JP5430286B2 - 油水分離装置 - Google Patents
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Description
水系洗浄においては、洗浄によって被洗浄物から剥離された油脂分が洗浄液に混入するため、生産量に応じて頻繁に洗浄液を交換する必要があるため排出量が多くなり、環境負荷も大きくなってしまう。そこで、油脂分を含む洗浄液から油脂分を分離除去することによって洗浄液の交換頻度を低下させ環境への排出量を低減することが求められている。
オイルスキマーは、本体の上部に回転駆動ローラを設け、下部が油水分離槽内の洗浄液に沈むように無端メッシュベルトを掛合、垂下させ、該無端メッシュベルトの回転に伴って洗浄液面に浮遊する油脂分を吸着回収するようになっている。また、オイルスキマー 本体にはスクレーパが装着されており、このスクレーパは先端部が無端メッシュベルトに接触して付着した油脂分を掻き取り回収するものである。
また、特許文献3のように吸着体やフィルタを設置すると、その目詰まりを防止するために定期的にフィルタを清掃・洗浄する必要があり、保守に人手を要するため煩雑であるという課題があった。
また、特許文献4の油水分離装置は、大きい油水分離槽が必要なため、装置が大型化するという課題があった。また、洗浄液の上部に浮遊する油脂は、油水分離槽底部からの循環取水に伴う流れによってオイルスキマーへ誘導されるようになっているが、広いリザーブタンクの表面に浮遊する油脂を効果的にオイルスキマーへ誘導するのは困難であるという課題があった。
通常、このようなマイクロバブルを用いた洗浄装置においては、洗浄を行う洗浄部(洗浄槽)と汚れを溜めて処理する分離部(分離槽)を持つことが一般的であり、洗浄部で被洗浄物から汚れを除去し、浮上した汚れを分離部へ流しこみ、分離部において汚れを除去している。この大量の汚れを速やかに取り除くことができない場合の課題として次のような問題点が挙げられる。
分離部に流れ込んだ汚れを速やかに回収できないと、分離部から洗浄部に汚れが再度送られてしまい、被洗浄物に付着してしまい清浄度の悪化を引き起こす。
分離された汚れ成分を水面で長い時間そのままにしておくと、汚れ成分である油や異物が凝集を起こして比重が高まり沈降してしまう。沈降した汚れ成分によって洗浄水の純度が低下する。また、洗浄水中の汚れ成分の体積量が増加すると汚泥状のスラッジとなり、スラッジの一部が循環系に引き込まれ、詰まりをおこしてしまう。
また、分離された汚れ成分の中で特に油脂中に含有される添加剤成分のために、分離部において発泡が起こり、発泡による泡立ちがひどい場合には分離部や洗浄部から溢れてしまう。また、泡立ちが大きいと液面の流動が悪化するために分離汚れの回収効率が低下する。
図1は、この発明の油水分離装置を用いた洗浄装置全体の構成を説明するための一部を切り欠いた全体斜視図である。
図2は、この発明の実施の形態1の油水分離装置を用いた洗浄装置を説明するための図であり、図2(a)が洗浄装置の上面図、図2(b)が洗浄装置の側面図、図2(c)が図2(a)のA−A線断面図、図2(d)が図2(a)のB−B線断面図である。
洗浄装置1は、全体に水を主成分とする洗浄液が満たされており、洗浄槽10で被洗浄物を洗浄し、油脂を含んだ洗浄液から油水分離槽20で油脂を分離して回収し、油脂を取り除いた洗浄液を循環部40で微細気泡を含む洗浄液にして洗浄槽10へ循環させるようになっている。そのため、被洗浄物から剥離された油脂を油水分離槽20において如何に効果的に回収するかによって、洗浄槽10における洗浄度は大きく左右される。
また、微細気泡を含む洗浄水には、一般的に微細気泡を安定に維持する効果を有するアルコール系化合物や界面活性剤などの添加剤を添加する。例えば、添加剤の具体例としては、カルボキシル基とアミノ基を分子内に持ち、分子量をカルボキシル基の数で割った値が94以上280以下の物質、分子内に水酸基を複数持ち、分子量を水酸基の数で割った値が38以上73以下の物質、分子内にエステル基を持ち、分子量をエステル基の数で割った値が47以上140以下の物質、あるいは、分子内にスルホン酸基を持ち、分子量をスルホン酸基の数で割った値が47以上140以下の物質が挙げられる。これらの添加剤を、洗浄水中に微量添加(0.001mol/L以上1mol/L以下)することにより、微細気泡を安定に維持する効果を発揮する。
なお、図2ではベルト式のオイルスキマーを示しているが、回転円板上のオイルスキマーでも同様の効果を有する。また、小型のフロートを水面上に浮かべ、液面上の油脂を洗浄水とともにフロート中に流し込ませて油脂を回収する、いわゆるフロートタイプのオイルスキマーを用いてもよい。また、液面上の油脂を掬い取る機構を用いて除去してもよい。また、オイル吸収シートを用いて油脂を吸着除去させてもよい。
なお、集積槽22は、集積仕切り22bを追加することにより複数回の折り返しを持つ蛇行流路22aにすることで、洗浄液中の油脂及び油脂を含む気泡の液面への上昇をさらに促進するように構成しても良い。
洗浄槽10から排水堰12の上縁を越えて集積槽22へ洗浄液が流れ込む場合、洗浄水の発泡が懸念される。特に、洗浄水中に界面活性剤や油脂の中でも水溶性の油脂を多く含む場合には、発泡が多く生じることが知られている。この現象は、集積槽22に多量の気泡が持ち越され、集積槽22において気泡が気液界面に上昇して一気に一箇所ではじける(破泡する)ために、発泡が促進され、泡立ちが大きくなってしまうことをメカニズムとする。
そこで、泡立ちを抑制するための有効な方法として、図1に示すような破泡促進手段100を設置している。破泡促進手段100は、気泡が接触すると破泡するように形成された、例えばメッシュ状の金網であり、洗浄槽10内の排水堰12の近傍に配置される。洗浄液中の気泡は破泡促進手段100に接触して破泡し、気泡の量が低減された洗浄液は排水堰12の上縁を越えて集積槽22へ流れ込む。このように、集積槽22に洗浄水が流れ込む前に気泡をなくせば、発泡を抑制できる。なお、破泡促進手段100のメッシュの径は平均気泡径よりも2〜20倍程度大きいものがよく、特に4〜10倍程度大きいものが好適である。
なお、取水仕切り29は、底部連通仕切り28と取水口24cの間に設けられている。
洗浄液は循環ポンプ43から圧送され微細気泡発生器44によって微細な気泡を多量に含む洗浄液となって洗浄槽10の底部から洗浄カゴ11へ向かって噴出し、洗浄カゴ11中の被洗浄物の表面から油脂分を剥離する。油脂を吸着した気泡を含む洗浄液は洗浄槽10の上部に流れ、洗浄液中の気泡が破泡促進手段100に接触して破泡し、気泡量が低減した洗浄液は排水堰12の上縁を越えて集積槽22へ流れ込み、洗浄槽10の排水堰12の上縁部から油水分離槽20に排出される。
実施の形態1の油水分離槽20は、巡回流路23aを形成するように油脂誘導槽23の中央部に平板状の巡回仕切り26を設けた構成について説明したが、実施の形態2は、洗浄液に旋回流を発生させて油脂を中央に集積させる油水分離槽20の構成について説明する。
なお、図3の油水分離槽20以外は図1及び図2に示す洗浄装置1と同様の構成であり、同一の構成については同一の番号を付して、その説明を省略する。
集積槽22の流路から流速を伴って流出した洗浄液は円弧状仕切り31の曲面に沿った旋回流を生起し、洗浄液の表層部に浮遊する油脂及び油脂を含む気泡は旋回しながら中心部分へ誘導され、オイルスキマー25の回収ベルトに吸着されて回収される。
実施の形態2の油水分離槽20は、油脂誘導槽23に円弧状仕切り31を設けて発生させた洗浄液の旋回流の中心で油脂を回収、除去する構成について説明したが、実施の形態3は、油水分離槽20の円弧状仕切り31内に巡回流路31aを形成し、巡回流路23a上で油脂を回収、除去する構成について説明する。
なお、図4の油水分離槽20以外は図3に示す洗浄装置1と同様の構成であり、同一の構成については同一の番号を付して、その説明を省略する。
集積槽22から流入し、狭まった流路を経て流速をともなった洗浄液は、円弧状仕切り31の曲面に沿って、巡回仕切り26の周囲を巡回する巡回流路31aを生起しており、洗浄液の表面に浮遊する油脂及び油脂を含む気泡はオイルスキマー25の回収ベルトに吸着された回収される。このときにオイルスキマー25を通過する一部の油脂があった場合でも、巡回する流れによって再びオイルスキマー25の回収ベルトに到達し、油脂が回収されることになる。
実施の形態1〜3の油水分離槽20は、油脂誘導槽23において洗浄液を巡回する流れ、または旋回する流れを発生する構成について説明したが、実施の形態4は、洗浄液が攪拌されないような流れにする油水分離槽20の構成について説明する。
洗浄槽10からの洗浄液は、集積槽22の上部から流入されることで洗浄液の表面には波動が生じる。洗浄液は、油脂誘導槽23の油脂誘導ブロック35及び油脂誘導仕切り36により下流に向かって狭くなる流路を通って、洗浄液の波動が次第に大きくなり、表面に浮遊する油脂及び油脂を含む気泡が下流に向けて誘導される。
Claims (8)
- 油脂を含む洗浄液を収容し油脂分を洗浄液表層に浮上させるように設けた槽の一端から洗浄液を放出する集積槽と、
上記洗浄液に浮遊する油脂を吸着して除去する油脂除去手段が配設され、上記集積槽からの洗浄液を上記油脂除去手段の周辺に誘導する油脂誘導槽と、
上記油脂誘導槽と底部で連通し、上記油脂除去手段により油脂が除去された洗浄液を吸引する取水口を有し、該取水口から吸引された洗浄液を、上記集積槽に洗浄液を排出する洗浄槽を介して循環させる循環取水槽と、を備え、
上記油脂誘導槽は、
槽内を仕切る両端で洗浄液を流通可能にした巡回仕切りを備え、
上記巡回仕切りの周囲を流れる巡回流路上に上記油脂除去手段を配設し、
上記巡回仕切りの上流端側を上記油脂誘導槽内で開放させ、上記巡回仕切りの下流端では上部のみを上記油脂誘導槽内で連通させるように形成する
ことを特徴とする油水分離装置。 - 上記集積槽に仕切りを設けて上記洗浄液の流速を速めるよう流路幅を狭めていることを特徴とする請求項1記載の油水分離装置。
- 上記集積槽は、洗浄液が蛇行して流れる蛇行流路が形成されていることを特徴とする請求項1記載の油水分離装置。
- 上記巡回仕切りの下流端から巡回する洗浄液と上記集積槽から流入する洗浄液とを分離する分離仕切りを設けたことを特徴とする請求項1記載の油水分離装置。
- 上記油脂誘導槽は、上記集積槽からの洗浄液を受けて旋回流を生じるように水面下に配設する円弧状仕切りを備え、
上記円弧状仕切りの中心付近に上記油脂除去手段を配設したことを特徴とする請求項1記載の油水分離装置。 - 上記油脂誘導槽は、上記集積槽からの洗浄液を受けて旋回流を生じるように水面下に配設する円弧状仕切りを備え、
上記巡回仕切りを上記円弧状仕切りで囲まれた領域の中心付近に配置して両端で洗浄液を流通可能にし、
上記油脂除去手段を上記巡回仕切りで形成される巡回流路上に配設したことを特徴とする請求項1記載の油水分離装置。 - 上記油脂誘導槽と上記循環取水槽との境界に設けられ、底部で連通するように形成した底部連通仕切りと、上記底部連通仕切りと上記取水口との間に設けられ、洗浄液表層部分で連通させる取水仕切りとを備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の油水分離装置。
- 上記油脂誘導槽の角部に洗浄液表層部分の油脂が滞留するのを防止する油脂除けを備えたことを特徴とする請求項5または請求項6記載の油水分離装置。
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