JP5430457B2 - 記録テープカートリッジ - Google Patents

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Description

本発明は、磁気テープ等の記録テープが巻装されたリールを備えた記録テープカートリッジに関し、更に詳しくはセキュリティー機能を備えた記録テープカートリッジに関する。
従来から、磁気テープ等の記録テープをリールに巻装し、そのリールをケース内に単一で収容してなる記録テープカートリッジが知られている。この記録テープカートリッジは、コンピューター等のデータ記録再生媒体(データバックアップ)として使用されることが多いため、盗難防止用のセキュリティー対策が施されることがある。
例えば、所定のセキュリティーエリアから記録テープカートリッジが搬出されると、そのセキュリティーエリアの出入口に設けられたセキュリティゲート等から警報音が発生して、記録テープカートリッジの盗難が心理的に防止されるように、記録テープカートリッジのケース内には、外部と送受信可能なセキュリティータグが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−129531号公報
しかしながら、特許文献1に記載のセキュリティータグは、収納容器にほぼ全体が収納され、その収納容器がケース内に収容されることで、ケース内に設けられているため、そのセキュリティータグの設計の自由度が少なく、かつ収納容器の製造コストが高くなる不具合がある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、セキュリティータグの設計の自由度を向上でき、かつ製造コストの低減が図れる記録テープカートリッジを得ることを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の記録テープカートリッジは、記録テープが巻装されたリールを収容するケースと、前記ケース内に設けられ、外部と送受信可能な柱状のセキュリティータグと、前記ケース内に設けられ、前記セキュリティータグを前記リールの軸方向と、該軸方向と直交する方向に存在する前記ケースの壁部へ押圧して保持する保持部が一端側に形成されるとともに、前記ケース内に形成された被嵌合部に嵌合される嵌合部が他端側に形成された保持部材と、を有することを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、保持部材に形成された保持部がセキュリティータグをリールの軸方向と、その軸方向と直交する方向に存在するケースの壁部へ押圧して保持する。つまり、この保持部材は、リールの軸方向と、その軸方向と直交する方向とからしかセキュリティータグに接触しない。したがって、この保持部材は、セキュリティータグの形状が変更されても保持することができ、セキュリティータグの設計の自由度を向上させることができる。また、これにより、保持部の大きさ(体積)を小さくすることができるため、保持部材の製造コストを低減させることができる。したがって、記録テープカートリッジの製造コストを低減させることができる。
また、請求項2に記載の記録テープカートリッジは、請求項1に記載の記録テープカートリッジにおいて、前記セキュリティータグが、前記リールの軸方向から見て、少なくとも前記保持部と、該保持部に押圧されることによって突き当てられる前記ケースの第1壁部及び第2壁部と、により前記軸方向と直交する方向が保持されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、セキュリティータグの遊動を防止することができる。したがって、セキュリティータグが遊動によって損傷するのを防止することができる。
また、請求項3に記載の記録テープカートリッジは、請求項1又は請求項2に記載の記録テープカートリッジにおいて、前記保持部材が、前記ケース内に前記セキュリティータグが設けられた状態で、前記ケース内に装着可能に形成されていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、セキュリティータグの形状が変更されても、保持部材を装着することができる。したがって、セキュリティータグの設計の自由度を向上させることができる。
また、請求項4に記載の記録テープカートリッジは、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の記録テープカートリッジにおいて、前記ケースが、上ケースと下ケースとからなり、前記被嵌合部が、前記下ケースに形成されて前記上ケース側へ突出する凸型形状に形成されるとともに、前記嵌合部が、前記被嵌合部を圧入させる筒型形状に形成されていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、保持部材の嵌合部が筒型形状とされ、その嵌合部に被嵌合部が圧入する。したがって、保持部材のリールの軸方向への移動及び被嵌合部を中心とした回動を抑制又は防止することができ、セキュリティータグのリールの軸方向への移動及び被嵌合部を中心とした回動を抑制又は防止することができる。
また、請求項5に記載の記録テープカートリッジは、請求項4に記載の記録テープカートリッジにおいて、前記被嵌合部が、前記上ケースと前記下ケースとをビスで接合するためのビスボスであり、前記嵌合部が、前記ビスボスを圧入させる円筒型形状に形成されるとともに、前記保持部材が、前記ビスボスに対して回動不能となるように、前記下ケースの被係止部に係止される係止部を有することを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、上ケースと下ケースとをビスで接合するためのビスボスに、保持部材の円筒型形状とされた嵌合部が圧入される。そして、その保持部材は、下ケースの被係止部に係止される係止部によってビスボスに対して回動不能とされる。ここで、そのビスボスは寸法精度が高い。したがって、セキュリティータグの配設位置を安定させることができ、それによって、通信性能を向上させることができる。また、保持部材を固定することができるため、その保持部材が上ケースと下ケースとの間に咬み込まれることがない。よって、ケースの組立性を向上させることができる。
また、請求項6に記載の記録テープカートリッジは、請求項5に記載の記録テープカートリッジにおいて、前記保持部材が、樹脂材で成形されており、前記係止部にゲート跡が形成されていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、係止部にゲート跡が形成されている。ここで、係止部は、ケースの被係止部に係止されるため、ある程度の剛性が必要であり、肉厚に形成される。したがって、その係止部にゲートがあると(係止部から樹脂材が注入されると)、保持部材を成形する際の樹脂圧力が伝達され易い。よって、保持部材の寸法精度を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、セキュリティータグの設計の自由度を向上でき、かつ製造コストの低減が図れる記録テープカートリッジを提供することができる。
記録テープカートリッジの概略斜視図 第1実施例に係る保持部材を備えた記録テープカートリッジを上方から見た場合の概略分解斜視図 第1実施例に係る保持部材を備えた記録テープカートリッジを下方から見た場合の概略分解斜視図 第1実施例に係る保持部材の概略斜視図 第1実施例に係る保持部材の概略平面図 第1実施例に係る保持部材の概略底面図 第1実施例に係る保持部材における嵌合部の概略断面図 横置きされたセキュリティータグを保持した第1実施例に係る保持部材を示す下ケースの概略斜視図 横置きされたセキュリティータグを保持した第1実施例に係る保持部材を示す下ケースの概略平面図 横置きされたセキュリティータグを保持した第1実施例に係る保持部材を示す下ケースの概略断面図 横置きされたセキュリティータグを保持した第1実施例に係る保持部材を示す下ケースの概略断面図 縦置きされたセキュリティータグを保持した第1実施例に係る保持部材を示す下ケースの概略斜視図 第2実施例に係る保持部材の概略斜視図 第2実施例に係る保持部材の概略底面図 横置きされたセキュリティータグを保持した第2実施例に係る保持部材を示す下ケースの概略斜視図 横置きされたセキュリティータグを保持した第2実施例に係る保持部材を示す下ケースの概略平面図 第3実施例に係る保持部材の概略斜視図 第3実施例に係る保持部材の概略底面図 横置きされたセキュリティータグを保持した第3実施例に係る保持部材を示す下ケースの概略斜視図 横置きされたセキュリティータグを保持した第3実施例に係る保持部材を示す下ケースの概略平面図
以下、本発明の実施の形態について、図面に示す実施例を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図1において、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填方向を矢印Aで示し、それを記録テープカートリッジ10の前方向(前側)とする。そして、矢印Aと直交する矢印B方向を右方向(右側)とする。また、矢印A方向及び矢印B方向と直交する方向を矢印Cで示し、それを記録テープカートリッジ10の上方向(上側)とする。まず最初に、記録テープカートリッジ10の概略構成について説明する。
図1〜図3で示すように、記録テープカートリッジ10は、略矩形箱状のケース12を有している。このケース12は、ポリカーボネート(PC)等の樹脂製の上ケース14と下ケース16とが、それぞれ天板14Aの周縁に立設された周壁14Bと、底板16Aの周縁に立設された周壁16Bとを互いに当接させた状態で、ビス止めによって接合されて構成されている。
すなわち、上ケース14及び下ケース16には、ビスボス15がそれぞれ各コーナー部近傍に形成されており、下ケース16の下面側から、そのビスボス15に図示しないビスが螺合されることにより、ケース12が組み立てられるようになっている。そして、ケース12の内部には、リール20が1つだけ回転可能に収容されている。
このリール20は、軸心部を構成する有底円筒状のリールハブ22と、その下端部に設けられる下フランジ26とが一体に成形され、上フランジ24がリールハブ22の上端部に超音波溶着されて構成されている。そして、そのリールハブ22の外周面に、情報記録再生媒体としての磁気テープ等の記録テープTが巻回され、上フランジ24及び下フランジ26によって、その巻回された記録テープTの幅方向の端部が保持されている。
また、リールハブ22の底壁(底部)28の下面(外面)には、リールギア44が環状に形成されており、下ケース16の中央部には、そのリールギア44を外部に露出するためのギア開口40が穿設されている。このギア開口40から露出されるリールギア44が、ドライブ装置の回転シャフト(図示省略)に形成された駆動ギア(図示省略)に噛合されて回転駆動されることにより、ケース12内において、リール20がケース12に対して相対回転可能とされている。
また、底壁28の下面におけるリールギア44の径方向内側には、磁性材料でできた環状金属板であるリールプレート46が、インサート成形により、同軸的かつ一体的に固着されており、ドライブ装置の回転シャフトに設けられた環状のマグネット(図示省略)の磁力によって吸着・保持されるようになっている。
更に、リール20は、上ケース14の天板14A内面及び下ケース16の底板16A内面にそれぞれ部分的に突設されて、ギア開口40と同軸的な円形の軌跡上にある、リール20の収容エリアを規定する内壁としての遊動規制壁42によって、ガタつかないように保持されている。
また、ケース12の右壁12Bには、リール20に巻装された記録テープTを引き出すための開口18が形成されており、この開口18から引き出される記録テープTの自由端部には、ドライブ装置の引出部材(図示省略)によって係止(係合)されつつ引き出し操作されるリーダー部材としてのリーダーピン30が固着されている。そして、記録テープTの幅方向端部より突出したリーダーピン30の両端部には、環状溝32が形成されており、この環状溝32が引出部材のフック等に係止されるようになっている。
また、ケース12の開口18の内側、即ち上ケース14の天板14A内面及び下ケース16の底板16A内面には、ケース12内においてリーダーピン30を位置決めして保持する上下一対のピン保持部36が設けられている。このピン保持部36は、記録テープTの引き出し側が開放された略半円形状をしており、直立状態のリーダーピン30の両端部34は、その開放側からピン保持部36内に出入可能とされている。
また、ピン保持部36の近傍には、板バネ38が固定配置されるようになっており、この板バネ38の二股状の先端部がリーダーピン30の上下両端部34にそれぞれ係合してリーダーピン30をピン保持部36に保持するようになっている。なお、リーダーピン30がピン保持部36に出入する際には、板バネ38の先端部は適宜弾性変形してリーダーピン30の移動を許容する構成である。
また、その開口18は、ドア50によって開閉される。このドア50は、開口18を閉塞可能な大きさの略矩形板状に形成され、ケース12の右壁12Bに沿って移動できるように、開口18内側の天板14A及び底板16Aには、ドア50の上下端部を摺動可能に嵌入させる溝部64が形成されている。
また、ドア50の後端部中央には、シャフト52が突設されており、そのシャフト52には、コイルバネ58が挿嵌されている。そして、シャフト52の後端には、そのコイルバネ58を脱落防止とする拡開部54が形成されている。また、下ケース16には、そのシャフト52に挿嵌されたコイルバネ58の後端を係止する係止部62を有する支持台60が突設されている。
したがって、ドア50は、シャフト52が支持台60上に摺動自在に支持されるとともに、コイルバネ58の後端が係止部62に係止されることにより、そのコイルバネ58の付勢力によって、常時開口18の閉塞方向へ付勢される構成である。なお、開口18の開放時、シャフト52を支持する支持台66を支持台60の後方側に更に突設しておくことが好ましい。
また、ドア50の前端部には、開閉操作用の凸部56が外方に向かって突設されている。この凸部56が、記録テープカートリッジ10のドライブ装置への装填に伴い、そのドライブ装置側の開閉部材(図示省略)と係合するようになっている。これにより、ドア50がコイルバネ58の付勢力に抗して開放される構成である。
また、図2、図3で示すように、ケース12の左後部には、記録テープTへの記録可・不可が設定されるライトプロテクト70が左右方向にスライド可能に設けられており、ケース12の後壁12Dには、このライトプロテクト70を人手で操作するための操作突起72を突出させる開孔68が形成されている。この開孔68は、上ケース14と下ケース16とを接合したときに、上ケース14の周壁14Bに形成された切欠部68Aと、下ケース16の周壁16Bに形成された切欠部68Bとによって形成される構成である。
また更に、下ケース16の底板16Aには、ライトプロテクト70の突部74が露出される長孔69が左右方向に長く穿設されており、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されたときに、そのドライブ装置側でライトプロテクト70の位置を検知して、記録テープTへの記録可・不可が自動的に判断されるようになっている。なお、この突部74は下ケース16の底板16Aの下面から突出することはない。また、図2で示すように、ケース12の右後部には、記録容量、記録形式等の各種情報が記憶されたメモリーボードMが所定の傾斜角度(例えば45°)で配置されるようになっている。
また、図2、図3で示すように、リールハブ22の底壁28の上面周縁には、係合ギア48が所定の間隙を隔てて(等間隔に)複数(例えば120°間隔で3個)立設されており、その係合ギア48の間で、リールギア44上となる所定位置には、貫通孔28Aが複数(この場合は120°間隔で3個)穿設されている。そして、そのリールハブ22の内部には、樹脂材で成形された円板状の制動部材80が挿設される。
制動部材80の下面80A周縁には、係合ギア48と噛合可能な制動ギア84が環状に形成されており、制動部材80の上面には、上ケース14の天板14A内面から下方へ向かって突設された平面視略十字状の回転規制リブ76が内部に挿入される平面視略十字状の係合突起86が、その回転規制リブ76の高さよりも若干高くなるように立設されている。これにより、制動部材80はケース12(上ケース14)に対して回転不能とされるとともに、リールハブ22内において、上下方向に移動可能とされる。
また、上ケース14と制動部材80との間には圧縮コイルスプリング98が配設される。すなわち、圧縮コイルスプリング98の一端が上ケース14の回転規制リブ76の外側に突設された環状突起78の内側(回転規制リブ76と環状突起78の間)に当接し、他端が制動部材80の上面に設けられた環状溝88内に当接した状態に配設される。この圧縮コイルスプリング98の付勢力により、制動部材80は、常時下方に向かって付勢される。
したがって、記録テープカートリッジ10は、不使用時(ドライブ装置に装填されないとき)において、常時制動ギア84が係合ギア48と噛合する状態とされて、リール20のケース12に対する相対回転が阻止された回転ロック状態とされる。なお、このとき、リール20は、この付勢力によって下ケース16側に押し付けられ、リールギア44をギア開口40から露出させる。
また、リールハブ22の内部で、かつ制動部材80の下側(底壁28と制動部材80との間)には、樹脂材で成形された平面視略正三角形状の解除部材90が挿設される。解除部材90には、適宜位置に所定の形状とされた貫通孔92が複数(図示のものは3つ)穿設されており、解除部材90の軽量化が図られている。そして、解除部材90の下面で、かつ各頂点部分には、貫通孔28Aに挿通されて底壁28の下面からリールギア44上に所定高さ突出する脚部94が突設されている。
また、解除部材90の上面90A中央には平面状の支持凸部96が形成されており、制動部材80の下面80A中央に突設された略半球状の解除突起82が当接するようになっている(図2、図3参照)。これにより、制動部材80と解除部材90との接触面積が低減され、使用時(リール20の回転時)における摺動抵抗が軽減される構成である。
また、下ケース16の底板16A下面における前壁12A側には、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されたときに、そのドライブ装置に設けられた位置決め部材(図示省略)が挿入される位置決め用の穴部102、104が左右方向に離隔して形成されている(図3参照)。
右側の穴部102は略円形状に形成され、左側の穴部104は左右方向に長い略楕円形状に形成されている。これにより、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に左右方向に多少ずれて装填されても、その位置決め部材が確実に挿入される構成であり、その位置ずれが矯正される構成である。そして、下ケース16の底板16A内面には、その穴部102、104を構成するボスとしての袋部103、105が、上ケース14側へ突出する凸形状(突起形状)に形成されている(図2参照)。
また、下ケース16の穴部104(袋部105)の前方側における前壁12A(周壁16B)には、底面視略「V」字状の凹部106が形成されている(図1〜図3参照)。この凹部106は、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に装填されたときに、そのドライブ装置に設けられた位置規制部材(図示省略)が係合するようになっており、これによって、記録テープカートリッジ10の装填方向の位置が規制されるようになっている。
そして、その前壁12A(周壁16B)の内面には、凹部106を構成したことによって後方へ向かって張り出された平面視略三角形状の張出壁部107が形成されている(図2参照)。また、この張出壁部107の左側壁には、左斜め後方に向かって同一高さの立壁108が一体に連設されており、その立壁108は、下ケース16の左壁12C(周壁16B)とも同一高さで一体に連設されている(図8、図9参照)。
そして、その立壁108と、その立壁108から連設された周壁16Bと、張出壁部107と、ケース12の左前コーナー部におけるビスボス15と、遊動規制壁42と、袋部105とでほぼ囲まれた空間が設置スペース100とされ、その設置スペース100内に、後述するセキュリティータグ110が配置され、後述する保持部材120によって、そのセキュリティータグ110が保持されるようになっている。
そこで次に、記録テープカートリッジ10に付加されたセキュリティー機能について説明する。すなわち、所定のセキュリティーエリアから記録テープカートリッジ10が搬出されるのを防止するために、その記録テープカートリッジ10のケース12内に設けられたセキュリティータグ110と、そのセキュリティータグ110を保持する第1実施例に係る保持部材120について説明する。
セキュリティータグ110は、両端部にフランジが形成された円柱状の磁性コアと、磁性コアにおける各フランジで挟まれた外周面に線材を巻回して形成されたコイルと、を備えて、全体として円柱状に構成されている(図2、図3、図8、図9参照)。そして、巻線の両端にはコンデンサ(図示省略)のリード端子が並列接続されており、セキュリティーエリアのセキュリティゲート(図示省略)に設けられた発信アンテナ及び受信アンテナ(外部)と送受信可能に構成されている。
つまり、このセキュリティータグ110を内蔵した記録テープカートリッジ10が、セキュリティーエリアの出入口に対向配置されたセキュリティゲートを通過すると、そのセキュリティゲートに設けられた発信アンテナ及び受信アンテナと、記録テープカートリッジ10のケース12内に設けられたセキュリティータグ110との間で電波が送受信され、記録テープカートリッジ10がセキュリティーエリアから搬出されたことが検知されるようになっている。
したがって、この検知により、そのセキュリティーエリア(セキュリティゲート等)から警報音等が発生するようなシステムとすれば、記録テープカートリッジ10の盗難や不用意な持ち出し(搬出)を心理的に防止することができる。なお、本実施形態に係るセキュリティータグ110は、円柱状に形成されているが、これに限定されるものではなく、柱状(棒状)に形成されてさえいれば、例えば角柱状や円筒状等に形成されていてもよい。
一方、保持部材120は、樹脂材で成形されており、図4〜図9で示すように、一端側にセキュリティータグ110を保持する保持部122を有し、他端側にケース12(下ケース16)に取り付けられる嵌合部124を有している。嵌合部124は、下ケース16の底板16A内面に突設された被嵌合部としてのビスボス15に上方から圧入によって挿嵌(嵌合)される円筒型形状に形成されている。
すなわち、図5〜図7で詳細に示すように、この嵌合部124の内周面の一部には、上部側が下部側よりも径方向内側へ向けて大きく張り出す略平板状の張出部126が形成されており、その張出部126によって、嵌合部124の一部の内径が、他の部位の内径よりも小さくなるように構成されている。
したがって、ビスボス15は、その張出部126によって、嵌合部124に圧入される(抵抗を有して嵌合される)構成であり、これによって、嵌合部124のビスボス15からの抜け落ち(上方向への移動)が防止されるとともに、ビスボス15を中心とした嵌合部124(保持部材120)の回動が抑制又は防止されるようになっている。
保持部122は、下ケース16の設置スペース100内に配置されたセキュリティータグ110を、上側(リール20の軸方向)と横側(リール20の軸方向と直交する方向:以下「水平方向」という場合がある)とから押さえて保持できるような平坦な壁部を備えた形状とされている。
すなわち、この保持部122は、図4、図5で示すように、嵌合部124の外周面の上端部から幅広な平面視略「J」字状に一体に延設され、下方向を向く壁面を備えた平板状の押さえ部122Aと、図4、図6で示すように、押さえ部122Aの下側で、かつ嵌合部124の外周面から底面視略「L」字状に一体(押さえ部122Aとも一体)に延設され、水平方向を向く壁面を備えた平板状の押圧部122Bと、を有している。
なお、図6、図9で示すように、押さえ部122Aの延設方向の長さDは、セキュリティータグ110の半径より長い方が望ましいが、直径より短くても構わない。また、押さえ部122Aの長さDと直交する幅Wは、セキュリティータグ110の長さより短くて構わない。同様に、押圧部122Bの幅Wも、セキュリティータグ110の長さより短くて構わないが、押圧部122Bの高さHは、図10で示すように、セキュリティータグ110の直径と略同一とされることが望ましい。
また、嵌合部124の外周面で、かつ押さえ部122Aとは反対側の上端部には、係止部としての舌片状(先端が円弧状)のリブ128が一体に突設されている。このリブ128は、セキュリティータグ110が置かれた下ケース16の設置スペース100内に保持部材120を組み込む際に、その設置スペース100内における被係止部としての遊動規制壁42の外周面42Aに係止させるようになっている。
すなわち、このリブ128を遊動規制壁42の外周面42Aに係止させると、その遊動規制壁42の外周面42Aをリブ128が押圧することによる反作用により、保持部材120には、ビスボス15を中心として、保持部122がリール20の中心側へ向かうような(図9で示す矢印F方向の)付勢力を発生させることができる。したがって、後述するように、セキュリティータグ110を、その付勢力によって押さえることができ、これによって、保持部材120のビスボス15を中心とした回動を不能にする(保持部材120を固定する)ことができる。
ここで、セキュリティータグ110は、図8、図9で示すように、下ケース16の左前コーナー部における設置スペース100内に横置きされる(軸心がリール20の軸方向と直交する方向を向くように置かれる)。よって、保持部材120の嵌合部124がビスボス15に挿嵌されると、保持部122の押さえ部122Aが、そのセキュリティータグ110の周面112における上面部112Aを上側から押さえ、そのセキュリティータグ110の上方向(高さ方向)への移動を規制する。
そして、保持部122の押圧部122Bが、上記付勢力によって、セキュリティータグ110の周面112における側面部112Bを横側から押さえ、その側面部112Bと180°反対側の側面部112Cの一部を第1壁部としての袋部105に突き当てるとともに、セキュリティータグ110の一方の底面114の周縁部(一部)を設置スペース100内における第2壁部としての遊動規制壁42の外周面42Aに突き当て、そのセキュリティータグ110の水平方向への移動を規制する。
つまり、このセキュリティータグ110は、保持部122の押さえ部122Aによる1点(実際はセキュリティータグ110の軸方向に沿った線)と、平面視で(リール20の軸方向から見て)、保持部122の押圧部122Bと、袋部105と、遊動規制壁42とによる3点(実際には線や面)で保持されて、設置スペース100内における遊動が防止されるようになっている。
したがって、セキュリティータグ110は、その遊動による損傷が防止されるとともに、ケース12の設置スペース100内に精度よく位置決めされて保持される。なお、このとき、セキュリティータグ110の他方の底面116と立壁108の内面との間に、隙間が形成された状態となってもよいし、隙間が形成されない状態となってもよい。
また、リブ128が遊動規制壁42の外周面42Aに係止されて保持部材120が固定されたとき、保持部材120の上面(押さえ部122Aやリブ128)及びセキュリティータグ110は、図10で示すように、下ケース16の設置スペース100を構成する周壁16B、遊動規制壁42、張出壁部107、立壁108等の各壁部の先端面(上端面)よりも上方へ突出しないように、即ち側面視で各先端面よりも低い位置(低位)に配置されるように、その寸法が適宜決められている。
したがって、下ケース16に上ケース14を被せてケース12を組み立てる際に、その保持部材120及びセキュリティータグ110が、設置スペース100の上方側である上ケース14の周壁14B、遊動規制壁42等に干渉するおそれがない。つまり、上ケース14と下ケース16との間に、保持部材120やセキュリティータグ110が咬み込まれるようなおそれはない。
なお、図11で示すように、上ケース14の遊動規制壁42と下ケース16の遊動規制壁42の先端部にそれぞれ段差部43が形成され、下ケース16に上ケース14を被せて遊動規制壁42同士を突き当てたときに、各段差部43が互いに噛み合うように構成されているケース12の場合には、その段差部43の低い方の先端面である突当面43Aよりも、保持部材120の上面及びセキュリティータグ110が低い位置(低位)に配置されるように、その寸法が適宜決められることが望ましい。
また、本実施形態における「保持」とは、少なくとも上方向と水平方向の2つの方向への移動を規制することを意味する。そして、保持部材120を成形する樹脂材は、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。
また、図4、図7で示すように、リブ128の先端で、高さ方向略中央には、ゲート跡Gが形成されている。つまり、保持部材120を成形する際の樹脂材のゲートは、リブ128の先端とされている。ここで、リブ128は、遊動規制壁42に係止され、保持部材120の回り止めをする機能を有するため、ある程度の剛性が必要であり、肉厚に形成されている。したがって、このリブ128の先端をゲート位置とし、そこから樹脂材を注入させると、保持部材120を成形する際の樹脂圧力を伝達させ易くなり、保持部材120の寸法精度を向上させることができる。
以上のような構成の記録テープカートリッジ10において、次にその作用について説明する。不使用時(保管時や運搬時等)において、記録テープカートリッジ10の開口18は、ドア50によって閉塞されている。そして、圧縮コイルスプリング98の付勢力によって、制動部材80が回転ロック位置に位置して制動ギア84を係合ギア48に噛合させている。このため、リール20は、ケース12に対する回転が阻止されている。
一方、記録テープTを使用する際には、前壁12Aを先頭にして記録テープカートリッジ10を矢印A方向に沿って、ドライブ装置内へ装填する。すると、まず、そのドライブ装置側に設けられた開閉部材が、ドア50の凸部56に係合する。そして、この状態で、記録テープカートリッジ10が更に矢印A方向へ移動すると、開閉部材が凸部56をコイルバネ58の付勢力に抗しつつ相対的に後方へ移動させる。
すると、その凸部56が突設されているドア50は、右壁12Bに沿って溝部64内を後側へ摺動し、開口18を開放する。また、このとき、ドライブ装置に設けられた位置規制部材が、ケース12(下ケース16)の前壁12Aに形成された凹部106に係合する。これにより、記録テープカートリッジ10の装填方向における位置(深さ)が規制される。
こうして、記録テープカートリッジ10がドライブ装置に所定深さ装填され、開口18が完全に開放されると、記録テープカートリッジ10は所定高さ下降し、ドライブ装置の位置決め部材が、下ケース16に形成された位置決め用の穴部102、104に挿入される。これにより、記録テープカートリッジ10がドライブ装置内における所定位置に正確に位置決めされ、ドア50のそれ以上の摺動(後方への移動)が規制される。
また、この記録テープカートリッジ10の下降動作によって、回転シャフトが相対的にギア開口40から進入し、駆動ギアをリールギア44に噛合させる。すると、その駆動ギアがリールギア44と噛合する動作に伴って、リールギア44上に突出している脚部94が、圧縮コイルスプリング98の付勢力に抗して押し上げられ、解除部材90を介して制動部材80が上方へ押し上げられて、制動ギア84と係合ギア48との噛合が解除される。
そして、駆動ギアとリールギア44とが完全に噛合した状態で、リールプレート46が、駆動ギアの径方向内側に設けられた環状のマグネットの磁力によって吸着・保持されることにより、リール20は、駆動ギアに対するリールギア44の噛合が維持されつつ、ケース12内で、そのケース12に対して相対回転可能となるロック解除状態とされる。
一方、開放された開口18からは、ドライブ装置側に設けられた引出部材がケース12内に進入し、ピン保持部36に位置決め保持されたリーダーピン30を把持して引き出す。なお、このとき、記録テープカートリッジ10はドライブ装置内において正確に位置決めされているので、引出部材は確実にリーダーピン30の環状溝32にそのフックを係止させることができる。また、リール20は、その回転ロック状態が解除されているので、リーダーピン30の引出動作に伴って回転できる。
こうして、開口18から抜き出されたリーダーピン30は、図示しない巻取リールに収容される。そして、その巻取リールとリール20とを同期して回転駆動することにより、記録テープTは、巻取リールに巻き取られつつ順次ケース12から引き出され、所定のテープ経路に沿って配設された記録再生ヘッド(図示省略)によって情報の記録や再生が行われる。
情報の記録や再生が終了した記録テープカートリッジ10をドライブ装置から排出する際には、まず、回転シャフトが逆回転することにより、記録テープTがリール20に巻き戻される。そして、記録テープTがリール20に最後まで巻き戻されて、リーダーピン30がピン保持部36に保持されると、記録テープカートリッジ10は所定高さ上昇し、位置決め部材が位置決め用の穴部102、104から抜き出されるとともに、回転シャフトがギア開口40から抜き出され、リールギア44に対する駆動ギアの噛合が解除される。
すると、圧縮コイルスプリング98の付勢力により、制動部材80及び解除部材90が下方に向かって押圧され、脚部94が貫通孔28Aに挿通されて底壁28の下面からリールギア44上に所定高さ突出するとともに、制動ギア84が係合ギア48に噛合する。これにより、リール20は、再度ケース12内での相対回転が阻止された回転ロック状態となり、その後、記録テープカートリッジ10は、図示しないイジェクト機構によって矢印A方向とは反対方向に移動される。
すると、この移動に伴って、ドア50はコイルバネ58の付勢力によって開口18の閉塞方向へ摺動し、開口18を完全に閉塞する(初期状態に復帰する)。こうして、リール20のケース12に対する相対回転がロックされ、開口18が閉塞された記録テープカートリッジ10は、ドライブ装置内から完全に排出される。
ここで、そのドライブ装置内から排出された記録テープカートリッジ10を所定のセキュリティーエリアから搬出した場合には、警報音が発生し、その搬出が防止されるようになっている。すなわち、記録テープカートリッジ10のケース12内には、外部と送受信可能なセキュリティータグ110が設けられている。
したがって、セキュリティーエリアの出入口に設けられたセキュリティゲートを通過すると、そのセキュリティゲートに設けられた発信アンテナ及び受信アンテナと、セキュリティータグ110との間で電波が送受信され、記録テープカートリッジ10のセキュリティーエリアからの搬出が検知される。よって、この検知により、例えばセキュリティゲートから警報音が発生するようになっていれば、セキュリティーエリアからの記録テープカートリッジ10の盗難や不用意な持ち出し(搬出)を心理的に防止することができる。
また、このセキュリティータグ110は、保持部材120の嵌合部124が、ビスボス15に圧入によって挿嵌(嵌合)された状態で、保持部122の押さえ部122Aによって上側から押さえられるとともに、遊動規制壁42にリブ128が係止されることで、矢印F方向(図9参照)に付勢された保持部122の押圧部122Bによって横側から押さえられている(袋部105及び遊動規制壁42に突き当てられている)。
つまり、このセキュリティータグ110は、ビスボス15を中心とした回動が不能となるように回り止めされた保持部材120によって、上方向及び水平方向の移動が規制され、その状態で、下ケース16の設置スペース100内に位置決めされて保持されている(固定されている)。したがって、このセキュリティータグ110は、設置スペース100内において遊動することがなく、その遊動による損傷が防止される。
また、ビスボス15と袋部105(穴部104)は、記録テープカートリッジ10の構造上、寸法精度が高い部位となっている。したがって、ビスボス15に保持部材120の嵌合部124を挿嵌(嵌合)させ、保持部122の押圧部122Bによってセキュリティータグ110を袋部105に突き当てることで、ケース12内におけるセキュリティータグ110の配設位置を精度よく安定させることができる。
よって、セキュリティータグ110と、セキュリティゲートに設けられた発信アンテナ及び受信アンテナとの通信性能(通信精度)を向上させることができ、記録テープカートリッジ10がセキュリティゲートを通過したときには、それを確実に検知することができる。
また、保持部材120の嵌合部124は、下ケース16の底板16A内面に突設されたビスボス15に対して上方から嵌め込まれる(圧入される)構造とされており、保持部材120の保持部122も、セキュリティータグ110を上側(上面部112A側)及びビスボス15を向く横側(側面部112B側)から押さえる構造とされている。
したがって、この保持部材120は、セキュリティータグ110が下ケース16の設置スペース100内に置かれた状態で、そのセキュリティータグ110を押さえるように、嵌合部124の嵌合方向である上方から装着することができる。よって、セキュリティータグ110及び保持部材120のケース12内(下ケース16の設置スペース100内)への組込性を向上させることができる。
また、保持部材120の上面(押さえ部122Aやリブ128)は、側面視で下ケース16の周壁16B、遊動規制壁42、張出壁部107、立壁108等の各壁部の先端面(上端面)よりも低位に配置されているので、ケース12を組み立てる際に、その保持部材120及びセキュリティータグ110が上ケース14と下ケース16との間に咬み込まれるおそれがない。したがって、記録テープカートリッジ10(ケース12)の組立性を向上させることができ、セキュリティータグ110の通信性能に悪影響を与えないようにできる。
また、上記したように保持部122の押さえ部122Aと押圧部122Bは、セキュリティータグ110の周面112に対して互いに直交する2方向からしか(上面部112Aと側面部112Bにしか)接触しない。したがって、通信性能向上のために、セキュリティータグ110の大きさ(長さや直径)が変更されても、その設計変更に対応することができる。つまり、この保持部材120は、セキュリティータグ110の寸法形状に対して制約が少ないので、セキュリティータグ110の設計の自由度を向上させることができる。
また、この保持部122は、上記したように、セキュリティータグ110の周面112における上面部112A及び側面部112Bのみを覆い、他の部位を覆うことがないので、従来技術の収納容器よりも体積が小さく、使用する樹脂材がその収納容器よりも少なくて済む。したがって、保持部材120自体の製造コストを低減することができ、結果的に記録テープカートリッジ10の製造コストを低減することができる。
また更に、このような保持構造であると、保持部122(押さえ部122A及び押圧部122B)の寸法精度がばらついても、その保持部122(押さえ部122A及び押圧部122B)をセキュリティータグ110の周面112(上面部112A及び側面部112B)に確実に接触(圧接)させることができる。よって、セキュリティータグ110に対する保持部材120の組込性(装着性)が損なわれることがない。
また、この保持部材120は、セキュリティータグ110をケース12と協働して固定する構成、具体的にはセキュリティータグ110を袋部105及び遊動規制壁42へ向けて押圧することで下ケース16に対して固定する構成であるため、例えば下ケース16の左前コーナー部における設置スペース100の広さが変更されても、ビスボス15と袋部105と遊動規制壁42さえあれば、セキュリティータグ110を位置決めして保持することができる。つまり、このような構成の保持部材120によれば、ケース12の設計変更にも影響されずに、セキュリティータグ110をケース12内に保持することができる。
また、セキュリティータグ110を保持する保持部材120を、ケース12とは別体として設ける構成であるため、セキュリティータグ110を保持する保持構造をケース12(上ケース14及び下ケース16)に形成する必要がない。したがって、ケース12(上ケース14及び下ケース16)を射出成形するための金型を設計変更する必要がなく、それによる製造コストの増加を防止することができる。
なお、図8〜図11では、セキュリティータグ110を下ケース16の設置スペース100内に横置きとしたが、図12で示すように、セキュリティータグ110を縦置きとした(軸心がリール20の軸方向を向くように置かれた)場合でも同様である。すなわち、この場合のセキュリティータグ110は、天面(例えば他方の底面116)が保持部122の押さえ部122Aによって上側から押さえられることで上方向の移動が規制され、周面112が保持部122の押圧部122Bによって横側から押圧されて袋部105及び遊動規制壁42に突き当てられることで水平方向の移動が規制される。
また、セキュリティータグ110が縦置きされた場合も、保持部材120の上面及びセキュリティータグ110が、下ケース16の設置スペース100を構成する周壁16B、遊動規制壁42、張出壁部107、立壁108等の各壁部の先端面(上端面)よりも上方へ突出しない(低位に配置される)ように、更には遊動規制壁42の段差部43の低い方の突当面43Aよりも低位に配置されるように、その寸法が適宜決められることは言うまでもない。
次に、第2実施例に係る保持部材120について、図13〜図16を基に説明する。なお、図13〜図16において、第1実施例と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(作用も含む)は省略する。この第2実施例に係る保持部材120の保持部122は、設置スペース100内における周壁16B側に、押さえ部122Aと押圧部122Bとに互いに直交する押圧部122Cが一体に形成されている点が、上記第1実施例とは異なっている。
すなわち、この保持部材120の保持部122は、リブ128が遊動規制壁42に係止されることによって生じる上記付勢力(図16において矢印Fで示す)により、セキュリティータグ110の周面112における側面部112Bを押圧部122Bによって横側から押さえ、その側面部112Bと180°反対側の側面部112Cの一部を袋部105に突き当てるとともに、セキュリティータグ110の他方の底面116を押圧部122Cによって横側から押さえ、その一方の底面114の周縁部(一部)を設置スペース100内における遊動規制壁42の外周面42Aに突き当てて、そのセキュリティータグ110の水平方向への移動を規制するようになっている。
つまり、この場合のセキュリティータグ110は、保持部122の押さえ部122Aによる1点(実際はセキュリティータグ110の軸方向に沿った線)と、平面視で(リール20の軸方向から見て)、保持部122の押圧部122Bと、押圧部122Cと、袋部105と、遊動規制壁42とによる4点(実際には線や面)で保持されるようになっている。したがって、セキュリティータグ110を上記第1実施例よりも更に精度よく位置決めして保持することができる。
次に、第3実施例に係る保持部材120について、図17〜図20を基に説明する。なお、図17〜図20において、第1実施例と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(作用も含む)は省略する。この第3実施例に係る保持部材120の保持部122は、設置スペース100内における遊動規制壁42側に、押さえ部122Aと押圧部122Bとに互いに直交する押圧部122Dが一体に形成されている点と、リブ128が係止される被係止部が周壁16B(前壁12A)の内面とされている点が、上記第1実施例とは異なっている。
すなわち、この保持部材120の保持部122は、リブ128が周壁16B(前壁12A)に係止されることによって生じる、上記第1実施例及び第2実施例とは反対方向の付勢力(図20において矢印Eで示す)により、セキュリティータグ110の周面112における側面部112Bを押圧部122Bによって横側から押さえ、その側面部112Bと180°反対側の側面部112Cの一部を袋部105に突き当てるとともに、セキュリティータグ110の一方の底面114を押圧部122Dによって横側から押さえ、その他方の底面116を設置スペース100内における第2壁部としての立壁108の内面に突き当てて、そのセキュリティータグ110の水平方向への移動を規制するようになっている。
つまり、この場合のセキュリティータグ110は、保持部122の押さえ部122Aによる1点(実際はセキュリティータグ110の軸方向に沿った線)と、平面視で(リール20の軸方向から見て)、保持部122の押圧部122Bと、押圧部122Dと、袋部105と、立壁108とによる4点(実際には線や面)で保持されるようになっている。したがって、セキュリティータグ110を上記第1実施例よりも更に精度よく位置決めして保持することができる。
以上、本実施形態に係る記録テープカートリッジ10について説明したが、本実施形態に係る記録テープカートリッジ10は図示の各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜設計変更可能なものである。例えば、被嵌合部はビスボス15に限定されるものではなく、下ケース16の底板16A内面に凸型形状に突設された突起部(図示省略)等でもよい。
また、保持部材120の形状も図示の形状に限定されるものではない。例えば、セキュリティータグ110が下ケース16の底板16A及び上下方向に対して斜めに置かれた場合には、それに対応可能なように、保持部材120の形状を適宜設計変更して構わない。また、セキュリティータグ110をケース12と協働して横側(水平方向)から押さえる保持部122の押圧部122B、122C、122Dは、図示の1点(面)又は2点(面)に限定されるものではなく、3点(面)以上とされてもよい。
また、記録テープカートリッジ10をセキュリティーエリアから搬出するのを心理的に防止するために、セキュリティータグ110が内蔵されている記録テープカートリッジ10であることを目視により判別できるようにしてもよい。すなわち、例えばケース12の天面(上ケース14の天板14A外面)に「Security」等の文字を印刷したり、ケース12の底面(下ケース16の底板16A外面)に識別用の凹部(図示省略)等を形成するようにしてもよい。
更に、設置スペース100は、下ケース16側ではなく、上ケース14側に形成するようにしてもよい。つまり、セキュリティータグ110及び保持部材120は、上ケース14側に設けられる構成にしてもよい。また、本実施形態では、ケース12内にリール20が単一で収容されたデータバックアップ用の記録テープカートリッジ10について説明したが、ケース内にリールが2個収容されるビデオテープ用の記録テープカセット等にも、本発明を適用することが可能である。
そして、リール20に巻回される記録テープTは、情報の記録及び記録した情報の再生が可能な長尺テープ状の情報記録再生媒体として把握されるものであれば足り、リール20を収容する記録テープカートリッジ10が、如何なる記録再生方式の記録テープTにも適用可能であることは言うまでもない。
10 記録テープカートリッジ
12 ケース
14 上ケース
15 ビスボス(被嵌合部)
16 下ケース
20 リール
30 リーダーピン
42 遊動規制壁(第2壁部/被係止部)
100 設置スペース
105 袋部(第1壁部)
108 立壁(第2壁部)
110 セキュリティータグ
112 周面
114 底面
116 底面
120 保持部材
122 保持部
122A 押さえ部
122B 押圧部
122C 押圧部
122D 押圧部
124 嵌合部
126 張出部
128 リブ(係止部)
G ゲート跡
T 記録テープ

Claims (6)

  1. 記録テープが巻装されたリールを収容するケースと、
    前記ケース内に設けられ、外部と送受信可能な柱状のセキュリティータグと、
    前記ケース内に設けられ、前記セキュリティータグを前記リールの軸方向と、該軸方向と直交する方向に存在する前記ケースの壁部へ押圧して保持する保持部が一端側に形成されるとともに、前記ケース内に形成された被嵌合部に嵌合される嵌合部が他端側に形成された保持部材と、
    を有することを特徴とする記録テープカートリッジ。
  2. 前記セキュリティータグは、前記リールの軸方向から見て、少なくとも前記保持部と、該保持部に押圧されることによって突き当てられる前記ケースの第1壁部及び第2壁部と、により前記軸方向と直交する方向が保持されていることを特徴とする請求項1に記載の記録テープカートリッジ。
  3. 前記保持部材は、前記ケース内に前記セキュリティータグが設けられた状態で、前記ケース内に装着可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録テープカートリッジ。
  4. 前記ケースが、上ケースと下ケースとからなり、
    前記被嵌合部が、前記下ケースに形成されて前記上ケース側へ突出する凸型形状に形成されるとともに、
    前記嵌合部が、前記被嵌合部を圧入させる筒型形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の記録テープカートリッジ。
  5. 前記被嵌合部が、前記上ケースと前記下ケースとをビスで接合するためのビスボスであり、
    前記嵌合部が、前記ビスボスを圧入させる円筒型形状に形成されるとともに、
    前記保持部材が、前記ビスボスに対して回動不能となるように、前記下ケースの被係止部に係止される係止部を有することを特徴とする請求項4に記載の記録テープカートリッジ。
  6. 前記保持部材は、樹脂材で成形されており、前記係止部にゲート跡が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の記録テープカートリッジ。
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