JP5430849B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質電池に関する。
特許文献1には、電極材料や電池電極の水銀圧入法による細孔分布測定(特に0.2μmよりも小さな領域の細孔分布測定)から材料もしくは電池電極内の粒子の状態を把握して電池性能の向上を図ることが開示されている。しかしながら、特許文献1の発明では十分に出力特性の優れた電池を実現することが困難である。
特開2007−18882号公報
本発明は、出力特性に優れた非水電解質電池を提供することを目的とする。
本発明によると、正極および負極がセパレータを介して配置された電極群と非水電解質とを備えた非水電解質電池であって、
前記負極は、集電体とこの集電体に担持されたリチウムチタン酸化物またはチタン系酸化物からなる活物質粒子を含む負極活物質含有層とを備え、
前記活物質粒子のレーザ粒度分布計による粒度分布は、0.3〜2μmおよび3μm以上10μm以下の範囲にそれぞれピークを有し、0.3〜2μmの範囲の最大頻度(a)および3μm以上10μm以下の最大頻度(b)の比率が0.2≦(b/a)≦1.0であり、かつ
前記負極活物質含有層の細孔分布は、水銀圧入法により得られる細孔径と、増加細孔体積容量、ここで前記増加細孔体積容量は細孔径をD、細孔体積をVとしたとき、−dV/d(logD)により表される、との関係を示す曲線において細孔径が0.8〜6μmのピークにおける最大値(A)と、細孔径が0.04〜0.15μmのピークにおける最大値(B)の比率が1×10 -5 ≦(A)/(B)≦0.5の範囲であることを特徴とする非水電解質電池が提供される。
本発明によれば、出力特性に優れた非水電解質電池を提供できる。
以下、本発明の実施形態に係る非水電解質電池を詳細に説明する。
実施形態に係る非水電解質電池は、正極および負極がセパレータを介して配置された電極群と非水電解質とを備えている。
実施形態の特徴部材である負極について詳述すると、集電体と、集電体の片面もしくは両面に担持され、リチウム化合物を活物質として含み、さらに結着剤および必要により導電剤を含む負極活物質含有層とを有する。負極は、水銀圧入法により得られる細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す曲線において0.8〜6μmと0.04〜0.15μmにそれぞれピークが現われる。
負極活物質含有層に活物質として含まれるリチウム化合物は、例えばリチウム酸化物、リチウム硫化物、リチウム窒化物等を用いることができる。これらの中には、未充電状態ではリチウムを含まないが、充電によりリチウムを含むようになる化合物も含まれる。
リチウム酸化物は、例えばチタン含有金属複合酸化物、SnB0.40.63.1などのアモルファススズ酸化物、SnSiO3などのスズ珪素酸化物、SiOなどの酸化珪素、WO3などのタングステン酸化物等を用いることができる。中でも、チタン含有金属複合酸化物が好ましい。
チタン含有金属複合酸化物は、例えばリチウムチタン酸化物、酸化物合成時はリチウムを含まないチタン系酸化物等を用いることができる。リチウムチタン酸化物は、例えばスピネル構造を有するチタン酸リチウム、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウムなどが挙げられる。スピネル構造を有するチタン酸リチウムは、例えばLi4+xTi512(xは充放電反応により−1≦x≦3の範囲で変化する)などが挙げられる。ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウムは、例えばLi2+yTi37(yは充放電反応により−1≦y≦3の範囲で変化する)などが挙げられる。チタン系酸化物は、例えばTiO2、TiとP、V、Sn、Cu、NiおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物などが挙げられる。TiO2は、アナターゼ型で熱処理温度が300〜500℃の低結晶性のものが好ましい。TiとP、V、Sn、Cu、NiおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物は、例えばTiO2−P25、TiO2−V25、TiO2−P25−SnO2、TiO2−P25−MeO(MeはCu、NiおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素)などを用いることができる。この金属複合酸化物は、結晶性が低く、結晶相とアモルファス相が共存、もしくはアモルファス相単独で存在したミクロ構造を有することが好ましい。このようなミクロ構造の金属複合酸化物は、サイクル性能を大幅に向上させることが可能になる。中でも、リチウムチタン酸化物、TiとP、V、Sn、Cu、NiおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を含有する金属複合酸化物が好ましい。なお、このような金属複合酸化物において、酸素のモル比は酸素ノンストイキオメトリー等の影響によって値は変化しうる。
硫化物は、例えばTiS2などの硫化チタン、MoS2などの硫化モリブデン、FeS、FeS2、LixFeS2などの硫化鉄などが挙げられる。
窒化物は、例えばリチウムコバルト窒化物(例えば、LixCoyN、0<x<4,0<y<0.5)などが挙げられる。
このような活物質の中でも、特にLi4+xTi512のようなスピネル構造を有するチタン酸リチウム、FeS、FeS2から選ばれる1つを含むことが好ましく、最も好ましい活物質はスピネル構造を有するチタン酸リチウムである。
結着剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴムなどを用いることができる。
必要に応じて配合される導電剤は、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラックのようなカーボンブラック、黒鉛、コークス、炭素繊維、金属粉末等を用いることができる。特に、アスペクト比が10〜10000の炭素繊維を導電剤として用いることが好ましい。このような炭素繊維を導電剤として用いることによって、後述する負極作製時に用いられるスラリーの凝集を抑制することが可能になる。これは、凝集粒子間にアスペクト比の大きな炭素繊維を存在させることによって、粒子の凝集を立体障害として作用させることができるためである。ただし炭素繊維を用いただけでは目的のスラリーにすることは困難で、後述する0.2μm以下のジルコニアビーズを用いたビーズミルを施す分散手法を採用することが好ましい。
活物質、結着剤および導電剤の配合割合は、活物質80〜98重量%、結着剤2〜7重量%、導電剤0〜20重量%の範囲にすることが好ましい。
集電体は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔から形成されることが好ましい。集電体は、平均結晶粒径が50μm以下であることが好ましい。このような平均結晶粒径を持つ集電体は、強度を飛躍的に増大できるため、負極を高いプレス圧で高密度化することが可能となり、電池容量を増大させることができる。また、高温環境下(40℃以上)における過放電サイクルでの集電体の溶解・腐食劣化を防ぐことができるため、負極インピーダンスの上昇を抑制することができる。さらに、出力特性、急速充電、充放電サイクル特性も向上させることができる。より好ましい平均結晶粒径は30μm以下、更に好ましくは5μm以下である。
平均結晶粒径は、次のようにして求められる。集電体表面の組織を光学顕微鏡で組織観察し、1mm×1mm内に存在する結晶粒の数nを求める。このnを用いてS=1×106/n(μm2)から平均結晶粒子面積Sを求める。得られたSの値から下記(A)式により平均結晶粒子径d(μm)を算出する。
d=2(S/π)1/2 (A)
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下にすることが望ましい。アルミニウム箔の純度は99%以上にすることが好ましい。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などの元素を含む合金が好ましい。この合金中に含まれる鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属は、その含有量を1重量%以下にすることが好ましい。
このような負極は、水銀圧入法により得られる細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す曲線において0.8〜6μmと0.04〜0.15μmにそれぞれピークが現われるため、出力特性を大幅に向上した非水電解質電池を得ることが可能になる。
すなわち、リチウム化合物を活物質として含む負極活物質含有層を有する負極は炭素を活物質として含む負極に比べ導電性が低いために、水銀圧入法により得られる細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す曲線において0.04〜0.15μm、より好ましくは0.07〜0.12μmにピークが現われる、小さい細孔分布を持たせる必要がある。しかしながら、0.04〜0.15μmにピークが現われる、小さな細孔分布を有する負極は非水電解質(非水電解液)の十分な含浸が困難である。
このようなことから、水銀圧入法により得られる細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す曲線において0.8〜6μm、より好ましくは1〜3μmにピークが現われる、比較的大きな細孔分布を0.04〜0.15μm、より好ましくは0.07〜0.12μmにピークが現われる、細孔分布を有する負極内に共存させることによって、非水電解液の含浸を促進できるため、出力特性が大幅に改善された非水電解質電池を得ることができる。
特に、水銀圧入法による細孔分布における0.8μm〜6μmのピークの最大値(A)と0.04〜0.15μmのピークの最大値(B)の比率は、1×10-5≦(A)/(B)≦0.5にすることが好ましい。この比率[(A)/(B)]を1×10-5未満にすると、負極への非水電解液の含浸性を向上させることが困難になる。一方、比率[(A)/(B)]が0.5を超えると、負極に非水電解液を十分に含浸できるものの、出力特性が下がる虞がある。より好ましい前記比率[(A)/(B)]は1×10-3≦(A)/(B)≦0.2である。
ここで水銀圧入法による細孔径分布測定について説明する。負極を50mm×50mmに切り取り、3つの試料について水銀圧入法で細孔径分布の測定を行い、それらの平均値を細孔径分布の測定値とした。この際、細孔体積および細孔表面積における重量は集電体の重量を除いた負極活物質含有層の値を用いた。
また、細孔径と増加細孔体積容量との関係とは水銀圧入法から得られる細孔径と累積細孔体積の関係を対数微分したものであり、細孔径をD、細孔体積をVとしたとき、増加細孔体積容量は−dV/d(logD)により表される。したがって、細孔径と増加細孔体積容量との関係とは粉体における細孔径の頻度分布曲線にほぼ一致する。
次に、前述した特性を有する負極の作製方法を説明する。
活物質、結着剤および必要により導電剤を適当な溶媒に懸濁させ、このスラリーをアルミニウム箔などの集電体に塗布、乾燥、プレスして帯状の負極を作製する。
スラリーの調製にあたっては、レーザ粒度分布計における粒度分布が0.3〜2μmおよび2μmを超え(好ましくは3μm以上)、10μm以下の範囲にそれぞれピークを有し、さらに0.3〜2μmの範囲の最大頻度(a)および2μmを超え(好ましくは3μm以上)、10μm以下の最大頻度(b)の比率が0.2≦(b/a)≦1.0になるようにする。0.3〜2μmの範囲に分布のピークを持つスラリーの調製は平均粒径が0.3〜2μmの範囲内の活物質を用いる必要がある。平均粒径が0.3〜2μmと小さい粒子を適当な溶媒中に懸濁させると、スラリー内で凝集する。通常の混練や分散ではこの凝集を回避することは困難であるため、前記(b/a)の値は1.0より大きな値になる。このため、実施形態ではスラリー調製時に主に活物質粒子に弱い衝撃力を粒子に付与して凝集を回避(解消)することを可能にする。具体的には、スラリー調製時に0.2μm以下のジルコニアビーズを用いたビーズミルを施すことによって、目的の前記粒度分布を持つスラリーを得ることができる。このようなスラリーを用いることによって、水銀圧入法により得られる細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す曲線において0.8〜6μmと0.04〜0.15μmにそれぞれピークが現われる負極を作製することが可能になり、出力特性に優れた非水電解質電池を得ることができる。
次に、負極以外の非水電解質電池の構成部材について詳細に説明する。
1)正極
正極は、集電体と、前記集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質、導電剤および結着剤を含む正極活物質含有層とを有する。
この正極は、例えば活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁させてスラリーを調製した後、このスラリーをアルミニウム箔などの集電体に塗布、乾燥、プレスして帯状電極にすることにより作製される。
活物質は、種々の酸化物、硫化物等を用いることができる。例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(LixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物{例えばLiNi1-y-zCoyz2(MはAl,CrおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素)、0≦y≦0.5、0≦z≦0.1}、リチウムマンガンコバルト複合酸化物{例えばLiMn1-y-zCoyz2(MはAl,CrおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素)、0≦y≦0.5、0≦z≦0.1}、リチウムマンガンニッケル複合化合物{例えばLiMnxNix1-2x2(MはCo,Cr,AlおよびFeからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素、1/3≦x≦1/2;例えばLiMn1/3Ni1/3Co1/32、LiMn1/2Ni1/22}、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2-yNiy4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(LixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4など)、硫酸鉄(Fe2(SO43)、バナジウム酸化物(例えばV25)などが挙げられる。また、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料、イオウ(S)、フッ化カーボンなどの有機材料および無機材料も用いることができる。なお、前記化学式においてx、y、zについて規定がない場合は、それぞれ0以上1以下の範囲であることが好ましい。
より好ましい活物質は、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムマンガンニッケル複合化合物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウムリン酸鉄が挙げられる。これらの活物質を用いることによって、高電圧の非水電解質電池を得ることができる。
導電剤は、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛、コークス等を用いることができる。
結着剤は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム等を用いることができる。
活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
集電体は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔から形成されることが望ましい。アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の平均結晶粒径は50μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは5μm以下であることが望ましい。平均結晶粒径を50μm以下にすることによって、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の強度を飛躍的に増大させることができるため、正極を高いプレス圧で高密度化することが可能になり、電池容量を増大させることができる。なお、平均結晶粒径は前記負極での説明と同様な方法で求めることができる。
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の平均結晶粒径は、材料組織、不純物、加工条件、熱処理履歴、ならびに焼鈍条件など複数の因子から複雑な影響を受けて変化する。結晶粒径は、集電体の製造工程の中で、前記諸因子を組合せて調整することが可能である。
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。アルミニウム箔の純度は99%以上が好ましい。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、ケイ素、などの元素を含む合金が好ましい。一方、前記合金中に鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属を含む場合、その含有量は1重量%以下にすることが好ましい。
2)非水電解質
この非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解される電解質塩を含む。また、非水溶媒中にはポリマーを含んでもよい。
電解質塩は、例えばLiPF6、LiBF4、Li(CF3SO22N(ビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム;通称LiTFSI)、LiCF3SO3(通称LiTFS)、Li(C25SO22N(ビスペンタフルオロエタンスルホニルアミドリチウム;通称LiBETI)、LiClO4、LiAsF6、LiSbF6、ビスオキサラトホウ酸リチウム(LiB(C242(通称LiBOB))、ジフルオロ(トリフルオロ−2−オキシド−2−トリフルオロ−メチルプロピオナト(2−)−0,0)ホウ酸リチウム(LiBF2(OCOOC(CF32)(通称LiBF2(HHIB)))等のリチウム塩が挙げられる。これらの電解質塩は一種類で使用してもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。特にLiPF6、LiBF4が好ましい。
電解質塩濃度は、1.5M以上、3M以下にすることが好ましい。このような電解質濃度の規定によって、電解質塩濃度の上昇による粘度増加の影響を抑えつつ、高負荷電流を流した場合の性能をより向上することが可能になる。
非水溶媒は、特に限定されるものではないが、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(GBL)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeHF)、1,3−ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル(AN)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネイト(DMC)、メチルエチルカーボネイト(MEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等を用いることができる。これらの溶媒は一種類で使用してもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。中でもγ−ブチロラクトンが好ましい。また、溶媒を二種類以上組み合わせる場合、すべての溶媒に誘電率が20以上のものの中から選ぶことが好ましい。
非水電解質には、添加剤が加えられてもよい。添加剤は、特に限定されるものではないが、ビニレンカーボネイト(VC)、ビニレンアセテート(VA)、ビニレンブチレート、ビニレンヘキサネート、ビニレンクロトネート、カテコールカーボネート等が挙げられる。添加剤の濃度は、非水電解質に対して外率で0.1重量%以上、3重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以上、1重量%以下である。
3)セパレータ
セパレータは、例えばポリオレフィン、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロン等のポリマーから得られる多孔質フィルムまたは不織布が用いられる。ここでセパレータの材料は1種類もしくは2種類以上の組み合わせから選ばれる。特にポリオレフィン、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロンのいずれかからなる不織布が好ましい。前述したように0.04〜0.2μmの細孔を有する電極は非水電解液の含浸が困難である。非水電解質電池において非水電解液の含浸はセパレータ→電極の順番で進行する。細孔が大きく電解液の含浸の容易なポリオレフィン、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロンのいずれかからなる不織布をセパレータに用いることによって、電解液の含浸を促進できるため、出力特性の向上に有益である。
このような実施形態に係る非水電解質電池、例えば角型非水電解質電池を図1および図2を参照して詳細に説明する。図1は、実施形態に係る非水電解質電池を示す部分切欠斜視図、図2は図1のA部の拡大断面図である。
例えばアルミニウム製の有底矩形筒体1の開口部にはアルミニウム製の矩形蓋体2が取り付けられている。扁平状の電極群3は、有底矩形筒体1内に収納されている。電極群3は、図2に示すように正極4および前述した特徴を持つ負極5をセパレータ6を挟んでかつ外周面にセパレータ6が位置するように渦巻状に捲回し、プレス成型することにより作製される。正極4は、例えば集電体4aと、この集電体4aの両面に形成された正極活物質含有層4bとから構成されている。正極リードタブ7は、正極4の集電体4aに一体的に接続されている。負極5は、例えば集電体5aと、この集電体5aの両面に形成された負極活物質含有層5bとから構成されている。負極リードタブ8は、集電体5aに一体的に接続されている。非水電解液は、有底矩形筒体1内に収容されている。
例えば板状の正極端子9は、蓋体2に挿着されている。有底矩形筒体1内に位置する正極端子9の端部付近には、正極リードタブ7が接続されている。例えば板状の負極端子10は、蓋体2に例えばガラス材11を介在するハーメティックシールにより挿着されている。有底矩形筒体1内に位置する負極端子10の端部付近には、負極リードタブ8が接続されている。なお、負極端子10は、蓋体2に樹脂を介してかしめにより挿着してもよい。
以上説明したように、実施形態によればリチウム化合物を活物質として含み、水銀圧入法により得られる細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す曲線において0.8〜6μmと0.04〜0.15μmにそれぞれピークが現われる負極を備えることによって、出力特性を大幅に向上した非水電解質電池を得ることが可能になる。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
<正極の作製>
正極活物質にLiCoO2を用い、これに導電剤として正極全体に対して8重量%の割りになるように黒鉛粉末、結着剤として正極全体に対して5重量%となるようにPVdFをそれぞれ配合し、n−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔に塗布、乾燥、プレス工程を経て電極密度3.3g/cm3の正極を作製した。
<負極の作製>
負極活物質にLi4Ti512を用い、導電剤としてグラファイトを負極全体に対して8重量%、アスペクト比が200の炭素繊維を2重量%になるように、結着剤としてPVdFを負極全体に対して3重量%となるようにそれぞれ配合し、n−メチルピロリドン(NMP)溶液中で混合することによりスラリーを調製した。このスラリーの固形分比(固形分重量/スラリー全重量)は40%とし、分散には0.1mm径のジルコニアビーズを用いるビーズミルを行った。得られたスラリーのレーザ粒度分布計による粒度分布を図3に示す。図3から明らかなように0.72μmと3.8μmにそれぞれ粒度分布のピークが現われ、0.72μmの最大頻度(a)と3.8μmの最大頻度(b)の比率(b/a)は0.64であった。
得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔からなる集電体に塗布し、乾燥し、プレスすることにより電極密度2.1g/cm3の負極を作製した。
図4に曲線は、得られた負極の水銀圧入法による細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す。図4に示す曲線には、0.088μmと2.2μmにそれぞれピークが現われ、前者のピークの最大値(B)と後者のピークの最大値(A)の比率[(A)/(B)]は0.12であった。
<非水電解質の調製>
EC+PC+GBL=1:1:4(体積比)の混合溶媒に2MのLiBF4を混合し非水電解質を調製した。
<電池の組み立て>
前記非水電解質をセルロース製不織布からなるセパレータに含浸した後、このセパレータで正極を覆い、負極をセパレータを介して正極と対向するように重ねて渦巻状に捲回し、渦巻状の電極群を作製した。この電極群にプレスを施すことにより、扁平状に成形した。厚さ0.3mmのアルミニウムからなる有底矩形筒体に扁平状に成形した電極群を挿入し、図1に示す厚さ3.0mm、幅35mm、高さ65mmの角型非水電解質電池を製造した。
(実施例2)
導電剤として負極全体重量に対して10重量%のグラファイトを用いた以外、実施例1と同様に負極を作製し、さらにこの負極を組み込んだ非水電解質電池を製造した。作製した負極の水銀圧入法による細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す曲線において、0.086μmと2.4μmにそれぞれピークが現われ、前者のピークの最大値(B)と後者のピークの最大値(A)の比率[(A)/(B)]は0.08であった。
(実施例3)
セパレータとしてポリエチレンの多孔質フィルムを用いた以外、実施例1と同様の非水電解質電池を製造した。
(比較例1)
スラリーの固形分比を60%、0.1mm径のジルコニアビーズの代わりに1.0mm径のジルコニアビーズを用いたビーズミルで分散を行った以外は、実施例1と同様に負極を作製し、さらにこの負極を組み込んだ非水電解質電池を製造した。作製した負極の水銀圧入法による細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す曲線において、0.12μmにのみピークが現われ、0.8〜3μmの範囲にはピークが現われなかった。
得られた実施例1〜3および比較例1の非水電解質電池を50%の充電状態で1Cおよび5Cの放電を10秒間行い、そのときの終止電圧から10秒後に電池電圧が1.5Vに達するときの電流値を外挿法により求め、その値から出力値をそれぞれ算出した。その結果を下記表1に示す。
Figure 0005430849
前記表1から明らかなように水銀圧入法により得られる細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す曲線において0.8〜6μmと0.04〜0.15μmにそれぞれピークが現われる負極を備えた実施例1〜3の非水電解質電池は、水銀圧入法により得られる細孔径と増加細孔体積容量との関係を示す曲線において0.04〜0.15μmにのみピークが現われる負極を備えた比較例1の非水電解質電池に比べて高い出力値を有することがわかる。
本発明の実施形態に係わる非水電解質電池の一例を示す部分切欠側面図。 図1のA部の拡大断面図。 実施例1に用いられるスラリーのレーザ粒度分布計で得られた粒度分布を示す図。 実施例1で得られた負極の細孔径と増加細孔体積容量の関係を示す曲線図。
符号の説明
1…有底矩形筒体、2…矩形蓋体、3…電極群、4…正極、4a…集電体、4b…正極活物質含有層、5…負極、5a…集電体、5b…負極活物質含有層、6…セパレータ。

Claims (3)

  1. 正極および負極がセパレータを介して配置された電極群と非水電解質とを備えた非水電解質電池であって、
    前記負極は、集電体とこの集電体に担持されたリチウムチタン酸化物またはチタン系酸化物からなる活物質粒子を含む負極活物質含有層とを備え、
    前記活物質粒子のレーザ粒度分布計による粒度分布は、0.3〜2μmおよび3μm以上10μm以下の範囲にそれぞれピークを有し、0.3〜2μmの範囲の最大頻度(a)および3μm以上10μm以下の最大頻度(b)の比率が0.2≦(b/a)≦1.0であり、かつ
    前記負極活物質含有層の細孔分布は、水銀圧入法により得られる細孔径と、増加細孔体積容量、ここで前記増加細孔体積容量は細孔径をD、細孔体積をVとしたとき、−dV/d(logD)により表される、との関係を示す曲線において細孔径が0.8〜6μmのピークにおける最大値(A)と、細孔径が0.04〜0.15μmのピークにおける最大値(B)の比率が1×10 -5 ≦(A)/(B)≦0.5の範囲であることを特徴とする非水電解質電池。
  2. 前記負極の負極活物質含有層は、アスペクト比が10〜10000の炭素繊維を導電剤として含むことを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
  3. 前記セパレータは、ポリオレフィン、セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ビニロンから選択される不織布であることを特徴とする請求項1または2記載の非水電解質電池。
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