上目地空間56におけるグラウトWの充填され方が予測できなかったりして、グラウト供給口とグラウト流入口との配置位置の設定が難しい場合には、予備実験をおこなって上目地空間56におけるグラウトWの充填され方を把握して、グラウト供給口とグラウト流入口との配置位置を決めればよい。
また、第1及び第2の実施形態では、シール部材をエアーチューブ52とした例を示したが、隙間の周囲をシールして下目地空間54及び上目地空間56を形成できるものであればよく、例えば、固練りのモルタルを隙間に詰めてシールしてもよい。
また、第1の実施形態では、グラウト排出通路を管材60A〜60Cとし、第2の実施形態では、グラウト排出通路を溝78A〜78Cとした例を示したが、上目地空間56の空気Q及びグラウトWを上目地空間56の外部へ排出可能なものであればよい。
また、第1及び第2の実施形態では、説明の都合上、柱鉄筋24及び梁鉄筋30以外の鉄筋が省略されているが、柱12、16、及び水平構造体22には、せん断補強筋や二段筋等の鉄筋を必要に応じて適宜設ければよい。
以上、本発明の第1及び第2の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1及び第2の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。