JP5431038B2 - 端子及びそれを有するコネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、端子及びそれを有するコネクタに関するものである。
従来、ケーブル等の電線をプリント回路基板等の回路基板に接続するために電線対基板コネクタが使用されている。このような電線対基板コネクタにおける基板コネクタには、ピンタイプ端子、コンタクトピン等と称される棒状の端子を有し、該端子の後端が外側に露出して基板に形成されたスルーホールに挿入されるタイプのコネクタが存在する。そして、電線コネクタの有する端子は、前記棒状の端子の先端を収容して両側から挟込むようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
図8は従来の端子を示す図である。なお、図において、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図において、852は端子の電線接続部であり、電線891の終端部をかしめて固定する。また、853は導線接続部であり、電線891が備える導線をかしめて固定し、これにより、端子と導線とが電気的に接続される。また、855は、図示されない基板コネクタの備える相手方端子951と接触する先端部であり、内部にカンチレバー状の接触腕部856を備え、該接触腕部856の先端近傍に形成された接触凸部が相手方端子951の側面に当接する。なお、前記接触腕部856の基部は連結部857を介して先端部855の外壁に連結されている。また、858は接触腕部856の基部に形成された位置決め凸部であり、接触腕部856の変位を規制する。
このように、相手方端子951をカンチレバー状の接触腕部856が発揮するばね力にによって両側から挟込むことにより、端子は相手方端子951に接続される。
特開昭59−217975号公報
しかしながら、前記従来の端子においては、接触腕部856の発揮するばね力を十分に得ることができず、相手方端子951との接触を確実に維持することが困難であった。例えば、相手方端子951の寸法精度が低く、相手方端子951の幅寸法が設計値から大きくずれているような場合、接触腕部856の先端が広い範囲で適切なばね力を発揮することができないと、相手方端子951との接触が不確実なものとなってしまう。
もっとも、接触腕部856の長さを長くすれば、ばねとして機能する部分の長さが長くなるので、広範囲に亘(わた)って接触腕部856のばね力を十分に発揮させることができる。しかし、近年、電気装置、電子装置等の小型化とともに、コネクタ及び該コネクタに装填(てん)される端子も小型化することが求められている。そのため、接触腕部856の長さを長くすることは、その結果として、端子全体の長さが長くなってしまうので、不可能である。
本発明は、前記従来の端子の問題点を解決して、細長い帯状の板材から成るカンチレバー状の接触腕部に中心軸方向変換部を形成することによって、接触腕部のばね長を十分に長くすることができ、接触部の寸法を増加させることなく広範囲に亘って十分なばね力を発揮することができ、相手方端子との接触を確実に維持することができ、構成が簡素でコストが低く、小型でありながら、耐久性が高く、信頼性の高い端子及びそれを有するコネクタを提供することを目的とする。
そのために、本発明の端子においては、電線に接続される電線接続部と、棒状の相手方端子と接触する接触部とを有し、該接触部は、嵌(かん)合方向に延在する一対の側板と、該側板の内側に配設され、前記相手方端子の側面に接触可能な一対の接触板部と、該接触板部に自由端が接続され、前記側板に基端が接続された細長い板材から成るカンチレバー状の接触腕部とを備え、該接触腕部は、嵌合方向に延在する横腕部と、該横腕部の後端に肘部を介して接続され、前記横腕部の後端から前記嵌合方向に垂直に上方に延出する内側縦腕部と、該内側縦腕部の上端に湾曲部を介して接続され、前記内側縦腕部の上端から前記嵌合方向に垂直に下方に延出する外側縦腕部とを備え、前記横腕部の前端は、接触腕部の自由端として前記接触板部の後端に接続され、前記外側縦腕部の下端は、接触腕部の基端として前記側板の上端に接続され、前記接触腕部は、その基端から自由端までの範囲で、前記側板から離間し、弾性的に変形可能であり、前記接触板部は、上下方向の寸法が前記横腕部より大きく、その上端が前記横腕部の上端よりも上方に位置し、前記側板は、内側へ向って延出し、前記横腕部と干渉することなく、該横腕部の少なくとも一部の上方を覆う庇(ひさし)状の覆い部を備える
本発明のコネクタにおいては、本発明の端子を有するコネクタであって、前記相手方端子を有する相手方コネクタと嵌合可能である。
本発明によれば、端子は、細長い帯状の板材から成るカンチレバー状の接触腕部に中心軸方向変換部が形成されている。これにより、接触腕部のばね長を十分に長くすることができ、接触部の寸法を増加させることなく広範囲に亘って十分なばね力を発揮することができ、相手方端子との接触を確実に維持することができるとともに、構成を簡素化してコストを低減し、小型化することができ、耐久性を向上させ、信頼性を向上させることができる。
本発明の実施の形態における第1コネクタの斜視図であって、(a)は後方斜め上から観た図、(b)は前方斜め上から観た図である。 本発明の実施の形態における第1コネクタの側断面図である。 本発明の実施の形態における第2コネクタの斜視図であって、(a)は後方斜め上から観た図、(b)は前方斜め下から観た図である。 本発明の実施の形態における第1端子の斜視図であって、(a)は前方斜め上から観た図、(b)は後方斜め上から観た図である。 本発明の実施の形態における第1端子の上面図及び断面図であって、(a)は上面図、(b)は側断面図であって図5(a)におけるA−A矢視断面図である。 本発明の実施の形態における第1端子と第2端子とを接続する動作を示す斜視図であって、(a)は接続後を示す図、(b)は接続前を示す図である。 本発明の実施の形態における第1端子と第2端子とが接続された状態を示す上面図である。 従来の端子を示す図であって、(a)は上面図、(b)は側面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態における第1コネクタの斜視図、図2は本発明の実施の形態における第1コネクタの側断面図、図3は本発明の実施の形態における第2コネクタの斜視図である。なお、図1において、(a)は後方斜め上から観た図、(b)は前方斜め上から観た図、図3において、(a)は後方斜め上から観た図、(b)は前方斜め下から観た図である。
図において、1は本実施の形態における電線対基板コネクタの一方である電線コネクタとしての第1コネクタであり、複数の電線91を備えるケーブルの終端に接続されるコネクタである。そして、前記第1コネクタ1は、本実施の形態における電線対基板コネクタの他方である基板コネクタとしての第2コネクタ101に嵌合される。なお、該第2コネクタ101は、回路基板等の基板の表面に実装されるコネクタであって、相手方コネクタである。また、図に示される例において、電線91は5本であるが、電線91の数は任意に変更することができ、例えば、1〜4本であってもよいし、6本以上であってもよい。
本実施の形態における電線対基板コネクタは、前記第1コネクタ1及び第2コネクタ101を含み、電線91及び基板を電気的に接続する。なお、該基板は、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板であるが、いかなる種類の基板であってもよい。さらに、前記電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、デジタルテレビ、車両用ナビゲーション装置、ゲーム機等であるが、いかなる種類の電子機器であってもよい。
なお、本実施の形態において、電線対基板コネクタの各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記電線対基板コネクタの各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
そして、前記第1コネクタ1は、絶縁性材料である合成樹脂等の樹脂によって一体的に形成され、概略直方体のような全体形状を備えるハウジングである電線側ハウジングとしての第1ハウジング11と、該第1ハウジング11に装填された金属製の端子である電線側端子としての第1端子51とを有する。なお、図に示される例においては、第1端子51が5本となっているが、第1端子51の数は電線91の数に対応して任意に変更することができる。また、第1端子51のピッチも任意に決定することができる。なお、第1端子51は電線91の終端に接続されている。
前記第1ハウジング11は、第2コネクタ101の第2ハウジング111と嵌合する部材であり、図に示されるように、第1端子51を保持する本体部としての第1本体部14と、該第1本体部14の左右両側に配設され、第1コネクタ1の前後方向(図2における左右方向)、すなわち、第1ハウジング11と第2ハウジング111との嵌合方向に延在する側壁部としての一対の第1側壁部17と、前記第1本体部14の上方に配設された平板状の天板部としての第1天板部12とを備える。そして、嵌合面としての第1嵌合面11aは、第1端子51の延在する方向、すなわち、前記嵌合方向、並びに、第1天板部12及び第1側壁部17に対して直交する。
なお、前記第1天板部12は、肉薄で柔軟性を備える天板接続部12aを介して第1本体部14の上壁部14cの上面に接続され、前記天板接続部12aを中心として第1本体部14に対して揺動可能となっている。そして、第1天板部12における天板接続部12aよりも前方(図2における右方)に位置する部分はロック用腕部として機能し、第1天板部12の先端部分左右両側には、第2コネクタ101が備える第2係合凸部112bと係合する第1係合凸部12bが形成されている。また、第1天板部12における天板接続部12aよりも後方(図2における左方)に位置する部分は操作用腕部として機能し、第1天板部12の後端部分には操作用凸部12cが形成されている。第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合を解除する場合、オペレータが手指で摘んで操作して操作用凸部12cを押下げると、第1天板部12の先端部分が上昇し、第1係合凸部12bと第2係合凸部112bとの係合が解除され、第1コネクタ1と第2コネクタ101とのロックが解除される。
そして、13は、第1嵌合面11aに開口し、第2コネクタ101と嵌合する凹部としての第1嵌合凹部であり、第1天板部12における天板接続部12aよりも前方の部分と、第1本体部14の接触部保持部14aの上面である接触部保持上板部14fと、左右の第1側壁部17とによって周囲を画定された凹部である。第1嵌合凹部13内には、第2コネクタ101が備える第2端子保護壁部121が進入して嵌合する。
本実施の形態における第1端子51は、金属板に曲げ加工及び打抜き加工を施すことによって一体的に形成され、図2に示されるように、電線91が備える導線としての芯(しん)線92と電気的に接続される電線接続部としての第2固定部53と、該第2固定部53の後端に接続される電線接続部としての第1固定部52と、前記第2固定部53の前方に位置し、相手方端子としての第2端子151と接触する接触部55とを備える。
また、該接触部55には、切起し片である掛止片61が、下方に突出するように、形成されている。そして、図2に示されるように、第1端子51が第1本体部14の後面14bから第1端子収容凹部16内に挿入されて第1ハウジング11に装填されると、前記掛止片61が第1本体部14の底板部14dに形成された掛止凹部14eに進入して掛止される。これにより、第1ハウジング11に装填された第1端子51の後方への抜けが防止される。
図に示される例において、第1端子収容凹部16は5つであり、それぞれに、第1端子51が1本ずつ収容される。なお、第1端子収容凹部16の数は第1端子51の数に対応して任意に変更することができる。また、各第1端子収容凹部16は、第1本体部14の後面14bから前面まで貫通するように第1本体部14内に形成される。
そして、前記第1端子収容凹部16は、第1本体部14の接触部保持部14a内に前記嵌合方向に延在するように形成された溝状凹部としての接触部収容凹部16aを備え、該接触部収容凹部16a内に第1端子51の接触部55の少なくとも先端寄りの部分が収容される。また、接触部保持上板部14fにおける各接触部収容凹部16aに対応する部位には、第1端子収容凹部16の長手方向、すなわち、前記嵌合方向に延在する細長い開口部としての端子直上開口部16bが、接触部保持上板部14fの上面から接触部収容凹部16aまで貫通するように形成されている。そのため、各接触部収容凹部16aは、端子直上開口部16bとともに、上面が開放したコ字状の断面形状を備え、かつ、接触部55の長手方向に延在する溝又は樋(とい)を形成する。そして、該溝又は樋には、第2コネクタ101の第2端子保護壁部121に形成された第2端子保護突条部としての突条部121aが進入する。
また、接触部保持部14aの前端面における各接触部収容凹部16aに対応する部位には、端子直上開口部16bと接続するように該端子直上開口部16bと同じ幅に形成された相手方端子収容開口部16cが、接触部収容凹部16aまで貫通するように形成されている。第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合させる際に、第2端子151は、相手方端子収容開口部16cを通って接触部収容凹部16a内に進入する。前記端子直上開口部16b及び相手方端子収容開口部16cによって、接触部収容凹部16aは、その上面及び前面が開放された状態となる。
前記第2コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成され、概略直方体のような全体形状を備えるハウジングである基板側ハウジングとしての第2ハウジング111と、該第2ハウジング111に装填された相手方端子である金属製の基板側端子としての第2端子151とを有する。なお、図に示される例においては、前記第1端子51と同様に、第2端子151は5本であって、第2ハウジング111の幅方向に配列されているが、第2端子151の数及びピッチは第1端子51の数及びピッチに対応して任意に変更することができる。
前記第2ハウジング111は、図に示されるように、第2端子151を保持する本体部としての第2本体部114と、該第2本体部114の左右両側に配設され、第2コネクタ101の前後方向、すなわち、嵌合方向に延在する側壁部としての一対の第2側壁部117と、前記第2本体部114の上方に配設された平板状の天板部としての第2天板部112とを備える。そして、嵌合面としての第2嵌合面111aは、第2端子151の延在する方向、すなわち、前記嵌合方向、並びに、第2天板部112及び第2側壁部117に対して直交する。
なお、前記第2天板部112は、その中央に概略矩(く)形の凹入部としての天板凹部112aを備え、該天板凹部112aの底部は第2端子保護壁部121になっている。該第2端子保護壁部121は、第2コネクタ101の前後方向及び左右方向に延在する平板状の壁部材であり、第2端子151の少なくとも相手方接触部155に近接して配設される。また、前記第2端子保護壁部121の上面には、左右一対の第2係合凸部112bが形成されている。そして、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合されると、第1天板部12の少なくとも先端部分が天板凹部112a内に進入し、第1係合凸部12bが第2係合凸部112bと係合し、第1コネクタ1と第2コネクタ101とがロックされる。
また、113は、第2嵌合面111aに開口し、第1コネクタ1と嵌合する凹部としての第2嵌合凹部であり、第2天板部112と、第2端子保護壁部121と、第2本体部114の底板部114dと、左右の第2側壁部117とによって周囲を画定された凹部である。第2嵌合凹部113内には、第1コネクタ1の接触部保持部14aが進入して嵌合する。
本実施の形態における第2端子151は、金属から成る直線的な棒状の部材であり、いわゆるピンタイプ端子、コンタクトピン等と称されるタイプの端子である。なお、図に示される例において、第2端子151は、断面が円形であるが、断面は必ずしも円形である必要はなく、例えば、四角形であってもよく、いかなる形状であってもよい。また、第2端子151の長手方向両端部には、図に示されるように、テーパが施されていることが望ましいが、必ずしもテーパが施されている必要はない。
そして、第2端子151は、第2本体部114の端子保持部114aに保持される。該端子保持部114aには、端子保持部114aを前後方向に貫通する第2端子収容孔(あな)部116が形成され、第2端子151は、第2端子収容孔部116内に圧入されて保持される。そして、第2端子151において端子保持部114aより後方に突出している部分は、基板接続部としてのテール部153であり、図示されない基板に形成されたスルーホールに挿入されはんだ付等によって固定され、基板の導電トレースと電気的に接続される。また、第2端子151において端子保持部114aより前方に突出している部分は、第2嵌合凹部113内に収容される相手方接触部155であって、前記第1端子51の接触部55と接触する部分であり、前記嵌合方向に延在する。
なお、第2コネクタ101は、望ましくは、いわゆるストレートタイプのコネクタであり、基板に対して立設された状態で、すなわち、第2ハウジング111の嵌合面である第2嵌合面111aが上を向いた状態で、第2ハウジング111の背面111bが基板の上面に対向するような向きで基板に実装される。この場合、第2本体部114の後面114bが基板の上面に対向し、前記後面114bから後方に突出する第2端子151のテール部153の先端が対応するスルーホールに挿入される。これにより、第2コネクタ101は、基板の所定の位置に所定の向きで取付けられる。なお、前記テール部153の先端は、スルーホールを通り抜け、基板の下面から突出する。そして、テール部153がはんだ付によって基板のスルーホールに固定されることにより、第2コネクタ101が基板に固定される。
前記第2端子保護壁部121は、前述のように、相手方接触部155に近接し、さらに、該相手方接触部155に向けて、すなわち、下方に向けて突出するとともに、前記嵌合方向、すなわち、相手方接触部155の長手方向に延在する突条部121aを備える。該突条部121aの各々は、相手方接触部155の各々に対応する位置において、第2端子保護壁部121の下面に一体的に形成される。
なお、突条部121aの峰部(下端部)の幅寸法は、相手方接触部155の幅寸法、すなわち、直径と同等又はそれ以下であることが望ましく、かつ、第1コネクタ1の端子直上開口部16bの幅寸法以下であって、端子直上開口部16b又はその下方の接触部収容凹部16aに進入可能であることが望ましい。
次に、前記第1端子51の構成について詳細に説明する。
図4は本発明の実施の形態における第1端子の斜視図、図5は本発明の実施の形態における第1端子の上面図及び断面図である。なお、図4において、(a)は前方斜め上から観た図、(b)は後方斜め上から観た図、図5において、(a)は上面図、(b)は側断面図であって図5(a)におけるA−A矢視断面図である。
本実施の形態における第1端子51は、前述のように、1枚の金属板に曲げ加工及び打抜き加工を施すことによって一体的に形成された部材であって、第1固定部52と、第2固定部53と、接触部55とを有する。そして、前記第2固定部53は、芯線92をかしめて固定する芯線かしめ部53aを備える。なお、必要に応じてはんだを付与することによって、芯線92と第2固定部53とを更に強固に接続固定することができる。また、前記第1固定部52は、前記芯線92の周囲を覆う絶縁性被覆の周囲から電線91をかしめて固定する被覆かしめ部52aを備える。前記第1固定部52が電線91をかしめることによって、第1端子51は電線91の終端に確実に接続される。
なお、前記第2固定部53の前端は本体部54の後端に接続され、前記接触部55の後端は本体部54の前端に接続されている。また、本体部54は、左右に立設する側壁部54aを備える。
そして、前記接触部55は、本体部54の前端から先端方向に延出する角樋状の部分であり、下板58及び該下板58の左右両側縁から立上がる側板57を備え、上面が開放したコ字状の断面形状を備える。また、左右の側板57の内側には、第2端子151と接触する一対の接触板部59が配設されている。そして、各接触板部59は、細長い帯状の板材から成る接触腕部56を介して、側板57に接続されている。
前記接触腕部56は、側板57に接続され、自由端が接触板部59に接続されたカンチレバー状の部材である。また、前記接触腕部56は、接触部55の長手方向、すなわち、嵌合方向に延在する横腕部56aと、該横腕部56aの後端から上方に延出する内側縦腕部56bと、該内側縦腕部56bの上端から下方に延出する基端部としての外側縦腕部56cとを備える。なお、前記横腕部56aの後端と内側縦腕部56bの下端とは、中心軸方向変換部としての肘(ひじ)部56dによって接続されている。該肘部56dは、同一平面内に存在する横腕部56aと内側縦腕部56bとを接続するので、同一面内中心軸方向変換部であるとも言える。また、前記内側縦腕部56bの上端と外側縦腕部56cの上端とは中心軸方向変換部としての湾曲部56eによって接続されている。該湾曲部56eは互いに異なる平面内に存在する内側縦腕部56bと外側縦腕部56cとを接続するので、二平面接続中心軸方向変換部であるとも言える。なお、中心軸方向変換部として、同一面内中心軸方向変換部又は二平面接続中心軸方向変換部のいずれか一方のみを採用することもできる。また、外側縦腕部56cの後端、すなわち、下端は側板57の上端に接続されている。さらに、横腕部56aの前端には接触板部59が接続されている。
換言すると、接触腕部56は、横腕部56a、内側縦腕部56b、外側縦腕部56c、肘部56d及び湾曲部56eを一体的に繋(つな)ぎ合せた細長い帯状の板材であって、その幅方向の中心を通る中心軸が、横腕部56aの前端から後端までは嵌合方向に延在し、肘部56dで直角に方向を変換し、内側縦腕部56bの下端から上端までは嵌合方向に垂直に上昇し、湾曲部56eで湾曲して180度方向を変換し、外側縦腕部56cの上端から下端までは嵌合方向に垂直に下降するような、連続するカンチレバー状であって弾性的に変形する板ばね部材である。なお、側板57の上端に接続された外側縦腕部56cの下端がカンチレバー状の板ばねの基端であり、横腕部56aの前端がカンチレバー状の板ばねの自由端である。このように、接触腕部56は、長い中心軸を有する細長い帯状の板材から成る板ばねなので、ばね長が十分に長く、自由端が広範囲に亘って弾性的に変位可能となっている。
これに対し、側板57は、その下端が下板58に接続され、その後端の下方部分が本体部54の側壁部54aに接続され、その前端が内方に折曲げられて前端壁部57bとなっているので、剛性が高く、弾性的に変形不能である。下板58及び左右の側板57は、一体的に接続され、かつ、コ字状の断面形状を備えるので、断面二次係数が大きく、剛性が高いので、曲がりにくくなっている。したがって、側板57は下板58に平行な方向に関して変形不能である。また、側板57は、嵌合方向の寸法が外側縦腕部56cの幅寸法(嵌合方向の寸法)と比較して非常に大きいので、下板58に垂直な方向に関して、非常に剛性が高く、外側縦腕部56cと比較すると弾性的に変形不能と言える。
また、接触板部59は、上下方向の寸法が横腕部56aの幅寸法(上下方向の寸法)と比較して大きいので、横腕部56aと比較すると弾性的に変形しにくくなっている。なお、接触板部59は、図5(a)に示されるように、内側に向けて突出するように湾曲した形状を備える。そのため、左右の接触板部59の間に進入する第2端子151の相手方接触部155の側面には、湾曲した部分の頂点が当接する。したがって、相手方接触部155の側面に対する接触板部59の接圧が高くなり、相手方接触部155と接触板部59との電気的接続状態が確実に維持される。また、相手方接触部155が左右の接触板部59の間に進入する際に、前記頂点が相手方接触部155の側面を擦るので、いわゆるワイピング効果が生じ、相手方接触部155の側面上の被膜、不純物等が除去されて相手方接触部155の側面が清浄化されるので、相手方接触部155と接触板部59との電気的接続状態が良好となる。
さらに、側板57の上端の一部には、内側へ向って延出する庇状の覆い部57aが形成されている。該覆い部57aは、横腕部56aの前端から後端までの範囲、すなわち、接触板部59から内側縦腕部56bまでの範囲において、横腕部56aの少なくとも一部の上方を覆うように形成され、梱(こん)包等の際に第1端子51同士が絡み合うことを防止するための絡み防止保護部材として機能する。
一般に、第1端子51を第1ハウジング11に装填する工程が開始されるまでの段階では、第1端子51が終端に接続された電線91は、複数本を束ねた状態で梱包されて保管される。そして、複数の電線91を束ねて梱包する際には、各電線91に接続された第1端子51同士が互いに重なり合って押付け合う状態となる。仮に覆い部57aが形成されていないと仮定すると、横腕部56aと側板57との間に広範囲に亘って上方が開口した長い隙(すき)間が生じることとなり、該隙間に上方から、隣接する他の第1端子51の横腕部56a、側板57等の細長い板部材が進入してしまう可能性がある。そして、前記隙間に進入した板部材は、隙間が狭いために隙間から外れにくくなる。そのため、隣接する第1端子51同士が絡み合い、かつ、絡みが解けにくくなってしまう。
しかし、本実施の形態においては、接触板部59から内側縦腕部56bまでの範囲における前記隙間の途中の部分の上方を覆い部57aが覆うので、前記隙間の上方の開口が短いものとなり、細長い板部材が前記隙間に進入しにくくなる。したがって、接触板部59から内側縦腕部56bまでの全範囲でなくても、横腕部56aの少なくとも一部の上方を覆うような覆い部57aを配設することによって、第1端子51同士の絡み合いが効果的に防止される。
なお、前記覆い部57aは、図5(b)に示されるように、その下端が横腕部56aの上端に当接していないので、横腕部56aと干渉することがない。また、前記覆い部57aは、内側縦腕部56b、外側縦腕部56c及び湾曲部56eとも分離して形成されているので、内側縦腕部56b、外側縦腕部56c及び湾曲部56eのいずれにも、干渉することがない。
このように、本実施の形態における接触腕部56は、横腕部56a、内側縦腕部56b、外側縦腕部56c、肘部56d及び湾曲部56eを一体的に繋ぎ合せた細長い帯状の板材から成るばね長が十分に長くなっている。図4及び5に示される例において、接触腕部56のばね長は、側板57の前後方向(嵌合方向)の寸法よりも長く設定されている。そのため、接触腕部56の自由端に接続された接触板部59は、広範囲に亘って弾性的に変位可能である。したがって、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合の際に、左右の接触板部59の間に進入する第2端子151の相手方接触部155の寸法精度が低くても、また、相手方接触部155が変形して左右に傾斜していても、接触板部59は弾性的に変位することによって、相手方接触部155の側面に追従して該側面との接触を確実に維持することができる。
これに対し、「背景技術」の項で説明した従来の端子では、カンチレバー状の接触腕部856のばね長は、先端部855の外壁の前後方向の寸法よりも短くなっている。特に、接触腕部856の基部は、位置決め凸部858によって変位が規制されているので、接触腕部856のばね長は極めて短くなっている。そのため、接触腕部856の先端近傍に形成された接触凸部の変位可能な範囲が極めて狭くなるので、相手方端子951の側面に追従して該側面との接触を維持することは困難である。
次に、前記第1端子51と第2端子151とを接続する動作について説明する。
図6は本発明の実施の形態における第1端子と第2端子とを接続する動作を示す斜視図、図7は本発明の実施の形態における第1端子と第2端子とが接続された状態を示す上面図である。なお、図6において、(a)は接続後を示す図、(b)は接続前を示す図である。
ここで、第1コネクタ1は、第1端子51が電線91の終端に接続されることによって、電線91を備えるケーブルの終端に接続されている。また、第2コネクタ101は、第2端子151のテール部153が、図示されない基板に形成されたスルーホールに挿入されはんだ付等によって固定されることにより、基板に実装されているものとする。
そして、オペレータは、第1コネクタ1の第1嵌合面11aと第2コネクタ101の第2嵌合面111aとを対向させた状態とし、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を相手側に接近するように移動させ、第1コネクタ1の接触部保持部14aを第2コネクタ101の第2嵌合凹部113に挿入し、第2コネクタ101の第2端子保護壁部121を第1コネクタ1の第1嵌合凹部13に挿入して、第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合させる。
この際、第2コネクタ101の第2端子151の相手方接触部155が第1コネクタ1の接触部保持部14aの第1端子収容凹部16内に進入し、該第1端子収容凹部16内に配設された第1端子51の接触部55と接触する。より具体的には、相手方接触部155は、左右の前端壁部57bの間を通過して、左右の接触板部59の間に進入し、該接触板部59によって左右から挟込まれる。
前述のように、接触板部59が内側に向けて突出するように湾曲した形状を備えるので、左右の接触板部59の間に進入した相手方接触部155の側面には、湾曲した部分の頂点が当接する。そのため、相手方接触部155の側面に対する接触板部59の接圧が高くなり、相手方接触部155と接触板部59との電気的接続状態が確実に維持される。また、相手方接触部155が左右の接触板部59の間に進入する際に、前記頂点が相手方接触部155の側面を擦るので、いわゆるワイピング効果が生じ、相手方接触部155の側面上の被膜、不純物等が除去されて相手方接触部155の側面が清浄化されるので、相手方接触部155と接触板部59との電気的接続状態が良好となる。
また、接触腕部56は、横腕部56a、内側縦腕部56b、外側縦腕部56c、肘部56d及び湾曲部56eを一体的に繋ぎ合せた細長い帯状の板材から成るばね長が十分に長くなっているので、接触腕部56の自由端に接続された接触板部59は、広範囲に亘って弾性的に変位可能である。そのため、左右の接触板部59の間に進入する相手方接触部155の寸法精度が低く、その幅寸法にばらつきがあっても、また、相手方接触部155が変形して左右に傾斜していても、接触板部59は弾性的に変位することによって、相手方接触部155の側面に追従して該側面との接触を確実に維持することができる。
なお、前記接触腕部56は、必ずしも、横腕部56a、内側縦腕部56b、外側縦腕部56c、肘部56d及び湾曲部56eのすべてを備えるものである必要はなく、いくつかを適宜省略することもできる。例えば、内側縦腕部56b及び外側縦腕部56cを省略して、湾曲部56eの一端を直接、側板57に接続してもよい。この場合、湾曲部56eが基端部として機能する。また、例えば、湾曲部56e及び外側縦腕部56cを省略して、内側縦腕部56bの上端を直接、側板57に接続してもよい。この場合、内側縦腕部56bが基端部として機能する。さらに、前記接触腕部56は、横腕部56a、内側縦腕部56b、外側縦腕部56c、肘部56d及び湾曲部56eに加えて更なる部材を含むものであってもよい。例えば、横腕部56aの途中に肘部56dのような同一面内中心軸方向変換部を3つ以上配設し、隣接する同一面内中心軸方向変換部の間を直線状又は曲線状の細長い帯状の板材で連結することによって、横腕部56aが全体がジグザグ状又は蛇行状の形状を備えたものとなる。また、例えば、横腕部56aの途中に湾曲部56eのような二平面接続中心軸方向変換部を3つ以上連結した部材を配設してもよい。これにより、横腕部56aのばね長を更に長くすることができる。さらに、例えば、湾曲部56eのような二平面接続中心軸方向変換部を3つ以上連結した部材によって内側縦腕部56bと外側縦腕部56cとを接続することもできる。これにより、内側縦腕部56bと外側縦腕部56cとの間のばね長を更に長くすることができる。
このように、本実施の形態において、第1端子51は、電線91に接続される電線接続部と、棒状の第2端子151と接触する接触部55とを有し、接触部55は、嵌合方向に延在する一対の側板57と、側板57の内側に配設され、第2端子151の側面に接触可能な一対の接触板部59と、接触板部59に自由端が接続され、側板57に基端が接続されたカンチレバー状の接触腕部56とを備え、接触腕部56は、細長い板材から成り、板材の中心軸の方向を変換する中心軸方向変換部を含む。
これにより、接触腕部56のばね長を十分に長くすることができ、接触部55の寸法を増加させることなく広範囲に亘って十分なばね力を発揮することができ、第2端子151との接触を確実に維持することができる。また、構成が簡素化してコストを低減することができ、小型でありながら、耐久性を向上させ、信頼性を向上させることができる。
また、接触腕部56は、嵌合方向に延在し、前端が接触板部59に接続された横腕部56aと、後端が側板57に接続された基端部とを備え、中心軸方向変換部は、横腕部56aと基端部との間に位置する。これにより、接触腕部56のばね長を側板57の嵌合方向の寸法よりも長くすることができる。
さらに、中心軸方向変換部は、同一面内で中心軸の方向を変換する同一面内中心軸方向変換部、又は、異なる面内で中心軸の方向を変換する二平面接続中心軸方向変換部である。これにより、接触腕部56の形状を任意の形状とすることができ、接触腕部56のばね長を所望の値にすることができる。
さらに、側板57は、内側へ向って延出し、接触腕部56と干渉することなく、接触腕部56の少なくとも一部の上方を覆う庇状の覆い部57aを備える。これにより、第1端子51同士の絡み合いを効果的に防止することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明は、端子及びそれを有するコネクタに適用することができる。
1 第1コネクタ
11 第1ハウジング
11a 第1嵌合面
12 第1天板部
12a 天板接続部
12b 第1係合凸部
12c 操作用凸部
13 第1嵌合凹部
14 第1本体部
14a 接触部保持部
14b、114b 後面
14c 上壁部
14d、114d 底板部
14e 掛止凹部
14f 接触部保持上板部
16 第1端子収容凹部
16a 接触部収容凹部
16b 端子直上開口部
16c 相手方端子収容開口部
17 第1側壁部
51 第1端子
52 第1固定部
52a 被覆かしめ部
53 第2固定部
53a 芯線かしめ部
54 本体部
54a 側壁部
55 接触部
56、856 接触腕部
56a 横腕部
56b 内側縦腕部
56c 外側縦腕部
56d 肘部
56e 湾曲部
57 側板
57a 覆い部
57b 前端壁部
58 下板
59 接触板部
61 掛止片
91、891 電線
92 芯線
101 第2コネクタ
111 第2ハウジング
111a 第2嵌合面
111b 背面
112 第2天板部
112a 天板凹部
112b 第2係合凸部
113 第2嵌合凹部
114 第2本体部
114a 端子保持部
116 第2端子収容孔部
117 第2側壁部
121 第2端子保護壁部
121a 突条部
151 第2端子
153 テール部
155 相手方接触部
852 電線接続部
853 導線接続部
855 先端部
857 連結部
858 位置決め凸部
951 相手方端子

Claims (2)

  1. (a)電線に接続される電線接続部と、棒状の相手方端子と接触する接触部とを有し、
    (b)該接触部は、嵌合方向に延在する一対の側板と、該側板の内側に配設され、前記相手方端子の側面に接触可能な一対の接触板部と、該接触板部に自由端が接続され、前記側板に基端が接続された細長い板材から成るカンチレバー状の接触腕部とを備え、
    (c)該接触腕部は、嵌合方向に延在する横腕部と、該横腕部の後端に肘部を介して接続され、前記横腕部の後端から前記嵌合方向に垂直に上方に延出する内側縦腕部と、該内側縦腕部の上端に湾曲部を介して接続され、前記内側縦腕部の上端から前記嵌合方向に垂直に下方に延出する外側縦腕部とを備え、
    (d)前記横腕部の前端は、接触腕部の自由端として前記接触板部の後端に接続され、前記外側縦腕部の下端は、接触腕部の基端として前記側板の上端に接続され、
    (e)前記接触腕部は、その基端から自由端までの範囲で、前記側板から離間し、弾性的に変形可能であり、
    (f)前記接触板部は、上下方向の寸法が前記横腕部より大きく、その上端が前記横腕部の上端よりも上方に位置し、
    (g)前記側板は、内側へ向って延出し、前記横腕部と干渉することなく、該横腕部の少なくとも一部の上方を覆う庇状の覆い部を備えることを特徴とする端子。
  2. 請求項1に記載の端子を有するコネクタであって、前記相手方端子を有する相手方コネクタと嵌合可能であるコネクタ。
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