以下、図面を参照して本発明の一の実施の形態における貨幣処理機およびこの貨幣処理機を備えた貨幣処理システムについて説明する。
本実施の形態に係る貨幣処理機は、硬貨および紙幣からなる貨幣の引渡処理、計数処理、締め処理、締め連動引渡処理、警備回収処理等を行う機能を有するものである。図1乃至図6は、本実施の形態における貨幣処理機およびこの貨幣処理機を備えた貨幣処理システムを示す図である。このうち、図1Aは、本実施の形態の貨幣処理システムの構成を示すブロック図であり、図1Bは、本実施の形態における貨幣処理システムの他の構成を示すブロック図である。また、図2は、図1Aや図1Bに示す貨幣処理システムにおける貨幣処理機の外観を示す斜視図である。また、図3Aは、図2に示す貨幣処理機における紙幣処理装置の構成の概略を示す概略構成図であり、図3Bは、図2に示す貨幣処理機における硬貨処理装置の構成の概略を示す概略構成図である。また、図4は、図2に示す貨幣処理機における制御ブロック図である。また、図5および図6は、図2に示す貨幣処理機の紙幣処理装置または硬貨処理装置における紙幣や硬貨の引渡処理の一連の動作を示す説明図である。
図1Aに示すように、本実施の形態の貨幣処理システムは、店舗内に設置された貨幣処理機10と、この貨幣処理機10からそれぞれ隔離して店舗外に設けられた現金センター13およびデータセンター14とを備えている。現金センター13およびデータセンター14には、それぞれ中央制御装置が設置されている。以下の記載において、現金センター13やデータセンター14とは、それぞれ中央制御装置を意味している。貨幣処理機10にはコントローラ12が設けられており、このコントローラ12は現金センター13に有線または無線により通信接続されており、現金センター13に対して信号の送受信を行うようになっている。このことにより、コントローラ12を介して現金センター13から貨幣処理機10に対して遠隔操作を行うことができるようになっている。ここで、コントローラ12は貨幣処理機10に対して例えばLAN等により接続される通信制御装置や端末、もしくは、貨幣処理機10に内蔵された通信部等である。
また、図1Aに示すように、現金センター13とデータセンター14とは有線または無線により互いに通信接続されており、現金センター13とデータセンター14との間で様々なデータの送受信が行われるようになっている。このため、貨幣処理機10からコントローラ12を介して現金センター13に送られた、貨幣処理機10における紙幣や硬貨等の貨幣の処理状況に係る情報はデータセンター14にも送られるようになっている。本発明においては、現金センター13およびデータセンター14にそれぞれ中央制御装置が設けられている。しかしながら、中央制御装置はこのような例に限定されることはなく、例えば現金センター13のみ、あるいはデータセンター14のみに設けられていてもよい。
本実施の形態の貨幣処理システムの構成は図1Aに示すようなものに限定されることはなく、代わりに図1Bに示すようなものとすることもできる。図1Bに示すような貨幣処理システムは、貨幣処理機10と、この貨幣処理機10からそれぞれ隔離して店舗外に設けられた現金センター13およびデータセンター14とを備えている点では図1Aに示す貨幣処理システムと略同一の構成となっているが、この貨幣処理機10に設けられるコントローラ17は機能の拡張性の高いコントローラとなっている。
コントローラ17は、現金センター13およびデータセンター14にそれぞれ有線または無線により通信接続されており、現金センター13およびデータセンター14に対してそれぞれ信号の送受信を行うようになっている。
図1Bに示す貨幣処理システムにおけるコントローラ17は機能の追加が可能であり、プリンタ17a、カードリーダ17b、スキャナー17cをそれぞれ接続することができるようになっている。プリンタ17aは、貨幣処理機10における紙幣や硬貨等の貨幣の処理状況に係る情報等を印刷するよう構成されている。また、カードリーダ17bは、貨幣処理機10に備えているカードリーダに加えて接続でき、操作者が携帯しているIDカードのID情報を読み取るよう構成されている。そして、コントローラ17に入力された操作者のID情報に係る信号により、操作者の識別が行われるようになっている。また、スキャナー17cは、紙幣の記番号やバーコード等を撮像するよう構成されている。また、このコントローラ17はルーターとしての機能も有している。
また、コントローラ17には操作者のパーソナルコンピュータ17dを接続することも可能となっている。この場合、コントローラ17に接続されたパーソナルコンピュータ17dにより操作者が貨幣処理機10の操作を行うことができることとなる。また、このパーソナルコンピュータ17dは、後述するデータセンター14とも送受信可能とすることができるようになっている。
次に、図1Aや図1Bに示す貨幣処理機10の構成の詳細について図2乃至図4を用いて説明する。
図2に示すように、貨幣処理機10は略直方体形状の筐体11を備えており、この筐体11には、貨幣処理機10を前方から見て右側に配置された紙幣処理装置20と、左側に配置された硬貨処理装置30とがそれぞれ左右に並ぶよう設けられている。また、貨幣処理機10の筐体11において、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30の下方には、硬貨および紙幣をそれぞれ収納する貨幣収納部40が設けられている。ここで、貨幣処理機10のうち、紙幣処理装置20および硬貨処理装置30は店舗側の管理権限下にあり、貨幣収納部40は収集業者側の管理権限下にある。以下、紙幣処理装置20、硬貨処理装置30および貨幣収納部40の各構成要素について詳述する。
まず、貨幣収納部40の構成について図2乃至図4を用いて説明する。図2等に示すように、貨幣処理機10の筐体11の下部に貨幣収納部40が設けられている。この貨幣収納部40は、2つの紙幣収納カセット41a、41bおよび2つの硬貨収納カセット42a、42bを有している。ここで、図3Aに示すように、紙幣収納カセット41a、41bは紙幣処理装置20に対応して設けられており、一方、図3Bに示すように、硬貨収納カセット42a、42bは硬貨処理装置30に対応して設けられている。
紙幣収納カセット41a、41bには、紙幣処理装置20の一括搬送部29(後述)に搬送された紙幣がこの一括搬送部29から送られるようになっている。また、硬貨収納カセット42a、42bには、硬貨処理装置30の一括搬送部37(後述)に搬送された硬貨が送られるようになっている。なお、硬貨収納カセット42aには、シュート35c(後述)から一括搬送部37に送られた硬貨が当該一括搬送部37を通過してそのまま送られる場合もある。
そして、例えば売上金の回収業務を行う収集特定者によって、貨幣収納部40の各カセット41a、41b、42a、42bが筐体11の前面側へ引き出され、この収集特定者が各カセット41a、41b、42a、42b自体を回収するようになっている。より具体的には、各紙幣収納カセット41a、41bには、それぞれ規制ユニット41c、41dが設けられている。そして、規制ユニット41cは、筐体11からの紙幣収納カセット41aの取り出しを規制するようになっており、規制ユニット41dは、筐体11からの紙幣収納カセット41bの取り出しを規制するようになっている。また、硬貨収納カセット42a、42bには、それぞれ規制ユニット42c、42dが設けられている。そして、規制ユニット42cは、筐体11からの硬貨収納カセット42aの取り出しを規制するようになっており、規制ユニット42dは、筐体11からの硬貨収納カセット42bの取り出しを規制するようになっている。各カセット41a、41b、42a、42bは、少なくとも筐体11から引き出されたときと、各規制ユニット41c、41d、42c、42dから取り出されたときは、中の貨幣が取り出し不可能な状態に入口等がロックされるようになっている。
規制ユニット41c、41dや規制ユニット42c、42dとしては、例えばロック機構からなり、IDカードによって収集特定者を確認してその収集特定者に権限があるか否かを現金センター13やデータセンター14に照会してロック機構の解除を行うものが挙げられる。あるいは、各規制ユニット41c、41d、42c、42dのロック機構は施錠されており、各収集特定者は管理権限に応じた鍵を持ち、特定の規制ユニットのみを解錠してロック機構の解除を行うことができるようになっていてもよい。また、各カセット41a、41b、42a、42bを回収する収集特定者を区別する必要がなければ、各カセット41a、41b、42a、42bの規制ユニット41c、41d、42c、42dの代わりに、貨幣収納部40に設けた扉の開閉や各カセット41a、41b、42a、42bを収容した引き出し部の引き出し動作を規制してもよい。
次に、紙幣処理装置20の構成について図2および図3Aを用いて説明する。図2および図3Aに示すように、紙幣処理装置20は、当該紙幣処理装置20内への紙幣の取り込みを行う紙幣投入口21と、紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち偽札や識別不能な紙幣等のリジェクトを行う紙幣リジェクト口22と、紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち貨幣収納部40に収納されない紙幣を紙幣処理装置20の外部に返却する紙幣返却口23とを備えている。また、図3Aに示すように、紙幣処理装置20の内部には、紙幣投入口21に投入された紙幣を紙幣処理装置20内で搬送する搬送部25が設けられている。
紙幣投入口21は、操作者により1または束状態の複数の紙幣が短手方向に一括して投入されるよう構成されている。図2に示すように、この紙幣投入口21には手動で開閉可能な紙幣投入口カバー28が配設されており、紙幣投入口カバー28が開いたときのみに操作者は紙幣を紙幣投入口21に投入することができるようになっている。図3Aに示すように、紙幣投入口21は搬送部25に接続されており、紙幣投入口21に投入された1または束状態の複数の紙幣は、1枚ずつ繰り出されて搬送部25で搬送されるようになっている。
紙幣リジェクト口22は、図3Aに示すように搬送部25に接続されており、紙幣投入口21により紙幣処理装置20内に取り込まれた紙幣のうち後述する識別部26によりリジェクトすべき紙幣であると識別された紙幣等が搬送部25から送られるようになっている。操作者はこの紙幣リジェクト口22に送られた紙幣を取り出すことができるようになっている。紙幣リジェクト口22にはカバー(図示せず)が設けられており、待機時にはこのカバーは開状態となっており、処理時にはこのカバーは閉状態となる。
紙幣返却口23には、図3Aに示すように、搬送部25に接続された一括搬送部29が設けられている。この一括搬送部29には、搬送部25から紙幣が送られて集積されるようになっている。また、紙幣返却口23には開閉可能な扉24が設けられている。一括搬送部29にある紙幣を返却する場合には、一括搬送部29の装置前面側の壁面が開いて、操作者は扉24から紙幣を取り出すことができるようになっている。扉24は、紙幣が取れる状態になれば、自動的に開くようになっている。なお、後述のように、一括搬送部29内に保留された紙幣は、操作者により紙幣返却口23から取り出される代わりに、貨幣収納部40内に配置された紙幣収納カセット41a、41bに送られる場合もある。
搬送部25は、紙幣処理装置20の内部で紙幣を1枚ずつ順次搬送する機能を有している。具体的には、搬送部25において、紙幣は一対のベルト間に挟まれて搬送されるようになっている。また、図3Aに示すように、搬送部25に設けられた搬送路は様々な箇所で分岐するようになっており、この搬送路が分岐する箇所には分岐部材(図示せず)が設けられている。各分岐部材は例えば分岐爪からなり、これらの分岐部材はそれぞれ後述する制御部15により制御されるようになっている。図3Aに示すように、搬送部25は、紙幣投入口21に投入された紙幣を紙幣リジェクト口22または一括搬送部29に搬送するよう構成されている。
図3Aに示すように、搬送部25には、当該搬送部25で搬送される紙幣の識別を1枚ずつ行う識別部26が設置されている。この識別部26は、搬送部25で搬送される紙幣の金種、真偽、正損等を識別するようになっている。具体的には、識別部26は、磁気センサや光学センサを有し、これらのセンサにより紙幣の金種や真偽等を1枚ずつ識別するようになっている。識別部26による紙幣の識別結果は後述する制御部15に送られるようになっている。
一括搬送部29は、前述のように紙幣返却口23に設けられており、図3Aに示すように搬送部25に接続されている。この一括搬送部29には、紙幣投入口21に投入された紙幣が搬送部25により送られるようになっており、搬送部25から送られた紙幣を束状態で複数保留することができるようになっている。ここで、操作者により扉24が開かれることによって操作者は一括搬送部29内に収納された紙幣を取り出すことができるようになっている。また、一括搬送部29の底面には開閉が可能な底板が設けられ、紙幣は底板に載せられるようになっている。ここで、図3Aに示すように、一括搬送部29は、紙幣収納カセット41aの上方の位置(図3Aにおける実線の位置)と、紙幣収納カセット41bの上方の位置(図3Aにおける二点鎖線の位置)との間で往復移動するようになっている。そして、一括搬送部29に一時的に保留された紙幣を紙幣収納カセット41aに一括して収納させる際には、一括搬送部29を紙幣収納カセット41aの上方の位置に移動させ、一方、一括搬送部29に一時的に保留された紙幣を紙幣収納カセット41bに一括して収納させる際には、一括搬送部29を紙幣収納カセット41bの上方の位置に移動させるようになっている。
一括搬送部29にある紙幣を紙幣収納カセット41a、41bに収納させる動作について以下に説明する。ここでは、一括搬送部29にある紙幣を紙幣収納カセット41aに収納させる動作について説明するが、一括搬送部29にある紙幣を紙幣収納カセット41bに収納させる動作についても同様である。一括搬送部29にある紙幣を紙幣収納カセット41aに収納させる際に、まず、この紙幣収納カセット41aに設けられたステージが上昇し、ステージ上の紙幣の上面が一括搬送部29の底板のすぐ下まで移動する。そして、底板が水平に移動して開き、一括搬送部29内の紙幣はステージ上の紙幣の上に落下する。そして、ステージ上の紙幣を上から押さえ部材で押さえた状態で、ステージが下降し、紙幣を紙幣収納カセット41aへ収納するようになっている。
次に、硬貨処理装置30の構成について図2および図3Bを用いて説明する。図2および図3Bに示すように、硬貨処理装置30は、当該硬貨処理装置30内への硬貨の取り込みを行う硬貨投入口31と、硬貨処理装置30内に取り込まれた硬貨のうち後述する識別部35aにより識別不能な硬貨等のリジェクト硬貨の返却を行うとともに硬貨処理装置30内に取り込まれた硬貨のうち貨幣収納部40に収納されない硬貨を硬貨処理装置30の外部に返却する硬貨返却口33とを備えている。硬貨投入口31には、開閉可能な硬貨投入口カバー31aが配置されている。また、硬貨返却口33には、硬貨返却ボックス33aが引き出し可能に配置されている。
硬貨処理装置30の内部には、硬貨投入口31から投入された硬貨を受け入れて貯留し、硬貨を1枚ずつ繰り出すとともに、下部を開放して変形硬貨や異物等の落下放出を可能とした貯留繰出部34が設けられている。この貯留繰出部34の下部には開閉機構(図示せず)が設けられており、この開閉機構が開状態となったときに、貯留繰出部34内の変形硬貨や異物等は下方に落下放出されるようになっている。
また、硬貨処理装置30の内部には、貯留繰出部34から繰り出された硬貨を1枚ずつ搬送し、搬送中に識別部35aで硬貨の金種、真偽、正損等を識別し、その識別結果に基づき硬貨を搬送先別に分岐させる搬送部35が設けられている。また、搬送部35は、識別不能な硬貨等のリジェクト硬貨等を硬貨返却ボックス33aに返却するようになっている。より具体的には、搬送部35は、貯留繰出部34に接続された上流側端部から筐体11の奥側に向かって(図3Bの右方に向かって)延設されるとともに、筐体11の奥側で上側に折り返されて筐体11の前側に向かって(図3Bの左方に向かって)延設され、硬貨返却ボックス33a内に硬貨を落下可能に配設されている。
搬送部35における、識別部35aよりも搬送方向下流側の途中位置には、識別部35aで正規の硬貨であると識別された硬貨を搬送部35から分岐させる分岐部材35bが設けられている。この分岐部材35bは、識別部35aによる硬貨の識別結果に基づいて搬送部35の搬送通路内に進退し、後述する一括搬送部37に搬送される硬貨を搬送部35から分岐させるとともに、リジェクトする硬貨をそのまま搬送部35で搬送させる。分岐部材35bの位置には、当該分岐部材35bで分岐された硬貨を受け入れて下方へ案内するシュート35cの上端部が配置されている。シュート35cの下端部は、第1の収納位置a(後述)に位置する一括搬送部37の上方に配置されている。
図3Bに示すように、硬貨処理装置30の内部には、搬送部35から送り出された硬貨を一時的に保留することが可能な一括搬送部37が設けられている。この一括搬送部37は、上下方向に開口された枠状に形成されており、筐体11内の貯留繰出部34の下側に配置されるとともに、駆動機構37bによって筐体11の奥行き方向に往復移動するようになっている(すなわち、一括搬送部37は図3Bの左右方向に往復移動するようになっている)。なお、一括搬送部37は、貯留繰出部34の硬貨収納容量より多い硬貨を収納することができるようになっている。
一括搬送部37の停止位置は、硬貨収納カセット42aの上方の位置である第1の収納位置a、貯留繰出部34の下方の位置である排除位置b、硬貨返却ボックス33aの上方の位置である返却位置c、および硬貨収納カセット42bの上方の位置である第2の収納位置dの4位置となっている(図3B参照)。一括搬送部37の各位置a〜dは、位置検知手段37cによって検知されるようになっている。一括搬送部37は第1の収納位置aを定位置としている。
また、一括搬送部37の下側には、この一括搬送部37の下面を閉塞する底板37aが配設されている。この底板37aは略水平方向に延びており、駆動機構37fによって筐体11の奥行き方向に往復移動するようになっている(すなわち、底板37aは図3Bの左右方向に往復移動するようになっている)。底板37aの停止位置は、第1の収納位置aにある一括搬送部37の真下の位置である第1の位置m、および第2の収納位置dにある一括搬送部37の真下の位置である第2の位置nの2位置となっている(図3B参照)。なお、底板37aは図3Bに示す第1の位置mからさらに左方に移動することができるようになっていてもよい。底板37aの各位置m、nは、位置検知手段37gによって検知されるようになっている。底板37aは第1の位置mを定位置としている。
また、第1の収納位置aに位置する一括搬送部37の下側には、この一括搬送部37内の硬貨を硬貨収納カセット42aに送るための硬貨収納シュート37dが設けられている。また、第2の収納位置dに位置する一括搬送部37の下側には、この一括搬送部37内の硬貨を硬貨収納カセット42bに送るための硬貨収納シュート37eが設けられている。
一括搬送部37が定位置(第1の収納位置a)にあるとともに、底板37aが定位置(第1の位置m)にある場合には、図3Bに示すように、一括搬送部37は、搬送部35からシュート35cを介して送り出されてくる硬貨を受け取り、この受け取った硬貨を一時的に保留するようになっている。一方、一括搬送部37が定位置(第1の収納位置a)にあるとともに、底板37aが第2の位置nにある場合には、搬送部35からシュート35cを介して送り出されてくる硬貨は、一括搬送部37を通過して(すなわち、一括搬送部37で一時的に保留されることなく)そのまま硬貨収納シュート37dに送られ、最終的に硬貨収納カセット42aに送られることとなる。
このように、一括搬送部37が定位置(第1の収納位置a)にあるとともに、底板37aが第2の位置nにある場合には、搬送部35からシュート35cを介して一括搬送部37に送り出されてくる硬貨を硬貨収納カセット42aにダイレクト入金(一時的な保留を行わないような入金)することができる。
一括搬送部37が排除位置bにあるとともに、底板37aが定位置(第1の位置m)にある場合には、この一括搬送部37は、貯留繰出部34から落下放出される硬貨を受け入れる。この際に、一括搬送部37が底板37aから部分的に外れることにより一括搬送部37の底面が部分的に開口され、この一括搬送部37に受け入れられた硬貨の一部は下方にある硬貨返却ボックス33aに落下放出されるようになっている。さらに、落下放出終了後に、一括搬送部37が返却位置cに移動し、全ての硬貨を硬貨返却ボックス33aに落下放出して返却する。
一括搬送部37が第1の収納位置aから返却位置cに移動した場合には、一括搬送部37が底板37aから外れることにより一括搬送部37の底面が開口され、この一括搬送部37に搬送された硬貨は下方にある硬貨返却ボックス33aに落下することとなる。
また、底板37aが定位置(第1の位置m)にとどまったまま、一括搬送部37が第1の収納位置aから第2の収納位置dに移動した場合には、一括搬送部37が底板37aから外れることにより一括搬送部37の底面が開口され、この一括搬送部37に搬送された硬貨は下方にある硬貨収納シュート37eに落下し、最終的に硬貨収納カセット42bに送られることとなる。
次に、貨幣処理機10に設けられた他の様々な機構について説明する。図2に示すように、貨幣処理機10の筐体11の上面には、操作者が貨幣処理機10の制御部15(後述)に対して様々な指令を行うための操作部45、および貨幣処理機10における貨幣の処理内容等を表示する表示部44が設けられている。ここで、操作部45は、例えばテンキーや確定キー、スタートキー、取消キーならびにリセットキーを有しており、操作者が各キーを押すことにより貨幣処理機10の制御部15に対して様々な指令を行うことができるようになっている。表示部44は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)から構成されている。また、貨幣処理機10の筐体11の上面には、貨幣処理機10における貨幣の処理内容等を印字するプリンタ43が設けられている。
また、筐体11の前面には、操作者の操作権限の確認を行うためのカードリーダ46が設けられている。カードリーダ46は、操作者が携帯するIDカードのID情報の読み取りを行うようになっている。
次に、貨幣処理機10における各構成要素の制御を行う制御部15について図4を用いて説明する。制御部15は貨幣処理機10の筐体11内に設置されている。
図4に示すように、制御部15には、紙幣処理装置20の各構成要素(例えば、搬送部25、識別部26、扉24、一括搬送部29等)、硬貨処理装置30の各構成要素(例えば、貯留繰出部34、搬送部35、識別部35a、一括搬送部37の駆動機構37b、一括搬送部37の位置検知手段37c、底板37aの駆動機構37f、底板37aの位置検知手段37g等)、表示部44、操作部45、プリンタ43、カードリーダ46等が接続されている。また、制御部15にはインターフェースを介してコントローラ12(17)が接続されている。
制御部15には、紙幣処理装置20の識別部26による紙幣の識別結果や、硬貨処理装置30の識別部35aによる硬貨の識別結果、位置検知手段37cによる一括搬送部37の位置情報、位置検知手段37gによる底板37aの位置情報等が送られるようになっている。また、制御部15には、カードリーダ46により読み取られた操作者のIDカードのID情報が送られるようになっている。また、制御部15は、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の各構成要素を制御したり、表示部44、操作部45、プリンタ43を制御したりするようになっている。
コントローラ12(17)は、貨幣処理機10の紙幣処理装置20、硬貨処理装置30および貨幣収納部40のそれぞれに対して信号の送受信を行うようになっている。このような信号の送受信は制御部15を介して行われる。
中央制御装置を構成する現金センター13またはデータセンター14は、コントローラ12(17)を介して、貨幣処理機10に対して当該貨幣処理機10の各種処理に係る指令の信号を送信したり、貨幣処理機10から当該貨幣処理機10における貨幣の処理状況に係る情報の信号を受信したりするようになっている。
次に、このような構成からなる貨幣処理機10の動作について説明する。
上述のような貨幣処理機10の動作としては、インターフェース確認モード、運用モードおよび保守メンテナンスモードの3つのモードがある。操作者は、操作部45により、インターフェース確認モード、運用モードあるいは保守メンテナンスモードを選択することができる。
インターフェース確認モードとは、貨幣処理機10の初期状態において、すなわち貨幣処理機10が導入された際に、インターフェースにより貨幣処理機10が上位装置等に通信接続されるか否かを確認するためのモードである。このようなインターフェース確認モードにおいて、インターフェースにより貨幣処理機10が上位装置等に通信接続されたときには、上位装置等から貨幣処理機10に様々な設定データが送られる。
運用モードには、貨幣処理機10が上位装置等に通信接続された状態のオンラインモードと、貨幣処理機10と外部との通信接続が遮断された状態のオフラインモードの2つの状態がある。オンラインモードには開店モードと閉店モードの2つのモードがあり、開店モードにおいて、操作者は後述する引渡処理等を行うことができる。また、この開店モードにおいては、例えば売上金の回収業務を行う収集業者の収集特定者によって、貨幣収納部40の各カセット41a、41b、42a、42b自体の回収を行うこともできる。一方、閉店モードにおいては、収集特定者による貨幣収納部40の各カセット41a、41b、42a、42bの回収のみしか行うことができない。なお、これらの開店モードおよび閉店モードの切り換えは、時間帯等による自動での切り替えも可能である。一方、オフラインモードにおいては、上位装置等に対する情報の伝達は行われず、納金処理等の処理結果は貨幣処理機10内に設けられた記憶媒体(図示せず)に記憶されることとなる。上述の各モードの選択は、操作者が操作部45により選択することができる。
保守メンテナンスモードの際に、保守員が貨幣処理機10の紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の各構成要素の保守メンテナンスを行う。このような保守メンテナンスは、貨幣処理機10が設置された現場で行ってもよく、貨幣処理機10を工場等に持ち帰ってこの工場内で行ってもよい。
ここで、上述した引渡処理の詳細について、図5および図6を用いて以下に説明する。なお、「引渡処理」とは、貨幣処理機10内の金銭を店舗側から収集業者側へ引き渡す処理という意味で用いており、上述のような貨幣処理機10では、筐体11の外部から内部に取り込まれた貨幣が貨幣収納部40に収納されたことにより、貨幣が引き渡されたものとしている。そして、引渡処理が行われた貨幣は、その管理権限が店舗側から収集業者側に移されるようになっている。
上述のような引渡処理を行うにあたり、制御部15は、(a)一括搬送部29、37に紙幣や硬貨が送られた後、引渡確定処理の指令が制御部15に与えられたときに一括搬送部29、37から貨幣収納部40に紙幣や硬貨が引き渡されて紙幣や硬貨の管理権限が店舗側から収集業者側に変更されるような確定有りモードと、(b)一括搬送部29、37に紙幣や硬貨が送られた後、自動的に一括搬送部29、37から貨幣収納部40に紙幣や硬貨が引き渡されて貨幣の管理権限が店舗側から収集業者側に自動的に変更されるような確定無しモードのうちいずれか一方のモードで紙幣や硬貨の処理を行うようになっている。
まず、確定有りモードにおける紙幣の引渡処理および硬貨の引渡処理について順に説明する。
最初に、紙幣の引渡処理について図5A乃至図5Dを用いて以下に説明する。紙幣の引渡処理が行われる際に、操作者が紙幣処理装置20の紙幣投入口21に紙幣の束を投入したときには、紙幣投入口21に投入された紙幣は1枚ずつ搬送部25により搬送され、識別部26において紙幣の識別が行われる。図5Aに示すように、識別部26により正常な紙幣であると識別された場合には、この紙幣は搬送部25により一括搬送部29に送られる。一方、図5Aに示すように、識別部26により偽札等のリジェクト紙幣であると識別された紙幣は、搬送部25により紙幣リジェクト口22に送られる。図5Aに示すような紙幣の処理が行われる際に、識別部26により紙幣の計数が行われる。
上述のような紙幣の処理が行われた後、操作者が操作部45における「取消キー」を押し、引渡取消処理の指令を制御部15に送ったときには、図5Bに示すように、紙幣返却口23に設けられた扉24が開くことにより、操作者は一括搬送部29から紙幣を取り出すことができるようになる。
一方、上述のような紙幣の処理が行われた後、操作者が操作部45における「確定キー」を押し、引渡確定処理の指令を制御部15に送ったときには、図5Cに示すように、一括搬送部29に保留された紙幣は、貨幣収納部40の紙幣収納カセット41aに送られる。なお、貨幣収納部40の紙幣収納カセット41bに紙幣を収納する場合には、引渡確定処理の指令を制御部15に送ったときに、図5Dに示すように、一括搬送部29が紙幣収納カセット41bの上方の位置に移動し、この一括搬送部29に保留された紙幣が、貨幣収納部40の紙幣収納カセット41bに送られることとなる。
次に、硬貨の引渡処理について図6A乃至図6Eを用いて以下に説明する。硬貨の引渡処理が行われる際に、操作者が硬貨処理装置30の硬貨投入口31に硬貨を投入したときには、硬貨投入口31に投入された硬貨はまず貯留繰出部34に送られ、この貯留繰出部34から硬貨が1枚ずつ搬送部35に繰り出される。この際に、一括搬送部37は第1の収納位置aに位置しており、底板37aは第1の位置mに位置している。搬送部35に繰り出された硬貨は識別部35aにおいて識別が行われる。図6Aに示すように、識別部35aにより正常な硬貨であると識別された場合は、この硬貨は分岐部材35bにより搬送部35の搬送通路から分岐され、シュート35cを介して一括搬送部37に送られ、当該一括搬送部37で一時的に保留される。一方、図6Aに示すように、識別部35aにより識別不能な硬貨等のリジェクト硬貨であると識別された硬貨は、搬送部35の搬送通路から分岐させられることなく、そのまま硬貨返却ボックス33aに送られる。また、図6Aに示すような硬貨の処理が行われる際に、識別部35aにより硬貨の計数が行われる。
上述のような硬貨の処理が行われた後、操作者が操作部45における「取消キー」を押し、引渡取消処理の指令を制御部15に送ったときには、図6Bに示すように、駆動機構37bによって一括搬送部37が第1の収納位置aから返却位置cに移動させられることにより、一括搬送部37に一時的に保留された硬貨が硬貨返却ボックス33aに落下する。操作者は、硬貨返却口33から硬貨返却ボックス33aを引き出すことにより、硬貨返却ボックス33a内の硬貨を取り出すことができる。
一方、上述のような硬貨の処理が行われた後、操作者が操作部45における「確定キー」を押し、引渡確定処理の指令を制御部15に送ったときには、図6Cに示すように、駆動機構37fによって底板37aが第1の位置mから第2の位置nに移動させられることにより、一括搬送部37の底部が開口状態となるので、一括搬送部37に一時的に保留された硬貨が貨幣収納部40の硬貨収納カセット42aに落下し、この硬貨収納カセット42a内に収納される。
なお、貨幣収納部40の硬貨収納カセット42bに紙幣を硬貨する場合には、引渡確定処理の指令を制御部15に送ったときに、図6Eに示すように、駆動機構37bによって一括搬送部37が第1の収納位置aから第2の収納位置dに移動させられることにより、一括搬送部37の底部が開口状態となるので、一括搬送部37に一時的に保留された硬貨が貨幣収納部40の硬貨収納カセット42bに落下し、この硬貨収納カセット42b内に収納される。
次に、確定無しモードにおける紙幣の引渡処理および硬貨の引渡処理について順に説明する。
最初に、紙幣の引渡処理について説明する。紙幣の引渡処理が行われる際に、制御部15において確定無しモードが選択されていた場合には、紙幣投入口21に投入された紙幣が紙幣投入口21から無くなったり、一括搬送部29において紙幣が満杯になったりしたときに、一括搬送部29から貨幣収納部40の紙幣収納カセット41a、41bに一括して紙幣が自動的に引き渡される。この場合、紙幣の管理権限が店舗側から収集業者側に自動的に変更される。
次に、硬貨の引渡処理について説明する。硬貨の引渡処理が行われる際に、制御部15において確定無しモードが選択されていた場合には、貯留繰出部34から硬貨が全て繰り出されることにより当該貯留繰出部34において硬貨が無くなったり、一括搬送部37において硬貨が満杯になったりしたときに、一括搬送部37から貨幣収納部40の硬貨収納カセット42a、42bに一括して硬貨が自動的に引き渡される。この場合、硬貨の管理権限が店舗側から収集業者側に自動的に変更される。
なお、硬貨の引渡処理が行われる際に、操作者が硬貨処理装置30の硬貨投入口31に硬貨を投入したときにおいて、図6Aに示すように、一括搬送部37が第1の収納位置aに位置しているとともに底板37aが第1の位置mに位置している代わりに、図6Dに示すように、一括搬送部37が第1の収納位置aに位置しているとともに底板37aが第2の位置nに位置しているようになっていてもよい。この場合、識別部35aにより正常な硬貨であると識別された硬貨は分岐部材35bにより搬送部35の搬送通路から分岐され、シュート35cを介して一括搬送部37に送られるが、この硬貨は一括搬送部37で一時的に保留されることなく、硬貨収納カセット42aにダイレクトに収納することができる。このため、硬貨の引渡処理をより迅速に行うことができるようになる。(この場合、上述の「確定キー」「取消キー」は無効となり、収納された硬貨については自動的に引渡処理が確定する。)
ここで、制御部15において、上述のような確定有りモードと確定無しモードの切り換えを行うことができるようになっている。より具体的には、操作者は、操作部45により、確定有りモードおよび確定無しモードのうちいずれか一方のモードを選択することができるようになっている。そして、制御部15は、操作部45により選択されたモードで紙幣や硬貨の処理を行うこととなる。また、操作部45とは別に設けられた図示しない操作部によりモードを選択するようにもできる。これは例えば設置やメンテナンスの担当者が操作する操作部であり、通常の運用時には操作しない操作部である。
更に詳細に説明すると、制御部15において、確定有り継続モード、確定無し継続モードおよび都度選択モードの3つのモードが設けられている。そして、確定有り継続モードが選択されているときには、基本的には貨幣の処理は確定有りモードで行われ、操作者が操作部45により確定有りモードから確定無しモードに切り換えを行わない限り、確定有りモードが継続されることとなる。一方、確定無し継続モードが選択されているときには、基本的には貨幣の処理は確定無しモードで行われ、操作者が操作部45により確定無しモードから確定有りモードに切り換えを行わない限り、確定無しモードが継続されることとなる。また、都度選択モードが選択されているときには、操作者は、操作部45により、毎回の取引において確定有りモードおよび確定無しモードのうちいずれか一方のモードの選択を都度行うこととなる。
また、制御部15は、カードリーダ46により読み取られた、操作者が携帯するIDカードのID情報に基づいて、確定有りモードおよび確定無しモードのうちいずれか一方のモードの選択を行うようになっていてもよい。具体的には、例えば、貨幣処理機10の取り扱いに慣れない者が貨幣処理機10で貨幣の処理を行う場合は、一括搬送部29、37に送られた紙幣や硬貨について貨幣収納部40への引き渡しを行わせるかあるいは返却するかの確認を毎回行わせるために、制御部15は確定有りモードを選択するようにする。一方、貨幣処理機10の取り扱いに慣れた者が貨幣処理機10で貨幣の処理を行う場合は、制御部15は確定無しモードを選択するようになっている。
以上のように本実施の形態の貨幣処理機10によれば、(a)一括搬送部29、37に紙幣や硬貨が送られた後、引渡確定処理の指令が制御部15に与えられたときに一括搬送部29、37から貨幣収納部40に紙幣や硬貨が引き渡されて紙幣や硬貨の管理権限が店舗側(第1の管理権限)から収集業者側(第2の管理権限)に変更されるような確定有りモードと、(b)一括搬送部29、37に紙幣や硬貨が送られた後、自動的に一括搬送部29、37から貨幣収納部40に紙幣や硬貨が引き渡されて紙幣や硬貨の管理権限が店舗側から収集業者側に自動的に変更されるような確定無しモードのうちいずれか一方のモードで紙幣や硬貨の処理を行うようになっている。このように、引渡確定処理の指令が制御部15に与えられたときに紙幣や硬貨の管理権限が店舗側から収集業者側に変更されるような確定有りモードと、一括搬送部29、37に紙幣や硬貨が送られた後、紙幣や硬貨の管理権限が店舗側から収集業者側に自動的に変更されるような確定無しモードのうちいずれか一方のモードを選択することができるようになっているので、紙幣や硬貨の管理権限を店舗側から収集業者側に移すにあたり、確定入力を必要と考える人にも、確定入力が不要であると考える人にも、どちらにも対応することができる。
また、上述のように、制御部15は、確定無しモードにおいて、紙幣投入口21や硬貨投入口31に投入された紙幣や硬貨が全て一括搬送部29、37に送られたとき、あるいは一括搬送部29、37における紙幣や硬貨の量が所定の量(例えば、一括搬送部29、37が紙幣や硬貨で満杯となるような量)に達したときに、一括搬送部29、37から貨幣収納部40に紙幣や硬貨を自動的に引き渡して紙幣や硬貨の管理権限を店舗側から収集業者側に自動的に変更するようになっている。
なお、本実施の形態による貨幣処理機10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
例えば、本実施の形態による貨幣処理機10の紙幣処理装置20や硬貨処理装置30は、以下のような態様となっていてもよい。ここで、紙幣処理装置20や硬貨処理装置30の変形例として、貨幣処理装置30を例として具体的に説明する。一括搬送部37が第1の収納位置aに位置しており、底板37aが第1の位置mに位置しているときに、この一括搬送部37に硬貨が搬送され、貯留繰出部34から硬貨が全て繰り出されることにより当該貯留繰出部34において硬貨が無くなったり、一括搬送部37において硬貨が満杯になったりしたときに、一括搬送部37が第1の収納位置aから第2の収納位置dに移動したり、底板37aが第1の位置mから左方に移動したりすることにより、一括搬送部37にある硬貨が貨幣収納部40の硬貨収納カセット42a、42bに送られる。一方、識別部35aによる硬貨の識別計数中に、搬送部35等において硬貨のジャム(詰まり)等のトラブルが発生した場合には、一括搬送部37を第1の収納位置aから返却位置cに移動させることにより、一括搬送部37にある硬貨を自動的に操作者に返却する。その後、搬送部35にある硬貨を、その下流側端部から直接的に硬貨返却ボックス33aに送ったり、一括搬送部37を経由して硬貨返却ボックス33aに送ったりすることにより、硬貨の自動的な返却が行われる。貯留繰出部34内にある硬貨は、この貯留繰出部34内の下部にある開閉機構が開状態となることにより排除位置bにある一括搬送部37に落下放出され、このことにより自動返却する。あるいは、貯留繰出部34内にある硬貨は、搬送部35に繰り出されることにより、識別部35aで引き続き識別計数して硬貨の処理を継続してもよい。
上述のような貨幣処理機10によれば、紙幣や硬貨の識別計数中に、搬送部25、35等において紙幣や硬貨のジャム(詰まり)等のトラブルが発生した場合でも、貨幣処理機10内にある紙幣や硬貨が第1の管理権限下にあるか第2の管理権限下にあるかの切り分けを明確に行うことができる。このため、トラブルの発生時において搬送部25、35にある紙幣や硬貨が誰のものであるか(第1の管理権限または第2の管理権限のどちらに管理権限下にあるか)を容易に判断することができるようになる。