JP5429350B2 - GaN結晶の表面処理方法、GaN結晶基板、エピタキシャル層付GaN結晶基板および半導体デバイス、ならびにエピタキシャル層付GaN結晶基板および半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

GaN結晶の表面処理方法、GaN結晶基板、エピタキシャル層付GaN結晶基板および半導体デバイス、ならびにエピタキシャル層付GaN結晶基板および半導体デバイスの製造方法 Download PDF

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本発明は、発光素子、電子素子、半導体センサなどの半導体デバイスの基板などに用いられるGaN結晶の表面処理方法に関する。さらに、本発明は、GaN結晶の表面処理方法により得られたGaN結晶基板ならびにそのGaN結晶基板を含む半導体デバイスおよびその製造方法に関する。
窒化物結晶、特にGaN結晶、AlN結晶などのIII族窒化物結晶は、発光素子、電子素子、半導体センサなどの半導体デバイスの基板を形成するための材料として非常に有用なものである。ここで、窒化物結晶とは、窒化物により形成されている結晶をいうが、代表的なものとしてIII族窒化物結晶が挙げられる。III族窒化物結晶とは、III族元素と窒素とにより形成されている結晶、たとえば、GaxAlyIn1-x-yN結晶(0≦x、0≦y、x+y≦1)などをいう。
半導体デバイスの基板として用いられる窒化物結晶基板は、窒化物結晶の外周に形状形成加工を施した後に所定の厚さにスライスし、表面をグラインディングまたはラッピングすることによって得られるが、かかるスライス、グラインディングまたはラッピングによって、窒化物結晶の表面側領域に厚い加工変質層(結晶表面の研削または研磨によって結晶の表面側領域に形成される結晶格子が乱れた層をいう、以下同じ)が形成され、または窒化物結晶の表面粗さが大きくなる。この窒化物結晶基板の加工変質層の厚さが大きくなるほど、またその表面粗さが大きくなるほど基板表面の品質が低下し、この窒化物結晶表面上にエピタキシャル成長させたIII族窒化物結晶層の表面は凹凸が大きくなりまた結晶性が低下する。そのため、良質な半導体デバイスを形成することができない。
このため、窒化物結晶から窒化物結晶基板を形成する方法として、窒化物結晶を所定の厚さにスライスし、表面をグラインディングまたはラッピングした後に、さらに表面をドライエッチング(たとえば、特開2001−322899号公報(特許文献1)を参照)または化学的機械的ポリシング(Chemical Mechanical Polishing、以下CMPという)(たとえば、米国特許第6596079号明細書(特許文献2)および米国特許第6488767号明細書(特許文献3)を参照)を行なうことにより、上記加工変質層を除去し、表面粗さをさらに低減することが広く行なわれていた。
しかし、III族窒化物結晶基板の表面をドライエッチングする方法では、上記加工変質層を除去することができるが、表面粗さをさらに小さくすることが困難であった。
また、従来のCMPは、被研磨物である窒化物結晶の硬度以下に硬度の低い砥粒を含むスラリーをポリシングパッドに供給しながら、窒化物結晶をポリシングパッドに押し当てることにより窒化物結晶の表面を行なっているが、窒化物結晶は硬質で反応性に乏しいため、従来のCMPでは、ポリシング速度が非常に低く、非効率的であった。
特開2001−322899号公報 米国特許第6596079号明細書 米国特許第6488767号明細書
本発明は、半導体デバイスに用いることができるGaN結晶基板を効率的に得るため、効率よくGaN結晶に平滑で品質のよい表面を形成するGaN結晶の表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、GaN結晶の表面を化学機械的にポリシングする表面処理方法であって、酸化物の砥粒が用いられ、砥粒の標準生成自由エネルギーが酸素分子1mol当たりの換算値で−770kJ/mol以上であり、かつ、砥粒のモース硬度が4以上である窒化物結晶の表面処理方法である。ここで、砥粒の標準生成自由エネルギーが酸素分子1mol当たりの換算値を−770kJ/mol以上−470kJ/mol以下とし、かつ、砥粒のモース硬度が4以上8.5以下とすることができる。
本発明にかかるGaN結晶の表面処理方法において、用いる砥粒を、Fe23、Fe34、NiO、ZnO、CoO、Co34、GeO2、Ga23、In23、Cr23およびSnO2からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化学種を含む砥粒とすることができる。
また、本発明にかかるGaN結晶の表面処理方法において、化学機械的にポリシングされたGaN結晶の表面が中性洗剤を用いてスクラブ洗浄されること、化学機械的にポリシングされたGaN結晶の表面が塩基性溶液または酸性溶液を用いてポリシングされることおよび化学機械的にポリシングされたGaN結晶の表面が純水を用いて洗浄されることの少なくともいずれかを行なうことができる。
また、本発明にかかるGaN結晶の表面処理方法において、化学機械的にポリシングされる前に、GaN結晶の表面がグラインディングまたはラッピングされ得る。
本発明にかかるGaN結晶の表面処理方法において、砥粒は溶媒に分散されてスラリーとして用いられ、スラリーのpHの値xと酸化還元電位の値y(mV)とが、以下の式(i)および式(ii)
y≧−50x+1000 ・・・(i)
y≦−50x+1900 ・・・(ii)
のいずれもの関係を満たすことができる。また、スラリーのpHを5以下または9以上とすることができる。
また、本発明は、上記の表面処理方法により得られたGaN結晶基板である。本発明にかかるGaN結晶基板において、表面粗さRyを30nm以下および/または表面粗さRaを3nm以下とすることができる。また、GaN結晶基板の主面と、ウルツ鉱型構造における{0001}面、{11−20}面、{01−12}面、{10−10}面、{10−11}面、{11−21}面および{11−22}面のいずれかの面とのなす角であるオフ角が15°以下とすることができる。
また、本発明は、上記のGaN結晶基板の少なくとも一方の主面側にエピタキシャル成長により形成された1層以上のIII族窒化物層を有するエピタキシャル層付GaN結晶基板である。また、本発明は、上記のGaN結晶基板と、このGaN結晶基板の少なくとも一方の主面側に形成されている1層以上のIII族窒化物層とを含む半導体デバイスである。また、本発明は、基板として上記のGaN結晶基板を選択し、このGaN結晶基板の少なくとも一方の主面側に1層以上のIII族窒化物層を成長させるエピタキシャル層付GaN結晶基板の製造方法である。また、本発明は、基板として上記のGaN結晶基板を選択し、このGaN結晶基板の少なくとも一方の主面側に1層以上のIII族窒化物層を成長させる半導体デバイスの製造方法である。
本発明によれば、半導体デバイスに用いることができるGaN結晶基板を効率的に得るため、効率よくGaN結晶に平滑で品質のよい表面を形成するGaN結晶の表面処理方法を提供することができる。
本発明にかかる窒化物結晶の表面処理方法の一実施形態を示す概略断面図である。 本発明にかかる窒化物結晶の表面処理方法の他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明にかかる窒化物結晶の表面処理方法に含まれ得る塩基性溶液または酸性溶液によるポリシングの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明にかかる窒化物結晶の表面処理方法に含まれ得るグラインディングの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明にかかる窒化物結晶の表面処理方法に含まれ得るラッピングの一実施形態を示す概略断面図である。 本発明にかかる半導体デバイスの一実施形態を示す概略断面図である。
(実施形態1)
本発明にかかる窒化物結晶の表面処理方法の一実施形態は、図1を参照して、窒化物結晶1の表面を化学機械的にポリシングする表面処理方法であって、酸化物の砥粒16が用いられ、砥粒16の標準生成自由エネルギーが酸素分子1mol当たりの換算値で−850kJ/mol以上であり、かつ、砥粒16のモース硬度が4以上であることを特徴とする。
本実施形態において、化学機械的にポリシング(以下、CMPという)するとは、被研磨物の表面を化学的および/または機械的に平滑化することをいい、たとえば、図1を参照して、定盤15上に固定されたポリシングパッド18を回転軸15cを中心にして回転させながら、スラリー供給口19からポリシングパッド18上に砥粒16を分散したスラリー17を供給するとともに、窒化物結晶1を固定した結晶ホルダ11上に重り14を載せてその回転軸11cを中心にして回転させながら窒化物結晶1を、上記ポリシングパッド18に押し当てることによって、窒化物結晶1の表面を化学機械的にポリシングすることができる。ここで、ポリシング(研磨)とは、比較的弱い負荷で表面を磨くことをいい、表面の除去量がごくわずかであるものを含み、被研磨物の仕上げの研磨として行なわれることが多い。また、ポリシングに対して、粗く研磨することをラッピング(粗研磨)ともいう。
本実施形態において、窒化物結晶1とは、窒化物により形成されている結晶をいうが、代表的なものとしてIII族窒化物結晶が挙げられる。III族窒化物結晶とは、III族元素と窒素とにより形成されている結晶、たとえば、GaxAlyIn1-x-yN結晶(0≦x、0≦y、x+y≦1)などをいう。
本実施形態のCMPにおいて用いられる砥粒は、酸化物であり、その標準生成自由エネルギーは酸素分子1mol当たりの換算値で−850kJ/mol以上である。このように酸化物で形成され、酸素分子1mol当たり換算の標準生成自由エネルギー(以下、換算標準生成自由エネルギーという)が−850kJ/mol以上の高い砥粒は、窒化物結晶の表面を酸化させる力が高いため、窒化物結晶の表面に対する高い化学的なポリシング効果を有する。
ここで、標準生成自由エネルギーは、標準生成ギブスエネルギーともいい、標準状態(1×105Pa)にある1モルの物質(単体、化合物)を基準の標準状態にある元素から等温的に(本願においては通常どおり298.15Kで)生成する反応のギブスエネルギー変化で、記号ΔGf Oで表わされる。この量は、以下の式(iv)
ΔGf O=ΔHf O−TΔSf O (iv)
に基づいて標準生成エンタルピーΔHf Oおよび標準生成エントロピーΔSf Oから算出される。なお、式(iv)において、Tは絶対温度を示す。
上記標準生成自由エネルギーΔGf Oは、その定義から、M原子の価数mの違いにより、以下の式(v)〜(viii)
m=1のとき、2M(s) +(1/2)O2(g) → M2O(s) (v)
m=2のとき、 M(s) +(1/2)O2(g) → MO(s) (vi)
m=3のとき、2M(s) +(3/2)O2(g) → M23(s) (vii)
m=4のとき、 M(s) + O2(g) → MO2(s) (viii)
に示される反応における自由エネルギー変化を示す。すなわち、M原子の価数が1の場合はM2O、M原子の価数が2の場合はMO、M原子の価数が3の場合はM23、M原子の価数が4の場合はMO2の分子1molが生成する自由エネルギー変化を意味するため、酸化物分子1mol中に含まれるM原子および酸素原子の数がそれぞれ異なる。
このため、M原子が酸素分子1molと反応してMpq(p、qは正の整数)を生成する際の標準生成自由エネルギーを、酸素分子1mol当たり換算の標準生成自由エネルギー(すなわち、換算標準生成自由エネルギー)と定義し、記号ΔGfO2 Oと表わす。すなわち、換算標準生成自由エネルギーは、M原子の価数をmとするとき、以下の式(ix)〜(xii)
m=1のとき、 4M(s) + O2(g) → 2M2O(s)(ix)
m=2のとき、 2M(s) + O2(g) → 2MO(s) (x)
m=3のとき、(4/3)M(s) + O2(g) →(2/3)M23(s)(xi)
m=4のとき、 M(s) + O2(g) → MO2(s)(xii)
に示される反応の自由エネルギー変化を示す。
したがって、換算標準生成自由エネルギーΔGfO2 Oは、標準生成自由エネルギーΔGf Oから式(v)〜(xii)における酸素分子の係数を考慮して算出される。なお、式(v)〜(xii)において、各単体または各化合物の後に示す記号(s)および記号(g)は、それぞれ、その単体またはその化合物が固体状態および気体状態にあることを示す。
かかる化学的なポリシング効果を高める観点から、砥粒の換算標準生成自由エネルギーは、−800kJ/mol以上が好ましく、−700kJ/mol以上がより好ましく、−600kJ/mol以上がさらに好ましい。ここで、砥粒の換算標準生成自由エネルギーが−700kJ/mol以上となると、ポリシング速度を著しく低減させることなく小粒径で低硬度の砥粒の使用が可能となり、窒化物結晶に加工変質層を形成することなく、結晶表面を効率的にポリシングすることができる。
本実施形態のCMPにおいて用いられる砥粒のモース硬度は、4以上である。モース硬度が4以上の砥粒は、窒化物結晶の表面に対する機械的なポリシング効果を有する。かかる機械的なポリシング効果を高める観点から、砥粒のモース硬度は、5以上が好ましく、7以上がより好ましく、8以上がさらに好ましい。特に、砥粒のモース硬度を7以上とすると、加工変質層の厚さが大きくなるが、ポリシング速度がより高くなる。
ポリシングおよびラッピングにおいて一般に用いられる砥粒は、ダイヤモンド、SiC、BN、Al23、SiO2、ZrO2などで形成されている。これらの化学種により形成される砥粒は、機械的なポリシング効果を高める観点から選定されるものである。ポリシング速度を高める観点から、高硬度で大粒径の砥粒が用いられる。表面粗さおよび/または加工変質層を低減する観点から、低硬度で小粒径の砥粒が用いられる。ポリシング時間を短縮して平滑で品質のよい表面を得るためには、大粒径砥粒から小粒径砥粒へと、複数の砥粒を用いて多段階的に研磨される。
半導体デバイス用基板は、極めて高い表面品質が求められるため、その研磨には主としてSiO2砥粒が用いられる。SiO2砥粒は、真球状のものが得られることおよび高度な粒度管理が可能なことから、加工変質層を低減するとともに平滑な表面が得られる。また、ガラスの研磨には、主としてCeO2砥粒が用いられる。CeO2砥粒によるガラスの研磨においては、CeがガラスのSiと置換すると考えられている。
しかし、窒化物結晶は化学的に安定で高硬度であるために、上記の一般的な砥粒のみを用いては、窒化物結晶に対して化学的なポリシング効果がない。たとえば、ダイヤモンド砥粒、SiC砥粒およびBN砥粒は、いずれも酸化物でなく窒化物結晶の表面に対して酸化作用による化学的なポリシング効果を有さない。また、Al23砥粒、SiO2砥粒、CeO2砥粒およびZrO2砥粒は、いずれも酸化物であるが換算標準生成自由エネルギーが−850kJ/molより小さいため、窒化物結晶の表面に対して酸化作用による化学的なポリシング効果が極めて低い。
本実施形態において用いられる砥粒は、酸化物であり、その換算標準生成自由エネルギーが−850kJ/mol以上であり、かつ、そのモース硬度が4以上であれば、特に制限はないが、表面品質を高くしかつポリシング速度を高める観点から、Fe23、Fe34、NiO、ZnO、CoO、Co34、GeO2、Ga23、In23、Cr23およびSnO2からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化学種を含む砥粒であることが好ましい。
ここで、Fe23の換算標準生成自由エネルギーは−570kJ/molでモース硬度は6であり、Fe34の換算標準生成自由エネルギーは−580kJ/molでモース硬度は6であり、NiOの換算標準生成自由エネルギーは−500kJ/molでモース硬度は5.5であり、ZnOの換算標準生成自由エネルギーは−720kJ/molでモース硬度は4であり、CoOの換算標準生成自由エネルギーは−510kJ/molでモース硬度は5であり、Co34の換算標準生成自由エネルギーは−470kJ/molでモース硬度は5であり、GeO2の換算標準生成自由エネルギーは−570kJ/molでモース硬度は5であり、Ga23の換算標準生成自由エネルギーは−740kJ/molでモース硬度は5であり、In23の換算標準生成自由エネルギーは−770kJ/molでモース硬度は5であり、Cr23の換算標準生成自由エネルギーは−770kJ/molでモース硬度は8.5であり、SnO2の換算標準生成自由エネルギーは−600kJ/molでモース硬度は6.8である。
ここで、砥粒16は、1種類の単酸化物(単一の金属元素を含む酸化物をいう、以下同じ)だけでなく、2種類以上の単酸化物が混合されていてもよい。また、複合酸化物(2種類以上の金属元素を含む酸化物をいう、以下同じ)であってもよい。複合酸化物には、たとえば、フェライト、ペロブスカイト、スピネルまたはイルメナイトなどの構造を有するものがある。具体的な複合酸化物としては、NiFe24(これは、化学種としてNiOおよびFe23を含む)、ZnFe24(これは、化学種としてZnOおよびFe23を含む)、FeWO4(これは、化学種としてFeOおよびWO3を含む)などが好ましく挙げられる。なお、NiFe24の換算標準生成自由エネルギーは−560kJ/molでモース硬度は5であり、ZnFe24の換算標準生成自由エネルギーは−610kJ/molでモース硬度は6であり、FeWO4の換算標準生成自由エネルギーは−620kJ/molでモース硬度は4である。
本実施形態の窒化物結晶の表面処理方法において、図1を参照して、砥粒16は溶媒に分散されてスラリー17として用いられ、スラリー17のpHの値xと酸化還元電位(以下、ORPという)の値y(mV)とが、以下の式(i)および式(ii)
y≧−50x+1000 ・・・(i)
y≦−50x+1900 ・・・(ii)
のいずれもの関係を満たすことが好ましい。
本実施形態のスラリー17は、具体的には、分散媒体である水中に、上記砥粒16が分散されているものである。スラリー17における砥粒16の含有量は、特に制限はないが、窒化物結晶の表面を効率的にポリシングする観点から、1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、2質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
また、ORPとは、溶液中に共存する酸化体と還元体の間の平衡状態によって定まるエネルギーレベル(電位)を意味する。測定によって得られるORPは、比較電極に対する値であり、比較電極の種類が異なれば、同一溶液の測定値は見かけ上異なる。一般の学術論文などでは比較電極として標準水素電極(N.H.E)が用いられることが多い。本願におけるORPは、標準水素電極(N.H.E)を比較電極とした値として示す。
本実施形態のスラリー17のpHの値xとORPの値y(mV)とが、y<−50x+1000であると、スラリー17の酸化力が弱く、窒化物結晶1の表面のポリシング速度が低くなる。一方、y>−50x+1900であると、スラリー17の酸化力が強くなりすぎ、ポリシングパッド、定盤などのポリシング設備に対する腐食作用が強くなり、安定したCMPが困難となる。
また、ポリシング速度をより高める観点から、さらに、y≧−50x+1300であることが好ましい。すなわち、スラリー17のpHの値xとORPの値y(mV)とが、以下の式(ii)および式(iii)
y≦−50x+1900 ・・・(ii)
y≧−50x+1300 ・・・(iii)
のいずれもの関係を満たすことが好ましい。
通常のスラリーに含まれる塩酸、硫酸などの酸、KOH、NaOHなどの塩基は、化学的に安定な窒化物結晶の表面を酸化する力が弱い。このため、本実施形態のスラリーは、酸化剤が添加され、ORPが高い、すなわち酸化力が高められていることが好ましい。酸化剤の添加量は、スラリー17のpHの値xとORPの値y(mV)とが、y≧−50x+1000(式(i))およびy≦−50x+1900(式(ii))のいずれもの関係を満たすように調節される。
ここで、スラリーに添加する酸化剤としては、特に制限はないが、ポリシング速度を高める観点から、次亜塩素酸、トリクロロイソシアヌル酸などの塩素化イソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムなどの塩素化イソシアヌル酸塩、過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸塩、二クロム酸カリウムなどの二クロム酸塩、臭素酸カリウムなどの臭素酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどのチオ硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、硝酸、過酸化水素水、オゾンなどが好ましく用いられる。なお、これらの酸化剤は、単独で用いても、2以上を併用してもよい。
また、本実施形態のスラリー17のpHは、5以下または9以上であることが好ましい。pHが5以下の酸性スラリーまたはpHが9以上の塩基性スラリーを窒化物結晶に接触させて、窒化物結晶の加工変質層1aの酸化を促進することにより、ポリシング速度を高めることができる。かかる観点から、スラリー17のpHは、4以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。また、スラリー17のpHは、10以上であることがより好ましい。
ここで、pH調整剤として用いられる酸および塩基には特に制限はなく、たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、炭酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などの有機酸、KOH、NaOH、NH4OH、アミンなどの塩基の他、これらの酸または塩基を含む塩を用いることができる。また、上記酸化剤の添加により、pHを調整することもできる。
特に、pH調整剤として上記有機酸および/またはその塩を用いることにより、上記無機酸および/またはその塩を用いて同じpHとした場合に比べて、窒化物結晶に対するポリシング速度が大きくなる。ポリシング速度を高くする観点から、上記有機酸および/またはその塩は、それぞれ1分子中に2つ以上のカルボキシル基を含むカルボン酸および/またはその塩であることが好ましい。ジカルボン酸としては、リンゴ酸、コハク酸、フタル酸、酒石酸などが好ましく挙げられる。トリカルボン酸としては、クエン酸などが好ましく挙げられる。したがって、スラリーは、上記砥粒と、上記酸化剤と、上記有機酸および/またはその塩とを含むことが好ましい。
(実施形態2)
本発明にかかる窒化物結晶の表面処理方法の他の実施形態は、図2を参照して、窒化物結晶1の表面を化学機械的にポリシングする表面処理方法であって、酸化物の砥粒26が用いられ、砥粒26の換算標準生成自由エネルギーが−850kJ/mol以上であり、かつ、砥粒26のモース硬度が4以上であることを特徴とする。ここで、本実施形態の砥粒は、実施形態1の砥粒と同様である。
本実施形態におけるCMPは、砥粒を実施形態1のスラリーのような液体状として湿式で行なうのではなく、砥粒そのまま、または、砥粒をバインダーで固定して固体状として乾式で行なうことを特徴とする。本実施形態の砥粒は、その換算標準生成自由エネルギーが−850kJ/mol以上であることから、実施形態1のようなスラリーとしなくても、砥粒自体が窒化物結晶の表面に対して酸化作用による高い化学的なポリシング効果を有する。さらに、本実施形態の砥粒は、そのモース硬度が4以上であることから、上記化学的なポリシング効果とともに機械的なポリシング効果をも有する。したがって、上記の乾式のポリシングによっても窒化物結晶に対するCMPが可能となる。
本実施形態のCMPは、たとえば、図2を参照して、以下のように行なうことができる。砥粒26をバインダー27により固定して砥石、ポリシングパッド、ポリシングテープなどの砥粒固定体28を形成する。定盤25上に固定された砥粒固定体28を回転軸25cを中心にして回転させながら、窒化物結晶1を固定した結晶ホルダ21上に重り24を載せてその回転軸21cを中心にして回転させながら窒化物結晶1を、上記砥粒固定体28に押し当てることによって、窒化物結晶1の表面を化学機械的にポリシングすることができる。
ここで、バインダー27は、砥粒26を固定できるものであれば特に制限はないが、砥粒保持力と強度との観点から、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましく用いられる。また、砥粒固定体28は、その形態に制限はなく、砥石、ポリシングパッド、ポリシングテープなど各種の形態をとり得る。
なお、本実施形態の乾式のCMPにおいては、図2に示す砥粒26をバインダー27で固定した砥粒固定体28を用いる固定砥粒方式のCMPのみならず、CMP中に砥粒固定体28から砥粒26が遊離する半固定砥粒方式のCMP、砥粒そのままを用いる遊離砥粒方式のCMPを行なうことができる。また、遊離砥粒方式のCMPにおいて、砥粒をバインダーを用いて結合した複合砥粒を用いることもできる。砥粒を結合するためのバインダーとしては、特に制限はなく、砥粒保持力の観点から、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などが好ましく用いられる。
また、実施形態1または実施形態2の表面処理方法において、上記CMP後に、化学機械的にポリシングされた(以下、CMPされたという)窒化物結晶の表面を中性洗剤を用いてスクラブ洗浄すること(以下、中性洗剤によるスクラブ洗浄という)が好ましい。中性洗剤によるスクラブ洗浄により、CMPの際に窒化物結晶の表面に付着した不純物(たとえば、砥粒に由来する金属元素など)を容易に除去することができる。また、基板の主面に付着した不純物のみならず、基板の外周側面に付着した不純物をも除去することができる。
ここで、中性洗剤とは、pHが中性付近(たとえば、pHが5〜8.5の範囲)の洗剤をいう。中性洗剤の用い方には、特に制限はないが、洗浄効果が高く洗剤の除去が容易な観点から、中性洗剤を水で希釈した水溶液として好ましく用いられる。中性洗剤の濃度は、0.01質量%以上2質量%以下が好ましい。なお、この中性洗剤は、酸またはアルカリと混合することにより、洗浄効果をさらに高めることができる。
また、スクラブ洗浄とは、たとえば、回転するブラシ(ブラシとして、植毛、スポンジなどが用いられる)に洗浄液をかけながら、結晶表面に押し当て移動させて、結晶表面に付着している不純物を洗浄することをいう。また、スクラブ洗浄はクロス、ポリシングパッドを用いて手動で行なうこともできる。
また、実施形態1のCMP(湿式のCMP)後に中性洗剤によるスクラブ洗浄を行なう場合には、湿式のCMP後基板が乾燥する前に洗浄を行なうことが効果的である。
上記の実施形態1または実施形態2の表面処理方法において、上記CMP後に、CMPされた窒化物結晶の表面を塩基性溶液または酸性溶液を用いてポリシングすること(以下、塩基性または酸性溶液によるポリシングという)が好ましい。塩基性溶液または酸性溶液のように、砥粒などの固形物を含まないポリシング液を用いてポリシングすることにより、CMPの際に窒化物結晶の表面に付着した不純物を容易に除去することができる。
ここで、ポリシング方法には特に制限はないが、たとえば、図3を参照して、定盤35上に固定されたポリシングパッド38を回転軸35cを中心にして回転させながら、ポリシング液供給口39からポリシングパッド38上にポリシング液37を供給するとともに、窒化物結晶1を固定した結晶ホルダ31上に重り34を載せてその回転軸31cを中心にして回転させながら窒化物結晶1を、上記ポリシングパッド38に押し当てることによって、窒化物結晶1の表面の不純物を効率よく除去することができる。
また、ポリシング液37は、pHが5以下の酸性溶液またはpHが9以上の塩基性溶液が好ましい。ここで、酸性溶液には、特に制限はないが、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸の水溶液、ギ酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などの有機酸の水溶液、または上記無機酸および有機酸から2以上の酸を含む水溶液などが好ましく用いられる。また、塩基性溶液には、特に制限はないが、KOH、NaOH、NH4OH、アミンなどの塩基の水溶液が好ましく用いられる。
また、実施形態の窒化物結晶の表面処理方法において、上記CMP後に、CMPされた窒化物結晶の表面を純水を用いて洗浄すること(以下、純水による洗浄という)が好ましい。窒化物結晶の表面を純水を用いて洗浄することにより、CMPの際に窒化物結晶の表面に付着した不純物を除去することができる。窒化物結晶の純水による洗浄方法は、特に制限はないが、機械的な作用により効果的に不純物を除去できる観点から、超音波洗浄方法、スクラブ洗浄方法などが好ましく用いられる。
また、本実施形態1または実施形態2の窒化物結晶の表面処理方法において、CMPの後に、中性洗剤によるスクラブ洗浄、塩基性または酸性溶液によるポリシング、純水による洗浄を組み合わせることができる。これらの3つの洗浄またはポリシングの組み合わせ方法に、特に制限はないが、最後に純水による洗浄を行なうことが、塩基性溶液、酸性溶液または中性洗剤に由来する不純物をも除去して窒化物結晶の表面の不純物を効率良くかつ最大限に除去することができる観点から好ましい。
たとえば、中性洗剤によるスクラブ洗浄または塩基性もしくは酸性溶液によるポリシングの後に純水による洗浄を行なう方法、ならびに中性洗剤によるスクラブ洗浄、塩基性または酸性溶液によるポリシング、および純水による洗浄を順に行なう方法などがある。特に、塩基性または酸性溶液によるポリシングの後に純水による洗浄を行なう場合は、塩基性溶液および酸性溶液中の金属イオン、および原子番号が1から18までの軽元素を含むイオンを効率よく除去する観点から、超音波洗浄方法が好ましく用いられる。
なお、上記の中性洗剤によるスクラブ洗浄、塩基性または酸性溶液によるポリシング、および純水による洗浄における洗浄性を高める観点から、CMPにおいて用いられる砥粒に含まれる金属元素は、イオン化傾向が大きいものが好ましく、イオン化傾向がHより大きいものがより好ましい。
さらに、実施形態1または実施形態2の窒化物結晶の表面処理方法において、図1、図4および図5を参照して、上記のCMPの前に、窒化物結晶1の表面をグラインディングまたはラッピングすることが好ましい。CMPの前に窒化物結晶の表面をグラインディングすること(以下、グラインディングという)またはラッピングすること(以下、ラッピングという)を組み合わせることにより、窒化物結晶表面の研磨速度を高め、かつ、平滑で品質のよい窒化物結晶表面を形成することができる。
ここで、グラインディング(研削)とは、表面を粗く除去して平滑化することおよび/または結晶の厚さを調整することをいい、図4を参照して、たとえば、砥粒をバインダーで固めた砥石42を砥石台金43に固定してその回転軸43cを中心に回転させながら、結晶ホルダ41に固定されその回転軸41cを中心に回転している窒化物結晶1の表面に送り出すことにより、窒化物結晶1の表面を削り取りながら平滑化することをいう。
また、ラッピング(粗研磨)とは、表面を粗く研磨することをいい、図5を参照して、たとえば定盤55をその回転軸55cを中心に回転させながら、スラリー供給口59から定盤55上に砥粒56を分散したスラリー57を供給するとともに、窒化物結晶1を固定した結晶ホルダ51上に重り54を載せてその回転軸51cを中心にして回転させながら、窒化物結晶1を上記定盤55に押し当てることにより、窒化物結晶1の表面を平滑化することをいう。かかるラッピングにおいて、砥粒を分散したスラリーを用いることに替えて、上記砥粒をボンドで固めた砥石を窒化物結晶に回転させながら押し当てることにより、窒化物結晶の表面を研磨することも可能である(図示せず)。
(実施形態3)
本発明にかかる窒化物結晶基板の一実施形態は、図1、図2および図6を参照して、実施形態1または実施形態2の表面処理方法により得られた窒化物結晶1の基板である。実施形態1または実施形態2の表面処理方法により窒化物結晶1の表面を処理することにより、平滑で品質のよい表面を有し半導体デバイスの基板として好適な窒化物結晶基板610が得られる。
本実施形態の窒化物結晶基板においては、実施形態1または実施形態2の表面処理方法における処理条件および組み合わせにより、表面粗さRyが30nm以下の窒化物結晶基板および/または表面粗さRaが3nm以下の窒化物結晶基板が得られる。
本実施形態の窒化物結晶基板の表面粗さRyは30nm以下であることが好ましい。ここで、表面粗さRyとは、粗さ曲面から、その平均面の方向に基準面積として10μm×10μm(100μm2)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均面から最も高い山頂までの高さと最も低い谷底までの深さとの和をいう。窒化物結晶基板の表面粗さRyを30nm以下とすることにより、窒化物結晶基板の表面上にモフォロジーおよび結晶性の良好なエピタキシャル層を形成することができる。かかる観点から、窒化物結晶基板の表面粗さRyは10nm以下であることがより好ましい。なお、表面粗さRyの測定は、AFM(原子間力顕微鏡、以下同じ)を用いて行なうことができる。
また、本実施形態の窒化物結晶基板の表面粗さRaは3nm以下であることが好ましい。ここで、表面粗さRaとは、粗さ曲面から、その平均面の方向に基準面積として10μm角だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均面から測定曲面までの距離の絶対値を合計してそれを基準面積で平均した値をいう。窒化物結晶基板の表面粗さRaを3nm以下とすることにより、窒化物結晶基板の表面上にモフォロジーおよび結晶性の良好なエピタキシャル層を形成することができる。かかる観点から、窒化物結晶基板の表面粗さRaは1nm以下であることがより好ましい。なお、表面粗さRaの測定は、AFMを用いて行なうことができる。
また、本実施形態の窒化物結晶基板の主面は、ウルツ鉱型構造における{0001}面、{11−20}面、{01−12}面、{10−10}面、{10−11}面、{11−21}面および{11−22}面のいずれかの面と平行であること、または、窒化物結晶基板の主面と、ウルツ鉱型構造における{0001}面、{11−20}面、{01−12}面、{10−10}面、{10−11}面、{11−21}面および{11−22}面のいずれかの面とのなす角であるオフ角が、15°以下であることが好ましい。ここで、{0001}面は、C面ともいい、(0001)面およびその等価面を意味する。{11−20}面とは、A面ともいい、(11−20)面およびその等価面を意味する。{01−12}面とは、R面ともいい、(01−12)面およびその等価面を意味する。{10−10}面とは、M面ともいい、(10−10)面およびその等価面を意味する。{10−11}面とは、S面ともいい、(10−11)面およびその等価面を意味する。{11−21}面とは、(11−21)面およびその等価面を意味する。{11−22}面とは、(11−22)面およびその等価面を意味する。
ウルツ鉱型構造を有する窒化物結晶は、[0001]方向(c軸方向)に極性を有する。このとき、c軸を極性軸という。また、この極性軸(c軸)に垂直な面を極性面という。すなわち、極性面は、その面に垂直な方向に分極している面と定義する。また、極性軸(c軸)に平行な面を非極性面という。また、極性軸(c軸)に垂直ではないがこれと交わっている面を半極性面という。主面が非極性面(たとえば、{10−10}面(M面)、{11−20}面(A面)など)である窒化物結晶基板を用いたLED、LD(レーザダイオード)などの半導体デバイスは、発光効率を高めることができ、また、印加する電流密度を増加させても発光波長のブルーシフト(短波長側へのシフトをいう)が抑制される。また、半導体デバイスの作製において、窒化物結晶基板の主面上に結晶品質のよいエピタキシャル層を成長させたい場合は、その主面は半極性面である{10−11}面(S面)、{01−12}面(R面)、{11−21}面、{11−22}面であることが好ましい。また、LDを作製する場合には、共振器の端面は劈開性を有する{10−10}面(M面)あるいは{0001}面(C面)であることが好ましいため、{10−10}面(M面)に対して垂直な主面(たとえば、{11−20}面(A面)、{11−21}面、{11−22}面など)あるいは{0001}面(C面)に対して垂直な主面(たとえば、{10−10}面(M面)、{11−20}面(A面)など)を有する窒化物結晶基板を用いることが好ましい。
窒化物結晶基板の主面とウルツ鉱型構造における上記の結晶学的面の1つとのなす角であるオフ角を15°以下とすることにより、窒化物結晶基板上にモフォロジーおよび結晶性の良好なエピタキシャル層を形成しやすくなる。オフ角が15°を超えるとエピタキシャル層に階段状の段差ができやすくなる。また、かかるオフ角は0.05°以上が好ましい。0.05°以上のオフ角を設けることにより窒化物結晶基板上に形成するエピタキシャル層の欠陥を低減することができる。かかる観点から、オフ角は、0.05°以上15°以下が好ましく、0.1°以上10°以下がより好ましい。上記のように窒化物結晶基板の主面上にモフォロジーおよび結晶性の良好なエピタキシャル層を形成することにより高特性の半導体デバイスが得られる。また、上記のオフ角を設けることにより、ポリシング速度が高まるとともに、結晶基板の転位集中部における優先的な除去を抑制して凹みの発生を抑制し、平滑な表面が得られやすくなる。
(実施形態4)
本発明にかかるエピタキシャル層付窒化物結晶基板の一実施形態は、図6を参照して、実施形態3の窒化物結晶基板610の少なくとも一方の主面側にエピタキシャル成長により形成された1層以上のIII族窒化物層650を含む。かかる1層以上のIII族窒化物層は、モフォロジーおよび結晶の良好なエピタキシャル層であり、かかるエピタキシャル層上には、モフォロジーおよび結晶の良好なエピタキシャル層をさらに形成して、高特性の半導体デバイスを作製することが容易となる。
ここで、III族窒化物層650には、特に制限がなく、たとえばGaxAlyIn1-x-yN層(0≦x、0≦y、x+y≦1)などが挙げられる。また、III族窒化物層をエピタキシャル成長をさせる方法にも、特に制限がなく、HVPE(ハイドライド気相成長、以下同じ)法、MBE(分子線エピタキシー、以下同じ)法、MOCVD(有機金属化学気相堆積、以下同じ)法などが好ましく挙げられる。なお、III族窒化物層のエピタキシャル成長前に、窒化物結晶基板の表面を改質するため、エピタキシャル成長を行なう装置内で窒化物結晶基板のエッチングおよび/またはアニールを行なうことができる。
(実施形態5)
本発明にかかる半導体デバイスの一実施形態は、図6を参照して、実施形態3の窒化物結晶基板610と、窒化物結晶基板610の少なくとも一方の主面側に形成されている1層以上のIII族窒化物層650とを含む半導体デバイス600である。本実施形態の半導体デバイス600は、窒化物結晶基板610の少なくとも一方の主面側にモフォロジーおよび結晶の良好なエピタキシャル層であるIII族窒化物層650が1層以上形成されているため、高特性の半導体デバイスとなる。
かかる半導体デバイスとしては、発光ダイオード、レーザダイオードなどの発光素子、整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ、HEMT(High Electron Mobility Transistor;高電子移動度トランジスタ)などの電子素子、温度センサ、圧力センサ、放射線センサ、可視−紫外光検出器などの半導体センサ、SAWデバイス(Surface Acoustic Wave Device;表面弾性波素子)などが挙げられる。
(実施形態6)
本発明にかかる半導体デバイスの製造方法の一実施形態は、図6を参照して、半導体デバイス用基板として実施形態3の窒化物結晶基板610を選択し、窒化物結晶基板610の少なくとも一方の主面側に1層以上のIII族窒化物層650を成長させることを特徴とする。かかる製造方法によれば、実施形態3の窒化物結晶基板610の少なくとも一方の主面側にモフォロジーおよび結晶の良好なエピタキシャル層であるIII族窒化物層650が1層以上形成されるため、高特性および超寿命の半導体デバイスが得られる。
以下の実施例および比較例に基づいて、本発明にかかる窒化物結晶の表面処理方法、かかる表面処理方法により得られた窒化物結晶基板、およびかかる窒化物結晶基板を含む半導体デバイスについて、さらに具体的に説明する。
(実施例1)
(1−1)n型GaN結晶の表面のラッピング
HVPE法により成長させたn型GaN結晶(ドーパント:Si)を、(0001)面に平行な面でスライスして直径50mm×厚さ0.5mmのn型GaN結晶基板を得た。図5を参照して、このn型GaN結晶基板(窒化物結晶1)のN原子面側のC面((000−1)面)をセラミックス製の結晶ホルダ51にワックスで貼り付けた。ラップ装置(図示せず)に直径300mmの定盤55を設置し、スラリー供給口59からダイヤモンドの砥粒56が分散されたスラリー57を定盤55に供給しながら、定盤55をその回転軸55cを中心にして回転させるとともに、結晶ホルダ51上に重り54を載せることによりn型GaN結晶基板(窒化物結晶1)を定盤55に押し付けながら、n型GaN結晶基板(窒化物結晶1)を結晶ホルダ51の回転軸51cを中心にして回転させることにより、n型GaN結晶の表面(Ga原子面側のC面、(0001)面)のラッピングを行なった。
ここで、定盤55としては銅定盤または錫定盤を用いた。砥粒径が6μm、3μm、1μmの3種類のダイヤモンド砥粒を準備し、ラッピングの進行とともに、砥粒径を段階的に小さくしていった。研磨圧力は9.8kPa(100gf/cm2)〜49kPa(500gf/cm2)とし、n型GaN結晶基板(窒化物結晶1)および定盤55の回転数はいずれも30回/min〜100回/minとした。
かかるラッピングによりn型GaN結晶基板の表面は鏡面となった。このラッピング後のn型GaN結晶基板の加工変質層の厚さは500nm、表面粗さRyは25nm、表面粗さRaは2.3nmであった。
(1−2)n型GaN結晶の表面のCMP
図1を参照して、上記ラッピング後におけるn型GaN結晶基板(窒化物結晶1)のN原子面側のC面((000−1)面)をセラミックス製の結晶ホルダ11にワックスで貼り付けた。ポリッシュ装置(図示せず)に設置された直径300mmの定盤15上にポリシングパッド18を設置し、スラリー供給口19から砥粒16が分散されたスラリー17をポリシングパッド18に供給しながら、回転軸15cを中心にしてポリシングパッド18を回転させるとともに、結晶ホルダ11上に重り14を載せることによりn型GaN結晶基板(窒化物結晶1)をポリシングパッド18に押し付けながら、n型GaN結晶基板(窒化物結晶1)を結晶ホルダ11の回転軸11cを中心にして回転させることにより、n型GaN結晶の表面(Ga原子面側のC面、(0001)面)のCMPを行なった。
ここで、スラリー17は、砥粒16として粒径0.5μmのCr23(モース硬度8.5、換算標準生成自由エネルギー−770kJ/mol)粒子を水に分散させてCr23含有量を5質量%とし、酸化剤としてジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(以下、DCIA−Naという)を、pH調整剤としてHNO3を添加して、pHを3、酸化還元電位を980mVに調整することにより作製した。また、ポリシングパッド18としては、ポリウレタンのスウェードパッド(ニッタ・ハース株式会社製Supreme RN-R)を用い、定盤15としてはステンレス鋼定盤を用いた。ポリシング圧力は19.6kPa(200gf/cm2)〜98kPa(1000gf/cm2)とし、n型GaN結晶基板(窒化物結晶1)およびポリシングパッド18の回転数はいずれも30回/min〜150回/min、ポリシング時間は120分間とした。
このCMPにおけるポリシング速度は1.5μm/hrと高かった。また、CMP後のn型GaN結晶基板は、加工変質層の厚さが100nm、表面粗さRyが10nm、表面粗さRaが1.2nmであった。ここで、n型GaN結晶基板における加工変質層の厚さの評価は、結晶をへき開面で破断した断面のTEM(透過型電子顕微鏡)観察により行なった。また、n型GaN結晶基板の表面粗さRyおよび表面粗さRaの評価は、n型GaN結晶基板表面の10μm×10μmの範囲内におけるAFM(原子間力顕微鏡)観察により行なった。なお、加工変質層とは、結晶表面の研削または研磨によって結晶の表面側領域に形成される結晶格子が乱れた層をいい、TEM観察によりその層の存在およびその厚さを確認できる。また、CMP後におけるn型GaN結晶基板の表面酸化層の厚さは1.5nmであり、このn型GaN結晶基板の表面におけるGa原子とN原子の比率はそれぞれ50原子%と50原子%であった。ここで、表面酸化層の厚さはエリプソメータにより行ない、Ga原子とN原子との比率の評価はXPS(X線光電子分光法)により行なった。
(1−3)n型GaN結晶基板を含む半導体デバイスの作製
図6を参照して、上記CMP後のn型GaN結晶基板をMOCVD装置内に配置して、このn型GaN結晶基板(窒化物結晶基板610)の一方の主面(CMPを行なった(0001)面)側に、MOCVD法により、n型半導体層620としての厚さ1μmのn型GaN層621(ドーパント:Si)および厚さ150nmのn型Al0.1Ga0.9N層622(ドーパント:Si)、発光層640、p型半導体層630としての厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8N層631(ドーパント:Mg)および厚さ150nmのp型GaN層632(ドーパント:Mg)を順次形成して、半導体デバイスとしてのLED(発光ダイオード、以下同じ)を得た。ここで、発光層640は、厚さ10nmのGaN層で形成される障壁層の4層と、厚さ3nmのGa0.85In0.15N層で形成される井戸層の3層とが交互に積層された多重量子井戸構造とした。
次に、n型のGaN結晶基板(窒化物結晶基板610)の他方の主面((000−1)面)側に第1の電極661として、厚さ200nmのTi層、厚さ1000nmのAl層、厚さ200nmのTi層、厚さ2000nmのAu層から形成される積層構造を形成し、窒素雰囲気中で加熱することにより、直径100μmのn側電極を形成した。一方、p型GaN層632上に第2の電極662として、厚さ4nmのNi層、厚さ4nmのAu層から形成される積層構造を形成し、不活性ガス雰囲気中で加熱することにより、p側電極を形成した。上記積層体を400μm角にチップ化した後に、上記p側電極をAuSnで形成されたはんだ層670で導電体682にボンディングした。さらに、上記n側電極と導電体681とをワイヤ690でボンディングして、LEDとしての構成を有する半導体デバイス600を得た。
得られたLED(半導体デバイス600)の光出力を積分球を用いて注入電流20mAの条件で測定した。本実施例のLEDの光出力の相対強度を1.0とし、他の実施例の相対強度を以下に示した。結果を表1にまとめた。
(実施例2〜6、比較例1〜5)
CMPにおいて表1に示す砥粒、pHおよびORPを有するスラリーを用いた他は、実施例1と同様にして、ラッピング、CMPおよび半導体デバイス作製を行なった。結果を表1にまとめた。表1の酸化剤に関して、DCIA−Naとはジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを示す。また、比較例4における破砕穴とは、CMPの機械的な負荷により結晶表面が微小に破砕して発生する穴をいう。なお、この破砕穴の深さは、光干渉式段差計で測定したところ、50nm以上のものが多かった。
Figure 0005429350
(実施例7〜12)
CMPにおいて表2に示す砥粒、pHおよびORPを有するスラリーを用いた他は、実施例1と同様にして、ラッピング、CMPおよび半導体デバイス作製を行なった。結果を表2にまとめた。ここで、表2の酸化剤に関して、DCIA−Naとはジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを示す。また、表2の砥粒の含有化学種に関して、実施例11のFe23+SnO2とは化学種Fe23とSnO2との混合物を示し、実施例12のNiO・Fe23とは化学種NiOおよびFe23から形成される複合酸化物NiFe24を示す。
(実施例13、比較例6)
(2−1)n型GaN結晶基板の表面のグラインディング
HVPE法により成長させたn型GaN結晶(ドーパント:Si)を、(0001)面に平行な面でスライスして直径50mm×厚さ0.5mmのn型GaN結晶基板を得た。図4を参照して、このn型GaN結晶基板(窒化物結晶1)のN原子面側のC面((000−1)面)をセラミックス製の結晶ホルダ21にワックスで貼り付けた。研削機としては、インフィード型のものを用いた。砥石42は、外径80mm×幅5mmのリング形状をした、ビトリファイドボンドのダイヤモンド砥石を用いた。n型GaN結晶基板(窒化物結晶1)を結晶ホルダ41に固定してその回転軸41cを中心にして回転させるとともに、砥石42を砥石台金43に固定してその回転軸43cを中心にして回転させながら、砥石42をn型GaN結晶の表面に送り込むことによってn型GaN結晶の表面(Ga原子面側のC面、(0001)面)のグラインディングを行なった。砥粒径が15μm、5μm、3μm、1μmの4種類のダイヤモンド砥石を準備し、グラインディングの進行とともに、砥粒径を段階的に小さくしていった。かかるグラインディングによりn型GaN結晶の表面は鏡面となった。グラインディング後のn型GaN結晶基板は、加工変質の厚さが1500nm、表面粗さRyが79nm、表面粗さRaが6.2nmであった。
(2−2)GaN結晶基板の表面のCMP
上記ラッピング後のn型GaN結晶基板について、表2に示す砥粒、pHおよびORPを有するスラリーを用いた他は、実施例1のCMPを行なった。
(2−3)n型GaN結晶基板を含む半導体デバイスの作製
上記CMP後のn型GaN結晶基板をMOCVD装置内に配置して、実施例1と同様の半導体デバイス作製を行なった。結果を表2にまとめた。ここで、表2の酸化剤に関して、TCIAとはトリクロロイソシアヌル酸を示す。
Figure 0005429350
表1および表2から明らかなように、窒化物結晶の表面処理におけるCMPにおいて、酸化物でありその換算標準生成自由エネルギーが−850kJ/mol以上かつそのモース硬度が4以上の砥粒を用いることにより、半導体デバイスの基板に好適な平滑で品質のよい表面を有する窒化物結晶基板が得られた。
特に、実施例1の砥粒は、比較例1の砥粒に比べて、硬度が低いにもかかわらず換算標準生成自由エネルギーが−850kJ/mol以上であるため、ポリシング速度が大きく、かつ、より平滑な結晶表面が得られ、LEDの光出力の相対強度が高くなった。また、実施例2の砥粒は、実施例1の砥粒に比べて、硬度が低いためポリシング速度は少し低下するが、換算標準生成自由エネルギーが高いため平滑な結晶表面が得られ、LEDの光出力の相対強度も高くなった。
(実施例14〜22)
HVPE法により成長させたn型GaN結晶(ドーパント:Si)を、表3に示す面方位を有する面に対して、表3のオフ角を有するような主面を形成するようにスライスして、10mm×10mm×厚さ0.5mmのn型GaN結晶基板を得た以外は、実施例2と同様にして、n型GaN結晶基板のラッピングおよびCMPを行なった。結果を実施例2とともに表3にまとめた。表3の酸化剤に関して、TCIAとはトリクロロイソシアヌル酸を示す。
Figure 0005429350
表3から明らかなように、窒化物結晶基板の主面と、ウルツ鉱型構造における{0001}面、{11−20}面、{01−12}面、{10−10}面、{10−11}面、{11−21}面および{11−22}面のいずれかの面とのなす角であるオフ角が15°以下である窒化物結晶基板に対して本発明にかかるCMPを行なうことにより、効率よく、平滑で品質のよい主面を有する窒化物結晶基板が得られた。
ここで、実施例2と実施例14と実施例15とを対比すると、C面に対するオフ角を0°、2°、5°と大きくするにつれてポリシング速度が高くなることがわかる。また、実施例2、16〜22のそれぞれを対比すると、CMPにおけるポリシング速度が大きい面は、(000−1)面(C面のN原子面(表3においてC−N面))>{10−10}面(M面)>{11−20}面(A面)>{11−21}面>{11−22}面={10−11}面(S面)>{01−12}面(R面)>(0001)面(C面のGa原子面(表3においてC−Ga面))の順番であった。これは、各面の化学耐久性の差に由来するものと考えられる。
(実施例23〜29)
実施例1において、CMP後のn型GaN結晶基板を、表4に示すように、中性洗剤として0.15質量%のポリオキシアルキレンアルキルエーテル(以下、POAAEともいう)水溶液を用いてスクラブ洗浄すること(中性洗剤によるスクラブ洗浄)、塩基性溶液として濃度が2規定(2Nという、以下同じ)のKOH水溶液または酸性溶液として濃度が0.5規定(0.5Nという、以下同じ)のH2SO4水溶液を用いてポリシングすること(塩基性溶液または酸性溶液によるポリシング)、および/または、純水を用いて1MHz(1×106Hz)の超音波により洗浄すること(純水による洗浄)を行なった。
ここで、上記の中性洗剤によるスクラブ洗浄は、上記中性洗剤を含ませたスポンジを上記CMP後のn型GaN結晶基板の表面に押し当てて手動で移動させることにより行なった。洗浄時間は1分間とした。
また、上記のポリシングは、以下のようにして行なった。すなわち、ポリシング装置(図示せず)に設置された直径380mmの定盤35上にポリシングパッド38を設置し、ポリシング液供給口39からポリシング液37をポリシングパッド38に供給しながら、回転軸35cを中心にしてポリシングパッド38を回転させるとともに、結晶ホルダ31上に重り34を載せることによりn型GaN結晶基板(窒化物結晶1)をポリシングパッド38に押し付けながら、n型GaN結晶基板(窒化物結晶1)を結晶ホルダ31の回転軸31cを中心にして回転させることにより、n型GaN結晶の表面(Ga原子面側のC面((0001)面))をポリシングした。ここで、ポリシングパッド38としては、ポリウレタンのスウェードパッド(ニッタ・ハース株式会社製Supreme RN-R)を用い、定盤35としてはステンレス鋼定盤を用いた。ポリシング圧力は19.6kPa(200g/cm2)〜49kPa(500g/cm2)とし、n型GaN結晶基板(窒化物結晶1)およびポリシングパッド38の回転数はいずれも30回/min〜100回/min、ポリシング時間は20分間とした。
また、純水による洗浄は、上記CMP後、中性洗剤によるスクラブ洗浄後または塩基性溶液もしくは酸性溶液によるポリシング後のn型GaN結晶基板を純水中に浸漬し、この純水に1MHzの超音波を印加することによって行なった。洗浄時間は20分間とした。
上記中性洗剤によるスクラブ洗浄、ポリシングおよび/または純水洗浄後のn型GaN結晶基板の表面に残留している不純物の元素分析をTXRF(全反射蛍光X線分析法)を用いて行なった。結果を表4にまとめた。ここで、表4の中性洗剤による洗浄に関して、POAAEとはポリオキシアルキレンアルキルエーテルをいう。
Figure 0005429350
表4から明らかなように、CMP後に、中性洗剤によるスクラブ洗浄、塩基性溶液または酸性溶液によるポリシングおよび純水による洗浄の少なくともいずれかを行なうことにより、n型GaN結晶基板表面上の不純物を低減することができた。また、これらの洗浄またはポリシングを組み合わせることにより、n型GaN結晶基板表面上の不純物をさらに低減することができた。
(実施例30〜37、比較例7〜9)
HVPE法により成長させたn型AlN結晶(ドーパント:Si)を、(0001)面に平行な面でスライスして直径40mm×厚さ0.5mmのn型AlN結晶基板を得た。このn型AlN結晶基板の表面(Ga原子面側のC面、(0001)面)に対して実施例1と同様のラッピングを行なった。次に、n型AlN結晶基板のラッピングされた表面に対して、表5に示す砥粒、pHおよびORPを有するスラリーを用いた他は実施例1と同様のCMPを行なった。次に、CMP後のn型AlN結晶基板を用いて実施例1と同様の半導体デバイス作製を行なった。結果を表5にまとめた。
Figure 0005429350
表5を表1および2に対比させると明らかなように、本発明にかかる窒化物結晶の表面処理を行なうことにより、n型AlN結晶基板においても、n型GaN結晶基板の場合と同様に、ポリシング速度の高いCMPが可能となり、平滑で品質のより結晶表面が得られた。また、かかるn型AlN結晶基板は、n型GaN結晶基板と同様に、短波長領域の光の透過率が高いため、光出力が高いLEDが得られた。
(実施例38)
(3−1)n型GaN結晶の表面のラッピング
HVPE法により成長させたn型GaN結晶(ドーパント:Si)を、(0001)面に平行な面でスライスして直径30mm×厚さ0.5mmのn型GaN結晶基板を得た。このn型GaN結晶基板に対して、実施例1と同様のラッピングを行なった。ラッピング後のn型GaN結晶基板は、加工変質層の厚さが500nm、表面粗さRyが22nm、表面粗さRaが2.1nmであった。
(3−2)n型GaN結晶の表面のCMP
図2を参照して、上記ラッピング後におけるn型GaN結晶基板(窒化物結晶1)のN原子面側のC面((000−1)面)をセラミックス製の結晶ホルダ21にワックスで貼り付けた。ポリッシュ装置(図示せず)設置された直径300mmの定盤25上に固定された砥粒26を含む砥粒固定体28を回転軸25cを中心にして回転させるとともに、窒化物結晶1を固定した結晶ホルダ21上に重り24を載せてその回転軸21cを中心にして回転させながら、窒化物結晶1を上記砥粒固定体28に押し当てることにより、n型GaN結晶の表面(Ga原子面側のC面、(0001)面)のCMPを行なった。
ここで、砥粒固定体28は、砥粒26としての粒径0.5μmのCr23(モース硬度8.5、換算標準生成自由エネルギー−770kJ/mol)粒子を、バインダー27としてのポリビニルアルコール樹脂により固定することにより形成した。砥粒固定体28中の砥粒含有量は、15質量%であった。ポリシング圧力は19.6kPa(200gf/cm2)〜147kPa(1500gf/cm2)とし、n型GaN結晶基板(窒化物結晶1)および砥粒固定体28の回転数はいずれも50回/min〜400回/min、ポリシング時間は60分間とした。
このCMPにおけるポリシング速度は3.2μm/hrと高かった。また、CMP後におけるn型GaN結晶基板の加工変質層の厚さは150nm、表面粗さRyは10nm、および表面粗さRaは1.2nmであった。
(3−3)n型GaN結晶基板を含む半導体デバイスの作製
上記CMP後のn型GaN結晶基板を用いて、実施例1と同様の半導体デバイス作製を行なった。結果を表6にまとめた。
(実施例39〜44、比較例10〜14)
CMPにおいて表6または表7に示す砥粒、バインダー材質を用いた他は、実施例38と同様にして、ラッピング、CMPおよび半導体デバイス作製を行なった。結果を表6および表7にまとめた。ここで、表6および表7のCMPにおけるバインダー材質のPhはフェノール樹脂を、PVAはポリビニルアルコール樹脂を、PIはポリイミド樹脂を、PAはポリアミド樹脂を、PEはポリエステル樹脂を示す。また、比較例13における破砕穴とは、CMPの機械的な負荷により結晶表面が微小に破砕して発生する穴をいう。なお、この破砕穴の深さは、光干渉式段差計で測定したところ、50nm以上のものが多かった。
Figure 0005429350
Figure 0005429350
表6および表7から明らかなように、窒化物結晶の表面処理方法における乾式のCMPにおいても、酸化物でありその換算標準生成自由エネルギーが−850kJ/mol以上かつそのモース硬度が4以上の砥粒を用いることにより、半導体デバイスの基板に好適な平滑で品質のよい表面を有する窒化物結晶基板が得られた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
1 窒化物結晶、1a 加工変質層、11,21,31,41,51 結晶ホルダ、11c,15c,21c,25c,31c,35c,41c,43c,51c,55c 回転軸、14,24,34,54 重り、15,25,35,55 定盤、16,26,56 砥粒、17,57 スラリー、18,38 ポリシングパッド、19,59 スラリー供給口、27 バインダー、28 砥粒固定体、37 ポリシング液、39 ポリシング液供給口、42 砥石、43 砥石台金、600 半導体デバイス、610 窒化物結晶基板、620 n型半導体層、621 n型GaN層、622 n型Al0.1Ga0.9N層、630 p型半導体層、631 p型Al0.2Ga0.8N層、632 p型GaN層、640 発光層、650 III族窒化物層、661 第1の電極、662 第2の電極、670 はんだ層、681,682 導電体、690 ワイヤ。

Claims (17)

  1. GaN結晶の表面を化学機械的にポリシングする表面処理方法であって、
    酸化物の砥粒が用いられ、
    前記砥粒の標準生成自由エネルギーが酸素分子1mol当たりの換算値で−770kJ/mol以上であり、かつ、
    前記砥粒のモース硬度が4以上であるGaN結晶の表面処理方法。
  2. 前記砥粒の標準生成自由エネルギーが酸素分子1mol当たりの換算値で−770kJ/mol以上−470kJ/mol以下であり、かつ、
    前記砥粒のモース硬度が4以上8.5以下である請求項1に記載のGaN結晶の表面処理方法。
  3. 前記砥粒が、Fe23、Fe34、NiO、ZnO、CoO、Co34、GeO2、Ga23、In23、Cr23およびSnO2からなる群から選ばれる少なくとも1種類の化学種を含む砥粒である請求項1または請求項2に記載のGaN結晶の表面処理方法。
  4. 前記化学機械的にポリシングされた前記GaN結晶の表面が中性洗剤を用いてスクラブ洗浄される請求項1から請求項3までのいずれかに記載のGaN結晶の表面処理方法。
  5. 前記化学機械的にポリシングされた前記GaN結晶の表面が塩基性溶液または酸性溶液を用いてポリシングされる請求項1から請求項4までのいずれかに記載のGaN結晶の表面処理方法。
  6. 前記化学機械的にポリシングされた前記GaN結晶の表面が純水を用いて洗浄される請求項1から請求項5までのいずれかに記載のGaN結晶の表面処理方法。
  7. 前記化学機械的にポリシングされる前に、前記GaN結晶の表面がグラインディングまたはラッピングされる請求項1から請求項6までのいずれかに記載のGaN結晶の表面処理方法。
  8. 前記砥粒は溶媒に分散されてスラリーとして用いられ、
    前記スラリーのpHの値xと酸化還元電位の値y(mV)とが、以下の式(i)および式(ii)のいずれもの関係を満たす請求項1から請求項3までのいずれかに記載のGaN結晶の表面処理方法。
    y≧−50x+1000 ・・・(i)
    y≦−50x+1900 ・・・(ii)
  9. 前記砥粒は溶媒に分散されてスラリーとして用いられ、
    前記スラリーのpHが5以下または9以上である請求項1から請求項3までのいずれかに記載のGaN結晶の表面処理方法。
  10. 請求項1の表面処理方法により得られたGaN結晶基板。
  11. 表面粗さRyが30nm以下である請求項10に記載のGaN結晶基板。
  12. 表面粗さRaが3nm以下である請求項10または請求項11に記載のGaN結晶基板。
  13. 前記GaN結晶基板の主面と、ウルツ鉱型構造における{0001}面、{11−20}面、{01−12}面、{10−10}面、{10−11}面、{11−21}面および{11−22}面のいずれかの面とのなす角であるオフ角が15°以下である請求項10から請求項12までのいずれかに記載のGaN結晶基板。
  14. 請求項10のGaN結晶基板の少なくとも一方の主面側にエピタキシャル成長により形成された1層以上のIII族窒化物層を有するエピタキシャル層付GaN結晶基板。
  15. 請求項10のGaN結晶基板と、前記GaN結晶基板の少なくとも一方の主面側に形成されている1層以上のIII族窒化物層とを含む半導体デバイス。
  16. 基板として請求項10のGaN結晶基板を選択し、前記GaN結晶基板の少なくとも一方の主面側に1層以上のIII族窒化物層を成長させるエピタキシャル層付GaN結晶基板の製造方法。
  17. 基板として請求項10のGaN結晶基板を選択し、前記GaN結晶基板の少なくとも一方の主面側に1層以上のIII族窒化物層を成長させる半導体デバイスの製造方法。
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