JP5429656B1 - 直流電源装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】直流電圧Vcを有する負荷5に接続され、複数のスイッチ素子11〜14を用いて負荷5に流れる電流を制御する電流制御部1と、負荷5の両端電圧Vcよりも小さな電圧V1を生成して電流制御部1へ入力する直流電源部2と、負荷5の両端電圧Vcと等しい直流電圧VBを出力するブースト電源部3と、を備え、負荷5とブースト電源部3とを逆極性直列接続し、さらに負荷5とブースト電源部3との間に電流制御部1を介して直流電源部2が直列接続しており、電流制御部1の各スイッチ素子11〜14の動作により電圧V1を所定のオンデューティで直流電圧VBに重畳して負荷5に供給する。
【選択図】図5
Description
図1は、従来の直流電源装置の構成を示す説明図である。この図は直流電源装置のうち、チョークコイル103を有するバックコンバータ部分を示している。
図1に示した装置は、2つのスイッチ101(Q1)とスイッチ102(Q2)を直列接続し、これらスイッチの接続点に接続されたチョークコイル103を介して負荷105へ電流を供給するハーフブリッジ回路を形成している。
チョークコイル103と負荷105との接続線には、平滑コンデンサ104が当該負荷105に対して並列に接続されている。
負荷105は、高電位側電極をチョークコイル103の一端に接続し、低電位側電極を接地接続している。
図1に示したようにスイッチ101(Q1)の一端には、接地レベルよりも高い高電位側の電圧+Vが印加され、スイッチ102(Q2)の一端には、接地レベルよりも低い低電位側の電圧―Vが印加されている。
負荷105は例えば充電可能なバッテリパックで、高電圧を出力するように構成されている。負荷105の両端電圧をVcとしたとき、スイッチ101に印加される電圧Vならびに電圧−Vの絶対値は、電圧Vcよりも大きいものである。
この直流電源装置は、図2の下段に示したようにスイッチ101(Q1)とスイッチ102(Q2)が交互にオン状態になり、同時にオン状態、また、同時にオフ状態とならないようにスイッチ動作が制御されている。
図2に示した動作は、スイッチ101(Q1)とスイッチ102(Q2)が交互にオン・オフ動作を同一周期で繰り返しており、このとき負荷105に流れる電流の増減を図2の上段に示している。
スイッチ101がオフ状態、スイッチ102がオン状態のときの電流変化率はdI/dt=(−V−Vc)/Lとなり、時間経過に伴って電流Iが下降する。
このように、負荷105に電圧Vと電圧−Vを交互に切り替えて供給した場合には、インダクタンスLに応じて図2の上段に示したような三角波電流(リップル電流Ir)が発生する。
図1に示した回路では、チョークコイル103と負荷105との接続点に平滑コンデンサ104を接続しているが、負荷105が車載用バッテリパック等である場合には交流インピーダンスが非常に小さい場合が多い。そのため、負荷105と並列接続されている平滑コンデンサ104は、三角波電流(リップル電流Ir)を十分吸収することができない。
図3は、従来の直流電源装置の他の構成を示す説明図である。この図は直流電源装置のうちのバックコンバータ部分を示したもので、前述の特許文献1に記載されたものと概ね同様に四つのスイッチ素子を直列接続して回路構成されている。なお、図3の回路は、各スイッチ素子のオン・オフ動作が特許文献1に記載された回路とは異なるものである。
図3の回路は、四つのスイッチ110〜113を直列接続しており、スイッチ110(Q1)の一端に接地レベルよりも高い電位の電圧Vが供給され、スイッチ113(Q2)の一端に接地レベルよりも低い電位の電圧−Vが供給されている。
スイッチ110(Q1)とスイッチ111(q1)との接続点にはダイオード114のカソードが接続されており、スイッチ112(q2)とスイッチ113(Q2)との接続点にはダイオード115のアノードが接続されている。ダイオード115のカソードは、ダイオード114のアノードに接続され、この接続点は接地接続されている。
図4は、図3の直流電源装置の動作を示す説明図である。図中上段は、図3の負荷105に流れる電流の経時変化を表すグラフであり、縦軸は上記の電流を表し、横軸は経過時間を表している。
また、図4に示した動作は、スイッチ111(q1)がオン状態、スイッチ113(Q2)がオフ状態に維持されているときの、スイッチ110(Q1)とスイッチ112(q2)のスイッチ動作によって流れる電流を示したもので、各スイッチが他の状態となっているときの電流変化については図示を省略している。換言すると、負荷105に電圧Vを供給する場合のスイッチ動作を示し、負荷105に電圧−Vを供給する場合のスイッチ動作を省略している。
なお、図中、実線で示した電流変化は、後述するように電圧Vを負荷105に供給し、また当該負荷105を接地接続させたときに流れる電流を示している。また、図中、一点破線で示した電流変化は、例えば図1および図2を用いて説明したように、電圧Vと電圧−Vとを交互に負荷105に供給したときに発生する三角波電流である。
図4に示したスイッチ動作において、スイッチ110(Q1)がオン状態、スイッチ112(q2)がオフ状態になると、負荷105には電圧Vが供給され、このとき負荷105に流れる電流Iの変化率は、dI/dt=(V−Vc)/Lとなる。
また、スイッチ110(Q1)がオフ状態、スイッチ112(q2)がオン状態になって、負荷105に電圧Vが供給されず当該負荷105の高電位側電極がチョークコイル124およびダイオード115を介して接地されたときに流れる電流Iの変化率は、dI/dt=−Vc/Lとなる。
負荷105に電圧Vを供給した後に当該負荷105を接地接続したときには、電流が下降する際のdI/dtが小さくなり、負荷105の高電位側電極から緩やかに電流が流れ出る。
(1)前記第1スイッチ素子の他端と前記第3スイッチ素子の他端とを接続する接続点を第1接続点とし、
(2)前記第2スイッチ素子の他端と前記第4スイッチ素子の他端とを接続する接続点を第2接続点とし、
(3)前記第1スイッチ素子の一端と前記第2スイッチ素子の一端とを接続する接続点を第3接続点とし、
(4)前記第3スイッチ素子の一端と前記第4スイッチ素子の一端とを接続する接続点を第4接続点とし、
(5)前記第1接続点および第2接続点を前記フルブリッジ回路の入力点とし、前記第3接続点および第4接続点を前記フルブリッジ回路の出力点としたとき、
前記出力点間を接続するコンデンサと、前記出力点と前記コンデンサとの間を接続するチョークコイルと、前記第1スイッチ素子から前記第4スイッチ素子のオン・オフ動作を各々制御するスイッチ制御部と、を備え、前記入力点間に前記第1直流電圧が供給されるように前記第1電源部の出力端子が接続され、前記第3接続点に前記負荷の高電位側電圧が印加されるように前記コンデンサの一端に前記負荷の高電位側電極が接続され、前記第4接続点に前記第2直流電圧の高電位側電圧が供給されるように前記コンデンサの他端に前記第2電源部の高電位側出力端子が接続され、前記第2電源部の低電位側出力端子に前記負荷の低電位側電極が接続されており、前記スイッチ制御部は、前記第1スイッチ素子と前記第3スイッチ素子のうちで、オン状態となる時間幅が狭い方の該時間幅をTm、オン状態の時間幅が広い方のスイッチ素子のオン・オフ状態と前記オン状態の時間幅が狭い方のスイッチ素子のオン・オフ状態とが同一になる重なり期間をTd、前記時間幅Tmに対する前記重なり期間Tdの割合を示すドライブ重なり率をRd=(Td/Tm)×100%としたとき、前記ドライブ重なり率Rdが50%以上100%以下となるように前記各スイッチ素子の動作を制御し、前記第1スイッチ素子と第2スイッチ素子とを交互にオン・オフさせると共に前記第3スイッチ素子と第4スイッチ素子とを交互にオン・オフさせて、前記フルブリッジ回路から前記負荷へ供給する供給電流を出力させ、前記供給電流が出力されない期間に、前記第1スイッチ素子および第3スイッチ素子を共にオン状態として前記第3接続点と第4接続点との間を接続して慣性電流を流す、ことを特徴とする。
(実施例1)
図5は、この発明の実施例1による直流電源装置の概略構成を示す説明図である。図示した直流電源装置は、スイッチ11(Q1)〜スイッチ14(q2)、回路電流に含まれる高周波成分を除去するチョークコイル16,17、回路電圧等を平滑化する出力コンデンサ18、ならびにスイッチ11(Q1)〜スイッチ14(q2)の各スイッチ動作を制御するスイッチ制御部4からなる電流制御部1を備えている。また、電流制御部1に直流電圧V1を供給する直流電源部2、電流制御部1にブースト電圧VBを供給するブースト電源部3を備えている。
図5に示した直流電源装置は、例えば直流電圧Vcを発生するバッテリパック等からなる負荷5が接続されている。
スイッチ11(Q1)とスイッチ13(q1)との接続点(フルブリッジ回路の入力点)は、直流電源部2の高電位側出力端子に接続されている。スイッチ12(Q2)とスイッチ14(q2)との接続点(フルブリッジ回路の入力点)は、直流電源部2の低電位側出力端子に接続されている。
スイッチ11(Q1)とスイッチ12(Q2)との接続点(フルブリッジ回路の第1出力点)には、チョークコイル16の一端が接続されている。また、スイッチ13(q1)とスイッチ14(q2)との接続点(フルブリッジ回路の第2出力点)には、チョークコイル17の一端が接続されている。
負荷5の低電位側、即ちマイナス電極はブースト電源部3の低電位側出力端子に接続されている。また、負荷5の両電極は、ブースト電源部3の電圧検知端子等に接続されている。即ち、負荷5とブースト電源部3は逆極性直列接続されており、直流電源部2は電流制御部1を介してブースト電源部3と負荷5との間に直列接続されている。
スイッチ11(Q1)〜スイッチ14(q2)は、例えばMOSFETの半導体スイッチ素子からなり、制御端子となるゲートが各々スイッチ制御部4に接続されている。
直流電源部2は、前述のように直流電圧V1を生成する電源回路からなり、電流制御部1に負荷5を接続したとき、出力電圧V1が変化しない程度の電流容量を有している。
1)電流制御部1を構成する各スイッチ素子や負荷5などを接続する配線部分の発熱等による損失を補い、当該電流制御部1と負荷5との間に流れる電流を継続させるエネルギ供給を行う。
2)電流制御部1等の過渡応答・立ち上がり特性が有する高速性に対して、一般的にはブースト電源部3が電圧VBを調整する応答性が遅い。例えば、負荷5が容量性のバッテリ等である場合には、負荷電流が増大するとき当該負荷5の内部インピーダンスによる電圧降下が変化する。そのため電圧Vcが変化するときには、ブースト電源部3から電流制御部1へ出力している電圧VBの追従が間に合わなくなる。このような電圧Vcの変化に対応して電圧VBを調整するとき、直流電源部2から出力されている電圧V1のエネルギを過渡的に補給する。
電圧V1は、バッテリ等の内部インピーダンス、電流回路(電流制御部1など)が有する特性、ブースト電源部3の応答速度などに対応するために、適当なマージンを含む電圧値に設定されたものであるが、一般的には電圧VBならびに電圧Vcに比べて小さい値である。
また、ブースト電源部3は、負荷5の両端電圧Vcを検知するように構成されており、検知した電圧をVsとしたとき、当該電圧Vsと等しくなるように電圧VBの大きさを調整して生成するように構成されている。
ブースト電源部3は、負荷5の両端電圧Vcを検知し、検知した電圧Vsと同等の電圧VBを生成し、当該電圧VBの高電位側電圧を電流制御部1へ出力し、詳しくはチョークコイル17と出力コンデンサ18との接続点へ印加する。また、電圧VBの低電位側電圧を負荷5の低電位側電極へ印加する。換言すると、ブースト電源部3、電流制御部1および負荷5は直列回路を形成しており、負荷5(バッテリ)の両端電圧Vcに対して逆極性となるようにブースト電源部3からの電圧VBが印加されることから、これらの合成電圧は定常的には0[V]になる。
そのため、電流制御部1は、回路インピーダンスに打ち勝つだけの小さな電圧で、上記の直列回路に流れる電流を制御することが可能になる。
直流電源部2は、例えば電圧V1の高電位側電圧をスイッチ11(Q1)とスイッチ13(q1)との接続点に供給し、電圧V1の低電位側電圧をスイッチ12(Q2)とスイッチ14(q2)との接続点に供給する。即ち、前述のフルブリッジ回路の入力点間に電圧V1を供給する。
スイッチ11(Q1)およびスイッチ14(q2)がオフ状態に、また、スイッチ12(Q2)およびスイッチ13(q1)がオン状態に制御されているときには、−V1+VBの電圧が上記のチョークコイル16,17と負荷5との直列回路部分の両端に印加される。ここで、上記のスイッチ11(Q1)〜スイッチ14(q2)のオン・オフ状態を第2スイッチ状態とする。
図6(a),(b)に示したスイッチ動作には、前述の第1スイッチ状態と第2スイッチ状態に加えて、スイッチ11(Q1)とスイッチ13(q1)が共にオン状態になる期間と、スイッチ12(Q2)とスイッチ14(q2)が共にオン状態となる期間を設けている。
なお、スイッチ11(Q1)とスイッチ12(Q2)が共にオン状態となる期間と、スイッチ13(q1)とスイッチ14(q2)が共にオン状態となる期間は存在しない。
また、上記の各スイッチ動作は負荷5へ電力を供給する目的などに応じて行われ、図6(a)に示したスイッチ動作のみを行う場合、図6(b)に示したスイッチ動作のみを行う場合、また図6(a)と図6(b)のスイッチ動作を組み合わせて行う場合などがある。
また、例えばスイッチ13(q1)がオフ状態へ遷移するタイミングとスイッチ14(q2)がオン状態へ遷移するタイミングとを同期させ、スイッチ13(q1)とスイッチ14(q2)を反転させて交互にオン・オフさせている。
また、スイッチ11(Q1)がオフ状態へ遷移するタイミングとスイッチ13(q1)がオフ状態へ遷移するタイミングを同期させていない。またさらに、スイッチ12(Q2)がオン状態へ遷移するタイミングとスイッチ14(q2)がオン状態へ遷移するタイミングとを同期させていない。
このように各スイッチ動作を制御することによって、図6(a)に示した“伝達期間”において、スイッチ11(Q1)とスイッチ14(q2)が共にオン状態になり、なおかつ、スイッチ12(Q2)とスイッチ13(q1)が共にオフ状態になる第1スイッチ状態が生じる。この伝達期間においては、チョークコイル16,17の総合インダクタンスをL、当該インダクタンスLに印加される電圧をVLとしたとき、VL=V1+VB−Vcとなり、ここでVB=VcとしたときVL=V1となる。
このときの電流増加率は、dI/dt=V1/Lと表されることから、電圧V1の値によって負荷電流の増加率、即ち三角波電流の増加時の傾斜が定められ、電圧VLの印加時間によって電流増加量を調整することができる。
このように、伝達期間の長さを変化させることにより、回路電流を制御することができる。
また、スイッチ制御部4は、伝達期間の長さ、即ち電圧V1のオンデューティが基本的には50[%]前後となるように各スイッチ動作を制御しており、リップル電流を抑制する実効が得られるように上記のオンデューティを設定して上記の制御を行っている。
また、直列接続されているスイッチ13(q1)とスイッチ14(q2)のオン・オフ状態を反転させて、交互にオン・オフするようにスイッチタイミングを同期させている。
また、スイッチ11(Q1)およびスイッチ13(q1)のオフ状態からオン状態へ遷移するタイミングを同期させ、さらにスイッチ12(Q2)およびスイッチ14(q2)のオン状態からオフ状態へ遷移するタイミングを同期させている。
また、このスイッチ動作では、スイッチ11(Q1)がオフ状態へ遷移するタイミングとスイッチ13(q1)がオフ状態へ遷移するタイミングを同期させていない。またさらに、スイッチ12(Q2)がオン状態へ遷移するタイミングとスイッチ14(q2)がオン状態へ遷移するタイミングとを同期させていない。
図6(a),(b)に示した各休止期間には、スイッチ11(Q1)とスイッチ13(q1)が共にオン状態になっている期間と、スイッチ12(Q2)とスイッチ14(q2)が共にオン状態になっている期間が含まれている。
これは、スイッチ11(Q1)〜スイッチ14(q2)によって構成されているフルブリッジ回路の二つの出力点間が接続され、換言するとチョークコイル16の一端とチョークコイル17の一端が接続されて負荷5にブースト電源部3からの電圧VBが供給される。このとき電圧VBには、直流電源部2によって生成された電圧V1が重畳されない。
ブースト電源部3は、前述のように負荷5の両端電圧を検知し、検知した電圧Vsに等しい電圧VBを生成することから、上記のフルブリッジ回路の出力点間の電位差が無くなる。このように電位差が無くなると、チョークコイル16,17に蓄積されていたエネルギ(電力)が開放され、このエネルギによって負荷5に慣性電流が流れる。
図7に示した各状態は、ハイレベルの部分がオン状態を表し、ローレベルの部分がオフ状態を表している。
また、状態遷移Aは例えばスイッチ11(Q1)のオン・オフ動作を表し、状態遷移Bはスイッチ13(q1)のオン・オフ動作を表している。
ここで、状態遷移Aと状態遷移Bのうち、オン状態の期間が短い(時間幅の狭い)方の状態遷移における当該時間幅をTm、状態遷移Aのオン状態と状態遷移Bのオン状態が重なる期間をTd、としたとき、時間幅Tmに対する重なり期間Tdの割合を、ドライブ重なり率Rdとする(Rd=Td/Tm)。図7に例示したものは、一の状態(ここではオン状態)となっている時間幅の狭い方が状態遷移Aであり、一の状態(オン状態)の時間幅の広い方が状態遷移Bである。
図7(a)に例示したスイッチ動作は、各スイッチがオン状態からオフ状態へ遷移する際、またはオフ状態からオン状態へ遷移する際に生じる遅延時間(デッドタイム)は微小であり、「0」とみなしてよい程度である。ここで、状態遷移Aの中でローレベルになっている期間と、状態遷移Bの中でハイレベルになっている期間をそれぞれTmとしたとき、期間Tdを「0」とみなすことにより、ドライブ重なり率RdはTd/Tm=0になり、前述の慣性電流が流れる期間は生じない。
図7(b)は、図5の電流制御部1の制御によるスイッチ動作の一例を示している。図7(a)と同様に、図7(b)の状態遷移Aは例えばスイッチ11(Q1)の動作パターンを表すもので、状態遷移Bはスイッチ13(q1)の動作パターンを表すものである。
このように電流制御部1が入力電圧(電圧V1)をスイッチして電流を出力する期間を短く抑えることにより、前述の三角波電流(リップル電流)の大きさを抑制することができ、また、電流制御部1から電流出力を行わない期間に慣性電流を流すことにより、負荷5に流れる直流電流を維持することができる。
なお、図示を省略したスイッチ12(Q2)のオン・オフ動作は、スイッチ11(Q1)を反転させたものとなり、図示を省略したスイッチ14(q2)のオン・オフ動作はスイッチ13(q1)を反転させたものとなる。図8に例示した動作は、図6(a)の動作に相当する。
ここで、電流制御部1もしくはフルブリッジ回路の第1出力点の電圧をVとする。また、負荷5からみたとき電流制御部1が有するインダクタンス、即ちチョークコイル16,17の総合インダクタンスをLとする。
電流制御部1が図6(a)のように動作して図9(a)に示した第1スイッチ状態となったとき、当該電流制御部1から負荷5へ流れる電流をIとすると、電流変化率はdI/dt=(V−Vc)/Lとなる。
また、図9(b)に示したようにスイッチ11(Q1)とスイッチ13(q1)が共にオン状態となっているとき、または図9(c)に示したスイッチ12(Q2)とスイッチ14(q2)が共にオン状態となっているときには、直流電源部2から電力が供給されないことから電流Iが減少する。このときの電流変化率はdI/dt=−Vc/Lとなる。
負荷5へ供給する電流Iを増加させる場合、リップル電流(三角波電流)を抑制するためには電流上昇を急峻に行い、電流下降を理想的には皆無にすることが望ましい。即ち、電流変化率を大きくするためには上記の電圧Vが電圧Vcよりも十分大きく、電流変化率を小さくするためには電圧Vcが小さいことが好ましい。
上記のように電源電圧を設定した場合、数百ボルトの高電圧を出力するバッテリ等を駆動するときには相当の高電圧を取り扱う装置・設備が必要になる。本発明の技術は、負荷が有する電圧をはるかに上回る高電圧を必要とせずに、リップル電流の低減化を図ることを可能にするものである。
また、図6(a)の動作においてスイッチ11(Q1)とスイッチ13(q1)が共にオン状態となっているとき、またはスイッチ12(Q2)とスイッチ14(q2)が共にオン状態となっているときには、電圧VBが印加されることによって負荷5の電圧Vcが見かけ上0[V]となるため、図8に示した電流波形のdI/dt=−Vc/Lとなる部分が、理想的にはdI/dt=0となって三角波電流の下降部分が生じなくなる。即ち、電流制御部1から負荷5に供給される電流は段階的に上昇するものとなる。換言すると、電流リップル成分(三角波電流)を含まないものとなる。
電圧VBが供給されている電流制御部1が、上記のように第2スイッチ状態となっているとき、フルブリッジ回路から出力される電圧−Vは−V1+VBであり、前述のように見かけ上は電圧Vc=0[V]であることから、電流変化率はdI/dt=−V1/Lとなる。このときの電圧−V1は、絶対値が見かけ上の電圧Vcに比べて十分大きいため電流下降は急峻になる。
例えば電流制御部1と負荷5との間に電流センサ等を備え、この電流センサを用いて計測した電流値から負荷5の充放電特性を測定するとき、上記のようにリップル電流を抑制することによって、高電圧を有する負荷5の充放電特性を精度よく測定することが可能になる。
また、上記のように電流センサを備えた場合、電流センサが検知する電流に含まれているリップル電流が微細になることから、当該電流センサが検知した電流値を用いて負荷5に流れる電流を高い精度で制御することも可能になる。
負荷5がバッテリ等である場合、上記のように電流制御部1から負荷5へ電流が流れるときには、当該負荷5は充電状態になり、各電源部は電力出力動作を行う。また、負荷5から電流制御部1へ電流が流れるときには、当該負荷5は放電状態になり、各電源部は電子負荷として動作する。実施例1で説明した直流電源装置は、回生機能ならびに双方向電源として動作することが可能な機能を備えている。
図10は、この発明の実施例2よる直流電源装置の概略構成を示す説明図である。図示した直流電源装置は、半導体スイッチ素子からなるスイッチ31(Q1)〜スイッチ34(Q2)、回路電流に含まれる高周波成分を除去するチョークコイル26、回路電圧等を平滑化する出力コンデンサ27、ならびにスイッチ31(Q1)〜スイッチ34(Q2)の各スイッチ動作を制御するスイッチ制御部24からなる電流制御部21を備えている。また、電流制御部21に直流電圧+V1,−V1を供給する直流電源部22、電流制御部21へブースト電圧VBを供給するブースト電源部23を備えている。
図10に示した直流電源装置には、例えば直流電圧Vcを発生するバッテリパック等からなる負荷25が接続されている。
スイッチ31(Q1)とスイッチ32(q1)との接続点にはダイオード35のカソードが接続されている。また、スイッチ33(q2)とスイッチ34(Q2)との接続点にはダイオード36のアノードが接続されている。ダイオード35のアノードとダイオード36のカソードは、直流電源部22の接地(以下、GNDと記載する)端子に接続されている。また、直流電源部22のGND端子には、ブースト電源部23の電圧VBの高電位側出力端子が接続されている。
負荷25の低電位側電極は、ブースト電源部23の低電位側出力端子に接続されている。即ち、負荷25は、ブースト電源部23に逆極性直列接続されている。
負荷25の両電極は、ブースト電源部23の電圧モニタ端子等に接続されている。
スイッチ31(Q1)〜スイッチ34(Q2)は、例えばMOSFET等の半導体スイッチ素子からなり、制御端子となるゲートが各々スイッチ制御部24に接続されている。
直流電源部22は、前述のように電圧+V1および電圧−V1を生成する電源回路からなり、電流制御部21に負荷25を接続したときに電圧+V1および電圧−V1が変化しない程度の電流容量を有している。
ブースト電源部23は、負荷25の両端電圧Vcを検知し、当該検知した電圧をVsとしたとき、電圧Vsに応じて電流制御部21等へ出力するブースト電圧VBの大きさを調整するように構成されている。
ブースト電源部23は、例えば負荷25の両端電圧Vcを検知し、検知した電圧Vsと等しい電圧VBを生成し、当該電圧VBの高電位側電圧を電流制御部21へ、詳しくは直流電源部22のGND端子へ印加する。換言すると、ブースト電源部23は、電流制御部21に接続された負荷25の電圧Vcが、当該電流制御部21からの見かけ上において小さく、好ましくは0[V]となるように電圧VBを出力する。
直流電源部22は、電圧+V1をスイッチ31(Q1)の一端に供給し、また電圧−V1をスイッチ34(Q2)の一端に供給する。
実施例2の直流電源装置が動作するときに設ける伝達期間には、電圧+V1を用いる電流増加の伝達期間と、電圧−V1を用いる電流減少の伝達期間がある。
なお、実施例2の直流電源装置においても、各伝達期間の長さ、即ち電圧+V1または電圧−V1のオンデューティが基本的には50[%]前後となるように各スイッチ動作を制御しており、リップル電流を抑制する実効が得られるように上記のオンデューティを設定してスイッチ制御を行っている。
i)スイッチ31(Q1)と共にオン状態となって、前述の電流増加の伝達期間を発生させ、直流電源部22から出力される電圧+V1を電流制御部21の出力点(スイッチ32(q1)とスイッチ33(q2)との接続点)へ供給する。
ii)スイッチ31(Q1)をオフ状態とする上記の休止期間において、電流制御部21の出力点から負荷25の高電位側電極へ電流を流すときには、当該スイッチ32(q1)はオン状態となって、チョークコイル26、負荷25、ブースト電源部23、ダイオード35が直列接続された電流回路を形成する。この電流回路には、チョークコイル26に蓄積されているエネルギにより、前述の電流制御部21(チョークコイル26)から負荷25へ向かう慣性電流(充電電流)が流れる。
iii)スイッチ34(Q2)ならびにスイッチ33(q2)がオン状態となって、前述の電流減少の伝達期間となったときには、電流制御部21へ印加されている電圧が損なわれないようにオフ状態となる。
i)スイッチ34(Q2)と共にオン状態となって、前述の電流減少の伝達期間を発生させ、直流電源部22から出力される電圧−V1を電流制御部21の出力点へ供給する。
ii)スイッチ34(Q2)をオフ状態とする前述の休止期間において、負荷25から電流制御部21へ電流を流すときには、当該スイッチ34(q2)はオン状態となって、チョークコイル26、負荷25、ブースト電源部23、ダイオード36が直列接続された電流回路を形成する。この電流回路には、チョークコイル26に蓄積されているエネルギにより、前述の負荷25から電流制御部21(チョークコイル26)へ向かう慣性電流(放電電流)が流れる。
iii)スイッチ31(Q1)ならびにスイッチ32(q1)がオン状態となって、前述の電流増加の伝達期間となったときには、電流制御部21へ印加されている電圧が損なわれないようにオフ状態となる。
以上のような各スイッチの制御ロジックにより、実施例1で説明した直流電源装置と概略同様な動作が可能になる。
例えば、スイッチ制御部24が、直流電源部22から出力された電圧+V1がチョークコイル26へ供給されないスイッチ状態から、スイッチ31(Q1)およびスイッチ32(q1)を共にオン状態に制御して電圧+V1をチョークコイル26へ供給し、また、電圧−V1がチョークコイル26へ印加されないようにスイッチ33(q2)とスイッチ34(Q2)のいずれか、あるいは両方をオフ状態に制御して、前述の電流増加の伝達期間としたとき、電流制御部21から負荷25へ流れる電流が急峻に増加する。
この後、スイッチ31(Q1)をオフ状態へ遷移させ、スイッチ32(q1)をオン状態に維持した期間(休止期間)には、前述の電流回路が形成されてチョークコイル26に蓄積されたエネルギによって慣性電流が流れ、電圧+V1の供給が絶たれた後の電流変化(減少)が小さく抑えられる。即ち、例えば負荷25の充電電流を増加させるとき、電流制御部21から負荷25へ流れる電流は階段状に増加するものとなって、増減を繰り返す三角波電流(リップル電流)が観測されなくなる。
この後、スイッチ34(Q2)をオフ状態へ遷移させ、スイッチ33(q2)をオン状態に維持した期間(休止期間)には、前述の電流回路が形成されてチョークコイル26に蓄積されたエネルギによって慣性電流が流れ、電圧−V1の供給が絶たれた後の電流変化(減少)が小さく抑えられる。即ち、例えば負荷25の充電電流を減少させるとき、負荷25に流れる電流は階段状に減少するものとなって、増減を繰り返す三角波電流(リップル電流)が観測されなくなる。
実施例2の直流電源装置によって負荷25の放電電流を制御する場合、放電電流を増加させるときには前述の電圧−V1を供給するスイッチ制御を行い、放電電流を減少させるときには電圧+V1を供給するスイッチ制御を行う。
また、スイッチ制御部24は、例えば10[kW]以上の電力を出力負荷25へ供給する場合には、電流制御部21の各スイッチを20[kHz]以下でスイッチさせる。即ち、負荷25に流れる電流は、50[μsec.]以上の周期で階段状に上昇、あるいは下降する。負荷25が軽い場合には数百[kHz]でスイッチさせてもよい。
例えば電流制御部2と負荷25との間に電流センサ等を備え、この電流センサを用いて計測した電流値から負荷25の充放電特性を測定するとき、上記のようにリップル電流を抑制することによって、高電圧を有する負荷25の充放電特性を精度よく測定することが可能になる。
また、上記のように電流センサを備えた場合、電流センサが検知する電流に含まれているリップル電流が微細になることから、当該電流センサが検知した電流値を用いて負荷25に流れる電流を高い精度で制御することも可能になる。
2,22直流電源部
3,23ブースト電源部
4,24スイッチ制御部
5,25負荷
11〜14,31〜34スイッチ
16,17,26チョークコイル
18,27出力コンデンサ
35,36ダイオード
101,102スイッチ
103,124チョークコイル
104平滑コンデンサ
105負荷
110〜113スイッチ
114,115ダイオード
Claims (4)
- 直流電圧を有する負荷に接続され、複数のスイッチ素子を用いて前記負荷に流れる電流を制御する電流制御部と、
前記負荷の両端電圧よりも小さな第1直流電圧を生成して前記電流制御部へ入力する第1電源部と、
前記負荷の両端電圧と等しい第2直流電圧を生成する第2電源部と、
を備え、
前記負荷と前記第2電源部とを逆極性直列接続し、さらに前記負荷と前記第2電源部との間に前記電流制御部を介して前記第1電源部が直列接続しており、
前記電流制御部の各スイッチ素子の動作により前記第1直流電圧を所定のオンデューティで前記第2直流電圧に重畳して前記負荷に供給する、
ことを特徴とする直流電源装置。 - 前記電流制御部は、
第1スイッチ素子の一端と第2スイッチ素子の一端とを直列接続し、第3スイッチ素子の一端と第4スイッチ素子の一端とを直列接続し、前記直列接続された第1および第2スイッチ素子と前記直列接続された第3および第4スイッチ素子とを並列接続してなるフルブリッジ回路と、
(1)前記第1スイッチ素子の他端と前記第3スイッチ素子の他端とを接続する接続点を第1接続点とし、
(2)前記第2スイッチ素子の他端と前記第4スイッチ素子の他端とを接続する接続点を第2接続点とし、
(3)前記第1スイッチ素子の一端と前記第2スイッチ素子の一端とを接続する接続点を第3接続点とし、
(4)前記第3スイッチ素子の一端と前記第4スイッチ素子の一端とを接続する接続点を第4接続点とし、
(5)前記第1接続点および第2接続点を前記フルブリッジ回路の入力点とし、前記第3接続点および第4接続点を前記フルブリッジ回路の出力点としたとき、
前記出力点間を接続するコンデンサと、
前記出力点と前記コンデンサとの間を接続するチョークコイルと、
前記第1スイッチ素子から前記第4スイッチ素子のオン・オフ動作を各々制御するスイッチ制御部と、
を備え、
前記入力点間に前記第1直流電圧が供給されるように前記第1電源部の出力端子が接続され、
前記第3接続点に前記負荷の高電位側電圧が印加されるように前記コンデンサの一端に前記負荷の高電位側電極が接続され、
前記第4接続点に前記第2直流電圧の高電位側電圧が供給されるように前記コンデンサの他端に前記第2電源部の高電位側出力端子が接続され、
前記第2電源部の低電位側出力端子に前記負荷の低電位側電極が接続されており、
前記スイッチ制御部は、
前記第1スイッチ素子と前記第3スイッチ素子のうちで、オン状態となる時間幅が狭い方の該時間幅をTm、オン状態の時間幅が広い方のスイッチ素子のオン・オフ状態と前記オン状態の時間幅が狭い方のスイッチ素子のオン・オフ状態とが同一になる重なり期間をTd、前記時間幅Tmに対する前記重なり期間Tdの割合を示すドライブ重なり率をRd=(Td/Tm)×100%としたとき、前記ドライブ重なり率Rdが50%以上100%以下となるように前記各スイッチ素子の動作を制御し、
前記第1スイッチ素子と第2スイッチ素子とを交互にオン・オフさせると共に前記第3スイッチ素子と第4スイッチ素子とを交互にオン・オフさせて、前記フルブリッジ回路から前記負荷へ供給する供給電流を出力させ、
前記供給電流が出力されない期間に、前記第1スイッチ素子および第3スイッチ素子を共にオン状態として前記第3接続点と第4接続点との間を接続して慣性電流を流す、
ことを特徴とする請求項1に記載の直流電源装置。 - 前記電流制御部は、
直列接続された第1スイッチ素子、第2スイッチ素子、第3スイッチ素子および第4スイッチ素子と、
前記第2スイッチ素子と前記第3スイッチ素子との接続点に一端を接続し、他端を前記負荷の高電位側電極に接続するチョークコイルと、
前記チョークコイルの他端に一端を接続し、他端を接地するコンデンサと、
前記第1スイッチ素子から前記第4スイッチ素子のオン・オフ動作を各々制御するスイッチ制御部と、
前記第1スイッチ素子と前記第2スイッチ素子との接続点にカソードを接続する第1ダイオードと、
前記第3スイッチ素子と前記第4スイッチ素子との接続点にアノードを接続する第2ダイオードと、
を備え、
前記第1電源部は、
電圧極性が正の第1直流電圧と電圧極性が負の第1直流電圧とを生成し、
前記正の第1直流電圧の出力端子を前記第1スイッチ素子の一端に接続し、
前記負の第1直流電圧の出力端子を前記第4スイッチ素子の一端に接続し、
前記正の第1直流電圧と前記負の第1直流電圧の中心電位となる出力端子を前記第1ダイオードのアノードおよび第2ダイオードのカソードに接続して接地しており、
前記第2電源部は、
前記第2直流電圧の高電位側出力端子を前記第1電源部の中心電位となる出力端子に接続し、
前記第2直流電圧の低電位側出力端子を前記負荷の低電位側電極に接続しており、
前記スイッチ制御部は、
前記第1および第2スイッチ素子をオン状態に制御し、前記正の第1直流電圧を前記チョークコイルに供給して前記負荷に流れる電流を急峻に増加させ、その後前記第1スイッチ素子をオフ状態に遷移させて、オン状態の前記第2スイッチ素子、前記チョークコイル、前記第2電源部および前記第1ダイオードを含む電流回路を形成させて前記チョークコイルに蓄積させたエネルギによる慣性電流を前記負荷に流す第1の制御と、
前記第3および第4スイッチ素子をオン状態に制御し、前記負の第1直流電圧を前記チョークコイルに供給して前記負荷に流れる電流を急峻に減少させ、その後前記第4スイッチ素子をオフ状態に遷移させて、オン状態の前記第3スイッチ素子、前記チョークコイル、前記第2電源部および前記第2ダイオードを含む電流回路を形成させて前記チョークコイルに蓄積させたエネルギによる慣性電流を前記負荷に流す第2の制御と、
を行うことを特徴とする請求項1に記載の直流電源装置。 - 前記第2電源部は、前記負荷の両端電圧を検知し、該検知電圧に等しい第2直流電圧を生成する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の直流電源装置。
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